JPH05286434A - 面効果翼機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は組立、分解容易な主翼を備えた面効
果翼機を提供することを目的とする。 【構成】 本発明は船体の左右に主翼を有し同主翼の外
端にフロートを兼ねた端板を備えるとともにプロペラを
有し後部に垂直尾翼、水平尾翼、方向舵を備えて地面や
水面の上を面効果を利用して滑走可能な面効果翼機にお
いて、主翼が、Ｒ形状の断面形をなす前縁ビームと、後
縁ビームと、これら両ビームを一体的に結合して主たる
翼面を形成する羽布との分解、組立容易な組立体よりな
ることを特徴とする面効果翼機を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は地面もしくは水面上を、
機（船）体と地（水）面上に生じるエアークッション、
所謂、面効果を利用して滑走する面効果翼機に関する。

【０００２】

【従来の技術】本発明の出願人は先に「地面効果翼機」
として特願平１−１９６５０７号を提案した。

【０００３】その大きな特徴は、船体左右に一体化され
た端板を有する主翼と、同、船体上に取付けられたプロ
ペラのほぼ軸心延長線上に水平尾翼を取り付け、ピッチ
ングに対する安定性を持たせてコンパクト化を可能にし
たことにある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の地面効果翼
機には解決すべき次の課題があった。

【０００５】即ち、従来の地面効果翼機は主翼を１枚と
するか或いは収納を容易とするため、主翼を左右に分割
出来る構造、または一体形の何れも可能とするものであ
るが、左右を分割するとするとき、主翼構成部材及び端
板の強度を保持するためのスティを必要とし、かつ、船
体への取付け作業に多大な時間を要するという問題があ
った。

【０００６】また、左右の主翼はそれぞれ一体物で、か
つ、主翼を構成するために、たとえば羽布が全面に亘っ
て貼着されており、搬送時に破れ等の破損が生じぬよう
細心の注意を払わねばならないという取扱い困難の問題
があった。

【０００７】また、いわゆるインテグラル構造のため、
個々の部品点数が多く、そのためもあって製作工数も高
いという問題があった。

【０００８】本発明は上記問題を解決するため、組立、
分解容易な主翼を備えた面効果翼機を提供することを目
的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題の解決
手段として、船体の左右に主翼を有し同主翼の外端にフ
ロートを兼ねた端板を備えるとともにプロペラを有し後
部に垂直尾翼、水平尾翼、方向舵を備えて地面や水面の
上を面効果を利用して滑走可能な面効果翼機において、
主翼が、Ｒ形状の断面形をなす前縁ビームと、後縁ビー
ムと、これら両ビームを一体的に結合して主たる翼面を
形成する羽布との分解、組立容易な組立体よりなること
を特徴とする面効果翼機を提供しようとするものであ
る。

【００１０】なお、ここに「Ｒ形状」とは、主翼のスパ
ン方向にほぼ垂直な、いわゆる翼断面の前縁近傍が外方
に凸なる曲面（断面図形としては曲線）形状をなすこと
を云う。

【００１１】

【作用】本発明は上記のように構成されるので次の作用
を有する。

【００１２】即ち、面効果翼機の主要な構成部材である
主翼が、前縁ビーム、後縁ビーム及び羽布との、分解、
組立容易な組立体よりなるので、前縁ビーム、後縁ビー
ムが強度部材となり、スティを必要としない。また、分
解、組立が容易なので、搬送その他の取扱いの利便性、
安全性が高い。また、前縁ビームがＲ形状をなすため、
高い翼面効果（気流が乱れを生じず、かつ、高揚力を発
生）を発生する。組立に、繰返し使用可能なファスナ
（ボルト等）を使用することによって分解、組立が容易
になる。

【００１３】

【実施例】本発明の一実施例を図１〜図５により説明す
る。

【００１４】図１は本実施例を斜め前方から見おろした
斜視図、図２は正面図、図３は主翼の分解斜視図、図４
は羽布の斜視図、図５は船体と主翼の取付部を示す正面
図である。なお、左右対称の構成部材には、原則とし
て、たとえば、２，２ａのように右側部材を一般符号
で、左側符号には添字ａを付して示す。また、前後２個
所以上に相互に近似な部材が用いられている場合には、
前側部材を一般符号で、後側符号には添字ａ，ｂ…を付
して示すのを原則とする。

【００１５】図１において、人が搭乗できる船体１の両
側にほぼ対称に主翼２，２ａが設けられ、この主翼２，
２ａは後述する通り、概略前縁ビーム３と後縁ビーム４
と羽布１５とで組立、分解容易に一体化されている。

