JPH05252876A - 酵素固定化グリットおよび家キン用飼料の消化率向上方法 - Google Patents

酵素固定化グリットおよび家キン用飼料の消化率向上方法

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JPH05252876A
JPH05252876A JP4051745A JP5174592A JPH05252876A JP H05252876 A JPH05252876 A JP H05252876A JP 4051745 A JP4051745 A JP 4051745A JP 5174592 A JP5174592 A JP 5174592A JP H05252876 A JPH05252876 A JP H05252876A
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Tadayuki Tanokura
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 所定の硬度およびタンパク質の吸着能を有す
るセラミックスに酵素を固定し、グリットとして利用す
ることを特徴とする。 【効果】 飼料の消化性および効率を向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酵素固定化グリットおよ
び養鶏飼料の消化率向上方法に関する。さらに、詳述す
ると、酵素をある一定以上の硬度をもつセラミックスに
固定化し、酵素固定化グリットとして利用するものであ
る。この固定化グリットは他の動物の飼料に添加してそ
の消化率等を向上させることができる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】家キ
ン類、特に鶏が農家の庭先で飼われていた頃、鶏は好ん
で小石(グリット)を摂取する。これはグリットが物理
的磨砕効果と筋胃の発達という二重の効果により飼料の
消化吸収性を増すためであるとされている。従来は、消
化吸収性の悪い飼料原料を改善するために、グリットに
酵素を適当量混合し、摂餌後に腸管等で酵素の作用効果
を発揮させようとするものである。この従来方法では、
飼料の中に酵素を必ず混入しておかなければならず、し
かも飼料全体に均一に混合する必要があった。また、ペ
レット形態の飼料の場合には加工処理中に酵素の失活が
おきるため、酵素の混合が難しかった。さらには、飼料
に対していつも一定の割合で混合しなければならず、コ
スト的にも不利であった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は酵素をセラミッ
クスに固定化し、その固定化グリットを飼料に混合する
ものであり、グリットの物理的効果に加えて、酵素作用
という化学的方法をプラスした、画期的な飼料効率なら
びに消化率を改善した養鶏用グリットならびに飼料効率
・消化率の改善方法である。本発明方法によれば、従来
より飼料の利用性が悪いとされてきた比較的安価な飼料
原料、例えば粕類、ヌカ類、麦類、動物質飼料を今まで
以上に多く使用することができるとともに、消化吸収性
の優れた高価な飼料でも、さらにその吸収性を良くする
というメリットがある。従って、昨今の厳しい畜産業界
の事情からみて、畜産製品の生産コストの低減は益々重
要な課題であり、特に畜産製品コストの大半を占める飼
料代の低減は極めて重要である。
【0004】実施例1セラミックス担体の製造 予備製造として、磁器粘土、セピオライト、セルロース
パウダーを種々配合したものを約100g作り、約5m
mの球形に成形した。これを900〜1050℃の温度
でマッフル炉で焼結した。これらをレオロボットによる
圧縮強度、擦り合わせにより評価し、走査型電子顕微鏡
で表面観察し、材料の配合割合および焼結温度を決定し
た。その結果、強度に関しては成分よりも焼結温度に強
く依存することが分かった。また電子顕微鏡の観察か
ら、焼結温度は1000℃前後、セピオライト含量は2
