JPH05222229A - チューブ内面コーティング方法 - Google Patents

チューブ内面コーティング方法

Info

Publication number
JPH05222229A
JPH05222229A JP5945692A JP5945692A JPH05222229A JP H05222229 A JPH05222229 A JP H05222229A JP 5945692 A JP5945692 A JP 5945692A JP 5945692 A JP5945692 A JP 5945692A JP H05222229 A JPH05222229 A JP H05222229A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tube
plasma
gas
pressure
organic compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5945692A
Other languages
English (en)
Inventor
Kyohei Toikawa
恭平 樋川
Noritake Shimanoe
憲剛 島ノ江
Masao Sakashita
雅雄 坂下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP5945692A priority Critical patent/JPH05222229A/ja
Publication of JPH05222229A publication Critical patent/JPH05222229A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、内径0.01mm〜3mmのチュー
ブ内部にプラズマを発生させチューブ内面を有機薄膜で
コーティングする方法を提供する。 【構成】 円筒状の反応管内に内径0.01mm〜3m
m、好ましくは0.01mm〜2mmのチューブを設置し、
チューブ内部と外部の圧力を同時に制御できる真空系に
於いて、チューブ内径と円筒状反応管内径を考慮してチ
ューブ内部と外部の気体圧力を制御することによってチ
ューブ内部にのみプラズマを発生させ、これによってチ
ューブ内面を有機薄膜でコーティングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチューブ内径と反応管内
径を考慮してチューブ内部と外部の気体圧力を制御する
ことによって、内径0.01mm〜3mmのチューブ内面を
有機薄膜でコーティングする方法に関するものであり、
チューブ内面に新たな機能を付与するものである。
【0002】
【従来の技術】平面形状表面へ有機化合物をプラズマ重
合する有機薄膜コーティング技術は、非重合性ガスのプ
ラズマによる表面改質と共にプラズマを利用して新しい
機能を表面に付与する手段として広く知られている。ま
た、プラズマ重合により付与される機能としては、耐候
性、耐腐食性、ぬれ性、接着性、物質分離性などの多岐
にわたっており、従来より多数の提案がなされている。
プラズマ重合による表面コーティングは、プラズマが発
生する領域に設置された基板上に、比較的広い気相空間
で活性化された有機化合物が表面に堆積・重合すること
を基本技術としている。従って、気相空間が小さい細い
チューブ内面への一様なコーティングをこの方法で行う
ことは容易ではない。例えば、内径数mmで内径の100
倍以上の長さのチューブの内面をプラズマ重合膜で被覆
することを目的として、開口端の外側で発生させたプラ
ズマを圧力差を利用してチューブ内に導入しようとして
も、チューブ開口端付近で失活してしまうため、チュー
ブ開口端近傍にのみ重合膜が形成されるにすぎない。チ
ューブが中空糸状分離膜とすると、内径は限外ろ過膜で
3mm以下、気体分離膜では0.5mm〜0.1mm、透析膜
では0.1mm以下が通常である。このような小さな内径
のチューブの内面をプラズマ重合膜でコーティングする
には特別の工夫が必要であり、若干の方法が提案されて
いる。
【0003】安田らは J. Appl. Polym. Sci,38,65(198
4) で、内径3mmのプラスチックチューブの内面コーテ
ィングを行う方法を示している。この方法で提案された
装置は、電極が取り付けられた内径1/2インチの管で
つながれた2つの部屋からなり、全体が10-3Torrに保
たれた反応管と、その内部に設置されたチューブの巻き
取り部とからなる。各部屋にはチューブを巻き取るため
の軸が設置されており、内部に有機ガスを流したチュー
ブは予め巻き付けられた軸からもう一方の軸に巻き取ら
れ、その途中で電極が取り付けられた内径1/2インチ
の管を通過する。この電極には高周波電源が接続されて
おり、チューブがこの反応管部分を通過する際、チュー
ブ内部にのみプラズマを発生させてチューブ内面をコー
ティングする。安田らは、本方法により細いチューブ内
面の有機膜コーティングの実用化が可能であるとし、一
