JPH0527088A - 透明な高速中性子遮蔽材および遮蔽方法 - Google Patents

透明な高速中性子遮蔽材および遮蔽方法

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JPH0527088A
JPH0527088A JP20460091A JP20460091A JPH0527088A JP H0527088 A JPH0527088 A JP H0527088A JP 20460091 A JP20460091 A JP 20460091A JP 20460091 A JP20460091 A JP 20460091A JP H0527088 A JPH0527088 A JP H0527088A
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JP
Japan
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transparent
shielding
high speed
polyisobutylene
molecular weight
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JP20460091A
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Tetsuji Nashimoto
哲二 梨本
Haruhisa Katase
晴久 片瀬
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速中性子の遮蔽性に優れ、透明で遮蔽材を
通して放射線源あるいは照射物等の被遮蔽内容物の観察
が容易であり、しかも常温で実質的に固体であり、加熱
により容易に流動性を持ち、複雑な形状を有する被遮蔽
物に対する施工の容易な高速中性子遮蔽材及び該遮蔽材
を用いる高速中性子の遮蔽方法を提供すること。 【構成】 粘度平均分子量が20000〜80000の
範囲にある水素原子密度7.0×1022個/cm3以上
の透明ポリマーからなる透明な高速中性子遮蔽材および
上記透明ポリマーとしてポリイソブチレンを遮蔽材とし
て用いる高速中性子の遮蔽方法により目的を達成でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高速中性子遮蔽材および
高速中性子の遮蔽方法に関する。更に詳しくは、高速中
性子の遮蔽性に優れ、透明で遮蔽材を通して放射線源あ
るいは照射物等の被遮蔽内容物の観察が容易であり、し
かも常温で実質的に固体であり、加熱により容易に流動
性を持ち、複雑な形状を有する被遮蔽物に対する施工の
容易な高速中性子遮蔽材及び該遮蔽材を用いる高速中性
子の遮蔽方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力施設や放射性物質の取扱に於いて
は、人体保護や測定の妨害になる放射線を減少させるな
どのために、放射線の遮蔽が重要な課題となっている。
特に遮蔽が問題となる放射線は、透過力の大きいγ線と
中性子である。
【0003】前者に対しては、鉛等原子番号の大きい元
素が有効であり、また後者に対しては、ポリエチレン組
成物や塩素化ポリエチレン組成物(特開昭56−133
349号公報、特開昭56−131649号公報、特公
昭59−42280号公報)、流動パラフィン組成物
(特開昭58−26299号公報)、パテ状組成物(特
開昭59−208500号公報)、不飽和ポリエステル
組成物(特公昭59−33874号公報)等から成る遮
蔽材が提案されており、両者では遮蔽対策が異なること
が知られている。
【0004】原子炉の炉心などで発生するいわゆる核分
裂中性子の多くは1MeV以上のエネルギーを持った高
速中性子である。このような高速中性子に対しては、水
素原子の遮蔽効果が大きいことが知られている。すなわ
ち、高速中性子の減衰量は次式(数1)で計算すること
が出来る。
【0005】
【数1】
【0006】ここで、Iは強度I0で入射した高速中性
子が厚さxの遮蔽材を透過した後の強度を示す。ΣR
