JPH0522789A - 送受波器の機械振動雑音除去方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】船体に装備した送受波器に対して、外部から受
ける機械振動によってもたらされる雑音出力を除去す
る。 【構成】気密状態を保って配備した振動子１の近傍に機
械振動検知器４を配設し、きょう体２に加えられる外部
からの機械振動１０によって派生する振動周波数を検知
する。周波数分析器５は、機械振動検知器４の出力を周
波数分析する。記憶回路６には、機械振動１０によるき
ょう体２の振動で励振される振動子１の出力があらかじ
め格納され、周波数分析器５の分析出力にもとづいて増
幅器３の出力に含まれる機械振動雑音出力を相殺するよ
うに逆相加算器７で逆相加算される。機械振動雑音出力
の原因となった機械振動１０は、増幅器３でフィルタリ
ングされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は送受波器の機械振動雑音
除去方法に関し、特に水中にて使用する超音波送受波器
に対して船体等の外部から伝達する機械振動によって誘
発される雑音出力を除去する送受波器の機械振動雑音除
去方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の水中送受波器は、図２に
示すように、到来した水中音を電気信号に変換する振動
子１と、この振動子１を水密状態を確保して保持し水中
で使用するためのきょう体２と、振動子１の出力する電
気信号を増幅する増幅器３と、増幅器３の出力を外部に
伝送するケーブル４とを備えて構成されている。

【０００３】船体等、外部から送受波器に伝達される機
械振動１０に対しても振動子１の励振が誘発され、この
励振によって発生する音は、水中音を捕捉受信した入力
信号に対する機械振動雑音となる。

【０００４】図３に、機械振動雑音発生のメカニズムを
示す。

【０００５】船体等の外部から送受波器に伝達される機
械振動は、船体の共振，スクリューの減速装置などの低
周波の振動によってもたらされ、これを機械振動１０で
示す。

【０００６】この機械振動１０により、送受波器の内部
構造のきしみ、びびり等をひき起し、ソーナー使用帯域
に達する機械振動高周波成分２０が発生し、機械振動１
０とともに機械振動成分３０としてきょう体を伝達して
振動子１で出力電気信号４０に変換される。

【０００７】この出力電気信号４０のうち低周波の機械
振動１０は、送受波器自蔵の前置増幅器としての増幅器
の受信帯域によってカットされるが、機械振動１０に比
して高周波の機械振動高周波成分２０は受信帯域を通過
して不要な雑音となり、目標信号５０とともに出力電気
信号４０として出力される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の送受波
器では、装備船体等外部から受ける機械振動によって励
振され、ソーナーの使用帯域に達した機械振動高周波成
分がフィルターで除去することが出来ず、目標からの信
号との弁別が不可能となってしまい、ソーナーの性能を
劣化するという問題点があった。

【０００９】本発明の目的は上述した欠点を除去し、外
部から受ける機械振動によってもたらされるソーナーの
使用帯域に含まれる機械振動高周波成分による雑音入力
を排除することができる送受波器の機械振動雑音除去方
法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の方法、外部から
送受波器に加わる低周波の機械振動によって発生する高
周波の雑音を除去する送受波器の機械振動雑音除去方法
であって、送受波器のきょう体に派生する機械振動を検
知してその周波数成分を分析し、この分析結果のうち送
受波器の受信帯域と合致して前記高周波の雑音となる高
周波成分とそのレベルにもとづいて送受波器の受信出力
に含まれる機械振動による雑音と逆極性の信号を発生
し、この逆極性の信号との加算により機械振動による雑
音を除去する構成を有する。

【００１１】

【作用】送受波器のきょう体の機械振動のソーナー使用
帯域成分を取り出して振動源の機械振動の基本周波数と
の関係を見た時、きょう体に派生する機械振動のソーナ
ー周波数帯域成分と振動子から出力される機械振動雑音
出力の周波数特性とには相関性があり、機械振動のソー
ナー周波数帯域成分を検知するとともに、機械振動の基
本周波数成分を知ることにより、機械振動と振動子から
の機械雑音出力との関係が明確になり、あらかじめ記憶
した振動子の機械振動による出力信号をレベル補正した
上、振動子出力に逆相加算して機械振動雑音を除去す
る。