例としての気体分離用中空糸膜の内面コーティングへの
応用を期待している。
【0004】しかしながら、係るチューブ内面コーティ
ング法は柔軟な高分子チューブに限定され、セラミック
ス等の硬質チューブへの応用はできないと共にチューブ
が柔軟性に優れた中空糸状気体分離膜である場合にも解
決すべき多くの課題がある。即ち、巻き取り機を反応管
内に設置するなど装置が複雑かつ大きなものになる点、
コーティングするチューブは巻き取られるためチューブ
に張力がかかりチューブが破損する恐れがある点、巻き
取られている細い中空糸内に有機ガスを導入するのは極
めて困難である点などである。更に、中空糸状気体分離
膜は数万本から多い場合には百万本にいたる大量のチュ
ーブが束ねられたモジュールで実用に供され、長さに換
算すると膨大なものになるので、数十本まとめて反応管
に送り込んだとしても必要量の処理には長時間を要す
る。また、プラズマ重合膜形成が早い反応過程でないこ
とも考慮する必要がある。このような問題点から気体分
離膜の内面処理に於ては、モジュール作成後に一括処理
できることが経済的に望ましいが、上記方法では一括処
理はできない。
【0005】また、特開昭54−56672号公報には
内径3〜4mmの高分子チューブ内面のコーティング方法
が示されている。それには、絶縁管内に処理すべき高分
子からなるチューブを設置し、絶縁体管内を1Torr以上
の圧力に保持し、かつチューブ内を絶縁体管内より低圧
に保持すると共に絶縁体管の外部から高電圧を印加する
ことによって、チューブ内面にプラズマを発生せしめ、
チューブ内面をプラズマ重合膜でコーティングする方法
が提唱されている。
【0006】しかしながら、コーティングに好ましい圧
力範囲として、コーティングするチューブ内部は、0.
01〜10Torr、外部は10〜100Torrとしている
が、内径3mm以下、特に1mm以下のチューブ内でのプラ
ズマ発生には以下に述べるような電子の平均自由行程と
プラズマ発生との関係を考慮する必要がある。
【0007】チューブ内面をプラズマを用いて処理する
にはまずプラズマを内部で発生させることが必要条件で
ある。プラズマの発生には、電子と分子との衝突がプラ
ズマを維持できる程度に頻繁に起こらなければならな
い。電子の平均自由行程は、1Torrのアルゴン中の場
合、電子のエネルギーにもよるが1/10mm程度であ
る。したがって、内径3mm以上のチューブ壁面への衝突
頻度はアルゴン原子との衝突頻度に対して希でありプラ
ズマ発生に関しては無視し得る。しかし、内径が3mm以
下、特に1mm以下の内径のチューブ内部では、同じ1To
rr条件下に於て、電子の平均自由行程がチューブ内径と
同程度になるため、電子のチューブ内壁面への衝突頻度
は無視できなくなり、その結果プラズマは発生し難くな
る。ここで、電子の平均自由行程は気体圧力に反比例す
るので、チューブ内部でプラズマが発生し得る圧力には
チューブ内径に依存した下限がある。特に内径1mm以下
の場合には通常コーティングが行われる圧力範囲の近く
にプラズマ発生の圧力下限があるのでチューブ内面コー
ティングを行うときにはプラズマ発生圧力範囲の関係依
存性を知ることが重要である。即ち、内径1mm以下のチ
ューブの内面コーティングの適正圧力は内径によって大
きく異なるので、上記のようなチューブ内径と無関係な
0.01〜10Torrといった範囲の指定では不十分であ
る。
【0008】また、絶縁管内圧力をチューブ内部圧力よ
り高く設定することによってチューブ内部にのみプラズ
マを発生させる方法が示されているが、上述したような
電子の平均自由行程とプラズマ発生との関係の考察か
ら、チューブ外部圧力を逆にチューブ内圧力より下げる
ことによってもチューブ内部にのみプラズマを発生させ
られることがわかる。中空糸状分離膜の内面コーティン
グを考えると、膜が気体透過性を持つために中空糸外部
の圧力が内部より低い方が以下の理由のために優れてい
ることがわかる。中空糸外部の圧力が内部より高い場
合、膜を通して外部から内部への気体の流入があるが、
異なる気体の混合は中空糸内面コーティングのための内
部でのプラズマ発生条件を変化させる可能性がある。外
部圧力を低く設定した場合には内部への新たな気体の混
合がないため再現性の良いコーティングができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】内径0.01〜3mmの
チューブ内面をプラズマを用いてコーティングするに
は、チューブ内部でまずプラズマを発生させなければな
らない。そのためには次の2つの条件を同時に満たさな
ければならない。この条件とは内部での電子の平均自
由行程が、チューブ内壁への衝突が気体分子との衝突に
比べて無視できる程度に短いこと、チューブ内部にプ
ラズマが発生しないことである。
【0010】本発明は、上述したような従来技術に於け
る課題に鑑み、内径0.01〜3mmのチューブ内部と外
部の圧力を独立に制御できる真空系に於てチューブ内
径、チューブをその内部に設置してある反応管の内径、
