JPH05221300A - 車両運動制御装置 - Google Patents

車両運動制御装置

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JPH05221300A
JPH05221300A JP5944992A JP5944992A JPH05221300A JP H05221300 A JPH05221300 A JP H05221300A JP 5944992 A JP5944992 A JP 5944992A JP 5944992 A JP5944992 A JP 5944992A JP H05221300 A JPH05221300 A JP H05221300A
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brake
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slip angle
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Koji Sato
幸治 佐藤
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Toyota Motor Corp
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の実際のヨーイング運動状態量に基づい
て左右車輪の制動力の左右差を制御する装置において、
ヨーイング運動状態量を車両重心点における車体横すべ
り角βの変化速度β′として、安価にかつ精度よく検出
する。 【構成】 各車輪のブレーキ圧を各車輪に過大なスリッ
プが発生しないように制御しつつ(S9)、踏力Fに基
づくブレーキ圧Pと車体横すべり角変化速度β′に基づ
くブレーキ圧ΔPとの和を発生させるブレーキシステム
を設ける。このブレーキシステムは、横加速度センサに
よる横加速度Gy を車速センサによる車速Vで割った値
からヨーレートセンサによるヨーレートγを差し引いた
値を車両重心点における車体横すべり角変化速度β′と
して算出し(S3,5)、それが大きい場合には(S
6)、それに基づく大きさの左右差ΔPを後輪制動力に
発生させる(S10〜12)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両のヨーイング運動を
制御する形式の車両運動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は先に上記形式の車両運動制御
装置の一つとして次のようなものを提案し、出願した。
これは、特開平2−326616号明細書に記載されて
いる車両運動制御装置であって、車両の実際のヨーイン
グ運動状態量を車両重心点における車体横すべり角とし
て検出し、それに基づいて車両のヨーイングモーメント
を制御するものである。この出願明細書にはその発明の
一実施例として、車両にそれの前後方向と横方向とにお
いてそれぞれドップラ速度センサを搭載し、両者からの
出力信号に基づいて車体横すべり角を検出する車両運動
制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ドップラ速度
センサは高価であるという問題や、信頼性に不安がある
という問題がある。そのため、ドップラ速度センサより
安価でかつ信頼性の高いセンサを用いてヨーイング運動
状態量を検出したいという要望があった。
【0004】本発明はこの要望を満たすことを課題とし
て為されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
の本発明の要旨は、前記車両運動制御装置を、図1に示
すように、(a) 車体の走行速度を検出する車速センサ1
と、(b) 車両重心点の車両横方向における加速度を検出
する横加速度センサ2と、(c) 車体のヨーレートを検出
するヨーレートセンサ3と、(d) 検出横加速度を検出車
速で割った値から検出ヨーレートを差し引いた値である
車両重心点の車体横すべり角変化速度に基づき、車両の
ヨーイングモーメントを制御するヨーイングモーメント
制御手段4とを含むものとしたことにある。
【0006】なお、ヨーイングモーメント制御手段4
は、車両の左右車輪と路面との間に発生する平面力の大
きさと向きとの少なくとも一方を制御することによって
ヨーイングモーメントを制御する形式とされるのが一般
的であり、この形式の中には、例えば、左右車輪と路面
との間に発生する車輪前後力(駆動力と制動力との合
力)を左右で異ならせる駆動・制動力左右差制御式や、
車輪の舵角を制御する舵角制御式や、前後車輪と路面と
の間に発生する車輪前後力を前後で異ならせる駆動・制
動力前後配分制御式や、車輪の接地荷重を前後または左
