JPH05222599A - アルミニウムの溶融塩めっき方法と装置 - Google Patents

アルミニウムの溶融塩めっき方法と装置

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JPH05222599A
JPH05222599A JP2972392A JP2972392A JPH05222599A JP H05222599 A JPH05222599 A JP H05222599A JP 2972392 A JP2972392 A JP 2972392A JP 2972392 A JP2972392 A JP 2972392A JP H05222599 A JPH05222599 A JP H05222599A
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哲明 津田
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康博 山本
Junichi Uchida
淳一 内田
Hirohisa Seto
宏久 瀬戸
Masaru Abe
賢 阿部
Junkichi Yoneda
順吉 米田
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律男 橋本
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俊夫 田口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼帯に連続的にAlの溶融塩めっきを行うに際
して、めっき液に蓄積してゆく不純物金属イオンを簡便
な手段でもって除去する。 【構成】 めっき槽からめっき液を取り出し、別途設け
た不純物除去用電解槽に送り、不純物除去用電解槽にて
連続的ないしは不連続的に不純物金属イオンを電析させ
てめっき液から除去した後、不純物の除去されためっき
液を前記めっき槽に戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性や耐熱性の付与
を目的として基体金属上にアルミニウム(以下、Alと記
す)またはAl合金を溶融塩めっきする方法と装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Alめっき製品は、優れた耐食性、美麗
さ、無毒性など、数多くの利点を有しているが、水溶液
からの電析が不可能なため、現在は主として溶融金属浸
漬めっき法にて製造されている。
【0003】しかしながら、この溶融金属浸漬めっき法
は、めっき温度が700 ℃を越えるため、基体金属とめっ
き層との界面に合金層が不可避的に生成し、薄めっきが
困難である。また高温のため、基体金属材に悪影響を与
えたりするなど、問題点が多かった。
【0004】そこで、最近は、溶融金属浸漬めっき法に
代えて電気めっき法を利用し、上記の問題点を解消して
工業化への道を開くための研究が進められている。しか
し、上述の如く、電気Alめっきは単なる水溶液からの電
析が不可能なため、Al電析の可能な溶融塩浴によるめっ
き方法が考えられ、これを基本とした数多くの電気Alめ
っき法の提案がなされ、実用化が図られている。
【0005】この溶融塩浴、例えばAlCl3-XCl (X:ア
ルカリ金属) の2成分系または3成分系の溶融塩浴を用
いるAl電気めっき方法は、操作温度が 150〜200 ℃と溶
融金属浸漬法に較べ格段に低い。そのため、合金層の生
成や母材への悪影響がなく、かつ薄めっきも可能であ
り、上述の問題は一応解決されるに至ったが、未だ次の
ような問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】即ち、従来提案された
溶融塩浴によるAlの電気めっき法においては、めっき液
の吸湿による水分増加と不純物金属イオンの蓄積による
めっき液の経時劣化が大であり、このためパウダー状析
出物が見られる等の電析不良が生じるという欠点を有し
ており、これが電気Alめっきの工業化の重大な問題とさ
れてきた。
【0007】めっき層内に見られる不純物金属イオンと
しては、めっき母材の溶解によるものと、めっき層を構
成しているタンク壁材および各種配管材料の腐食 (これ
は塩化アルミニウム系溶融塩の腐食性が極めて強いこと
に起因する) によるものと、さらにめっき建浴薬剤およ
び補給薬剤に含まれて持ち込まれる各種不純物金属イオ
ンによるものなどがあり、それらが経時的にめっき液中
に蓄積される。
【0008】それらの金属イオンは、一部を除いて殆ど