チューブ内部の圧力、チューブ外部の圧力などをある範
囲に設定することによって、チューブ内部にのみプラズ
マを発生させチューブ内面をプラズマ重合膜で好適にコ
ーティングする方法を提供するものである。更に、本発
明は束ねられてモジュール化されたチューブの内面を一
括してプラズマ重合膜で好適にコーティングする方法を
提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、チューブ内径
と反応管内径を考慮して、チューブ内部と外部の気体圧
力を制御することによって上記の課題を解決するもので
ある。
【0012】即ち、本発明は円筒状の反応管1内に設置
された内径0.01mm〜3mm、好ましくは0.01〜2
mmのチューブ2内空間で、有機化合物と非重合性ガスと
をプラズマ化することによりチューブ内面を有機物のプ
ラズマ重合物でコーティングする方法に於て、反応管内
径R(mm)、チューブ内径r(mm)、チューブ内部の圧
力Pin(Torr)、チューブ外部の圧力Pout(Torr)、
チューブの断面積の総和S(mm2)との間に 4.5×10-2/r<Pin<Pout あるいは 4.5×10-2/r<Pin かつ Pout<4.5×10-2/(R−2π-1/21/2) のいずれかが満たされる条件下でコーティングを行うこ
とを特徴とするチューブ内面コーティング方法である。
ここで、チューブの断面積の総和Sとは、束ねられたチ
ューブによって構成されるモジュールの断面積を示し、
チューブが1本からなる場合は、当然そのチューブの断
面積になる。
【0013】本発明に於て、プラズマで重合される有機
化合物が気体である場合には、その有機ガスと非重合性
ガスとの混合ガスをチューブ内部でプラズマ化すること
によりチューブ内面をコーティングすることができる。
【0014】プラズマで重合される有機化合物が不揮発
性の場合には、その有機化合物を予めチューブ内面に塗
布し、その後に非重合性ガスをチューブ内部でプラズマ
化することでチューブ内面をプラズマ重合膜でコーティ
ングすることができる。また、予めチューブ内面を非重
合性ガスのプラズマで処理した後に重合する有機化合物
をチューブ内に導入しても良い。また、本発明はプラズ
マ重合物でコーティングされるチューブが吸着と拡散と
により分子を分離する機能を有する中空糸状膜であり、
さらにこのチューブを束ねて一括して内面コーティング
されるものが、中空糸状膜の束ねられた両端が樹脂状物
質で固定され、中空口が両端で開口した中空糸分離膜モ
ジュールである場合に好適である。
【0015】
【作用】気体中での電子の平均自由行程は、気体圧力に
反比例する。従って、気体圧力を高くすればそれだけ電
子の平均自由行程は短くなるので、上記課題に示した
チューブ内でプラズマが発生するのに必要なチューブ内
部の気体圧力の下限を、チューブ内径r(mm)を考慮し
て決めることができる。即ち、内径0.01mm〜3mmの
チューブに於て、 電子の平均自由行程<<チューブ内径 の条件からPinとrとの関係を決め、その係数は実験か
ら求めることによって、チューブ内でプラズマが発生で
きる内部圧力Pin(Torr)の条件は4.5×10-2/r
<Pinである。
【0016】一方、チューブ外部でプラズマを発生させ
ないの条件を満足させるためには2つの方法がある。
第1の方法は、チューブ外部の気体圧力Pout(Torr)
を内部より高くすることである。即ち、Pin<Poutで
ある。この方法は、圧力が高くなると電子の平均自由行
程が短くなるため、その間に獲得するエネルギーが少な
くなり、プラズマを発生させるのに大きな出力を必要と
するプラズマ発生の原理に基づいている。従って、チュ
ーブ外部の圧力が高くなればチューブ外部でプラズマが
発生し難くなり、同一出力ならば気体圧力の小さいチュ
ーブ内部でプラズマが発生することになる。チューブ外
部でプラズマを発生させない第2の方法は、チューブを
設置した円筒状反応管1の内径R(mm)を小さくするこ
とと、チューブ外部の気体圧力を下げることのいずれ
か、あるいは両者により、チューブ外部に於ける電子の
平均自由行程をチューブ外部空間の特徴的な長さより長
くすることによって電子と気体分子との衝突頻度をプラ
ズマを維持するのに必要な程度以下にする方法である。
即ち、 電子の平均自由行程>>チューブ外部空間の特徴的長さ の条件からPoutとチューブ外部空間の特徴的長さ、R
−2π-1/21/2、との関係を決め、その係数は実験か
ら求めることによって、チューブ外部でプラズマが発生
しないためにはPout<4.5×10-2/(R−2π
-1/21/2)を満足すれば良い。
【0017】上記のプラズマ発生条件の検討結果から、
内径0.01〜3mmのチューブ内部と外部の圧力を独立
に制御できる真空系を用いて、チューブ内部でのみプラ
ズマを発生させるための条件は、 4.5×10-2/r<Pin<Pout あるいは 4.5×10-2/r<Pin かつ Pout<4.5×10-2/(R−2π-1/21/2) のいずれかを満足することである。
【0018】