右で異ならせる接地荷重制御式などがある。
【0007】
【作用】車両の通常の旋回運動では、車両重心点におけ
る車体横すべり角β(時計方向が正。図5参照。他の車
両運動状態量についても同図参照。)の絶対値はほぼ0
であって1(ラジアン)よりかなり小さいとみなすこと
ができる。したがって、車体横すべり角βは車体の前後
方向速度vx (前方向が正)と横方向速度vy (右方向
が正)とを用いて次のように表すことができる。 β≒vy /vx
【0008】一方、車速Vは普通、車体の前後方向速度
x と横方向速度vy との合成値を意味するが、今回は
車体横すべり角βがほぼ0であるとみなされているか
ら、前後方向速度vx にほぼ等しいとみなすことができ
ることになる。したがって、車体横すべり角βは車速V
と横方向速度vy とを用いて次のように表すことができ
る。 β≒vy /V
【0009】このような関係を持つ通常の旋回運動で
は、車体重心点の車両横方向における加速度である横加
速度Gy (左方向が正)が、車輪すべり角とコーナリン
グパワーとの関係であるタイヤ特性が線型領域にあるか
非線型領域にあるかを問わず、次式(以下、横すべり運
動方程式という)で表されることが既に知られている。 Gy =vy ′+V・γ ただし、ここにおいて「vy ′」は、横方向速度vy
時間微分値を意味し、「γ」は車体のヨーレート(時計
方向が正)を意味する。この横すべり運動方程式を前記
式を用いて変形すれば次式が得られる。 β′=Gy /V−γ ただし、ここにおいて「β′」は、車体横すべり角βの
時間微分値、すなわち、本発明における「車両重心点の
車体横すべり角変化速度」を意味する。
【0010】これらの事情に鑑み、本発明に係る車両運
動制御装置においては、横加速度Gy を車速Vで割った
値からヨーレートγを差し引いた値である車体横すべり
角変化速度β′に基づいてヨーイングモーメントが制御
される。例えば、前述の駆動・制動力左右差制御,舵角
制御,駆動・制動力前後配分制御等を用いて、車体横す
べり角変化速度β′の絶対値が減少するようにヨーイン
グモーメントが制御されるのである。
【0011】
【発明の効果】このように、本発明によれば、車両の実
際のヨーイング運動状態量が車体横すべり角変化速度と
して検出され、その車体横すべり角変化速度は安価でか
つ信頼性が高い横加速度センサ,車速センサおよびヨー
レートセンサを用いて検出できるため、車両運動制御装
置を安価でかつ信頼性の高いものとすることができると
いう効果が得られる。
【0012】さらに、本発明によれば、それらセンサか
らの出力信号を時間に関して微分することなく車体横す
べり角変化速度を検出することができるため、出力信号
のノイズの影響をそれほど強く受けることなく車体横す
べり角変化速度を正確に検出することができるという効
果も得られる。
【0013】さらに、本発明によれば、車両の横すべり
運動方程式はタイヤ特性が線型領域にあるか非線型領域
にあるかを問わず成立するという事実を利用して車体横
すべり角変化速度が検出されるため、実際のタイヤ特性
が線型領域にあるか非線型領域にあるかを問わずヨーイ
ング運動を適正に制御することができるという効果も得
られる。
【0014】さらに、本発明によれば、ヨーイング運動
状態量が前記出願明細書に記載の車両運動制御装置のよ
うに車体横すべり角として検出されるのではなく、車体
横すべり角変化速度として検出されるため、ヨーイング
運動状態量の変化を素早く検出することができ、ひいて
は、ヨーイング運動状態量の変化に対する制御応答性を
容易に早めることができるという効果も得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例であるブレーキシス
テムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】本ブレーキシステム8は、図3に示すよう
に、左右の前輪10と左右の後輪12とを備えた車両に
設けられている。前輪10は、図示しないステアリング
ホイールの操作に応じて変向させられ、後輪12は図示
しないエンジンおよびトランスミッションによって駆動
される。この車両は後輪舵角制御が可能とされており、
後輪舵角を変化させる後輪アクチュエータ20とそれを
制御する後輪舵角コントローラ22とが設けられてい
る。後輪舵角コントローラ22は、車両重心点における
車体横すべり角βが常に実質的に0となるようにするた
めに、後輪アクチュエータ20を介して後輪舵角を制御
するものであるが、これについては周知であり、また、
本発明を理解する上で不可欠なものではないため、詳細
な説明は省略する。
【0017】本ブレーキシステム8の構成を図4に基づ
いて説明する。本ブレーキシステム8は、左右前輪10
(図において「FL」と「FR」とで示す)および左右
後輪12(図において「RL」と「RR」とで示す」の
