JPH0527784A - 音響カツプラー、及び音響レンズ - Google Patents

音響カツプラー、及び音響レンズ

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JPH0527784A
JPH0527784A JP18238591A JP18238591A JPH0527784A JP H0527784 A JPH0527784 A JP H0527784A JP 18238591 A JP18238591 A JP 18238591A JP 18238591 A JP18238591 A JP 18238591A JP H0527784 A JPH0527784 A JP H0527784A
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JP
Japan
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acoustic
medium
gel
lens
coupler
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JP18238591A
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English (en)
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Yoshinori Tomita
佳紀 富田
Satoshi Yuasa
聡 湯浅
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 音響伝達効率の高いカップラー、及びレンズ
を得る。 【構成】 ヒドロゲルからなる音響カップラー4の音響
インピーダンスを第1の媒体1の音響インピーダンスZ
1 から第2の媒体2の音響インピーダンスZ2 まで連続
的に変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は音波(超音波を含む。以
下、同様)を伝搬する音響カップラー、及び音波を屈
折、収束、分散させる音響レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、音波の音源と測定対象物等の被伝
搬体の間に介装し、音源から被伝搬体へ音波を搬送する
音響カップラーは、一般には水やグリセリン等の液体を
用いてきた。液体の流動性が好ましくない場合には、ゼ
リーのような粘凋な媒体を用いてきた。これらの音響カ
ップラーは空気等の気体よりも(超)音波を良く伝搬
し、且つ測定対象物等の被伝搬体の形状に合わせて変形
することが必要条件である。しかし、固有音響インピー
ダンスは音源、音響カップラー、被伝搬体でまちまちな
値である。このため、それらの界面で伝搬する音波の一
部が反射され、音響伝搬効率が悪かった。図2はこの音
響反射率を説明するものである。図中1は媒体1で比較
的高い音響インピーダンスを有するもの、例えば音源に
用いられる金属電極等、2は比較的低音響インピーダン
スを有するもの、例えば液体や人体等である。3は1と
2を音響的に接続する音響カップラーで、これがレンズ
形状をしていると音響レンズとなる。
【0003】例えば、医療用超音波エコー診断装置の表
面はプラスチックや金属でできている。この場合の被伝
搬体である人体は柔らかく、音響インピーダンスは診断
装置より小さい。診断時には人体表面に水、グリセリ
ン、ゼリー等を塗布し、診断装置と人体の空間を埋める
ことで、超音波を伝搬していた。このゼリー等の音響イ
ンピーダンスは人体のそれに近いので、人体とゼリー等
との界面での超音波の反射は少ない。しかし、診断装置
とゼリーとの界面では音響インピーダンスの差が大き
く、このため反射による音響の伝搬ロスが大きかった。
【0004】また、平面型トランスデューサから発せら
れた音波を収束させる目的でアクリル等の材質からなる
音響レンズをトランスデューサの前面に設置して用いる
ことがある。このような場合にもトランスデューサとレ
ンズ、レンズと液体等の音波伝搬媒質との間で音響イン
ピーダンスのミスマッチによる減衰があった。即ち、従
来の音響レンズはアクリル樹脂をレンズ形状に成形し、
ハイドロフォンや超音波トランスデューサの前に置き、
音波や超音波を屈折・収束させる目的で用いられてき
た。
【0005】この音響レンズの作製方法として、アクリ
ル樹脂から削りだす方法では成形に手間がかかり、また
寸法の再現性に乏しいなど、価格・性能とも満足するも