【実施例】図1には、本発明を実施するための誘導結合
型のプラズマ重合装置を示す。チューブモジュール2内
にはガス導入装置6から有機ガス及び希ガスが導入さ
れ、真空排気装置5で排気しながら、ガス供給量と排気
側のバルブを用いて、チューブ内圧力を調整し、設定圧
力値になったら排気側、供給側の両バルブを閉じ圧力を
保つ。外部圧力は、ガス導入・排気部4を通して設定す
るようになっている。尚、実際には、ガス導入・排気部
4は1つでも良いし複数ついていても良い。モジュール
2の構成は、チューブを1本若しくは複数束ねたものを
樹脂で固定したものである。モジュール2と反応管1の
接合部3とは、密閉性を保つものなら何でも良く、接着
剤、真空パッキン等を用いることができる。また、モジ
ュールの端面をフランジ形式にして取り扱い易くしても
良い。更に、プラズマ発生方式は誘導結合方式であり、
高周波電源9から整合装置8を通してコイル7に電流が
供給される。ここで、プラズマの発生方式には、コイル
に高周波電圧を印加する誘導結合方式と、対向した平行
平板間に高周波電圧を印加する容量結合方式とがある
が、本発明に於てはコーティングするチューブの長さ方
向に対して垂直方向に電場が生じれば良く、プラズマの
発生方式はいずれのものであっても良い。プラズマを発
生させるための電源の周波数は10kHz以下、及び1
3.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、2.4
8GHz、5.8GHz、22.125GHzのいずれをも用い
ることができる。
【0019】プラズマを発生させるチューブ内部に充填
する非重合性気体としては、ヘリウム、アルゴンなどの
希ガスの他に窒素など単独ガスあるいは混合ガスを用い
ることができるが、プラズマを発生させ易い点ではヘリ
ウムが優れている。本発明では、気体の種類には無関係
にチューブ外部ではプラズマが発生しない条件を満たし
ているので、チューブ外部に導入する気体については制
限がない。
【0020】プラズマが発生しているチューブ内部に重
合性の有機化合物が存在すれば、チューブ内壁をプラズ
マ重合膜で被覆することができ、新たな機能が付与され
る。重合性有機化合物が気体の場合には、チューブ内部
にそのガス状有機化合物とプラズマ化し易い非重合性ガ
スとの混合ガスを充填すれば良い。有機化合物がプラズ
マ化し易い場合には、有機化合物ガス単独でも良い。不
揮発性の有機化合物をプラズマ重合する場合には、例え
ば揮発性の溶媒にその有機化合物を溶解し、流布などの
手段により予めチューブ内壁を、目的とする重合性化合
物で被覆した後、充填した非重合性ガスのプラズマで励
起して重合膜を作成すれば良い。また、非重合性ガスの
単独ガスのプラズマによりチューブ内壁を活性化した
後、重合性有機ガスを充填して薄い重合皮膜を形成する
こともできる。これらのいずれの方法によりチューブ内
面をプラズマ重合膜で被覆するかは、用いる重合性有機
物と目的とする重合膜の機能で選択される。
【0021】本発明のチューブ内面コーティング方法に
於ては、チューブの内部と外部の気体圧力条件を満足す
れば、内径0.01mm〜3mmのチューブの内面をチュー
ブの本数に無関係にプラズマ重合膜によりコーティング
することができる。即ち、中空糸気体分離膜モジュール
のように大量のチューブの集合体に於ても、一括してそ
の内面をプラズマ重合膜でコーティングすることができ
る。その結果、中空糸膜の紡糸行程で発生した欠陥、あ
るいは紡糸から分離膜モジュール組立までの工程で発生
した欠陥を一括して補修することが可能となる。また、
当然のことながら、中空糸状分離膜に新たな機能を付与
できる。例としては、多孔質中空糸膜の内壁に有機シリ
コン化合物をプラズマ重合して内圧型の中空糸気体分離
膜とすることができる。また、本願出願人等が既に提唱
した4,4−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン誘
導体とフタル酸クロリドとから縮重合で得られたポリア
ミドを原料とする中空糸気体分離膜(例えば特開平2−
78427号公報参照)をモジュール化した後、中空糸
内面を本発明のコーティング方法によってプラズマ重合
膜を被覆し、分離膜を高機能化することができる。
【0022】以下に、本発明を具体的実施例と比較例と
によって説明する。
【0023】実施例1 図1に示す構成のプラズマ重合装置に、内径0.5mm、
外径1.5mm、長さ550mmのパイレックス製チューブ
を10本束ねたもの2をエポキシ樹脂を用いて内径10
0mmの円筒状反応管1の中央に固定し、パイレックスチ
ューブ内部及び外部の圧力を独立に制御できるようにし
た。チューブ内部及び外部を共に10-3Torrまで真空に
引いた後、チューブ外部にはヘリウムガスを導入し外部
圧力(Pout)を400Torrに保ち、またチューブ内部
にはヘリウムとヘキサフルオロベンゼン(C66)の混
合ガス(モル比、He/C66=10)を導入して内部
圧力(Pin)を50Torrに保った。この例の場合、本発
