JPH05263709A - 内燃機関の燃焼状態検出装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼状態検出装置

Info

Publication number
JPH05263709A
JPH05263709A JP6416392A JP6416392A JPH05263709A JP H05263709 A JPH05263709 A JP H05263709A JP 6416392 A JP6416392 A JP 6416392A JP 6416392 A JP6416392 A JP 6416392A JP H05263709 A JPH05263709 A JP H05263709A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
state
diagnosis
combustion
engine
combustion state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6416392A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruyuki Nishio
治之 西尾
Toshio Ishii
俊夫 石井
Yutaka Takaku
豊 高久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Engineering Co Ltd, Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Automotive Engineering Co Ltd
Priority to JP6416392A priority Critical patent/JPH05263709A/ja
Publication of JPH05263709A publication Critical patent/JPH05263709A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ignition Installations For Internal Combustion Engines (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Testing Of Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】内燃機関の回転速度の変動により燃焼状態を診
断する装置において、誤診断を低減する。 【構成】回転状態検出手段100により内燃機関の所定
のクランク角度間を回転するのにかかる時間を計測し、
燃焼状態パラメータを算出する。燃焼状態判定手段20
は、この時燃焼状態パラメータが、予め設定された値を
越えると失火と診断する。また、これとは別に、負荷の
変動を監視し、負荷の急変が生じうる場合には、上記診
断処理を停止する。 【効果】本発明によればコストの上昇を伴うことなく、
燃焼状態の検出精度を向上することができる。したがっ
て、失火による未燃焼ガスの排出や排気系の温度上昇を
最小限に抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、負荷の変動が要因であ
る回転変動と燃焼異常による回転変動とを識別可能な内
燃機関の燃焼状態検出装置およびそれを搭載した自動車
に関する。
【0002】
【従来の技術】最近は、社会一般に環境問題や資源問題
が大きく取りざたされている。特に、自動車はその両方
の問題を抱えているため、各種の対策が考えられてい
る。その解決策としては、例えばエンジンの希薄燃焼技
術がある。この希薄燃焼技術とは、エンジンに噴射する
ガソリンと空気との混合気中のガソリン濃度をできるだ
け薄くすることにより、燃費の向上と、有害物の排出量
を抑えようとするものである。
【0003】しかし、現在、エンジン電子制御技術の導
入により極めて精密な制御を行っているため、失火の生
じる回数は少なくなっているが、これを完全に無くすこ
とは困難である。まして、希薄燃焼を行うと、当然なが
ら、混合気に着火しにくくなるため、失火が生じやすく
なる。失火が生じると、エンジン出力にムラが生じるた
め、振動が発生する。また、燃料の無駄にもなる。その
ため失火を無くすことが望ましいが、上述したとおり完
全に無くすことは困難である。従って、失火が生じた場
合に、いかにこれを制御するかということが重要にな
る。
【0004】そのためには、まず、エンジンでの燃焼状
態を確実に検知することのできる技術が必要となる。現
在の燃焼状態検出装置、例えば失火検出装置は内燃機関
の筒内圧を測定して、筒内圧が所定の圧力に達しない場
合を失火と判断している。また、他の方法としては、失
火等が発生したときに内燃機関の発生トルクが低下する
ことを利用して、回転速度の変化を計測して間接的に燃
焼状態を検出するものがある。このように回転速度の変
化により燃焼状態を検出する方式として、例えば、特開
昭58−51243号があげられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
には以下のような問題があった。
【0006】気筒内の圧力を検出する方法では、気筒の
数だけ筒内圧計を用意する必要があり高価であった。ま
た、筒内圧計の取付けは容易ではなかった。
【0007】また、回転速度の変化を検出するものにつ
いても、回転速度の急激な変化は、必ずしも燃焼異常を
意味するものではないという問題があった。つまり、回
転速度の変化は内燃機関の発生トルクの変化によるもの
と、内燃機関にかかる負荷の変化によるものとがある。
例えば、クラッチの急激な接続時、タイヤがスリップし
た時や、タイヤのスリップ中急にタイヤが路面に動力を
伝えた時などでは、内燃機関にかかる負荷が急激に増大
するため、正常運転であるにも係らず内燃機関の回転速
度は急激に変動する。
【0008】ところが、前記特開昭58−51243号
に示されたものは、内燃機関にかかる負荷の変化による
回転速度の変動は考慮されていなかった。そのため、回
転速度の急落が起きた場合でも、負荷の変動によるもの
か失火によるものかの区別ができず、結果として、稀頻
度の失火の検出を行なうことが難しくなっていた。
【0009】しかし、稀頻度の失火であってもこれを検
出して、異常燃焼が発生していることを運転者に警告し
たり、失火している気筒に対して燃料供給を中断して未
燃焼ガスの排出を防いだり排気系が高温になるのを防ぐ
といったことが、大気汚染防止上、あるいは安全上ます
ます必要となってきている。そのため、負荷の変動と失
火とを見極めて、誤診断の可能性を低減する必要があ
る。
【0010】本発明は、内燃機関にかかる回転状態の変
化に基づいて、燃焼異常を検出する燃焼状態検出装置で
あって、負荷の変化による回転状態の変化を、燃焼異常
による変化であると誤診断することのない燃焼状態検出
装置およびそれを用いたエンジン制御装置を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであって、その一態様として
