JPH05235836A - 移動体通信の時間分割通信方法 - Google Patents

移動体通信の時間分割通信方法

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Publication number
JPH05235836A
JPH05235836A JP4061093A JP6109392A JPH05235836A JP H05235836 A JPH05235836 A JP H05235836A JP 4061093 A JP4061093 A JP 4061093A JP 6109392 A JP6109392 A JP 6109392A JP H05235836 A JPH05235836 A JP H05235836A
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JP
Japan
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signal
tcm
fdm
frequency
time
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Application number
JP4061093A
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English (en)
Inventor
Sadao Ito
貞男 伊藤
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Iwatsu Electric Co Ltd
Original Assignee
Iwatsu Electric Co Ltd
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    • Y02DCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES [ICT], I.E. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES AIMING AT THE REDUCTION OF THEIR OWN ENERGY USE
    • Y02D30/00Reducing energy consumption in communication networks
    • Y02D30/70Reducing energy consumption in communication networks in wireless communication networks

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  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フレーム構成のタイム・スロットに時間圧縮
した電話信号をのせた多重負荷利得を用いた移動体通信
を提供すること。 【構成】 複数のゾーンをカバーしてサービス・エリア
を構成する各無線基地局30と、複数のゾーンを横切っ
て移動し、無線基地局と交信するためにフレーム構成の
タイム・スロットに時間的に圧縮した区切られた信号を
のせた無線チャネルを用いた各移動無線機100との間
の通信を交換するための関門交換機20とを用いて、無
線チャネルにおいて得られる多重負荷利得と周波数振幅
特性を有効に利用して送信電力を小さくし搬送波間隔を
狭小化するようにした。 【効果】 大きな多重負荷利得により無線基地局および
移動無線機は送信レベルを決定することができ、送信電
力の低減と周波数の有効利用が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は移動体通信における無線
通信チャネルの時間分割通信方法における変調された時
間圧縮多重信号の有する多重負荷利得の有効利用に関す
る。さらに具体的には、ある無線チャネルが与えられ、
これを用いてサービス・エリア内の多数の移動無線機の
うちの1つが、対向する無線基地局と無線回線を設定し
て通信している最中に、他の移動無線機が同一無線チャ
ネルを用いて他の無線基地局と通信を開始したとき、周
波数の有効利用上あるいは電波伝搬特性上の理由で、そ
れぞれ通信中の移動無線機と、無線基地局との間の通信
に悪影響を及ぼすことを未然に除去すると同時に、送信
出力の逓減および搬送波間隔の狭小化による周波数の有
効利用性を向上する経済的な方法を提供せんとするもの
である。
【0002】
【従来の技術】小ゾーン方式を適用した音声を用いる移
動体通信において、時分割時間圧縮多重信号を採用した
方式は、下記の文献に記載されている。
【0003】文献1.伊藤 “携帯電話の方式検討−時
分割時間圧縮FM変調方式の提案−”信学会技報 RC
S89−11 平成元年7月
【0004】文献2.伊藤 “携帯電話の方式検討−時
分割時間圧縮FM変調方式の理論検討” 信学会技報
RCS89−39 平成元年10月
【0005】文献3.伊藤 “携帯電話の方式検討−時
分割時間圧縮多重FM方式の多重波伝搬特性の検討−”
信学会技報 RCS89−47 平成2年1月
【0006】文献4.伊藤 “時分割時間圧縮多重電話
信号の有する多重負荷利得の解明とFM移動通信への応
用”信学会技報 RCS89−65 平成2年3月
【0007】文献5.伊藤 “時分割時間圧縮多重電話
信号を小ゾーン方式に適用した場合の同一チャネル干渉
について” 信学会技報 RCS90−7 平成2年7
【0008】すなわち、文献1においては、送信信号
(ベースバンド信号)をあらかじめ定めた時間間隔単位
に区切って記憶回路に記憶し、これを読み出す時には記
憶回路に記憶する速度よりもn倍の高速により所定のタ
イム・スロットで読み出し、このタイム・スロットによ
って収容された信号で搬送波を角度変調または振幅変調
して、時間的に断続して送受信するために移動無線機お
よび無線基地局に内蔵されている、それぞれ対向して交
信する受信ミクサを有する無線受信回路と、送信ミクサ
を有する無線送信回路と、無線受信回路の受信ミクサに
印加するシンセサイザと無線送信回路の送信ミクサに印
加するシンセサイザとに対しスイッチ回路を設け、それ
ぞれ印加するシンセサイザの出力を断続させ、この断続
状態を送受信ともに同期し、かつ対向して通信する無線
基地局にも上記と同様の断続送受信を移動無線機のそれ
と同期させる方法を用い、かつ受信側では前記所定のタ
イム・スロットに収容されている信号のみを取り出すた
めに、無線受信回路を開閉して受信し、復調して得た信
号を記憶回路に記憶し、これを読み出す時にはこの記憶
回路に記憶する速度のn分の1の低速度で読み出すこと
により、送信されてきた原信号であるベースバンド信号
の再生を可能とするシステムを構築したシステム例が報
告されている。
【0009】つぎに文献2には、上記のようなTCM
(時分割時間圧縮多重)−FM方式を小ゾーンに適用し
た場合に問題となる隣接チャネル干渉や、同一チャネル
干渉の検討が行われており、システム・パラメータを適
切に選定することによりシステム実現の可能性が示され
ている。
【0010】また文献3では、TCM信号が空間を伝送
中に受けるマルチパス・フェ−ジングの影響について検
討し、この影響を除去ないし軽減する対策として、タイ
ム・スロット間に、ガード・タイムを設定することを提
案している。
【0011】さらに文献4では、従来FDM(周波数分
割多重)信号にその存在が知られていた多重負荷利得
が、時分割時間圧縮多重(TCM)方式にもFDM信号
と類似の多重負荷利得のあることを明らかにし、かつ、
その定量化やシステムの運用例を説明している。そして
この多重負荷利得をFMの変調の深さを深くすることに
用いると、送信電力を大幅に低下させることができ、移
動無線機においては大幅な省電力化が可能となる見通し
を得たことが報告されている。
【0012】また文献5においては、TCM信号を用い
た無線システムの同一チャネル干渉について説明されて
おり、この中で、TCM信号を用いて搬送波を角度変調
したとき、変調偏移量を増大させると、同一チャネル干
渉が減少して周波数の有効利用性を向上せしめることが
説明されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記の文献1ないし3
に示したシステム構築例では、TCM信号を用いた移動
体通信システムの一般的な説明がなされており、これに
よってシステムの構築は可能であるが、フレーム構成の
TCM信号の有する多重負荷利得の説明はなされてはい
ない。文献4ではTCM信号の有する信号電力に関する
多重負荷利得の説明はされているが、フレーム構成のT
CM信号の有する平均電力に対する多重負荷利得であ
り、ピーク電圧に対する多重負荷利得は示されてはいな
い。また、TCM信号の有する振幅周波数特性とFDM
(周波数分割多重)電話信号の有するそれとの関係も示
されてはおらず、未解決の課題が残されていた。
【0014】また文献5においては、TCM信号を用い
て通信しているとき、変調偏移量を増大させると、同一
チャネル干渉が減少して周波数の有効利用性の向上が得
られることが説明されてはいるが、送信電力レベルの処
理に関する説明はなく、有効に利用する方法も開示され
てはいないという未解決の課題が残されていた。
【0015】
【課題を解決するための手段】TCM(時分割時間圧縮
多重)信号を用いた移動体通信システムでは、送信信号
として、フレーム構成のタイム・スロットに時間的に圧
縮した区切られた信号を適当なレベルまで増幅した後、
送信用角度変調器へ加えて搬送波を変調し、これをさら
に適当なレベルまで増幅してアンテナへ加えて送信して
いるのが通常である。 このうち、送信用角度変調器へ
加える際の信号の有するレベルに関しては、従来、時間
間隔1/(2fh )(fh は電話信号の最高周波数)内
に存在するTCM信号の平均電力を測定し、これと同一
の平均電力を有するFDM(周波数分割多重)電話信号
の有する多重負荷利得までレベルアップした後、加えて
いた。
【0016】しかしながら、無線変調波が、たとえば隣
接無線チャネルに及ぼす無線干渉に関しては、信号のピ
ーク電圧値の方が平均電力よりも大きな影響を与えるこ
とが知られている。それゆえ、もし、TCM信号の有す
るピーク電圧値とFDM信号のそれとを比較して、TC
M信号の有するピーク電圧値がFDM信号のそれよりも
低いことが明らかになった場合は、その分だけ変調レベ
ルを上げることが可能となる。すなわち、多重負荷利得
がFDM信号の多重負荷利得より大きいものとして処理
しても良いことになる。実際、後述するようにTCM信