0%以上が望ましいと判明した。一般的にセラミックス
は温度をかける程硬度が高くなるが、その反面、構造が
密になり酵素の吸着能が低下する。そこで吸着能を上げ
るために、セピオライトを使用し、細孔数を多くするた
めセルロースパウダーを使用した。しかしこれらの材料
が多くなれば、硬度が低下しグリットが本来もつべき機
能である硬度が犠牲になる。そこで硬度および吸着能を
考慮して、表1の条件を選択した。
【表1】 上記の結果から、本製造を行った。 ア) 磁器粘土の乾燥、粉砕 磁器粘土を良く練った後、5mm程度の薄板状にし自然
乾燥した。これを荒砕きし、ウィーレおよびレッチェの
粉砕機で0.25mmパスに粉砕した。 イ) 混合 磁器粘土、セピオライト、セルロースパウダーを上記の
割合で混合後、水道水を添加し、スラリー状になるまで
良く攪拌した。これをろ紙上で天日乾燥し、適切な水分
量に調節した。 ウ) 加工 内径5mmのダイを使用して、押し出し成形した。これ
を一夜乾燥し、長さ5〜8mmに切断した。 エ) 焼結 上記ウ)で加工したセラミックスを電気炉で焼結した。
昇温時間8時間、保持時間8時間の条件で行った。製造
したセラミックスの圧縮強度、長さ、直径を表2に示し
た。その結果、強度に関しては第6の試料が優れている
ことが分かった。
【表2】
【0005】実施例2酵素固定化グリットの製造 酵素の選択は図1に示すように、試験管内消化試験方法
で行った。可溶化するタンパク質および糖量の多い酵素
を優良とみなした。図2に示す試験方法を基本として、
セラミックスの製造条件、反応時間、酵素濃度、酵素の
種類とセラミックスへの酵素吸着量の関係を試験した。
代表的なセラミックス(セピオライト70%、磁器粘土
30%、セルロースパウダー20%、950℃焼結)に
プロテアーゼを吸着させた固定化グリットについて、
農林水産省飼料安全法令の酸性プロテアーゼの活性測定
法に基づき、反応温度を40℃にし、ナスフラスコにて
測定した。結果は表3に示した。この表から、プロテア
ーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよび複合酵素は
が優れていることが分かった。製造条件と酵素吸着量
の関係を表4に示した。第1の試料が酵素吸着量の点で
優れていることが分かる。
【表3】 *配合飼料−トウモロコシ54.5%、マイロ8.9、
脱脂米糠1.2、生米糠2.0、コーングルテンミール
2.6、コーングルテンフィード1.9、大豆粕9.
1、菜種粕4.0、フィッシュミール2.6、フィッシ
ュソリコブル1.0、ミートボーンミール3.5、イエ
ローグリース0.6、プレミックス0.2、炭酸カルシ
ウム7.37、食塩0.15、リン酸カルシウム0.2
5、メチオニン0.02、リジン0.05、着色原料
0.06 (単位;蛋白−%、1gの飼料に1%の酵素を40度3
時間反応したときの飼料に対する値糖−−mg Gulucose
、1gの飼料に1%の酵素を40度3時間反応したと
きの値)
【表4】 表5は反応時間と酵素吸着率との関係を示す。酵素溶液
を加えると、微小な泡を出して酵素溶液が浸透していく
のが観察されるが、反応初期の酵素吸着量は多くなく、
少なくとも10時間以上反応させる必要があることが分
かる。
【表5】 酵素の種類と酵素吸着率との関係を表6に示す。酵素の
種類によって、酵素の吸着量が変化することが分かっ
た。これは酵素タンパク質の種類の相違ばかりでなく、
夾雑する糖等の量によるものと考えられる。従って、酵
素の種類毎に至適な濃度を決める必要がある。
【表6】 作成した酵素グリットの活性は表7に示す。酵素を吸着
させてから、22日(5℃で保存)後に測定したが、十
分活性は保持されていた。
【表7】 *1 実測値−ここでUとは、乳性カゼインに40度で
作用するとき、反応初期の1分間に1μgに相当する非
蛋白性のフォリン試薬呈色物質の増加をもたらす酵素量
*3活性*1/活性*2×100 *2 吸着蛋白質量から想定される計算値 *4 乳性カゼインと飼料1gを置き換えて測定、従っ