中性子除去断面積で ΣR=N0/A×σR×ρ から計算できる。ここでNoはアボガドロ数(6.02
×1023個/mol)、Aは原子量(g/mol)、σ
Rは除去断面積(barn/atom)、ρは密度(g
/cm3)である。
【0007】σRは原子に固有の値で水素1.00、炭
素0.81、酸素0.99などであり、例えば炭化水素
の構成単位CH2は1.00×2+0.81=2.81
である。これらは原子当りの値であるので原子量の小さ
い水素は重量当りに換算すると他の原子、例えば炭素や
酸素等に較べると重量すなわち遮蔽材の単位厚さ当りの
遮蔽効果が極めて大きい。
【0008】このため、遮蔽材料として、水や、分子内
に水素を多量に含む炭化水素化合物がよく使われてい
る。この中で水は安価であり、水素密度も比較的高くし
かも透明であるため好ましいが、流動性が高すぎるた
め、遮蔽のための水を入れた容器が腐食などにより開孔
した場合流出してしまうなどの欠点がある。
【0009】そこで、流動性をもたないものとしてポリ
エチレンが用いられるが、固体であるため放射線源の形
状に合わせた成形が困難であり、実際上の施工には板ま
たはブロックを組み合わせるなどの手段が取られる。こ
のため、複雑な形状をした場所に充填使用することが困
難であり、施工に手間がかかり、板またはブロック間の
放射線シールも問題となる。しかもポリエチレンは透明
性が不十分であるため内容物の観察ができない欠点があ
る。
【0010】その他の炭化水素として流動パラフィンな
ども使われるが水と同様流出の危険をともなう上、密度
が一般に0.86〜0.88g/mlと低いため水素原
子密度が表1に示すごとく小さく、更に加熱時には引火
の危険性もある。
【0011】粘度の高い炭化水素油、たとえばポリブテ
ン等も用いられるが、これらは無色透明ではなく、ポリ
エチレン同様内容物を観察することができない。透明な
遮蔽材料としてアクリル樹脂なども知られており任意の
形状の型枠内で重合硬化できることから成形加工性にも
優れているが、水やパラフィン系炭化水素に較べるとモ
ノマー中に酸素原子を含むため水素原子密度が表1に示
すように低く、遮蔽能力が劣る。その他の透明な固形プ
ラスチック類はいずれも水素原子密度が低く、成形加工
が容易でない等の問題を有する。このように、従来は水
素原子密度が高く、成形加工が容易であり、常温で実質
的に固体で流出の危険がなく、しかも透明であり外部か
ら被遮蔽物質の観察が容易な遮蔽材料は知られていなか
った。
【0012】
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上の状況に鑑み、本
発明は下記の1〜5の特性を全て有する高速中性子遮蔽
材およびそれを用いる高速中性子の遮蔽方法を開発する
ことを課題とした。 1.高速中性子に対する遮蔽性に優れる。 2.常温で実質固体で容器の開孔時にも流出の恐れがな
い。 3.加熱により容易に流動性をもち、複雑な形状をした
放射線遮蔽容器壁として容易に充填或は貼付が可能であ
るような優れた成形加工性を有する。 4.火災に対しても比較的安全である。 5.しかも透明で内容物の観察が容易である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、粘度平均分子量が200
00〜80000の範囲にある水素原子密度7.0×1
22個/cm3以上の透明ポリマーが上記の特性を全て
有しており、これを高速中性子の遮蔽材として用いるこ
とにより本発明の目的を達成できることを見いだして本
発明を完成するに至った。
【0015】本発明の第1の発明は、粘度平均分子量が
20000〜80000の範囲にある水素原子密度7.
0×1022個/cm3以上の透明ポリマーからなる透明
な高速中性子遮蔽材である。
【0016】本発明の第2の発明は、粘度平均分子量が
20000〜80000の範囲にある水素原子密度7.
0×1022個/cm3以上の透明ポリマーを透明壁材間
に積層してなる透明な高速中性子遮蔽材要素である。
【0017】本発明の第3の発明は、水素原子密度7.
0×1022個/cm3以上の透明ポリマーがポリイソブ
チレンである請求項1に記載の透明な高速中性子遮蔽材
である。
【0018】本発明の第4の発明は、水素原子密度7.