号の有するピーク電圧値は、FDM信号のそれより低い
こと、および変調波の側波帯の広がりもFDM変調波に
比較して少ないことを理論的に見出した。この結果、T
CM信号を角度変調して送信する場合、従来以上に変調
レベルを上げることが可能となり、送信電力の低減が可
能となるほか、周波数の有効利用および搬送波間隔の狭
小化が可能となった。
【0017】
【作用】TCM信号において、従来知られていた多重負
荷利得よりも更に精度の高い、かつ大きな多重負荷利得
を用いることが可能になったので、干渉妨害等を許容値
以内に保ちつつ、送信用角度変調器へ加えられる信号の
レベルを従来知られていた値以上に高めることができ、
送信出力の逓減を可能とし、周波数の有効利用が可能と
なった。したがって、増幅器の設計が容易となり、ま
た、ミクサ,抵抗,コンデンサ等受動回路の定格値を下
げることができ、経済的なシステムの構築が可能となっ
た。
【0018】さらに、TCM信号の有する振幅周波数特
性はFDM電話信号の有するそれと比較すると、周波数
軸上の分布が余り広がっていないので、この信号を用い
て搬送波を角度(振幅)変調した変調波の有する側波帯
の広がりもFDM変調波に比較して少なくなり、搬送波
間隔を狭小化させることができ、この面からの周波数の
有効利用が可能となった。
【0019】
【実施例】図1,図2および図3は、本発明の基本動作
例を説明するためのシステム構成を示している。
【0020】図1において、10は一般の電話網であ
り、20は電話網10と無線システムとを交換接続する
ための関門交換機である。30は無線基地局であり、関
門交換機20とのインタフェイス,信号の速度変換を行
う回路,タイム・スロットの割当てや選択をする回路、
制御部などがあり、無線回線の設定や解除を行うほか、
移動無線機100(100−1〜100−n)と無線信
号の授受を行う無線送受信回路を有している。
【0021】ここで、関門交換機20と無線基地局30
との間には、通話チャネルCH1〜CHnの各通話信号
と制御用の信号を含む通信信号22−1〜22−nを伝
送する伝送線がある。
【0022】図2には無線基地局30との間で交信をす
る移動無線機100の回路構成が示されている。アンテ
ナ部に受けた制御信号や通話信号などの受信信号は、受
信ミクサ136と受信部137を含む無線受信回路13
5に入り、その出力である通信信号は、速度復元回路1
38と、制御部140とクロック再生器141に入力さ
れる。クロツク再生器141では、受信した信号の中か
らクロックを再生してそれを速度復元回路138と制御
部140とタイミング発生器142に印加している。
【0023】速度復元回路138では、受信信号中の圧
縮されて区切られた通信信号の速度(アナログ信号の場
合はピッチ)を復元して、連続した信号として電話機部
101および制御部140に入力している。
【0024】電話機部101から出力される通信信号
は、速度変換回路131で通信信号を所定の時間間隔で
区切って、その速度(アナログ信号の場合はピッチ)を
高速に(圧縮)して、送信ミクサ133と送信部134
とを含む無線送信回路132に印加される。
【0025】送信部134に含まれた変調器の出力は送
信ミクサ133において所定の無線周波数に変換され、
アンテナ部から送出されて、無線基地局30によって受
信される。
【0026】無線送信回路132における変調度および
送信出力レベルは、後述する多重負荷利得を考慮して制
御部140からの指示によって決定され、また、変調波
の有する側波帯の広がりもFDM変調波に比較して少な
いから、搬送波間隔を狭小化させることができる。移動
無線機100より使用を許可されたタイム・スロットを
用いて、無線基地局30宛に無線信号を送出するには、
図2に示すタイミング発生器142からのタイミング情
報が、制御部140を介して得られていることが必要で
ある。
【0027】このタイミング発生器142では、クロッ
ク再生器141からのクロックと制御部140からの制
御信号により、送受信断続制御器123,速度変換回路
131や速度復元回路138に必要なタイミングを供給
している。
【0028】移動無線機100には、さらにシンセサイ
ザ121−1および121−2と、切替スイッチ122
−1,122−2と、切替スイッチ122−1,122
−2をそれぞれ切替えるための信号を発生する送受信断
続制御器123およびタイミング発生器142が含まれ
ており、シンセサイザ121−1,121−2と送受信
断続制御器123とタイミング発生器142とは制御部
140によって制御されている。各シンセサイザ121
−1,121−2には、基準水晶発振器120から基準
周波数が供給されている。
【0029】図3には無線基地局30が示されている。
関門交換機20との間のnチャネルの通信信号22−1
〜22−nは、伝送路でインタフェイスをなす信号処理
部31に接続される。そこで関門交換機20から送られ
てきた通信信号22−1〜22−nは、無線基地局30
の信号処理部31へ入力される。信号処理部31では伝
送損失を補償するための増幅器が具備されているほか、
いわゆる2線−4線変換がなされる。すなわち入力信号
と出力信号の混合分離が行われ、関門交換機20からの
入力信号は、信号速度変換回路群51へ送られる。また
信号速度復元回路群38からの出力信号は、信号処理部
31で入力信号と同一の伝送路を用いて関門交換機20
へ送信される。上記のうち関門交換機20からの入力信
号は、多くの信号速度変換回路51−1〜51−nを含
む信号速度変換回路群51へ入力され、所定の時間間隔
で区切って速度(ピッチ)変換を受ける。また無線基地
局30より関門交換機20へ伝送される信号は、無線受
信回路35の出力が、信号選択回路群39を介して、信
号速度復元回路群38へ入力され、速度(ピッチ)変換
されて信号処理部31へ入力される。
【0030】さて、無線受信回路35の制御または通話
信号の出力は、タイム・スロット別に信号を選択する信
号選択回路39−1〜39−nを含む信号選択回路群3
9へ入力され、ここで各通話チャネルCH1〜CHnに
対応して通話信号が分離される。この出力は各チャネル
毎に設けられた信号速度復元回路38−1〜38−nを
含む信号速度復元回路群38で、信号速度(ピッチ)の
復元を受けた後、信号処理部31へ入力され、4線−2
線変換を受けた後、この出力は関門交換機20へ通信信
号22−1〜22−nとして送出される。
【0031】つぎに信号速度変換回路群51(図3)の
機能を説明する。一定の時間長に区切った音声信号や制
御信号等の入力信号を記憶回路で記憶させ、これを読み
出す時に速度を変えて、記憶する場合のたとえば15倍
の速度で読み出すことにより、信号の時間長を圧縮する
ことが可能となる。信号速度変換回路群51の時間圧縮
の原理は、テープ・レコーダにより録音した音声を高速
で再生する場合と同じであり、実際には、たとえば、C
CD(Charge Coupled Device ),BBD(Bucket Bri
gade Device )が使用可能であり、テレビジョン受信機
や会話の時間軸を圧縮あるいは伸長するテープ・レコー
ダに用いられているメモリを用いることができる(参考
文献:小坂 他 “会話の時間軸を圧縮/伸長するテー
プ・レコーダ ” 日経エレクトロニクス 1976年
7月26日 92〜133頁)。
【0032】信号速度変換回路群51で例示したCCD
やBBDを用いた回路は、上記文献に記載されているご
とく、そのまま信号速度復元回路群38の時間伸張機能
の実現にも使用可能で、この場合には、クロック発生器
41からのクロックと制御部40からの制御信号により
タイミングを発生するタイミング発生器42からのタイ
ミング信号を受けて、書き込み速度よりも読み出し速度
を低速にすることにより実現できる。
【0033】関門交換機20から信号処理部31を経由
して出力された制御または音声信号は信号速度変換回路
群51に入力され、速度(ピッチ)変換の処理が行われ
たのちに、タイム・スロット別に信号を割り当てる信号
割当回路52に印加される。
【0034】この信号割当回路52はバッファ・メモリ
回路であり、信号速度変換回路群51から出力された1
区切り分の高速信号をメモリし、制御部40の指示によ
り与えられるタイミング発生回路42からのタイミング
情報で、バッファ・メモリ内の信号を読み出し、無線送
信回路32へ送出する。この結果、通信信号をチャネル
対応でみた場合には、時系列的にオーバラップなく直列
に並べられており、後述する制御信号または通話信号が
全実装される場合には、あたかも連続信号波のようにな
る。
【0035】以上のような信号が無線送信回路32へ送
られることになる。無線送信回路32における変調度お
よび送信出力レベルは、後述する多重負荷利得を考慮し
て制御部40からの指示によって決定され、また、変調
波の有する側波帯の広がりもFDM変調波に比較して少
ないから、搬送波間隔を狭小化させることができる。こ
の圧縮した信号の様子を図4に示し説明する。
【0036】信号速度変換回路群51の出力信号は信号
割当回路52に入力され、あらかじめ定められた順序
で、タイム・スロットが与えられる。図4(a)のSD
1,SD2,…,SDnは、速度変換された通信信号
が、それぞれタイム・スロット別に割当てられているこ
とを示している。ここで1つのタイム・スロットの中は
図示のごとく同期信号と通話信号または(および)制御
信号が収容されている。通話信号が実装されていない場
合は、同期信号だけで通話信号の部分は空スロット信号
が加えられ、またはシステムによっては搬送波を含め全
く信号が送出されないものもある。このようにして、図
4の(a)に示すように、無線送信回路32において
は、タイム・スロットSD1〜SDnで1フレームをな
す信号が変調回路に加えられることになる。送信される
べく時系列化された多重信号は、無線送信回路32にお
いて、角度変調されたのちに、アンテナ部より空間へ送
出される。
【0037】電話の発着呼において通話に先行して無線
基地局30と移動無線機100との間で行われる制御信
号の伝送については、電話信号の帯域内または帯域外の
いずれを使用する場合も可能である。図5はこれらの周
波数関係を示す。すなわち、同図(a)においては、帯
域外信号の一例が示されており、図のごとく、低周波側
(250Hz)や高周波側(3850Hz)を使用する
ことができる。この信号は、たとえば通話中に制御信号
を送りたい場合に使用される。図5の(b)において
は、帯域内信号の例を示しており、発着呼時において使
用される。
【0038】上記の例はいづれもトーン信号の場合であ
ったが、トーン信号数を増したり、トーンに変調を加え
副搬送波信号とすることで、多種類の信号を高速で伝送
することが可能となる。
