JPH05245138A - 超音波媒体用ポリビニルアルコールゲルの製造方法 - Google Patents

超音波媒体用ポリビニルアルコールゲルの製造方法

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JPH05245138A
JPH05245138A JP4045394A JP4539492A JPH05245138A JP H05245138 A JPH05245138 A JP H05245138A JP 4045394 A JP4045394 A JP 4045394A JP 4539492 A JP4539492 A JP 4539492A JP H05245138 A JPH05245138 A JP H05245138A
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JP
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solvent
gel
polyvinyl alcohol
polar solvent
water
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JP4045394A
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Shogo Nakano
正吾 中野
Hiroshi Katsumata
洋 勝又
Akira Mochizuki
明 望月
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Terumo Corp
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 凍結解凍を必要としない超音波媒体用ポリビ
ニルアルコールゲルを、簡単な方法および装置により効
率よく製造する方法を提供する。 【構成】 重合度が35以上でけん化度が90%以上の
ポリビニルアルコール系重合体を極性溶媒、極性溶媒と
貧溶媒との混合溶媒または極性溶媒と非溶媒との混合溶
媒よりなる群から選ばれたいづれか1種の溶媒中に加温
溶解して該ポリビニルアルコール系重合体を含有する混
合液を調製し、さらに該混合液を室温放冷して、貧溶媒
または非溶媒中に浸漬して前駆体ゲルを形成させた後、
水置換する方法により製造される。 【効果】 凍結解凍処理の不要な熱効率に優れたポリビ
ニルアルコール系重合体の含水ゲルを極めて簡単に製造
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な超音波媒体用ポ
リビニルアルコールゲルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】開心術を的確に行なうためには術前に病
変部の位置や形状、それに隣接する正常な部分との関係
等が詳細に診断されることが望まれる。特に新生児等の
重症例においては、このことは手術結果を左右する重要
な問題である。超音波診断は、循環器領域における非侵
襲的な検査方法として近年著しく進歩普及し、これを用
いた術前診断の正確さは、最近の手術成績の向上に大い
に役立っている。しかしながら、胸壁上からプローブを
当てて肺や骨組織を避けつつ行う術前の音波検査では心
疾患や病変部について十分な情報を得ることができな
い。
【0003】この限界を越えてさらに詳しく超音波診断
を行なう方法として開心術中の超音波検査が考えられ
る。すなわち、胸骨正中切開後に心膜または心臓や血管
を切開する前にその外側よりプローブを直接当てて超音
波検査を行なえば、それぞれの内腔に関してより詳しい
外科的に有用な診断が得られる。また、この術中超音波
検査により行なった外科的処置が的確であったかどうか
を術中に確認することが可能で、このことは再手術の防
止や術後管理の上で重要なことである。
【0004】一方、心臓や血管壁に直接プローブを当て
て超音波検査を行なう場合、心臓や血管は心拍とともに
画一的でない動きをしており、またプローブにより圧迫
を受けると不整脈や血圧の低下を生じやすい。したがっ
て、変形できない接触面を有する従来型のプローブを拍
動する心臓等の表面に絶えず密着させ、安全に使用する
ことは困難で、実際には術中のリアルタイム超音波断層
検査法の有用性が十分に発揮されていないのが実状であ
る。すなわち、人体とプローブとの間に空気が存在する
と、空気と生体の音響インピーダンス(ρ×c.ρ:密
度、c:音速)が大きく異なるために超音波の伝達効率
が著しく低下して診断の支障となるのである。したがっ
て、この開心術中の超音波検査に用いるための適当な接
触媒体物質が必要であり、すなわち、心臓等の表面に密
着したままその動きを追従する柔かさと強度および生体