は、内燃機関の回転状況に関する情報を検出する回転状
態検出手段と、上記回転情報検出手段の検出結果に基づ
いて燃焼状態を診断する燃焼状態診断手段と、負荷の変
動と対応関係を有するなんらかの状態変化と負荷の変動
につながるなんらかの状態変化とのうち少なくとも一つ
を検出する負荷変動検出手段と、上記負荷変動検出手段
の検出結果に基づいて上記燃焼状態診断手段による診断
を停止させる診断禁止手段とを有することを特徴とする
内燃機関の燃焼状態診断装置が提供される。
【0012】この場合、上記回転状態検出手段によって
検出された上記情報に基づき、内燃機関の燃焼に対応す
る燃焼状態パラメータを求めるパラメ−タ算出手段を有
し、上記燃焼状態診断手段は、予め設定された値(以下
「しきい値1」という)を有し、該しきい値1と該燃焼
状態パラメ−タの値とを比較し、その比較結果に基づい
て燃焼状態を診断することが好ましい。また、上記燃焼
状態診断手段は、しきい値1の値を変更する機能を有す
ることが好ましい。
【0013】上記診断禁止手段は、予め設定された値
(以下「しきい値2」という)を有し、該しきい値2と
上記負荷変動検出手段の検出結果とを比較し、その比較
結果に基づいて上記燃焼状態診断手段の動作を停止させ
ることが好ましい。この場合、上記診断禁止手段は、上
記負荷変動検出手段の検出結果に応じて、上記しきい値
2の大きさを変更することが好ましい。
【0014】なお、上記負荷変動検出手段は、内燃機関
に加わる負荷に変動を与えうるある特定の要因の変動を
検知するものであることが好ましい。
【0015】本発明の他の態様としては、エンジンと、
エンジンの回転状況に関する情報を検出する回転状態検
出手段と、上記回転情報検出手段の検出結果に基づいて
燃焼状態を診断する燃焼状態診断手段と、エンジンに加
わる負荷の変動と対応関係を有するなんらかの状態変化
と負荷の変動につながるなんらかの状態変化とのうち少
なくとも一つを検出する負荷変動検出手段と、上記負荷
変動検出手段の検出結果に基づいて上記燃焼状態診断手
段による診断を停止させる診断禁止手段と、上記燃焼状
態診断手段により燃焼異常と診断された場合、予め決め
られているエンジン制御を実行するエンジン制御手段
と、を有することを特徴とするエンジンシステムが提供
される。
【0016】本発明の他の態様としては、エンジンと、
上記エンジンの発生する駆動力を地面に伝えるための車
輪と、該エンジンと車輪との間の駆動力の伝達の断続す
るクラッチと、車輪の動きを制動するブレ−キと、車体
と、を有する自動車において、エンジンの回転状況に関
する情報を検出する回転状態検出手段と、上記回転情報
検出手段の検出結果に基づいて燃焼状態を診断する燃焼
状態診断手段と、1または2以上のある特定の要因に起
因した、負荷の変動と対応関係を有するなんらかの状態
変化と負荷の変動につながる状態変化を検出する運転状
態検出手段と、上記運転状態検出手段の検出結果に基づ
いて上記燃焼状態診断手段による診断を停止させる診断
禁止手段と、上記燃焼状態診断手段により燃焼異常と診
断された場合、予め決められているエンジン制御を実行
するエンジン制御手段と、を有することを特徴とする自
動車が提供される。
【0017】上記ある特定の要因とは、上記車体の振動
であってもよい。
【0018】上記運転状態検出手段は、加速度センサを
含むものであっても良い。
【0019】上記運転状態検出手段は、ブレ−キの作動
および/またはブレ−キの作動量を検知するセンサを含
んで構成されてもよい。この場合、上記センサは、ブレ
−キペダルの動きを検出するもの、あるいは、上記ブレ
−キが油圧を用いたものである場合には上記ブレ−キの
油圧の変動を検出するものであってもよい。
【0020】上記運転状態検出手段は、上記クラッチの
断続状態を検出するセンサを含んで構成されてもよい。
【0021】上述の態様をより具体的に説明する。
【0022】上記課題を解決するためには、一つには、
計測された回転速度や燃焼状態パラメ−タが失火等によ
るものかどうかを判断し、その結果、失火による回転速
度の変化ではなく、内燃機関にかかる負荷の変化による
回転速度の変化とみなされた場合は、前述の内燃機関に
かかる負荷の変化による影響を受けると考えられる期間
は、失火等の診断を行なわないという処理を施す。
【0023】失火等によるものかどうかの判断の方法の
一つとしては、内燃機関の1個あるいは複数の運転状態
を示すパラメータを用いてそのときの運転状態を認識
し、その運転状態で失火が起こった場合に変化するであ
ろう回転速度の変動を推定し、実際の回転速度の変化量
と比較する。この時、実際の回転速度の差が前述の推定
値を越えた場合は、失火等以外の要因、すなわち内燃機
関にかかる負荷が急に増大または減少したと考えられ
る。
【0024】また、別の診断方法として、内燃機関の1
個あるいは複数の運転状態を示すパラメータを用いてそ
のときの運転状態を認識し、その運転状態で失火が起こ
った場合に変化する回転速度の変動によって得られる燃
焼状態パラメータを推定し、実際に得られた燃焼状態パ
ラメータと比較する。この時、実際の燃焼状態パラメー
タが前述の燃焼状態パラメータの推定値を越えた場合
は、失火等以外の要因、すなわち内燃機関にかかる負荷
が急に増大または減少したと考えられる。
【0025】上述の方法によって内燃機関にかかる負荷
の変動による内燃機関の回転速度または燃焼状態パラメ
ータの変動と判断した場合、前述の内燃機関にかかる負
荷の変動による内燃機関の回転速度または燃焼状態パラ
メータの変動の影響があると考えられる期間内の失火の
検出を行なわないようにする。
【0026】また、別の態様としては、ブレ−キの作
動、悪路の走行など明らかに負荷の変動が発生するよう
な運転状態では、このような運転状態であることを検出
し、失火等の診断を行わないという処理をほどこす。
【0027】
【作用】パラメ−タ算出手段は、回転状態検出手段の検
出結果に基づいて、燃焼状態パラメ−タを算出する。
【0028】燃焼状態検出手段は該パラメ−タ値と、し
きい値1とを比較することにより燃焼異常が生じていな
いか否かを診断している。
【0029】一方、負荷変動検出手段あるいは運転状態
検出手段は、クラッチの急激な接続時、タイヤがスリッ
プした時や、タイヤのスリップ中急にタイヤが路面に動
力を伝えた時、あるいは、ブレ−キ作動時や悪路走行時
であることを検出する。そして、これらの検出値としき
い値2とを比較し、急激な負荷変動などが生じていると
判断された場合には、燃焼状態判定手段の動作を停止さ
せる。
【0030】燃焼状態検出手段により燃焼異常と診断さ
れた場合には、エンジン制御手段は、燃焼噴射を停止す
るなどの予め設定された制御を行う。
【0031】これによりブレ−キ作動時や悪路走行など
急激に内燃機関の負荷が変化するとき正常運転にもかか
わらず失火等の燃焼異常と誤診断する可能性を大幅に低
減することができる。このため、より信頼性の高い失火
検出を行なうことが可能となる。従って、運転者への警
告がより正確になり、またより確実に未燃焼ガスの排出
を防いだり排気系が高温になるのを防いだりすることが
できる。
【0032】
【実施例】以下において幾つかの実施例を説明するが、