がAlめっきにとって有害である。なかでも、Feイオンは
特に正常なめっきにとって有害であるとされており、そ
の浴中濃度の増加はAl系めっきにとって重大な問題とな
る。
【0009】この問題点を解決する方法として、例えば
浴中に乾燥HClガスを吹き込む方法が提案されている。
この方法は、浴の脱水およびAlの低原子価イオンの除去
には効果があるが、不純物金属イオンは除去できない。
またこの方法は、強い腐食性雰囲気を生ずるので、作業
性から考えて、かなり困難なプロセスとならざるを得な
い。
【0010】そこで本発明者等は、既に特開昭61−2431
90号において、めっき液にAlのパウダーを懸濁させるこ
とにより効果的にこの問題が解決できることを提案し
た。この方法は極めて効果的であったが、連続的なめっ
きライン設備においては、めっき液中に固形物が存在す
ると、ロールへのかみ込みなどの問題を生じたりした。
また、この方法では浴中の不純物金属イオンの濃度を一
定以下に保つには困難な点が多くあった。
【0011】かくして、本発明の目的は、Alの溶融塩め
っきに際してみられる不純物金属イオンの有害作用を安
価、簡便な手段でもって解消することのできる方法およ
び装置を提供することである。
【0012】本発明のより具体的目的は、鋼帯に連続的
にAlの溶融塩めっきを行うに際して、めっき液に蓄積し
てゆく不純物金属イオンの有害作用を簡便な手段でもっ
て解消することのできる方法および装置を提供すること
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】Alめっき液に含まれる不
純物金属イオンとしては、前述のように、めっき母材か
ら溶出するFeと、めっき槽および配管材料から溶出する
Fe、Cr、Ni等と、そしてめっき建浴薬剤および補給薬剤
から持ち込まれるFe、Mg、Pb、Zn、Sn、Si、Cd、Cu等が
あり、それらは経時的にめっき液に蓄積される。
【0014】それら不純物金属イオンはめっき品質に対
し悪影響を与え、例えば、めっき皮膜の平滑性を阻害し
たり、粒状電析物を生じさせたり、さらにめっき皮膜の
電析応力が大きいため、めっき剥離を生じたりすること
がある。
【0015】めっき液中の不純物金属イオン濃度上昇
は、一般的にめっき装置およびめっき操業パターンによ
り決まる。なぜならば、不純物イオンの入る速度 (量)
が、鋼板の処理量と補給薬剤の使用量、そして装置材料
からの経時的な溶解量であり、それに対し、めっき液中
の不純物金属イオンはめっき皮膜中に微量電析されて一
部めっき皮膜として系外に排出されるが、大部分はめっ
き液中に蓄積されて増加していくからである。
【0016】本発明者らは、これを除去する有効な方法
を鋭意検討した結果、電解条件によってはこれらの不純
物金属イオンが効率的に濃縮されて電析することを見出
した。従って、めっき槽本体からパイパス配管で不純物
金属イオン除去用の別の電解槽に溶融塩めっき液を導入
し、ここで不純物金属イオンを電解して陰極上に析出さ
せ除去することにより、めっき液中の不純物金属イオン
を除去することができる。
【0017】ここに、本発明の要旨とするところは、塩
化アルミニウムを主成分とする溶融塩浴を収容するめっ
き槽中で、基体金属上にAlまたはAl合金を電気めっきす
る方法において、めっき槽からめっき液を取り出し、不
純物除去用電解槽に送ること、次いで該不純物除去用電
解槽にて不純物金属イオンを電析させるのに十分な電圧
でめっき液を連続的ないしは不連続的に電解し、不純物
金属イオンを陰極上に電析させてめっき液から除去する
こと、そして該電解槽から不純物濃度が低下しためっき
液を前記めっき槽に戻すこと、を特徴とするAlの溶融塩
めっき方法である。
【0018】前記不純物除去用電解槽での陰極側の電極
電位をAlの浸漬電位より低く保持するようにしてもよ
い。
【0019】また、別の面からは、本発明は、塩化アル
ミニウムを主成分とする溶融塩浴を用いて、AlまたはAl
合金を基体金属上に電気めっきする装置であって、めっ
き槽と、該めっき槽とめっき液循環用配管で連結された
不純物除去用電解槽と、該不純物除去用電解槽内に設け
た陰極に電析した陰極電解物を陰極から除去し、系外に
排出する機構とを備えたことを特徴とするアルミニウム
の溶融塩めっき装置である。
【0020】前記不純物除去用電解槽内に設けられた陰
極は、回転するドラムまたはフープの形態であってもよ
い。
【0021】このように、本発明においては、従来のめ
っき槽に対し配管でバイパス回路を作り、回路内に溶融
塩浴の圧送用ポンプと不純物除去用電解槽を設け、全体