適合性と超音波特性に優れたものが必要であり、こうし
た超音波特性に優れたものとしてゲル状弾性物質が極め
て有効であることから注目を集めることとなり広く研究
開発が行われてきた。
【0005】こうしたゲル状弾性物質として医療用器材
に用い得る材料としては、架橋したポリビニルアルコー
ル系親水性高分子の網目の中にポリビニルピロリドンが
閉じ込められた構造を有する構造物に40%以上の水が
含まれてなるヒドロゲルが知られており、このヒドロゲ
ルは、ポリビニルアルコール系親水性高分子とポリビニ
ルピロリドンとを混合し、しかる後にポリビニルアルコ
ール系親水性高分子のみを架橋不溶化することにより得
られる(特公昭58−44,699号)。
【0006】しかしながら、このようなヒドロゲルは、
濃硫酸酸等未反応の架橋剤の処理の問題の他に、生体適
合性が優れているにもかかわらず滅菌が困難であるとい
う欠点があった。すなわち、オートクレーブ滅菌を行な
う場合、耐熱性が不充分であり、また、エチレンオキサ
イドガス滅菌を行なう場合、該ヒドロゲルが多量の水を
抱蔵しているために、この水にエチレンオキサイドガス
が吸収されて残留したり、あるいはその一部がエチレン
グリコールに変化して残留するので、これらの毒性のた
めにエチレンオキサイドガス滅菌は不可能である。さら
に放射線滅菌を行なう場合、架橋が過度に進み、また材
料中でのフリーラジカルの反応等により酸素、過酸化水
素、水素等が発生する等のために使用には耐えられなか
った。
【0007】さらに、本出願人は、このような医療用器
材に用いられ得る材料として、50〜99重量%の水を
含み、この量の水が含まれ得る程度の架橋度でポリビニ
ルアルコール同志およびポリビニルピロリドン同志およ
びポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを放射
線照射により架橋してなる水不溶性ヒドロゲルを提唱し
ている(特開昭63−292945号)。この水不溶性
ヒドロゲルは、含水率が高くかつ滅菌が容易で、しかも
生体適合性においても優れたものであり、さらに音響特
性にも優れるものであるため、超音波伝達媒体等の医療
用器材として有用であったが、物理的強度が十分ではな
く、衣服に触れると剥れる、使用中に切れるといった問
題が生じ、また取り出した時の触感にヌルヌル感があり
使用後に十分な手洗を必要とするために改善が望まれる
ところであった。例えば、放射線の照射量を上げて架橋
密度を高め、物理的強度を増すことは可能であるが、こ
のような方法ではヒドロゲルの弾性を低下させ、脆いも
のとしてしまい、また反応時の気胞発生に影響があるた
め適当な方法とは言えなかった。
【0008】さらに、こうした課題を解決してなるゲル
状弾性物質を得る製造方法としては、ポリビニルアルコ
ール系重合体を主成分とする含水ゲルの製造方法とし
て、凍結解凍を繰り返す方法(特開昭57−13054
2号)やポリビニルアルコール系重合体を極性有機溶媒
と水の混合溶液に溶解し、一度凍結解凍する方法(特開
昭61−252261号)等が知られている。しかし、
こうしたポリビニルアルコール系重合体の含水ゲルは、
まず前者の方法では、凍結解凍を何度も繰り返すため熱
効率が悪い上に操作が煩雑で解凍後も結晶化による経時
的な収縮が継続するため所定の大きさに形成するとが難
しいという欠点があった。また、後者の方法では、透明
なゲルができるという点では優れているが、やはり凍結
解凍工程を必須とするため熱効率が悪いという欠点があ
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記問題点に鑑みて、
本発明の目的は、凍結解凍を必要としないポリビニルア
ルコール系重合体の含水ゲルを、簡単な方法および装置
により効率よく製造することを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】これら上記諸目的を達成
するため、本発明者らは超音波媒体用ポリビニルアルコ
ールゲルの製造方法について鋭意研究を重ねた結果、ポ
リビニルアルコール系重合体を極性溶媒または極性溶媒
と貧溶媒若しくは非溶媒との混合溶媒中に加温溶解し、
これを室温放冷または貧溶媒若しくは非溶媒中に浸漬す
ることで凍結装置を使用せず、ポリビニルアルコール系
重合体の含水ゲルを簡単に得ることができ、また高含水
率であっても高強度を維持していることから超音波媒体
として最適であることを見出して本発明を完成するに至
った。
【0011】すなわち、本発明の目的は、(1)重合度
が35以上でかつけん化度が90%以上のポリビニルア
ルコール系重合体を極性溶媒、極性溶媒と貧溶媒との混
合溶媒または極性溶媒と非溶媒との混合溶媒よりなる群
から選ばれたいづれか1種の溶媒中に加温溶解して該ポ
リビニルアルコール系重合体を含有する混合液を調製