その前に、これら実施例が本発明においてどのようなけ
位置付けがなされるものであるかを図1を用いて簡単に
説明しておく。
【0033】燃焼状態判定手段200は、回転状態検出
手段100によって計測された回転速度や燃焼状態パラ
メータの変動を監視し、ある”特別のピーク”を検出す
る。この場合、”特別のピーク”とは、失火などの燃焼
異常発生時や、負荷が急変した場合にのみ観測しうるよ
うな通常の変動範囲を越えたものである。なお、ここで
は”特別のピーク”という表現を使用しているが、これ
は特別の”変動”という広い概念で使用しているもので
あって、”ピーク”のみには限定したものではない。後
述する実施例においてこの燃焼状態パラメータに該当す
るのは、パラメータA等である。
【0034】このような構成においては、誤診断が生じ
うる場面が二つある。
【0035】一つは、上記”特別のピーク”の検出時
に、ノイズなどが大きい場合には、該ノイズと”特別の
ピーク”との判別が困難であることによるものである。
二つ目は、従来技術の説明において述べたとおり、該”
特別のピーク”が、燃焼異常によるものか、負荷の急変
によるものかが判別できないことによるものである。但
し、これら両場面は完全に分けて考えることができるも
のではない。例えば、悪路走行時の負荷の変動は、ノイ
ズの要因とみることもできるが、同時に、”特別のピー
ク”に対応する負荷急変の要因と観ることもできる。
【0036】本願発明においては、該二つの場面につい
てそれぞれ誤診断を防ぐための対策をほどこしている。
【0037】第一番目の問題については、別途ノイズの
原因となりうる要因を測定し、その測定値に応じて、予
め誤診断の可能性のある場合には”特別のピーク”の抽
出条件の変更、あるいは、診断の停止等の処置をとるも
のである。なお、下記実施例において、該抽出条件に該
当するのは”しきい値1”である。
【0038】第二番目の問題についても同様に、別途、
負荷の急変を引き起こしうる要因を監視し、負荷の急変
が起こっている場合には、診断を停止するものである。
この場合、該要因は当然ながら、燃焼異常による影響が
少ないものでなければならない。下記実施例において、
該負荷急変の要因に該当するのは、ブレーキ、アクセ
ル、クラッチ、エアコンのコンプレッサ、オルタネータ
等の動作である。
【0039】また、回転状態以外の要因を監視しなくて
も、回転状態検出手段100等により検出された”特別
のピーク”をさらに別の条件(下記実施例における”し
きい値2”がこれに該当する)を用いて判定することに
より、負荷の急変に起因するものであるか否かを判断す
ることもできる。
【0040】これ以下、具体的な実施例である自動車用
の内燃機関システムを説明する。
【0041】まず、内燃機関一般の動作概要を図2を用
いて説明する。
【0042】内燃機関はインジェクタ1によって噴射さ
れる燃料と吸入した空気とを、吸気管7を通じて燃焼室
50内に混合気として取り入れる。該混合気は、点火プ
ラグ5の発生する火花により着火されて燃焼する。そし
て、この後、燃焼ガスは、排気ガスとして排気管8を通
じて排出される。一方、該吸気、燃焼、排気一連の動作
に伴うピストン55の往復運動は、クランクシャフト1
0等により回転運動に変換され、タイヤの回転等に使用
される。
【0043】ハードウエア構成を図2を用いて説明す
る。
【0044】本実施例のエンジンおよびその駆動力を伝
達する機構そのものは従来技術と同様である。そのた
め、ここでは燃焼状態検出のための構成を中心に説明
し、従来技術と同様の部分は説明を省略する。
【0045】本実施例の内燃機関は、回転状態検出手段
100に該当する三つのセンサ、すなわち、レファレン
スセンサ2と、ポジションセンサ3と、フェイズセンサ
4とを備えている。また、これら各センサの出力値を用
いて燃焼状態を診断し、燃焼異常の場合等においては所
定の処理の実行を指示するエンジン制御装置6、燃焼異
常警告装置9を有している。
【0046】レファレンスセンサ2は、現在燃焼中の気
筒は何番目の気筒であるかといった気筒判別に用いる信
号を得るためのものである。本実施例のレファレンスセ
ンサ2では、クランクシャフト10の特定位置に取り付
けられたマーカを検知することによりのクランクシャフ
ト10の角度位置を検出している。
【0047】フェイズセンサ4は、気筒判別の補助信号
を得るためのものである。すなわち、本実施例の内燃機
関は4サイクルの機関であり、上記一連の工程を行うた
めにクランクシャフトは、2回転する必要がある。その
ため、単にレファレンスセンサ2により得られるクラン
クシャフト10の角度位置を検出するのみでは気筒を特
定できない。従って、該フェイズセンサ4により、カム
軸57の角度を検出し、レファレンスセンサ2の出力信
号と共に、気筒判別の際に使用するものである。なお、
該フェイズセンサ4の構成は、レファレンスセンサ2と
同様である。
【0048】ポジションセンサ3は、クランクシャフト
10の回転角速度を測定するためのものである。本実施
例においては、内燃機関始動時に使用するスタータ用の
リングギアの歯形を磁気式ピックアップで検出するもの
を使用している。
【0049】これら各センサの出力する信号の一例を図
3に示す。
【0050】フェイズセンサ4は、吸気、圧縮、燃焼、
排気からなる一連の工程の開始時のみに所定のパルス信
号を出力する。一方、レファレンスセンサ2の出力信号
は、クランクシャフト10が1回転する毎に所定のパル
ス信号を出力する。ポジションセンサ3は、所定の角
度、本実施例においては、上記リンクギアのピッチに対
応した角度ごとに、所定のパルス信号を出力する。な
お、図中、720°となっているのは、4サイクルの内
燃機関では、クランクシャフト2回転(360°×2)
で1工程が終了することを示しているものである。
【0051】なお、以上説明した各センサの具体的な構
成は、上記説明したものに限られるものではない。
【0052】エンジン制御装置6は、レファレンスセン
サ2、フェイズセンサ3、ポジションセンサ4出力に基
づいて、エンジンの燃焼状態検出を行う機能を有するも
ので、上述の燃焼状態診断手段200、診断禁止手段3
00に該当するものである。其の詳細については後ほど
説明する。
【0053】燃焼異常警告装置9は、エンジン制御装置
6が燃焼異常と診断した場合に、これを運転者等に知ら
せるためのものである。該燃焼異常警告装置9は、音、
表示パネルへの表示等を用いて該警告を行う構成となっ
ている。
【0054】エンジン制御装置6の燃焼状態診断処理を
説明する。
【0055】エンジン制御装置6は、図3に示したよう
に、各センサからの入力に基づき、その時点で燃焼中の
気筒を判別している。
【0056】また、ポジションセンサ3からの入力信号
(以下「ポジション信号」という)を監視して、所定個
数のパルスが入力される時間間隔を計測することによ
り、回転速度を算出している。つまり、一定の区間(角
度)を回転するのにかかる時間T(s)を検出し、その
逆数を演算することにより回転速度N(1/min)
を、区間ごとに求めている(注:ここでいう回転速度と
は、実際には、回転数に該当する値である)。そして、
