JPH05273963A - 弦楽器 - Google Patents

弦楽器

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JPH05273963A
JPH05273963A JP4066922A JP6692292A JPH05273963A JP H05273963 A JPH05273963 A JP H05273963A JP 4066922 A JP4066922 A JP 4066922A JP 6692292 A JP6692292 A JP 6692292A JP H05273963 A JPH05273963 A JP H05273963A
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    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10DSTRINGED MUSICAL INSTRUMENTS; WIND MUSICAL INSTRUMENTS; ACCORDIONS OR CONCERTINAS; PERCUSSION MUSICAL INSTRUMENTS; AEOLIAN HARPS; SINGING-FLAME MUSICAL INSTRUMENTS; MUSICAL INSTRUMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10D3/00Details of, or accessories for, stringed musical instruments, e.g. slide-bars
    • G10D3/02Resonating means, horns or diaphragms

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低音域から高音域まで、安定した音量の音を
出すようにする。 【構成】 弦6の基本振動が胴2の表板9の基本振動と
同じ周波数となった際の表板9の振動姿態を測定し、こ
の振動姿態において表板9上に現れた2本の節線に沿っ
て表板9の裏面に所定長さのスティフナー20、22を2本
設けることで、低音域ではスティフナー20、22の影響が
なく、高音域ではスティフナー20、22により振動姿態が
変化して、音が良く出るようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低音域及び高音域にお
いても安定した音量を出すことの出来るバイオリン、ヴ
ィオラ、チェロ等の弦楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の弦楽器、例えば、バイオリンの基
本構造は以下のとおりである。すなわち、バイオリン1
aは、図15に示すように、ひょうたん形をした胴2に棹
3が取り付けられ、この棹3に取り付けられた糸巻4と
胴2に取り付けられた緒止板5との間に4本の弦6が張
られ、これらの弦6は胴2の中間に取り付けられた駒7
により支持されてなり、これらの弦6を弓8により滑ら
せて発音させるものである。そして、バイオリン1aの
胴2は、図16に示すように、表板9と裏板10と、これら
を連結する側板11とからなり、表板9の裏面には弦6の
張力によってかかる圧縮荷重に対してバックリングを起
こさせないための補強材として力木12が張り付けられ、
更に表板9と裏板10との間に魂柱13が立っており、その
魂柱13のほぼ上に前述の駒7がのっている。
【0003】上述のようなバイオリン1aの基本的な構
造は、講演会場が中世における個人のホールから大衆的
なコンサートホールへ移り変わるにつれて、音を強大に
することが要求され、結果として標準音の振動数(調
子)が年代と共に増してきたので、必然的に弦6の張力
が大きくなり、補強材として力木12を設けるようになっ
たこと以外、アントニオ・ストラディヴァリ(Antonio
Stradivarius) の時代から約300 年大差はない。
【0004】このような構造のバイオリン1aも1個の
発音音響機器と考えられ、その音域は、図17に示すよう
に4オクターブあって196C.P.S〜3136C.P.S までわた
り、第1に振動部、第2にこれを伝達すべき伝達部、こ
の伝達部には伝達系以外に共振系、濾波系を含む、第3
に音波を空中に輻射する輻射部の三つの要素を有する。
これをバイオリン1aになぞると、弦6が振動部に、駒
7が伝達部の伝達系及び濾波系に、胴2の中の空気と表
板9、裏板10とが伝達部の共振系に、表板9が輻射部に
相当する。従って、バイオリン1aの性能も通常の音響
機器の性能と同じに考えられるから、その性能は、1.
