JPH05231364A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トップクリアランスボリュームの低減を図
る。 【構成】 吐出ポートに、同吐出ポートの内方側の穴径
より同吐出ポートの外方側の穴径の方が大きい段差部
と、この段差部から同吐出ポートの外方側に向うにつれ
て穴径が拡大する通気溝と、この通気溝の内壁から同吐
出ポートの中心方向に向かって突出して形成されたガイ
ド部を設け、かつ、同吐出ポートの中のガイド部の間に
上記軸受の外側から挿入され同軸受に固定されるリテー
ナを設け、さらに、同吐出ポートの段差部の大径部に装
着され圧縮機構の内外の圧力差に応じて上記段差とリテ
ーナとの間で自由に移動する吐出弁を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はロータリ圧縮機に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】図７は従来の密閉型ロータリ圧縮機の縦
断面図、図８は図７の要部拡大縦断面図、図９は図７の
Ｘ−Ｘ断面図である。図において、密閉ハウジング１の
内部にはモータ２と、このモータ２によって駆動される
ロータリ型圧縮機構３が収容されている。モータ２のス
テータ２ａはハウジング１に固定され、ロータ２ｂはク
ランクシャフト４の上部に固定されている。ロータリ型
圧縮機構３はクランクシャフト４と、そのクランクピン
５に嵌合されたローリングピストン６と、ハウジング１
に固定されたシリンダブロック７と、このシリンダブロ
ック７の上端開口を閉塞する上部軸受８と、シリンダブ
ロック７の下端開口を閉塞する下部軸受９と、シリンダ
ブロック７に穿設されたスロット２４内に出没自在に嵌
挿されたブレード１０と、このブレード１０の背後に配
設されてこれを押推する押えばね１１等からなってい
る。

【０００３】シリンダブロック７と上部軸受８と下部軸
受９とによって限界されるシリンダ室１２内にローリン
グピストン６を収容し、このローリングピストン６の外
周面にブレード１０の先端を当接せしめることによって
このブレード１０の片側に吸入室１３が、他側に圧縮室
１４が限界されている。クランクシャフト４は上部軸受
８及び下部軸受９によってそれぞれ軸承されている。上
部軸受８には吐出ポート２２が穿設され、この吐出ポー
ト２２は上部軸受８の外面にリテーナ３１と一緒にボル
ト３２で締結された吐出弁３３によって開閉されるよう
になっている。上部軸受８の上面はボルト２５で締結さ
れたカバー２６により被覆され、ここに吐出マフラ室２
７が形成されている。

【０００４】クランクシャフト４がモータ２によって回
転駆動されると、クランクピン５に嵌合されたローリン
グピストン６はシリンダ室１２内で矢印方向に偏心回転
運動し、これに伴って吸入室１３内に吸入管２０からガ
スが吸入され、圧縮室１４内のガスが圧縮される。圧縮
されたガスは吐出ポート２２を通り、吐出弁３３を押し
上げて吐出マフラ室２７内に入りその脈動成分が除去さ
れる。次いで、カバー２６に穿設された図示しない穴を
経て第１の膨張室２８に入って膨張することによりその
脈動成分が更に除去される。次いでステータ２ａとロー
タ２ｂとの間のエアギャップ及びステータ２ａとハウジ
ング１との間に形成されたガス通路２９を経てモータ２
の上方に限界された第２の膨張室１５内に入って膨張す
ることによりその脈動成分が更に除去され、しかる後、
吐出管１６を経て外部に吐出される。一方、圧縮機の運
転を停止したとき、吐出弁３３によって吐出ポート２２
が閉止され、吐出マフラ室２７から圧縮室１４内にガス
が逆流するのが阻止されてクランクシャフト４の逆回転
が防止される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ロータリ圧縮機におい
ては、圧縮効率の向上を図る上で吐出ポート２２の容
積、所謂トップクリアランスボリュームを極力低減する
ことが望ましい。しかるに図８の例ではトップクリアラ
ンスボリュームはかなり大きい。これを小さくするため
に、図１０に示す他の例のように吐出ポート２２が穿設
される箇所の上部軸受８の肉厚を薄くすることで解決さ
れている例もある。しかし、吐出弁３３はボルト３２に
よりリテーナ３１と一緒に固定されて吐出ポート２２を
開閉するようになっているため、この例では、吐出ポー
ト２２の箇所のみならずリテーナ３１の設置箇所全体に
亘って上部軸受８の肉厚を薄くする必要があり、上部軸
受８の剛性低下を招く不具合があった。