該区間ごとの回転速度Nを用いて、下記数1に示す燃焼
状態パラメータAを算出し、この値を監視することによ
り燃焼状態の診断を行なっている。
【0057】
【数1】A=[N(cyl)−N(cyl−1)]・N
(cyl−1) cyl:該当気筒 N(cyl):該当気筒の回転速度 N(cyl−1):前の気筒の回転速度 燃焼状態パラメータAは、図4に示すように、正常時に
はほぼゼロとなるが、失火時には、その時に内燃機関に
かかっていた負荷にほぼ比例した絶対値を有する負の値
となる。従って、内燃機関にかかる負荷にほぼ比例する
負の値であるしきい値1を設定し、燃焼状態パラメータ
Aの値がこのしきい値1よりも小さくなった場合には、
失火と診断する。そして、運転者への警告及び、失火し
ていると判断した気筒への燃料の供給を中断する。
【0058】正常に燃焼を起こしているときに、クラッ
チの急激な接続を行なった場合のパラメータAの変化の
様子を図5に示す。ここでは、正常に燃焼を行なってい
るにもかかわらず、内燃機関にかかる負荷が急激に増大
したため、パラメータAの値がしきい値1を越えてい
る。従って、このままでは失火と誤診断をしてしまう。
【0059】そのため、本実施例においては、このよう
な誤診断を防ぐために、絶対値がしきい値1より大き
く、かつ、エンジンにかかる負荷のに比例した負のしき
い値2を設定し、燃焼状態パラメータAがこのしきい値
2を越えた場合は、燃焼状態の診断を停止している。な
お、該しきい値2に基づいた判断が、上述の診断禁止手
段300の機能に該当するものである。
【0060】なお、しきい値2の設定をエンジンにかか
る負荷に比例したものとしているのは、負荷が高いほ
ど、失火時に燃焼状態パラメータAに現われるピークが
大きいからである。つまり、失火した状態ではエンジン
出力がある一定の値(完全に失火した場合、理論的には
当該気筒については0になるが、実際には0にまで低下
するものではなく、また、バラツキもある)にまで低下
するため、出力低下以前の出力値が高いほどその回転変
動が大きくなることによるものである。
【0061】なお、しきい値1についても、運転状況等
に応じて変更しているが、この点については後ほど別途
詳細に説明する。
【0062】図5に示したクラッチミートによる燃焼状
態パラメータAの変動に、しきい値2を付加したものを
図6に示す。
【0063】この診断禁止領域の設定方法によって燃焼
状態診断を行なう場合のフローチャートを図7に示す。
【0064】この処理は燃焼状態診断を行なう気筒毎に
行なわれる。例えば、4気筒4サイクルの内燃機関では
クランク角度180度ごとに、また、6気筒4サイクル
の内燃機関では120度ごとに、このルーチンが行なわ
れるものである。
【0065】まず、該当する気筒の回転速度計測区間に
渡る時間Tを計測する(ステップ602)。また、その
燃焼状態パラメータAの失火判定用のしきい値1及び、
誤診断防止用のしきい値2を決定する(ステップ60
4)。そして、燃焼状態パラメータAを計算し(ステッ
プ606)、しきい値2と比較する(ステップ60
8)。燃焼状態パラメータAがしきい値2よりも小さい
場合は、診断禁止フラグを立て(ステップ610)、こ
の時点から燃焼状態の診断を一定期間禁止する(ステッ
プ612)。
【0066】なお、この禁止期間の設定は、診断禁止用
のカウンタを設けて、これに診断を禁止する範囲を設定
する。例えば4気筒4サイクルの内燃機関で、クランク
角度にして720度分に相当する期間診断を禁止したい
場合はカウンタ値として4を設定する。また、6気筒4
サイクルの内燃機関で、クランク角度にして1440度
分に相当する期間診断を禁止したい場合は12を設定す
る。そして、燃焼状態診断ルーチンを行うたびに、診断
禁止用のカウンタの値を1ずつ減少させ、前記診断禁止
用のカウンタの値が0となった時に診断を許可するよう
にすればよい(後述するステップ622〜626を参
照)。なお、該禁止期間の設定は、クランク角度ではな
く、直接、時間により設定する構成としても構わないこ
とは言うまでもない。また、禁止期間の長さも、様々な
条件に基づいて変更される構成としてもよい。
【0067】ステップ608において、パラメータAが
しきい値2よりも小さくなかった場合には、診断禁止フ
ラグが立っていないこと、すなわち燃焼状態診断が許可
されていることを確認した後(ステップ614)、燃焼
状態パラメータAとしきい値1とを比較する(ステップ
616)。その結果、燃焼状態パラメータAがしきい値
1よりも小さい場合は失火等とみなし、失火気筒には燃
料を供給しないなどの処理を施す(ステップ618)。
逆に、しきい値1を越えていない場合には、正常燃焼と
判断する(ステップ620)。
【0068】ステップ614において、診断禁止フラグ
が立っていた場合には、上述した診断禁止カウンタの値
を更新し(ステップ622)、該カウンタ値が0になっ
たか否かを判定する(ステップ624)。該カウンタ値
が0になっていた場合には、診断禁止フラグを下げて診
断禁止状態を解除する(ステップ626)。
【0069】ステップ612,618,620,626
等の後は、再び、ステップ602に戻り、次の気筒に対
して同様の処理を繰り返す。
【0070】燃焼状態パラメータAに代わって、下記数
2に示す燃焼状態パラメータBを採用して燃焼状態の診
断を行なうこともできる。これ以下においては、燃焼状
態パラメータBを採用した場合のエンジン制御装置6の
処理を説明する。
【0071】
【数2】B=[T(cyl)−T(cyl−1)]/T
(cyl−1) cyl:該当気筒 T(cyl):該当気筒の回転速度計測区間内にかかる
時間 T(cyl−1):前の気筒の回転速度計測区間内にか
かる時間 燃焼状態パラメータBは、正常時にはほぼゼロの値とな
り、失火時にはその時に内燃機関にかかっていた負荷に
ほぼ比例するような絶対値を有する正の値となる。すな
わち、失火等の検出に使用するしきい値1を、内燃機関
にかかる負荷にほぼ比例する正の値に設定し、燃焼状態
パラメータBがこのしきい値1を越えた場合、失火と診
断する。図8に、この一例を示した。
【0072】正常に燃焼を起こしているときに、クラッ
チの急激な接続を行なった場合のパラメータBの変化の
様子を図9に示す。ここでは、正常に燃焼を行なってい
るにもかかわらず、内燃機関にかかる負荷が急激に増大
したため、しきい値1を越えてしまっている。
【0073】そのため、前述の場合と同様に、絶対値が
しきい値1より大きく、且つ、エンジンにかかる負荷に
比例した正のしきい値2を設定し、燃焼状態パラメータ
Bがこのしきい値2を越えた場合は、失火の診断を行な
わないようにする。該しきい値2の大きさを負荷に比例
させるのは燃焼状態パラメータAの場合と同様の理由に
よるものである。図9に示したクラッチミートによる燃
焼状態パラメータBの変動に、しきい値2を付加したも
のを図10に示す。
【0074】この診断禁止領域の設定方法によって燃焼
状態診断を行なう場合のフローチャートを図11に示
す。
【0075】図11のフローチャートは、燃焼状態診断
を行なう気筒毎に行なわれる。例えば、4気筒4サイク
ルの内燃機関ではクランク角度180度ごと、また、6