周波数特性 2.音質(スペクトル構成)3.過度現象
に対する特性 4.効率 5.指向性 に分解できる。
このうち、周波数特性は、従来の構造のバイオリンの4
個につき図18に示すように、駒7の側面に発振器14を増
巾器15を介して接し、ここから弾性波として音をバイオ
リン1aに送り、この音が駒7から表板9、魂柱13、裏
板10、胴2、空気と振動させて出る音を駒7の直上7cm
のところでマイクロフォン16を置き、その音圧を増巾器
17を介してオシログラフ18にて測定した。この結果は4
個のバイオリンともほぼ図19に示すようなレスポンスカ
ーブになり、すなわち、このレスポンスカーブの低音域
ではピーク間隔が広く、高音域では音圧が低い、すなわ
ち、音が弱いという傾向を示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
バイオリン1aは、低音域では、図19に示すように表板
9の振巾は大であるが、そのピークの間隔が開いてお
り、そのピークから離れているG線上の音はその基音が
弱くなる。これを防ぐためにレスポンスカーブの周波数
帯域をできるだけ低い方へ延ばすことが良い。このため
には、表板9の共振周波数をできるだけ下げるのが良
い。表板9の共振周波数fは、以下の数1に示す。
【0006】
【数1】 ここで、h=表板の厚み E=ヤング率 μ=ポアソン比 ρ=表板の比重 k=定数 で与えられるから、表板の比重を別にすれば、表板の厚
みを薄くすることにより、レスポンスカーブの周波数帯
域を低くすることができ、同時にピークの鋭さを減ずる
ことができる。
【0007】ところが一般に平面形の相似な表板では、
高調波間の周波数比は常に一定であるので、表板の厚さ
を減らすと同時に高い方の高調波も下へずれて、全体と
しての周波数帯域は狭まる。従って、高音域の音量が減
り、且つ音色も全体的につやのない音になる。これは経
験的に、表板が薄いと音がこもるといわれている事実と
一致する。
【0008】そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなさ
れたもので、簡単な構成にして、周波数特性がなるべく
平で、しかもその周波数帯域が広く、高音域の輻射を増
大して音を強くすることができる弦楽器を提供すること
を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、長年弦楽
器、特にバイオリンやチェロの音響学的特性について研
究を続けて来た。そして、これら弦楽器を研究する者に
とってバイオリンであれば、サンサーンス作曲の「白
鳥」、チェロであれば、シューマン作曲の「トロイメラ
イ」をひきたいという願望を持つ。
【0010】ところが、上述のようにバイオリンやチェ
ロの音響学的特性について研究するにつれて、今までの
バイオリンやチェロで出し得る音はおのおの強さが違っ
て出て来て、すべての音に対して最良の強さと音色とを
与え得ないことがわかった。従って、上述の曲につきい
かなるバイオリンやチェロの名手といえども、これらの
曲で展開されている作曲家の頭の中にある音を完全に出
しきっていないのではないか。そこで、本発明者は、上
述の曲で表された作曲家の頭の中にある本当の音を出す
べく、特にバイオリンの製作について鋭意研究を続けて
きた。その結果、上述のように表板の共振周波数fは
【0011】
【数2】 から得られる。これにより、バイオリンの周波数特性を
示すレスポンスカーブの周波数帯域を高音域と低音域と
に分け、高音域のレスポンスカーブを高い方へ延ばすこ
とが考えられ、すなわち、高音域の振動様式に対しては
スティフネスのみを増すよな方法をとれば、バイオリン
の周波数特性を人為的に変更できるという目的を達せら
れることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めになされたもので、弦の基本振動が胴の表板の基本振
動と同じ周波数となった際の前記表板の振動姿態を測定
し、この振動姿態において前記表板上に現れた2本の節
線に沿って前記表板の裏面に所定長さのスティフナーを
2本設けたものであり、一方のスティフナーは前記表板
の裏面に設けた力木であり、他方のスティフナーは表板
を支持する魂柱に近接して一方のスティフナーに略平行
に設けた棧であっても良い。
【0013】
【作用】上記構成によれば、胴の表板の基本振動は、表
板の厚み、比重が決まれば定まり、弦の基本振動と同じ
周波数になると、表板の基本振動の振幅が絶大となり振
動姿態を測定でき、この際図9、10に示すように表板上
に現れた2本の節線、すなわち、振幅が零となる線上に
2本のスティフナーが設けてあるから、表板の基本振動
の周波数に近い比較的低音では、この2本のスティフナ