のではなかった。また、型にはめる方法では、アクリル
モノマーの重合に伴う体積変化によって型どうりの寸法
にはならないという問題があった。
【0006】加えて、従来の音響レンズは固定焦点であ
るので、合焦させるためには音源被伝搬体を移動させる
ことが必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、従来の
音響カップラーは、例えば診断装置に用いる場合には、
主に水やゼリー等あるいはアクリル等のプラスチックを
用いていたが、人体や診断装置との音響インピーダンス
のマッチングが悪く、その界面での減衰は避けられなか
った。
【0008】従って、本発明の目的は人体と診断装置と
の界面等の音響インピーダンスの異なる媒体間の音響イ
ンピーダンスのマッチングがよく、両者間で音響インピ
ーダンスを連続的に変化させ、且つ(超)音波の良伝搬
体である音響カップラーを提供することにある。
【0009】また、上記したごとく、従来の音響レンズ
は精度が悪かったり、価格が高いという問題があった。
【0010】更に、固定焦点であるので、合焦のために
音源あるいは対象物を焦点位置へ移動させる必要があっ
た。そのために、移動用ステージを用意し、これを高精
度で移動しなければならず、またステージを設置する空
間も必要で装置の小型化を妨げていた。
【0011】さらには、固有音響インピーダンスは音
源、音響レンズ、被伝搬体でまちまちな値であり、その
界面で反射されるので音響伝搬効率が悪かった。
【0012】音源は一般には金属でできている。一方の
被伝搬体は一般には水などの液体である。音響レンズは
前述したようにアクリルなどのプラスチックでできてい
て、音源と音響レンズ、音響レンズと液体との界面で音
響インピーダンスのミスマッチによる減衰があった。
【0013】従って、本発明の他の目的は上記従来例の
問題点を解決し、廉価で高精度な、しかも可動焦点とす
ることにより装置全体を小型化し得る音響レンズを提供
することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、第1の媒体と第2の媒体との間に介装さ
れ、前記両媒体間に音響を伝達する音響カップラーの音
響インピーダンスを前記両媒体の固有音響インピーダン
スの範囲内で両媒体を結ぶ方向に沿って段階的、又は連
続的に変化させるもので、音響カップラーが外乱強度に
応じて音響インピーダンスを変化させる高分子ゲルから
なること、外乱強度が高分子ゲル内で分布を持つこと、
音響インピーダンスの変化が可逆的であること、外乱が
熱・水素イオン・水酸イオン・無機化合物・有機化合物
・電圧・電流のいずれかあるいは複数であること、高分
子ゲルが外乱強度に応じて比重変化、高分子濃度変化又
は高分子密度変化を起こすものであること、高分子ゲル
が外乱強度に応じて相転移を起こすものであること、音
波の中心周波数が1キロヘルツから10ギガヘルツであ
ることを含む。
【0015】また、本発明は、第1の媒体と第2の媒体
との間に介装され、両媒体間に音響を伝達する音響レン
ズが外乱に応じて音響特性を可逆的に変化させる高分子
ゲルからなるもので、更に、第1の媒体と第2の媒体と
の間に介装され両媒体間に音響を伝達する音響レンズの
音響インピーダンスが前記両媒体の固有インピーダンス
の範囲内で両媒体を結ぶ方向に沿って段階的又は連続的
に変化してなるもので、外乱が熱・水素イオン・水酸イ
オン・無機化合物・有機化合物・電圧・電流のいずれか
あるいは複数であること、ゲルが外乱に応じて比重変
化、高分子濃度変化又は高分子密度変化を起こすもので
あること、ゲルが外乱に応じて相転移を起こすものであ
ること、音響の中心周波数が1キロヘルツから10ギガ
ヘルツであることを含む。
【0016】以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明に係る音響カップラー、及び音響レ
ンズはゲルを用いて構成する。
【0018】図1は本発明に係る音響カップラーを示す
もので、図中1は媒体1で比較的高い音響インピーダン
スを有するもの、例えば音源に用いられる金属電極等、
2は媒体2で、比較的低音響インピーダンスを有するも
の、例えば液体や人体等である。3は媒体1,2の間に
介装した音響カップラーで、その音響インピーダンスZ
C は媒体1から媒体2の方向に沿って連続的又は段階的
にZ1 からZ2 へと変化している。
【0019】このような構造を形成するゲルは一般には
架橋高分子と水とからなるハイドロゲルが用いられる。