0×1022個/cm3以上の透明ポリマーがポリイソブ
チレンである請求項2に記載の透明な高速中性子遮蔽材
要素である。
【0019】本発明の第5の発明は、粘度平均分子量が
20000〜80000の範囲にあるポリイソブチレン
を遮蔽材として用いる高速中性子の遮蔽方法である。
【0020】本発明で用いる粘度平均分子量20000
〜80000、水素原子密度7.0×1022個/cm3
以上の透明ポリマーは、粘度平均分子量と水素原子密度
がこの範囲にあれば特に限定されるものではない。然
し、特に好ましい態様は粘度平均分子量が20000〜
80000の範囲にあるポリイソブチレンからなる透明
な高速中性子遮蔽材である。また本発明の高速中性子の
遮蔽方法は、該透明ポリマーを遮蔽材として用いる高速
中性子の遮蔽方法であるが、特に好ましい態様は該ポリ
イソブチレンを遮蔽材として用いる高速中性子の遮蔽方
法である。上記のポリイソブチレンは単独で使用して
も、あるいは透明性を損なわない範囲で他の有機物また
は無機物を配合して使用してもよい。
【0021】また、本発明で用いる粘度平均分子量20
000〜80000の透明ポリマーやポリイソブチレン
は他の透明部材と積層して使用してもよい。透明部材は
透明であって機械的強度を有するならば特に限定される
ものではなく、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリブタジエ
ン、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、セロファ
ンなどの透明性樹脂あるいはガラスなどの無機物で、そ
れ自身或る程度は高速中性子の遮蔽能力を持つものであ
っても或は全く持たないものであってもよい。積層する
透明部材が高速中性子あるいは高速中性子以外の放射線
に対する遮蔽能力を持つものであれば本発明の目的に対
して更に好ましくなる。
【0022】本発明で用いる粘度平均分子量20000
〜80000の透明ポリマーは、常温で実質固体とはい
え、硬度など機械的強度は必ずしも高くないので、表面
は容易に傷つき易く、また完全な平面を保ちにくいた
め、機械的強度がより高い透明部材と積層して用いるこ
とにより、遮蔽材自体の機械的強度を高めるとともに、
透視性を更によくすることができる。なお、本発明の透
明性とは、透明ポリマー単独あるいはこれと壁材とを組
み合わせた場合に、目視により内部が視認できる程度の
透明性をいう。
【0023】本発明において特に好ましい透明ポリマー
であるポリイソブチレンはイソブチレンのカチオン型触
媒による重合物を指し、粘度平均分子量はフローリー法
によって測定された値を指す。粘度平均分子量は200
00〜80000、好ましくは30000〜60000
の範囲にあるものが良い。20000よりも低いものは
流動性が高く、充填或は貼付後の形態保持性に劣り、8
0000より高いものは加熱溶融時の粘度が高く、複雑
な形状の放射線源に対する充填など成形加工が容易でな
くなる。
【0024】上記ポリイソブチレンはイソブチレンを塩
化アルミニウム等のルイス酸を触媒とし、触媒に対し不
活性の炭化水素溶媒中、液相で、0℃以下の温度条件下
で約1時間重合して得られる。あるいはまた、容易に入
手できるものとして、例えばテトラックス3T、4T、
5Tあるいは6T(商品名、日本石油化学(株)製、粘
度平均分子量はそれぞれ30000、40000、50
000、及び60000、密度は何れも0.923g/
ml)等が使える。
【0025】本発明のポリイソブチレンの合成原料は重
合物の透明性を損なわない範囲で重合原料にイソブチレ
ン以外の他のオレフィン、たとえばn−ブテン等を含ん
でいても差し支えない。その結果重合物に若干の他のオ
レフィンとの共重合物が含まれる結果になっても、通常
は無色で透明性が損なわれないために使用することがで
きる。
【0026】高速中性子に対する遮蔽性は前述のように
水素原子の密度に比例し、その化合物の構造には影響さ
れない特徴がある。本発明で用いる粘度平均分子量が2
0000〜80000のポリイソブチレンは表1に示し
たごとく、その水素原子密度が7.9×1022個/cm3
と高く、通常のポリエチレンの7.9×1022個/c
m3、高密度ポリエチレンの8.2×1022個/cm3とほ
ぼ同等の水素原子密度を有しており、このため、高速中
性子に対する遮蔽性もポリエチレン同様に優れている。
【0027】しかも、ポリエチレンが実質的に不透明な
固体であるのに対し、本発明で用いるポリイソブチレン
は常温で実質固体であり、加熱により容易に充填作業が
行えるような流動性を持たすことが出来、しかもポリエ
チレンなどと異なり透明である特徴を備えている。