【０００６】本発明は上記従来技術の欠点を解消し、軸
受の剛性低下を招くことなく、トップクリアランスボリ
ュームを低減したロータリ圧縮機を提供することを目的
とし、さらにその他の若干の改良を施したロータリ圧縮
機をも提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
したものであって、ロータリ型圧縮機構のシリンダブロ
ックの両端開口を軸受によって閉塞し、同軸受に圧縮ガ
スを吐出するための吐出ポートが穿設してあるロータリ
圧縮機において、次の特徴を有するロータリ圧縮機に関
するものである。

【０００８】（１）上記吐出ポートに、同吐出ポートの
内方側の穴径より同吐出ポートの外方側の穴径の方が大
きい段差部と、この段差部から同吐出ポートの外方側に
向うにつれて穴径が拡大する通気溝と、この通気溝の内
壁から同吐出ポートの中心方向に向かって突出して形成
されたガイド部を設け、かつ、同吐出ポートの中のガイ
ド部の間に上記軸受の外側から挿入され同軸受に固定さ
れるリテーナを設け、さらに、同吐出ポートの段差部の
大径部に装着され上記圧縮機構の内外の圧力差に応じて
上記段差とリテーナとの間で自由に移動する吐出弁を設
けたこと。

【０００９】（２）上記（１）項に記載のロータリ圧縮
機において、リテーナの回動を規制する回り止め部を設
けたこと。

【００１０】（３）上記（１）項に記載のロータリ圧縮
機において、軸受を被覆するカバーを固定するための締
結部材によってリテーナを同カバーと共に固定したこ
と。

【００１１】

【作用】

（１）本発明は上記構成を具えているため、圧縮機構の
内外の圧力差に基づいて吐出弁がガイド部に沿って移動
することにより吐出ポートを開閉する。即ち、圧縮機構
内部の圧力が外部の圧力よりも高い場合には、吐出弁が
ガイド部に沿いながら移動してリテーナに停止し、圧縮
機構から吐出されたガスが吐出ポートの通気溝を通って
流出する。一方、圧縮機構外部の圧力が内部の圧力より
も高い場合には、吐出弁がガイド部に沿いながら移動し
て段差部に停止することによって吐出ポートを閉塞し、
圧縮機構へのガスの逆流を防止する。段差部の位置を軸
受の内面側により近付けて設定することによってトップ
クリアランスボリュームを低減することができ、この結
果、圧縮効率を向上することができるとともに、吐出弁
とリテーナとは分離して設置されるようになっているの
で、軸受の肉厚を薄くする必要がなく、その剛性を向上
できる。

【００１２】（２）回り止め部を設けてあるので、リテ
ーナを締結部材で固定するとき、回り止め部に規制され
るためリテーナの共回りを防止することができ、リテー
ナ先端の吐出ポート内へ挿入される部分を吐出ポートの
中心に正しく設置することができる。

【００１３】（３）リテーナを、軸受けを被覆するカバ
ーと共に、同一の締結部材で固定することによって部品
点数ならびに取付工数を低減することができる。

【００１４】

【実施例】図１は本発明の第１実施例の要部縦断面図、
図２は図１のＡ−Ａ断面図である。図において、５０は
上部軸受８に穿設されている吐出ポート、５１は段差部
であり、前記吐出ポートの内方端と外方端との中間部に
位置し、内方側よりも外方側の方が穴径を大にしてある
部分である。５２は通気溝であり、上記段差部５１から
前記吐出ポートの外方側に向うにつれて穴径を漸次拡大
して形成されている。５３はガイド部であり、通気溝５
２の内壁から一定間隔で吐出ポート５０の中心方向に向
って突出した部分である。本例ではガイド部５３は４箇
所設けられており、このガイド部５３の内側端を連ねて
形成される円の径、すなわちガイド部５３の内径は、段
差部５１の大きい方の内径と同じである。

