JPH0524327Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 開示技術は、欠損歯や補綴等の歯科治療を歯科
医師が行うに際し、技工士がラボラトリー等で補
助的に行う技巧作業に使用する歯科治療用の口腔
模型の構造の技術分野に属する。

＜要旨の概要＞ 而して、この出願の考案は硬質の石膏製の各支
台歯の側面に形成された支持突条に対する内外の
支持台の支持固定部をテーパ状のガイド溝にし
て、外側と内側の馬蹄形状の支持台の側面に所定
数多数有する顎形類似のアクリル製等の歯科治療
用可搬式の作業模型用トレー構造に関する考案で
あり、特に、個々の支台歯に対する支持台側面の
支台歯支持台の固定部のガイド溝の基部に於い
て、断面半円形等の平行溝が形成され、対応する
支台歯の支持突条の基部には平行柱部が形成され
て、該平行柱部の平行溝に対する圧入による咬合
器に対するマウント用石膏を介しての作業模型の
セツトリセツト時に該支台歯が確実に固定状態を
保持されて脱落等しないようにされ、而して、支
持台の支持固定部のテーパ溝は支持台の側面に於
いて前歯部が密に、奥側の臼歯部が疎に配列さ
れ、更に、トレーの裏面には咬合器に対するマウ
ント用石膏を介してのセツトリセツト時にワンタ
ツチ的に作業が行われるようにマグネツトが付設
されている歯科治療用可搬式の作業模型用トレー
構造に係る考案である。

＜従来の技術＞ 周知の如く、市民生活が向上すると、食生活も
著しく豊かになつて、各種の食品が大量少量に出
回るようになり、したがつて、口腔衛生のバラつ
きによる虫歯や欠損歯の治療、或は、補綴等の歯
科治療が極めて多くなり、加えて、平均寿命の向
上に合わせて老人層のみならず、年輩層における
歯科治療も多くなつており、そのため、歯科医師
による歯科医院等での歯科治療ばかりでなく、こ
れを補助するべくラボラトリー等に於いてバツク
アツプする技工士の作業も多種多様で多岐に亘る
ようになり、しかも、その正確さや精度向上につ
いてはますます厳しさが求められるようになつて
きている。

而して、一般にかかる歯科治療は歯科医師によ
る口腔内の印象に始まり、該印象に基づく石膏注
入による作業模型の製作や該作業模型に基づく
歯、冠修復物の製作、そして、口腔内へのセツト
という手続を経るため、ステツプバイステツプの
正確な技工作業が求められるようになつてきてお
り、従来一般には歯科医師等により作成された硬
質石膏製の作業模型の支持台に対し、第１２図に
示す様な支台歯１が１本、或は、２本等のダウエ
ルピン２により嵌着取り外し自在にされて所定の
技工作業が行われていた。

しかしながら、該支台歯１の数の少い場合はと
もかく、複数歯に亘る場合には不可避的にダウエ
ルピン２の着脱によりガタつきが生じ、更には、
作業模型を咬合器にセツトし、作業する際、ダウ
エルピン式の可搬式模型用トレーでは上顎の支台
歯が脱落し易いという不都合さがあつた。

これに対処するに、第９図に示す様な、例え
ば、アクリル製等のガイド付の作業模型用トレー
３が量産的に市販されて技工士のラボラトリー等
で用いられるようになり、その内外の馬蹄形の支
持台４，５の相対向する側の面に第１０図に詳示
する様な下向テーパ溝のガイド溝６，６……を同
形同ピツチ配列で穿設形成し、第１１図に示す様
な支台歯１′のベース７の側面に該ガイド溝６に
対応する断面半円形の下細テーパ状の支持突条８
を一体的に形成し、ガイド付の作業模型用トレー
３の内外の支持台４，５に形成したガイド溝６，
６……に対応的に嵌着係合させて第１３図に示す
咬合器９にセツトし、所定の技工作業を行つてい
た。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかしながら、ガイド付作業の模型用トレー３
の奥側の臼歯部等に於いては支台歯１′が比較的
に大きいために、内外の支持台４，５に於けるガ
イド溝６に対する該支台歯１′の支持突条８の嵌
着係合はテーパ形状を介して対応的に容易に行わ
れるが、前歯部（特に下顎歯）の支台歯１′はそ
のサイズが一般的に相対的に小さいために該支台
歯１′の支持突条８と内外の支持台４，５のガイ
ド溝６が対応出来難くなる難点があり、そのた
め、支持台４，５のテーパ溝６，６の間に極細の
他のガイド溝等を形成する態様を工夫し使用して
いる例もあるが、支台歯１′を鋸で所定ピツチ幅
に切断するに、該極細のガイド溝６に支持突条８
が１対１に対応出来なくなる不具合もあつた。

