JPH0525694Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は混合作業を必要とする２種類以上の粉
末材料を攪拌混合する混合機において、回転ドラ
ムに収容した前記粉末材料が混合前、あるいは混
合途中に湿気などによつて小さな塊となるのを防
止して、複数種類の粉末材料の混合を迅速確実に
した破砕装置付混合機に関する。

〔従来技術〕

一般に、２種類以上の粉末材料を混合する場
合、粉末材料の中に湿気により小さな塊が生じて
いると、この塊は混合途中に一部は砕けて他の粉
末材料と混合するものの、大部分は塊のままで存
在することが多い。又、混合中においても、材料
が湿気をおびていたりすると、回転ドラムの回転
により材料が移動するたびに小さな塊がいくつか
生じ、この塊の存在により混合作業は複数の粉末
材料をむらなく均一に混合することが困難であつ
た。このため、混合作業の終了後、粉末材料の中
から塊を取除くか、あるいは塊を例えば金網の上
で潰しながら篩にかけて既に混合を終えた材料の
中に混ぜるなどしていたので、混合作業は非常に
手間がかかり面倒であつた。

前記欠点を解消するために、例えば、実開昭59
−166830号に示す破砕装置付の混合機が提案され
ている。この混合機の概略構造を第８図乃至第１
０図により説明する。第８図，第９図において、
１は支柱で、この支柱１の上部に支軸２を中心と
してシーソのように揺動する揺動台３を設け、揺
動台３上には、回転軸４，４′を支承する平面コ
字型の軸受板５，５′を直立させ、前記回転軸４，
４′の両端に回転ドラム６を乗載する摩擦車７，
８が、中央部には揺動台３の裏側に取付けた電動
機９にベルト１０を介して駆動連結させるプーリ
ー１１，１１′がそれぞれ取付けられている。又、
揺動台３はクランク機構１２を介して支柱１下部
に設置した電動機１３と駆動連結し、この電動機
１３によりクランク機構１２を動作させて前記揺
動台３を、支軸２を中心としてシーソのように揺
動させると同時に、電動機９を起動して摩擦車
７，８により、回転ドラム６を回転させると、複
数の粉末材料は前記回転ドラム６の揺動・回転運
動によつて効率よく混合することができる。一
方、回転ドラム６の内部には、粉末材料の中に湿
気により塊が生じている場合、この塊を破砕する
回転羽根１４が第１０図のように設けられてい
る。この回転羽根１４を備えた破砕装置の構造は
第１０図に示すように、回転ドラム６の出入口を
開閉する蓋体１５の回転ドラム６内に位置する内
側面に取付けた軸受部１６に、回転羽根１４を端
部に止着した取付軸１７を挿通してその先端を蓋
体１５外に突出させ、この取付軸１７を、軸受板
５，５′の上端に回転ドラム６の周囲を囲繞して
回転ドラム６の回転を阻害しないように取付けた
支持枠１８に回転ドラム６の側方において設置し
た電動機１９に、伝動軸２０を介して係脱自在に
連結する。取付軸１７と伝動軸２０の連結構造は
第１０図に示すように、電動機１９の回転子軸２
１に連結軸２２を固定し、この連結軸２２に伝動
軸２０をキー２３により軸方向にのみ移動するよ
うに嵌合するとともに、伝動軸２０と連結軸２２
との間に圧縮ばね２４を介挿して伝動軸２２を蓋
体１５側に付勢させ、取付軸１７の突出端に止着
した係合ピン２５を前記伝動軸２０突端に設けた
嵌合溝２６に嵌合されることにより、取付軸１７
と伝動軸２０とを連結する。連結を解くときは、
伝動軸２０を圧縮ばね２４の力に抗して電動機１
９側に戻して嵌合溝２６と係合ピン２５との嵌合
を解く。

そして、前記回転羽根１４は回転ドラム６の連
転と同時に駆動し、粉末材料の混合中、あるいは
混合前に材料の中に塊りが生じていた場合、前記
塊りを破砕して粉末材料の混合を良好に行うこと
が可能となる。