を一つの循環系とすることで、連続処理を可能とする点
に特徴がある。従って、めっき槽自体は、上記のバイパ
ス回路を接続する点を除いて従来のめっき槽と同様の構
造および材料のものでよい。
【0022】不純物除去用電解槽の大きさや形状は特に
規定されない。電解槽の容器はめっき槽と同様の材料か
ら構成することができ、電解槽の陽極と陰極の間には整
流器から所定の直流電流が通電される。陽極材料は、Al
やAl合金のような可溶性の金属か、タングステンのよう
な不溶性の金属や酸化物電極でもよい。陰極材料は特に
規定されないが、例えば連続除去を行なわない場合は、
軟鋼の板でもよい。
【0023】また、陰極上の不純物の電析物を電析と同
時に機械的に剥離させ、この剥離した電析物をフィルタ
ーで捕集して連続的に行ってもよく、その場合、陰極材
質は、Alやステンレス鋼、チタンなどを用い、電析物と
の密着力を低くして使用することも可能である。
【0024】不純物除去用電解槽での電解条件として
は、陽極面積より陰極面積を大きくするのが好ましく、
陰極の電流密度は25 A/dm2以下、好ましくは5A/dm2
下が良い。電解電圧は陰極の電極電位で規定する必要が
あり、電解に使用する溶融塩中のAl電位に対し負側に保
つことが好ましい。
【0025】このAlの電位は絶対的な電位 (例えば、1
気圧、25℃の水素電極電位など) を意味しない。すなわ
ち、溶融塩浴中では浴組成、温度等によりAlの電位は大
きく変化するため陰極の電位がAlの浸漬電位と同じか、
少し高くても電解は可能であり、Alより貴なFeなどの不
純物金属を析出させて本発明の目的を達成することはで
きる。しかし、析出速度が遅く、除去効率は低下する。
一方、陰極の電解電位がAlの浸漬電位より低いと、Alの
電析と同時に不純物金属を効率良く析出させることがで
きる。不純物除去用電解槽では、不純物を速やかに除去
して、不純物金属イオンが除去されためっき液をめっき
槽に戻すことが好ましい。不純物金属の除去に時間がか
かると、不純物除去用電解槽の処理量が多くなり、大型
の電解槽が必要となるからである。従って、不純物金属
の除去と同時にAlが多少析出しても、不純物金属の析出
速度を早める方が有利である。なお、電流は必ずしも定
電流で流す必要はなく、定電圧制御下で、Alと同時に不
純物金属を共析させるなら何ら問題はない。
【0026】電流密度が高すぎると、電析物の中に濃縮
される不純物金属の割合が低下するので、電流密度は上
記のように25 A/dm2以下、好ましくは5A/dm2 以下とあ
まり高くしない方がよい。本発明の方法によれば、めっ
き液中の不純物金属イオンの濃度は、不純物除去用電解
槽における電解条件 (電解電流と処理速度) を制御する
ことで、所望の値に保持することができる。従って、不
純物電解槽の電解条件は、めっき液中の不純物金属イオ
ン濃度が所望のほぼ一定値に保持されるように、めっき
液の組成および量やその不純物濃度に応じて調整すれば
よい。
【0027】陰極に析出した不純物金属は、陰極ごと定
期的に取り出してもよいし、連続的な方法としては、例
えばステンレス製などの回転ドラムまたはフープ状の陰
極に不純物金属を含む電析物を析出させ、機械的にスク
レーパーで掻き落とした電析物を網フィルターやマグネ
ットフィルターで捕集し、系外に排出する方法も採用で
きる。電析物はパウダー状であり、容易に掻き落とすこ
とができる。不純物除去用電解槽は、外気と接すること
により空気中の水分が溶融塩に入ることを防ぐため、密
閉系の槽構造とすることが好ましい。
【0028】
【作用】次に、添付図面を参照しながら本発明の作用に
ついて具体的に説明する。
【0029】図1は、本発明にかかるAlの溶融塩めっき
装置の略式説明図である。
【0030】図中、鋼帯10はコンダクタロール12を経て
めっき槽14内に連続的に送給され、めっき槽14内に収容
されためっき液16に浸漬された陽極18内を走行する。こ
のとき鋼帯10自体は陰極として作用するように電気的に
接続されていることから、陽極18と陰極である鋼帯10と
の間で電解が起こり、鋼帯10にはAlめっきが行われる。
めっき液内を走行する鋼帯はターンロール20によって方
向変更され、今度は上向きに走行するが、この場合にも
陽極との間でめっきが行われる。めっき槽を出てから、
鋼帯10はコンダクタロール12を経て系外に取り出され
る。
【0031】本発明によれば、めっき槽14にはめっき液
取り出し経路22が接続され、ポンプ24および流量計26を
経て、溶融塩めっき液が断続的、或いは好ましくは連続
的に定量あるいは調節した不定量でめっき槽から不純物
除去用電解槽30に送りこまれる。
