JPH05245813A

JPH05245813A - 陶磁器製薄板の製造方法

Info

Publication number: JPH05245813A
Application number: JP6519791A
Authority: JP
Inventors: Yoshifumi Kubota; 喜文久保田; Takashi Oku; 隆司奥; Keijiro Shigeru; 啓二郎茂; Yoshiyuki Omori; 良幸大森; Masaru Tanabe; 勝田辺; Kozo Mizutani; 孝三水谷
Original assignee: Sumitomo Cement Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Cement Co Ltd
Priority date: 1991-03-07
Filing date: 1991-03-07
Publication date: 1993-09-24

Abstract

(57)【要約】【目的】均一な厚さを有し、且つ曲げたり、立体模様
を付与したりする成形加工が容易な陶磁器製薄板の製法
を提供する。【構成】陶磁器原料となる無機物粉体混合物に有機バ
インダーを添加し、プレスロールによりテープ状に成形
した後所望の形状に加工し、乾燥し、焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器製薄板の製造方
法に関する。特に、室内装飾品、照明用器具、家電製
品、建材等の民生用として有用な陶磁器製薄板の製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の陶磁器の成形方法としては、ろく
ろ成形、泥しょう鋳込み成形法等が採られている。特
に、薄板状陶磁器を成形するには、これらの方法の内、
泥しょう鋳込み成形法のみが採られていた。しかしなが
ら、泥しょう鋳込み成形法によって、厚さ５mm以下の薄
板をつくるのは、成形体の強度が低く割れ易いため困難
であり、また、均一な厚さの薄板をつくるのはかなり困
難であった。また、泥しょう鋳込み法によれば、表面に
繊細な立体模様をつけるのは難しく、特に鋭角的な模様
を出すのは著しく困難であり、また、成形体を曲げたり
することができないため、造形的表現力が十分でなかっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、本発明の目的は均一な厚さを有
し、且つ、立体模様をつけたり、曲げたりする等の加工
が可能な陶磁器製薄板の製造方法を提供するにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は、陶磁器
原料となる無機物粉体混合物に有機バインダーを添加
し、プレスロールによりテープ状に成形した後、所望の
形状に加工し、乾燥し、焼成することを特徴とする方法
によって達成される。

【０００５】本発明で用いられる陶磁器原料としては、
ポルトランドセメント及びリン酸カルシウムから選ばれ
る少なくとも一種類と、長石及びペタライトから選ばれ
る少なくとも一種との混合物粉体が好ましく用いられ
る。

【０００６】リン酸カルシウムは陶磁器製薄板の白色度
を向上させる作用を示す。リン酸カルシウムとしては、
第２リン酸カルシウム、第３リン酸カルシウム、アパタ
イトおよび天然骨灰等が好適に用いられる。ポルトラン
ドセメントは焼成による収縮を小さくし、焼成による形
状の変形を抑える作用を示す。使用されるポルトランド
セメントは格別限定されないが、白色ポルトランドセメ
ントが好ましい。白色ポルトランドセメントは鉄分の含
有量が少ないため、白色度の高い陶磁器製薄板が得られ
るからである。

【０００７】長石は、格別限定されないがＫ₂Ｏを１０
重量％程度含有するカリ長石が好ましい。ペタライトは
耐熱衝撃性を向上させる作用を示す。

【０００８】ここで、ポルトランドセメント及びリン酸
カルシウムから選ばれる少なくとも一種と、長石及びペ
タライトから選ばれる少くとも一種との混合比率は、１
〜５０：９９〜５０（重量比）の範囲であることが好ま
しい。ポルトランドセメント及びリン酸カルシウムから
選ばれる少なくとも一種が５０重量％を越えると透光性
が低下する。また、ポルトランドセメント及びリン酸カ
ルシウムから選ばれる少なくとも一種が１重量％未満で
あると、長石と組合せて用いた場合、軟化しやすく、そ
のため変形が大きくなる。また、ペタライトと組合せて
用いた場合、１重量％未満であると、最適焼成温度幅が
せまく、焼成が難しくなる。