【0039】以上はアナログ信号の場合であったが、制
御信号としてディジタル・データ信号を用いた場合に
は、音声信号もディジタル符号化して、両者を時分割多
重化して伝送することも可能であり、この場合の回路構
成を図6に示す。図6は、音声信号をディジタル符号化
回路91でディジタル化し、それとデータ信号とを多重
変換回路92で多重変換し、無線送信回路32に含まれ
た変調回路に印加する場合の一例である。ただし、ディ
ジタル・データ信号については、後述するアナログ信号
多重負荷利得は通常存在しないから、システム設計には
この点の留意が必要である。そして対向する受信機で受
信し復調回路において図6で示したのと逆の操作を行え
ば、音声信号と制御信号とを別々に取り出すことが可能
である。
【0040】一方、移動無線機100から送られてきた
信号は、無線基地局30のアンテナ部で受信され、無線
受信回路35へ入力される。図4の(b)は、この上り
の入力信号を模式的に示したものである。すなわち、タ
イム・スロットSU1,SU2,…,SUnは、移動無
線機100−1,100−2,…,100−nからの無
線基地局30宛の送信信号を示す。また各タイム・スロ
ットSU1,SU2,…,SUnの内容を詳細に示す
と、図4の(b)の左下方に示す通り、通話信号または
(および)制御信号より成り立っている。ただし、移動
無線機100と無線基地局30との間の距離の小さい場
合や信号速度によっては、同期信号を省略することが可
能である。さらに、上記の上り無線信号の無線搬送波の
タイム・スロット内での波形を模式的に示すと、図7
(c)のごとくなる。同様に各移動無線機100への無
線基地局30からの送信波形は図7(d)に示すように
なる。
【0041】さて、無線基地局30へ到来した入力信号
のうち制御信号については、無線受信回路35から直ち
に制御部40へ加えられる。ただし、速度変換率の大き
さによっては、通話信号と同様の処理を行った後に信号
速度復元回路群38の出力から制御部40へ加えること
も可能である。また通話信号については、信号選択回路
39へ印加される。信号選択回路群39には、制御部4
0からの制御信号の指示により、所定のタイミングを発
生するタイミング発生回路42からのタイミング信号が
印加され、各タイム・スロットSU1〜SUnごとに同
期信号,通話信号または制御信号が分離出力される。
【0042】これらの各信号は、信号速度復元回路38
へ入力される。この回路は送信側の移動無線機100に
おける速度変換回路131(図2)の逆変換を行う機能
を有しており、これによって原信号が忠実に再生され関
門交換機20宛に送信されることになる。
【0043】以下、本発明における信号空間を伝送され
る場合の態様を所要伝送帯域や、これと隣接した無線チ
ャネルとの関係を用いて説明する。
【0044】図3に示すように、制御部40からの制御
信号は信号割当回路52の出力と並行して無線送信回路
32へ加えられる。ただし、速度変換率の大きさによっ
ては通話信号と同様の処理を行った後、信号割当回路5
2の出力から無線送信回路32へ加えることも可能であ
る。
【0045】つぎに移動無線機100においても、図2
に示すごとく無線基地局30の機能のうち通話路を1チ
ャネルとした場合に必要とされる回路構成となってい
る。
【0046】原信号たとえば音声信号(0.3kHz〜
3.0kHz)が、信号速度変換回路群51(図3)を
通った場合の出力側の周波数分布を示すと図8に示すご
とくになる。すなわち前述のように音声信号が15倍に
変換されるならば、信号の周波数分布は図8のごとく、
4.5kHz〜45kHzに拡大されていることにな
る。ここでは信号の周波数分布が拡大されているが、波
形の形態は単に周波数軸を引き延ばされた相似変換を受
けるだけであり、波形そのものは変化がないことに留意
する必要がある。これは多重負荷利得の値を求める時に
必要となる。
【0047】さて、図8においては、制御信号は音声信
号の下側周波数帯域を用いて同時伝送されている場合を
示している。この信号のうち制御信号(0.2〜4.0
kHz)および通話信号CH1(4.5〜45kHzで
SD1として表わされている)がタイム・スロット、た
とえばSD1に収容されているとする。他のタイム・ス
ロットSD2〜SDnに収容されている音声信号も同様
である。
【0048】すなわち、タイム・スロットSDi(i=
2,3,…,n)には制御信号(0.2〜4.0kH
z)と通信信号CHi(4.5〜45kHz)が収容さ
れている。ただし、各タイム・スロット内の信号は時系
列的に並べられており、一度に複数のタイム・スロット
内の信号が同時に無線送信回路32に加えられることは
ない。
【0049】また、上記の制御信号はフレームの最初に
制御信号のためのタイム・スロットが設けられた場合に
は実装されないし、下側周波数帯域を他の信号に使用す
る際には、通信信号の周波数帯の近傍(4.1〜4,4
kHzまたは46〜46.5kHz)に設けられる場合
がある。
【0050】これらの通話信号が制御信号とともに無線
送信回路32に含まれた角度変調部に加えられると、所
要の伝送帯域として、すくなくとも fC ±45kHz を必要とする。ただし、fC は無線搬送波周波数であ
る。ここでシステムに与えられた無線チャネルが複数個
ある場合には、これらの周波数間隔の制限から信号速度
変換回路群51による信号の高速化はある値に限定され
ることになる。複数個の無線チャネルの周波数間隔をf
rep とし、上述の音声信号の高速化による最高信号速度
をfH とすると両者の間には、つぎの不等式が成立する
必要がある。 frep>2fH 一方、ディジタル信号では、音声は通常64kb/s程
度の速度でディジタル化されているから、アナログ信号
の場合を説明した図8の横軸の目盛りを1桁程度引き上
げて読む必要があるが、上式の関係はこの場合にも成立
する。
【0051】また、移動無線機100より無線基地局3
0へ入来した制御信号は、無線受信回路35へ入力され
るが、その出力の一部は制御部40へ入力され、他は信
号選択回路39を介して信号速度復元回路群38へ送ら
れる。そして後者の制御信号は送信時と全く逆の速度変
換(低速信号への変換)を受けた後、一般の電話網10
に使用されているのと同様の信号速度となり、信号処理
部31を介して関門交換機20へ送られる。
【0052】つぎに、本発明によるシステムの基本動作
における発着呼動作について音声信号の場合を例にとっ
て説明する。
【0053】(1)移動無線機100からの発呼 図9および図10に示すフローチャートを用いて説明す
る。
【0054】移動無線機100の電源をオンした状態に
すると、図2の無線受信回路135では、下り(無線基
地局30→移動無線機100)無線チャネル(チャネル
CH1とする)に含まれている制御信号の補捉を開始す
る。もし、システムに複数の無線チャネルが与えられて
いる場合には、 i) 最大の受信入力電界を示す無線チャネル ii) 無線チャネルに含まれている制御信号により指示
される無線チャネル iii) 無線チャネル内のタイム・スロットのうち空タイ
ム・スロットのあるチャネル など、それぞれシステムに定められている手順にしたが
い無線チャネル(以下チャネルCH1とする)の受信状
態にはいる。これは図4(a)に示されているタイム・
スロットSDn内の同期信号を捕捉することにより可能
である。制御部140では、シンセサイザ121−1に
無線チャネルCH1の受信を可能とする局発周波数を発
生させるように制御信号を送出し、また、スイッチ12
2−1もシンセサイザ121−1側に倒し固定した状態
にある。
【0055】そこで、電話機部101の受話器をオフ・
フック(発呼開始)すると(S201、図9)、図2の
シンセサイザ121−2は、無線チャネルCH1の送信
を可能とする局発周波数を発生させるような制御信号を
制御部140から受ける。またスイッチ122−2もシ
ンセサイザ121−2側に倒し、固定した状態になる。
つぎに無線チャネルCH1を用い電話機部101から出
力された発呼用制御信号を送出する。この制御信号は、
図5に示される周波数帯により、これを、たとえばタイ
ム・スロットSUnを用いて送信される。
【0056】この制御信号の送出はタイム・スロットS
Unだけに限定され、バースト的に送られ他の時間帯に
は信号は送出されないから、他の通信に悪影響を及ぼす
ことはない。ただし、制御信号の速度が比較的低速であ
ったり、あるいは信号の情報量が大きく、1つのタイム
・スロット内に収容不可能な場合には、1フレーム後ま
たは、さらに次のフレームの同一タイム・スロットを使
用して送信される。
【0057】タイム・スロットSUnを捕捉するには、
具体的にはつぎの方法を用いる。無線基地局30から送
信されている制御信号には、図4(a)に示す通り、同
期信号とそれに続く制御信号が含まれており移動無線機
100はこれを受信することにより、フレーム同期が可
能になる。さらにこの制御信号には、現在使用中のタイ
ム・スロット、未使用のタイム・スロット(空タイム・
スロット表示)などの制御情報が含まれている。システ
ムによっては、タイム・スロットSDi(i=1,2,
…,n)が他の通信によって使用されているときには、
同期信号と通話信号しか含まれていない場合もあるが、
このような場合でも未使用のタイム・スロットには通常
同期信号と制御信号が含まれており、この制御信号を受
信することにより、移動無線機100がどのタイム・ス
ロットを使用して発呼信号を送出すべきかを知ることが
できる。
【0058】なお、すべてのタイム・スロットが使用中
の場合には、この無線チャネルでの発呼は不可能であ
り、別の無線チャネルを掃引して探索する必要がある。
【0059】また別のシステムでは、どのタイム・スロ
ット内にも空スロット表示がなされていない場合があ
り、このときは、それに続く音声多重信号SD1,SD
2,…,SDnの有無を次々に検索し、空タイム・スロ
ットを確認する必要がある。
【0060】さて本論にもどり無線基地局30から、以
上のいずれかの方法により送られてきた制御情報を受信
した移動無線機100では、自己がどのタイム・スロッ
トで発呼用制御信号を送出すべきか、その送信タイミン
グを含めて判断することができる。
【0061】そこで上り信号用のタイム・スロットSU
nが空スロットと仮定すると、この空タイム・スロット
を使用することにし、発呼用制御信号を送出して無線基
地局30からの応答信号から必要なタイミングを取り出
して、バースト状の制御信号を送出することができる。
【0062】もし、他の移動無線機から同一時刻に発呼
があれば、呼の衝突のため発呼信号は良好に無線基地局
30へ伝送されず、再び最初から動作を開始する必要が
生ずるが、この確率はシステムとしてみた場合には、十
分に小さい値におさえられている。もし呼の衝突をさら
