JPH0523577B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明はポリフエニレンエーテル系樹脂ブロー
成形方法に関し、さらに詳しくは成形安定性に優
れ、肉厚均一性に優れたポリフエニレンエーテル
系樹脂ブロー成形品の製造方法に関する。 従来の技術 ポリフエニレンエーテル系樹脂は物理的特性、
化学的特性に優れていることから、射出成形にて
電気製品の部品等に広く使用されている。また、
最近、成形品の用途拡大を計る面よりポリフエニ
レンエーテル系樹脂のブロー成形が検討されてい
る。 本発明の解決すべき問題点 ポリフエニレンエーテル系樹脂はポリエチレン
等の汎用樹脂に比べ熱変形温度が高いことから、
成形温度も高く設定しブロー成形することが考え
られる。しかしながら単に成形温度を高く設定す
るだけでは射出成形のように成形を安定的に行な
うこと、また肉厚の均一な成形を行なうことが困
難であつた。すなわち、ポリフエニレンエーテル
系樹脂は溶融粘度の温度依存性が著しく、僅かの
温度変化で押出されたパリスンのブロー適性条件
が変り易く、さらに押出機内の剪断による内部発
熱により、予め設定した温度条件より高い温度と
なり、これによつてもパリスンのブロー適性条件
が変り易く成形を安定的に行なうことが困難であ
り、仮りに成形できたとしても肉厚のきわめて不
均等な成形品しか得ることができなかつた。 本発明は特定の成形条件を見い出すことによ
り、上記の如き問題点を解決したものであり、成
形安定性に優れ、肉厚均一性に優れたポリフエニ
レンエーテル系樹脂製ブロー成形品の製造方法を
提供すものである。 問題点を解決するための手段 本発明はその目的を達成するため以下のような
解決手段を見いだした。すなわち、本発明は、ポ
リフエニレンエーテル系樹脂を圧縮比1.5〜2.1に
設定された押出機にて220〜270℃の成形温度で溶
融した後、可塑化されたパリスンを押出ヘツドよ
り90mm／sec以上の高速度で押出し、ついでパリ
スンを分割形式の金型にて閉鎖し、該パリスン内
に圧力流体を導入して膨張してなるポリフエニレ
ンエーテル系樹脂製ブロー成形品の製造方法に関
する。 本発明のポリフエニレンエーテル系樹脂とは (1) ポリフエニレンエーテル樹脂にポリスチレン
樹脂をブレンドしたもの、 または、 (2) フエニレンエーテル単独重合体または、この
構造を主体としてなるポリフエニレンエーテル
共重合体にポリスチレンの一部または全部をグ
ラフト結合する等して変性したものである。 また、ポリスチレン樹脂としてはポリブタジエ
ン、EPDM等とグラフト化した変性ポリスチレ
ン、またはスチレン−アクリロニトリル含有重合
体等のスチレン含有重合体である。 なお、ポリフエニレンエーテル系樹脂中のポリ
フエニレンエーテル樹脂の含有量は15重量部以上
で90重量部以下であることがブロー成形性及びブ
ロー成形品の物理的特性を維持する面で好まし
い。 さらに、上記ポリフエニレンエーテル系樹脂に
他のプラスチツク、エラストマー及び各種添加剤
をポリフエニレンエーテル系樹脂の特性を損なわ
ない範囲でブレンドすることもできる。 また、ポリフエニレンエーテル系樹脂の溶融に
際し圧縮比が1.5未満であると樹脂中に未溶解物
が残留した状態でパリスンが押出されブロー成形
時その未溶解物の残留した部分よりピンホールが
発生し易くまた仮にブロー成形できても製品に未
溶解物が斑点状に現われ外観が極端に損なわれ
る。また、圧縮比が2.1を越えると剪断による内
部発熱により樹脂の溶融張力が損なわれ、パリス
ンで押出した際、ブロー成形される以前にパリス
ン自重により極端に肉厚が変化したりさらにはパ
リスンが押出ヘツドより切断してしまう問題が発
生する。 また、ポリフエニレンエーテル系樹脂の成形温
度が220℃未満であると樹脂が完全に溶融されず
押出機また押出ヘツドへの負荷が高くなり押出困
難となり、270℃を越えると押出されたパリスン
の溶融張力の低下をきたす。 また、ポリフエニレンエーテル系樹脂の押出し
の際、90mm／sec未満の速度で押出すとパリスン
の自重により肉厚が極端に変化し肉厚の均一な製
品が得られない。 本発明は上記の如き、溶融条件、溶融温度、及
び押出速度を特定の範囲に設定することにより、
成形安定性に優れ、肉厚均一性に優れたポリフエ
