JPH05221983A - 新規なジヒドロピリジン誘導体 - Google Patents

新規なジヒドロピリジン誘導体

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JPH05221983A
JPH05221983A JP6128992A JP6128992A JPH05221983A JP H05221983 A JPH05221983 A JP H05221983A JP 6128992 A JP6128992 A JP 6128992A JP 6128992 A JP6128992 A JP 6128992A JP H05221983 A JPH05221983 A JP H05221983A
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JP
Japan
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group
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lower alkyl
compound
phospholipase
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Application number
JP6128992A
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English (en)
Inventor
Satoru Miyake
哲 三宅
Hiroichi Yamamoto
博一 山本
Akio Koda
彰男 甲田
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記一般式(I)で示される,新規なジヒド
ロピリジン誘導体又はその塩及びこれらを有効成分とす
るホスホリパーゼA2阻害剤 【化1】 [式中,R1は低級アルキル基を,R2は低級アルキル基
又は低級アルコキシ置換低級アルキル基を,R3はアル
キル基を,R4は低級アルコキシ基を,Xは酸素原子又
は硫黄原子を,nは10乃至20の整数を,R5は下式 【化2】 (式中,R7,R8は同一又は異って水素原子又は低級ア
ルキル基を意味する。)で示される基,式−S−R9
示される基(式中,R9は置換されていてもよい低級ア
ルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を意味す
る。)又は式−COOR10で示される基(式中,R10
水素原子,アルカリ金属原子又は低級アルキル基を意味
する。)を,R6は水素原子,ニトロ基又はアラルキル
オキシ基を夫々意味する。] 【効果】 医薬,殊にホスホリパーゼA2阻害剤とし
て,炎症等に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,1,4−ジヒドロピリ
ジン化合物又はその塩を有効成分として含有するホスホ
リパーゼA2阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ホスホリパーゼA2阻害剤は,ホスホリ
パーゼA2の酵素活性を阻害することにより生体内細胞
膜リン脂質からのアラキドン酸やリゾリン脂質の生成を
抑え,これらの代謝産物で炎症に関与するプロスタグラ
ンジンやロイコトリエンなどのメディエーターの生成を
抑制しようとするものである。これまで知られているホ
スホリパーゼA2阻害剤の中で最も強力な阻害活性を示
すものはステロイド抗炎症剤(グルココルチコイド)で
ある。しかしながら,グルココルチコイドが重篤な副作
用を示すことはよく知られている。
【0003】これに対し,インドメタシンなどの非ステ
ロイド系抗炎症剤はアラキドン酸カスケードのシクロオ
キシゲナーゼを阻害してプロスタグランジンE2の産生
を抑制して抗炎症活性を示すものであるが,プロスタグ
ランジンE2のもつ胃粘膜保護作用をも損なうため,胃
粘膜障害などの副作用を伴なうこともよく知られてい
る。最近のホスホリパーゼA2阻害剤の研究によればホ
スホリパーゼA2には,その一次構造や基質特異性が異