その他エチルアルコールなどの有機溶媒を含む非ハイド
ロゲルを用いてもよい(以下総じてゲル)。
【0020】ハイドロゲルとしては、ポリN−イソプロ
ピルアクリルアミドをメチレンビスアクリルアミドで架
橋したものがあるが、これ以外にもポリアクリル酸を、
メチレンビスアクリルアミドで架橋したゲル、ポリビニ
ルアルコールを凍結融解を繰り返して架橋させたゲル、
多糖類ゲル等が好ましい。
【0021】非ハイドロゲルとしては、ポリスチレンを
ジビニルベンゼンで架橋させ、ベンゼンで膨潤させたゲ
ル等が好ましい。
【0022】本発明に要求されるゲルの性質は熱・水素
イオン・水酸イオン・無機化合物・有機化合物・電圧・
電流などの外乱によって音響インピーダンスが連続的に
変化することである。
【0023】上記ゲルは塩濃度や温度に応じて相転移を
おこし収縮する。これによりゲル内の音響インピーダン
スを連続的に変化させるものである。このときゲル内か
らゲル外へ水等が排除され、結果としてゲル内の高分子
濃度・高分子密度が高くなる。しかも塩濃度や温度の条
件によっては高分子濃度・高分子密度はゲル内で不均一
となる。例えば前記ゲルを100g/l以上の濃度の塩
化ナトリウム水溶液に常温・常圧で浸漬するとその表面
はすばやく収縮して高分子濃度・密度は高くなるが、そ
の内部は長時間にわたって膨潤状態のまま、すなわち低
高分子濃度・密度のままである。
【0024】このような不均一なゲル内の高分子濃度・
密度は収縮の過程でおこる非平衡状態であるが、高分子
との相互作用によってゲル内における塩や水の拡散が遅
いこと及び収縮層は物質透過を抑制して拡散がさらに遅
くなることによりこのような非平衡状態が長時間保たれ
る。
【0025】外乱のうち、熱を用いる場合にはゲルを加
熱することにより、ゲルの相転移を起こさせるものであ
るが、温度としてはポリN−イソプロピルアクリルアミ
ドを例にとるならば35〜60℃が好ましい。
【0026】外乱に水素イオン・水酸イオンを用いる場
合には、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸が好ま
しい。
【0027】アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム等の強アルカリが好ましい。
【0028】これらを一般には1〜0.01規定溶液と
して用いる。
【0029】無機化合物としては塩化ナトリウム、塩化
カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができ、これ
らを1〜10%水溶液として用いるものである。
【0030】有機化合物としてはアセトン、エチルアル
コール、メチルアルコール等の液体、あるいはショ糖、
尿素、酢酸ナトリウム等があり、これらを直接又は1〜
10%水溶液として用いる。
【0031】更に、電圧としては1V〜100VのD
C、もしくはACが、電流としては0.01A〜1Aが
好ましい。
【0032】本発明においては、上記外乱を用いてゲル
中に高分子濃度・密度の連続的、又は段階的な分布を形
成し、これを音響カップラーとして利用することを特徴
とする。具体例として超音波トランスデューサ等の音源
側にゲルの収縮した部分を接触させ、人体などの被伝搬
体側に膨潤している部分を接触させる。音源は一般には
金属やプラスチック等の比較的硬いものでできているの
で、音響インピーダンスは一般に大きな値である。一
方、ゲルの収縮部分も高分子密度が高く、音速も膨潤状
態より速いので音響インピーダンスは音源の材質に近い
値となり、音響的なマッチングがよい。他方、膨潤して
いる部分は水や人体(人体は水分を多く含むことはよく
知られている。)と接触させるが、これらは膨潤状態の
ゲルに音響的な性質が似ているのでやはりマッチングが
よい。超音波をはじめとする音波・振動は音響インピー
ダンスの不連続な部分で反射減衰されやすい。よって本
発明はゲルが収縮層から膨潤層へと連続的、又は段階的
な音響インピーダンスを持って、その状態が、例えば検
診時間等の実際の使用に際して必要とされる時間に対し
て十分長時間維持されることを利用して高効率な音響カ
ップラーを提供することを可能とするものである。
【0033】また、ゲルの外形をレンズ状とすることで
音波を高効率で屈折・収束させることができる。即ち、
この場合には伝搬効率向上のために、ゲル中に高分子濃
度・密度の連続的、又は段階的な分布を形成させて音響
インピーダンスのマッチングを図ると共に、屈折・収束
のためにレンズ形状を形成して音響レンズとするもので
ある。このような音響レンズの例を図7,8に示した。