ーを設けたことによるスティフネスや質量の影響がな
く、高音では2本のスティフナーを設けることでスティ
フネスが働き別な振動姿態となり、周波数は、図11に示
すように高い方へ移り、胴のレスポンスカーブの上から
は、高音の輻射を増し、弓でひいた音のスペクトルは図
13に示すように高調波を増す。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面1〜14に基づい
て詳述する。図1は本発明の弦楽器を示す平面図、図2
は図1のX−X線に沿う断面図である。
【0015】両図において、1は本発明の弦楽器である
バイオリンを示し、このバイオリン1は、従来例のバイ
オリン1aと略同様な構成を示すので、共通する部分は
図面に符号を付してその説明を省略する。すなわち、本
発明のバイオリン1は、弦6の基本振動が胴2の表板9
の基本振動と同じ周波数になった際測定した表板9の振
動姿態において、図9、10に示すように、表板9上に現
れた2本の節線19a、19bに沿って、表板9の裏面9a
に所定長さのスティフナー20、22を設けたものである。
これらスティフナー20、22にうち、スティフナー20の取
付位置は、節線19a上であり、従来例の弦6の張力によ
ってかかる圧縮荷重に対してバックリングを起こさない
ための補強材とての力木12の取付位置に略相当する。但
し、この従来例の力木12の取付位置は、バイオリン製作
による200 年以上にわたる経験上から定められたもの
で、本発明のスティフナー20とはその性格を異にする。
すなわち、力木12の取付位置は長年のバイオリン製作の
経験及びバイオリン演奏技術上バイオリンの寸法が定め
られ、バイオリン自体定型化しているため、音色にほと
んど影響しないものとして定められたものであり、定型
的なバイオリンについてはその位置が一致するが、弦楽
器という広い分野では普遍性がないものである。
【0016】そして、スティフナー22は、節線19b上で
あり今まで全く知られなかったもので、本発明の要旨を
示している。このスティフナー22は、本実施例では表板
9の裏面9aに力木12よりもやや短い棧24を設けること
で、後述するように、低音ではそのスティフネスや質量
の影響がほとんどなく、高音ではスティフネスがきいて
別な振動姿態となる。すなわち、周波数は高い方に移っ
て周波数範囲が広がり、従って、胴2のレスポンスカー
ブ上からは高音の輻射を増し、大きな音となり、又、弓
8でひいた音のスペクトルは高調波を増すことになる。
この事実を実際に人の耳で聞いた感じからいうと、一般
に音につやを増し、特にE線上の音の音量を増し、又こ
れによって同時に音の延びを非常に増したことになる。
【0017】なお、図1中26はf字孔を示す。次に、バ
イオリン1の表板9の裏面9aに所定長さのスティスナ
ー20、22を設けたことによる作用、効果を実験データ及
び理論解析により説明する。
【0018】バイオリン1の胴2の周波数特性を示すリ
スポンスカーブの最低部に現れるピークが、胴2の空気
とf字孔26から形成されるヘルムホルツ共振器として説
明され得ることを確かめるために、理論計算を行って見
る。バイオリン1の胴2は、その2個のf字孔26、26に
対応して図3のようなヘルムホルツ共振器として考える
ことができる。ここに空気の体積Vはバイオリン1の胴
2の内部容積に、楕円の開口A1 、A2 が二つのf字孔
26、26に近似させる。
【0019】空洞内の空気の体積Vが断熱的にdVだけ
圧縮された時の圧力増加は、数3で与えられる。
【0020】
【数3】 ここにCoはf字孔26、26の伝達で、実際のf字孔26、
26に対して計算は困難なので、図4のように、楕円孔で
近似させることにすると、楕円孔の伝達は数4の下式に
よって計算されており、
【0021】
【数4】 となる。これは図19に示す最低振動数のピークの実験値
300 c.p.s.と大体一致する。
【0022】実験的に求められたリスポンスカーブのエ
アーピークを除いた最低振動数のピークが表板9の基本
振動数であることを確かめて、併せてこの振動を支配す
る諸因子の影響を明らかにするために下のような理論計
算を行った。
【0023】表板9を図5のように上下対称であり、且
つ、平面であると近似的に考え、この固有振動数を計算
する。押さえる点を図5の12点、すなわち、数5の各式
【0024】
【数5】 及びこれらの対称点とし、これらの点で、撓みwについ
てそれぞれ上記のような境界条件を仮定する。すなわ
ち、1、2、3、4のすべての点で撓みは0とし、θ=
0、θ=π/2の境界点では固定条件で、傾斜を0とお
く、表板9の振動方程式を極座標でかくと、数6のよう
になる。
【0025】
