JPH05281699A - エッチング装置 - Google Patents

エッチング装置

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JPH05281699A
JPH05281699A JP7811992A JP7811992A JPH05281699A JP H05281699 A JPH05281699 A JP H05281699A JP 7811992 A JP7811992 A JP 7811992A JP 7811992 A JP7811992 A JP 7811992A JP H05281699 A JPH05281699 A JP H05281699A
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潔 門松
Hiroshi Nishimura
宏 西村
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英夫 水谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リアルタイムで最適なエッチング終了判定を
行うエッチング装置を得る。 【構成】 試料12に所定のパターン12Aとダミー1
3上に回折格子とを形成して、試料12とダミー13と
を同時にエッチングする時に、回折格子13Aに単色光
を照射する光源9と、回折格子13Aからの回折光の光
量を検出する検出器群10A,10B0,10C1,10C
2 ... と、このCPU11は、前記検出器からの検出信
号に基づいて、回折格子13Aのデューティ比a/pを
求め、次に、このデューティ比a/pと前記検出信号と
から回折格子13Aの溝深さd(溝深さ)を求め、この
溝深さdが所定の量の時、エッチングを終了させるエッ
チング終了判定手段とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エッチング装置に関
し、例えば、半導体製造工程に使用されるレチクルの製
造工程中のエッチング工程において、エッチング終了時
間をリアルタイムで制御するのに適当なエッチング装置
に関する。
【0002】
【従来技術】近年、レチクル製造工程におけるエッチン
グ工程は、回路パターンの微細化に伴い、高精度にエッ
チングすることが要求されている。このため、近年、最
適な時間だけエッチングする方法として、エッチングさ
れる基板のエッチング状態をリアルタイムで測定する方
法が特開平3−200149号に提案されている。
【0003】このエッチング方法は、基板上の回路パタ
ーンに隣接してこの回路パターンの微細度に関連したピ
ッチの回折格子を形成して、この回折格子を前記回路パ
ターンと同時にエッチングしながら、回折格子のエッチ
ング状態を測定することにより、回路パターンのエッチ
ング状態を測定し、エッチングの終了判定を行うもので
ある。この回折格子のエッチング状態の測定は、回折格
子に単波長光を照射することによって生じる反射回折光
を測定して行い、エッチングの終了判定は、このように
測定した所定の次数の反射回折光の強度が、あらかじめ
求められた所定の溝深さの時に発生する回折光強度と一
致した時に、エッチングを終了させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、発明者は、溝深
さは、回折格子のピッチに対する回折格子の線幅の比、
すなわち、デューティ比に大きく依存していることを見
出した。したがって、前記エッチング方法では、回折格
子はそのピッチのみならずデューティ比も高精度に定め
る必要があるが、しかし、回路パターンの微細化に伴
い、回折格子のピッチも小さくすると、回折格子のデュ
ーティ比を高精度に制御することは難しい。したがっ
て、このエッチング方法では、回折格子のデューティ比
は、所定の値に形成されているものとしてエッチングの
終了判定を行うしかなく、所定のデューティ比に形成さ
れていない場合、溝深さに誤差が生じることを避けられ
なかった。
【0005】また、等方性エッチングを行う場合、回折
格子は、この格子の上のマスクの下側を回り込むように
してエッチングされる。このように、所定のデューティ
比を持つ回折格子を用いた場合でも、エッチングの条件
によっては、エッチングの進行に応じて、デューティ比
が変化する。したがって、このような場合、前記エッチ
ング方法は、エッチング終了判定を正確に制御すること
ができなかった。