【0034】レンズ形状を形成する方法としては、レン
ズ状の型枠中でモノマーを重合させる方法がある。この
型枠の材質としては、ガラス、アクリル、テフロン、粘
土、金属などがある。離型剤としてシリコーンオイルや
長鎖脂肪酸などを用いてもよい。型枠を用いないレンズ
形状作成方法として、ヘキサンや四塩化炭素などのモノ
マー溶液と混合しない溶媒の上にモノマー溶液を展開
し、表面張力や重力で自然にレンズ形状を形成させ、そ
の状態で重合させる方法もある(特開昭63−2052
20)。更には、ブロック状のゲルを作成し、切削して
レンズ状にすることもできるが、この方法では面精度が
悪いレンズしか得られない。
【0035】本発明の音響レンズは例えば医療用・魚群
探知機・探傷装置用として有効である。
【0036】前述したように、音波は一般に水中で用い
られることが多く、固体である音源と液体である被伝搬
体とでは音響インピーダンスに大きな違いがありその界
面での減衰があった。本発明の音響カップラーは膨潤ゲ
ルが液体状の性質を有し、収縮ゲルが固体状の性質であ
り、しかも膨潤ゲルから収縮ゲルへと部分的且つ連続的
に性質を変化させ得る。よって音源と被伝搬体とを本発
明の音響カップラーを介して間接的に接続することによ
り、減衰のほとんど認められない高効率な音波の伝搬が
可能となる。
【0037】同様に、音源と被伝搬体とを本発明の音響
レンズを介して間接的に接続することにより、減衰が少
なく屈折率の高い高効率な音響レンズとなる。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0039】(実施例1)N−イソプロピルアクリルア
ミド0.5g、N,N´−メチレンビスアクリルアミド
13.3mg、アクリル酸ナトリウム7.5mg、N,
N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン6μg
を純水10mlに溶解し、窒素で1時間以上バブリング
して溶存する空気を置換した。φ10mmの試験管内に
移し、氷冷しながら1mgの過硫酸アンモニウムを加
え、1時間静置して重合させ円柱状のハイドロゲルを得
た。このゲルを試験管から取り出し、図3に示すよう
に、高分子ゲル5であるハイドロゲルの一端を120g
/lの塩化ナトリウム水溶液6に30分間接触して収縮
させた。
【0040】このゲルは収縮に伴い白濁するのでこれを
目安とすることができる。
【0041】白濁は塩化ナトリウムに接触した端が最も
白く、多端へと連続的に白濁が薄くなり、途中からは無
色透明な膨潤ゲルとなっていた。この収縮端に30MH
zの超音波トランスデューサを密着させ音響カップラー
とし、膨潤端は空中に置いた。
【0042】比較実験として両端とも膨潤したゲルを用
いて、同様の配置をした。超音波トランスデューサから
パルス発振された超音波は密着された部分からゲルに伝
搬し、他端の空気との界面でほぼ全反射されて同じ経路
をたどって超音波トランデューサに戻る。このときトラ
ンスデューサは発信/受信装置として使われ、受信され
た反射信号強度が電圧値として求められる。
【0043】比較実験と比較したところ、約4倍の電圧
が得られた(エネルギーとしては16倍になる)。これ
は+12dBである。すなわち、本発明の音響カップラ
ーを用いれば従来の水やゼリーを用いた場合(両端膨潤
ゲルがこれに相当する)に比較して超音波トランスデュ
ーサとゲル界面での減衰が半分となり、往復で4倍の効
率となる。
【0044】また、この音響カップラーの特性はおよそ
1日間保持された。ゲルは可逆的で、繰り返し塩化ナト
リウム水溶液で収縮させて、音響カップラーとして用い
ることができた。
【0045】(実施例2)10cm×3cm×1cmの
立方体の枠内で実施例1と同一組成のハイドロゲルを重
合し、10cm×3cmの面を100g/lの塩化カリ
ウム水溶液に1時間接触させて立方体の音響カップラー
を得た。
【0046】この面を医療用の位相走査型超音波トラン
スデューサに密着させてマウスを試料としてエコー像を
観察したところ、従来より高感度・高解像度の画像を得
た。人体などの皮膚に接触する場合でも塩化カリウムは
無害であり医療上の障害はない。アクリルアミド系のモ
ノマーは神経毒があるといわれているが、未反応のモノ
マーは十分な水洗によって除去可能である。人体用とす
る場合には収縮させる前に水洗を約1週間以上すること
が望ましい。
【0047】(実施例3)実施例1で用いた超音波トラ
ンスデューサの先端部で且つ超音波の発信/受信を妨げ
ない位置に微小な電気ヒータを設置した。一方、N−イ
