JPH0522016A - 低サイドローブ反射鏡アンテナ及びホーンアンテナ - Google Patents

低サイドローブ反射鏡アンテナ及びホーンアンテナ

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JPH0522016A
JPH0522016A JP3168556A JP16855691A JPH0522016A JP H0522016 A JPH0522016 A JP H0522016A JP 3168556 A JP3168556 A JP 3168556A JP 16855691 A JP16855691 A JP 16855691A JP H0522016 A JPH0522016 A JP H0522016A
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waveguide
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coaxial
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裕樹 庄木
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 広い周波数帯域にわたって十分な低サイドロ
ーブ化を達成し、しかもアンテナの効率が下がり利得を
低くすることがない低サイドローブ反射鏡アンテナを提
供する。 【構成】 反射鏡1と、複数の一次放射素子11〜13
と、一次放射素子に電波を分配または一次放射素子から
の電波を合成する給電系を有する低サイドローブ反射鏡
アンテナにおいて、給電系に設けられ、動作帯域内の低
い周波数よりも高い周波数において結合ポートにあらわ
れる分配比が小さくなる電力分配器を具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数のアンテナ素子に
より構成される一次放射器を有する低サイドローブ反射
鏡アンテナ及び円形導波管を接続したホーンアンテナに
関する。
【0002】
【従来の技術】衛星搭載用や地上局用の反射鏡アンテナ
に要求される電気特性の中で、メインビームの方向以外
には他の通信等の妨害となる電波を放射しないように低
サイドローブの放射指向性をもつことが重要である。反
射鏡アンテナの低サイドローブ化の方法としては、次の
ような方法が考えられる。
【0003】(1)鏡面を修整することにより低サイド
ローブ放射指向性を実現するような開口面分布をつく
る。
【0004】(2)複数の一次放射素子によりビームを
形成し、各一次放射素子の励振ウェイトを最適に設定す
ることにより、低サイドローブ化をはかる。
【0005】衛星搭載用のマルチビームアンテナでは、
ひとつの反射鏡で複数のビームを放射しなければならな
いので鏡面修整の方法は使えない。従って、(2)の方
法がとられている。この方法は、一次放射素子の配置や
励振ウェイトの設定の仕方により、所望の方向に対して
所望のレベルの低サイドローブ化が行える利点を有して
いる。
【0006】しかし、この方法は広い周波数帯域にわた
って低いサイドローブレベルを維持しようとする場合に
問題が生じてくる。これは、一次放射素子、反射鏡から
の放射特性とも周波数特性を有しているためであり、帯
域の中心周波数で放射素子のウェイトを最適に設定して
も帯域の端では要求特性を満足するとは限らないからで
ある。この問題を解決するためには、全帯域を考えた励
振ウェイトの最適化を行う必要があるが、この場合には
ある周波数では必要以上にサイドローブレベルが低くな
る場合があり、このときには利得が低下するなど他の電
気特性に影響を与えることになる。
【0007】この問題点を具体的に示すために、図1に
示すような反射鏡アンテナを考える。ここで一次放射素
子としてホーンアンテナ11,12,13を考え、x−
z面内に一列に並んでいると仮定する。これらのホーン
アンテナは導波管により14のBFN(ビーム形成回
路)に接続され、各ホーンへの電力の分配・合成が行わ
れる。図2に示すように、BFNは移相器15,16,
17と電力分配器18,19により構成され、移相器の
位相量、電力分配器の分配比などを設定することにより
各ホーンアンテナへ所望の励振分布を実現できる。