て他の値とは直接対応しない。なおサンプルは1を使用
した。
【0006】実施例3酵素固定化グリットの鶏への利用 1) 酵素のグリットへの固定化 使用する酵素はプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラ
ーゼ、複合酵素である。セラミックスは1回目飼養
試験では、ゼオライト:磁器粘土:セルロースパウダー
=50:50:20、950℃で焼結、硬度6.71k
g、直径約3.5mm、長さ約8mm、重さ約0.1g
を使用し、2回目飼養試験ではゼオライト:磁器粘土:
セルロースパウダー=30:70:20、1050℃
焼結、硬度28.8kg、50:50:20、105
0℃焼結、硬度12.8kg、70:30:20、1
050℃焼結、硬度22.8kg、直径約3.5mm、
長さ約8mm、重さ約0.1gを混合して使用した。 2) 飼養試験による酵素固定化グリットの評価 1回目飼養試験 試験期間:5週間 供試鶏 :採卵鶏シェーバー種雄、1区4群で1群10
羽×5区=200羽 試験区分:表8参照 試験飼料:表9に飼料の配合割合を示した。これを飼料
1とする。 試験方法:グリットの給与方法は、1羽あたり4週令時
に3g、5週令時に1g、6週令時に1g、7週令時に
1gとした。飼料の形態はマッシュとし、不断給餌・給
水とした。 試験項目:群体重(4,5,6,7,8週令) 飼料摂取量(5,6,7,8週令) グリットの摂取量(5,6,7,8週令) 体内残留グリット量 (5,6週令は1群ずつ屠殺解 体内残留グリットの酵素活性 体、8週令は残り全てを屠殺解 消化管の長さおよび重量 体して調査する) 糞量(7,8週令)
【表8】
【表9】 飼料の配合割合および成分値−飼料1(1回目、%) ─────────────────────────── 原 料 名 1区〜5区 ─────────────────────────── マイロ 53.60 ふすま 3.00 脱脂米糠 3.00 生米糠 16.60 コーングルテンフィード 5.00 大豆粕 9.80 フィシュミール 4.20 フェーザーミール 2.00 炭酸カルシウム 1.35 食塩 0.15 ビタミン混合物 0.05 ビタミンAD剤 0.05 リン酸カルシウム 0.70 プレミックス 0.50 ─────────────────────────── 合 計 100.00 ─────────────────────────── 試験期間:5週間 供試鶏 :採卵鶏デカルブ種雌、合計10区で、1〜
4、9及び10区は1区2群、5〜8区は1区3群であ
り、1群8羽 試験区分:表10参照 試験飼料:表11に飼料の配合割合を示した。これを飼
料2とした。 試験方法:グリットの給与方法は表12に示した。飼料
の形態はマッシュとし、不断給餌・給水とした。 試験項目:群体重(4,5,6,7,8週令) 飼料摂取量(5,6,7,8週令) グリットの摂取量(5,6,7,8週令) 体内残留グリット量 体内残留グリットの酵素活性(8週令) 消化管の長さおよび重量 糞量(8週令)
【表10】 2回目飼養試験試験区分 ────────────────────────────── 区 内 容 羽×群 ♀ 飼料の種類* ────────────────────────────── 1 対照区(グリット等なし) 8×2 飼料1 2 グリットのみ 8×2 飼料1 3 プロテアーゼ固定化グリット 8×2 飼料1 4 アミラーゼ固定化グリット 8×2 飼料1 5 対照区(グリット等なし) 8×3 飼料2 6 対照区(酵素のみ添加) 8×3 飼料2 7 グリットのみ 8×3 飼料2 8 セルラーゼ固定化グリット 8×3 飼料2 9 セルラーゼ固定化グリット 8×2 飼料1 10 複合酵素固定化グリット 8×2 飼料1 ────────────────────────────── * 飼料1は表9に示した配合割合と同じ、飼料2は表11に示した