【０００９】次に本発明で用いられる有機バインダーと
しては、特に制限はないが、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、ポリビニルアルコール等が好ましく用い
られる。必要に応じて、これらの有機バインダーに可塑
剤としてポリエチレングリコール等を併用することがで
きる。本発明の方法により得られる陶磁器製薄板の厚さ
は５mm以下の範囲内である。５mmを超えるとプレスロー
ルによる成形が困難である。

【００１０】本発明の方法においては、先ず、陶磁器原
料となる無機物粉体混合物に有機バインダーおよび水を
加え混練したうえ、プレスロールにてテープ状に成形す
る。着色薄板を製造する場合は、無機物粉体混合物に顔
料を添加する。次いで、プレスロールによりテープ状に
成形した後、目的とする薄板に応じて、例えば、立体模
様付きシートまたは、平滑度の高いシートをテープ状成
形体に当接し、プレスロールにて型押しする。ここで使
用される立体模様付きシート及び平滑度の高いシートは
紙製、布製及びビニール製等のプレスロール間を通過で
きる柔軟なものが好ましい。

【００１１】無着色のテープ状成形体と着色せるテープ
状成形体とを組合せるか、または互に異なる色に着色し
た２以上のテープ状成形体を組合せて多色の陶磁器製薄
板を得ることができる。代表的な多色陶磁器製薄板の製
造方法においては、陶磁器原料となる無機物粉体混合物
に、顔料および有機バインダーを混合し、プレスロール
によりテープ状に成形した後、小片（例えば、１cm角程
度の大きさ）に分割し、これを、無機物粉体混合物から
プレスロールにて同様に成形した他色のテープ状成形体
の上に載置し、プレスロールにより再度テープ状に成形
する。また、この多色のテープ状成形体に、前述の立体
模様付きシートまたは平滑度の高いシートを型押しして
も良い。

【００１２】次に、前述のようにテープ状に成形した成
形体を、カッターで切り抜く、または、型抜きで押し抜
く等の方法を用いて必要な形にする。この必要な形に切
り抜いたテープ状成形体を曲げる、巻くあるいは平板に
する等の加工を施し、所望の形状として、この形状を保
持する保持具上で乾燥する。このとき、ポルトランドセ
メントを配合した陶磁器原料を用いてテープ成形体をつ
くった場合には、このテープ成形体を湿空中で養生し、
水和硬化せしめた後、乾燥する。このように水和硬化せ
しめることにより、乾燥によるそり等の変形を防止する
ことができる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明を実施例について具体的に説明
する。実施例１天然骨灰２０重量部と、長石８０重量部を配合し、これ
をボールミルにて乾式混合粉砕し、４４μ残分５重量％
以下に整粒し、陶磁器原料を得た。この陶磁器原料１０
０重量部に対して、バインダーとしてカルボキシメチル
セルロースナトリウム８重量部およびポリエチレングリ
コール６重量部を添加し、更に水を２０重量部加え、混
練した後、プレスロール機により約３分間、高速で回転
させ、混練した。混練が十分行われるとテープ状になっ
た。テープ状になったとき混練物をロールから外し、そ
の後、数回プレスロール機を通し、厚さ３mmのテープ状
成形体を得た。

【００１４】このテープ状成形体を長方形に切りガラス
板上で１日乾燥した。乾燥したテープを薄くアルミナの
粉末を敷いた平らな炉床板の上に載置し、１２００℃で
焼成し、陶磁器製薄板を得た。得られた陶磁器製薄板は
真白な透光性の高いものであった。

【００１５】実施例２白色ポルトランドセメント２０重量部と長石８０重量部
を配合し、これを実施例１と同様に整粒し、陶磁器原料
を得た。この陶磁器原料１００重量部に対して、バイン
ダーとしてカルボキシメチルセルロースナトリウム１０
重量部およびポリエチレングリコール２重量部を添加
し、更に水を２４重量部加え、実施例１と同様にしてテ
ープ状成形体を得た。