【0008】さて、このような構成の反射鏡アンテナに
おいてx−z面内の放射指向性の低サイドローブ化をは
かることを考える。一般的に考えて、各ホーンアンテナ
からの合成一次放射パターンの反射鏡に対するエッヂレ
ベルがある値以下であればその面内において低サイドロ
ーブ化が実現される。例えば、いま、あるサイドローブ
レベルを実現するために図3のパターンAに示すように
エッヂレベルを−a(dB)にする必要があるとする。
もし、単一周波数でアンテナを動作させるのであればホ
ーンアンテナの合成放射指向性がこのようなエッヂレベ
ルをもつように各ウェイトを設定すればよい。
【0009】しかし、帯域幅が広くウェイトが周波数に
対して変わらないものとすると、周波数が高くなるとパ
ターンはBのようにビームが細くなる傾向に、周波数が
低くなるとパターンはCのようにビームが広くなる傾向
に変化していく。これは、周波数が低くなることによ
り、一次放射器全体の大きさが波長を単位とした場合に
小さく見えてビームが広がっていくためである。従っ
て、この場合には周波数が低くなると要求するサイドロ
ーブレベルを達成できないことになる。この問題を解決
するひとつの方法として、低い周波数においてエッヂレ
ベルが−aとなるようにウェイトを設定する方法が考え
られるが、この場合には低い周波数では最適のパターン
が得られ、高い周波数でも十分なサイドローブレベルが
実現できるが、高い周波数帯ではエッヂレベルがつきす
ぎているためアンテナの効率が低くなり利得が下がって
しまう欠点がある。
【0010】また、一般にホーンアンテナは、マイクロ
ストリップアンテナなどに比較してアンテナ効率が高
く、また帯域も広くとれることが特徴であり、反射鏡ア
ンテナの一次放射器やアレーアンテナの素子アンテナな
どに広く利用されている。
【0011】ホーンアンテナの給電方法としては、図1
9に示すように同軸線路から導波管へのモード変換によ
り給電を行うのが一般的である。ここで91はホーンフ
レア部、92は円形導波管であり、中心軸に対して軸対
称構造である。また、94はコネクタ、93はプローブ
である。これと同様なものとして図20のような構成の
給電方法がある。ここでは、円形導波管92の後ろに円
形−矩形導波管変換器95を接続し、プローブ97を矩
形導波管96の中に設ける。この同軸−導波管変換を用
いた給電はホーンアンテナを単体で利用する場合には簡
単で良い方法であるように考えられるが、ここで整合性
の良い同軸−導波管変換器を構成するためにはプローブ
の形状を複雑にしたり、プローブのまわりを誘電体で覆
う等の必要があり、同軸−導波管変換器の構成が複雑に
なってしまう。
【0012】次に、円偏波化を行おうとした場合につい
て考える。この場合、円形導波管の内部に誘電体板を挿
入したり、円形導波管の内径を直交面で変えたりして構
成される円偏波器を接続して円偏波化するのが一般的な
方法である。しかし、この場合ホーンアンテナが長くな
ってしまう欠点がある。円偏波化の方法として、直交す
るプローブにより直交する偏波成分を取り出しアンテナ
とは別個の給電系により円偏波を合成する方法もある
が、この場合アンテナ全体が複雑になってしまう欠点が
ある。
【0013】次に、アレー化した場合の問題点について
考える。ホーンアンテナをアレーアンテナ素子やクラス
ター型一次放射器などとして用いる場合には、給電系の
電力損失を小さくし所望の励振条件を実現するために導
波管系で構成される給電回路を用いることが必要であ
る。しかし、電力分配器や移相器等の導波管系のコンポ
ーネントは大きなものになってしまい、給電系の構成が
複雑になり重量も大きなものになってしまう。また、ア
レー化においてグレーティングローブを出さず利得を高
くするためには素子間隔を1波長以下の値に設定する必
要があるが、この場合の給電系を非常に密に配置するこ
とになり、給電系の構成が機械的に困難になってしま
う。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の低サイドローブ反射鏡アンテナは、広い帯域にわた
って低サイドローブ化を行うことが困難であったり、低
サイドローブ化が達成されても帯域内の周波数によって
はアンテナ効率が下がり利得が低くなる等の問題点があ
った。
【0015】また、従来のホーンアンテナでは、同軸−
導波管変換器を用いる給電の場合には整合性を良くする