し、さらに該混合液を室温放冷して、貧溶媒または非溶
媒中に浸漬して前駆体ゲルを形成させた後、水置換する
ことを特徴とする超音波媒体用ポリビニルアルコールゲ
ルの製造方法によって達成される。
【0012】本発明の他の目的は、(2)重合度が50
0以上でかつけん化度が90%以上である上記(1)に
記載の超音波媒体用ポリビニルアルコールゲルの製造方
法によって達成される。
【0013】本発明の他の目的はまた、(3)極性溶媒
と貧溶媒または非溶媒との混合比(重合比)が100:
0〜30:70である上記(1)または(2)に記載の
超音波媒体用ポリビニルアルコールゲルの製造方法によ
って達成される。
【0014】本発明の他の目的はさらに、(4)該ポリ
ビニルアルコール系重合体の濃度が、該ポリビニルアル
コール系重合体を含有する混合液の含有量に対して約2
〜60重量%である上記(1)ないし(3)のいずれか
1つに記載の超音波媒体用ポリビニルアルコールゲルの
製造方法によって達成される。
【0015】
【作用】本発明で使用するポリビニルアルコール系重合
体とは、ビニルアルコールを主たる繰り返し単位とする
ポリビニルアルコールの単独重合またはビニルアルコー
ルと他のビニルモノマーとの共重合体をいう。
【0016】そして、ポリビニルアルコール系重合体が
ビニルアルコール共重合体の場合は、他のビニルモノマ
ーの割合が約35モル%以下であることが望ましい。他
のビニルモノマーは、たとえば、エチレン、プロピレ
ン、スチレン、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のような
(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のようなN
−置換(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アクリロニ
トリル、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニ
ルスルホン酸、ビニルアセトアミド、N−メチルビニル
アセトアミド等のビニルアセトアミド類等を挙げること
ができるが、これらに限定されるものではない。ビニル
アルコールの共重合体では、他のビニルモノマーの1種
または2種以上がビニルアルコールと共重合してもかま
わない。
【0017】そして、本発明では、ポリビニルアルコー
ル系重合体の重合度は35以上であることが必要であ
る。好ましくは該重合度が約500以上であり、より好
ましくは、約1000〜5000である。ポリビニルア
ルコール系重合体の重合度が35未満であると生成する
高含水ヒドロゲルの強度が劣ったものとなる。また、ポ
リビニルアルコール系重合体はけん化度が80%以上で
あることが必要であり、特にけん化度が90%以上であ
るのが望ましい。ポリビニルアルコール系重合体はけん
化度が80%未満であると、やはり得られる高含水ヒド
ロゲルの強度が低くくなるため好ましくない。
【0018】本発明でポリビニルアルコール系重合体を
溶解するのに用いる「極性溶媒」とは、ポリビニルアル
コール系重合体を室温または室温より高い温度で溶解し
て溶液を形成することができる極性を有する溶媒を意味
する。
【0019】本発明で用いられる極性溶媒としては、例
えば、水、ジメチルイミダゾリジノン、テトラヒドロ−
2−ピリミジノン、尿素、テトラメチル尿素、ジメチル
尿素、イミダゾロン等の尿素系溶媒、ホルムアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル
−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキ
シド、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等
のスルホキシド系溶媒、グリセリンやエチレングリコー
ル等の多価アルコール系溶媒、ヘキサメチルホスホリッ
クトリアミド等のりん酸アミド系溶媒、エチレンアミ
ン、ジエチレントリアミン等のポリアミン等が挙げられ
る。これらの極性溶媒を用いるとポリビニルアルコール
系重合体を含有する溶媒を円滑に調製できる。これらの
中でも特に、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾ
リジノンが好ましいものである。該極性溶媒は、これら
の中から選ばれた1種のみを使用しても2種以上を併用
してもよい。
【0020】一方、本発明で使用する貧溶媒または非溶
媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、
メトキシエタノール、エトキシエタノール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等の