【００１６】このテープ状成形体を長方形に切り、巻い
て円筒にし、これを５０℃、１００％湿空中にて２４時
間養生し、硬化せしめた後、室温にて２４時間乾燥し
た。乾燥物をアルミナ粉末内に埋めて１２００℃で焼成
した。焼成による変形もなく、円筒形の陶磁器製薄板が
得られた。この円筒形の陶磁器製薄板をランプシェード
として用いたところ、透光性が高く、しかも透過光がや
わらかく従来にない雰囲気を持ったランプシェードとな
った。

【００１７】実施例３白色ポルトランドセメント５重量部とペタライト９５重
量部を配合し、これを実施例１と同様に整粒し、陶磁器
原料を得た。これを実施例２と同様にして、テープ状成
形体を得た。

【００１８】市販のビニール製の花柄模様のついたテー
ブルクロスを適当な大きさに切断し、これを上記のテー
プ状成形体の上に載せ、プレスロール機に通し、立体模
様のついたテープ状成形体を得た。これを円形に切りガ
ラス板上にて実施例２と同様にして養生し、乾燥させた
後、薄くアルミナの粉末を敷いた平らな炉床板の上に載
置し、１２００℃で焼成した。焼成によって表面の立体
模様が変形することもなく、陶磁器製薄板が得られた。
この陶磁器製薄板は耐熱衝撃性に優れていた。すなわ
ち、６００℃に加熱し、炉から出してすぐに１０℃の水
につける耐熱衝撃性試験を１００回繰返したが亀裂が入
ることはなかった。

【００１９】実施例４第２リン酸カルシウム１０重量部、白色ポルトランドセ
メント１０重量部及び長石８０重量部を配合し、これを
実施例１と同様に整粒し、陶磁器原料を得た。この陶磁
器原料１００重量部に対して、顔料を２重量部加え、ボ
ールミルにて混合した。

【００２０】次に、この顔料を加えた陶磁器原料を実施
例２と同様にしてテープ状成形体とした。この顔料入り
テープ状成形体を１cm角程度の大きさの小片に分割し、
乾燥しない様にビニール袋に封入し、保存した。次に、
顔料を加えない陶磁器原料を実施例２と同様にしてテー
プ状成形体とした。このテープ状成形体の上に前述の顔
料入りテープ状成形体の小片を適当に並べ、再度、プレ
スロール機によってテープ状成形体とした。これを実施
例３と同様にして養生、乾燥、そして焼成した。この様
にして得られた陶磁器製薄板は木目の様な色模様をもっ
ていた。

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば均一な厚さを有する陶磁
器製薄板を工業的有利に製造することができ、特に、成
形体に立体模様をつけたり成形体を曲げたり等の加工を
容易に行うことができる。本発明方法により製造される
陶磁器製薄板は室内装飾品、照明器具、家電製品および
建材等として有用である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者田辺勝千葉県船橋市本中山３−19−２ (72)発明者水谷孝三千葉県習志野市津田沼３−７−２−204

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】陶磁器原料となる無機物粉体混合物に有
機バインダーを添加し、プレスロールによりテープ状に
成形した後、所望の形状に加工し、乾燥し、焼成するこ
とを特徴とする陶磁器製薄板の製造方法。
【請求項２】無機物混合粉体混合物が、ポルトランド
セメント及びリン酸カルシウムから選ばれる少なくとも
一種と、長石及びペタライトから選ばれる少なくとも一
種との粉体混合物である請求項１記載の陶磁器製薄板の
製造方法。
【請求項３】陶磁器製薄板の厚さが５mm以下である請
求項１または２に記載の陶磁器製薄板の製造方法。
【請求項４】プレスロールによりテープ状に成形した
後、立体模様付きシートまたは平滑度の高いシートをテ
ープ状成形体に当接し、プレスロールにて型押しするこ
とを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の陶磁器
製薄板の製造方法。
【請求項５】陶磁器原料となる無機物粉体混合物に顔
料および有機バインダーを混合し、プレスロールにより
テープ状に成形した後、小片に分割し、これを、無機物
粉体混合物からプレスロールにて同様に成形した他色の
テープ状成形体の上に載置し、プレスロールにより再度
テープ状に成形することを特徴とする請求項１記載の陶
磁器製薄板の製造方法。