明の圧力範囲は0.09Torr<Pin<Pout、あるいは
0.09Torr<Pin かつ Pout<4.7×10-4Torr
であり、この例での圧力は第1の条件の範囲内に設定さ
れている。反応管に巻かれたコイル7に周波数13.5
6MHzの電流を流したところ、チューブ内部にのみプラ
ズマが発生した。1分間のプラズマ処理を施したところ
チューブ内面に厚さ約10nmの一様な膜が生成した。
【0024】実施例2 図1に示す構成のプラズマ重合装置に、内径0.5mm、
外径1.5mm、長さ550mmのパイレックス製チューブ
を10本束ねたもの2をエポキシ樹脂を用いて内径10
0mmの円筒状反応管1の中央に固定し、パイレックスチ
ューブ内部及び外部の圧力を独立に制御できるようにし
た。チューブ外部圧力(Pout)は10-6Torrに保ち、
またチューブ内部は10-3Torrまで真空に引いた後、ヘ
リウムとヘキサフルオロベンゼン(C66)の混合ガス
(モル比、He/C66=10)を導入し内部圧力(P
in)を50Torrに保った。この例の場合、本発明の圧力
範囲は実施例1と同じであるが、圧力は第2の条件の範
囲内に設定されている。反応管に巻かれたコイル7に周
波数13.56MHzの電流を流したところ、チューブ内
部にのみプラズマが発生した。1分間のプラズマ処理を
施したところチューブ内面に厚さ約10nmの一様な膜が
生成した。
【0025】実施例3 図1に示す構成のプラズマ重合装置に、内径0.3mm、
外径0.5mmのシリコンチューブを100本束ねたモジ
ュール2を作製し実施例1と同じように樹脂を用いて内
径100mmの反応管1の中央に固定した。高分子チュー
ブ内部と外部を共に10-3Torrまで真空に引いた後、高
分子チューブ外部にはヘリウムガスを導入し外部圧力
(Pout)を300Torrに保ち、また、チューブ内部に
はヘリウムとヘキサフルオロベンゼン(C66)の混合
ガス(モル比、He/C66=10)を導入して内部圧
力(Pin)を50Torrに保った後、直ちに反応管に巻か
れたコイル7に周波数13.56MHzの電流を流してチ
ューブ内部にのみプラズマを発生させた。この例の場
合、本発明の圧力範囲は0.15Torr<Pin<Pout、
あるいは0.15Torr<Pin かつ Pout<4.7×1
-4Torrであり、この例での圧力は第1の条件の範囲内
に設定されている。1分間のプラズマ処理を施したとこ
ろ高分子チューブ内面に厚さ約10nmの一様な膜が生成
した。
【0026】比較例 ほぼ等モルの9,9−ビス(4−アミノフェニル)フル
オレンとテレフタル酸クロリドのN,N−ジメチルアセ
トアミド溶液中で縮重合して得られたポリアミドを原料
として内径0.2mm、外径0.4mmの気体分離中空糸膜
を得た。係る中空糸膜200本を束ね、開口した両端を
エポキシ樹脂を包埋した有効長90cmの気体分離膜モジ
ュールを作製した。得られた気体分離膜モジュールの酸
素と窒素の25℃乾燥状態及び相対湿度40%に於ける
透過速度を表1の比較例欄に示す。
【0027】実施例4 比較例と同様の気体分離膜モジュール2の各中空糸内に
9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンと大過
剰のテレフタル酸クロリドから得たアミドオリゴマーの
1%アセトン溶液を注入後、常温で溶媒を蒸発させてア
ミドオリゴマーを中空糸内壁に付着させた。係る気体分
離ユニットを実施例3と同じ方法で円筒状反応管1内に
固定し、ヘリウムガスにより中空糸外部圧力(Pout)
を300Torr、内部圧力(Pin)を50Torrとしてプラ
ズマを発生させ、アミドオリゴマーをプラズマで中空糸
内壁に固定化して不溶化した。この例の場合、本発明の
圧力範囲は、0.23Torr<Pin<Pout、あるいは
0.23Torr<Pin かつ Pout<4.8×10-4Torr
であり、この例での圧力は第1の条件の範囲内に設定さ
れている。得られた中空糸気体分離膜モジュール2の気
体透過性能を表1の実施例4欄に示した。本プラズマ処
理により、酸素窒素分離率の向上する効果が得られた。
【0028】実施例5 実施例4のプラズマ処理に連続してモジュール2の各中
空糸内を50Torrのテトラフルオロエチレンで置換し、
活性化された中空糸内壁と5分間反応させた。更に、実
施例4と同じ圧力条件で、即ち中空糸外部圧(Pout)
300Torr、中空糸内部圧(Pin)50Torrのヘリウム
環境で中空糸内部をプラズマ処理後にテトラフルオロエ
チレンを導入する操作を3回繰り返した。係る処理にて
得た気体分離膜モジュール2の性能を表1の実施例5欄
に示す。本プラズマ処理により、酸素窒素分離率の湿度
低下が抑制される。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】内径0.1〜3mmのチューブ内部と外部
の圧力を制御することによって、チューブ内部にのみプ
ラズマを発生させてチューブ内部を有機膜でコーティン
グすることが可能になった。また、圧力の制御によって