に低下させるには、つぎの方法がとられる。それは移動
無線機100が発呼可能な空タイム・スロットをみつけ
たとして、そのタイム・スロットを全部使用するのでは
なく、ある移動無線機には前半部、ある移動無線機には
後半部のみを使用させる方法である。すなわち発呼信号
として、タイム・スロットの使用部分を何種類かに分
け、これを用いて多数の移動無線機を群別し、その各群
に、それぞれその1つのタイム・スロット内の時間帯を
与える方法である。別の方法は、制御信号の有する周波
数を多種類作成し、この周波数を、多数の移動無線機を
群別してその各群に与える方法である。この方法によれ
ば、周波数の異なる制御信号が同一のタイム・スロット
を用いて同時に送信されても無線基地局30で干渉を生
ずることはない。以上の2つの方法を別々に用いてもよ
いし、併用すれば効果は相乗的に上昇する。
【0063】さて移動無線機100からの発呼用制御信
号が良好に無線基地局30で受信され移動無線機100
のID(識別番号)を検出したとすると(S202)、
制御部40では、現在空いているタイム・スロットを検
索する。移動無線機100に与えるタイム・スロットは
SUnでもよいが、念のために検索を実行する。それは
移動無線機100のほかに、他の移動無線機からの同時
発呼に対応するためや、サービス種類やサービス区分に
適したタイム・スロットを与えるためでもある。
【0064】この結果、たとえばタイム・スロットSD
1が空いているとすると、移動無線機100対し前記無
線チャネルCH1のタイム・スロットSDnを用い下り
制御信号によりタイム・スロット上り(移動無線機10
0→無線基地局30)SU1,およびこれに対応する下
り(無線基地局30→移動無線機100)SD1を使用
するように指示する(S203)。これに応じて移動無
線機100では、指示されたタイム・スロットSD1で
受信可能な状態へ移行するとともに下りのタイム・スロ
ットSD1に対応する上り無線チャネル用のタイム・ス
ロットであるSU1(図4(b)参照)を選択する。こ
のとき移動無線機100の制御部140においては、送
受信断続制御器123を動作させ、スイッチ122−1
および122−2を動作開始させる(S204)。それ
と同時にスロット切替完了報告を上りタイム・スロット
SU1を用いて無線基地局30に送出し(S205)、
ダイヤル・トーンが送られてくるのを待つ(S20
6)。
【0065】この上り無線信号の無線搬送波のタイム・
スロットSU1の状態を模式的に示すと図7(c)のご
とくなる。無線基地局30には、タイム・スロットSU
1のほかに、他の移動無線機100からの上り信号とし
てSU3やSUnが1フレームの中に含まれて送られて
きている。スロット切替完了報告を受信した無線基地局
30では(S207)、関門交換機20宛に移動無線機
100のIDとともに発呼信号を送出する(S20
8)。これに対し関門交換機20では、移動無線機10
0のIDを検出し、関門交換機20に含まれたスイッチ
群のうちの必要なスイッチをオンにして(S209)、
ダイヤル・トーンを無線基地局30へ送出する(S21
0、図10)。
【0066】このダイヤル・トーンは、無線基地局30
により移動無線機100宛に転送され(S211)、移
動無線機100では、通話路が設定されたことを確認す
る(S212)。
【0067】この状態に移行したとき移動無線機100
の電話機部101の受話器からダイヤル・トーンが聞こ
えるので、ダイヤル信号の送出を始める。このダイヤル
信号は速度変換回路131により速度変換され、送信部
134および送信ミクサ133を含む無線送信回路13
2より、上りのタイム・スロットSU1を用いて送出さ
れる(S213)。かくして、送信されたダイヤル信号
は無線基地局30の無線受信回路35で受信される。
【0068】この無線基地局30では、すでに移動無線
機100からの発呼信号に応答し、使用すべきタイム・
スロットを与えるとともに、無線基地局30の信号選択
回路群39および信号割当回路群52を動作させて、上
りのタイム・スロットSU1を受信し、下りのタイム・
スロットSD1の信号を送信する状態に移行している。
したがって移動無線機100から送信されてきたダイヤ
ル信号は、信号選択回路群39の信号選択回路39−1
を通った後、信号速度復元回路群38に入力され、ここ
で原送信信号が復元され、信号処理部31を介して通話
信号22−1として関門交換機20へ転送され(S21
4)、電話網10への通話路が設定される(S21
5)。
【0069】一方、関門交換機20からの入力信号(当
初制御信号、通話が開始されれば通話信号)は、無線基
地局30において信号速度変換回路群51で速度変換を
受けた後、信号割当回路群52の信号割当回路52−1
によりタイム・スロットSD1が与えられている。そし
て無線送信回路32から下りの無線チャネルのタイム・
スロットSD1を用いて移動無線機100宛に送信され
る。
【0070】移動無線機100では、無線チャネルCH
1のタイム・スロットSD1において受信待機中であり
無線受信回路135で受信され、その出力は速度復元回
路138に入力される。この回路において送信側の原信
号が復元され、電話機部101の受話器に入力される。
かくして、移動無線機100と一般の電話網10の内の
一般電話との間で通話が開始されることになる(S21
6)。
【0071】終話は移動無線機100の電話機部101
の受話器をオン・フックすることにより(S217)、
終話信号と制御部140からのオン・フック信号とが、
速度変換回路131を介して無線送信回路132より無
線基地局30宛に送出されるとともに(S218)、制
御部140では送受信断続制御器123の動作を停止さ
せ、かつ、スイッチ122−1および122−2をそれ
ぞれシンセサイザ121−1および121−2の出力端
に固定する。
【0072】一方、無線基地局30の制御部40では、
移動無線機100からの終話信号を受信すると関門交換
機20宛に終話信号を転送し(S219)、スイッチ群
(図示せず)のスイッチをオフして通話を終了する(S
220)。同時に無線基地局30内の信号選択回路群3
9および信号割当回路群52を開放する。
【0073】以上の説明では、無線基地局30と移動無
線機100との間の制御信号のやりとりは信号変換回路
群51,信号速度復元回路群38等を通さないとして説
明したが、これは説明の便宜上であって、音声信号と同
様に信号速度変換回路群51、信号速度復元回路群38
や信号処理部31を通しても何ら支障なく通信が実施可
能である。
【0074】(2)移動無線機100への着呼 移動無線機100は電源オンした状態で待機中とする。
この場合移動無線機100からの発呼の項で説明したご
とく、システムで定められている手順にしたがった無線
チャネルCH1の下り制御信号を受信待機状態にある。
【0075】一般の電話網10より関門交換機20を経
由して移動無線機100への着呼信号が無線基地局30
へ到来したとする。これらの制御信号は通信信号22と
して音声信号と同様に、信号速度変換回路群51を通
り、信号割当回路群52を介して制御部40(図3)へ
伝えられる。すると制御部40では移動無線機100宛
の無線チャネルCH1の下りタイム・スロットのうちの
空スロット、たとえばSD1を使用して移動無線機10
0のID信号+着呼信号表示信号+タイム・スロット使
用信号(移動無線機100からの送信には、たとえばS
D1に対応するSU1を使用)を送出する。この信号を
受信した移動無線機100では、無線受信回路135の
受信部137より制御部140へ伝送される。制御部1
40では、この信号が自己の移動無線機100への着呼
信号であることを確認するので、電話機部101より呼
出音を鳴動させると同時に、指示されたタイム・スロッ
トSD1,SU1で待機するように送受信断続制御器1
23を動作させるとともに、スイッチ122−1,12
2−2のオン、オフを開始させる。かくて通話が可能な
状態に移行したことになる。
【0076】なお、本システムを用いて良好な状態で信
号伝送が実行され、かつシステム内の他の無線チャネル
へ悪影響を与えることのないことは、文献2によって理
論的に説明されているので、本発明の多重負荷利得の理
論的根拠をつぎの順序で説明する。
【0077】(3)TCM,FDM信号の有するピーク
電圧の最大値の比較 (3.1)TCM信号の有する電圧値(ピーク値)とF
DM信号の有するそれらとの比較をするときの前提条件 (3.2)フレーム長1/6000秒、多重度6000
の時のTCM信号の有する振幅の大きさ(ピーク値)と
FDM信号のそれらとの比較 (3.3)フレーム長1/3000秒、多重度6000
の時のTCM信号の有する振幅の大きさ(ピーク値)と
FDM信号のそれらとの比較 (3.4)フレーム長1/1500秒、多重度6000
の時のTCM信号の有する振幅の大きさ(ピーク値)と
FDM信号のそれらとの比較 (3.5)TCM信号のフレーム長が1秒のときのTC
M信号の有する振幅の大きさ(ピーク値)とFDM信号
のそれらとの比較 (3.6)TCM信号のフレーム長が1/6000秒以
下のときのTCM信号の有する振幅の大きさ(ピーク
値)とFDM信号のそれらとの比較 (4)FDM,TCM信号の有する平均電力の最大値等
の比較 (4.1)信号の有する平均電力について (4.2)TCM,FDM両信号の有するピーク電圧の
最大値について (5)TCM信号の有する多重負荷利得とFDM信号の
多重負荷利得との関係 (6)TCM信号の有する振幅周波数特性とFDM信号
の有するそれとの比較による搬送波間隔の狭小化の可能
性 (6.1)TCM信号を用いたシステムにおける搬送波
間隔の狭小化
【0078】(3)TCM,FDM信号の有するピーク
電圧の最大値の比較 (3.1)TCM信号の有する電圧値(ピーク値)とF
DM信号の有するそれらとの比較をするときの前提条件 (i)FDM信号の構成 図11にはn個の電話信号からFDM信号を作成する様
子が示され、これを参照しながら説明する。n個(#1
〜#n)の電話信号si (i=1,2,3,…,n)が
あり、その各電話信号の有する周波数成分が0.3〜
3.0kHzとする。式で書けば、 si (t)=Σaij sin(ωj t+φj ) (1) ここにΣはjを0.3〜3kHzとしたときの合計を表
わし、 aij:電話信号を構成する各周波数成分の振幅 ωj :電話信号を構成する各周波数 φj :時間tに関係しない位相角 である。
【0079】また、長期間(1/6000秒に比べ十分
大きい時間)における平均電力が等しいものとする(各
信号の有する電力を1個の正弦波で表わしたときの波高
値をAと仮定)。式で書けば、 A2 =Σaij 2 (すべてのiに対して) (2) ここにΣはjを0.3〜3kHzとしたときの合計を表