それぞれに設けられた各ブレーキ30にブレーキ圧を電
気・マニュアル二系統式で発生させるものであって、常
には電気的液圧発生装置38により電気的にブレーキ圧
を発生させるが、それが異常となればマスタシリンダ4
2により機械的にブレーキ圧を発生させるものである。
【0018】電気的液圧発生装置38は、各ブレーキ3
0の圧力を各圧力センサ46を介して監視しつつ、アキ
ュムレータ54に蓄えられている高圧のブレーキ圧を各
ブレーキ30ごとの電磁式比例制御弁(以下、単に制御
弁という)58を介して制御する。各制御弁58は後述
のブレーキコントローラによって制御される。アキュム
レータ54にはそれの圧力に応じて作動する圧力スイッ
チ59が設けられており、これからの電気信号に基づい
てポンプIC60がポンプ61を制御することによっ
て、アキュムレータ54に常に一定範囲でブレーキ圧が
蓄えられるようになっている。
【0019】電気系統とマニュアル系統との択一は複数
の電磁式方向切換弁(以下、単に切換弁という)62,
64により行われる。具体的には、それら切換弁62,
64は常には図示の原位置にあってマスタシリンダ42
を各ブレーキ30に連通させるが、電気系統を有効とす
る必要がある場合には、それら切換弁62,64が一斉
に励磁されて各ブレーキ30をマスタシリンダ42から
遮断して各制御弁58に連通させ、一方、電気系統に異
常が生じたために電気系統を無効としてマニュアル系統
を有効とする必要がある場合には、それら切換弁62,
64が一斉に消磁されて原状態に復帰させる。それら切
換弁62および64も後述のブレーキコントローラによ
り制御される。
【0020】なお、電気系統が有効とされる場合には、
マスタシリンダ42が各切換弁62により各ストローク
シミュレータ70に連通させられる。各ストロークシミ
ュレータ70はマスタシリンダ42から排出されたブレ
ーキ液を圧力下に吸収することにより、ブレーキペダル
34のストローク感を擬似的に発生させるものである。
【0021】また、マスタシリンダ42は互いに独立し
た2個の加圧室を直列に備えたタンデム式であり、一方
の加圧室に発生したブレーキ圧は左右前輪10の各ブレ
ーキ30に、他方の加圧室に発生したブレーキ圧は左右
後輪12の各ブレーキ30にそれぞれ伝達されるように
なっている。また、後輪側のブレーキ系統には、切換弁
62と64との間においてプロポーショニングバルブ7
4が接続されている。
【0022】ブレーキコントローラ80は、CPU9
0,ROM92,RAM94,バス96,入力部98お
よび出力部100を含むコンピュータを主体として構成
されている。その入力部98には、ブレーキペダル34
の踏力Fを検出する踏力センサ104,ブレーキペダル
34の踏込みを検出するブレーキスイッチ106,前記
各圧力センサ46,各車輪10,12の車輪速度を検出
する車輪速度センサ110,車両重心点における横加速
度Gy を検出する横加速度センサ112,車速Vを検出
する車速センサ114,車体のヨーレートγを検出する
ヨーレートセンサ116等が接続されている。一方、出
力部100には、前記制御弁58,切換弁62および6
4が接続されている。
【0023】なお、図5に示すように、横加速度センサ
112は、左方向を正、右方向を負として横加速度Gy
を検出するものとされ、ヨーレートセンサ116は、時
計方向を正、反時計方向を負としてヨーレートγを検出
するものとされている。
【0024】ROM92には、図2のフローチャートで
表されるブレーキ制御ルーチンを始めとする各種プログ
ラムが記憶されており、CPU90がこのブレーキ制御
ルーチンを定期的に実行することによって、各車輪1
0,12のブレーキ圧を制御する。なお、同図のフロー
チャートは、全車輪10,12に共通の1個のブレーキ
制御ルーチンの一回の実行によって全車輪10,12の
ブレーキ圧が同時に制御されるかのように表されている
が、これはフローチャートを簡略化するためにそのよう
にしたのに過ぎないのであって、実際には、各車輪1
0,12ごとにブレーキ制御ルーチンが用意されてい
て、CPU90が各車輪10,12ごとのブレーキ制御
ルーチンを順に実行することによって、各車輪10,1
2のブレーキ圧が順に制御されるようになっている。し
かし、本ブレーキ制御ルーチンの以下の説明は、その簡
略化されたフローチャートに従って行うこととする。
【0025】本ブレーキ制御ルーチンは、概略的に説明
すれば、各車輪10,12のブレーキ圧を各車輪10,
12に過大なスリップが発生しないように制御しつつ、
踏力Fと車体横すべり角β(時計方向が正、反時計方向
が負。図5参照)の時間微分値である車体横すべり角変
化速度β′とに基づいて各ブレーキ圧を制御するもので
ある。各車輪10,12の実際のスリップ率は常に、μ
−S曲線のピーク点より左側の安定領域に保たれるよう