【表11】 飼料の配合割合および成分値−飼料2(2回目、%) ─────────────────────────── 原 料 名 5区〜8区 ─────────────────────────── 大麦 60.00 脱脂米糠 4.10 大豆粕 18.50 フィシュミール 8.00 油脂(植物油) 3.40 炭酸カルシウム 0.92 食塩 0.40 リン酸カルシウム 1.00 ビタミンAD剤 0.18 プレミックス 0.50 アルファルファミール 3.00 ─────────────────────────── 合 計 100.00 ───────────────────────────
【表12】 結果 1回目飼養試験 発育成績および糞量結果は表13に示した。この表か
ら、酵素固定化グリットの効果は認められなかった。糞
量についても顕著な差は認められなかった。原因はグリ
ットの硬度が軟らかすぎて、グリットそのものの効果、
固定化酵素の効果が発揮できなかったものと思われる。
【表13】発育成績と糞量(1回目) 2回目飼養試験 発育成績および糞量の結果は表14に示した。表から分
かるように、どちらの飼料でも増体重については有意差
が認められた。飼料摂取量はマイロ主体の場合だけ有意
差が認められたが、飼料要求率についてはどの飼料でも
有意差は認められなかった。糞量については、酵素等の
効果は顕著ではなかった。マイロ主体の飼料における増
体重については、対照区と比較してアミラーゼ固定化グ
リットに効果が認められた。飼料摂取量については対照
区と比較して差がなかったことから、飼料の効率が改善
されたと判断された。飼料要求率には有意差がなかっ
た。大麦主体の飼料における増体重については、グリッ
トのみ添加区に効果が認められた。
【表14】 8週令解体時における筋胃内残留グリット量、筋胃重
量、腸管長についての結果は表15に示した。グリット
量は、マイロ主体の飼料と大麦主体の飼料について有意
差が認められた。筋胃重量については、グリット添加の
有無による有意差が認められた。腸管長についてはグリ
ット添加により長くなる傾向が認められた。
【表15】 8週齢解体時の筋胃内残留グリット重量、筋胃重量、腸管長の成績 (2回目) ──────────────────────────────────── 区 筋胃内ク゛リット重量(g/ 羽) 筋胃重量(g/ 羽) 腸管長(cm) 群平均 標準偏差 群平均 標準偏差 群平均 標準偏差 ──────────────────────────────────── 1 - - 17.9a 1.92 - - 2 2.35a 1.33 20.3b 2.13 - - 3 2.50a 0.77 18.9ab 2.83 - - 4 2.60a 0.71 20.3b 1.92 - - 5 - - 18.3A 2.71 119.5ab 6.05 6 - - 19.6B 2.48 117.0a 6.03 7 3.62b 1.32 22.2C 2.97 122.5ab 5.94 8 3.63b 1.30 22.6C 3.08 123.2b 6.53 9 2.80a 1.07 19.8b 2.52 - - 10 2.82a 1.20 19.4b 2.94 - - ──────────────────────────────────── *a,bおよびA,B,Cで異符号間に有意差あり グリット重量は危険率1%、筋胃重量は1−2および1
−4で危険率1%それ以外は危険率6%、腸管長は危険
率5% 5〜8区はn=3群、それ以外はn=2群
【0007】実施例4 市販の多孔性材料について、酵素の吸着能を試験した。
方法は表5に示した方法と同様に行った。すなわち、プ
ロテアーゼ3gを100mlのpH3緩衝液に溶解
し、この酵素溶液10mlとサンプル2gを振とう対応
させた。反応温度は20℃で、反応時間は7時間とし
た。反応前後の酵素量をバイオラッド社のプロティン・
アッセイで測定し、その差を吸着量とした。結果は反応
前の酵素量を100%として、100分率で示した。下