エーテル類、アセトニトリル等を挙げることができる。
貧溶媒または非溶媒は、用いられるポリビニルアルコー
ル系重合体の種類等により貧溶媒あるいは非溶媒として
働くものであり、いづれかに一方に特定されるものでな
く、またこれらの中から1種のみを使用してもまたは2
種以上を併用してもよい。
【0021】上記溶液を調製するにあたっては、極性溶
媒と貧溶媒または非溶媒との混合比(重量比)は、好ま
しくは約100:0〜約30:70、より好ましくは9
0:10〜40:60である。混合溶媒中における極性
溶媒の濃度は、該極性溶媒のポリビニルアルコール系重
合体に対する溶解能力と貧溶媒および/または非溶媒の
非溶解能力との関係によって、適宜決められるべきもの
であり、特に限定されるものでない。
【0022】極性溶媒または極性溶媒と貧溶媒若しくは
非溶媒との混合溶媒へのポリビニルアルコール系重合体
の溶解は、室温以上の温度で行い、特に50℃以上の温
度で溶解させるのが、溶解速度、溶液粘度等の点で好ま
しい。また、該重合体の溶解は通常大気圧下で充分達成
することができる。
【0023】そして、該ポリビニルアルコール系重合体
の濃度は、該ポリビニルアルコール系重合体を含有する
混合液の全重量に対し約2〜60重量%、特に3〜40
重量%にするのがよい。
【0024】そして、上記のようにして調製されたポリ
ビニルアルコール系重合体を含有する混合液は、例え
ば、室温で放置冷却することにより、通常半透明〜乳白
色のゲル状固体(以下、前駆体ゲルともいう)とするも
のが得られる。なお、この時、該前駆体ゲルを得るため
に該混合液を室温より低い温度で冷却することは自由で
あるが、操作、装置上前者のほうが好ましい。該前駆体
ゲルはそれ自体で自己支持性の強靭な固形物であって砕
けたりせずに取り扱うことができ、最終的な超音波媒体
用ポリビニルアルコールゲルとして用いられる高含水ゲ
ルの前駆体ゲルとして貯蔵、流通および/または販売等
が可能である。たとえば、上記混合液をガラス板等に流
延して前駆体ゲルの析出を行わせると、シートまたはフ
ィルム状の前駆体ゲルが形成され、また特定の容器や型
等に上記混合液を注入してゲルの析出を行わせると容器
や型の内部形状に一致した形状を有する前駆体ゲルの成
形体を形成することができる。
【0025】このようにして形成された該前駆体ゲル
を、水置換して超音波媒体用ポリビニルアルコールゲル
を製造する方法としては、例えば、水または水性溶媒の
うちいずれか1種の溶媒中に浸漬させる方法、あるいは
極性溶媒中に数分〜14日間浸漬後、水中に数分〜14
日間浸漬させる方法等が挙げられる。これらの浸漬時間
は、試料形状に大きく影響され、最終的に必要とするゲ
ルの厚みが薄く、表面積の大きなものでは、数分〜数時
間の浸漬でも充分である。
【0026】また、本発明ではポリビニルアルコール系
重合体を含有する上記混合液を、そのまま放置して前駆
体ゲルを形成する代わりに、貧溶媒または非溶媒中に浸
漬して該前駆体ゲルを形成することができる。該貧溶媒
または非溶媒としては、メタノール、エタノール、プロ
パノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等
のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシ
エタン等のエーテル類、アセトニトリル等を挙げること
ができる。該貧溶媒または非溶媒は、用いられる上記混
合液等により貧溶媒あるいは非溶媒として働くものであ
り、いづれかに一方に特定されるものでなく、またこれ
らの中から1種のみを使用してもまたは2種以上を併用
してもよく、2種以上を併用する場合は、2種以上の貧
溶媒または非溶媒からなる混合溶媒中に上記混合液を浸
漬しても、または最初に第1の貧溶媒または非溶媒に浸
漬した後、第2、第3の貧溶媒(または非溶媒)に逐次
浸漬してもよい。また、上記ポリビニルアルコール系重
合体を溶解することのできる極性溶媒を該非溶媒中に一
部添加することは自由である。
【0027】また、ポリビニルアルコール系重合体を含
有する上記混合液を、アルコール等の貧溶媒または非溶
媒に浸漬した場合は、その最初の浸漬により前駆体ゲル
が形成されるので、それを更に水中で浸漬することによ
っても、目的とする超音波媒体用ポリビニルアルコール
ゲルに用いられる高含水ゲルを形成することができる。
【0028】また、該ポリビニルアルコール系重合体を
含有する混合液を該貧溶媒または非溶媒中に浸漬する際
の温度および浸漬時間は、試料形状等に応じて適宜選ぶ
ことができるが、通常約0〜50℃の該貧溶媒または非
溶媒中に約数分〜14日間浸漬するのがよい。
【0029】そして上記により形成された該高含水ゲル
は、通常、乳白色不透明〜半透明で、押厚してもその含
有水分を外部に放出しない。該高含水ゲルは、冷〜温水