【0006】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、本発明の目的は、回折格子のデューティ比
が所定の値からばらつきを持っていたり、エッチング中
に前記デューティ比が変化した場合でも、リアルタイム
にかつ非接触にエッチング状態を測定して、エッチング
終了判定を行うエッチング装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明のエッチング装置は、基板(12、13)を載
置し、前記基板をエッチングするエッチング室(1)
と、前記基板上に形成された回折格子(13A)に向け
て単色光を照射する光源(9)と、前記回折格子に前記
単色光を照射することによって生じる複数の次数の回折
光を検出する検出手段(10B0 、10B1 、10B2
、10C0 、10C1 、10C2 )と、前記検出手段
からの所定の組み合わせの2つの検出信号から、前記回
折格子のピッチに対する前記回折格子の幅のデューティ
比を演算し、この求めたデューティ比を用いてエッチン
グ終了判定を行うエッチング終了判定手段(11)とを
有するものである。
【0008】
【作用】本発明のエッチング装置は、基板上に回路パタ
ーンなどの所定のパターンと回折格子とを形成し、この
パターンと回折格子とを同時にエッチングしながら、基
板上に形成された回折格子に単色光を照射し、単色光を
照射することによって生じる回折光を検出手段で検出し
た時、エッチング終了判定手段において、前記検出手段
からの所定の組み合わせの2つの検出信号に基づいて、
回折格子のデューティ比を求め、このデューティ比を用
いてエッチング終了判定を行うものである。
【0009】このように、本発明のエッチング装置は、
回折格子からの複数の次数の回折光の測定値からデュー
ティ比を求め、この求めたデューティ比を用いて、エッ
チング終了判定を行うものである。前記終了判定に用い
るデューティ比が、複数の次数の回折光の測定値から算
出できることを以下に証明する。
【0010】いま、回折格子のピッチをp、回折格子の
幅をaとすると、図3に示す状態において、ある点xに
おける回折格子の振幅強度f(x)は、数1で表され
る。
【0011】
【数1】
【0012】ここで、R1 は回折格子の振幅反射率また
は振幅透過率を示す定数、R2 は基板の振幅反射率また
は振幅透過率を示す定数、δは回折格子の位相差であ
る。したがって、m次回折光の振幅強度Cmは、このf
(x)を積分した数2で表され、m≠0の時、数3のよ
うに展開できる。
【0013】
【数2】
【0014】
【数3】
【0015】次に、この光振幅強度Cmの計算式数3を
用いて、数4に示すような、2つの回折光強度|Cm|
2 、|Cn|2 の比を求める式を導く。
【0016】
【数4】
【0017】デューティ比は、この数4に、検出手段で
検出した所定の組み合わせの2つの回折光の測定値|C
m|2 、|Cn|2 とこれら回折光の次数(m、n)と
を代入し、未知数a/pについてまとめることにより求
める。尚、前記所定の組み合わせとは、例えば、2つの
回折光がm≠n≠0でありかつ2つの回折光が透過回折
光であるような組み合わせである。
【0018】
【実施例】本発明の実施例のエッチング装置について、
図面を参照して説明する。実施例のエッチング装置は、
図1に示すような反応性イオンエッチング(RIE)装
置であり、このエッチング装置は、エッチング室1内に
載置された試料12とエッチング終了判定用ダミー13
とを同時にエッチングし、前記ダミー13が最適のエッ
チング状態の時にエッチングを終了することによって、
試料12を最適な時間だけエッチングするものである。
尚、前記試料12とダミー13とは、試料12上に形成
される回路パターン12Aの線幅及び線間隔と、ダミー
13上に形成される回折格子13Aの線幅及び線間隔と
がある相関関係にあるものが用いられる。
【0019】図1に示すように、このエッチング装置で
は、エッチング室1は、カソード2と、上部開閉蓋3と
によって密閉可能に形成されている。このカソード2
は、取付け部2Aによって絶縁された状態でエッチング
室1に固設され、また、対向電極4は上部開閉蓋3に設
けられている。また、このエッチング室1には、排気系
5とガス導入系6とエッチング用圧力制御系7とが接続
されている。排気系5は荒引き用真空ポンプ5Aと高真
空用真空ポンプ5Bとを備え、それぞれのポンプ5A,
5Bは、バルブ5C,5Dを介してエッチング室1に接
続されている。ガス導入系6は、複数のガス源6A1 ,