記の結果は3回の試験の平均値である。 代表的多孔材 シリカゲル △4.3 合成ゼオライト 0.8 クリーンライト(日本クレア) 41.6 試作セラミックス(30−70−20,950℃) 24.7 ※この結果からクリーンライトと試作セラミックスが優
れていたが、硬度の点で試作セラミックスが最も良いと
判断された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は酵素の選択方法を示すフローシートであ
る。
【図2】図2は酵素吸着試験方法を示すフローシートで
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年2月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 酵素固定化グリットおよび家キン用飼
料の消化率向上方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酵素固定化グリットおよ
び養鶏飼料の消化率向上方法に関する。さらに、詳述す
ると、酵素をある一定以上の硬度をもつセラミックスに
固定化し、酵素固定化グリットとして利用するものであ
る。この固定化グリットは他の動物の飼料に添加してそ
の消化率等を向上させることができる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】家キ
ン類、特に鶏が農家の庭先で飼われていた頃、鶏は好ん
で小石(グリット)を摂取する。これはグリットが物理
的磨砕効果と筋胃の発達という二重の効果により飼料の
消化吸収性を増すためであるとされている。従来は、消
化吸収性の悪い飼料原料を改善するために、飼料に酵素
を適当量混合し、摂餌後に腸管等で酵素の作用効果を発
揮させようとするものである。この従来方法では、飼料
の中に酵素を必ず混入しておかなければならず、しかも
飼料全体に均一に混合する必要があった。また、ペレッ
ト形態の飼料の場合には加工処理中に酵素の失活がおき
るため、酵素の混合が難しかった。さらには、飼料に対
していつも一定の割合で混合しなければならず、コスト
的にも不利であった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は酵素をセラミッ
クスに固定化し、その固定化グリットを飼料に混合する
ものであり、グリットの物理的効果に加えて、酵素作用
という生化学的方法をプラスした、画期的な飼料効率な
らびに消化率を改善した養鶏用グリットならびに飼料効
率・消化率の改善方法である。本発明方法によれば、従
来より飼料の利用性が悪いとされてきた比較的安価な飼
料原料、例えば粕類、ヌカ類、麦類、動物質飼料を今ま
で以上に多く使用することができるとともに、消化吸収
性の優れた高価な飼料でも、さらにその吸収性を良くす
るというメリットがある。従って、昨今の厳しい畜産業
界の事情からみて、畜産製品の生産コストの低減は益々
重要な課題であり、特に畜産製品コストの大半を占める
飼料代の低減は極めて重要である。
【0004】実施例1セラミックス担体の製造 予備製造として、磁器粘土、セピオライト、セルロース
パウダーを種々配合したものを約100g作り、約5m
mの球形に成形した。これを900〜1050℃の温度
でマッフル炉で焼結した。これらをレオロボットによる
圧縮強度、擦り合わせにより評価し、走査型電子顕微鏡
で表面観察し、材料の配合割合および焼結温度を決定し
た。その結果、強度に関しては成分よりも焼結温度に強
く依存することが分かった。また電子顕微鏡の観察か
ら、焼結温度は1000℃前後、セピオライト含量は2
0%以上が望ましいと判明した。一般的にセラミックス
は温度をかける程硬度が高くなるが、その反面、構造が
密になり酵素の吸着能が低下する。そこで吸着能を上げ
るために、セピオライトを使用し、細孔数を多くするた
めセルロースパウダーを使用した。しかしこれらの材料
が多くなれば、硬度が低下しグリットが本来もつべき機
能である硬度が犠牲になる。そこで硬度および吸着能を
考慮して、表1の条件を選択した。