【0032】不純物除去用電解槽30には、図示例ではド
ラム状の陰極32が備えられており、これと陽極34との間
で、槽内のめっき液の電解を行う。符号36は電源を示
す。この電解により、めっき液中の不純物金属イオンが
陰極上に析出する。
【0033】陰極としてドラム状のものを使用する場
合、陰極に析出した電析物を、図示のように析出物除去
手段であるスクレーパ38によって掻き取ることにより陰
極から除去し、不純物除去用電解槽30からめっき槽14へ
の戻り経路40に設けたフィルター42によって電析物を捕
集し、系外に取り出すことが好ましい。除去された電析
物は、そのまま廃棄する。
【0034】このようにして不純物金属イオンが除去さ
れためっき液は、戻り経路40からめっき槽14に戻され、
再び鋼帯の連続めっき処理に使用される。このように処
理しためっき液を、めっき槽14からの抜き出し量と見合
う量でめっき槽14に戻すことにより、めっき槽中の不純
物金属イオン濃度をほぼ一定に保持しながらめっき操業
を続けることができる。必要であれば、不純物除去用の
電解で失われたAlを補給するために、戻り経路40または
めっき槽14にAlCl3 または混合溶融塩を補給する。
【0035】図2および図3は、不純物除去用電解槽の
別の変更例を示す略式説明図であり、それぞれバッチ式
および連続式の場合を示す。
【0036】図2において、めっき槽本体から抜き出さ
れた溶融塩めっき液は、陽極54と陰極52とを交互に複数
並べた不純物除去用電解槽50に送られ、所定量が溜まっ
たら、電解を開始する。めっき液は、電解槽の容量に達
するまで供給し続けてもよい。供給されためっき液はこ
の電解槽内で電解されて不純物金属イオンが各陰極上に
電析する。電解に伴って有害ガスが発生する恐れがある
ため、電解槽全体は密閉構造となっているのが好まし
く、上方空間には絶えず不活性ガスとしてN2ガスを流
す。符号56は外部電源を示す。この例では、陰極上に析
出した電析不純物の除去手段を設けていないので、めっ
き液中の不純物量が所定の値まで低減すれば、電解を中
止し、不純物濃度の少なくなっためっき液をめっき槽本
体に戻す。陰極上に析出した電析物は、適当な時点 (例
えば、析出物が多くなって電流効率の低下が著しくなっ
た時点) で、これを電解槽から引き上げて、陰極上に析
出した電析物を掻き取りなどの適当な手段で除去してか
ら、電解槽に戻す。
【0037】図3に示す装置では、不純物除去用電解槽
60には、フープ (無端ベルト) 状の陰極62が配置され、
電解槽内に浸漬された下方ロール61と電解槽上の上方ロ
ール61' とによって電解槽内外を上下方向に周回してい
る。下方ロール61の真下には、陽極板64が設置されてい
る (66は外部電源) 。めっき槽本体から連続的に抜き出
された溶融塩めっき液は、電解槽60に連続的に送りこま
れ、陽極64と陰極62が対向する部分で電解を受け、ベル
ト状の陰極62に不純物金属イオンが電析する。電解を受
けためっき液は、連続的にめっき槽本体に戻される。陰
極上の電析物は、ベルトが回転して電解槽の外に出てか
ら、スクレーパ68によって剥離除去され、その下方に置
かれた不純物回収皿69に集められる。図1に示した装置
と異なり、電析物が電解槽外に捕集されるので、不純物
金属の再溶解を防ぐ点で有利である。この場合にも、有
害ガス発生を防止するために電解槽全体を密閉型とする
のが好ましい。
【0038】次に、実施例によって本発明の作用効果を
さらに具体的に説明する。
【0039】
【実施例】実施例1 本実施例では、図1の装置を使い、下記条件で鋼帯の連
続溶融塩Alめっきを行った。 めっき浴: AlCl-NaCl-KCl (モル比61:26:13) MnCl2 3000 ppm 200 ℃、 0.2 m3 めっき条件 : 板厚0.6 mm、幅150 mmの冷延コイルを通
板し、電圧10V、電流値2000 Aでめっきを行った。
【0040】 不純物除去用電解槽: 陽極 (Al平板、面積 0.02 m2)
、 陰極 (ステンレス鋼製ドラム、直径250 mm、幅150 mm、
面積=11.8 dm2) 電解電流 24〜240 A (電流密度2〜20 A/dm2) 電圧 3V、 めっき液圧送量 0.01 m3/min 不純物除去電解の効果は、めっき外観と、量および影響
度の最も大きい不純物金属がFeであるので、めっき液中
のFe濃度で調べた。めっき槽内のめっき液を、上記の圧
送量でめっき槽と不純物除去用電解槽との間を循環させ
た。鋼帯の連続めっきを開始してしばらくは、不純物除
去用電解槽には通電せず、めっき液中の不純物濃度の増