ためにプローブの構成が複雑になる問題があった。ま
た、アレー化、円偏波化等の場合に給電系が大きくなっ
てしまい、機械的に複雑なものになることが多いという
問題があった。
【0016】本発明は、広い周波数帯域にわたって十分
な低サイドローブ化を達成し、しかもアンテナの効率が
下がり利得を低くすることがない低サイドローブ反射鏡
を提供することを目的とする。
【0017】また、本発明は、アンテナ励振において整
合のとりやすく、アレー化、クラスター化等の場合にも
給電系が容易かつコンパクトに構成できるホーンアンテ
ナを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決する本
発明の低サイドローブ反射鏡アンテナは、反射鏡と、複
数の一次放射素子と、前記各一次放射素子に電波を分配
または前記各一次放射素子からの電波を合成する給電系
とを有する低サイドローブ反射鏡アンテナにおいて、前
記給電系は、前記複数の一次放射素子のうち中央部の一
次放射素子側に接続された通過ポートと、前記複数の一
次放射素子のうち周辺部の一次放射素子側と接続された
結合ポートとを備えた電力分配器を有し、前記電力分配
器は、動作周波数帯の低い周波数帯から高い周波数にな
るに連れて、前記結合ポートに比べ、前記通過ポートへ
分配する電力の割合を小さくすることを特徴とする低サ
イドローブ反射鏡アンテナである。
【0019】請求項2の本発明によるホーンアンテナ
は、円形導波管と、前記円形導波管に設けられる同軸導
波管と、前記同軸導波管に設けられ、トリプレートライ
ンもしくはサスペンデットラインにより構成される平面
型給電回路と、前記同軸導波管内に電気的に露出するよ
うに、前記平面型給電回路に形成される励振部と、を具
備することを特徴とするホーンアンテナである。
【0020】請求項3の本発明によるホーンアンテナ
は、前記励振部を前記平面型給電回路の中に2カ所設
け、前記二つの励振部が互いに直交する偏波成分を前記
同軸導波管内に励振し、その励振位相の差が90度にな
るように給電されることを特徴とする。
【0021】
【作用】本発明の低サイドローブ反射鏡アンテナでは、
一次放射器の合成放射指向性が周波数帯域にわたって最
適のエッヂレベルを有し、アンテナ効率の高いパターン
を維持できる。従って、反射鏡からの2次放射指向性が
帯域全体にわたって所望のサイドローブレベルを維持
し、メインビームの利得も高いままで維持できる。
【0022】また、本発明のホーンアンテナでは、トリ
プレートラインもしくはサスペンデットラインにより構
成される平面型給電回路を同軸導波管内にその一部が電
気的に露出させることにより、露出した部分が励振源と
なり同軸導波管内に電波を放射する。この電波は同軸導
波管から円形導波管へ、同軸導波管の伝搬モードから円
形導波管の伝搬モードに変換されて伝達され、ホーンア
ンテナ開口面から電波を放射する。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0024】図1に本発明による低サイドローブ反射鏡
アンテナの一実施例を示す。ここで一次放射素子として
ホーンアンテナ11,12,13を用い、反射鏡1を介
して電波の送受信を行う。ホーンアンテナ11,12,
13はx−z面内に一列に並んでおり、これらのホーン
アンテナ11,12,13は、導波管10によりBFN
(ビーム形成回路)14に接続され、各ホーンへの電力
の分配・合成が行われる。BFN14の詳細について図
2に示す。BFN14は、移相器15,16,17と電
力分配器18,19により構成され、移相器15,1
6,17の位相量、電力分配器18,19の分配比など
を設定することにより各ホーンアンテナへ所望の励振分
布を実現できる。
【0025】ここで、移相器15,16,17の方式と
しては、導波管の長さの差により位相差をつくる方式、
導波管のサイズを変えることにより管内波長を変え位相
差をつくる方式、導波管に金属片を挿入することにより
位相差をつくる方式などいろいろな方式が利用できる。
【0026】本実施例においては、電力分配器18,1
9として、図4に示すようなマルチスロット型電力分配
器を用いる。図4はマルチスロット型電力分配器の斜視
図であり、その内部の様子についてわかるように示して
ある。マルチスロット型電力分配器は、導波管の壁面に