わす。
【0080】FDM信号の有する周波数成分は以下のよ
うに仮定する。 #1…0.3〜3.0kHz #2…3.3〜6.0kHz …………………… #n…0.3+3×(n−1)〜3×nkHz (上記の周波数成分は従来使用されてきたFDMの有す
る周波数成分とは若干異なるが、TCM信号の有する周
波数成分との比較を簡単にするため、このように仮定し
た。)
【0081】上記の周波数成分(たとえば、nが600
0のときFDM信号を構成する各電話信号の有する周波
数成分は、0.3kHz〜18MHzとなる。FDMを
構成する信号の有する全電力は1個の正弦波で表わした
とき、その波高値はnA(電力でnA2 /2となる)。
(図11参照)また、標本化定理に従うと、サンプリン
グ周波数は、6×nkHzでサンプリングすれば、信号
が忠実に再現可能となる。なお、上記の各信号は時間領
域で常時存在することになる。
【0082】さらに、FDM信号には“フレーム”なる
概念はないが、TCM信号と比較するとき、“FDM信
号の有するフレーム長もしくはサブフレーム長”という
表現を用いる。この意味は、TCM信号の有するフレー
ム長もしくはサブフレーム長と同一の時間内に存在する
FDM信号の配置・状態(ピーク電圧、電力)等を意味
するものとする。
【0083】(ii)TCM信号の構成 図12にはn個の電話信号からTCM信号を作成する様
子が示され、これを参照しながら説明する。TCM信号
を構成する各電話信号の有する周波数成分は以下のよう
に仮定する。(各電話信号はFDM信号の場合と同一の
信号源と仮定) #1…0.3×nkHz〜3×nkHz #2…0.3×nkHz〜3×nkHz …………………… #n…0.3×nkHz〜3×nkHz また、長期間(1/6000秒に比べ十分に大きい時
間)における平均電力は#1〜#nとも、それぞれ等し
いものとする。上記の各信号が時間領域(t)で存在す
る範囲(タイム・スロット)を下記のように仮定する
(図12参照)。 #1…0〜(1/n)T,T〜(1+1/n)T,…,mT〜(m+1/n)T,… #2…(1/n)T〜(2/n)T,((1/n)+1)T〜((2/n)+1)T,…,(1/
n)+m)T〜(2/n+m)T,… …………… #n…(1-(1/n))T〜T,(2-(1/n))T〜2T,…,(m-(1/n))T〜
mT,… ただし、mは正の整数。
【0084】上記から直ちに言えることは、各タイム・
スロット内に配置されたTCM信号間では電力は形成さ
れないことである。これは、TCM信号から作成された
サンプル信号の波高値を調べるときに重要になる。さら
に、上記の周波数成分を有するTCM信号は標本化定理
に従うと、サンプリング周波数は、6×nkHzでサン
プリングすれば、元の信号が忠実に再現可能となる。
【0085】さて、TCM信号を1つの式で書けば ui =Σbij sin(nωj t+φj ) (3) ここにΣはjを0.3〜3kHzとしたときの合計を表
わし、 φj :時間tに関係しない位相角 である。その他の記号は式(2)と同様である。
【0086】つぎに、式(3)で示される信号の振幅b
ij(波高値)とFDM信号のaijとの関係を求める。ま
ず、各タイム・スロット内に収容された信号が、FDM
信号と同様の品質を有する状態で受信端に届けられるに
は、式(1)の左辺を√n倍(電力でn倍)した電圧
を、1タイム・スロットに加えねばならない。したがっ
て、この値は、式(2),(3)より、 Σbij 2 =n×Σaij 2 =nA2 /2 (4) ここで第1項のΣはすべてのiに対してjを0.3×n
kとしたときの合計を表わし、第2項のΣは同じくすべ
てのiに対してjを0.3〜3kHzとしたときの合計
を表わしている。すなわち、TCM信号を構成する各電
話信号の有する電力を1個の正弦波で表わしたとき、そ
の波高値は、√nA(電力でnA2 /2倍)で与えられ
ることになる。
【0087】図13には、n個の電話信号(#1〜#
n)をフレーム時間長(フレーム長)Tにn個のタイム
・スロットによって収容した場合の、TCM信号の各タ
イム・スロットの波高値が示されている。nが6000
のときのTCM信号を例にとって、FDM信号との比較
を行う。この場合、TCM信号を構成する各電話信号の
有する周波数成分はそれぞれ1.8MHz〜18MHz
となる(図12参照)。この周波数成分を有する各電話
信号が、フレーム時間長T=1/6000秒内のタイム
・スロット#1,#2,…,#n内に収容されることに
なる(タイム・スロット間隔は1/(6000×n)
秒)(図13)。
【0088】以下、上記の周波数成分を有するFDM信
号の時間長T=1/6000秒内に有するサンプル信号
の振幅の大きさ(ピーク値)と信号のそれらとを比較す
る(n=6000は一定)。ここで時間“1/6000
秒”の意味は、元信号の有する最高周波数fh の2倍
(ナイキスト周波数)の逆数になっている。以下の検討
では、TCM信号のフレーム時間長Tを変化させ、それ
に応じてフレーム(サブフレーム)内の信号の有する波
高値(ピーク値)もしくは電力がどのように変化するか
を見る。ただ、ここで付言しておきたいのは、フレーム
時間長T=1/6000秒のTCM信号では、電話信号
は時間圧縮されていない(圧縮比1)点である。すなわ
ち、正確にはTCM信号ではなく、TDM(Time-Divis
ion Multiplexing)あるいはPAM(Pulse Amplitude
Modulation Multiplexing )信号というべきである。し
かしながら、フレーム長が長くなった場合をも含め統一
的に表現するために、圧縮比1の場合もTCM信号と称
することにする。
【0089】(3.2)フレーム長1/6000秒、多
重度6000の時のTCM信号の有する振幅の大きさ
(ピーク値)とFDM信号のそれらとの比較 図14には、n(=6000)個の電話信号から1フレ
ーム時間長(フレーム長)T=1/6000秒のTCM
信号とFDM信号を作成したときの各タイム・スロット
の波高値(ピーク電圧)を示しており、これを参照しな
がら説明する。
【0090】TCM信号もしくはFDM信号の有する最
高周波数は(3.1)の(ii)より、 3kHz×6000=18MHz また、この場合のナイキスト周波数fは、 f=18MHz×2=36MHz となる。
【0091】TCM信号の場合の各電話信号をTCM化
する場合の時間片信号の時間長は、1/6000秒×
(1/6000)(=1/36MHz)となり、1時間
片信号(1タイム・スロット)に含まれるサンプル数は
1個で、これが各タイム・スロット(図14の小さな
枠)内に収容される。また、各サンプルの電力を求め
る。式(2)の波高値を有する信号を1フレーム内に収
容して、FDM信号と同様の品質を有する信号を受信端
に届けるには、前述したように、式(2)を6000倍
した電力を1タイム・スロットに加えねばならない。し
たがって、この値は6000A2 /2となる。また、こ
の信号の波高値(ピーク電圧)は(6000)1/2 Aと
なる。
【0092】以上の検討の結果、1フレーム1/600
0秒内に、TCM信号では各信号#1,#2,…,#6
000の1サンプルずつが、FDM信号では信号#1,
#2,…,#6000の合成(混合)信号Σ=6000
サンプル(その波高値は6000A)が図14の1個の
サブフレーム(この場合はフレーム長1/6000秒と
同じであるが、次節以降のケースと比較を容易にするた
めサブフレームの名称を使用する)内に均等に配置され
ることになる。それゆえ、1個のサブフレーム内には下
記の信号(サンプル)が配置される。 TCM信号:信号#1,#2,…,#6000の1サン
プルづつ時間間隔(1/6000秒)×(1/600
0)毎に、FDM信号:信号#1,#2,…,#600
0の合成(混合)信号Σ=6000サンプルの1サンプ
ルづつが時間間隔(1/6000秒)×(1/600
0)毎に
【0093】サブフレーム内の信号の配置に関し、TC
M信号とFDM信号との比較を図14を用いて行う。
【0094】 サブフレーム(1フレーム)におい
て、それぞれ6000個の信号を構成する要素(サンプ
ル)がすべて含まれている。 サブフレーム(1フレーム)内に存在するTCM信
号のサンプルされた信号間では、前述した通り電力は形
成されないから、各サンプルごとにFDM信号のピーク
電圧と比較することになる。
【0095】さて、〜を用いてTCM信号の1タイ
ム・スロット(1/36000000秒)、FDM信号
の1タイム・スロット相当の時間(1/3600000
0秒)内における、信号のピーク電圧を比較する。
【0096】図14のサブフレーム(1フレーム)内に
存在するTCM信号(タイム・スロット#1〜#600
0内のサンプルされた信号)のピーク電圧は、明らかに
それぞれ60001/2 Aで示される。一方、これと比較
すべきFDM信号のピーク電圧は、ピーク電圧Aを有す
る信号が6000個混合(Σ=#1+#2+…+#60
00)しているから、6000Aで示される。以上の結
果、[サブフレームにおけるTCM信号のピーク電圧
は、FDM信号の1/60001/2 ]を得る。
【0097】また、サブフレーム内に存在するTCM信
号(タイム・スロット#1〜#6000のサンプルされ
た信号)の電力PTCM は、その振幅に1/√2を掛け、
その2乗にサンプル数(6000)を掛け、これに時間
(1/6000秒)×1/6000を掛け合わせて与え
られる。すなわち、 PTCM =(6000/2)A2×6000×(1/6000秒)×1/6000 =A2/2 その結果、6000サンプルの合計では1サブフレーム
内の電力は、A2 /2となる。
【0098】一方、サブフレーム(に相当する時間長)
内において存在するFDM信号(電話チャネル#1〜#
6000のサンプルされた合成信号)は、電力PFDM
考えるとき、それぞれの振幅の和の2乗に時間(1/6
000秒)を掛けて与えられる。すなわち、 PFDM =(6000/2)A2×(1/6000秒)=A2/2
【0099】以上の結果、サブフレーム1における、T
CM信号とFDM信号の電力は(当然)同一になる。
【0100】図15にはTCM信号およびFDM信号の
振幅周波数特性が模式図(a),(b)として、それぞ
れ示されている。また図16には人の会話音声スペクト
ルの平均値と不偏分散平方根σの一例が示されている。
【0101】図15(a)のTCM信号の有する主要な
勢力が周波数の低い帯域に集中しており、したがって、
信号の最高周波数である18MHz辺りには信号の有す
る勢力はほとんど存在しないことを示している。これは
つぎの理由からである。
【0102】 TCM信号を構成する各電話信号の有
する振幅周波数分布は図16に示すように0.3〜0.