なる二種の型,すなわちI型とII型のホスホリパーゼ
2の存在が確認され,胃粘膜にあるホスホリパーゼA2
は,膵臓のそれと同一であって,I型のホスホリパーゼ
2であることが証明されており,かつ炎症に関わって
いる酵素はむしろ他の組織に見出されるII型のもので
あるとの考えが強くなっている。
【0004】従って,II型のホスホリパーゼA2に対
する阻害活性を示すものであれば,胃粘膜障害などの副
作用がない抗炎症剤となりうると考えられる。これま
で,ホスホリパーゼA2阻害剤としては種々のものが知
られており,中でもII型ホスホリパーゼA2に対して
阻害活性を示すものもいくつか知られているが,これら
従来公知の阻害剤は,経口投与すると効力を失なうと
か,阻害活性が弱いなどいずれかの問題を含んでいる。
従って,経口投与可能でかつ強力なII型ホスホリパー
ゼ阻害剤の開発が切望されている。一方,ジヒドロピリ
ジン系カルシウム拮抗剤として上市されているニフェジ
ピンやニソルジピンがホスホリパーゼA2に対して阻害
活性を示すことは公知である [Inflammation,Vol.11,N
o.3,353(1987)] 。
【0005】本発明者らの研究によれば,これらの薬剤
はII型のホスホリパーゼA2に対する阻害活性が弱
く,前記課題を克服しうるものではないことが確認され
た。
【0006】本発明者等は,このような技術水準下にI
I型ホスホリパーゼA2をスクリーニング系の酵素とし
て用い,これに対する阻害活性を種々の化合物で検討し
たところ,先に,下記一般式で示されるジヒドロピリジ
ン誘導体が優れたホスホリパーゼA2阻害活性を有する
ことを見い出し,特許出願した(特願平2−15669
5号)。
【0007】
【化3】
【0008】(なお,式中の記号については上記明細書
参照)しかしながら,上記出願明細書中に具体的に開示
されたジヒドロピリジン誘導体はいずれもホスホリパー
ゼA2阻害作用と同時にカルシウム拮抗作用を併せ持つ
ものであった(上記明細書参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は,上記先
行技術に基づき,ジヒドロピリジン誘導体について更に
合成研究を進めた結果,下記一般式(I)で示されるジ
ヒドロピリジン誘導体が,さらに優れたホスホリパーゼ
2阻害活性を有し,かつカルシウム拮抗作用が極めて
弱いことを知見して本発明を完成した。本発明の化合物
は,優れたホスホリパーゼA2阻害活性を有し,かつカ
ルシウム拮抗作用が極めて弱いことにより,臨床上有用
なホスホリパーゼA2阻害剤となりうる。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち,本発明はつぎ
の一般式(I)で示されるジヒドロピリジン誘導体又は
その塩及びこれらを有効成分として含有するホスホリパ
ーゼA2阻害剤に関する。
【0011】
【化4】
【0012】[式中,R1は低級アルキル基を,R2は低
級アルキル基又は低級アルコキシ置換低級アルキル基
を,R3はアルキル基を,R4は低級アルコキシ基を,X
は酸素原子又は硫黄原子を,nは10乃至20の整数
を,R5は下式
【0013】
【化5】
【0014】(式中,R7,R8は同一又は異って水素原
子又は低級アルキル基を意味する。)で示される基,式
−S−R9で示される基(式中,R9は置換されていても
よい低級アルキル基又は置換されていてもよいフェニル
基を意味する。)又は式−COOR10で示される基(式
中,R10は水素原子,アルカリ金属原子又は低級アルキ
ル基を意味する。)を,R6は水素原子,ニトロ基又は
アラルキルオキシ基を夫々意味する。]
【0015】以下に本発明化合物につき,更に詳細に説
明する。本明細書の一般式(I)の定義において,特に
断わらない限り,『低級』なる用語は炭素数が1乃至6
個の直鎖又は分枝状の炭素鎖を意味する。従って,『低
級アルキル基』としては,具体的には例えばメチル基,
エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,イ
ソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,
ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基,ter
t−ペンチル基,1−メチルブチル基,2−メチルブチ
ル基,1,2−ジメチルプロピル基,ヘキシル基,イソ
ヘキシル基,1−メチルペンチル基,2−メチルペンチ
ル基,3−メチルペンチル基,1,1−ジメチルブチル
基,1,2−ジメチルブチル基,2,2−ジメチルブチ
ル基,1,3−ジメチルブチル基,2,3−ジメチルブ
チル基,3,3−ジメチルブチル基,1−エチルブチル
基,2−エチルブチル基,1,1,2−トリメチルプロ
ピル基,1,2,2−トリメチルプロピル基,1−エチ
ル−1−メチルプロピル基,1−エチル−2−メチルプ
ロピル基等が挙げられる。
【0016】また,『低級アルコキシ基』としては,メ
トキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,イソプロポキシ
基,ブトキシ基,イソブトキシ基,sec−ブトキシ
基,tert−ブトキシ基,ペンチルオキシ(アミルオ
キシ)基,イソペンチルオキシ基,tert−ペンチル
オキシ基,ネオペンチルオキシ基,2−メチルブトキシ
基,1,2−ジメチルプロポキシ基,1−エチルプロポ
キシ基,ヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0017】R6が示す『アラルキルオキシ基』は,ベ
ンジルオキシ基,フェネチルオキシ基,3−フェニルプ
ロポキシ基,4−フェニルブトキシ基,5−フェニルペ
ンチルオキシ基,6−フェニルヘキシルオキシ基など,
アルキル部分が炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝状の芳
香環置換低級アルコキシ基である。R2が示す『低級ア
ルコキシ置換低級アルキル基』は,前記『低級アルキル
基』の任意の水素原子が前記『低級アルコキシ基』で置
換した基を意味する。R3が示す『アルキル基』として
は,『低級アルキル基』を含み,さらに炭素素数が7〜
12個の直鎖又は分枝状のものを意味する。従って具体
的には,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル
基,ドデシル基,1−メチルヘキシル基,1,2−ジメ
チルオクチル基,3,4−ジメチルヘプチル基,2−エ
チルオクチル基,2−メチル−3−エチルノニル基等が
挙げられる。また,R10が示す『アルカリ金属原子』
は,具体的にはナトリウム,カリウム,マグネシウム,
カルシウム,アルミニウム等が挙げられる。
【0018】一般式(I)で示される化合物は不斉炭素
原子を有しており,光学異性体が存在する。本発明の化
合物にはこれら光学異性体の単離されたもの及びその混
合物が含まれる。また化合物(I)は塩を形成する。本
発明医薬化合物(I)にはこれらの薬理学的に許容され
る塩,例えば上記塩酸塩の他,硫酸,硝酸,リン酸,臭
化水素酸等の無機酸,あるいはギ酸,酢酸,シュウ酸,
マロン酸,コハク酸,マレイン酸,フマール酸,乳酸,
リンゴ酸,クエン酸,酒石酸,炭酸,サリチル酸,没食
子酸,ピクリン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン
酸などの有機酸,グルタミン酸,アスパラギン酸などの
酸性アミノ酸との酸付加塩やアンモニウム塩が含まれ,
また,場合により,メチルアミン,エチルアミン,エタ
ノールアミン等の有機塩基やナトリウム,カリウム,マ
グネシウム,カルシウム,アルミニウム等の無機塩基と
の塩が含まれる。更に,本発明には,本発明化合物
(I)の各種の溶媒和物や結晶多形の物質も含まれる。
【0019】(製造法)一般式(I)で示される化合物
は,特公平1−23463号,特開昭62−14965
9号,同63−264459号,同61−233669
号の各公報に記載された方法あるいはその方法に準じて
製造することができる。さらに上記公報に開示された方
法の他,化合物(I)はその基本骨格や基の特徴を考慮
して種々の製法によって合成することが可能である。代
表的な方法としてはHantzschの1,4−ジヒド
ロピリジン合成法の応用が挙げられる。 Hantzs
chの合成法の応用によれば,化合物(I)は下記反応