気筒4サイクルの内燃機関では120度ごとに、このル
ーチンが行なわれるものである。
【0076】まず、該当する気筒の回転速度計測区間に
渡る時間Tを計測する(ステップ702)。また、その
燃焼状態パラメータBの失火判定用のしきい値1及び、
誤診断防止用のしきい値2を決定する(ステップ70
4)。そして、燃焼状態パラメータBを計算し(ステッ
プ706)、しきい値2と比較する(ステップ70
8)。燃焼状態パラメータBがしきい値2よりも大きい
場合は、診断禁止フラグを立て(ステップ710)、こ
の時点から燃焼状態診断を一定期間禁止する(ステップ
712)。
【0077】なお、この禁止期間の設定は、診断禁止用
のカウンタを設けて、これに診断を禁止する範囲を設定
する。例えば4気筒4サイクルの内燃機関で、禁止期間
がクランク角度にして720度分に相当する場合は4を
設定する。また、6気筒4サイクルの内燃機関では、禁
止期間がクランク角度にして1440度分に相当する場
合は12を設定する。そして、燃焼状態診断ルーチンを
行うたびに、診断禁止用のカウンタの値を1ずつ減少さ
せ、前記診断禁止用のカウンタの値が0となった時に診
断を許可するようにすればよい(後述するステップ72
2〜726の説明を参照)。
【0078】ステップ708において、パラメータBが
しきい値2よりも小さかった場合には、診断禁止フラグ
が立っていないこと、すなわち燃焼状態診断が許可され
ていることを確認した後(ステップ714)、燃焼状態
パラメータBとしきい値1とを比較する(ステップ71
6)。その結果、燃焼状態パラメータBがしきい値1よ
りも大きい場合は失火等とみなし、失火気筒には燃料を
供給しないなどの処理を施す(ステップ718)。逆
に、しきい値1よりも小さい場合には、正常燃焼と判断
する(ステップ720)。
【0079】ステップ714において、診断禁止フラグ
が立っていた場合には、診断禁止カウンタの値を更新し
(ステップ722)、該カウンタ値が0になったか否か
を判定する(ステップ724)。該カウンタ値が0にな
っていた場合には、診断禁止フラグを下げて診断禁止状
態を解除する(ステップ726)。
【0080】ステップ712,718,720,726
等の後は、再び、ステップ702に戻り、次の気筒に対
して同様の処理を繰り返す。
【0081】上述したパラメータA,Bを使用する場合
には、”特別のピーク”の検出(すなわち、しきい値1
による判断)だけでなく、負荷の急変であるか否かの判
断(すなわち、しきい値2による判断)においても”該
パラメータA,Bの値をそのまま判断対象としていた。
【0082】しかし、負荷の急変であるか否かの判断に
ついては、下記数3に示す回転速度変化量Cをパラメー
タとして使用することもできる。
【0083】
【数3】C=N(cyl)-N(cyl-1) cyl:該当気筒 N(cyl):該当気筒の回転速度 N(cyl−1):前の気筒の回転速度 該回転速度変化量Cは、正常時にはほとんど0である
が、失火時等に置いては、その時に加わっていた負荷の
大きさに比例し、回転速度に反比例した絶対値を有する
正の値をとる。
【0084】この場合も、上述の場合と同様に燃焼異常
と負荷の急変とを判別するためのしきい値2を設定し、
回転速度変化量Cの値がしきい値2よりも小さくなった
場合は、一定期間失火検出を行なわない。なお、しきい
値2を負荷に応じて変更するのは上述した場合と同様で
ある。この一例を図12に示す。
【0085】パラメータAと、パラメータCとを併用し
て燃焼状態診断を行なう場合の処理を図13を用いて説
明する。
【0086】この処理は、燃焼状態診断を行なう気筒毎
に行なわれる。例えば、4気筒4サイクルの内燃機関で
はクランク角度180度ごと、また、6気筒4サイクル
の内燃機関では120度ごとに、このルーチンが行なわ
れる。
【0087】まず、該当する気筒の回転速度計測区間に
渡る時間Tを計測する(ステップ802)。そして、数
3に従って、回転速度変化量Cを計算する(ステップ8
04)。また、その回転速度変化量Cの診断用にしきい
値2を計算する(ステップ806)。
【0088】回転速度変化量Cの値をしきい値2と比較
する(ステップ808)。しきい値2よりも小さい場合
には、診断禁止フラグを立て(ステップ810)、この
時点から燃焼状態診断を一定期間禁止する(ステップ8
12)。この禁止期間の設定方法は、上述の例と同様に
行えば良い。
【0089】ステップ808において、パラメータAが
しきい値2よりも大きかった場合には、診断禁止フラグ
が立っていないこと、すなわち燃焼状態診断が許可され
ていることを確認した後(ステップ814)、パラメー
タAと、しきい値1を計算する(ステップ816,81
8)。そして、該パラメータAとしきい値1とを比較す
る(ステップ820)。その結果、燃焼状態パラメータ
Aがしきい値1よりも小さければ失火等とみなし、失火
気筒には燃料を供給しないなどの処理を施す(ステップ
822)。逆に、しきい値1よりも大きければ、正常燃
焼と判断する(ステップ824)。
【0090】ステップ814において、診断禁止フラグ
が立っていた場合には、診断禁止カウンタの値を更新し
(ステップ826)、該カウンタ値が0になったか否か
を判定する(ステップ828)。該カウンタ値が0にな
っていた場合には、診断禁止フラグを下げて診断禁止状
態を解除する(ステップ830)。
【0091】ステップ812,822,824,830
等の後は、再び、ステップ802に戻り、他の気筒に対
して同様の処理を繰り返す。
【0092】以上述べた例では、燃焼状態診断を禁止す
る期間を一定としているが、該期間の長さは、負荷や、
内燃機関の回転数、もしくは、燃焼状態パラメータの値
等によって可変長にしても良い。また、燃焼状態パラメ
ータ、もしくは、回転速度変化量がしきい値2を超えた
時だけのみ診断を行なわず、次の気筒からは燃焼状態診
断を行うようにしてもよい。
【0093】なお、しきい値1、しきい値2の具体的な
値は、使用するパラメータの種類により異なることはい
うまでもない。
【0094】しきい値1の変更について説明する。
【0095】上述したとおり、エンジンに加わっていた
負荷が大きいほど、高いほど燃焼状態パラメータA,B
等の失火等に由来する変動(しきい値1を越えているか
否かに関係なく)は大きいものとなる。これに対して、
負荷の変動に由来する該パラメータ値の変動(該変動
が、上述したノイズ成分の一部を構成する。このうち、
しきい値1を越えるほどおおきなものについては上述し
た”特別のピーク”として取り扱われる。)は、負荷の
変動幅が一定であれば、その時の負荷の大きさ(負荷の
大きさとは、図14に示す変動する負荷の平均値として
定義づけられるものである)に関わらず一定である。従
って、負荷の小さい状態においては、失火によるピーク
が小さくなることに起因して、S/N比が低下すること
になる。そのため、負荷の大きさに応じて特別のピーク
の抽出条件、つまり、しきい値1を変更する。具体的に
は、負荷が大きくなるにつれて、(ある一定の範囲内
で)しきい値1を大きくすることにより、ノイズを誤っ
て”特別のピーク”として抽出する誤診断の可能性を少
なくすることができる。なお、この負荷に応じてしきい