になっているのである。
【0026】ところで、本ブレーキシステム8が設けら
れている車両は後輪舵角コントローラ22により後輪舵
角制御が可能とされているため、この車両は本来であれ
ば、車体横すべり角βが0から大きく逸脱することも急
変することもないはずである。後輪舵角制御は、後輪1
2の車輪すべり角(以下、単に後輪すべり角という)の
増加につれて後輪12のコーナリングパワーも増加する
という事実に基づいて後輪舵角を制御する。しかし、そ
のような関係は後輪すべり角全域において成立するもの
ではなく、後輪すべり角が小さい領域にしか成立せず、
後輪すべり角がある程度大きくなるとコーナリングパワ
ーはほとんど増加しなくなり、さらに大きくなると減少
してしまう。そのため、後輪舵角制御単独では、後輪す
べり角が大きい領域で車両のヨーイング運動を十分には
適正に制御することができない。
【0027】このような事情に鑑み、本実施例において
は、後輪舵角制御が限界に達して車両のヨーイング運動
を十分には適正に制御することができない状態では左右
後輪12の制動力を左右で異ならせることによってヨー
イング運動を適正に制御することを目的として、後輪舵
角制御が限界に達したか否かを、車体横すべり角変化速
度β′の絶対値がしきい値β′0 (>0)以上となった
か否かを判定することによって間接に判定し、限界に達
した場合には、後輪舵角制御に加えて、左右後輪12の
制動力に左右差を発生させる制動力左右差制御を行うこ
とにより、車体横すべり角βの絶対値の急変を防止して
車両のヨーイング運動を適正に制御する。後輪舵角制御
で抑制することができなった過大なヨーイング運動を、
それとは逆向きに左右後輪12の制動力の左右差によっ
てヨーイングモーメントを発生させることによって抑制
し、これにより後輪舵角制御を補完して車両のヨーイン
グ運動を常に適正とするのである。
【0028】なお、後輪舵角制御が限界に達しない状態
でも、車体横すべり角変化速度β′がしきい値β′0
上となる場合があり得る。例えば、後輪舵角コントロー
ラ22等が故障した場合や、故障してはいないがステア
リングホイールの操舵速度がその後輪舵角制御の能力と
の関係において素早すぎる場合などがそうである。そし
て、本実施例においては、この場合にも同様に制動力左
右差制御が行われて車体横すべり角βの急変が防止され
る。
【0029】すなわち、本実施例においては、各後輪1
2と路面との間に発生する駆動力と制動力とのうち制動
力のみを制御する制動力左右差制御を前記駆動・制動力
左右差制御の一例として用いてヨーイングモーメントが
制御されるようになっているのである。
【0030】本ブレーキ制御ルーチンを図2に基づいて
詳細に説明する。本ルーチンの各回の実行時にはまず、
ステップS1(以下、単にS1という。他のステップに
ついても同じとする)において、ブレーキスイッチ10
6,車輪速度センサ112等からの電気信号に基づいて
スリップ制御(すなわち、各車輪10,12の実際のス
リップ率を適正範囲に維持する制御)が必要であるか否
かが判定される。今回はその必要がないと仮定すれば、
判定がNOとなって、S2において踏力センサ104か
ら踏力Fが読み込まれ、S3において横加速度センサ1
12,車速センサ114およびヨーレートセンサ116
からそれぞれ横加速度Gy ,車速Vおよびヨーレートγ
が読み込まれ、続いて、S4において、車体横すべり角
変化速度β′のしきい値β′0 (>0)と後述の比例係
数K(>0)とがそれぞれ、車速Vに応じて決定され
る。なお、それらしきい値β′0 および比例係数Kの各
々と車速Vとの関係は予めROM92に記憶されてい
る。
【0031】その後、S5において、横加速度Gy を車
速Vで割った値からヨーレートγを差し引くことによっ
て車体横すべり角変化速度β′が算出され、S6におい
て、それの絶対値がしきい値β′0 以上であるか否かが
判定される。今回はそうでないと仮定すれば、判定がN
Oとなり、S7において、左後輪12のブレーキ圧の増
分ΔPRLも右後輪12のブレーキ圧の増分ΔPRRも0と
される。続いて、S8において、前記踏力Fに応じて各
車輪10,12のブレーキ圧の目標値Pが算出され、左
右前輪10の各々についてはそれがそのまま最終的な目
標ブレーキ圧とされるが、左右後輪12の各々について
は、その算出された目標値Pと増分ΔPRLおよびΔPRR
の各々との和が最終的な目標ブレーキ圧とされる。本ス
テップにおいては、さらに、各車輪10,12の目標ブ
レーキ圧が実現されるように各制御弁58に対して電気
信号が出力される。今回は、増分ΔPRLもΔPRRも0で
あるから、結局、踏力Fのみに応じた高さのブレーキ圧
が発生させられることになる。以上で本ルーチンの一回
の実行が終了する。
【0032】これに対して、今回は、車両駆動時に路面