式で示されるように種々の組合せで合成される。
【0020】
【化6】
【0021】(式中,R1,R2,R3,R4,R5,R6
X及びnは前記の意味を有し,S1+2は,式
【0022】
【化7】
【0023】で示される化合物を,S2+4は,式
【0024】
【化8】
【0025】で示される化合物を,S4+3は式
【0026】
【化9】
【0027】で示される化合物を,S3+1は,式
【0028】
【化10】
【0029】で示される化合物を夫々意味する。)この
反応はR5が遊離アミノ基でない化合物を製造するとき
に適用することができ,R5が遊離アミノ基であるとき
は上記 Hantzsch の合成法により製造された
ハロゲン化合物を原料としてこれにフタルイミドカリウ
ムなどを反応させるか又は Hantzsch の合成
法によりフタルイミド化合物を合成し,次いでフタル酸
部分を脱離させることにより製造できる。
【0030】例えば,下記反応式に示す,式−X−(C
2)n−Y(X及びnは前記と同様の意味を有し,Y
はハロゲン原子を意味する。)で示される基を有する化
合物を原料として,R5が遊離アミノ基(−NH2)であ
る化合物を製造するときは,上記 Hantzsch
のいずれかの反応を利用して(実施例の方法は(3)に
当る。)ハロゲン側鎖を持つ1,4−ジヒドロピリジン
化合物を得,これにフタルイミドカリを反応させ,次い
でヒドラジンなどを用いて脱保護する。
【0031】
【化11】
【0032】(式中,R1,R2,R3,R4,R6,n,
X及びYは前記の意味を有する。)先ず,ハロゲン化合
物を用いる Hantzsch の合成は,例えばベンゼン,トル
エン,キシレン,メタノール,エタノール等の反応によ
って生ずる水を共沸で除き得る溶媒を用い,室温乃至加
熱下,好ましくは加熱下に共沸する水を反応系外に除き
ながら実施すれば良い。反応時間は,反応に関与する試
剤の性状によつて適宜選択されるが,通常数時間で充分
である。ここに得られた化合物は次いでジメチルホルム
アミドやジメチルスルホキシドのような非プロトン性溶
媒中でフタルイミドカリウムと加熱下,好ましくは 1
20〜130℃ に適当時間加熱することで,ハロゲン
原子をフタルイミド基に変換し,更にエタノール等の溶
媒中ヒドラジンと反応させて脱保護する Gabriel 反応
によってアミノ基を有する化合物へと変換することが出
来る。
【0033】また,本発明化合物中,R5が式−S−R9
(式中,R9は前記の意味を有する。)で示される基で
ある下式中(Id)で示される化合物は,下式中(I
a)で示されるハロゲン化合物と,一般式(II)で示
されるメルカプタン化合物又はそのアルカリ金属置換体
とを反応させることによって製造される。反応は,下式
中(Ia)で示される化合物と,下式中(II)で示さ
れる化合物とをほぼ等モルあるいは一方をやや過剰モル
として,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシ
ド,メタノール,エタノール,プロパノール,アセト
ン,メチルエチルケトン,テトラヒドロフラン,クロロ
ホルム,ジオキサン等の有機溶媒中で通常塩基の存在下
に行われ,そのような塩基としてはナトリウムメチラー
ト,炭酸カリウム,トリトンB,水酸化カリウム,水素
化ナトリウムなどが好適である。反応温度は特に限定は
ないが通常室温又は加温下に設定される。
【0034】
【化12】
【0035】(式中,R1,R2,R3,R4,R6,R9
n,X及びYは前記の意味を有し,Mはアルカリ金属原
子を意味する。)
【0036】目的物の単離精製は反応混合物の濃縮,カ
ラムクロマトグラフィーによる分画,メタノール,クロ
ロホルム,酢酸エチル等の単独又は混合有機溶媒からの
再結晶等の常法によって実施される。
【0037】
【発明の効果】次に本発明の化合物のホスホリパーゼA
2阻害作用,ホスホリパーゼA2阻害作用に基づく抗炎症
作用(ラット・カラゲニン胸膜炎抑制作用及びマウスT
PA耳浮腫抑制作用)及びカルシウム拮抗作用について
実験例をあげて説明する。
【0038】(1)ホスホリパーゼA2阻害作用の測定 ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー[J.