【００１５】５４は吐出ポート５０の中に収容されてい
る円形平板状の吐出弁である。この弁は段差部５１の大
きい方の内径、すなわちガイド部５３の内端を連ねる円
の内径より若干小さい値の外径を有しており、圧縮機構
３（図１では圧縮室１４）と密閉ハウジング１内（図１
では吐出マフラ室２７）との圧力差に基づいてガイド部
５３に沿って自在に移動することができる。５５はボル
ト、５６は同ボルトによって上部軸受８に取付けられて
いるリテーナ、５６Ａは同リテーナ先端の吐出ポートに
挿入される部分である。前記吐出弁５４はこのリテーナ
５６に当ることによって停止する。

【００１６】なお、図１においては吐出ポート５０は上
部軸受８に穿設されているが、これを下部軸受９に穿設
するとともに吐出弁５４及びリテーナ５６を備えること
もできる。他の構成は図７に示す従来のものと同様であ
り、対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略
する。

【００１７】本装置において、圧縮室１４と吐出マフラ
室２７との圧力差に基づき吐出弁５４がガイド部５３に
沿い上下方向に移動することによって吐出ポート５０が
開閉される。即ち、圧縮室１４の圧力が吐出マフラ室２
７よりも高い場合には、吐出弁５４がガイド部５３に沿
いながら移動してリテーナ５６に当って停止し、圧縮室
１４から吐出されたガスは吐出ポート５０の通気溝５２
を通って吐出マフラ室２７へと流出する。逆に、吐出マ
フラ室２７の圧力が圧縮室１４よりも高い場合には、吐
出弁５４がガイド部５３に沿いながら移動して段差部５
１に当って停止することによって吐出ポート５０を閉塞
し、吐出マフラ室２７から圧縮室１４へのガスの逆流を
防止する。

【００１８】このように、吐出ポート５０を、吐出弁５
４によって閉塞する段差部５１と、ガスの流路となる通
気溝５２と、吐出弁５４の移動を案内するガイド部５３
とを有するように上部軸受８に穿設したことにより、段
差部５１の位置を吐出ポートの内側端により近付けて設
定することができるので、トップクリアランスボリュー
ム（吐出ポートの内側端と段差部５１との間の容積）を
低減することができ、この結果、圧縮効率を向上するこ
とができる。吐出弁５４とリテーナ５６とは分離して設
置されるようになっているので、リテーナ５６は任意の
位置に設置することができ、このリテーナ５６を設置す
るうえで上部軸受８の肉厚を薄くする必要がなくなる。
このため、上部軸受８の剛性は損われることがない。

【００１９】図３は本発明の第２実施例の要部縦断面
図、図４は図３のＢ−Ｂ断面図、図５は図３のＣ−Ｃ矢
視図、図６は上記実施例の吐出ポートと回り止め部の形
状を示す斜視図である。本実施例においては、図３に示
すように、リテーナ５６は上部軸受８を被覆するカバー
２６を固定するボルト２５によって、カバー２６と共に
軸受８に固定されている。図４に示した吐出ポートの断
面形状は前述の第１実施例のものと同じである。

【００２０】また図５および図６に示すように、本実施
例では、ガイド部５３には突起状の回り止め部５７が設
けられている。この回り止め部５７はボルト２５の締付
け方向側に位置しており、リテーナ５６をボルト２５で
締付固定するときこの回り止め部５７に当たることによ
ってその回動を阻止するようになっている。これは、リ
テーナ５６の先端部の、吐出ポート５０の中へ挿入され
る部分５６Ａが、ガイド部の間で偏心することを防止
し、同挿入される部分５６Ａが吐出ポート５０の中央に
正しく設置されるようにするためのものである。なお、
回り止め部５７は上記機能を果たすものであればよく、
例えば、上部軸受８に凹所を設け、この凹所内にリテー
ナ５６を嵌め込むようにすることもできる。