6A2 ,6A3 を備えており、それぞれのガス源6A1
,6A2 ,6A3 は、マスフローコントローラ6B1
,6B2 ,6B3 (以下、MFCとする)とバルブ6
C1 ,6C2 ,6C3 を介してエッチング室1に接続さ
れ、エッチング室1にガスを供給する。エッチング用圧
力制御系7は、エッチング用の真空ポンプ7Aを備え、
この真空ポンプ7Aは、圧力制御バルブ7Bとバルブ7
Cとを介してエッチング室1に接続され、ガス導入系6
によりエッチング室1に供給されるガスの圧力が適当に
なるようにエッチング室1のガスの排気を制御する。ま
た、高周波電源8Aは、マッチング回路8Bを介してカ
ソード2に接続されている。
【0020】複数の次数の回折光を検出する検出装置
は、単色光を出力する光源9と、ハーフミラー9Aと、
複数個の光量検出器10とを備えている。光量検出器1
0は、ハーフミラー9Aを挟んで光源9と対向する位置
に設けられた入射光光量検出器10A(以下、入射光検
出器とする)と、それぞれの次数の反射回折光を検出で
きる位置にそれぞれ配置された反射回折光光量検出器1
0B0 ,10B1 ,10B2 (以下、反射光検出器とす
る)と、それぞれの次数の透過回折光を検出できる位置
に配置された透過回折光光量検出器10C0 ,10C1
,10C2 (以下、透過光検出器とする)とからな
る。このような光量検出器10は、検出した各次数の回
折光の光量に応じた検出信号をエッチング終了判定を行
うCPU11に出力する。また、前記対向電極4は、金
属製の穴あき電極(パンチングメタル)からなり、任意
の次数の透過回折光が丁度通過する位置に穴が配置され
ている。また、カソード2及び上部開閉蓋3には、入射
光、反射回折光が通過する透過窓2B及び透過回折光が
通過する透過窓3A,3B,3Cが形成されている。
【0021】このような実施例のエッチング装置は、以
下のように動作する。尚、試料12及びダミー13はガ
ラスであり、このガラス上に回路パターン12Aや回折
格子13Aからなるメタルマスクが形成され、このマス
クない領域のガラスがエッチングガスと反応することに
よってエッチングされるものとする。まず、試料12及
びダミー13をエッチング室1内のカソード2上に載置
し、上部開閉蓋3を閉めると、荒引き用真空ポンプ5A
で、エッチング室1内の大気や余分なガスを排気して、
さらに、高真空用真空ポンプ5Bで、エッチング室1の
側壁等から放出されるガス等を排気することにより、エ
ッチング室1を高真空度の空間にする。次に、ガス導入
系6から、エッチングの条件に合った所定のガス、例え
ば、ガス源1からのガスをエッチング室1内に供給し、
圧力制御系7で、エッチング室1内のガス圧力を制御
し、適圧になると、電圧供給系8は、高周波電圧を印加
する。この高周波電圧印加により、試料とガスとの反応
によるエッチングが開始される。
【0022】このようにしてエッチングが開始されてガ
ラスがエッチングされると、CPU11は、前記検出装
置からの複数の次数の回折光の測定値に基づいて、デュ
ーティ比を求め、このデューティ比を用いてエッチング
終了判定を行い、このエッチング終了判定により適当な
時に電圧供給系8からの電圧の印加を停止することによ
りエッチングを終了させる。以下に、検出装置での回折
光の検出及びCPU11でのエッチング終了判定を説明
する。
【0023】検出装置による回折光の光量検出は以下の
ように行う。光源9から射出した単色光は、ハーフミラ
ー9Aによって、2つの光束に分割される。ハーフミラ
ー9Aで反射された一方の光束は、透過窓2Bの外側か
らダミー13上に形成された回折格子13Aを照射す
る。また、ハーフミラー9Aを通過した他方の光束は、
入射光検出器10Aに入射する。したがって、入射光検
出器10Aは、前記他方の光の光量を検出することによ
り回折格子13Aに照射される入射光の光量を測定し、
測定値に基づいた検出信号をCPU11に出力する。
【0024】また、前記一方の光が回折格子13Aに照
射されると、回折光が生じる。この回折光は、複数の次
数の回折光からなり、所定の次数の回折光は、透過窓2
Bや3A、3B、3Cを介してそれぞれの回折光を検出
する光量検出器10B及び10Cに入射する。光量検出
器10B及び10Cは、この入射した回折光の光量を測
定し、測定値に基づいた検出信号をCPU11に出力す
る。
【0025】また、CPU11によるデーュティ比の算
出及びエッチング終了判定は以下のようにして行う。
尚、ガラス上に形成されているメタルマスクR1 の振幅