Biol. Chem, 261(9), 4239-4246(1986)]に記載の方法
に準じ,以下の方法で測定した。13.5mM塩化カル
シウムと270μg/mlの牛血清アルブミンを含む1
35mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)100μlに
ウサギ血小板由来ホスホリパーゼA22.5μlを加え
氷中で30分間インキュベーションを行う。次に本発明
の化合物10μl,及びトリチウム標識オレイン酸でラ
ベルした大腸菌のオートクレイブ標品25μl(約20
万cpm)を反応液に加え,6℃で10分間反応させ
る。反応は2規定塩酸50μlの添加によって停止させ
る。反応停止後,20mg/mlの牛血清アルブミン5
0μlを加えて氷中30分間放置したのち遠心し,遠心
上清のカウントを測定した。なお,ホスホリパーゼA2
阻害活性の測定に基質として用いたトリチウム標識オレ
イン酸でラベルした大腸菌のオートクレイブ標品は以下
のようにして調製した。一夜種培養した大腸菌培養液を
100mlのトリプトンメディウム(1%バクトトリプ
トン−0.5%塩化ナトリウム)に加えて37℃でOD
550が0.4となるまでインキュベーションする。次に
Brij35(界面活性剤)を1/100量とトリチウ
ム標識オレイン酸5mCiを加え,さらに37℃で5時
間インキュベーションを続けた後,120℃20分間オ
ートクレイブ処理し,一夜4℃に放置する。その後,菌
体を0.1%牛血清アルブミンと10mM塩化カルシウ
ムを含む0.7Mトリス塩酸緩衝液でよく洗浄した後,
0.2%アジ化合物ナトリウムと10mM塩化カルシウ
ムを含む0.7Mトリス塩酸緩衝液に懸濁し,使用時ま
で4℃で保存する。
【0039】(2)ラット,カラゲニン胸膜炎抑制作用
の測定 胸膜炎は,雄性 Wistar ラット(6−7週令)の胸腔内
に2%カラゲニン懸濁生理食塩水0.1mlを胸腔内に
投与することにより誘導した。4時間後に,胸腔を2I
U/mlヘパリン生理食塩水2mlで2回洗浄し,洗浄
液を回収した。胸腔への浸出液の重量を,洗浄回収液の
重量より求め,血漿漏出反応の指標とした。また,胸腔
内へ浸潤した白血球の数を,コールター・カウンターで
測定し,白血球浸潤反応の指標とした。被検薬は,カラ
ゲニン投与の1時間前に経口投与した。
【0040】(3)マウスTPA耳浮腫抑制作用の測定 耳浮腫は雄性ICRマウス(体重30−35g)の右耳
にTPA 1μg/earを塗布することにより,誘導
した。4時間後に両耳を切り取り,その湿重量を測定し
た。左耳に対する右耳の重量の増加率を浮腫の指標とし
た。なお,被検薬はTPA塗布の1時間前に経口投与し
た。
【0041】(4)カルシウム拮抗作用の測定 雄性 Wistar ラットの胸部大動脈を摘出し,リング標本
(幅3mm)を作製した。標本は37℃に保温したKr
ebs液中に吊し,等尺性収縮を1g負荷下で記録し
た。約90分間,安定化させた後,60mMKClを添
加し,対照の収縮高を得た。その後Krebs液で洗浄
し,再度安定させた後,被検薬を加え,10分後に60
mMKClを添加した。得られた収縮高と対照の収縮高
から抑制率を算出し,カルシウム拮抗作用とした。以
下,上記実験例(1)〜(4)により得られた結果を表
1に示す(なお,表中,ホスホリパーゼA2をPLA2
略記した。)。
【0042】
【表1】
【0043】上記の実験結果から明らかな如く,本発明
の医薬化合物は,殊にII型ホスホリパーゼA2に対し
て優れた阻害作用及び抗炎症作用を有し,経口投与で失
活せず胃粘膜障害などの副作用も伴わずに,アラキドン
酸及びリゾリン脂質双方の生合成を抑制することができ
る強力なホスホリパーゼA2阻害剤として有用である。
また,本発明化合物はカルシウム拮抗作用が極めて弱い
ので,カルシウム拮抗作用に基づく種々の副作用の可能
性がない。従って,本発明のホスホリパーゼA2阻害剤
は,各種の炎症に対する抗炎症剤,抗リウマチ剤,喘
息,アトピー性疾患などのアレルギー疾患の治療剤,ホ
スホリパーゼA2が関与しているといわれる虚血性血管
障害,潰瘍,肺血症,膵炎等の治療剤として用いられ
る。本発明化合物は,低毒性であることも利点として挙
げる事ができる。
【0044】(投与方法及び投与量)本発明化合物を含
有するホスホリパーゼA2阻害剤は,特に経口投与とし
ても有効であるので経口投与製剤,例えば錠剤,カプセ