スロット24を複数個設け、このスロット24を介して
主導波管21から結合導波管22へ結合させる方式であ
る。
【0027】スロット24は、導波管の管内波長の1/
4の間隔で並べられ電波が一方向(結合ポート26、通
過ポート27の方向)にだけ伝搬するようにしている。
ただし、結合導波管22において逆方向に若干の電波が
伝搬するため、この影響を除外するため無反射終端23
を設ける。
【0028】ここで、図2において電力分配器18、1
9の結合ポートは外側のホーンアンテナ11、12に接
続され、通過ポートは中央のホーンアンテナ12に接続
される。
【0029】図5にマルチスロット型電力分配器の結合
特性の実測例を示す。ここで、結合ポート26への結合
量が周波数とともに小さくなり、周波数faからfbに
おいて約1dB程度結合量が小さくなっている。また、
図6に同じマルチスロット型電力分配器の入力ポート2
5からみた反射特性の実測例を示す。周波数faからf
bにかけて−30dB以下の反射損であり、動作周波数
で良好な反射特性を実現している。
【0030】図5と図6からわかるように、マルチスロ
ット型電力分配器では、動作に有効な周波数領域におい
て周波数の増加に対して結合ポートへの結合量が小さく
なるような特性をもたせることが可能である。このよう
なマルチスロット型電力分配器を図2に示したようなB
FN14に用いることで、帯域内の周波数の低い領域で
一次放射素子としての外側のホーンアンテナ11,13
に分配される電力比が大きくなり、周波数が高い領域で
逆に外側のホーンアンテナ11,13に分配される電力
比を小さくするような励振ウェイトを設定できる。
【0031】この結果、ホーンアンテナ11,12,1
3の合成放射指向性が、図3のパターンBに示すような
最適のエッヂレベルをもつパターンを帯域内の周波数で
は維持できるようになる。これは、周波数が高いときに
は、一次放射素子が波長に比べ大きく見えるので外側の
ホーンアンテナ11,13の励振振幅を小さくしビーム
を広げ、周波数が低いときには一次放射素子が波長に比
べ小さく見えるので外側のホーンアンテナ11,13の
励振振幅を大きくしてビームを絞るようにすることがで
きるためである。従って、本実施例の構成により、比較
的広い帯域にわたって所望のサイドローブ特性をもつ放
射指向性を維持でき、アンテナ効率も低くなることのな
い低サイドローブ反射鏡アンテナを実現できる。
【0032】なお、上記実施例で用いたマルチスロット
型電力分配器は、スロット24の数及び幅を調整するこ
とにより自由に結合特性を変化させることができ、様々
な要求に対して対応でき有効である。また、マルチスロ
ット型電力分配器は、スロット24ひとつあたりの結合
量が他の方式の電力分配器に比較して大きく、この結
果、電力分配器の大きさを小さくすることができる。こ
れはBFN14の大きさ、重量の低減につながり衛星搭
載用のアンテナなどに対して非常に有効である。
【0033】本発明の実施例では、導波管のH面にスロ
ットを設けたマルチスロット型電力分配器について示し
たが、この代りにE面にスロットを設けた方式を用いて
も同様の効果が期待できる。また、この実施例では1つ
のポートから2つのポートへの分配を行う2電力分配器
を2段にしてBFN14を構成したが、図7に示すよう
に3電力分配器29を用いて構成することができる。こ
の場合、主導波管21の上下に結合導波管22を設け、
各々にスロット24を介して結合させることにより一体
化でき、BFN14全体の大きさ及び重量をさらに低減
できる。
【0034】以上の説明において、電力分配器18,1
9としてマルチスロット型電力分配器を例にあげて説明
したが、この方式でなくとも動作帯域の中で周波数の増
加に対して結合量が小さくなる特性を有するものであれ
ば全く同様の効果が得られる。例えば、一次放射器系全
体を平面回路で構成した場合にマイクロストリップ線路
による分配器が利用でき、その一例としてブランチライ
ン型ハイブリッド結合器を図8に示す。この結合の特性
はよく知られており図9に示すようになる。
【0035】ここで、中心周波数よりも低い周波数領域
では、通過ポート出力に比較した結合ポート出力が周波
数の減少とともに増加していく傾向にあり、この領域で
利用することにより本発明の給電回路の中で使用する電
力分配器として用いることができる。また、アンテナ素
