JPH0522803U - マニホールドブロツク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 押出し成形後の加工工数を大幅に削減し、軽
量で高精度な製品を安価に生産する。 【構成】 押出し加工により成形された方形断面を有す
る軽金属材の柱状部材に、押出し加工に際して同時に、
その複数の外周面１０ａ，１０ｂに長手方向に沿う逃げ
溝１１ａ，１１ｂを形成し、内部に長手方向に沿って互
いに平行な複数の貫通孔１２ａ，１２ｂを形成して加工
工数を低減させると共に、バルブ取付面１０ｃに複数の
バルブ接続孔１３とバルブ取付用ボルト孔１４とからな
るＩＳＯ規格の孔集団を設け、その一部を貫通孔１２ａ
に、残部を貫通孔１２ｂに連通させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、流体回路用のマニホールドブロックに関し、特に押出し加工によ り成形される柱状のマニホールドブロックに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の流体回路用マニホールドブロックは、通常鉄または鋳鉄の切板材や引抜 材からなり、図６に示すように直六面体の柱状をなしている。このマニホールド ブロック２０の一面のバルブ取付面２０ｃには、図示しないバルブに接続される 複数のバルブ接続孔２３とそのバルブ取付用ボルト孔２４からなる複数組の孔集 団を有し、それに隣接する面２０ｄにも複数の連通孔やボルト孔等の短孔２５を 穿設し、両端面間には、ブロックの長手方向に沿って平行な２本の貫通孔２２ａ ，２２ｂを穿設して、その一方の長孔２２ａにバルブ接続孔２３の一部を、他方 の長孔２２ｂに残部をそれぞれ連通させていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来のマニホールドブロックにあっては、ブロック を構成する材質が鉄や鋳鉄等の鉄系材であって、アルミニウム系の軽金属材に比 して比重がほぼ３倍と重いため、運搬や移動等にしばしば機械や器具を必要とし 、その段取りに多大の時間を要して作業能率が著しく劣化するという問題点があ った。また、機械・器具を用いないで手作業で行う場合には、筋肉疲労により怪 我等の危険性が伴うために女性や中高年層には不向きであり、建設機械や一般産 業機械市場でその軽量化が強く要望されていた。

【０００４】 このような問題点を解決するため、マニホールドブロックの材質をアルミニウ ム系材に変更することも一部で行われているが、鉄系材に比して材料費が３〜４ 倍高になると共に、硬度が低く取扱い中に外表面に傷がつきやすくて商品価値が 大幅に低下するので、最終加工工程で両端面を除いた少なくとも他の４面の外周 面は必ず０．２〜０．３ｍｍ程度の化粧仕上げ加工を施さなければならず、一層 のコスト上昇が不可避であるという問題点があった。

【０００５】 一方、鉄系材を用いた低コストのマニホールドブロックは、素材からの加工に 際して６面の削り代の大きな酸化皮膜からなる黒皮を削り取らなければならず、 多大の工数を必要とすると共に、バルブ取付面は面精度確保のために研摩が必要 であった。

【０００６】 また、鉄系，アルミニウム系のいずれの場合にも、ブロックの長手方向の長孔 を加工するには、ロングドリルによるラジアル加工やガンドリルマシンを用いた ガンドリル加工が必要となり、ロングドリルを用いる場合には大形の機械によら なければならないのでコストが上昇すると共に、ドリルの曲りにより長孔の精度 が劣化するおそれがあり、ガイドリルマシンを用いる場合には、汎用機械でない ので加工工場が制約され、納期が延びると共に大幅にコスト上昇を伴うという問 題点があった。

【０００７】 この考案は上記の点に鑑みてなされたものであり、成形後の加工工数を大幅に 削減し、軽量で高精度のマニホールドブロックを安価に提供することを目的とす る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案は上記の目的を達成するため、押出し加工により成形された方形断面 を有する軽金属材の柱状部材からなる流体回路用のマニホールドブロックであっ て、上記押出し加工に際して同時に、上記柱状部材の複数の外周面にその長手方 向に沿う逃げ溝を形成すると共に、その内部に長手方向に沿って互いに平行な複 数の貫通孔を形成したマニホールドブロックを提供するものである。