ル剤,散剤,細粒剤,顆粒剤,丸剤,経口用液剤などに
するのが望ましいが,注射剤,坐剤,軟膏,乳剤,貼付
剤,経鼻剤などの非経口投与製剤や舌下投与製剤とする
ことを妨げるものではなく,特にアレルギー性皮膚炎な
どの皮膚疾患に対しては局所投与が好ましい。かかる製
剤は,通常用いられる製剤用担体や賦形剤やその他の添
加剤を用いて当分野において従来慣用の製剤化手段によ
って調製できるが,中でも一日一回投与,二回投与が可
能な特公昭64−7047号公報,特願平2−6619
0号明細書に記載の製剤とするのが投与による患者の負
担を軽減し,コンブライアンスを向上させる上で好適で
ある。本発明医薬の有効成分の投与量は,適用される患
者の症状,体重,年令や性別等を考慮して適宜決定され
るが,通常成人1日当り,経口で5〜500mg,好ま
しくは10〜250mg,静注で1〜200mg,好ま
しくは5〜100mgであり,これを前記のごとく、一
日1〜2回で,あるいは通常の如く3〜4回に分けて投
与する。
【0045】
【実施例】以下に本発明化合物の中,新規化合物の製法
及び製剤の調製を実施例として示す。
【0046】実施例 1 i) 5−ニトロサリチルアルデヒド27.6g,1,10−
ジブロムデカン500g,テトラブチルアンモニウムハ
イドロジェンサルフェート 1.7g及び水28mlを
70〜80℃に加熱し,激しく撹拌しながら,水酸化ナ
トリウム20gを水160mlに溶かした液を2時間半
かけて滴下した。滴下終了後,同温度で8時間撹拌し,
一夜室温に放置した。有機層を分離し,水層をクロロホ
ルムで抽出した。合せた有機層を無水硫酸マグネシウム
で乾燥後,溶媒及び1,10−ジブロムデカンを真空で
留去して粗2−(10−ブロムデカニルオキシ)−5−
ニトロベンズアルデヒドを得た。
【0047】ii) i)で得た粗2−(10−ブロムデカニルオキシ)−5
−ニトロベンズアルデヒドとブチリル酢酸エチル26.
2ml,ピペリジン0.7ml,酢酸2.0mlを ベ
ンゼン500mlに溶解しディーンスターク装置を用い
て生成する水を反応系外に除去しながら3時間加熱還流
した。冷却後,溶媒を留去し,得られた残留物に3−ア
ミノクロトン酸エチル21gおよびメタノール350m
lを加え20時間加熱還流した。少量の不溶物を濾過し
た後,溶媒を減圧留去し,残留物をn−ヘキサン300
mlでトリチュレートしデカントでn−ヘキサンを除く
操作を2回くり返し,メタノール250mlを加えて放
置すると結晶化した。本品を濾取して42gのジエチル
4−[2−(10−ブロムデカニルオキシ)−5−ニ
トロフェニル]−2−メチル−6−プロピル−1,4−
ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレートを得
た。本化合物41.2gおよびフタルイミドカリウム1
2gをN,N−ジメチルホルムアミド100mlに懸濁
し,120〜130℃で2時間加熱した。冷却後,反応
液を氷水1lに注ぎ,酢酸エチル1lと500mlで2
度抽出し,有機層を水で3回,20%食塩水で洗った
後,無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾過
後,濾液を減圧濃縮し,残留物に900mlのエタノー
ルとヒドラジン水和物25.1mlを加え,1.5時間
加熱還流した。生じた不溶物を濾過し,濾液を減圧濃縮
し,残留物を350gのシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製した。クロロホルム−メタノール(3:
1)で溶出される画分より,21gのジエチル 4−
[2−(10−アミノデカニルオキシ)−5−ニトロフ
ェニル]−2−メチル−6−プロピル−1,4−ジヒド
ロピリジン−3,5−ジカルボキシレートを得た。 理化学的性状 FABMS[M+H]+ 574 核磁気共鳴スペクトル(CDCl3) δ(ppm):8.48(1H,d),8.21(1
H,dd), 6.82(1H,d),5.99(1H,s), 5.30(1H,s),4.02(6H,m), 2.74(2H,m),2.30(3H,s), 0.98(3H,t)
【0048】実施例 2 実施例1と同様にして本化合物を得た。 ジエチル 4−[2−(12−アミノドデシルオキシ)
−5−ニトロフェニル]−2−メチル−6−プロピル−
1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレー
ト 理化学的性状 FABMS [M+H]+ 602 核磁気共鳴スペクトル(CDCl3) δ(ppm):8.17(1H,d),8.04(1
H,dd), 6.83(1H,d),5.89(1H), 5.32(1H),4.02(6H), 2.68(2H),2.30(3H,s), 1.00(3H,t)
【0049】実施例3 ジエチル 4−[2−(12−ブロムドデシルオキシ)
−5−ニトロフェニル]−2−メチル−6−プロピル−
1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレー
ト1.32gとチオリンゴ酸300mgをメタノールに
溶解しナトリウムメチラート350mgを加えて一夜加
熱還流した。不溶物を濾過して除き,濾液を減圧濃縮し
た。残留物に水とクロロホルムを加え,水層を分離し濃
縮乾固することにより,[[12−[2−[3,5−ビ
ス(エトキシカルボニル)−2−メチル−6−プロピル
−1,4−ジヒドロ−4−ピリジニル]−4−ニトロフ
ェノキシ]ドデシル]チオ]リンゴ酸ジナトリウム塩を
得た。 理化学的性状 FABMS[M+H]+ 779 及び[M+Na]+
801 核磁気共鳴スペクトル(d6DMSO−CD3OD) δ(ppm):8.04(1H,dd),8.02(1
H,d), 7.14(1H,d),5.19(1H,s), 3.38(2H,t),0.92(3H,t)
【0050】実施例 4 ジエチル 4−[2−(12−ブロムドデシルオキシ)
−5−ニトロフェニル−2−メチル−6−プロピル−
1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレー
ト1.32gと5−メルカプトサリチル酸340mgを
メタノールに溶解し,ナトリウムメチラート400mg
を加え,一夜加熱還流した。冷却後,濾過し,濾液を濃
縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトに付しクロ
ロホルム−メタノール 12:1の混液で溶出して,5
−[[12−[2−[3,5−ビス(エトキシカルボニ
ル)−2−メチル−6−プロピル−1,4−ジヒドロ−
4−ピリジニル]−4−ニトロフェノキシ]ドデシル]
チオ]サリチル酸ナトリウム1.0gを得た。 理化学的性状 FABMS(Neg.)[M−Na] 753 核磁気共鳴スペクトル(CD Cl3) δ(ppm):8.16(1H,d),8.04(1
H,dd), 7.99(1H,d),7.45(1H,dd), 7.39(1H,s),6.88(1H,dd) 5.31(1H,s),4.02(6H,m), 2.82(2H,t),0.99(3H,t)
【0051】実施例 5(製剤例) 錠剤の処方例を示す。 処方例(錠剤) 実施例1の化合物 100g スターチ 185g ラクトース 25g マグネシウムステアレート 1.5g 上記成分をスターチペーストを結合剤として用いて顆粒
化し,常法により打錠化し,100mg錠を1,000
錠調製した。以下,表2に上記実施例1〜4により得ら
れた化合物の化学構造式を掲記する。
【0052】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) 【化1】 [式中,R1は低級アルキル基を,R2は低級アルキル基
    又は低級アルコキシ置換低級アルキル基を,R3はアル
    キル基を,R4は低級アルコキシ基を,Xは酸素原子又
    は硫黄原子を,nは10乃至20の整数を,R5は下式 【化2】 (式中,R7,R8は同一又は異って水素原子又は低級ア
    ルキル基を意味する。)で示される基,式−S−R9
    示される基(式中,R9は置換されていてもよい低級ア
    ルキル基又は置換されていてもよいフェニル基を意味す
    る。)又は式−COOR10で示される基(式中,R10
    水素原子,アルカリ金属原子又は低級アルキル基を意味
    する。)を,R6は水素原子,ニトロ基又はアラルキル
    オキシ基を夫々意味する。]で示されるジヒドロピリジ
    ン誘導体又はその塩。
  2. 【請求項2】上記,請求項1に記載の一般式(I)で示
    されるジヒドロビリジン誘導体又はその塩を有効成分と
    して含有するホスホリパーゼA2阻害剤。
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