子としてホーンアンテナを用いた場合について実施例の
説明を行ったが、マイクロストリップアンテナなど他の
アンテナ素子により一次放射器を構成しても本発明の効
果は変わらない。同様に、給電線路として導波管以外の
同軸線路、マイクロストリップ線路等を用いてもよい。
【0036】さらに、実施例の説明の中でアンテナ素子
の数については3個、配列の方向もx−z面内に一列と
したが、素子数と素子の並べ方について他の場合を考え
ても本発明の効果は同様である。また、反射鏡1からの
2次放射指向性においてある面内において低サイドロー
ブ化することを考えて説明してきたが、これを特定の領
域にのみ低サイドローブ化するような場合にも同様の効
果がある。
【0037】また、以上の説明で反射鏡アンテナとして
1枚反射鏡のアンテナを例にとり説明したが、この換わ
りにカセグレンアンテナやレゴリアンアンテナなど複数
の反射鏡をもつ反射鏡アンテナを用いても全く同様の効
果が得られる。
【0038】次に、本発明のホーンアンテナの実施例に
ついて説明する。
【0039】図10は本発明のホーンアンテナの構成を
示す断面図である。本ホーンアンテナは、上部よりホー
ンフレア31、円形導波管32、同軸導波管33、平面
型給電回路34、同軸導波管35、導体板36の順番で
接続されている。ここでホーンフレア31、円形導波管
32、同軸導波管33、同軸導波管35、導体板36は
全て中心軸A−Aに対して軸対称な構造である。
【0040】平面型給電回路34は、同軸導波管部33
と同軸導波管部35との間に設けられ、誘電体基板3
8,39により構成されている。誘電体基板38の上に
は導体膜のパターン40がエッチングにより形成されて
いる。導体膜のパターン40について誘電体基板39の
上から見た様子を示したものが図11である。
【0041】励振部41は、導体膜のパターン40によ
りトリプレートラインが形成されており、これはB点に
おいてコネクタ37と接続されている。このトリプレー
トラインは、その一部が部分Aにおいて同軸導波管3
3,35内に電気的に露出しており、この部分が励振部
41となり、同軸導波管33,35内に電波を放射させ
る。
【0042】ここで、トリプレートラインから同軸導波
管33,35への電波の伝達を良くするためにC点にお
いて観測される入力インピーダンスを線路のインピーダ
ンスと一致させる必要があるが、これは1/4波長変成
器42とスタブ43を用いることで容易になる。すなわ
ち、入力インピーダンスの抵抗成分に関しては1/4波
長変成器42の線路幅を調整し、リアクタンス成分に関
してはスタブ43の線路長を調整することにより容易に
整合性を良くすることができる。
【0043】同軸導波管33,35内に発生した電波を
同軸導波管の一方向へよく伝搬させるために、同軸導波
管35の終端に導体板36を設け電波を反射させる。同
軸導波管35の深さを管内波長の1/4程度に選ぶこと
により底面からの反射波は上部へ伝搬する電波と同相な
って伝搬していく。同軸導波管33,35を伝搬する電
波は円形導波管の伝搬モードで変換されて伝搬してい
き、ホーン開口から放射される。
【0044】同軸導波管33と同軸導波管35の外導体
内径および内導体外径は同一であり、同軸導波管の外導
体内径をa、内導体外径をbとする。ここで、同軸導波
管が基本モードであるTE11に対しては伝搬し、次の
高次のモードであるTE21モードに対してはカットオ
フになるようにa,bを設定する。すなわち、
【0045】
【数1】
【0046】の式が成立つようにa,bを設定する。
【0047】ここで、c=a/b,λ0 は電波の自由空
間波長、πは円周率である。xm1(m=1,2)は次の
ベッセル−ノイマン関数の微分方程式の最初の根であ
る。)
【0048】
【数2】
【0049】J´mはm次のベッセル関数の微分、N´
mはm次のノイマン関数の微分である。
【0050】このようにa,bを選ぶことにより、同軸
導波管33,35には基本モードを伝搬させ、TE21
モード以上の不要な高次モードの伝搬を防ぐことができ
る。例として、c=1.1の場合、0.17λ0 <a<
0.33λ0 とすればTE11モードが伝搬し、高次モ
ードは伝搬しない。同様な条件を円形導波管の場合にあ
てはめると0.29λ0 <半径<0.49λ0 となるの
で、同軸導波管33,35の場合には円形導波管に比較