【０００９】 また、上記のマニホールドブロックにおいて、上記柱状部材のバルブ取付面に 複数のバルブ接続孔とバルブ取付ボルト孔からなる所定規格の孔集団を設け、上 記バルブ接続孔の一部を上記貫通孔の一つに連通させ、残部を他の貫通孔に連通 させるようにしたマニホールドブロックも提供する。

【００１０】

【作用】

この考案によるマニホールドブロックは上記のように構成することにより、貫 通孔を含む素材の寸法精度は良好であって切削加工工数が大幅に削減され、材料 の節減効果と相俟って高価な軽金属を用いながらその生産コストを鉄材を用いた 場合とほぼ同等にまで低減させることができる。また、複数の外周面に逃げ溝を 形成することにより、取扱い中に傷が付きにくくなって商品価値が著しく向上す ると共に、その面を基準面にした場合の座りが良好となる。

【００１１】 さらに、そのバルブ取付面に複数のバルブ接続孔とバルブ取付用ボルト孔から なる所定規格の孔集団を設けるようにすると、接続するバルブの互換性が向上し 、少種類のマニホールドブロックを多種類の流体回路に用いることが可能となる 。

【００１２】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。 図１はこの考案の一実施例の外観を示す斜視図、図２はその正面図、図３はそ の左側面図、図４はその底面図、図５は押出し成形された柱状の素材を示す斜視 図である。

【００１３】 この考案によるマニホールドブロック１０は、アルミニウムやアルミニウム合 金等の軽金属材を押出し加工により引き抜いて成形した方形断面を有する柱状部 材からなる。成形された柱状の素材１０′には、図５に示すように、素材１０′ の押出し加工と同時に、外周面の２面１０ａ，１０ｂに例えば深さ０．５ｍｍ程 度の長手方向に沿う逃げ溝１１ａ，１１ｂを形成し、その内部には長手方向に沿 う平行な長孔からなる２個の貫通孔１２ａ，１２ｂを形成する。

【００１４】 素材１０′の外周面の正面は面精度を確保するため僅かにフライス加工してバ ルブ取付面１０ｃとし、このバルブ取付面１０ｃには図２に示すように、ＩＳＯ 規格による４個ずつのバルブ接続孔１３及びバルブ取付用ボルト孔１４からなる 孔集団を複数組穿設し、そのバルブ接続孔１３ａ，１３ｂを図４に示すポートＡ ，Ｂにそれぞれ連通させると共に、バルブ接続孔１３ｔ，１３ｐを図３に示すポ ートＴ，Ｐに通じる貫通孔１２ａ，１２ｂにそれぞれ連通させる。

【００１５】 この実施例は上記のような構成からなるので、押出し成形された素材１０′は すでに逃げ溝１１ａ，１１ｂ及び貫通孔１２ａ，１２ｂがそれぞれ形成されてい て各部の寸法精度及び外周面の平面度はきわめて高く、仕上げに必要な切削加工 工数を大幅に削減させることができる。特に、逃げ溝１１ａ，１１ｂを形成した 面１０ａ，１０ｂは、取扱い中に傷が付きにくいので化粧仕上げ加工は不要であ り、これらの面を基準面とした場合の座りは非常に良好である。

【００１６】 また、押出し成形時に同時に形成された貫通孔１２ａ，１２ｂの真直度も優れ ているので、従来のドリル加工では不可能に近い長大なマニホールドブロックの 生産も可能となる。

【００１７】 なお、上記実施例では、マニホールドブロックの外周面の２面に逃げ溝を形成 したが、これを３面に形成してもよく、内部に形成した貫通孔は２本でなく３本 以上とすることも可能である。

【００１８】

【考案の効果】

以上述べたように、この考案によるマニホールドブロックは、押出し加工によ り外形の成形と同時に複数の長手方向の貫通孔を形成するようにしたので、貫通 孔の真直度が著しく向上し、従来のドリル加工では不可能とされていた長大なマ ニホールドブロックの生産が可能となる。