8kHz付近に集中しており、3kHz付近にはそれよ
り20dB以下と低い。
【0103】 TCM信号(6000チャネル多重)
を構成する各電話信号の約1/4は無音状態すなわち、
ポーズの状態であり、エネルギーとして加算されない。
一方、FDM信号の方は信号の形成過程から明らかなよ
うに図15(b)の周波数軸に対してほぼ平坦な特性で
ある。
【0104】(3.3)フレーム長1/3000秒、多
重度6000の時のTCM信号の有する振幅の大きさ
(ピーク値)とFDM信号のそれらとの比較 図17には、n(=6000)個の電話信号から、1フ
レーム時間長(フレーム長)T=1/3000秒の中に
時間長1/6000秒の2個のサブフレームSF1,S
F2を含んだTCM信号とFDM信号を作成したときの
各タイム・スロットの波高値(ピーク電圧)を示してお
り、これを参照しながら説明する。
【0105】(3.2)と同様の検討を進める。TCM
信号のフレーム時間長Tが1/3000秒のときも、T
CM信号の有する最高周波数は(3.1)より、 3kHz×6000=18MHz また、この場合のナイキスト周波数fは、 f=18MHz×2=36MHz となる。したがって、1フレーム時間長1/3000秒
内に、TCM信号では各信号#1,#2,…,#600
0の2サンプルずつが、FDM信号では信号#1,#
2,…,#6000の合成(混合)信号2×6000サ
ンプルが、図17の2個のサブフレームSF1.SF2
(1/6000秒)内に均等に配置されることになる。
それゆえ、2個のサブフレームSF1,SF2の、たと
えば、サブフレームSF1内には、下記の信号(サンプ
ル)が配置される。 TCM信号:信号#1,#2,…,#3000の2サン
プルずつ時間間隔(1/6000秒)×(1/600
0)毎に合計6000 FDM信号:信号#1,#2,…,#6000の合成
(混合)信号1サンプルずつが時間間隔(1/6000
秒)×(1/6000)毎に合計6000 (3.2)で行ったのと同様な比較を任意の1個のサブ
フレームに注目して行う。
【0106】 TCM信号において1フレーム全体を
通して見れば、(3.2)と同様の振幅分布を示してい
るが、各サブフレームSF1〜SF2においては、大い
に異なる。すなわち、サブフレームSF1においては、
TCM信号を構成する信号#1,#2,…,#3000
のみしか、また、サブフレームSF2においては信号#
3001,#3002,…,#6000のみしか含まれ
ていない。一方、FDM信号の方は、任意のサブフレー
ム内において、電話チャネル#1〜#6000のサンプ
ルされたΣとして表示した合成信号が含まれている。
【0107】 の結果、サブフレームSF1とサブ
フレームSF2とにおいては、それぞれの信号を構成す
る要素(サンプル信号)が(3.2)の図14に比べて
異なっている。すなわち、6000から3000に減少
している。
【0108】 任意のサブフレーム内に存在するTC
M信号のサンプルされた信号間では、前述した通り電力
は形成されないから、各サンプルごとにFDM信号のピ
ーク電圧と比較することで良い。
【0109】さて、〜を用いてTCM信号,FDM
信号の1サブフレーム(1/18000000秒)内に
おける信号のピーク電圧を比較すると、(3.2)と同
様に[サブフレーム1〜6000における、TCM信号
のピーク電圧は、FDM信号のそれの1/(6000)
1/2 ]になる。
【0110】また各サブフレーム内に存在するTCM信
号(タイム・スロット#1〜#3000またはタイム・
スロット#3001〜#6000のサンプルされた信
号)は、平均電力の最大値PTCM を考えるときは、
(3.2)と異なる考え方をしなければならない。これ
については(3.4)で説明する。
【0111】また、この場合のFDM信号の有する振幅
周波数特性は図15(b)と全く変わりは無い。一方、
TCM信号の有する振幅周波数特性は図15(a)とほ
とんど変わりは無いが、多重度が半分になった分だけ分
布の微小な変化が若干粗になる程度である。
【0112】(3.4)フレーム長1/1500秒、多
重度6000のときのTCM信号の有する振幅の大きさ
(ピーク値)とFDM信号のそれらとの比較 図18には、n(=6000)個の電話信号から、1フ
レーム時間長(フレーム長)T=1/1500秒の、4
個のサブフレームSF1〜SF4を含んだ、TCM信号
とFDM信号を作成したときの各タイム・スロットの波
高値(ピーク電圧)を示しており、これを参照しながら
説明する。
【0113】(3.2),(3.3)と同様の検討を進
める。その結果、結論としてつきのことが分かる。
【0114】 サブフレームSF1においてTCM信
号を構成する信号#1,#2,…,#1500の4サン
プルづつが、サブフレームSF2において#1501〜
#3000の4サンプルづつが、サブフレームSF3に
おいて#3001〜#4500の4サンプルづつが、サ
ブフレームSF4において#4501〜#6000の4
サンプルづつが、それぞれ収容されている。一方、FD
M信号の方は、任意のサブフレーム(と同等の時間長
内)において、電話チャネル#1〜#6000の合成信
号のサンプルされたΣとして表示した信号が常時存在す
る。
【0115】 任意のサブフレーム内に存在するTC
M信号のサンプルされた信号間では、前述した通り電力
は形成されないから、各サンプルごとにFDM信号のピ
ーク電圧と比較することになる。
【0116】以上の結果、サブフレームSF1ないしS
F4における、TCM信号、FDM信号の呈するピーク
電圧は、(3.2),(3.3)と同様に[TCM信号
のピーク電圧はFDM信号のそれより1/60001/2
だけ低い]。また、TCM信号、FDM信号の電力に関
しては(4)で説明する。
【0117】(3.5)TCM信号のフレーム長が1秒
のときのTCM信号の有する振幅の大きさ(ピーク値)
とFDM信号のそれらとの比較 図19にはn(=6000)個の電話信号から1フレー
ム時間長T=1秒の、n個のサブフレームSF1〜SF
nを含んだ、TCM信号とFDM信号を作成したときの
各タイム・スロットの波高値(ピーク電圧)を示してお
り、これを参照しながら説明する。
【0118】TCM信号のフレーム時間長がさらに長く
なり、ついに1秒となった場合について(3.2)〜
(3.4)と同様に検討を進める。この場合も、TCM
信号の1フレームが6000個のサブフレーム(時間長
1/6000秒)に分かれる。その結果、結論として、
つぎのことが分かる。
【0119】 サブフレームSF1にはTCM信号を
構成する信号#1が、サブフレームSF2にはTCM信
号を構成する信号#2が、以下TCM信号を構成するサ
ブフレームSFiには信号#iがそれぞれ6000サン
プルづつ収容されることになる。
【0120】一方、FDM信号の方は任意のサブフレー
ム内において、電話チャネル#1〜#6000の合成さ
れたΣとして表示した信号のサンプル信号6000個づ
つが存在する。 の結果、サブフレーム1〜6000において、そ
れぞれの信号を構成する要素(サンプル信号)が(3.