【数6】 となる。実験値はこれに対してf=550c.p.s. で約20%
小さい。この原因は、実際は、θ1 =O、θ4 =π/2
で周辺固定条件が成り立たず、支持条件に近いので、周
辺の条件が振動数を下げる方向に働くためと考えられ
る。
【0026】上記fの式は表板9の固有振動数をきめる
因子の影響を与えるのに十分で、これから下のことがわ
かる。 (1)振動数は板厚に比例する。 (2)弾性率と比重の比の平方根に比例する。 (3)バイオリンの平面形によってkの値が左右され
る。これは理論的にある程度の近似で計算することがで
きる。
【0027】次に、バイオリン演奏上最も頻繁に現れる
音を調査した。この理由は、バイオリンでだし得る音は
図17のようにG2からG6あたりにわたっており、これ
が前述のようにおのおの強さが違って出るものとする
と、音色ももちろん各音が違うものと考えられる。そこ
でバイオリンの設計上、すべての音に対して最良の強さ
と音色を与え得ないとすれば、重要な音に対してまず条
件を満足させる方針を採らなければならない。
【0028】従って、NHKから1年間に放送されたバ
イオリン曲目を全部集め、この一つ一つについて楽譜か
ら音を拾いだし四分音符を1、八分音符を1/2という
ようにかきだし、これにメトロノーム記号から緩速に応
じて演奏秒時を計算し、これを全曲目の総和を求める
と、図6が得られ、これが一応バイオリンの各音に対す
る演奏頻度を与えると思われる。図6で見るように、D
4、E4が最高を示し、次いで、A3及びA4になる。
少なくともこの4音はバイオリンにとって重要な音とい
ってよいであろう。そして、これらの音のうち、従来の
バイオリンではE4、A4につき特に出にくいことがわ
かっている。そこで音量音質ともに、これらの重要な音
にはとくに留意が必要である。
【0029】胴2のリスポンスカーブのピークに相当す
るのは、主として表板9の基準振動であるから、リスポ
ンスカーブを改善するにはこの基準振動を変えなければ
ならない。そこでまず各基準振動における胴板の振動姿
態を測定する。
【0030】測定法は図7に示すとおりである。前述の
ように胴2の励振周波数が表板9の基準振動の一つに等
しくなると、その一つの振動様式のみが顕著になるの
で、表板9の振動は明瞭な節線をもつ。この基準振動の
周波数をまずリスポンスカーブのピークから知ることが
できるので、そのときの節線の位置をさぐるために、図
8のピック・アップ30を用い、すなわち、発振器32をバ
イオリン1の駒7に接し、ピック・アップ30を表板9に
接し、増巾器34を介してブラウン管36に接続して、ピッ
ク・アップ出力とオシロレータ出力とを同時にブラウン
管36の縦軸、横軸に入れ、リサジュの図を描かせる。一
般にこの図形は楕円となるが、節の位置でその傾きの方
向を変えるので、これにより節線を決定できる。
【0031】図9は励振の方向が、表板9に平行な場合
の、基本振動であるが、節線はこの方向に垂直なものが
2本(19a、19b)入る。1本(19a)はほぼ力木12の
位置を通るもので、他(19b)は魂柱13の位置を通るも
のである。
【0032】この基本振動における振動姿態は、他のバ
イオリンについても全く共通なものであった。従ってこ
れは、胴板の質量やスティフネスの分布などに関係しな
いで励振方法と構造だけから決まるものであると考えら
れる(力木や魂柱によるものを含めて表板のスティフネ
スと考えれば、もちろんこれによって決まるものである
が。)。
【0033】実際の演奏のように弓8で奏いた場合につ
いては、弦6を弓奏すると、弦6の振動の高調波により
胴2の多くの振動様式が同時に励振されるが、弦6の基
本振動が表板9の基本振動と同じ周波数となったときに
は表板9の基本振動の振巾絶大となるからその振動姿態
を測定することができる。その結果は図9の場合とほぼ
同じものを示すが、この振動姿態はバイオリンだけでな
く、ヴィオラ、チェロについても全く同じものが得られ
る。そして、それは正弦波励振の場合と、きわめてよく
一致する。
【0034】なお、実験によると、更にそれより直ぐ上
の、二三の高調波振動においてもほとんど同じ位置を節
線が通ることが分かった(図10参照)。高次のものにな
ると、表板9の振動姿態は複雑となり、またピークの位
置も密接する。
【0035】前述の振動方程式でρhは単位面積の質
量、以下の数7で示す。
【0036】
【数7】 はスティフネスを与えるものであるから、材料が決まれ
ば、質量は厚さに比例し、スティフネスは厚さの3乗に
比例する。
【0037】又このことから、表板の共振周波数が厚さ
に比例することがかる。以上、表板の振動姿態について
見出された法則から、バイオリンの周波数特性を人為的