反射率は25%、ガラスR2 の振幅反射率は20%、メ
タルマスクの位相とびはθ=160°、ガラスの屈折率
はN=1.5、単色光の波長はλ=633nmとする。
また、試料に形成される回路パターンとダミーに形成さ
れる回折格子では、それぞれの線幅、線間隔が互いに等
しいものとする。
【0026】まず、CPU11によるデーュティ比の算
出は、前記検出器10からの検出信号のうち所定の組み
合わせの異なる次数の2つの回折光の測定値に基づいて
行う。このデューティ比は、数4に、前記所定の組み合
わせの2つの回折光の測定値Cm、Cnと、その2つの
回折光のそれぞれの次数m、nとを代入し、未知数a/
pについて展開することにより求める。尚、本実施例で
は、検出される光量が比較的大きな1次透過光及び2次
透過光を用いて求める。
【0027】今、1次透過光と2次透過光との比が、透
過光検出器10C1 ,10C2 によって|C1 |2 /|
C2 |2 =112.9と測定されたとする。2つの回折
光の次数はそれぞれm=1、n=2であるから、これら
を数4に代入すると、数5になる。
【0028】
【数5】
【0029】この数5では、未知数がa/pのみになる
ので、この未知数a/pについてまとめることにより、
デューティ比は、a/p=0.53と求まる。次に、C
PU11によるエッチング終了判定は、この求めたデュ
ーティ比a/p=0.53を用いて行う。このエッチン
グ終了判定は、この求めたデューティ比と前記検出装置
からの検出信号のうち他の所定の組み合わせの2つの回
折光の測定値を用いて行う溝深さdの算出と、算出され
た溝深さが所定の値となったか否かを判断するエッチン
グ判定とをいう。
【0030】溝深さdの算出は、次のようにして行う。
尚、本実施例では、溝深さdは、検出器10B0 、10
B1 からの検出信号である0次反射光及び1次反射光の
測定値を用いて求める。このエッチングの溝深さdの算
出は、前記2つの回折光の光強度比を示す式を導き、こ
の式に求めたデューティ比と所定の条件とを代入して行
う。尚、0次回折光の光振幅強度を示す式は数6で表せ
るから、前記2つの回折光の光強度比を示す式は数7に
なる。
【0031】
【数6】
【0032】
【数7】
【0033】今、0次反射光と1次反射光との比が、反
射光検出器10B0 ,10B1 によって|C0 |2 /|
C1 |2 =2.885と測定されたとする。ただし、0
次反射光検出器10B0 に入射した光の光量はハーフミ
ラー9Aにより半減しているので、この検出器10B0
からの検出信号の2倍した値を0次反射光の測定値とし
た。前記数7は、この測定値と求めたデューティ比a/
pと所定の条件(R1,R2 ,m,n)とを代入する
と、数8になる。
【0034】
【数8】
【0035】この数8からδ=4.58〔rad〕と求
まる。この未知数δは、位相差を表しており、この位相
差δの関係は、数9で表される。
【0036】
【数9】
【0037】この数9に、この求めた位相差δ及び所定
の条件(θ、N、λ)を代入すると、d=60×10-9
〔m〕と求まる。このdは、溝深さを表しており、した
がって、溝深さはd=60〔nm〕と求められる。CP
U11によるエッチング判定は、この求められた溝深さ
dが、目的とする所定の値に達したか否かで行う。
【0038】このように本実施例のエッチング装置は、
回路パターンが形成されたガラス12と回折格子が形成
されたガラス13とを同時にエッチングしながら前記回
折格子の異なる次数の回折光を測定し、この測定値に基
づいて、まず、デューティ比を求め、さらに、このデュ
ーティ比を用いて溝深さを求めることによりエッチング
終了判定を行っている。したがって、デューティ比に依
存した溝深さを正確に求めることができる。さらに、エ
ッチングの進行によってデューティ比が変化しても、そ
の変化するデューティ比を求めてからエッチング終了判
定を行っているため溝深さを正確に求めることができ
る。
【0039】また、本実施例のように、光源9や検出器
10を、エッチング室の外側、つまり、エッチング反応
が生じない場所に置くことによって、検出器自体がエッ
チングされることもなく、検出器の寿命をのばすことが
できる。検出器の寿命をのばすには、光源や検出器は、
少なくとも、試料より下側と対向電極より上側とに形成
することが望ましい。
【0040】また、対向電極に穴を形成する場合、この
穴の部分はエッチングムラになりやすく、穴を局部的に
大きく形成することは望ましくない。しかしながら、均