して小さな径で基本モードを伝搬できることがわかる。
【0051】以上の説明からわかるように、本実施例の
ホーンアンテナにより給電系と一体化した構成が可能に
なり、同軸導波管および平面型給電回路を用いているこ
とによりアンテナ全体が非常にコンパクトになる。ま
た、励振点における整合が平面回路を用いていることで
容易に行える。さらに、トリプレート構造の給電回路を
用いていることによりMMICによるコンポーネントが
内装でき、アクティブアンテナとして非常に有効であ
る。
【0052】以上に示した実施例において、同軸導波管
と円形導波管の伝搬モードの特性インピーダンスが同じ
になるように導波管の大きさを設定すれば、整合良く電
波が伝搬していく。しかし、同軸導波管と円形導波管の
伝搬モードの特性インピーダンスは必ずしも同じにはで
きないので、この場合同軸導波管と円形導波管の接続点
で反射特性が悪くなる。以下に、この点の改善の方法に
ついて説明する。
【0053】図12に上記問題点を改善した本発明の実
施例を示す。
【0054】この実施例の特徴は、図10に示したホー
ンアンテナの円形導波管32と同軸導波管33の間に同
軸導波管テーパ部50を接続したことである。同軸導波
管テーパ部50は、同軸導波管33の特性インピーダン
スを円形導波管の特性インピーダンスへゆるやかに変換
していき、電波伝搬の整合性を良くするために設けてい
る。この場合、同軸導波管テーパ部50の代りに図13
に示すように同軸導波管変成器部51を設ける構成も考
えられる。同軸導波管変成器部51の長さを伝搬モード
の管内波長の1/4に選定し、その特性インピーダンス
Zrを次のようになるように外導体内径と内導体外径を
設定する。
【0055】
【数3】
【0056】ここでZCRは円形導波管32の特性インピ
ーダンス、Zcxは同軸導波管33の特性インピーダンス
である。こうすることにより、図12の構成の場合と同
様に電波伝搬の整合性が良くなる。
【0057】図12と図13に示した構成により、円形
導波管と同軸導波管の特性インピーダンスを一致させな
くても整合がとれるため同軸導波管の径を自由に設定で
き、その大きさをできるだけコンパクトな構造にするこ
とが可能である。
【0058】ここまでは直線偏波の励振の場合について
述べてきたが、励振部41の構造を変えることにより円
偏波の励振が容易に行える。以下にその場合の実施例に
ついて述べる。
【0059】円偏波化を行う場合には、図10の実施例
で示したホーンアンテナにおいて平面型給電回路34の
一部を変更するだけで容易に円偏波化が行える。図14
には、円偏波励振を行う場合の平面型給電回路34の構
成を示す。ここでは誘電体基板39の上に導体膜のパタ
ーン60がエッチングにより形成されておりトリプレー
トラインの給電回路となっている。ここで、励振部6
1,62が互いに垂直な位置関係にあり、90度ハイブ
リッドに接続され、90度の位相差により励振され円偏
波が放射できる。ここで給電点D,Fには互いに逆の円
偏波が生じ、右旋、左旋の円偏波が同時に送信もしくは
受信が行える。以上のような構成により左右の円偏波を
同時に送信もしくは受信できるアンテナが、平面の給電
回路の構成を若干変更するだけで容易に実現でき、しか
もコンパクトに形成できる。
【0060】次に、同軸導波管では径の大きさにかかわ
らず発生する可能性のあるTEMモードについて考え
る。
【0061】ここまでの説明では、TEMモードに関し
て特に議論していない。なぜなら、同軸導波管33,3
5内に仮にTEMモードが発生しても、円形導波管では
TEMモードは伝搬しないのでアンテナからの放射特性
に関してはあまり問題にならないからである。しかし、
場合によっては同軸導波管33,35内で共振現象が生
じて、アンテナ全体の特性に悪影響を及ぼすことが考え
られる。
【0062】図15に、TEMモードの発生を阻止する
ための平面型給電回路34の構成例を示す。ここでは誘
電体基板9上にエッチングされた導体膜のパターン65
を示す。励振部63,64がホーンアンテナの中心軸を
中心にして180度対称な位置にあり、各々180度ハ
イブリッドに接続されている。ここで点G,Hはコネク
タと接続され、点Gでは終端され、点Hは入出力ポート
となる。このような構成により、励振部63,64は互
いに逆相で励振されることになり、これからTE11モ