しかし、前記破砕装置付混合機において、回転
ドラムの容積が小さいとき、１枚の回転羽根を用
いてこれを高速回転させることにより、容易に粉
末材料の塊りを破砕することができる。ところ
が、多量の粉末材料を一度に混合する場合、回転
ドラムは粉末材料の収容容積の大きなものを使用
しなければならない。この場合、従前どおり、１
枚の回転羽根を使用して破砕装置を構成すると、
次のような弊害が生じる欠点があつた。

(1) 回転羽根は径寸法の大きいものを使用する関
係上、取付軸、軸受部を始め、回転羽根駆動用
電動機と取付軸との駆動連結機構を構成する部
品の径及び軸方向寸法が長くなるとともに、電
動機の取付位置を後退させる必要があるため、
支持枠が長大になる。

(2) 使用部品の大型化に伴い、重量が増加するた
め、部品取付部分の機械的強度を増す必要があ
つた。

(3) 又、回転羽根を高速回転させるために、電動
機は定格出力の大きなものを必要とするととも
に、回転羽根の回転中、回転羽根が材料と接触
する部分は抵抗が大きく、逆に、接触しない個
所は抵抗が少ない、即ち、回転羽根は偏荷重状
態で運転されるため、混合機の運転中に振動と
騒音が生じやすい。したがつて、電動機の取付
部を始め支持枠、揺動台を強固にする必要があ
つた。

このように、回転ドラムの容積を大きくした場
合、それに合せて単純に回転羽根を大きくして破
砕装置を構成すると、破砕装置を構成する部品が
すべて大型となり、即ち、破砕装置自体が大型化
するため、混合機は必然的に大きくなり、製作に
手間がかかるとともに、その原価を高く、かつ、
破砕装置の操作及び保守点検が面倒になるという
欠点が生じる。

〔考案の目的〕

本考案は前記の欠点を除去し、回転ドラムの容
積が増大しても、破砕装置を特別に大きくせず、
しかも破砕能力を低下させることなく、粉末材料
の混合中に材料の中の塊を迅速確実に粉砕して混
合作業を円滑に行うことができる簡単な構造の破
砕装置を備えた混合機を提供することにある。

〔考案の概要〕

本考案は回転ドラムの蓋体に小径な回転羽根を
回転ドラム内に向けて複数個放射状に取付け、こ
れら回転羽根を定格出力の余り大きくない１台の
電動機により高速回転させて、粉末材料の混合中
などに生ずる粉末材料の塊りを迅速確実に破砕す
るようにしたことを特徴とする。

〔考案の実施例〕

以下本考案の実施例を第１図乃至第７図により
説明する。なお、第１図乃至第７図において、第
８図乃至第１０図に示すものと同一部品は同一符
号にて示す。又、粉末材料の収容容積を大きくし
た回転ドラムの回転・揺動構造は従来と同様の構
造を採用しているので説明を省略する。