束ねた高分子チューブの一括処理が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたプラズマ重合装置の概略構
成を示す側断面図である。
【符号の説明】 1 反応管 2 チューブ 3 接合部 4 ガス導入・排気部 5 真空排気装置 6 ガス導入装置 7 コイル 8 整合装置 9 高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01D 5/24 B 7199−3B D06M 10/10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の反応管1内に内径0.01mm
    〜3mmのチューブあるいはそのチューブを束ねたもの2
    を設置し、この時、反応管内径R(mm)、チューブ内径
    r(mm)、チューブ内部の圧力Pin(Torr)、チューブ
    外部の圧力Pout(Torr)、チューブの断面積の総和S
    (mm2)との間に 4.5×10-2/r<Pin<Pout あるいは 4.5×10-2/r<Pin かつ Pout<4.5×10-2/(R−2π-1/21/2) のいずれかが満たされる圧力条件下に於て、前記チュー
    ブ2内空間で有機化合物と非重合性ガスとをプラズマ化
    することによりチューブ内面を有機物のプラズマ重合物
    でコーティングする方法。
  2. 【請求項2】 前記プラズマで重合される有機化合物
    が気体であり、該有機ガスと前記非重合性ガスとの混合
    ガスをチューブ内部でプラズマ化することを特徴とする
    請求項1に記載のチューブ内面コーティング方法。
  3. 【請求項3】 前記プラズマで重合される有機化合物
    が予め前記チューブ内面に塗布され、前記非重合性ガス
    をチューブ内部でプラズマ化することを特徴とする請求
    項1に記載のチューブ内面コーティング方法。
  4. 【請求項4】 予め前記チューブ内面を前記非重合性
    ガスの前記プラズマで処理した後に前記重合する有機化
    合物を前記チューブ内に導入することを特徴とする請求
    項1に記載のチューブ内面コーティング方法。
  5. 【請求項5】 前記プラズマ重合物でコーティングさ
    れるチューブ2が、吸着、拡散により分子を分離する機
    能を有する中空糸状膜であり、さらにチューブ2を束ね
    て一括して内面コーティングされるものが、中空糸状膜
    の束ねられた両端が樹脂状物質で固定され、中空口が両
    端で開口した中空糸分離膜モジュールであることを特徴
    とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のチュー
    ブ内面コーティング方法。
JP5945692A 1992-02-13 1992-02-13 チューブ内面コーティング方法 Withdrawn JPH05222229A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5945692A JPH05222229A (ja) 1992-02-13 1992-02-13 チューブ内面コーティング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5945692A JPH05222229A (ja) 1992-02-13 1992-02-13 チューブ内面コーティング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05222229A true JPH05222229A (ja) 1993-08-31

Family

ID=13113831

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5945692A Withdrawn JPH05222229A (ja) 1992-02-13 1992-02-13 チューブ内面コーティング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05222229A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10035177A1 (de) * 2000-07-19 2002-02-07 Fraunhofer Ges Forschung Verfahren zur plasmagestützten Behandlung der Innenfläche eines Hohlkörpers
FR2865015A1 (fr) * 2004-01-09 2005-07-15 Hutchinson Tuyau souple de transfert de fluide impermeable