の摩擦係数との関係において過大な駆動力が車輪10,
12に作用させられているか、または、車両制動時に路
面の摩擦係数との関係において過大な制動力が車輪1
0,12に作用させられている場合であると仮定すれ
ば、S1において車輪10,12のスリップ制御を行う
必要があると判定されて本ステップの判定がYESとな
り、今回は、S2以下のステップが実行される代わり
に、S9において、該当する車輪10,12に対してス
リップ制御が行われる。本ルーチンは定期的に実行され
るから、結局、4個の車輪10,12すべては常に、実
際のスリップ率が適正範囲に維持されることになる。
【0033】また、今回は、スリップ制御は必要でない
が、車体横すべり角変化速度β′の絶対値がしきい値
β′0 以上である場合であると仮定すると、S1の判定
がNOとなり、S6の判定がYESとなって、S10に
おいて、車体横すべり角変化速度β′が0より大きいか
否か、すなわち、正の値であるか否かが判定される。今
回はそうであると仮定すれば、判定がYESとなり、S
11において、各後輪12の増分ΔPRL,ΔPRRがそれ
ぞれ決定される。今回は車体横すべり角変化速度β′が
正の値であると仮定されており、これは、現在、実際の
ヨーイングモーメントが時計方向に急増していることを
意味するから、制動力の左右差(これは結局、左右後輪
12の車輪前後力の左右差を意味する)によって反時計
方向のヨーイングモーメントを発生させることが必要で
ある。そのため、左後輪12のΔPRLは、車体横すべり
角変化速度β′からしきい値β′0 を差し引いた値と前
記比例係数Kとの積として算出され、一方、右後輪12
の増分ΔPRRは0とされる。その後、S8に移行する。
実際のヨーイングモーメントが時計方向に急増している
場合には、例えば、図5に示すように、左後輪12の車
輪前後力の方が右後輪12の車輪前後力より増分ΔPRL
に基づく力だけ、車両進行方向とは逆向きに大きくされ
ることになる。
【0034】これに対して、今回は、車体横すべり角変
化速度β′が負の値である場合であると仮定すれば、S
10の判定がNOとなり、S12において、上記の場合
とは逆に、制動力の左右差によって時計方向のヨーイン
グモーメントを発生させるべく、左後輪12の増分ΔP
RLは0、右後輪12の増分ΔPRRは、車体横すべり角変
化速度β′(ただし、符号を反転させる)からしきい値
β′0 を差し引いた値と前記比例係数Kとの積とされ
る。その後、S8に移行する。
【0035】なお、本実施例においては、各車輪10,
12の実際のスリップ率が常に安定領域にあるように制
御されるから、各車輪10,12のブレーキ圧が増加す
れば各車輪10,12の制動力も増加することが保証さ
れ、ひいては、過大なヨーイング運動を抑制するヨーイ
ングモーメントの発生が保証される。
【0036】ただし、そのようなヨーイングモーメント
を発生させるべくブレーキ圧を高めた結果各車輪10,
12に過大なスリップが発生する可能性が発生すれば、
S9のスリップ制御によってそのブレーキ圧の増加は抑
制されるため、この場合には、過大なヨーイング運動を
抑制するのに適当なヨーイングモーメントは発生しな
い。
【0037】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、車体横すべり角βが急変する傾向が現れた
ならば、それが抑制されるように左右後輪12の制動力
の左右差が制御されるから、車体横すべり角βの急変が
抑制され、スピンまたはドリフトアウトの発生が抑制さ
れ、これにより、車両の走行安定性の低下が抑制される
とともに車両旋回中にドライバが不安感を抱くことを回
避することができる。
【0038】制動力左右差制御は後輪舵角制御と共にで
はなく単独で行うことによって本発明を実施することは
可能なのであるが、本実施例においては、制動力左右差
制御を後輪舵角制御と共に行うことによって後輪舵角制
御を補完するようになっている。そのため、本実施例に
おいては、後輪舵角制御なしで制動力左右差制御を行う
場合ほど頻繁には制動力左右差制御が行われずに済み、
ブレーキ30の早期摩耗を心配せずに済むという特有の
効果が得られる。
【0039】さらに、本実施例においては、左右後輪1
2の一方の制動力を通常値より増加させることによって
上記適当なヨーイングモーメントを発生させるようにな
っているため、その制動力の増加に付随して車速Vが減
少することとなって、ブレーキ操作なしで車両走行状態
が安定側に移行させられるという特有の効果も得られ
る。
【0040】さらに、本実施例においては、制動力左右
差制御のためのブレーキ圧制御が電気的に行われ、しか
も、制動力左右差制御に基づくブレーキ圧とブレーキペ
ダル34の踏込みに基づくブレーキ圧(すなわち、ドラ
イバの意思に基づくブレーキ圧)とが加算されて実現さ
れるようになっている。そのため、制動力左右差制御中