ードのみ同軸導波管内に励振される。TEMモードに対
しては二つの励振部からの励振が互いに打ち消すかたち
になるため、同軸導波管内には発生しない。このような
構成により、同軸導波管内にTEMモードが発生して、
アンテナ特性に悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0063】本発明のアンテナは以下のように構成を変
えても同様な効果が得られる。
【0064】図10では円錘ホーンアンテナの場合につ
いて示したが、ここでホーンフレア部にコルゲートホー
ンやステップホーンを用いてコルゲートモードやデュア
ルモードのホーンアンテナを構成することができる。こ
の場合、反射鏡アンテナとして効率の良い一次放射器が
構成できる。
【0065】また、平面型給電回路においては誘電体基
板による2層構造の例について示したが、ここで誘電体
基板の代わりにハニカムのサンドイッチ構造などを用い
ても良く、サスペンデットラインによる給電系を構成し
ても同様の効果が得られる。さらに、層の数を増やして
平面回路を多層に構成した複雑な給電回路を非常にコン
パクトにすることも容易に行え、MMICデバイスを組
み込み多機能のアンテナを構成することもできる。
【0066】次に、本発明のホーンアンテナをアレー化
した場合の実施例を示す。
【0067】図16には、本発明のホーンアンテナをア
レー化してその中の4素子(ホーンアンテナP,Q,
R,S)だけ取り出して上面より見た図を示す。図16
のA−Aの線においてアンテナを縦に切断した場合の断
面図を図17に示す。ここで素子アンテナであるホーン
アンテナP,Q,R,Sは、各々上部よりホーンフレア
71、円形導波管72、同軸導波管テーパ73、同軸導
波管74、平面型給電回路77、同軸導波管78、導体
板79の順番で接続されている。平面型給電回路77は
誘電体基板75,76を重ね合わせて構成され、これら
を固定するためにビス80を用いる。同軸導波管74,
78はTE11モードが伝搬し、これ以上の高次のモー
ドが伝搬しない径に設定する。こうすることにより、先
に述べたように円形導波管72に比較して同軸導波管7
4,78を小さくすることができ、アレーアンテナの素
子間隔を小さくしても平面型給電回路77による給電系
の構成が可能である。
【0068】図18に平面型給電回路の構成例を示す。
この図は誘電体基板76の上にエッチングされた導体の
パターン81を上から見た図であり、トリプレートライ
ンによる給電回路となっている。トリプレートラインは
A部分で同軸導波管74,78内に電気的に露出してお
り、そこが励振部となり同軸導波管74,78へ電波を
放射する。同軸導波管テーパ部73は同軸導波管74か
ら円形導波管72への電波の伝搬を整合良く行うために
設けている。
【0069】以上のようなアレーアンテナを構成するこ
とにより、給電系が平面型の給電回路により容易に実現
され、任意の励振分布を実現することも容易に行える。
また、1/4波長変成器やスタブ等の整合のために回路
や円偏波化のためのハイブリッド結合器やT分岐等の回
路を組み込むことも非常に簡単に行える。この場合に
も、給電系が薄型に構成できるのでアンテナ全体の大き
さも非常に小さく軽量になる。従って、衛星搭載用や移
動体搭載用のアンテナとして有効である。また、同軸導
波管の径は円形導波管を用いる場合に比較して小さくで
きるので、素子間隔を1波長以下に設定した密な配置に
よりアレーアンテナを構成でき、グレーティングローブ
の発生を押さえ利得を最大にしようとする場合にも対応
できる。さらに、MMICデバイスを組み込むことも比
較的簡単に行われ、将来需要の高まるアクティブアレー
アンテナとしても重要である。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように本発明の低サイドロ
ーブ反射鏡アンテナによれば、広い帯域にわたって低サ
イドローブの放射指向性をもち、アンテナ効率が下がり
利得の低下することのない反射鏡アンテナを実現するこ
とができる。広帯域にわたって良好な特性を維持できる
ため、周波数帯域ごとに別の一次放射器などを設けて特
性を達成する必要がなく、アンテナ全体の小型・軽量
化、製作の簡易化などに有効である。また、マルチスロ
ット方式の電力分配器を用いることで励振ウェイトの設
定が容易になるばかりでなく、BFNが小型・軽量化で