【００１２】

【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。

【００１３】図１は、本発明の一実施例の構成を示す断
面図である。

【００１４】図１に示す実施例の構成は、振動子１と、
きょう体２と、増幅器３と、振動子１の近傍に配設され
きょう体２に外部から受ける低周波数の機械振動１０に
よってもたらされる機械振動を検知する機械振動検知器
４と、機械振動検知器４で検知した振動周波数成分を分
析し、きょう体振動の原因となった低周波成分と、この
低周波成分で誘発される高周波成分とを知る周波数分析
器５と、高周波成分によってもたらされる振動子１の出
力、すなわち機械振動雑音出力をあらかじめ記憶した記
憶回路６と、記憶回路６から周波数分析器５の分析した
低周波成分に対応した機械的雑音出力を読み出して増幅
器３の出力に逆相加算する逆相加算器７とを備えて成
る。

【００１５】次に、本実施例の動作について説明する。

【００１６】きょう体２に取り付けた機械振動検知器４
は、振動子１の近傍に配設され、外部から受ける低周波
数の機械振動１０によってきょう体１に発生する機械的
な振動を検知る。検知される機械的な振動には、外部か
ら受ける低周波の機械振動１０と、この機械振動によっ
て二次的に発生するきょう体２の高周波の機械振動とが
含まれる。

【００１７】周波数分析器５は、機械振動検知器４で検
知したきょう体２の振動周波数成分を分析し、機械振動
１０の低周波成分と、この機械振動１０によってきょう
体１０に派生する高周波成分を抽出し、周波数分析出力
５０１として記憶回路６に出力する。

【００１８】記憶回路６は、あらかじめきょう体２の機
械振動１０による高周波の機械振動周波数を機械振動１
０の複数の周波数に対応させて格納し、周波数分析器５
の分析した低周波成分５０１に対応した高周波の機械振
動周波数を読み出し、かつ入力した高周波の機械振動周
波数のレベルに対応した大きさの記憶回路出力６０１と
して逆相加算器７に出力する。

【００１９】振動子１の出力は、増幅器３に印加され
る。増幅器３に入力される振動子１の出力は、受波入力
による出力と、機械振動１０によって誘起された機械振
動による雑音出力を含む。

【００２０】増幅器３は、入力信号から、受波入力と、
機械振動による雑音出力のうちの高周波成分とを通過さ
せる高域通過フィルタを入力段に配置し、機械振動１０
の低周波成分をカットした増幅器出力３０１を逆相加算
器７に出力する。逆相加算器７は、増幅器出力３０１と
記憶回路出力６０１を入力し、増幅器出力３０１に記憶
回路出力６０１を逆相として加算することにより、高周
波の機械振動雑音出力を除去し、目標信号のみをケーブ
ル４に送出することができる。

【００２１】なお、本実施例では、機械振動検出器４を
きょう体２の振動子１の近傍に取り付けたが、送受波器
の形状，構造により送受波器自身の振動モードが異なる
ので実際には機械振動の高周波成分と振動子の機械振動
雑音出力の周波数特性がよく一致する箇所をあらかじめ
選択して取り付けるのが最も有効である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、送受波器
のきょう体に伝達される低周波成分の機械振動と、低周
波成分の機械振動によって誘発される高周波成分の雑音
出力の両者を検知し、低周波成分に対する高周波成分の
レベルの大きさに基づいてあらかじめ記憶してある機械
振動雑音の補正値を制御して振動子出力に逆相加算する
ことにより、外部から受ける機械振動雑音を除去した送
受波器出力を得ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の構成を示す断面図である。

【図２】従来の送受波器の構成を示す断面図である。

【図３】機械振動雑音発生のメカニズムの説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 振動子 ２ きょう体 ３ 増幅器 ４ ケーブル ５ 周波数分析器 ６ 記憶回路 ７ 逆相加算器 １０ 機械振動 ２０ 機械振動高周波成分 ３０ 機械振動成分 ４０ 出力電気信号 ５０ 目標信号

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 外部から送受波器に加わる低周波の機械
   振動によって発生する高周波の雑音を除去する送受波器
   の機械振動雑音除去方法であって、送受波器のきょう体
   に派生する機械振動を検知してその周波数成分を分析
   し、この分析結果のうち送受波器の受信帯域と合致して
   前記高周波の雑音となる高周波成分とそのレベルにもと
   づいて送受波器の受信出力に含まれる機械振動による雑
   音と逆極性の信号を発生し、この逆極性の信号との加算
   により機械振動による雑音を除去することを特徴とする
   送受波器の機械振動雑音除去方法。