第１図及び第２図により破砕装置３０の取付構
造を説明する。図中、３１は回転ドラム３２の前
面と対応して揺動台３の前端に取付けた電動機取
付台で、この取付台３１上には、電動機３３が、
回転子軸に取付けたプーリー３４を回転ドラム３
２の軸線と一致させて載置固定される。３５は先
端に小径の回転羽根４６を備えて回転ドラム３２
の前面板３７に前記プーリー３４の取付位置を中
心として放射方向に配設した回転羽根取付具（以
下取付具という）で、その構造を第５図により説
明する。この取付具３５はシール材３８を収容し
たシール材収容筒３９と玉軸受４０を内蔵した軸
受筒４１とからなり、シール材収容筒３９の筒状
部を前面板３７に開口した透孔４２から回転ドラ
ム３２内に挿通して鍔部３９ａを前面板３７の外
側に掛止し、一方、軸受筒４１はその外周に支持
板４３を係合段部４１ａと当接する位置まで嵌合
して、この支持板４３と鍔部３９ａとの間にカラ
ー４４を介挿し、この状態で前面板３７の内側
（回転ドラム３２内の方向）から締付ボルト４５
を前記支持板４３に締着することにより、軸受筒
４１とシール材収容筒３９とを前面板３７に固定
する。なお、前面板３７は図示しない掛止金具に
より回転ドラム３２に係脱自在に取付けることが
できる。つづいて、先端に小径の回転羽根４６を
複数枚間隔を保つて取付けた駆動軸４７をシール
材収容筒３９側から軸受筒４１に向けて挿通し、
軸受筒４１から突出する突出端に、カラー４９を
介してプーリー４８を止着する。この場合、駆動
軸４７を予めシール材収容筒３９及び軸受筒４１
に通してからシール材収容筒３９と軸受筒４１を
前面板３７に取付けるようにしてもよい。なお、
４９′は回転羽根４６とシール材収容筒３９との
間隔を保持するカラーであり、又、５０はシール
材収容筒３９と軸受筒４１との間に介在させて粉
末材料が軸受筒４１内に侵入するのを阻止するじ
やま板である。そして、前記取付具３５は、第４
図に示すように、小径の回転羽根４６が、電動機
３３のプーリー３４を中心として回転ドラム３２
内に放射状に配置できるよう回転ドラム３２の前
面板３７に取付け（本実施例では３台）、これら
各取付具３５に設けたプーリー４８を、第１図に
示すように、電動機３３のプーリー３４にベルト
５１を介して駆動連結する。５２は前記ベルト５
１に一定の張力を付与するテンシヨンローラで、
それぞれのベルト５１に近接させて前面板３７に
取付けられており、その構造は、第６図、第７図
に示すように、横孔５３を上部に有してほぼ逆三
角形に形成した基板５４と、先端に押圧ローラ５
５を回転自在に取付けて基板５４に支着したロー
ラ取付腕５６とからなり、押圧ローラ５５をベル
ト５１に当接させて基板５４を前面板３７に当て
がい、横孔５３及び下部に設けた透孔５３′から
締付ボルト５７，５７′を挿通し、前面板３７に
螺着し、ベルト５１に張力を付与する場合は、締
付ボルト５７，５７′を弛めて基板５４を第６図
のＸ矢視方向に締付ボルト５７′を中心として回
動すると、押圧ローラ５５がベルト５１を付勢
し、Ｙ矢視方向に戻せばベルト５１を弛めること
ができる。

なお、第１図、第２図において、６０は回転ド
ラム３２が揺動したとき、摩擦車７，８から滑落
するのを阻止する支持ローラで、揺動台３の両側
端に直立した支持柱６１の上端に取付けられて、
回転ドラム３２の胴部中央に間隔を保つて周設し
たガイド突起６２，６２′間に嵌装される。６３
は回転ドラム３２の後部側に取付けた蓋体であ
る。又、摩擦車７，８及びプーリー１１，１１′
を取付けた回転軸４，４′は従来の軸受板５，
５′に代えて、揺動台３上に取付けた軸受部材６
４により回転自在に支承保持されている。

次に動作について説明する。

回転ドラム３２の蓋体６３を外して混合を必要
とする複数の粉末材料を回転ドラム３２に収容
し、再び蓋体６３を係止金具６５により固定す
る。この状態で、電動機９，１３，３３を起動さ
せる。この結果、回転ドラム３２は電動機９，１
３により、回転・揺動し、粉末材料を掻上板６６
により攪拌しながら混合する。この際、前面板３
７に回転ドラム３２内に向けて放射状に配置した
３つの小径な回転羽根４６は、電動機３３の起動
により回転ドラム３２の回転方向と反対方向に高
速回転し、回転ドラム３２がクランク機構１２に
よつて、電動機３３側に揺動する毎に、粉末材料
の中に混つている材料の塊あるいは、混合中に生
じた塊は、前記高速回転する回転羽根４６と衝突
して粉々に破砕される。一方、前記回転羽根４６
は小径に構成したものを回転ドラム３２内に複数
個放射状に配置されているので、回転羽根４６の
回転時、粉末材料による抵抗を受けるものの、回
転羽根４６自体は前記のように小径であるため、
電動機３３に大きな負担をかけることなく高速回
転させることができ、しかも、回転ドラム３２内
に複数個放射状に配置してあるため、１つの回転
羽根４６により塊が例え半截されても、次の回転
羽根４６にて破砕することができる。即ち、１枚
の回転羽根４６では、その羽根の旋回範囲に存在
する塊は破砕できるものの、旋回範囲から離れた
ものは破砕することができない、しかし、本考案
のように小径の回転羽根４６を複数個配設すれ
ば、それぞれの旋回範囲は小さく、しかも、一つ
の回転羽根で完全に破砕されなくても、つぎの回
転羽根かその次の回転羽根の旋回範囲に入つて破
砕することが可能となる。したがつて、塊の破砕
作業を低出力の電動機で効率的に行うことができ
る。