ソプロピルアクリルアミド0.5g、N、N´−メチレ
ンビスアクリルアミド13.3mg、N,N,N´,N
´−テトラメチルエチレンジアミン6μgを純水10m
lに溶解し、窒素で1時間以上バブリングして溶存する
空気を置換した。
【0048】前記トランスデューサの先端部をφ10m
mの試験管内に移し、氷冷しながら1mgの過硫酸アン
モニウムを加え、1時間静置して重合させ円柱状のハイ
ドロゲルを得た。
【0049】この円柱状のハイドロゲルは超音波トラン
スデューサの先端を包むように形成された。電気ヒータ
に電流を流してトランスデューサに接する部分のゲルの
温度を約40℃としたところ、ゲルが白濁して相転移が
起きていることが確認された。この状態で実施例1と同
様の比較実験をしたところ、膨潤ゲルと比較して約3倍
から4倍の効率が得られた。なお、トランスデューサと
接する部分の温度は40℃であるが、この程度の温度変
化では本実施例のトランスデューサはもちろん、一般の
トランスデユーサの特性は変化しない。
【0050】図4は本実施例に用いるトランスデューサ
と異なるトランスデューサの構造を示している。この場
合にはトランスデューサ8に形成した電極部9の周囲に
電気ヒーター10が設けられており、電極部9上に配置
されたレンズ状の音響カップラー7は前記ヒーター10
により加熱され、これにより音響インピーダンスを変化
させるものである。なお、本図においては、説明の都合
上カップラー7と電極9とを分離した状態で表示してい
る。
【0051】(実施例4)アクリルアミド0.5g、
N,N´−メチレンビスアクリルアミド13.3mg、
アクリル酸ナトリウム7.5mg、N,N,N´,N´
−テトラメチルエチレンジアミン6μgを純水10ml
に溶解し、窒素で1時間以上バブリングして溶存する空
気を置換した。
【0052】φ10mmの試験管内に移し、氷冷しなが
ら1mgの過硫酸アンモニウムを加え、1時間静置して
重合させ、円柱状のハイドロゲルを得た。
【0053】このゲルを試験管から取り出し、5%塩酸
水溶液に一端を接触・収縮させ音響カップラーとした。
実施例1と同様の比較実験から、約4倍の高効率の結果
を得た。
【0054】(実施例5)実施例1で用いた組成のゲル
を片レンズ形状にした。この平面部の表面を120g/
lの食塩水に30分間接触し、収縮させた。図4に示し
た周波数30MHzのトランスデューサの先端部に平面
部を接着し、音響レンズとした。水中でのビーム径10
0μmの収束型トランスデューサを得た。同一形状のア
クリル製音響レンズと比較して、出力はおよそ2倍であ
った。(+6dB)。
【0055】(実施例6)N−イソプロピルアクリルア
ミド0.5g,N,N´−メチレンビスアクリルアミド
13.3mg,アクリル酸ナトリウム7.5mg,N,
N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン6μg
を純水10mlに溶解し、窒素で1時間以上バブリング
して溶存する空気を置換した。続いてn−ヘキサン0.
5mlを水溶液上にゆっくり滴下し、レンズ状とした。
このままアルゴン雰囲気下、常温で1時間放置しアクリ
ルアミドを重合させた後、更にn−ヘキサンを蒸発させ
たところ、上側の表面のほぼ中央に、レンズ状の凹部
(曲率半径10mm)を有するレンズ型が得られた。
【0056】この高分子ゲル5を取り出し、平面状にな
っている一端を120g/lの塩化ナトリウム水溶液6
に30分間接触して収縮させた。(図5)このゲルは収
縮に伴い白濁するのでこれを目安とすることができる。
【0057】白濁は塩化ナトリウムに接触した端が最も
白く、他端へと連続的に白濁が薄くなり、途中からは無
色透明な膨潤ゲルとなっていた。この収縮端に30MH
zの平面型超音波トランスデューサを密着させ音響レン
ズとし、膨潤端は空中に置いた。
【0058】比較実験の1としてアクリル製のレンズを
用いた従来の音響レンズを用意した。
【0059】比較実験の2として両端とも膨潤したゲル
を用いて同様の配置をした。超音波トランスデューサか
らパルス発振された超音波は密着された部分からゲルに
伝搬し、他端の空気との界面でほぼ全反射されて同じ経
路をたどって超音波トランスデューサに戻る。
【0060】このときトランスデューサは発信/受信装
置として使われ、受信された反射信号強度の電圧値を用
いて伝搬効率が求められる。
【0061】比較実験の3としてゲルのレンズ状部分を
切断し、円柱状のゲルを得て、この一端を上記塩化ナト
リウム水溶液中で収縮させ上記と同一性能のトランスデ