等な位置に穴が形成された電極(パンチングメタル)が
市販されており、これを用いることにより、穴は局部的
に集中しておらず、それほど、エッチングムラを気にす
る必要はない。ただし、このパンチングメタルを用いた
場合、穴の位置を通過する回折光しか検出することがで
きない。そのため、エッチング室の大きさやカソードと
対向電極までの距離等の制約により、回折光が通過する
位置に穴が配置できない等の場合が生じることが考えら
れる。この場合、例えば、ほぼ円形の対向電極におい
て、回折光を検出するために中心付近から周辺に向けて
細長い形状の穴を形成した対向電極を形成する。この細
長穴にそって回折光を通過させることにより、検出でき
る回折光が限定されることがなくなる。このような対向
電極を用いる場合、試料を載置する台(例えば、カソー
ド)を回転可能に形成し、その台を等速度で回転させる
ようにすれば、この細長い穴によるエッチングムラの影
響を均等にすることができ、エッチングムラによる影響
を除くことができる。
【0041】また、本実施例のように回折格子の下側か
ら単色光を照射すれば、回折光の測定値は、より正確な
値として扱うことができる。なぜなら、基板自体をエッ
チングする場合、まず、前記基板上の所定の部分に、例
えば、回路パターンを形成するためのマスクを形成す
る。エッチングは、このマスクの上から行われるため、
当然、マスクとガラスとの間を十分に大きなエッチング
レートに設定していたとしても、微小ながらもマスクや
このマスクの上面に形成されるレジスト等がエッチング
されてしまう。この微小にエッチングされることによ
り、回折光の反射される基準(マスク)の高さが変化す
ることになり、これによって、検出される回折光が誤差
を含むことになり、何らかの補正を必要とする。一方、
実施例のように下から単色光を照射すると、基準となる
面は、マスクの底面であり、多少マスク上面がエッチン
グされて変化してもなんらの影響を受けることがない。
【0042】また、前記実施例は、1次透過光、2次透
過光、1次反射光及び0次反射光の光量を測定し、これ
らの測定した値に基づいてエッチング終了判定を行った
が、これらの測定される光は上記例に限定されるもので
ない。例えば、デューティ比が求まった後に溝深さを求
める時に、2つの回折光のうち一方を入射光を用いて行
うこともできる。この場合、以下に説明するように、溝
深さの算出における位相差δがより簡単に求めることで
きる。
【0043】今、溝深さdを検出器10A、10B0 か
らの検出信号である入射光及び0次反射光を用いて求め
る。尚、入射光をC、0次反射光をC0 として、2つの
回折光の強度比を求める式を導くと、数10になる。
【0044】
【数10】
【0045】今、検出器10からの検出信号から、入射
光に対する0次反射光の比が、2.3%と測定されたと
すると、この溝深さの算出以前に求めたデューティ比
(ここでは前記値a/p=0.53を用いる)及び所定
の条件(R1 ,R2 )を代入すると、δ=4.58とな
る。次に、前記数9に、この求めたδと所定の条件
(θ、N、λ)とを代入し、未知数dについてまとめる
ことにより、dを求める。計算すると、溝深さは、d=
60〔nm〕と求まる。
【0046】このようにデューティ比の算出及び溝深さ
の算出に用いられる2つの回折光の組み合わせは、複数
の組み合わせがある。例えば、デューティ比a/pは、
入射光と透過回折光、または異なる次数の2つの透過回
折光とを用いて求めることもできる。このような組み合
わせは、デューティ比は表1、溝深さは表2に示すとお
りである。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】ただし、表1は、溝深さdが分からない場
合において、デューティ比a/pを求めることができる
場合のみ、○印を記入してあり、また、表2はすでにデ
ューティ比a/pが分かっている場合において、溝深さ
dを求めることができる場合に○印を記入してある。ま
た、実施例のエッチング装置では、上記したように4つ
の光の測定値を用いてエッチング終了判定を行ってい
る。しかしながら、本発明は、少なくとも、3つの回折
光があれば、デューティ比及び溝深さを測定することが
できる。例えば、デューティ比は1次透過光と2次透過
光とから求め、溝深さは、1次透過光と0次反射光とを
用いて求めることもできる。さらに、数10のようにC
PUにおける演算負担を軽くするためには、入射光と少
なくとも2つの次数の異なる回折光を測定する検出器で
測定し、デューティ比及び溝深さを求めることが望まし