【表1】 上記の結果から、本製造を行った。 ア) 磁器粘土の乾燥、粉砕 磁器粘土を良く練った後、5mm程度の薄板状にし自然
乾燥した。これを荒砕きし、ウィーレおよびレッチェの
粉砕機で0.25mmパスに粉砕した。 イ) 混合 磁器粘土、セピオライト、セルロースパウダーを上記の
割合で混合後、水道水を添加し、スラリー状になるまで
良く攪拌した。これをろ紙上で天日乾燥し、適切な水分
量に調節した。 ウ) 加工 内径5mmのダイを使用して、押し出し成形した。これ
を一夜乾燥し、長さ5〜8mmに切断した。 エ) 焼結 上記ウ)で加工したセラミックスを電気炉で焼結した。
昇温時間8時間、保持時間8時間の条件で行った。製造
したセラミックスの圧縮強度、長さ、直径を表2に示し
た。その結果、強度に関しては第6の試料が優れている
ことが分かった。
【表2】
【0005】実施例2酵素固定化グリットの製造 酵素の選択は図1に示すように、試験管内消化試験方法
で行った。可溶化するタンパク質および糖量の多い酵素
を優良とみなした。図2に示す試験方法を基本として、
セラミックスの製造条件、反応時間、酵素濃度、酵素の
種類とセラミックスへの酵素吸着量の関係を試験した。
代表的なセラミックス(セピオライト70%、磁器粘土
30%、セルロースパウダー外割で20%、950℃焼
結)にプロテアーゼを吸着させた固定化グリットにつ
いて、農林水産省飼料安全法令の酸性プロテアーゼの活
性測定法に基づき、反応温度を40℃にし、ナスフラス
コにて測定した。結果は表3に示した。この表から、プ
ロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよび複合
酵素はが優れていることが分かった。製造条件と酵素
吸着量の関係を表4に示した。第1の試料が酵素吸着量
の点で優れていることが分かる。
【表3】 *配合飼料−トウモロコシ54.5、マイロ8.9、脱
脂米糠1.2、生米糠2.0、コーングルテンミール
2.6、コーングルテンフィード1.9、大豆粕9.
1、菜種粕4.0、フィッシュミール2.6、フィッシ
ュソリコブル1.0、ミートボーンミール3.5、イエ
ローグリース0.6、プレミックス0.2、炭酸カルシ
ウム7.37、食塩0.15、リン酸カルシウム0.2
5、メチオニン0.02、リジン0.05、着色原料
0.06(単位は%) (単位;蛋白−%、1gの飼料に1%の酵素を40度3
時間反応したときの飼料に対する値 糖−−mg Gu
lucose、1gの飼料に1%の酵素を40度3時間
反応したときの値)
【表4】 表5は反応時間と酵素吸着率との関係を示す。酵素溶液
を加えると、微小な泡を出して酵素溶液が浸透していく
のが観察されるが、反応初期の酵素吸着量は多くなく、
少なくとも10時間以上反応させる必要があることが分
かる。
【表5】 酵素の種類と酵素吸着率との関係を表6に示す。酵素の
種類によって、酵素の吸着量が変化することが分かっ
た。これは酵素タンパク質の種類の相違ばかりでなく、
夾雑する糖等の量によるものと考えられる。従って、酵
素の種類毎に至適な濃度を決める必要がある。
【表6】 作製した酵素グリットの活性は表7に示す。酵素を吸着
させてから、22日(5℃で保存)後に測定したが、十
分活性は保持されていた。
【表7】
【0006】実施例3酵素固定化グリットの鶏への利用 1) 酵素のグリットへの固定化 使用する酵素は表3に示すプロテアーゼ、アミラーゼ
、セルラーゼ、複合酵素である。セラミックスは
1回目飼養試験では、ゼオライト:磁器粘土:セルロー
スパウダー(外割)=50:50:20、950℃で焼
結、硬度6.71kg、直径約3.5mm、長さ約8m
m、重さ約0.1gを使用し、2回目飼養試験ではゼオ
ライト:磁器粘土:セルロースパウダー(外割)=3
0:70:20、1050℃焼結、硬度28.8kg、
50:50:20、1050℃焼結、硬度12.8k
g、70:30:20、1050℃焼結、硬度22.
8kg、直径約3.5mm、長さ約8mm、重さ約0.