【0028】また、本発明で用いるポリイソブチレンは
引火点が240〜250℃(JIS−K−2265 C
OC法)と高く、はるかに低分子量である流動パラフィ
ン(分子量140〜700、引火点70〜200℃)や
ポリブテン(分子量500〜2500、引火点160〜
230℃)などの公知の炭化水素系高速中性子遮蔽材と
較べると火災の危険性に対してもより安全である。
【0029】これらのポリイソブチレンを遮蔽材として
用いるには加熱溶融して必要な所に充填、注型、トラン
スファー、押出、射出するなどするか、あるいはクラッ
クや穴などに貼付するなどして用いることが出来る。ま
た、ガラスあるいはアクリル樹脂などの透明な板の間に
挟んで遮蔽要素として用いれば容易に内部を観察するこ
とができる。
【0030】大型の遮蔽容器の場合、例えば鉄製容器で
型枠を作成し、その中に流し込むこともできる。この際
は内部観察用の窓とするため鉄製枠の一部を透明壁材に
より構成すればよい。アクリル樹脂のようにその溶融温
度がポリイソブチレンの溶融温度と接近している型枠内
に充填する場合には、予め溶融温度の高い仮枠内に流し
込み冷却固化後移しかえるとか、あるいは冷却固化後仮
枠を取り去り替わりにアクリル樹脂枠で挟むなどの手段
を適宜使用することができる。このようなポリイソブチ
レンを用いた遮蔽材で放射線源の周囲を覆うことによ
り、高速中性子を容易に遮蔽することが可能で、しかも
遮蔽材を通して放射線源である内容物を直接肉眼で観察
することができる。
【0031】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施
例に限定されるものではない。 実施例1 (ポリイソブチレンの合成)攪拌機、底抜き弁および冷
却コイルを備えた硝子製500mlオートクレーブにイ
ソブチレン60g、溶媒としてヘキサン140gを張り
込み、冷却コイルに冷媒を循環して−10℃に冷却し
た。その後、触媒として塩化アルミニウム粉末をヘキサ
ン中に10%分散したスラリーを加え、気相を窒素で置
換した後密封し、冷媒を循環して内容物を−10℃に保
ちつつ200分攪拌を続けて重合した。重合終了後温度
を約5℃に上げ1%水酸化ナトリウム水溶液を加えて攪
拌洗浄、室温で静置分離して触媒を除去し、最後に水洗
した。水相を除去後、しばらく攪拌を続けて未反応イソ
ブチレンを蒸発させ、ロータリーエバポレータで減圧下
でヘキサンを除去しポリマー49gを得た。
【0032】このポリマーは無色透明で、密度0.92
3g/cm3、フローリー法による粘度平均分子量430
00、流動点約80℃(JISK−2269)であっ
た。元素分析の結果C85.7%、H14.3%であ
り、この値と密度(0.923g/cm3)から求めた水
素原子密度は7.9×1022個/cm3であり、この値か
ら高速中性子遮蔽能が極めて高いことが明かである。こ
のポリマーを180℃に加熱し、4cm×4cm×2c
mの型枠に充填し、冷却後枠を分解して取り出したとこ
ろ、透明で均質な直方体のポリマーブロックが得られ
た。
【0033】実施例2 (ポリイソブチレンの物性)フローリー法による粘度平
均分子量50000のポリイソブチレン(商品名、テト
ラックス5T イソブチレン結合単位100% 日本石
油化学製)の物性を測定した。このポリイソブチレン
は、室温で無色透明な実質固体、密度0.923g/cm
3、25℃における針入度115(JISK−220
7、100g×5sec)、200℃、2mmHg、3
0分の条件下に置ける蒸発減量0.0%、引火点248
℃(JISK−2265、COC法)、流動点97.5
℃(JISK−2269)であった。このポリイソブチ
レンの水素原子密度は7.9×1022個/cm3であり、
この値から高速中性子遮蔽能が極めて高いことが明かで
ある。このポリマーを180℃に加熱し、4cm×4c
m×2cmの型枠に充填し、冷却後枠を分解して取り出
したところ、透明で均質な直方体のポリマーブロックが
得られた。
【0034】実施例3 (遮蔽板の作成)50cm×50cm×5cmの箱枠を
鉄製アングルを用いて組み立てた。この箱枠の各面に、
片面をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム
で覆った厚さ4mmの木製合板をPET面を内側にビス
どめし箱を作成した。この箱に、実施例2のポリイソブ
チレンを約200℃に加熱溶融したものを気泡が入らぬ
よう注意しながら流し込んだ。冷却固化後、木製合板を
はずし替わりに厚さ5mmのアクリル樹脂製透明板をビ
スどめして貼り透明な高速中性子遮蔽板を作成した。こ
の遮蔽板は厚さ5cmのポリイソブチレン層からなり、