ューサをこの端部に密着させた。
【0062】比較実験の1と比較したところ、約4倍の
電圧が得られた(エネルギーとしては16倍になる)。
【0063】すなわち、本発明の音響レンズを用いれば
従来のアクリルレンズに比較して超音波トランスデュー
サと音響レンズの界面での滅衰が半分となり、往復で4
倍の効率となった。(+12dB)比較実験の2では本
発明の音響レンズにたいして約1/3の効率であった。
この比較実験から超音波トランスデューサと膨潤ゲル界
面で音響インピーダンスに大きな差があり、この界面で
音波が反射されて減衰していることが分かった。本発明
の音響レンズでは、トランスデューサと接する部分のゲ
ルが収縮していて、音響インピーダンスのマッチングが
良くなっている。
【0064】比較実験の3では水中での音波の分布測定
から超音波は収束・拡散せず、レンズとして作用してい
ないことが分かった。また本実施例の音響レンズは水中
焦点距離10cm、焦点でのスポット径300μmであ
った。
【0065】また、この音響レンズの特性はおよそ1日
間保持された。音響特性は可逆的で繰り返し塩化ナトリ
ウム水溶液で収縮させて、音響レンズとして用いること
ができた。
【0066】(実施例7)図6に示すように、下面がR
=40cmの放物面を有するハイドロゲルのレンズを実
施例6に示す組成と同じ組成で製造した。
【0067】10cm×3cmの平面を100g/lの
塩化カリウム水溶液に1時間接触させた。
【0068】この面を医療用の位相走査型超音波トラン
スデューサに密着させてマウスを試料としてエコー像を
観察したところ、従来より高感度・高解像度・かつ広範
囲の画像を得た。人体などの皮膚に接触する場合でも塩
化カリウムは無害であり医療上の障害はない。アクリル
アミド系のモノマーは神経毒があるといわれているが、
未反応のモノマーは十分な水洗によって除去可能であ
り、人体用とする場合には収縮させる前に約1週間以上
の水洗をすることが望ましい。
【0069】(実施例8)実施例6で用いた超音波トラ
ンスデューサの先端部で且つ超音波の発信/受信を妨げ
ない位置に微小な電気ヒータを設置した。
【0070】N−イソプロピルアクリルアミド0.5
g、N,N´−メチレンビスアクリルアミド13.3m
g,N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミ
ン6μmを純水10mlに溶解し、窒素で1時間以上バ
ブリングして溶存する空気を置換した。
【0071】実施例6と同様にして凹レンズ状のハイド
ロゲルを得た。
【0072】このゲルを取り出し、ハイドロゲルを超音
波トランスデューサの先端を包むような形で形成した。
電気ヒータに電流を流してトランスデューサに接する部
分のゲルの温度を約40℃としたところ、ゲルが白濁し
て相転移が起きていることが確認された。この状態で実
施例6と同様の比較実験をしたところ、約3倍から4倍
の効率が得られた。
【0073】なお、温度分布による音波の屈折は小さく
無視できる。
【0074】(実施例9)アクリルアミド0.5g,
N,N´−メチレンビスアクリルアミド13.3mg,
アクリル酸ナトリウム7.5mg、N,N,´,N´−
テトラメチルエチレンジアミン6μgを純水10mlに
溶解し、窒素で1時間以上バブリングして溶存する空気
を置換した。
【0075】100mlの四塩化炭素を直径40mmの
ガラスシャーレに入れ、この上に静かに上記モノマー水
溶液を展開してレンズ状とした。氷冷しながら1mgの
過硫酸アンモニウムを加え、1時間静置して重合させレ
ンズ状のハイドロゲルを得た。
【0076】このゲルを取り出し、5%塩酸水溶液に一
端を接触・収縮させ音響カップラーとした。
【0077】実施例6と同様の比較実験から、本発明品
は約4倍高効率であった。
【0078】
【発明の効果】本発明に係る音響カップラー及びレンズ
は第1の媒体と第2の媒体とを音響的に接続し、しかも
これらの内部で連続的に、又は段階的に音響インピーダ
ンスを変化させることにより、音響インピーダンスのマ
ッチングをとることができるので、媒体とカップラー又
はレンズとの界面での音響の減衰が少なく、従って高い
音響の伝搬効率が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る音響カップラーの一例を示す側面
図である。
【図2】音響反射率の説明図である。
【図3】本発明に係る音響カップラーの製造工程の一例
を示す説明図である。
【図4】本発明に係る音響レンズの使用例を示す説明図
である。
【図5】本発明に係る音響レンズの製造工程の一例を示