値を変更する際にはギア比なども考慮してもよい。この
ような負荷に応じたピークの大きさの変化の様子を、図
15に示した。
【0096】以上述べたとおり、しきい値1およびしき
い値2を、例えば、負荷や、回転速度など内燃機関の運
転状態を示すパラメータに応じて変更することにより、
失火などの燃焼異常検出の誤診断を防ぐことができる。
これら、しきい値1,しきい値2の具体的な値は、実際
のエンジンや車体により異なるため、予め運転状態を様
々に変更した実験により求めておく。そして、そのデー
タを内燃機関の運転状態を示すパラメータの関数または
マップ値として対応させ、メモリに記憶させておけばよ
い。このようにしておけば、各々の運転条件で即座に検
索または計算できる。
【0097】なお、しきい値1、しきい値2を上述の通
り変更するのは、負荷が大きい状態ほど上記実施例で採
用している燃焼状態パラメータA等の変動が、大きくな
るからであり、これとは異なる挙動、例えば負荷が大き
いほど変動が小さくなるようなパラメータを使用した場
合には、しきい値1の変更方法は当然ことなる。
【0098】上記実施例においては、単に燃焼状態パラ
メータA等の大きさのみに基づいて診断処理を行ってい
るが、これ以外にも、例えば、しきい値を越えている時
間や周期、波形等を用いてより詳細に分析すればより正
確な診断が可能となる。
【0099】診断を禁止するか否かの判断、言い替えれ
ば、燃焼異常と負荷の急変との区別を、燃焼状態パラメ
ータそのものの大きさにもとづいて行うのではなく、実
施例の説明の冒頭において述べたとおり、別途、負荷急
変の要因を監視し、負荷の急変が生じる場合には、燃焼
状態の診断を停止する構成とすることもできる。以下に
おいてこのような例を説明する。
【0100】悪路を走行する場合のように車体振動等に
よる負荷の変動幅が大きくなると、ノイズが大きくなっ
てくることに起因してS/N比が低下する(図15参
照)。そのため、車体の振動が激しくなると”特別のピ
ーク”の抽出処理を停止し、診断を禁止する。例えば、
加速度センサにより車体の振動等を検出し、振動が激し
い場合、すなわち負荷の変動が大きい場合には上記抽出
処理を停止する。この場合、車体の振動と負荷の変動と
はほぼ対応した変化が見られるため、加速度センサの検
出値を直接監視することにより該判定を行うことができ
る。該加速度センサの検出値が、予め設定された値
(注:該値は、上記しきい値2に相当する役割を果たす
ものである。)以上になった場合には、燃焼状態の診断
を停止させる。なお、この場合においても負荷の大きい
状態ほど、該値を大きくすることは上述のしきい値1、
しきい値2の場合と同様である。従って、例えば、傾斜
の急な悪路において、坂道の上りと下りとを比較した場
合、同じ悪路であっても、上りの方が診断停止状態には
なりにくい。
【0101】なお、振動の原因の種類に応じて、加速度
センサにより計測する方向が異なる。例えば、悪路走行
に起因する振動を検出する場合には、加速度センサは上
下方向の振動を主に検出することが好ましい。この場
合、加速度センサは、サスペンションのバネにより振動
が減衰されない位置、つまり、その質量がバネにより支
えられていない部分に設置すれば検出感度が良い。但
し、これに限定されるものではなくその質量がバネによ
り支えられている部分であっても十分該振動を検出する
ことができる。また、ABS(Antilock Bl
ake System)作動時の振動を検出するために
は、前後方向の振動を主に検出することが好ましい。な
お、この場合には、加速減速による影響を排除するた
め、ハイパスフィルタなどで所定の低周波成分を除去す
れば、ABSに起因する振動のみをより正確に検出可能
である。また、加速度センサは、たわみなどの生じにく
い車体の剛性の高い部分に取り付けることが好ましい。
しかし、剛性がある程度小さい部分にあえて設置し、車
体そのものをローパスフィルタとして機能させることも
可能である。
【0102】この他の例としては、例えば、ブレーキの
使用による急減速による負荷の急変に対しては、図16
に示すようにブレーキペダル70の動きをセンサ72に
より監視することにより、あるいはブレーキの油圧を監
視することにより、迅速に対応することができる。この
場合、単にブレーキが操作されたか否かだけではなく、
その作動量や変化率などをも考慮すればより正確に診断
を中止すべきか否かが判定できる。急加速についてもア
クセルペダルの動きなどを監視することにより同様に対
処できる。さらには、図には示していないが、クラッチ
の断続(特にオートマチック車におけるロックアップ
時)、エアコンプレッサーの作動、オルタネータの作動
に起因する負荷急変についても、これらの動作状態を別
途監視することにより対応することができる。さらに、
ここには明記しなかった様々な要因に対しても適用可能
である。
【0103】これによれば、失火時と負荷急変時との燃
焼状態パラメータA等の変化の大きさに違いがない場合
でも、誤診断を防止することができる。また、これらを
用いた場合にはより的確に診断の停止処理等を行うこと
ができる。なお、この場合でも”特別のピ−ク”の抽出
処理そのものは、上述した実施例と同様に燃焼状態パラ
メ−タAなどを用いて行う。
【0104】上記説明した幾つかの例はいずれか一つの
みを選択しなければならないものではなく、必要に応じ
て、重複して設けても良い。この場合、各要因毎に的確
な判断ができるためより正確な診断が可能となる。ま
た、診断を禁止するか否かの判定は、各要因毎に別個独
立して行うのではなく、各要因を総合した結果に基づい
て行っても良い。これは、例えば、各要因を監視するセ
ンサの出力値を、ある統一的なパラメータ値に変換し、
これらの合計値を判断対象とすることにより容易に実現
可能である。これにより、個々の要因に起因する個々の
負荷変動は小さくても、それらが同時に生じることによ
り全体としては大きな負荷変動が生じるような場合にも
対応することができる。但し、個々の要因毎に別個に判
断しても良く、この場合には、各要因の検出センサの検
出値を直接の判断対象とするため、より高い応答性が得
られる。
【0105】上記各実施例においては、失火等の燃焼異
常を確実に検出できるため、未燃焼ガスの排出や排気系
の温度上昇を最小限に抑制する制御が可能となる。ま
た、新たな部品の追加も少なく、かつ、製造上の困難も
ないためコスト上昇も少ない。
【0106】
【発明の効果】本発明の燃焼状態監視装置によれば、負
荷変動に起因する回転変動を燃焼異常と誤診断を減らす
ことができる。したがって、失火による未燃焼ガスの排
出や排気系の温度上昇を最小限に抑制することができ
る。また、コストの上昇も小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本概念を説明するブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施例の主な構成を示す説明図であ
る。
【図3】センサの検出信号を示すのタイミングチャート
図である。
【図4】燃焼状態検出パラメータAによる失火検出の原
理を示すグラフである。
【図5】クラッチミート時の燃焼状態パラメータAの挙