加状況をFe濃度で調べた。めっきを15時間続けてめっき
液中のFe濃度が20 ppmを超え、めっき不良となってか
ら、不純物除去用電解槽への通電を開始し、この電解槽
での不純物金属の電析除去を実施した。通電電流値は、
240, 24, 60 A (電流密度20, 2, 5 A/dm2) と変化させ
た。このめっき操業中のめっき外観とめっき液中Fe濃度
の変化を図5に示す。
【0041】比較のために、不純物除去用電解槽への通
電を行わないままめっきを継続した。この場合のめっき
外観とめっき液中のFe濃度の変化を図4に示す。
【0042】また、本実施例の結果を示す図5のa、
b、cの各時点で捕集された電析物の組成を、20%HCl
と過酸化水素水との混合溶液に試料を溶解し、ICP で分
析することにより調べた。結果を次の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】図4および図5を比較すると、図4に示し
た比較例では不純物除去用電解槽で電解が行われなかっ
たため、めっき液中の不純物Fe量は直線的に増大し、め
っき液中のFe濃度が20 ppmを超えると、平滑めっきがザ
ラツキめっき、さらにはパウダー状めっきへと移行し、
めっき不良状態となった。
【0045】これに対して、本発明により不純物除去用
電解槽でめっきを行うと、図5に示すように、不純物除
去用電解槽への通電を開始した途端に、めっき液中の不
純物Fe量が減少し、パウダー状めっきまでめっきが不良
化していたものが、正常な平滑めっきに戻った。従っ
て、本発明の方法によりめっき液からの不純物が有効に
除去さら、めっき不良を防止できることがわかる。ま
た、不純物の除去効果は、電流値に応じて変化し、電流
値が大きいほどFe量の低下速度が早い。電流値24 Aで
は、Feの除去速度が浴中でのFeの蓄積速度に追いつか
ず、めっき液中のFe量はごく僅かな漸増傾向を示した。
この結果から、不純物除去用電解槽での電解条件を適当
に設定すれば、めっき槽中のめっき液中のFe濃度あるい
は不純物濃度をほぼ一定に保持することができることは
明らかである。
【0046】また、表1から、不純物除去用の電解でAl
およびMnと共に不純物のFeが電解されて陰極上に析出
し、除去されることがわかる。電流値が低い方が、電析
物中のFe含有量が多く、Al含有量が少なく、少ないAl損
失で、Feを効率的に除去できた。具体的には、電流密度
が5A/dm2 以下の(b) 点および(c) 点では、電析物中の
Fe含有量が10重量%を超えたが、電流密度が5A/dm2
超える(a) 点ではFe含有量が5重量%と低かった。従っ
て、適切な電解条件としては、Al含有量が少なく、不純
物含有量の多い電析物が析出するようにあまり電流密度
を高くせず、かつめっき液中のFe濃度をほぼ一定に保持
できるように選択すればよい。
【0047】実施例2 実施例1と同様に、不純物除去用電解を実施しながら鋼
帯の連続溶融塩Alめっきを行った。ただし、本実施例で
は、めっき槽に通電しためっき電流値を500 〜2000 Aの
範囲内で、めっき液の不純物除去用電解槽への循環圧送
量を0.002 〜0.02 m3/min の範囲内で、さらにこの電解
槽での電解電流値を24〜240 A の範囲内でそれぞれ変動
させた。不純物除去用電解槽への通電を開始した後のめ
っき液中のFeイオン濃度の変化と、各めっき条件でのめ
っき外観を調べた結果を表2にまとめて示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2からわかるように、不純物除去用電解
を行わない場合には、めっき電流値の多少にかかわら
ず、めっき外観はパウダー状で不良となった。ただし、
めっき電流値が少ないほどめっき液中のFe濃度の増加速
度は小さかった。
【0050】これに対して、本発明により不純物除去用
電解槽でめっき液の電解を実施すると、平滑めっきとな
り、不純物のFe分によるめっきへの悪影響を防ぐことが
できた。ただし、めっき槽でのめっき電流値が2000 Aと
高く、不純物除去用電解槽での電解電流が24 Aと低く
て、Feの除去が追いつかなかった場合のみ、めっき面に
ざらつきがいくらか認められた。また、めっき液中のFe
濃度は、めっき電流、めっき液圧送量、不純物除去電解
電流を変化させることにより大きく変動した。従って、
めっき電流値 (即ち、不純物の増加速度) に合わせて、
不純物除去用電解槽へのめっき液圧送量やこの電解槽で
の電解電流を変化させることにより、不純物に起因する
溶融塩Alめっきのめっき不良を防止することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、鋼帯にAlの溶融塩めっ