1)に比べ異なっている。すなわち6000から1に減
少している。
【0121】以上の結果、[サブフレーム1〜6000
における、TCM信号のピーク電圧はFDM信号のそれ
より1/60001/2 だけ低い]。
【0122】また、この場合のTCM信号の有する振幅
周波数特性はFDM信号の有する振幅周波数特性と全く
変わりはないことになる。しかも、この場合FDM信号
といえども電話1チャネルであり、電話信号そのものの
振幅周波数特性となる。
【0123】(3.6)TCM信号のフレーム長が1/
6000秒以下のときのTCM信号の有する振幅の大き
さ(ピーク値)とFDM信号のそれらとの比較 以上はTCM信号のフレーム長が1/6000秒より次
第に長くなった場合であったが、逆に1/6000秒以
下(たとえば1/8000秒)になった場合を説明す
る。
【0124】この場合は、TCM信号、FDM信号とも
サンプリング周波数を前述の12kHzから16kHz
に変更すれば良いことになる。その結果、図14のフレ
ーム長が1/6000秒より1/8000秒になっただ
けで説明はすべて(3.2)で行ったのと全く同一にな
る。すなわちTCM信号のフレーム長が元信号の有する
ナイキスト周波数の逆数以下のときも、[フレーム内に
おける、TCM信号のピーク電圧はFDM信号のそれよ
り1/60001/2 だけ低い]を得る。
【0125】なお、(3.2)〜(3.5)では多重度
が6000の場合であったが、一般にn多重のときのT
CM信号の有するピーク電圧値はFDM信号と比較し
て、1/n1/2 だけ低いことは明らかであろう。
【0126】(4)FDM,TCM信号の有する平均電
力の最大値等の比較 以上種々説明したFDM,TCM信号の有するピーク電
圧の最大値は、両信号とも1個の電話信号が単一の正弦
波で表わされるとしたときのものであった。しかしなが
ら、実際の電話信号は単一の正弦波で表わされるような
単純なものではなく、非常に複雑な波形を有する。しか
も、上記の2信号を比較するにあたっては、ある時間
(1/(2fh T)内)を区切り、その範囲内に存在す
る信号のピーク電圧を比較する方法を用いた。この方法
は信号のピーク電圧を比較する場合には適切であると考
えられるが、以下説明する平均電力の最大値の比較に際
しては困難な問題に遭遇することになる。それは信号の
有する平均電力の最大値を求める時、測定する時間間隔
により測定値が変化することである。たとえば、極端な
場合、測定する時間を30秒とか1分とかに選べばFD
M,TCM信号とも同一の平均電力を有し、かつ他の時
間に測定した平均電力とほとんど変わり無くなる。この
場合は測定された“平均電力の内の最大値”という定義
そのものも意味が無くなることになる。この意味からは
TCM信号はもとより、FDM信号に関してもこの信号
の有する“多重負荷利得”は意味を失う。しかしなが
ら、TCM信号の有する多重負荷利得をFDM信号と関
連づける手段として必要と考えるので、以下に説明す
る。
【0127】(4.1)信号の有する平均電力について まず、TCM信号については長時間にわたるTCM信号
をサンプルに選び、その信号を各1フレーム(T)毎に
区切り、その有する平均電力(得られた電力をTで割っ
た値)を測定し、集合LTCM (T)を作成する。一方、
FDM信号に対しても、時間T毎に区切り、その有する
平均電力を測定し、集合LFDM (T)を作成する。ただ
し、このようにして得られた集合LFDM (T)に関して
は、測定時間Tが大きくなればその集合の有する最大値
は減少するが、その程度は後述のTCM信号程大きくは
ない。したがって、注目すべき点は集合LTCM (T)が
Tの変化に対していかなる変化をするかである。ただ
し、多重度はnとする。
【0128】まず、T=1/6000秒の場合を説明す
る。TCM信号については各フレーム内にn多重すべき
すべての信号が含まれており、集合LTCM (6000)
の最大値(正確には集合の内の99%最大値のサブ集合
の平均値、以下最大値と表現した場合はこの意味であ
る)は、LFDM(6000) のそれと同一の値を示すこ
とになる。なぜならば、TCM信号では1タイム・スロ
ットに入れられる電話信号は、すでに説明したように、
信号電力がn倍されて入力されているが、1フレーム内
のすべての電話信号が最大値を呈する確率は丁度FDM
信号のすべての電話信号が最大値を呈する確率と全く同
一(正確には大きな集合にとると、この確率と全く同一
と言い得る程近い値)になり、かつ、その最大値も全く
同一(正確には大きな集合にとると、この確率と全くと
同一と言い得る程近い値)になるからである。
【0129】つぎに、T>1/6000秒の場合を説明
する。この場合は、上記のT=1/6000秒の場合と
異なり、TCM信号については各サブフレーム内に60
00多重のすべての信号が含まれておらず、Tが大きく
なるにしたがって、この傾向は増大する。そして、サブ
フレーム内におけるTCM信号の電力の最大値はFDM
信号(多重度は6000)の有する最大値よりも大きく
なる。それは特定の電話チャネルの電力がハイレベルに
ある場合、この電力が全体に及ぼす影響が大きくなるた
めである。すなわち、集合LTCM (T)の最大値は、L
FDM (T)よりも大きくなる。とくにT≧1の場合は、
1サブフレーム(時間1/6000秒)内には電話1チ
ャネルの信号しか含まれておらず、この信号が最大の信
号電力を持続する場合には、LTCM (T)の最大値はL
FDM (T)よりも極めて大きくなる(正確には15+lo
g10n倍、ただし、nは多重度)。
【0130】このような状態にある信号は、隣接無線チ
ャネルに大きな電波干渉を発生させる。しかも、最大の
信号電力を持続する確率は、無線回線設計上無視できな
い値となる。
【0131】以上の状態は、FDM信号の多重度nを常
に一定としたから発生したのであり、もし、多重度を下
式に従って低減(n′に)すれば、上記2個の最大値で
あるLTCM (T)とLFDM (T)は等しくなる。すなわ
ち、 n′=n/(2fh T)
【0132】(4.2)TCM,FDM両信号の有する
ピーク電圧の最大値について TCM,FDM両信号の有するピーク電圧の最大値につ
いては、すでに説明した通り、測定時間の如何を問わず
常にTCM信号の有するピーク電圧の最大値はFDMよ
りも1/n小さい値を有することとなる。
【0133】(5)TCM信号の有する多重負荷利得と
FDM信号の有する多重負荷利得との関係 以下、TCM信号の有する多重負荷利得とFDM信号の
有する多重負荷利得との関係を求めるが、この際、1/
{2fh (1/6000秒)}内の電力で比較するか、
あるいは、ピーク電圧で比較するか、の区別、さらに
は、TCM信号のフレーム時間長による多重負荷利得の
変化等について検討する。
【0134】まず、1/{2fh (1/6000秒)}
内の電力で比較した場合を説明する。
【0135】この場合はすでに(4)で求めた結果から
容易に、多重度nのTCM信号の有する多重負荷利得G
T 、とFDM信号の多重負荷利得GF との間の関係は、
フレーム時間長T≦1/6000秒のとき、 GT1 (n)=GF (n) (5) を得る。
【0136】また、TCM信号の有するフレーム時間長
Tが1/6000秒より長いときは、 GT1 (n)=GF (n′) (6) ただし、n′は下式から与えられる値を使用する。 n′=n/(2fh T) (7) 式(6),(7)は、文献4の式(19)と同一内容に
なる。つぎにピーク電圧で比較した場合を説明する。
(4)で検討したFDM信号のピーク値とTCM信号の
それは、TCM信号のフレーム時間長に関係なく、TC
M信号のピーク値はFDM信号のピーク値に比べて1/
1/2 だけ低かった。それゆえ、この場合のTCM信号
の有する多重負荷利得GT2は、 GT2(n)=10log10n (8) 以上よりTCM信号の有する多重負荷利得の推定式につ
いて説明する。
【0137】TCM信号の有する総合的な多重負荷利得
T (n)は、 GT (n)=GF (n)+GT2(n) (9) と表現されるべきであろう。しかしながら、TCM信号
の有する多重負荷利得GT が式(9)で与えられるので
あれば、たとえば、n=6000の時、GF は式(1)
より52.7dB、GT2は10log10 6000=37.
7dBの合計として89.7dBという巨大な多重負荷
利得を得ることになる。本当にこれは正しいのであろう
か。実際はこれは誤りである。それはFDM信号を構成
するn個の電話信号がすべてピーク値を示す場合は、式
(5)はGF =0。したがって、式(9)は37.7d
Bとなり、FDM信号に比較してこの値だけ多重負荷利
得が大きいことになる。しかしながら、実際上、多重度
nが大きいとき,FDM信号を構成するn個の電話信号
がすべてピーク値を示す場合の発生確率は皆無(1%以
下)といって良い程小さな値であり、通常は信号のレベ
ルはピーク値よりかなり低い値を示している筈である。
それ故、式(9)の右辺第2項は加算してはならないこ
とはないが、その全量を常時加算することはできないこ
とになる。したがって、 GT (n)=G1 (n)+GT2(n) (10) G1 (n)<GF (n) (11)
【0138】ここで、G1 (n)は実測しないと正確に
はわからないが、常識的にはGT がGF より大きくなる
ことはないから、GT =GF と式(5)のようになろ
う。
【0139】つぎに、nが次第に小さくなる(とくにn
<10)と、FDM信号の有する多重負荷利得GF は大
きく減少し、nが3以下になると、GF =0と考えなけ
ればならなくなる。それはこの場合、FDM信号を形成
する電話信号のすべてのピーク電圧が同時にすべて重な
り合う可能性が増加するからである。この反面、TCM
信号のピーク電圧は、常に1/n1/2以下に保たれてい
るから、10log10nの項が意味を持ってくる。したが
って、式(11)は G1 (n)≒0 (n<10) と考えるべきであり、式(10)は、 GT (n)=10log10n (12) となる。
【0140】以上はフレーム長が1/6000秒の場合
であったが、1/6000秒よりも長い場合は、式
(6),(7)から得られるn′を用いる必要がある。
したがって、GT の推定式は下式のようになる。 GT (n)=G1(n)+GT2(n) (13) G1 (n)≦GF(n′) また、n′は式(7)から与えられる値を使用する。
【0141】図20および図21は、多重度n=600
0の場合の式(12)の多重負荷利得の様子を示してい
る。図20はフレーム長Tをパラメータとして描いた多
重負荷利得のグラフであり、n(n′)が大きい時、T
=1/6000では、GT はGT2よりG1 だけ大きいこ
とを示している。Tが次第に大きくなると、G1 はそれ
につれて減少するが、GT2 は一定値である。たとえ
ば、T=1/3ではn′=3、G1 (3)=0、GT2
(6000)=37.7dBである。
【0142】 図21は、Tを=1/6000に固定し、
nをパラメータとして描いたTCM信号の多重負荷利得
のグラフであり、n≦5のときG1 =0、GT2(5)=
7dB、以下nが順に大きくなると、G1 が現われ、n
=6000ではGT はG1 (6000)とGT2(600
0)との和で与えられることを示している。
【0143】以上説明した本発明の理論的根拠によりT
CM化した電話信号には、従来明らかにされていた多重
負荷利得よりも更に大きな多重負荷利得が存在すること
が明らかになった。
【0144】(6)TCM信号の有する振幅周波数特性
とFDM電話信号の有するそれとの比較による搬送波間
隔の狭小化の可能性 TCM信号を角度変調した変調波の有する振幅周波数特
性とFDM信号の有する振幅周波数特性との比較をす
る。
【0145】式(1)で示される電話信号をn多重した
FDM信号を数式で書くと、 sFDM (t)=Σsi (t)=ΣΣaijsin(ωt+φj ) (14) ここで第2項のΣおよび第3項最初のΣはiを1〜nと
したときの合計を表わし、第3項2番目のΣはjを0.
3〜3kHzとしたときの信号成分の合計を表わしてい
る。式(14)をFM変調した変調波PFDM (t)の有
する振幅周波数特性を求める。まず、変調波P
FDM (t)は下式で表わされる。ただし、FM変調した
際、問題となる3角雑音の影響を避けるためエンファシ
スをかける(式(14)の右辺にnωb をかける)こと
にする。 PFDM (t)=Ac cos{ωc t−k∫nωb FDM (t)dt} (15) ここに、 Ac : 搬送波の振幅 ωb : 電話信号の最高角周波数 ωc : 搬送波の角周波数 式(15)より最大周波数偏移(ΔωmFDM)を求める
と、 ΔωmFDM=k×(n(n+1)/2)am ωb (16) ここに、 am : 1つの電話信号の有する電圧 また、変調指数は、 mfFDM=k(n+1)/2am (17) 同様に式(3)で示されるTCM化された電話信号をn
多重したTCM信号を数式で書くと、 uTCM (t)=Σui (t)=ΣΣbij sin(nωj t+φj ) (18) ここで第2項のΣおよび第3項最初のΣはiを1〜nと
したときの合計を表わし、第3項2番目のΣはjを0.