い。また、回折光は、検出器にて検出することができる
かぎり、どの次数の回折光を用いてもよい。尚、表2の
次数の等しい透過光と反射光との組み合わせの場合、デ
ューティ比を求めることなしに溝深さを求めることがで
きる。これは、次数の同じ回折光であるからデューティ
比による影響が等しいためである。したがって、この場
合、溝深さの制御には、上記2つの回折光が検出できれ
ば、溝深さを求めることができる。
【0050】また、実施例は、回路パターンが形成され
たマスク12Aと回折格子13Aとの間で線幅、線間隔
は等しいものとして求めたが、マスクと回折格子との間
で線幅と線間隔とが微小に異なる場合、及び、試料とダ
ミーとにおいてその他の条件例えば、マスクの反射率が
異なるような場合にも、これらの差を予め測定してこれ
らの比を求め、条件として組み込むことによって、溝深
さを求めてもよい。さらに、各回折光の光振幅強度の計
算式は、偏光まで考慮したモード整合法を用いた計算式
等のような厳密な解析を行う計算式を用いてもよい。
【0051】尚、本実施例のエッチング装置は、RIE
を用いたが、当然のことながら、例えば、イオンエッチ
ング装置、スパッタエッチング装置、プラズマエッチン
グ装置などの他のドライエッチング装置に用いることも
できる。このようなドライエッチング装置では、電圧の
印加を停止すると、直ちに、エッチングが停止するた
め、溝深さdが目的とする所定の値に達した時、つま
り、最適なエッチング状態の時停止することにより、最
適な量だけエッチングすることができる。また、本発明
のエッチング装置は、ウエットエッチング装置にも用い
ることができる。ただし、ウエットエッチング装置の場
合、前記エッチング液から基板を取り出しても、基板に
付着したエッチング液によりエッチング反応が継続する
ため、付着したエッチング液を速やかに排除する手段を
必要とする。
【0052】ところで、この実施例のエッチング装置
は、溝深さを正確に制御できるだけでなく、溝深さに依
存することなく、デューティ比を求めることもできる。
この事を利用することにより、デューティ比のみを正確
に制御したいエッチングに用いることもできる。また、
これら2つの制御方法を用いれば、例えば、位相シフト
レチクルを製造することもできる。現在、位相シフトレ
チクルの製造方法は、例えば、特開平3−269531
号公報などに示されているように、色々考えられてい
る。しかしながら、それらの製造方法は、エッチングを
リアルタイムで且つ正確に制御することが必要であるた
ため、実現は難しかった。しかしながら、このエッチン
グ装置のようにリアルタイムでエッチングを制御できれ
ば、位相シフトレチクルの実質的な製造が可能となり、
したがって、歩留りも良くなる。
【0053】次に、このエッチング装置を用いた、位相
シフトレチクルの製造工程の一例を説明する。試料は、
ガラス基板20に、金属酸化膜21を形成し、その上に
フォトレジスト22を塗布して形成したものを用いる。
まず、図2の(a)に示すように、露光装置によるレジ
スト22の露光とその後の現像処理によって、レジスト
22には、マスクに転写する回路パターン(開口部22
a)が形成される。尚、この時の回路パターンは、実際
の寸法よりも線幅を幅広に形成しておく。次に、この現
像された試料は実施例のエッチング装置に載せられ、金
属酸化膜21に反応するガスを用いて異方性エッチング
される。このエッチングによって、図2(b)に示すよ
うに、金属酸化膜21に、レジスト22と同じパターン
(開口部21a)が形成される。この時、実施例のエッ
チング装置は、試料上の回路パターンと隣接した別の位
置に形成された回折格子から、金属酸化膜21のデュー
ティ比を測定しておく。
【0054】次に、エッチング装置において、ガスを、
ガラスに反応する別のガスに変更して、再び異方性エッ
チングを行う。この時、実施例のエッチング装置は、前
記求めた回折格子のデューティ比に基づいて、ガラスの
エッチングの深さを求め、ガラスの溝深さを制御する。
このエッチングによって、図2の(c)に示すように、
ガラス20にレジスト22と同じパターン(開口部20
a)が適当な深さに渡って形成される。
【0055】さらに、エッチング装置において、ガスを
金属酸化膜21に反応する別のガスに交換して、開口部
21aが形成された金属酸化膜21に対し、等方性エッ
チング(サイドエッチングともいう)を行う。この時、
金属酸化膜のデューティ比の変化を測定し、適当なデュ
ーティ比の時、エッチングを終了させる。この等方性エ