1gを混合して使用した。 2) 飼養試験による酵素固定化グリットの評価 1回目飼養試験 試験期間:5週間 供試鶏 :採卵鶏シェーバー種雄、1区4群で1群10
羽×5区=200羽 試験区分:表8参照 試験飼料:表9に飼料の配合割合を示した。これを飼料
1とする。 試験方法:グリットの給与方法は、1羽あたり4週令時
に3g、5週令時に1g、6週令時に1g、7週令時に
1gとした。飼料の形態はマッシュとし、不断給餌・給
水とした。 試験項目:群体重 飼料摂取量 糞量(7,8週令)
【表8】
【表9】 2回目飼養試験 試験期間:5週間 供試鶏 :採卵鶏デカルブ種雌、合計10区で、1〜
4、9及び10区は1区2群、5〜8区は1区3群であ
り、1群8羽 試験区分:表10参照 試験飼料:表11に飼料の配合割合を示した。これを飼
料2とした。 試験方法:グリットの給与方法は表12に示した。飼料
の形態はマッシュとし、不断給餌・給水とした。 試験項目:群体重 飼料摂取量 体内残留グリット量 消化管の長さおよび重量 糞量(8週令)
【表10】
【表11】
【表12】 結果 1回目飼養試験 発育成績および糞量結果は表13に示した。この表か
ら、酵素固定化グリットの効果は認められなかった。糞
量についても顕著な差は認められなかった。原因はグリ
ットの硬度が軟らかすぎて、グリットそのものの効果、
固定化酵素の効果が発揮できなかったものと思われる。
【表13】 2回目飼養試験 発育成績および糞量の結果は表14に示した。表から分
かるように、どちらの飼料でも増体重については有意差
が認められた。飼料摂取量はマイロ主体の場合だけ有意
差が認められたが、飼料要求率についてはどの飼料でも
有意差は認められなかった。糞量については、酵素等の
効果は顕著ではなかった。マイロ主体の飼料における増
体重については、対照区と比較してアミラーゼ固定化グ
リットに効果が認められた。飼料摂取量については対照
区と比較して差がなかったことから、飼料の効率が改善
されたと判断された。飼料要求率には有意差がなかっ
た。大麦主体の飼料における増体重については、グリッ
トのみ添加区に効果が認められた。
【表14】 8週令解体時における筋胃内残留グリット量、筋胃重
量、腸管長についての結果は表15に示した。グリット
量は、マイロ主体の飼料と大麦主体の飼料について有意
差が認められた。筋胃重量については、グリット添加の
有無による有意差が認められた。腸管長についてはグリ
ット添加により長くなる傾向が認められた。
【表15】
【0007】実施例4 市販の多孔性材料について、酵素の吸着能を試験した。
方法は表5に示した方法と同様に行った。すなわち、プ
ロテアーゼ3gを100mlのpH3緩衝液に溶解
し、この酵素溶液10mlとサンプル2gを振とう対応
させた。反応温度は20℃で、反応時間は7時間とし
た。反応前後の酵素量をバイオラッド社のプロティン・
アッセイで測定し、その差を吸着量とした。結果は反応
前の酵素量を100%として、100分率で示した。下
記の結果は3回の試験の平均値である。 代表的多孔材 シリカゲル Δ4.3 合成ゼオライト 0.8 クリーンライト(日本クレア) 41.6 試作セラミックス(30−70−20,950℃) 24.7 ※この結果からクリーンライトと試作セラミックスが優
れていたが、硬度の点で試作セラミックスが最も良いと
判断された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は酵素の選択方法を示すフローシートであ
る。
【図2】図2は酵素吸着試験方法を示すフローシートで
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素を常法によりセラミックスに固定化
    し、その固定化グリットを飼料と混合して家キンに給餌
    し、飼料の消化性および効率を向上させる方法。
  2. 【請求項2】 酵素はプロテアーゼ、セルラーゼ又はフ
    ィターゼである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 硬度が10kg以上、タンパク質の吸着
    能が3mg以上BSA/gである、酵素固定化グリッ
    ト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003028476A1 (fr) * 2001-09-11 2003-04-10 Meiji Seika Kaisha, Ltd. Nouvelles compositions enzymatiques pour volailles
US6761968B2 (en) 2000-12-01 2004-07-13 Teijin Limited Biaxially oriented polyester film

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JPH01503707A (ja) * 1986-08-28 1989-12-14 コーテクス・リミテッド 動物成長促進剤

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