す説明図である。
【図6】本発明に係る音響レンズの形状の一例を示す斜
視図である。
【図7】本発明に係る音響レンズの一例を示す側面図で
ある。
【図8】本発明に係る音響レンズの一例を示す側面図で
ある。
【符号の説明】
1 第1の媒体 2 第2の媒体 3 音響カップラー 4 音響カップラー 5 高分子ゲル 6 塩化ナトリウム水溶液 7 音響レンズ 8 超音波トランスデューサ 9 電極部 10 電気ヒーター

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の媒体と第2の媒体との間に介装さ
    れ、前記両媒体間に音響を伝達する音響カップラーの音
    響インピーダンスが前記両媒体の固有音響インピーダン
    スの範囲内で前記両媒体を結ぶ方向に沿って段階的に変
    化してなる音響カップラー。
  2. 【請求項2】 第1の媒体と第2の媒体との間に介装さ
    れ、前記両媒体間に音響を伝達する音響カップラーの音
    響インピーダンスが前記両媒体の固有音響インピーダン
    スの範囲内で両媒体を結ぶ方向に沿って連続的に変化し
    てなる音響カップラー。
  3. 【請求項3】 音響カップラーが外乱強度に応じて音響
    インピーダンスを変化させる高分子ゲルからなる請求項
    1又は2記載の音響カップラー。
  4. 【請求項4】 外乱強度が高分子ゲル内で分布を持つ請
    求項3記載の音響カップラー。
  5. 【請求項5】 音響インピーダンスの変化が可逆的であ
    る請求項3記載の音響カップラー。
  6. 【請求項6】 外乱が熱・水素イオン・水酸イオン・無
    機化合物・有機化合物・電圧・電流のいずれかあるいは
    複数である請求項3乃至5いずれか記載の音響カップラ
    ー。
  7. 【請求項7】 高分子ゲルが外乱強度に応じて比重変
    化、高分子濃度変化又は高分子密度変化を起こす請求項
    3記載の音響カップラー。
  8. 【請求項8】 高分子ゲルが外乱強度に応じて相転移を
    起こす請求項3に記載の音響カッブラー。
  9. 【請求項9】 音響の中心周波数が1キロヘルツから1
    0ギガヘルツである請求項1乃至8いずれか記載の音響
    カップラー。
  10. 【請求項10】 第1の媒体と第2の媒体との間に介装
    され、前記両媒体間に音響を伝達する音響レンズが外乱
    に応じて音響特性を可逆的に変化させる高分子ゲルから
    なる音響レンズ。
  11. 【請求項11】 第1の媒体と第2の媒体との間に介装
    され、前記両媒体間に音響を伝達する音響レンズの音響
    インピーダンスが前記両媒体の固有インピーダンスの範
    囲内で両媒体を結ぶ方向に沿って段階的に変化してなる
    音響レンズ。
  12. 【請求項12】 第1の媒体と第2の媒体との間に介装
    され、前記両媒体間に音響を伝達する音響レンズの音響
    インピーダンスが前記両媒体の固有インピーダンスの範
    囲内で両媒体を結ぶ方向に沿って連続的に変化してなる
    音響レンズ。
  13. 【請求項13】 外乱が熱・水素イオン・水酸イオン・
    無機化合物・有機化合物・電圧・電流のいずれかあるい
    は複数である請求項10記載の音響レンズ。
  14. 【請求項14】 ゲルが外乱に応じて比重変化、高分子
    濃度変化又は高分子密度変化を起こす請求項10乃至1
    2いずれか記載の音響レンズ。
  15. 【請求項15】 ゲルが外乱に応じて相転移を起こす請
    求項10乃至12いずれか記載の音響レンズ。
  16. 【請求項16】 音波の中心周波数が1キロヘルツから
    10ギガヘルツである請求項10乃至12いずれか記載
    の音響レンズ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20140060960A1 (en) * 2011-05-02 2014-03-06 University Of North Texas Tunable polymer-based sonic structures
JP2014210203A (ja) * 2007-05-07 2014-11-13 ガイデッド セラピー システムズ, エル.エル.シー. カプラ部材を使用して音響エネルギーを結合し、かつ焦点に集めるための方法およびシステム

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