動を示すグラフである。
【図6】燃焼状態パラメータAの診断禁止領域を示すグ
ラフである。
【図7】燃焼状態パラメータAに基づく燃焼状態診断処
理を示すフローチャートである。
【図8】燃焼状態パラメータBによる失火検出の原理を
示すグラフである。
【図9】クラッチミート時の燃焼状態パラメータBの挙
動を示すグラフである。
【図10】燃焼状態パラメータBの診断禁止領域を示す
グラフである。
【図11】燃焼状態パラメータBに基づく燃焼状態診断
処理を示すフローチャートである。
【図12】回転速度変化量Cに基づいく診断禁止の可否
判断の原理を示すグラフである。
【図13】燃焼状態パラメータAおよび回転速度変化量
Cを併用した燃焼状態診断処理を示すフローチャートで
ある。
【図14】負荷の大きさおよび負荷の変動幅の説明図で
ある。
【図15】負荷の大きさおよび負荷の変動幅による、パ
ラメータの変化の違いを示すグラフである。
【図16】本発明の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…インジェクタ、 2…レファレンスセンサ、 3…
ポジションセンサ、4…フェイズセンサ、 5…点火プ
ラグ、 6…エンジン制御装置、 7…吸気管、 8…
排気管、 9…失火警告装置、 10…クランクシャフ
ト、 50…シリンダ、 55…ピストン、 57…カ
ム軸、 70:ブレーキペダル、 71:ブレーキ、
72:センサ、 74:加速度センサ、 100:回転
状態検出手段、 200:燃焼状態判定手段、 30
0:診断禁止手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 俊夫 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 高久 豊 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の回転状況に関する情報を検出す
    る回転状態検出手段と、 上記回転情報検出手段の検出結果に基づいて燃焼状態を
    診断する燃焼状態診断手段と、 負荷の変動と対応関係を有するなんらかの状態変化と、
    負荷の変動につながるなんらかの状態変化と、のうち少
    なくとも一つを検出する負荷変動検出手段と、 上記負荷変動検出手段の検出結果に基づいて上記燃焼状
    態診断手段による診断を停止させる診断禁止手段と、 を有することを特徴とする内燃機関の燃焼状態診断装
    置。
  2. 【請求項2】上記回転状態検出手段によって検出された
    上記情報に基づき、内燃機関の燃焼に対応する燃焼状態
    パラメータを求めるパラメ−タ算出手段を有し、 上記燃焼状態診断手段は、予め設定された値(以下「し
    きい値1」という)を有し、該しきい値1と該燃焼状態
    パラメ−タの値とを比較し、その比較結果に基づいて燃
    焼状態を診断することを特徴とする請求項1記載の内燃
    機関の燃焼状態診断装置。
  3. 【請求項3】上記燃焼状態診断手段は、しきい値1の値
    を変更する機能を有することを特徴とする請求項2記載
    の内燃機関の燃焼状態診断装置。
  4. 【請求項4】上記診断禁止手段は、予め設定された値
    (以下「しきい値2」という)を有し、該しきい値2と
    上記負荷変動検出手段の検出結果とを比較し、その比較
    結果に基づいて上記燃焼状態診断手段の動作を停止させ
    ること、 を特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃焼状態診断装
    置。
  5. 【請求項5】上記診断禁止手段は、上記負荷変動検出手
    段の検出結果に応じて、上記しきい値2の大きさを変更
    すること、 を特徴とする請求項4記載の内燃機関の燃焼状態診断装
    置。
  6. 【請求項6】上記負荷変動検出手段は、内燃機関の回転
    速度に関する情報を検知するものであることを特徴とす
    る請求項1記載の内燃機関の燃焼状態診断装置。
  7. 【請求項7】エンジンと、 エンジンの回転状況に関する情報を検出する回転状態検
    出手段と、 上記回転情報検出手段の検出結果に基づいて燃焼状態を
    診断する燃焼状態診断手段と、 負荷の変動と対応関係を有するなんらかの状態変化と、
    負荷の変動につながるなんらかの状態変化と、のうち少
    なくとも一つを検出する負荷変動検出手段と、 上記負荷変動検出手段の検出結果に基づいて上記燃焼状
    態診断手段による診断を停止させる診断禁止手段と、 上記燃焼状態診断手段により燃焼異常と診断された場
    合、予め決められているエンジン制御を実行するエンジ
    ン制御手段と、 を有することを特徴とするエンジンシステム。
  8. 【請求項8】エンジンと、上記エンジンの発生する駆動
    力を地面に伝えるための車輪と、該エンジンと車輪との
    間の駆動力の伝達の断続するクラッチと、車輪の動きを
    制動するブレ−キと、車体と、を有する自動車におい
    て、 エンジンの回転状況に関する情報を検出する回転状態検
    出手段と、 上記回転情報検出手段の検出結果に基づいて燃焼状態を
    診断する燃焼状態診断手段と、 1または2以上のある特定の要因に起因した、負荷の変
    動と対応関係を有するなんらかの状態変化と、負荷の変
    動につながる状態変化とのうち少なくとも一つを検出す
    る運転状態検出手段と、 上記運転状態検出手段の検出結果に基づいて上記燃焼状
    態診断手段による診断を停止させる診断禁止手段と、 上記燃焼状態診断手段により燃焼異常と診断された場
    合、予め決められているエンジン制御を実行するエンジ
    ン制御手段と、 を有することを特徴とする自動車。
  9. 【請求項9】上記ある特定の要因とは、上記車体の振動
    であることを特徴とする請求項8記載の自動車。
  10. 【請求項10】上記運転状態検出手段は加速度センサを
    含んで構成されることを特徴とする請求項8記載の自動
    車。
  11. 【請求項11】上記運転状態検出手段は、ブレ−キの作
    動および/またはブレ−キの作動量を検知するセンサを
    含んで構成されることを特徴とする請求項10記載の自
    動車。
  12. 【請求項12】上記センサはブレ−キペダルの動きを検
    出するものであることを特徴とする請求項11記載の自
    動車。
  13. 【請求項13】上記ブレ−キは、油圧を用いたものであ
    って、 上記センサは上記ブレ−キの油圧の変動を検出するもの
    であることを特徴とする請求項12記載の自動車。
  14. 【請求項14】上記運転状態検出手段は、上記クラッチ
    の断続状態を検出するセンサを含んで構成されることを
    特徴とする請求項8記載の自動車。
