JPH0522792Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、Ti，Ti−Al合金のような活性金
属を溶解するための高周波誘導溶解炉に関するも
のである。

〔従来の技術〕

Ti，Ti−Al合金のような活性金属のスクラツ
プ等を再利用するために、これらの金属の溶解法
として、インダクトスラグ溶解法が知られてい
る。

インダクトスラグ溶解法は、分割された複数の
水冷銅セグメントによつて形成された溶解炉内
に、Ti，Ti−Al合金等のスクラツプやスポンジ
材を装入し、更に弗化カルシウム（CaF₂）を添
加した上、高周波誘導加熱により前記スクラツプ
を溶解することからなつている。

第５図は従来の溶解炉を示す概略平面図であ
る。図面に示すように、溶解炉は、円盤状の銅製
の底板１と、底板１の周縁に立設された、内側に
向けて弯曲する管状の複数の水冷銅セグメント３
からなる側壁２と、側壁２の外周にスパイラル状
に巻回された高周波誘導コイル４とからなつてい
る。

このような溶解炉内に、Ti，Ti−Al合金等の
原料５を装入し、更に、溶解時における溶湯と溶
解炉との絶縁性をよくするために弗化カルシウム
を添加する。そして、Tiの酸化を防止するため
に、真空チヤンバー内において、Arガス雰囲気
下で、高周波誘導加熱により原料５を溶解する。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述した従来の溶解炉には、次のような問題が
ある。即ち、高周波誘導コイル４によつて、側壁
２を構成する水冷銅セグメント３の個々に渦電流
が発生する。この結果、発生した渦電流の分だけ
電気エネルギーが無駄に消費される。従つて、必
要以上に多量の電力が必要となり、電気エネルギ
ーの効率が悪い。

また、水冷銅セグメント３は、銅管をその径方
向に内側に向けて弯曲形成した三日月状であるた
め、その製造に多くの手間を必要とし、コスト高
を招いていた。

従つて、この考案の目的は、電気エネルギーの
損失が少なく且つ構造が簡単な高周波誘導溶解炉
を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

この考案は、円盤状の銅製の底板と、前記底板
の周縁に立設された複数個の水冷銅セグメントか
らなる側壁と、前記側壁の外周にスパイラル状に
巻回された高周波誘導コイルとからなる高周波誘
導溶解炉において、 前記水冷銅セグメントは、所定間隔をあけて同
心に配置された内管と外管とからなり、前記外管
の炉心側に向く径方向の半分は銅からなり、そし
て、前記外管の高周波誘導コイル側に向く径方向
の半分は銅よりも電気抵抗の大きい物質からな
り、前記内管内および前記内管と前記外管との間
〓内には冷却水が流れるようになつていることに
特徴を有するものである。

次に、この考案を、図面を参照しながら説明す
る。第１図はこの考案の溶解炉の第１実施態様を
示す概略平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面
図である。図面に示すように、溶解炉は、円盤状
の銅製の底板６と、底板６の周囲に立設された複
数個の水冷銅セグメント８からなる側壁７と、側
壁７の外周にスパイラル状に巻回された高周波誘
導コイル４とからなることは、従来と同様であ
る。

この考案における水冷銅セグメント８は、以下
に述べる外管９と、外管内に所定間〓をあけて挿
入された、外管９よりも小径の内管１０とからな
つている。

外管９は、断面正四方形状の角管であり、その
炉心側に向く径方向の一方の半分９ａは銅からな
つており、そして、その高周波誘導コイル４側に
向く径方向の他方の半分９ｂは、銅よりも電気抵
抗の大きい物質、例えば、セラミツクス、ステン
レス鋼等からなつている。このような外管９の一
方の半分９ａと他方の半分９ｂとは、例えばろう
付け、拡散接合等によつて固着されている。

底板６は、互いに積層された各々銅製の上部底
板６ａ、中間底板６ｂ、下部底板６ｃからなつて
いる。

水冷銅セグメント８の外管９の上端は、栓１１
によつて閉鎖され、そして、その下端は開放され
ている。外管９は、上部底板６ａの周縁に円状に
設けられた複数個の貫通孔１２上に立設され、そ
の開放された下端は、上部底板６ａと中間底板６
ｂとの間に設けられた冷却水排水孔１３に連通し
ている。

水冷銅セグメント８の内管１０は、その上端お
よび下端とも開放されており、上端は、外管９の
閉鎖された上端よりも下方に位置している。内管
１０は、中間底板６ｂに円状に設けられた貫通孔
１４上に立設され、その開放された下端は、中間
底板６ｂと下部底板６ｃとの間に設けられた冷却
水供給孔１５に連通している。