しかも遮蔽板を通して向い側を明瞭に観察することがで
きた。
【0035】実施例4 (遮蔽容器の作成)実施例3と同様にして各辺が50c
m厚さ5cmの立方形の升型容器を作成した。この容器
内に放射線源を格納し上部を実施例3と同じ遮蔽板で蓋
をした。この容器は5cmのポリイソブチレン層を通し
てあらゆる角度から内部放射線源を観察することができ
た。
【0036】比較例1 フローリー法による粘度平均分子量90000のポリイ
ソブチレン(イソブチレン結合単位100%)を用い実
施例3を繰り返した。このポリイソブチレンは室温で無
色透明な実質固体ではあるが、流動点(JISK−22
69)が150℃を越え、200℃における溶融粘度は
110,000cSt(JISK−2283)であり、
流体として取り扱うのは困難であり、箱に均一に充填す
ることが出来なかった。粘度を下げるためさらに250
℃に加熱すると煙を発生し分解の兆候が見られた。
【0037】比較例2 フローリー法による粘度平均分子量10000のポリイ
ソブチレン(イソブチレン結合単位100%)の物性を
測定した。このポリイソブチレンは、溶融燃度が低く充
填が容易であったが、流動点(JISK−2269)が
40℃と低かった。このため、夏期には水と同様に容器
の開孔時に流出する危険が生ずる。
【0038】比較例3 数平均分子量3600のイソブチレンとn−ブテン共重
合物(商品名、日石ポリブテンHV−3000、日本石
油化学製)を板厚5mmのアクリル板を組み立てて作成
した50cm×50cm×5cm(内のり寸法)の容器
に流し込み、高速中性子遮蔽板を作成した。この共重合
物は透明ではあるがセイボルト色相が+10以上に着色
しており、遮蔽板は透視が困難であった。
【0039】
【発明の効果】以上実施例を挙げて詳細に説明したごと
く、本発明の高速中性子遮蔽材は水素原子密度がポリエ
チレン同様に高く、高速中性子に対する遮蔽性に優れ、
常温で実質固体で容器の開孔時にも流出の恐れがなく、
加熱により容易に流動性をもち、複雑な形状をした放射
線源に対しても容易に充填或は貼付可能な成形加工性に
優れており、しかも火災に対して比較的安全である。そ
の上本発明の高速中性子遮蔽材は無色透明であるため、
これを用いて中性子放射線源を遮蔽すれば、遮蔽材を通
して内容物である放射線源を直接肉眼で観察することが
できる。本発明の高速中性子遮蔽材を他の硬度など機械
的強度の高い透明部材と積層して用いることにより、機
械的強度を高めるとともに透視性をよりたかめ、内部の
観察をさらに容易にする事ができる。このような優れた
特性を有する本発明の透明な高速中性子遮蔽材や高速中
性子遮蔽材要素は、シンクロトロン、原子力研究所、原
子力発電所、その他プラントなどの高速中性子を含む中
性子放射線を発生する所で放射線源を遮蔽するのに使用
することができ、その産業上の利用価値は甚だ大きい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量が20000〜8000
    0の範囲にある水素原子密度7.0×1022個/cm3
    以上の透明ポリマーからなる透明な高速中性子遮蔽材。
  2. 【請求項2】 粘度平均分子量が20000〜8000
    0の範囲にある水素原子密度7.0×1022個/cm3
    以上の透明ポリマーを透明壁材間に積層してなる透明な
    高速中性子遮蔽材要素。
  3. 【請求項3】 水素原子密度7.0×1022個/cm3
    以上の透明ポリマーがポリイソブチレンである請求項1
    に記載の透明な高速中性子遮蔽材。
  4. 【請求項4】 水素原子密度7.0×1022個/cm3
    以上の透明ポリマーがポリイソブチレンである請求項2
    に記載の透明な高速中性子遮蔽材要素。
  5. 【請求項5】 粘度平均分子量が20000〜8000
    0の範囲にあるポリイソブチレンを遮蔽材として用いる
    高速中性子の遮蔽方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001310929A (ja) * 2000-04-28 2001-11-06 Sanoya Sangyo Kk 中性子遮蔽能を有するエポキシ樹脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を硬化した透明遮蔽材
JP2005512101A (ja) * 2001-12-12 2005-04-28 コジュマ・ロジスティクス 中性子遮蔽及び未臨界維持のためのビニルエステル樹脂をベースにした物質

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