ッチングにより、図2(d)に示すように、金属酸化膜
21の露出部分21bが削られる。これにより金属酸化
膜21の線幅、つまり回路パターンの線幅を適正な線幅
にすると共に、位相シフター部23を形成する。最後
に、試料をエッチング装置から取出し、レジスト22を
剥離させる。
【0056】このようにして、このエッチング装置は、
位相シフター部23を備えた位相シフトレチクルを製造
することができる。この時、このエッチング装置は、異
なるエッチングを行う際に、それぞれのエッチングに合
わせて、デューティ比及び溝深さを制御しているため、
それぞれの層(マスクとガラス)のラインアンドスペー
ス、溝深さが精度よく制御でき、高精度の位相シフトレ
チクルを作ることができる。
【0057】また、本実施例のエッチング装置は、回折
格子のエッチング状態を測定することによって、パター
ンのエッチング状態を観察したが、前記回折格子の代わ
りに厚さによって光の透過率が変化するような透過膜を
基板上に形成し、この膜のエッチング状態を測定するこ
とにより、この透過膜の厚さを制御することもできる。
この場合、検出器としては、本実施例の検出器10Aと
10B0 、10C0 とがあればよい。したがって、フィ
ルターなどの光学部材に形成される膜の作成にも応用す
ることもできる。
【0058】
【発明の効果】本発明は、エッチングしながら、基板
(試料もしくはダミー)に形成された回折格子に単色光
を照射し、単色光を照射することによって生じる回折光
を検出手段で検出し、この検出した回折光の信号に基づ
いて、まず回折格子のデューティ比を求め、次に溝深さ
を求めることによって、エッチング終了判定を行うもの
である。
【0059】このため、回折格子のデューティ比が所定
の値からばらつきを持って形成されていたり、エッチン
グによる変化によってばらつきが生じたりしても、溝深
さを正確に求めることができ、これらのばらつきによっ
て、エッチング終了判定に誤差がでることもない。した
がって、本発明のエッチング装置は、最適なエッチング
を行うに適当なエッチングの終了判定を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の構成を示す図である。
【図2】 レチクル製造工程におけるエッチング工程を
説明する図である。
【図3】 光強度の式を説明するための図である。
【符号の説明】
1…エッチング室 9…光源 10A,10Bn ,10Cn (n=0,1,2)…検出器 11…エッチング終了判定手段(CPU) 12…試料 12A…パターン 13…終了判定用ダミー 13A…回折格子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板を載置し、前記基板をエッチングする
    エッチング室と、 前記基板上に形成された回折格子に向けて単色光を照射
    する光源と、 前記回折格子に前記単色光を照射することによって生じ
    る複数の回折光を検出する検出手段と、 前記検出手段からの検出信号に基づいてエッチングの終
    了判定を行うエッチング終了判定手段とを有するエッチ
    ング装置において、 前記エッチング終了判定手段は、前記検出手段からの所
    定の組み合わせの2つの検出信号から、前記回折格子の
    ピッチに対する前記回折格子の幅のデューティ比を演算
    し、この求めたデューティ比を用いてエッチング終了判
    定を行うことを特徴とするエッチング装置。
  2. 【請求項2】前記エッチング終了判定手段は、前記デュ
    ーティ比を求めた後、前記求めたデューティ比と前記検
    出手段で検出した他の所定の組み合わせの2つの検出信
    号とに基づいて、エッチングの溝深さを求め、この溝深
    さが所定の値の時に、エッチングを終了させるエッチン
    グ終了判定を行うことを特徴とする請求項1記載のエッ
    チング装置。
  3. 【請求項3】前記検出手段は、さらに、前記回折格子に
    照射する単色光を測定することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のエッチング装置。
  4. 【請求項4】前記基板は、透明部材からなり、 前記光源は、前記基板の上面に形成された回折格子に対
    して前記基板の下側から単色光を照射することを特徴と
    する請求項1記載のエッチング装置。
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