ニレンエーテル系樹脂のブロー成形方法を見い出
したものである。 なお、本発明の成形方法にて得られる成形品と
はパネル、コンテナー類その他バンパー、スポイ
ラー、シートバツクフレーム等の自動車部品、電
気機器のハウジングパネル、家具等の住宅設備等
ブロー成形にて成形される成形品の総称である。 作 用 ポリエチレン等の汎用樹脂は一般的に圧縮比
3.2〜3.8の範囲に設定された押出機にて溶融した
後、可塑化されたパリスンを40〜60mm／secの速
度で押出してブロー成形されるが、ポリフエニレ
ンエーテル系樹脂を上記の条件でブロー成形しよ
うとしても押出機内での内部発熱によつて、押出
機の設定温度をポリフエニレンエーテル系樹脂の
最適条件となるようにした場合でも、その条件が
変化し易く、また押出されたパリスンがブロー成
形される以前にパリスン自重により極端に肉厚が
変化してしまう問題がある。 本発明においてはポリフエニレンエーテル系樹
脂を圧縮比1.5〜2.1好ましくは1.6〜2.0に設定さ
れた押出機にて220〜270好ましくは230〜260℃の
範囲の成形温度で溶融した後、可塑化されたパリ
スンを押出ヘツドより90mm／sec以上好ましくは
120mm／sec以上の高速度で押出すので、押出機内
の内部発熱による適性条件の変化もなく、仮りに
若干の変化が生じたとしても90mm／sec以上の高
速度で押出すのでパリスン自重による肉厚変化も
ほとんど生じない。 実施例 １ ポリ（２，６−ジメチル−１，４−フエニレ
ン）オキシド樹脂60重量部、ジエンゴム変性ポリ
スチレン樹脂40重量部、スチレン系熱可塑性エラ
ストマー10重量部からなるポリフエニレンエーテ
ル系樹脂を密閉型一軸押出機１（フルフライトス
クリユー、スクリユー径90mm、Ｌ／D22、圧縮比
1.8）を使用し248℃の設定温度で溶融した。つい
で溶融樹脂を堅型アキユームレータ２（アキユー
ム容量６）に蓄積した後、外径350mm、肉厚2.6
mmの筒状パリスンＰを170mm／secの速度で押出ベ
ツド３より押出し、押出が完了する直前に分割形
式の金型４を閉鎖し、パリスン内に７Kg／cm²の圧
縮空気を導入してパリスンを膨張した後、成形品
を金型内で冷却後、成形品を金型から取出し、縦
800mm、横500mm、幅20mmの中空パネル５を成形し
た。 実施例 ２ パリスンの押出速度が110mm／secである以外
は、実施例１と同様の樹脂、及び成形条件で中空
パネルを成形した。 比較例 １ 密閉型一軸押出機（フルライトスクリユー、ス
クリユー径90mm、Ｌ／D22、圧縮比1.3）を使用
する以外は、実施例１と同様の樹脂、及び成形条
件で中空パネルを成形した。 比較例 ２ パリスンの押出速度が60mm／secである以外は、
実施例１と同様の樹脂、成形装置及び成形条件で
中空パネルを成形した。 比較例 ３ 密閉型一軸押出機（フルライトスクリユー、ス
クリユー径90mm、Ｌ／D22、圧縮比２，２）の押
出機を使用し、パリスンの押出速度が60mm／sec
である以外は実施例１と同様の樹脂成形装置及び
成形条件で中空パネルを成形しようとしたが、パ
リスン押出時パリスンが自重により押出ヘツドか
ら切断されブロー成形ができなかつた。 上記実施例及び比較例の成形性また得られた中
空パネルの肉厚性、外観性を下記表に示す。

【表】

【表】 効 果 本発明は上記の如く肉厚均一性に優れたポリフ
エニレンエーテル系樹脂製成形品を安定的にブロ
ー成形できる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る製造方法を説明するため
の成形装置略図、第２図は本発明に係る成形方法
にて得られた中空パネルの斜視図である。 １：押出機、２：アキユームレータ、３：押出
ヘツド、４：金型、５：成形品である中空パネ
ル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリフエニレンエーテル系樹脂を圧縮比1.5
   〜2.1に設定された押出機にて220〜270℃の温度
   で溶融した後、可塑化されたパリスンを押出ヘツ
   ドより90mm／sec以上の高速度で押出し、ついで
   パリスンを分割形式の金型にて閉鎖し、該パリス
   ン内に圧力流体を導入して膨張してなるポリフエ
   ニレンエーテル系樹脂製ブロー成形品の製造方
   法。