にブレーキ操作に基づく制動を支障なく行うことも、逆
にブレーキ操作に基づく制動中に制動力左右差制御を支
障なく行うことも可能であるという特有の効果も得られ
る。
【0041】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、ブレーキコントローラ80のうち、図2の
ブレーキ制御ルーチンのうち特にS3〜S6,S8,S
10およびS11を実行する部分が本発明における「ヨ
ーイングモーメント制御手段」の一態様を構成している
のである。
【0042】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、その他の態様で本発明を実施するこ
とができる。
【0043】例えば、上記実施例においては、左右後輪
12の一方のみのブレーキ圧が通常値より増加させられ
ることによって適当なヨーイングモーメントを発生させ
るようになっていたが、例えば、左右後輪12の双方の
ブレーキ圧を通常値より、互いに逆向きに同量ずつ変化
させることによって適当なヨーイングモーメントを発生
させるようにすることもできる。
【0044】さらに、上記実施例においては、左右後輪
12において制動力の左右差を発生させることによって
適当なヨーイングモーメントを発生させるようになって
いたが、例えば、左右前輪10において制動力の左右差
を発生させることによって適当なヨーイングモーメント
を発生させることもできる。
【0045】さらに、上記実施例においては、駆動輪で
ある左右後輪12の制動力の左右差制御によって適当な
ヨーイングモーメントを発生させるようになっていた
が、例えば、駆動力の左右差制御によって、またはそれ
と制動力の左右差制御との共同によって適当なヨーイン
グモーメントを発生させることもできる。
【0046】また、上記実施例においては、常にはブレ
ーキ圧が電気的に発生させられるようになっていたが、
例えば、常にはブレーキ圧をマスタシリンダ42によっ
て発生させ、制動力左右差制御を行うことが必要である
場合に限って、ブレーキ圧を電気的に発生させるように
することもできる。
【0047】また、上記実施例においては、車体横すべ
り角変化速度β′と車速Vとに基づいてヨーイングモー
メントが制御されるようになっていたが、その他のパラ
メータ、すなわち、例えば、車体横すべり角β(例え
ば、車体横すべり角変化速度β′を積分して得る)にも
基づいてヨーイングモーメントを制御することもでき
る。
【0048】さらに、上記実施例においては、ヨーレー
トγの検出に専用のヨーレートセンサ116が設けられ
ていたが、例えば、左右前輪10の車輪速度センサ11
0を流用してそれらの車輪速度差を用いてヨーレートγ
を間接に検出することも可能である。このことは車速セ
ンサ114についても同様であり、例えば、複数の車輪
速度センサ110を流用してそれらの車輪速度を用いて
車速Vを推定することによって間接に検出することも可
能である。
【0049】これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱す
ることなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良
を施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を概念的に示すブロック図であ
る。
【図2】本発明の一実施例であるブレーキシステムが用
いるブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図3】上記ブレーキシステムが設けられている車両の
構成を概念的に示す平面図である。
【図4】上記ブレーキシステムの構成を示すシステム図
である。
【図5】横加速度Gy ,車速V,ヨーレートγおよび車
体横すべり角β相互の関係を説明するための図である。
【符号の説明】
8 ブレーキシステム 80 ブレーキコントローラ 112 横加速度センサ 114 車速センサ 116 ヨーレートセンサ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体の走行速度を検出する車速センサ
    と、 車両重心点の車両横方向における加速度を検出する横加
    速度センサと、 車体のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、 検出横加速度を検出車速で割った値から検出ヨーレート
    を差し引いた値である車両重心点の車体横すべり角変化
    速度に基づき、車両のヨーイングモーメントを制御する
    ヨーイングモーメント制御手段とを含むことを特徴とす
    る車両運動制御装置。
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