又、各支持台４，５の各ガイド溝６は第９，１
０図に示す様に、基部から先部にかけて先細テー
パ状であるために、支台歯１′の支持突条８の嵌
着は容易であり、正確に位置決めして係合し得は
するものの、第１３図に示す様に、咬合器９にセ
ツトした場合、特に上顎の支台歯１′が脱落し易
く、該支台歯１′がバラバラと脱落するという欠
点があつた。

又、在来の作業模型用トレー３の咬合器９に対
するセツト、リセツトはこれまで当該第１３図に
示す様に、マウンイングプレート１０，マウント
用石膏１１を介してネジボルト１２による緊結手
段を用いていたために、セツトリセツト時にいち
いち該ネジボルト１２の取り外しをせねばなら
ず、極めて作業が煩瑣であり、能率が悪く、その
間、上述の如く各支台歯１′（特に上顎歯の）が
落下して損壊を生じた場合には再補修をしなけれ
ばならない等の不都合さがあつた。

又、当該第１３図に示す様に、咬合器９のスタ
ンド１３の上部の支点１３′にセツトプレート１
４をオーバーハングさせて、切歯ピン１５を左右
にゆつくりとスイングさせて顎機能を測定する作
業時に犬歯等のガイドにより上述在来態様のガイ
ド付の作業模型用トレー３に側方力が印加され
て、マウンテイングプレート１０の固定状態にガ
タつきが生ずる場合がある虞があつた。

又、在来方式においても、これに対処するに、
該マウンテイングプレート１０をマグネツト式に
する態様もあつたが、該マウンテイングプレート
１０がセツトプレート１４とマウント用石膏１１
との間に介装されるために、側方への運動のタイ
ミングでブレが生じ易いというマイナス点があつ
た。

＜考案の目的＞ この出願の考案の目的は上述従来技術に基づく
複雑化し、増大する歯科治療に伴う技工士のラボ
ラトリーに於ける技工の第二次の支台歯の作成の
正確、且つ、高能率の作業要望に充分に応えられ
ない問題点を解決すべき技術的課題とし、各支台
歯が奥側の大臼歯部や手前側の前歯部にかかわら
ず、支台歯模型用トレーの外側、内側の支持台に
確実、且つ、スムースに嵌合出来、又、強固に保
持され、更に、咬合器に対する作業模型のセツト
リセツトがワンタツチ的に正確に行え、確実な技
工作業が高能率にスピーデイに行え、そのうえ、
取り扱う支台歯に損傷等が生じないようにして医
療産業における歯科技工技術利用分野に益する優
れた歯科治療用可搬式の作業模型用トレー構造を
提供せんとするものである。

＜課題を解決するための手段・作用＞ 上述目的に沿い先述実用新案登録請求の範囲を
要旨とするこの出願の考案の構成は前述課題を解
決するために、補綴等の歯科治療に際し、歯科医
師等の採得した印象より得た作業模型を技工士が
ラボラトリー等に於いて、支台歯を鋸等により所
定数に分断し、可搬式トレータイプの該各支台歯
側面の支持突条をしてアクリル製等の歯科治療用
の作業模型用トレーの内外の支持台の側面に形成
された対応するテーパ状のガイド溝に挿入して支
持するに際し、該作業模型用トレーの支持台側面
のガイド溝を臼歯側の支台歯に対しては疎く、前
歯側に対しては密に所定ピツチで疎密配列状に形
成し、そして、各ガイド溝の基部に於ける断面円
形等の平行溝に対し各支台歯の支持突条の基部に
設けた断面円形等の平行柱部を圧入させ、圧着係
合させて両者の摩擦を介して固定状態を確実に維
持し、作業模型用トレーを咬合器にセツトするに
際し該作業模型用トレーの裏面に設けたマグネツ
トと突状を持つスペーサを一体に双方のマグネツ
トを介して密着し、所定の位置に通法通り石膏を
用いてセツトし、取り外しはマグネツトの解離を
介しワンタツチ裡に行い、所定の正確な支台歯を
介しての技工作業が行えるようにした技術的手段
を講じたものである。

＜実施例＞ 次に、この出願の考案の１実施例を第１〜８図
に基づいて説明すれば以下の通りである。尚、第
９〜１３図と同一態様部分は同一符号を用いて説
明するものとする。