3〜3kHzとしたときの信号成分の合計を表わしてい
る。
【0146】TCM信号をFM変調した変調波P
FDM (t)の有する振幅周波数特性を求める。まず、変
調波PFDM (t)は下式で表わされる。ただし、FM変
調した際、問題となる3角雑音の影響を避けるためエン
ファシスをかける(式(3)の右辺にnωb をかける)
ことにする。 PTCM (t)=Ac cos{ωc t−k∫nωb TCM (t)dt} (19) 式(19)より最大周波数偏移(ΔωmTCM)を求める
と、 ΔωmTCM=k×bm nωb (20) ここに、 bm : 1つの電話信号の有する電圧
(bm =n1/2 m ) また、変調指数は、 mfTCM =kbm =kn1/2 m (21) を得る。
【0147】図22および図23にはFM−TCM信号
およびFM−FDM信号の有する振幅周波数分布を変調
指数や最大周波数偏移より推定した模式図が示されてい
る。2信号の特徴を説明すると下記のようになる。
【0148】 TCM信号の変調指数はkn1/2 m
であるのに対してFDM信号のそれはk×((n+1)
/2)am であり、おおよそ√n/2倍だけ小さい。 FDM信号のベースバンドの最高周波数(nωb
における振幅値は、有限のレベルにあるのに対し、TC
M信号のそれはFDM信号より、おおよそ√n/2倍だ
け低い。
【0149】上記、,のTCM信号の特徴は他に見
られない良好なものであり、これにより、以下説明する
搬送波間隔の狭小化が可能になる。
【0150】(6.1)TCM信号を用いたシステムに
おける搬送波間隔の狭小化 以上の検討で明らかになったように、FM−TCM信号
はFM/FDM信号に比較して、ベースバンドの最高周
波数(nωb )における振幅値は、おおよそ√n/2倍
だけ小さいという非常に良好な特徴を有することが明ら
かになった。そこで、FM−TCM信号と比較してどの
程度まで搬送波間隔の狭小化が可能かを説明する。一例
として、n=1800チャネル多重のFM−FDM信号
の搬送波間隔とFM−TCM信号のそれとを比較する。
この場合、FM−FDM信号の搬送波間隔は30MHz
に選ばれた実績がある。これはベースバンドの最高周波
数3kHz×1800=5.4MHzの約5.6倍に選
ばれたことになる。
【0151】一方、FM−TCM信号ではベースバンド
の最高周波数において、信号成分はほとんど無いといっ
てよく、したがって理論的に搬送波間隔を2×5.4M
Hz=10.8MHzに選んでも差支えないことにな
る。実際は濾波器の特性上12〜15MHz必要となる
が、それでもFM−FDM信号と比較して約1/2とな
る。
【0152】以上よりTCM信号を用いたシステムにお
ける搬送波間隔の狭小化は可能で、おおよそ1/2に狭
小化できる見通しが得られた。したがって周波数の有効
利用度は約2倍に向上することになる。
【0153】なお、以上説明したTCM信号を用いたシ
ステムにおける搬送波間隔の狭小化を実行した場合、T
CM信号のベースバンドの最高周波数付近の信号成分が
濾波器の特性の如何により削減される可能性がある。し
かしながら、この場合でもTCM信号は良好な性質を有
しており、あまり悪影響を被らないことを以下において
説明する。
【0154】FM−TCM信号において、第1側波帯の
最高周波数(ベースバンドの最高周波数)付近の信号成
分が大きくなるのは信号成分の内、ベースバンドの最高
周波数の信号のエネルギーが大きいか、あるいは、信号
全体のエネルギーがピーク値を示す場合である。前者は
図16より明らかなごとく最高周波数のエネルギーは小
さいために、まず発生しないから、後者の場合を考慮す
れば良い。
【0155】公知の事実として、音声のエネルギーと情
報量(了解度)の関係はつぎのような関係があることが
知られている。すなわち、音声の波形に現われるピーク
を圧縮して取り除いても、運ばれる情報量はあまり変化
しない。これに対して音声波形の0付近を除去してしま
うと、振幅の大きなところをそのまま残しても、運ばれ
る情報量は急激に低下していく。
【0156】図24には電話信号からピーク除去をした
ときと0付近を除去した場合の情報量伝送特性を測定し
た実験結果が示され、図25には図24においてピーク
除去をする場合と0付近の除去をする場合の波形の様子
を示している。図24の横軸は音声波形のピークまたは
0部分の除去量を、縦軸はこのような除去によって引き
起こされる、言葉の了解性の低下を示す。
【0157】以上説明した公知の事実により本発明を適
用し、濾波器の特性がたとえTCM信号のベースバンド
の最高周波数付近の信号成分を削除、ないし、削減され
る場合でも、信号の了解度には余り悪影響を与えないこ
とが明らかとなった。
【0158】
【発明の効果】以上の説明からTCM化した電話信号の
送信側の信号には、従来明らかにされていた多重負荷利
得よりも更に大きな多重負荷利得が存在することが明ら
かになった。それ故、干渉妨害等を許容値以内に保ちつ
つ、送信用角度変調器へ加えられる信号のレベルを従来
知られていた値以上に高めることができ、送信電力の低
減が可能となるほか、周波数の有効利用が可能となっ
た。また、これと共にTCM信号の振幅周波数特性には
他に見られない良好な特徴があり、これにより、FDM
信号に比較して搬送波間隔の狭小化が可能となり、周波
数の有効利用度が向上するので本発明の効果は極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの概念を示す概念構成図であ
る。
【図2】本発明のシステムに使用される移動無線機の基
本動作を説明するための回路構成図である。
【図3】本発明のシステムに使用される無線基地局の基
本動作を説明するための回路構成図である。
【図4】本発明のシステムに使用されるタイム・スロッ
トの基本的機能を説明するためのタイム・スロット構造
図である。
【図5】通話信号および制御信号のスペクトルを示すス
ペクトル図である。
【図6】音声信号とデータ信号を多重化する回路構成図
である。
【図7】タイム・スロットの無線信号波形を示す波形図
である。
【図8】通話信号および制御信号のスペクトルを示すス
ペクトル図である。
【図9】本発明によるシステムの基本動作の流れを示す
フロー・チャートである。
【図10】図9とともに本発明によるシステムの基本動
作の流れを示すフロー・チャートである。
【図11】n個の電話信号からFDM信号を作成した場
合のスペクトル図である。
【図12】n個の電話信号からTCM信号を作成した場
合のスペクトル図である。
【図13】n個の電話信号をn個のタイム・スロットに
収容した場合のタイム・スロット図である。
【図14】n個の電話信号から1フレーム時間長1/6
000秒のTCM信号とFDM信号を作成したときのタ
イム・スロットの波高値を示す波高値図である。
【図15】TCM信号(a)およびFDM信号の振幅周
波数特性図である。
【図16】人の会話音声のスペクトルを示すスペクトル
図である。
【図17】n個の電話信号から2個のサブフレームを含
む1フレーム時間長1/3000秒のTCM信号とFD
M信号を作成したときのタイム・スロットの波高値を示
す波高値図である。
【図18】n個の電話信号から4個のサブフレームを含
む1フレーム時間長1/1500秒のTCM信号とFD
M信号を作成したときのタイム・スロットの波高値を示
す波高値図である。
【図19】n個の電話信号からn個のサブフレームを含
む1フレーム時間長1秒のTCM信号とFDM信号を作
成したときのタイム・スロットの波高値を示す波高値図
である。
【図20】フレーム長TをパラメータとしたときのTC
M信号の多重負荷利得とFDM信号の多重負荷利得の関
係を示す多重負荷利得図である。
【図21】多重度nをパラメータとしたときのTCM信
号の多重負荷利得図である。
【図22】FM−TCM信号の振幅周波数分布を示すス
ペクトル図である。
【図23】FM−FDM信号の振幅周波数分布を示すス
ペクトル図である。
【図24】電話信号からピーク除去をしたときと0付近
を除去した場合の情報伝送量特性を示す特性図である。
【図25】図24においてピーク除去をする場合と0付
近の除去をする場合の波形を示す波形図である。
【符号の説明】
10 電話網 20 関門交換機 22−1〜22−n 通信信号 30 無線基地局 31 信号処理部 32 無線送信回路 35 無線受信回路 38 信号速度復元回路群 38−1〜38−n 信号速度復元回路 39 信号選択回路群 39−1〜39−n 信号選択回路群 40 制御部 41 クロツク発生器 42 タイミング発生回路 51 信号速度変換回路群 51−1〜51−n 信号速度変換回路 52 信号割当回路群 52−1〜52−n 信号割当回路 91 ディジタル符号化回路 92 多重変換回路 100,100−1〜100−n 移動無線機 101 電話機部 120 基準水晶発振器 121−1,121−2 シンセサイザ 122−1,122−2 スイッチ 123 送受信断続制御器 131 速度変換回路 132 無線送信回路 133 送信ミクサ 134 送信部 135 無線受信回路 136 受信ミクサ 137 受信部 138 速度復元回路 141 クロック再生器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のゾーンをそれぞれカバーしてサー
    ビス・エリアを構成する各無線基地手段(30)と、前
    記複数のゾーンを横切って移動し、前記無線基地手段と
    交信するためにフレーム構成のタイム・スロットに時間
    的に圧縮した区切られた信号をのせた無線チャネルを用
    いた各移動無線手段(100)との間の通信を交換する
    ための関門交換手段(20)とを用いる移動体通信の時
    間分割通信方法において、 前記時間的に圧縮した区切られた信号の有する周波数振
    幅特性の分布が同一の多重度を有する周波数分割多重電
    話信号が有している周波数振幅特性よりも少ないことを
    用いて、前記無線基地手段と前記移動無線手段との間の
    送受信信号の搬送波の間隔を狭小化した移動体通信の時
    間分割通信方法。
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