JP2019077104A (ja) * 2017-10-25 2019-05-23 泉工業株式会社 チューブの表面処理装置及びプラズマ処理装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10035177A1 (de) * 2000-07-19 2002-02-07 Fraunhofer Ges Forschung Verfahren zur plasmagestützten Behandlung der Innenfläche eines Hohlkörpers
DE10035177C2 (de) * 2000-07-19 2002-06-20 Fraunhofer Ges Forschung Verfahren zur plasmagestützten Behandlung der Innenfläche eines Hohlkörpers und Verwendung desselben
FR2865015A1 (fr) * 2004-01-09 2005-07-15 Hutchinson Tuyau souple de transfert de fluide impermeable
WO2005073295A1 (fr) * 2004-01-09 2005-08-11 Hutchinson Tuyau souple de transfert de fluide
JP2019077104A (ja) * 2017-10-25 2019-05-23 泉工業株式会社 チューブの表面処理装置及びプラズマ処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5514276A (en) Permselective hollow fiber fluid separation membranes having plasma-polymerized lumen-side coatings
EP0690743B1 (en) Gas plasma polymerized permselective membrane
US5677010A (en) Method for producing a polymer coating inside hollow plastic articles
EP0092417B1 (en) Selectively gas-permeable composite membrane and process for production thereof
CN1227385C (zh) 用离子束对聚合物,金属和陶瓷材料进行表面改性的装置
US4594079A (en) Gas separating member and method for manufacture thereof
EP0424873A2 (en) Method for modifying the surface of a polymer article
EP0523503B1 (en) Ultra thin polymer film electret and method of manufacturing the same
JP2010538829A (ja) 大気圧プラズマ蒸着による基板の安定な親水性強化のための方法
US6171450B1 (en) Method for plasma treatment in hollow bodies
Li et al. Gas-separating properties of membranes coated by HMDSO plasma polymer
JPH05222229A (ja) チューブ内面コーティング方法
JPH05222230A (ja) チューブ内面コーティング方法
US20040099216A1 (en) Apparatus for modifying surface of material using ion beam
US4696686A (en) Oxygen separating member and process for producing the same
JPH04334543A (ja) 管内大気圧グロープラズマ反応方法とその装置
US4976856A (en) Process for preparing non-porous, selective membrane layers
JPH03107458A (ja) 樹脂製容器内面に被膜を形成する方法
KR100332802B1 (ko) Uv 스펙트로미터를 이용한 플라즈마로 중합된 고분자막성능 평가 장치
JP4002965B2 (ja) 多孔性酸化ケイ素薄膜の製造方法
JP2006131938A (ja) 超撥水膜の製造方法および製造装置並びにその製品
EP0755327A1 (en) Barrier films having carbon-coated surfaces
JPS61159426A (ja) プラズマ重合体膜の形成方法
NIÞÃ et al. POSSIBILITIES OF VINYL POLYMERS OBTAINMENT IN COLD PLASMA★
JPH05220362A (ja) 気体分離膜

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990518