第１，２図に示す態様において、３′はこの考
案の要旨の中心を成すアクリル製等の歯科治療用
可搬式の作業模型用トレーであつて、技工士のラ
ボラトリー等に於いて、該技工士が歯科医師によ
つて印象を採得された模型に基ずいて超硬石膏等
により作成した第７図に示す様な支台歯１″を含
む顎模型を第８図に示す咬合器９′にマウンテイ
ングプレート１０′を介して一体にして装着し、
所定の技工作業を行うに供される態様であり、そ
の馬蹄形の内外２列の支持台４′，５′の相対向す
る側面には奥側の臼歯部に於いては疎で、前歯部
に於いては密の所定ピツチ配列で下側が先細形状
のテーパ状のガイド溝６′，６′……が穿設されて
おり、各ガイド溝６′に於いてはその基部、即ち、
第１，５，６図に示す様に、図上上部に於いては
所定の短い距離、例えば、0.5〜３mm程度の断面
半円形の上下にストレートな平行溝１６が形成さ
れ、第７図に示す支台歯１″の両側面に形成され
た下向テーパ状の支持突条８′の基部、即ち、図
上上部に形成された平行柱部１６′が緊密に圧入
嵌着出来るようにされている。

尚、第５，６図に示す様に、各支持台４′，
５′のガイド溝６′と平行溝１６との間にはこれら
に交叉する段差部１７が形成されて支台歯１″の
平行柱部１６′の支台歯８′に対するストツパとし
ても機能するようにされている。

又、作業模型用トレー３′の裏面に於いては第
２図に示す様に、咬合器９′にセツトリセツトさ
れる際の位置決め兼取り扱い用の断面三角形の内
細形状の３つのノツチ１８，１８，１８が放射状
に形成されると共に、中央部には方形の永久磁石
のマグネツト１９が埋設されて咬合器９′に係合
セツトする際に該作業模型用トレー３′とマウン
ト用の石膏１１′の間に介装される第３，４図に
示すスペーサ２０の下面（裏面）に設けた対応す
るマグネツト１９′に磁着剥離自在でワンタツチ
裡に咬合器９′に装着離脱自在であるようにされ
ている。

又、該スペーサ２０の上面（表面）には当該第
３，４図に示す様に、作業模型用トレー３′の裏
面のノツチ１８，１８，１８に嵌着係合する突条
１８′，１８′，１８′が形成されている。

而して、該スペーサ２０の上面（表面）には、
第３図に示す様に、一方方向に各々平行に断面三
角形状の所定数の突条２１，２１……が一体的に
固設されて、マウント用の石膏１１′の裏面に形
成された対応する各凹溝に接合して固定状態を確
実に維持することが出来るようにされて、マウン
テイングプレート１０′を介し咬合器９′のセツト
プレート１４に固定することが出来るようにされ
ている。

又、該咬合器９′に於いては、第１３図に示す
在来態様同様にスタンド１３の上部にはセツトプ
レート１４に対する支点１３′が設けられており、
先端部には切歯ピン１５が下向きに固定されてい
る。

勿論、マウント用の石膏１１に於てはスペーサ
２０の断面三角形状の各突条２１に対する断面三
角形状の図示しないノツチが形成されているもの
である。

上述構成において、技工士のラボラトリーにて
歯科医師が採得した印象により作成した支台歯ブ
ロツクを各支持突条８′，８′の間にて鋸等により
各支台歯１″ごとに切断し、トレータイプの作業
模型用トレー３′の内外２列の馬蹄形の支持台
４′，５′の側面の各対応するテーパ溝６′に支持
突条８′を相互のテーパ面を介してスムースに挿
入し、該テーパ溝６′の基部の平行溝１６に対し
ては支台歯１″の支持台４′，５′の支持突条８′の
上部の平行柱部１６′を軽く圧入し、両者の摩擦
抵抗により両者の固定姿勢を保持させ、順次対応
する支台歯１″を嵌着し、上顎と下顎の作業模型
用トレー３′を作成してスペーサ２０の突条１
８′，１８′，１８′にノツチ１８，１８を位置合
せしてマグネツト１９，１９′により両者を一体
とし通法に従い、マウント用の石膏１１を用いて
咬合器９′に第８図に示す様にセツトし、切歯ピ
ン１５を左右にスイングさせ、支点１３′を介し
て咬合調整し、再び上顎と下顎の作業模型用トレ
ー３′を取り外し、各種の調整作業の技工作業を
反復して行う。