【００１９】 また、軽金属材を用いることにより、従来の鉄系材を用いたもののように削り 代の大きい黒皮を削り取る工数が不要になると共に、押出し加工時に逃げ溝を形 成した複数の外周面は傷が付きにくくなって商品価値が大幅に向上し、これらの 面の化粧仕上げ加工も不要となる。同時に素材の寸法精度が優れているので、こ れらを基準面とした場合の座りも良好となる。

【００２０】 このように、切削加工工数が大幅に削減される結果、材料の節減効果と相俟っ て最終生産コストは従来の鉄系材を用いたものとほぼ同程度にまで低減される。 そして、鉄系材に代えて軽金属材を用いることにより、マニホールドブロックの 重量がほぼ１／３に軽減され、運搬や移動にも機械や器具を必要とせず、女性や 中高年層でも容易に且つ安全に取り扱うことが可能になる。

【００２１】 さらに、上記のマニホールドブロックのバルブ取付面に、所定規格の孔集団を 設けるようにすると、この孔集団に接続するバルブの互換性が著しく向上し、少 種類のマニホールドブロックを用意することにより、多種類の流体回路に使用す ることができて好都合となる。

【提出日】平成４年１月１６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１５

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１５】 この実施例は上記のような構成からなるので、押出し成形された素材１０′は すでに逃げ溝１１ａ，１１ｂ及び貫通孔１２ａ，１２ｂがそれぞれ形成されてい て各部の寸法精度及び外周面の平面度はきわめて高く、仕上げに必要な切削加工 工数を大幅に削減させることができる。特に、逃げ溝１１ａ，１１ｂを形成した 面１０ａ，１０ｂは、取扱い中に傷が付きにくいので化粧仕上げ加工は不要であ り、加工工程においてテーブルに取付ける場合、テーブル上に僅かな切粉が存在 していても、その切粉が取付面の大部分を占める逃げ溝内に潜入する確率がきわ めて高いので、素材１０′の座りが安定して加工が容易になる。 また、素材，製品を問わず、取付面に多少の凹凸があっても、逃げ溝がそれを 吸収することができるので、凹凸の影響が出にくくなって座りが良好になると共 に、ボルトで取付ける時にも、逃げ溝の深さがたわみスペースとなってきわめて 僅か弾性変形するので、あたかもスプリングワッシャのようにボルトを緩みにく くする効果もあり、さらに搬送時に同一部品を積み重ねても、凸部の面積が小さ いので擦り傷が付きにくく、大量の部品を短時間で搬送することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の外観を示す斜視図であ
る。

【図２】同じくその正面図である。

【図３】同じくその左側面図である。

【図４】同じくその底面図である。

【図５】同じくその押出し成形された素材を示す斜視図
である。

【図６】従来のマニホールドブロックを例示する斜視図
である。

【符号の説明】

１０ マニホールドブロック １０ｃ バルブ取付
面 １１ａ，１１ｂ 逃げ溝 １２ａ，１２ｂ 貫
通孔 １３ バルブ接続孔 １４ バルブ取付用
ボルト孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 押出し加工により成形された方形断面を
   有する軽金属材の柱状部材からなる流体回路用のマニホ
   ールドブロックであって、 前記押出し加工に際して同時に、前記柱状部材の複数の
   外周面にその長手方向に沿う逃げ溝を形成すると共に、
   その内部に長手方向に沿って互いに平行な複数の貫通孔
   を形成したことを特徴とするマニホールドブロック。
2. 【請求項２】 請求項１記載のマニホールドブロックに
   おいて、前記柱状部材のバルブ取付面に複数のバルブ接
   続孔とバルブ取付用ボルト孔からなる所定規格の孔集団
   を設け、前記バルブ接続孔の一部を前記貫通孔の一つに
   連通させ、残部を他の貫通孔に連通させるようにしたこ
   とを特徴とするマニホールドブロック。