【００１６】この主翼２，２ａの両側には、端板５，５
ａがボルト６により取り付けられている。この端板５，
５ａは図２に示す通り、フロートの機能を持ち、停止
時、或いは低速時、横風等が吹いても機体が横転しない
ようになっており、また、前方開口部より取り入れた空
気が横方向へ流れないようにする機能を併せ持つ。

【００１７】この他、船体１の後部にエンジン架台８と
エンジン９及び、プロペラ１０が取り付けられている。
そして、後縁ビーム４上に垂直尾翼１１と方向舵１２及
び、プロペラ１０のほぼ軸心延長線上に位置するよう、
水平尾翼１３とエレベータ１４が取り付けられ、これら
全体が面効果翼機を構成している。

【００１８】次に主翼２（２ａ）について詳述すると、
図３に示すように、翼の空気流れを適正に行えるように
する所定のＲ形状（左右にはほぼ直状で、外方に凸なる
曲面形状）を持つ前縁ビーム３と、空気流れの切れを良
くする比較的細長いほぼ三角形状をした後縁ビーム４
に、図４に示す可撓性のある羽布１５の袋部１６，１６
ａを挿入して主翼２（２ａ）は形成されている。前縁ビ
ーム３は、大小のパイプ１７，１７ａに、複数のリブ１
８を左右に所要間隔で取り付けることで構成され、後縁
ビーム４も同様に大小のパイプ１９，１９ａに複数のリ
ブ２１を左右に所要間隔で取り付けた構成とすること
で、高強度を保てるようになっており、端板５，５ａに
偏荷重が掛かっても、破損することのないように構成さ
れている。

【００１９】尚、船体１と主翼２（２ａ）の取付けは、
図５に示すように船体１に取付けられた埋込金物２２と
前（後）縁ビーム３（４）のリブ１８（２１）をボルト
等の締結金具２３で締結することにより行う。

【００２０】以上の通り、本実施例は面効果翼機の主要
部である主翼２（２ａ）が、高強度の前縁ビーム３、後
縁ビーム４及び羽布１５を、端板５（５ａ）を利用する
ことにより、ボルト６、結合金具２３等で容易に組立、
分解できるので、従来のようにスティを必要とせず、か
つ、短時間で組立、分解できるという利点がある。

【００２１】また、組立、分解が容易なので、遠隔地へ
の搬送が簡便なという利点がある。

【００２２】また、分解してコンパクトな形状、もしく
は梱包で移動できるため、不測の損傷が生じないという
利点がある。

【００２３】また、シンプルな構成のため、部品点数が
少なく、製作費、メンテナンス費、共に低いという利点
がある。

【００２４】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されるので次
の効果を有する。

【００２５】即ち、主翼が、前縁ビーム、後縁ビーム、
羽布とによって組立、分解容易に構成されるので主翼を
船体から取外し、或いは取付けを容易に行うことが出
来、また、従来例の如く、破損し易い羽布をテンション
を効かすことなく保管出来、搬送も容易となる。

【００２６】また、部品点数が減り、製作工数等が低減
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る面効果翼機の斜視図、

【図２】上記実施例の正面図、

【図３】上記実施例の主翼の分解斜視図、

【図４】上記実施例の主翼に用いる羽布の斜視図、

【図５】上記実施例の船体と主翼の取付部を示す正面図
である。

【符号の説明】

１ 船体 ２，２ａ 主翼 ３ 前縁ビーム ４ 後縁ビーム ５，５ａ 端板 ６ ボルト ８ エンジン架台 ９ エンジン １０ プロペラ １１ 垂直尾翼 １２ 方向舵 １３ 水平尾翼 １４ エレベータ １５ 羽布 １６，１６ａ 袋部 １７，１７ａ パイプ １８ リブ １９，１９ａ パイプ ２１ リブ ２２ 埋込金具 ２３ 結合金具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神野藤 保夫 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目１番１号 三菱重工業株式会社高砂研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船体の左右に主翼を有し同主翼の外端に
   フロートを兼ねた端板を備えるとともにプロペラを有し
   後部に垂直尾翼、水平尾翼、方向舵を備えて地面や水面
   の上を面効果を利用して滑走可能な面効果翼機におい
   て、主翼が、Ｒ形状の断面形をなす前縁ビームと、後縁
   ビームと、これら両ビームを一体的に結合して主たる翼
   面を形成する羽布との分解、組立容易な組立体よりなる
   ことを特徴とする面効果翼機。