したがつて、その間、各支台歯１″は支持台
４′，５′の各テーパ溝６′の平行溝１６に対して
の平行柱部１６′が摩擦抵抗を介して嵌着状態が
維持されるため、咬合器９′に対するセツトリセ
ツト時に該支台歯１′が脱落して損傷を起こした
りすることがなく、当然のことながら、保守補修
再調整等の作業は全くなく、スムースに高能率で
技工作業が行え、精密、且つ、正確な作業が行
え、結果的に正確な歯科治療が行えることにな
る。

尚、この出願の考案の実施態様は上述実施例に
限るものでないことは勿論であり、例えば、技工
態様によつては各支台歯にダウエルピンを用いる
等種々の態様が採用可能である。

＜考案の効果＞ 以上、この出願の考案によれば、基本的に歯科
医師からの印象、もしくは、模型に基づいて、技
工士がラボラトリーに於いて模型を用い作業模型
用トレーを製作して各支台歯のブロツクを対応的
に嵌着固定し咬合器等により石膏調整作業等を行
うに際し、各支台歯はその側面に形成した支持突
条により作業模型用トレーの支持台のテーパ溝に
相互のテーパ部を介してスムースに挿入出来るば
かりでなく、支持台のテーパ溝の基部の平行溝に
支台歯の基部の平行柱部を圧入係合することが出
来るために、両者の摩擦抵抗を介してより確実に
ガタつきなく支台歯を作業模型用トレーにセツト
することが出来る効果があり、更に、咬合器に作
業模型用トレーをセツトして咬合作業をするに際
し、各支台歯が不特定多数脱落等したりせず、し
たがつて、脱落後の支台歯や補綴物の再補修や調
整等を行うことがなく、高能率にスピーデイに技
工作業を行うことが出来るという優れた効果が奏
される。

又、技工作業は極めて熟練を要する手作業であ
るにもかかわらず、この出願の考案によれば、各
支台歯の作業模型用トレーに対する装着が極めて
簡単、且つ、正確に熟練を要することなく行え、
作業時咬合器のマウンテイングプレートに対する
下顎と上顎の作業模型用トレーの着脱がマグネツ
トによりワンタツチ裡に行えるという優れた効果
が奏される。

而して、作業模型用トレーの内外の支持台には
臼歯部に対する支台歯のテーパ溝を疎し、又、前
歯部に於ては密の所定ピツチに配列することが出
来るために、下顎前歯のような小型の支持歯の支
持台に対する嵌着係合もスムースに行われるとい
う優れた効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

第１〜８図はこの出願の考案の１実施例の対応
図であり、第１図は作業模型用トレーの上部概略
斜視図、第２図はその裏面の概略斜視図、第３図
はスペーサの上側からの斜視図、第４図は同下側
からの斜視図、第５図は支持台のテーパ溝の部分
拡大斜視図、第６図は同断面図、第７図は支台歯
の断面概略図、第８図は咬合器の側面図、第９図
は従来技術に基づく作業模型用トレーの概略斜視
図、第１０図は同テーパ溝の拡大斜視図、第１１
図は同支台歯の概略拡大斜視図、第１２図は旧来
技術に基づくダウエルピンを有する支台歯の斜視
図、第１３図は同咬合器の側面図である。 １″……支台歯、８′……支持突条、６′……テ
ーパ状のガイド溝、４′，５′……支持台、３′…
…作業模型用トレー、１６……平行溝、８′……
支持突条、９′……咬合器、１６′……平行柱部、
１１……マウンテイング用石膏、１０′……マウ
ンテイングプレート、１９……マグネツト、２０
……スペーサ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 所定数の支台歯側面に設けられた支持突条に
   対する支持固定部のテーパ状のガイド溝を外側
   と内側の支持台側面に多数有する顎形類似の可
   搬式の作業模型用トレー構造において、上記支
   台歯に対する支持台の固定部のテーパ状のガイ
   ド溝の基部に平行溝が形成されていることを特
   徴とする歯科治療用可搬式の作業模型用トレー
   構造。 (2) 上記テーパ状のガイド溝が支持台の側面に臼
   歯側が疎で前歯側が密な間隔で配列されている
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の歯科治療用可搬式の作業模型用トレー
   構造。 (3) 上記咬合器へのマウント用石膏に対するマウ
   ンテイングプレートの裏面に対する着脱用マグ
   ネツトが一体的に付設されていることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載の歯科
   治療用可搬式の作業模型用トレー構造。