不溶性であり、含水時の重量を基準にして、通常、約6
0〜95%という多量の水分を保有しており、切断等に
より任意の形状や大きさにすることができる。
【0030】また、該高含水ゲルの製造時には、該高含
水ゲル形成の妨げにならない限りは、意図する用途に応
じて、染顔料、種々の薬剤、その他の添加剤を加えるこ
とができる。本発明はまた、ジイソシアナート、ジアル
デヒド、ホウ砂等で該高含水ゲルを化学架橋したゲルお
よび該高含水ゲルを電子線やγ線等の放射線により架橋
処理してなるゲルをも含むものである。
【0031】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0032】なお、以下の実施例において、含水ゲルの
強度、伸度および弾性率は、東洋精機製ストログラフT
を使用して、20mm/min.の割合で試料を引っ張
り、歪み/強度曲線の初期勾配より算出した。また、含
水率は下記数式1によって算出した。
【0033】
【数1】
【0034】実施例1 極性溶媒としてのジメチルスルホキシド60gと貧溶媒
としてのジオキサン40gとを混合し、これを撹拌しな
がらポリビニルアルコール(以後、PVAという)(重
合度2000、けん化度99〜100%、ナカライテス
ク株式会社製)8.7gを加え、100℃に1時間保っ
て、PVAを完全に溶解させた。この溶液は、無色透明
であった。
【0035】この混合液を70℃になるまで放冷した
後、ガラス製シャーレ上にキャストし、室温(25℃)
に放置してシート状の前駆体ゲルを得た。キャストして
から24時間後に該ゲルを25℃の水中に1週間以上放
置したところ、乳白色半透明の含水ゲルが得られた。
【0036】得られた含水ゲルの含水率、破断強度、伸
度および弾性率は、それぞれ92.5%、24.3g/
mm2 、240%および10.6g/mm2 であった。
【0037】このゲルの超音波特性として、音速および
減衰率を測定したところ、それぞれ1515m/se
c、1.05dB/cm(10MHz)であった。
【0038】実施例2〜4 それぞれ下記の表1に示す組成および溶解温度条件によ
り1時間撹拌して溶解し前駆体ゲルを作製し、以下実施
例1と同様に含水ゲルを調製した。得られた各含水ゲル
の各物性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】参考例1 ポリエチレンオキシド(MW(重量平均分子量)=4,
000,000、アルドリッチ(Aldrich)社
製)3gを水97gに撹拌しながら溶解し、これをポリ
スチレン製容器(100×40×10mm)に充填し、
γ線を1.0Mradの線量率で照射し、無色透明な含
水ゲルを得た。このゲルの含水率は96.7%で、音
速、減衰率はそれぞれ、1501m/sec、0.49
dB/cmであった。破断強度、破断伸度はもろく測定
不能であった。初期弾性率(圧縮)は0.995g/m
2 であった。
【0041】参考例2 PVA4g、ポリビニルピロリドン(K−30)4.5
g、ポリビニルピロリドン(K−90)1.5gを水9
0gに撹拌しながら100℃に加熱、溶解した。この水
溶液をポリスチレン製容器(100×40×10mm)
に充填し、γ線を2Mradの線量率で照射し、無色透
明な含水ゲルを得た。このゲルの含水率、音速、減衰率
および圧縮弾性率はそれぞれ、91.2%、1550m
/sec、0.8dB/cmおよび1.03g/mm2
であった。
【0042】
【発明の効果】本発明では、ポリビニルアルコール系重
合体を極性溶媒または極性溶媒と貧溶媒若しくは非溶媒
との混合溶媒中に加温溶解してなる混合液を放置または
貧溶媒若しくは非溶媒中に浸漬することによって、凍結
解凍処理の不要な熱効率に優れた超音波媒体用ポリビニ
ルアルコールゲルを極めて簡単に製造することができ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度が35以上でかつけん化度が90
    %以上のポリビニルアルコール系重合体を極性溶媒、極
    性溶媒と貧溶媒との混合溶媒または極性溶媒と非溶媒と
    の混合溶媒よりなる群から選ばれたいづれか1種の溶媒
    中に加温溶解して該ポリビニルアルコール系重合体を含
    有する混合液を調製し、さらに該混合液を室温放冷し
    て、貧溶媒または非溶媒中に浸漬して前駆体ゲルを形成
    させた後、水置換することを特徴とする超音波媒体用ポ
    リビニルアルコールゲルの製造方法。
JP4045394A 1992-03-03 1992-03-03 超音波媒体用ポリビニルアルコールゲルの製造方法 Pending JPH05245138A (ja)

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