粉末材料の混合作業が終了して回転ドラム３２
から混合を終えた材料を排出したあと、例えば、
回転ドラム３２を洗浄する場合、あるいは、回転
羽根４６の点検、洗浄を行うとき、回転ドラム３
２を摩擦車７，８から降すような場合は、最初に
テンシヨンローラ５２を、前面板３７に締着して
いる締付ボルト５７，５７′を弛め、テンシヨン
ローラ５２の基板５４をベルト５１から遠ざかる
方向に移動させてベルト５１に付与していた張力
を解除し、前記ベルト５１を弛めてプーリー３
４，４８間に張架したベルト５１をはずす。この
あと、回転ドラム３２を図示しないクレーン又は
リフト車を利用して支持柱６１の上方に垂直に吊
上げて摩擦車７，８から降し、回転ドラム３２を
水洗する。又、回転羽根４６の点検等に際して
は、前面板３７を図示しない係止金具を解錠して
回転ドラム３２から取外すことにより、容易に点
検、あるいは洗浄作業が行うことができる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように構成されているので、次
のような効果を有する。

(1) 本考案は小径な回転羽根を複数枚放射状に配
置してあるので、一つの回転羽根の旋回範囲で
破砕できない粉末材料の塊は、他の回転羽根に
より容易に破砕することができる。即ち、回転
羽根の旋回範囲を多く設けることができるの
で、粉末材料の塊を確実破砕し、混合作業を能
率的に行うことができる。

(2) 小径な回転羽根を回転させる電動機は、一枚
の大径な回転羽根を駆動するのに比べ、羽根自
体が小さいので、複数枚回転させる場合でも、
小さな出力の電動機により容易に高速回転させ
ることができる。

(3) 回転羽根の小形化により、これを支持する軸
受部材を始め、破砕装置を構成する部品が小形
軽量化できるので、大径の回転ドラムに破砕装
置を設置する場合、電動機も小出力のものが使
用できることとあわせて、破砕装置の機械的強
度は、一枚の大径な回転羽根を用いた場合に比
べて小さくできる。したがつて、破砕装置は回
転ドラムが大形しても、揺動台を特別に大きく
したり、その機械的強度を特別に強くする必要
がないので、混合機は簡単な構成で容易に製作
できる。

(4) 更に、回転羽根と、これを駆動する電動機と
の結合はベルトにて行つているが、このベルト
はテンシヨンローラを弛めることにより、容易
に結合関係を解除することができるため、回転
羽根の点検あるいは回転ドラムの昇降作業が容
易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の破砕装置を取付けた混合機の
正面図、第２図は要部を切欠いて示す側面図、第
３図は要部平面図、第４図は第２図のＡ−Ａ線に
おける断面図、第５図は回転羽根取付具の縦断面
図、第６図はテンシヨンローラの取付状態を示す
正面図、第７図はその要部縦断面図、第８図は従
来の破砕装置を有する混合機の正面図、第９図は
側面図、第１０図は従来の破砕装置を示す縦断面
図である。 ３……揺動台、７，８……摩擦車、３２……回
転ドラム、３３……電動機、４６……回転羽根、
５１……ベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク機構により揺動する揺動台に摩擦車を
   介して回転ドラムを回転自在に乗載し、この回転
   ドラムを揺動台により揺動させるとともに、摩擦
   車にて回転させて複数種類の粉末材料を攪拌混合
   するようにした混合機において、前記回転ドラム
   の軸方向の端面には、複数の回転羽根を回転ドラ
   ム内に向けて放射状に配設し、これら各回転羽根
   を揺動台の端部に設置した電動機にベルトを介し
   て駆動結合して成る破砕装置付混合機。