下部底板６ｃには冷却水供給管１６が取り付け
られ、中間底板６ｂには、下部底板６ｃを貫通す
る冷却水排出管１７が取り付けられている。

１８は、上部底板６ａと中間底板６ｂとの間、
および、中間底板６ｂと下部底板６ｃとの間に設
けられたシール用の環状のリング、１９は、冷却
水排出管１５の、下部底板６ｃを貫通する部分に
設けられたシール用の環状リングである。

水冷銅セグメント８を冷却する冷却水は、下部
底板６ｃに取り付けられた冷却水供給管１６か
ら、下部底板６ｃと中間底板６ｂとの間の冷却水
供給孔１５を通つて、中間底板６ｂに立設された
内管１０内に供給される。そして、冷却水は、内
管１０と外管９との間の間〓を通り、外管９の下
端から、上部底板６ａと中間底板６ｂとの間の冷
却水排水孔１３を通つて、中間底板６ｂに取り付
けられた冷却水排出管１７から排出され、この間
に水冷銅セグメント８を冷却する。

第３図は、この考案の第２実施態様を示す概略
平面図である。この実施態様においては、水冷銅
セグメント８の、銅製の一方の半分９ａと、銅よ
りも電気抵抗の大きい物質製の他方の半分９ｂと
からなる外管９が、断面長方形状であり、且つ、
外管９内に挿入される内管１０が断面楕円形状で
あるほかは、前述した第１実施態様と同様であ
る。

第４図は、この考案の第３実施態様を示す概略
平面図である。この実施態様においては、上述し
た水冷銅セグメント８が、各々断面円形の外管９
と内管１０とからなつており、上部底板６ａの表
面上に、その中心部から外管９の相互間に向け
て、所定深さの複数本の溝２０が放射状に設けら
れているほかは、前述した第１実施態様と同じで
ある。

〔作用〕

この考案の溶解炉は、前述のように構成され、
水冷銅セグメント８は、外管９と内管１０とから
なつており、外管９の炉心側に向く径方向の一方
の半分９ａは銅製で、その高周波誘導コイル４側
に向く他方の半分９ｂは、銅よりも電気抵抗の大
きい物質例えばセラミツクス製やステンレス鋼製
である。このように外管９が、その径方向に２つ
の異種物質によつて形成されているので、溶解炉
内に原料を装入し、高周波誘導コイル４に通電し
て原料を溶解するときに、外管９に発生する渦電
流が非常に小さくなる。

更に、第３実施態様の溶解炉のように、上部底
板６ａの表面上に放射状に複数本の溝２０を設け
れば、上部底板６ａ上に発生する渦電流も防止す
ることができる。

〔考案の効果〕

以上述べたように、この考案によれば、側壁７
を構成する水冷銅セグメント８に渦電流が発生す
ることはないから、電気エネルギーの損失が少な
く、更に、水冷銅セグメント８は、外管９と内管
１０とからなる二重管構造であるから、製作が簡
単であり且つ水冷効果も優れている等、多くの工
業上有用な効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の溶解炉の第１実施態様を示
す概略平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面
図、第３図はこの考案の第２実施態様を示す概略
平面図、第４図はこの考案の第３実施態様を示す
概略平面図、第５図は従来の溶解炉を示す概略平
面図である。 図面において、１……底板、２……側壁、３…
…水冷銅セグメント、４……高周波誘導コイル、
５……原料、６……底板、６ａ……上部底板、６
ｂ……中間底板、６ｃ……下部底板、７……側
壁、８……水冷銅セグメント、９……外管、９ａ
……外管の一方の半分、９ｂ……外管の他方の半
分、１０……内管、１１……栓、１２，１４……
貫通孔、１３……冷却水排水孔、１５……冷却水
供給孔、１６……冷却水供給管、１７……冷却水
排出管、１８，１９……リング、２０……溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 円盤状の銅製の底板と、前記底板の周縁に立設
   された複数個の水冷銅セグメントからなる側壁
   と、前記側壁の外周にスパイラル状に巻回された
   高周波誘導コイルとからなる高周波誘導溶解炉に
   おいて、 前記水冷銅セグメントは、所定間〓をあけて同
   心に配置された内管と外管とからなり、前記外管
   の炉心側に向く径方向の半分は銅からなり、そし
   て、前記外管の高周波誘導コイル側に向く径方向
   の半分は銅よりも電気抵抗の大きい物質からな
   り、前記内管内および前記内管と前記外管との間
   〓内には冷却水が流れるようになつていることを
   特徴とする高周波誘導溶解炉。