JP6416392A 1992-03-19 1992-03-19 内燃機関の燃焼状態検出装置 Pending JPH05263709A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6416392A JPH05263709A (ja) 1992-03-19 1992-03-19 内燃機関の燃焼状態検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6416392A JPH05263709A (ja) 1992-03-19 1992-03-19 内燃機関の燃焼状態検出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05263709A true JPH05263709A (ja) 1993-10-12

Family

ID=13250129

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6416392A Pending JPH05263709A (ja) 1992-03-19 1992-03-19 内燃機関の燃焼状態検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05263709A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114347989A (zh) * 2021-12-13 2022-04-15 潍柴动力股份有限公司 一种车速控制方法及装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114347989A (zh) * 2021-12-13 2022-04-15 潍柴动力股份有限公司 一种车速控制方法及装置
CN114347989B (zh) * 2021-12-13 2024-04-16 潍柴动力股份有限公司 一种车速控制方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Klenk et al. Misfire detection by evaluating crankshaft speed-a means to comply with OBDII
US5485374A (en) Combustion-conditon diagnostic system and method for a multicylinder engine
JP3325910B2 (ja) 内燃機関の失火を検出する方法及び装置
US5109695A (en) Misfire detection in an internal combustion engine
US5469735A (en) Self-diagnosing apparatus and method for determining occurence of failure in inner cylinder pressure responsive sensor applicable to engine combustion detecting/controlling system
US5359518A (en) Process for monitoring the power output of the individual cylinders of a multicylinder internal combustion engine
US6023651A (en) Internal combustion engine misfire detection with engine acceleration and deceleration correction during a repetitive misfire condition
EP0437212B1 (en) Method and apparatus for detecting misfired cylinder of internal combustion engine
CN100436784C (zh) 用于随选排量型(dod)发动机的断火检测系统
US7240540B2 (en) Rough road detection system
US8417411B2 (en) Torque sensor performance diagnostic systems and methods
JP3203463B2 (ja) 車両の悪路走行検出装置及び車両用エンジンの失火検出装置
EP0637738A1 (en) A process and system for detecting misfiring in internal combustion engines
JPH05256185A (ja) 不点火およびラフロード検出装置および方法
WO1993020427A1 (en) Error correction in measures of speed, acceleration, misfire detection and roughness
US5504682A (en) Method and apparatus for detecting misfires in an internal combustion engine
US5493901A (en) Combustion state-detecting system for internal combustion engines
US6725709B2 (en) Combustion state diagnosing system and combustion state diagnosing method for diagnosing engine and recording medium
US5602331A (en) Engine misfire detection with cascade filter configuration
KR20160146335A (ko) 실화 진단 시스템 및 실화 진단 방법
US20080189023A1 (en) System and Method for Detecting Engine Misfires
JP2684844B2 (ja) 内燃機関の失火検出装置
US5979407A (en) Passive and active misfire diagnosis for internal combustion engines
US5505087A (en) Method for combustion misfire detection with bad road detection
US5509268A (en) Combustion state-determining system and combustion state control system for internal combustion engines

Legal Events

Date Code Title Description
A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20050128

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20060428

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422