【００２１】本実施例は以上述べたように、カバー２６
を固定するボルト２５を共用してリテーナ５７を軸受８
に固定することによって部品点数と取付工数を低減する
ことと、回り止め部５７を設けて、リテーナ５６をボル
ト２５で固定する時、それが共回りして回動することを
防ぎ、リテーナ５６の先端の挿入部５６Ａが正しく吐出
ポート５０の中央に設置することができるという効果が
ある。上記以外の構成および作用・効果は、第１実施例
と同じである。

【００２２】

【発明の効果】本発明のロータリ圧縮機においては、吐
出ポートに、同吐出ポートの内方側の穴径より同吐出ポ
ートの外方側の穴径の方が大きい段差部と、この段差部
から同吐出ポートの外方側に向うにつれて穴径が拡大す
る通気溝と、この通気溝の内壁から同吐出ポートの中心
方向に向かって突出して形成されたガイド部を設け、か
つ同吐出ポートの中のガイド部の間に上記軸受の外側か
ら挿入され同軸受に固定されるリテーナを設け、さら
に、同吐出ポートの段差部の大径部に装着され圧縮機構
の内外の圧力差に応じて上記段差とリテーナとの間で自
由に移動する吐出弁を設けてあるので、トップクリアラ
ンスボリュームを低減し圧縮効率を向上することができ
る。

【００２３】さらに、リテーナの回動を規制する回り止
め部を設けた場合には、リテーナを正しい位置に設置す
ることができる。また、軸受を被覆するカバーを固定す
るための締結部材によってリテーナを同カバーと共に固
定した場合には、部品点数と組立工数を低減することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の要部縦断面図。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図。

【図３】本発明の第２実施例の要部縦断面図。

【図４】図３のＢ−Ｂ断面図。

【図５】図３のＣ−Ｃ矢視図。

【図６】上記第２実施例の吐出ポートと回り止め部の形
状を示す斜視図。

【図７】従来の密閉型ロータリ圧縮機の縦断面図。

【図８】図７の要部拡大縦断面図。

【図９】図７のＸ−Ｘ断面図。

【図１０】従来のロータリ圧縮機の吐出ポート部の他の
例の縦断面図。

【符号の説明】

１ 密閉ハウジング ３ ロータリ型圧縮機構 ７ シリンダブロック ８ 上部軸受 ９ 下部軸受 ２５ ボルト ２６ カバー ５０ 吐出ポート ５１ 段差部 ５２ 通気溝 ５３ ガイド部 ５４ 吐出弁 ５６ リテーナ ５６Ａ 吐出ポートの中へ挿入される部分 ５７ 回り止め部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロータリ型圧縮機構のシリンダブロック
   の両端開口を軸受によって閉塞し、同軸受に圧縮ガスを
   吐出するための吐出ポートが穿設してあるロータリ圧縮
   機において、上記吐出ポートに、同吐出ポートの内方側
   の穴径より同吐出ポートの外方側の穴径の方が大きい段
   差部と、この段差部から同吐出ポートの外方側に向うに
   つれて穴径が拡大する通気溝と、この通気溝の内壁から
   同吐出ポートの中心方向に向かって突出して形成された
   ガイド部を設け、かつ、同吐出ポートの中のガイド部の
   間に上記軸受の外側から挿入され同軸受に固定されるリ
   テーナを設け、さらに、同吐出ポートの段差部の大径部
   に装着され上記圧縮機構の内外の圧力差に応じて上記段
   差とリテーナとの間で自由に移動する吐出弁を設けたこ
   とを特徴とするロータリ圧縮機。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のロータリ圧縮機におい
   て、リテーナの回動を規制する回り止め部を設けたこと
   を特徴とするロータリ圧縮機。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のロータリ圧縮機におい
   て、軸受を被覆するカバーを固定するための締結部材に
   よってリテーナを同カバーと共に固定したことを特徴と
   するロータリ圧縮機。