きを連続的に行う場合に、めっき液中に蓄積していく、
めっきに有害作用を及ぼす不純物金属イオンを、めっき
液から簡便な手段で効率的に除去し、めっき操業中にめ
っき液中の不純物金属イオン濃度 (例、Feイオン濃度)
を実質的に一定に保持するか、あるいはめっきに悪影響
がない範囲に抑制することができ、このような不純物に
よる電析不良を起こさずに高品質のAlめっき鋼帯を連続
製造することが可能となる。このように、本発明の方法
および装置は、溶融塩Alめっきの工業化における大きな
問題点を解決することができ、実用的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるめっき装置の略式説明図であ
る。
【図2】本発明で用いる不純物除去用電解槽の変更例の
略式説明図である。
【図3】本発明で用いる不純物除去用電解槽の更に別の
変更例の略式説明図である。
【図4】本発明の実施例1における比較例の結果を示す
グラフである。
【図5】本発明の実施例1の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 : 鋼帯 12, 20 : ロール 14 : めっき槽 16 : めっき液 18, 34, 54, 64 : 陽極 22 : めっき液取
り出し経路 30, 50, 60 : 不純物除去用電解槽 32, 52, 62 : 陰極 38, 68 : スクレ
ーパ 40 : めっき液戻り経路 42 : フィルター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 康博 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 内田 淳一 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 瀬戸 宏久 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 阿部 賢 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 米田 順吉 広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱 重工業株式会社広島製作所内 (72)発明者 橋本 律男 広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱 重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 田口 俊夫 広島市西区観音新町4丁目6番22号 三菱 重工業株式会社広島研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化アルミニウムを主成分とする溶融塩
    浴を収容するめっき槽中で、基体金属上にアルミニウム
    またはアルミニウム合金を電気めっきする方法におい
    て、めっき槽からめっき液を取り出し、不純物除去用電
    解槽に送ること、次いで該不純物除去用電解槽にて不純
    物金属イオンを電析させるのに十分な電圧でめっき液を
    連続的ないしは不連続的に電解し、不純物金属イオンを
    陰極上に電析させてめっき液から除去すること、そして
    該電解槽から不純物濃度が低下しためっき液を前記めっ
    き槽に戻すこと、を特徴とするアルミニウムの溶融塩め
    っき方法。
  2. 【請求項2】 前記不純物除去用電解槽での陰極側の電
    極電位がアルミニウムの浸漬電位より低いことを特徴と
    する請求項1記載のアルミニウムの溶融塩めっき方法。
  3. 【請求項3】 塩化アルミニウムを主成分とする溶融塩
    浴を用いてアルミニウムまたはアルミニウム合金を基体
    金属上に電気めっきする装置であって、めっき槽と、該
    めっき槽とめっき液循環用配管で連結された不純物除去
    用電解槽と、該不純物除去用電解槽内の陰極に電析した
    陰極電解物を陰極から除去し、系外に排出する機構とを
    備えたことを特徴とするアルミニウムの溶融塩めっき装
    置。
  4. 【請求項4】 前記不純物除去用電解槽内に設けた陰極
    が、回転するドラムまたはフープの形態であることを特
    徴とする請求項3記載のアルミニウムの溶融塩めっき装
    置。
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