に変更させることができる。すなわち、周波数帯域を、
高い方と低い方に分けて、高音域のレスポンスカーブを
高い方へ延ばすことを考え、数8に示すように考察す
る。
【0038】
【数8】 これによれば、高音域の振動様式に対してはスティフネ
スのみを増すような方法をとれば上の目的が達せられる
ことが分かる。その方法として前述した低音では節線は
一定の位置を通るという事実を利用し、この位置に節線
に沿って2本のスティフナーを貼りつければ、低音で
は、そのスティフネスや質量の影響がほとんどなく、高
音では、別な振動姿態となるので、スティフネスがきい
てくる(図1参照)。
【0039】われわれはこのテストを試作バイオリンに
ついて行ったが、レスポンスカーブは図12から図11のよ
うに変わる。この結果振動姿態を測定すると、低音の数
個のものは全く変化せず、高次のものは変わって、周波
数は高い方へ移り、従って胴のレスポンスカーブの上か
らは、高音の輻射を増し、又弓でひいた音のスペクトル
は図14から図15に示すように高調波を増した。バイオリ
ンの音域は約3,000c.p.s. までであるが、その高調波ま
で入れると周波数範囲は相当高くまで及んでいることが
わかる。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の弦楽器に
よれば、胴の表板の基本振動は、表板の厚み、比重が決
まれば定まり、弦の基本振動と同じ周波数になると、表
板の基本振動の振幅が絶大となり振動姿態を測定でき、
この際図9、10に示すように表板上に現れた2本の節
線、すなわち、振幅が零となる線上に2本のスティフナ
ーが設けてあるから、表板の基本振動の周波数に近い比
較的低音では、この2本のスティフナーを設けたことに
よるスティフネスや質量の影響がなく、高音では2本の
スティフナーを設けることでスティフネスが働き別な振
動姿態となり、周波数は、図11に示すように高い方へ移
り、胴のレスポンスカーブの上からは、高音の輻射を増
し、弓でひいた音のスペクトルは図13に示すように高超
波を増す。
【0041】従って、バイオリンの周波数範囲が相当高
いところまで及び、耳で聞いた感じの上から音につやを
増し、特に従来のバイオリンでは音が出にくいとされて
いたE線上の音の音量を増し、更に、演奏頻度の高いと
され、音が出にくいE4、A4が良く出る。また、これ
により音の延びを非常に増すことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弦楽器であるバイオリンを示す平面
図。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図。
【図3】ヘルツホルム共振器の概要図。
【図4】f字孔、楕円孔を示す平面図。
【図5】表板の境界条件を定めるための平面図。
【図6】バイオリン演奏中に現れる音の頻度を示す特性
図。
【図7】胴の振動姿態測定装置を示す概要図。
【図8】ピック・アップを示す側面図。
【図9】表板上に現れた節線を示す平面図。
【図10】表板上に現れた節線を示す平面図。
【図11】本発明のバイオリンによる周波数特性を示す
特性図。
【図12】従来のバイオリンによる周波数特性を示す特
性図。
【図13】本発明のバイオリンによる音のスペクトルを
示す特性図。
【図14】従来のバイオリンによる音のスペクトルを示
す特性図。
【図15】従来のバイオリンを示す平面図。
【図16】図15のY−Y線に沿う断面図。
【図17】バイオリンの音域を示す概要図。
【図18】周波数特性測定装置の概要図。
【図19】従来のバイオリンの胴の周波数特性を示す特
性図。
【符号の説明】
1 バイオリン(弦楽器) 2 胴 6 弦 9 表板 9a 裏面 12 力木 13 魂柱 20、22 スティ
フナー 24 棧

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弦の基本振動が胴の表板の基本振動と同
    じ周波数となった際の前記表板の振動姿態を測定し、こ
    の振動姿態において前記表板上に現れた2本の節線に沿
    って前記表板の裏面に所定長さのスティフナーを2本設
    けたことを特徴とする弦楽器。
  2. 【請求項2】 一方のスティフナーは前記表板の裏面に
    設けた力木であり、他方のスティフナーは表板を支持す
    る魂柱に近接して前記一方のスティフナーに略平行に設
    けた棧である請求項1記載の弦楽器。
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Cited By (2)

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