き、特に衛星搭載用のアンテナとしては非常に有効であ
る。
【0071】本発明のホーンアンテナによれば、給電系
を一体化したホーンアンテナが薄型かつコンパクトに実
現できる。また、簡単な構成の給電回路により円偏波化
が行え、右旋と左旋の偏波の切り換えも容易に行える。
さらに、給電回路の励振点における入力インピーダンス
の整合や同軸導波管から円形導波管の整合をとることが
簡単に行え、効率の良いアンテナを実現できる。また、
アレー化した場合にも任意の励振分布を設定するような
給電系をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す反射鏡アンテナの構成
図を示す図である。
【図2】本発明の一実施例における一次放射器の構成を
示す図である。
【図3】 本発明の一実施例における一次放射器の合成
放射指向性を示す図である。
【図4】本発明の一実施例におけるBFNに用いるマル
チスロット型電力分配器の一部を切り欠いた斜視図であ
る。
【図5】本発明の一実施例におけるマルチスロット型電
力分配器の結合特性の実測例を示す図である。
【図6】 本発明の一実施例におけるマルチスロット型
電力分配器の反射特性の実測例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例における一次放射器の構成
を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例におけるBFNに用いるブ
ランチライン型ハイブリッド結合器を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例におけるBFNに用いるブ
ランチライン型ハイブリッド結合器の電気特性を示す図
である。
【図10】本発明の一実施例におけるホーンアンテナの
構成を示す断面図である。
【図11】図10のホーンアンテナの平面型給電回路の
構成を示す図である。
【図12】本発明の他の実施例によるホーンアンテナの
断面図である。
【図13】本発明の他の実施例によるホーンアンテナの
断面図である。
【図14】本発明のホーンアンテナの平面型給電回路の
構成の他例を示す図である。
【図15】本発明のホーンアンテナの平面型給電回路の
構成のさらに他例を示す図である。
【図16】本発明のホーンアンテナをアレー化した場合
の実施例を示す平面図である。
【図17】図16に示すホーンアンテナのA−Aによる
断面図である。
【図18】本発明のホーンアンテナをアレー化した場合
の平面型給電回路の構成を示す図である。
【図19】従来におけるホーンアンテナの一例の構成を
示す断面図である。
【図20】従来におけるホーンアンテナの他の構成を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 …反射鏡 11,12,13…ホーンアンテナ 14…BFN 15,16,17…移相器 18,19…電力分配器 21…主導波管 22…結合導波管 24…スロット 29…3電力分配器 31,71…ホーンフレア 32,72…円形導波管 33,35,74,78…同軸導波管 34,77…平面型給電回路 38,39,75,76…誘電体基板 36,79…導体板 41,61,62…励振部 42…1/4波長変成器 43…スタブ 50,73…同軸導波管テーパ部 51…同軸導波管変成器部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01Q 19/17 9067−5J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射鏡と、複数の一次放射素子と、前記
    各一次放射素子に電波を分配または前記各一次放射素子
    からの電波を合成する給電系とを有する低サイドローブ
    反射鏡アンテナにおいて、 前記給電系は、前記複数の一次放射素子のうち中央部の
    一次放射素子側に接続された通過ポートと、前記複数の
    一次放射素子のうち周辺部の一次放射素子側と接続され
    た結合ポートとを備えた電力分配器を有し、 前記電力分配器は、動作周波数帯の低い周波数帯から高
    い周波数になるに連れて、前記結合ポートに比べ、前記
    通過ポートへ分配する電力の割合を小さくすることを特
    徴とする低サイドローブ反射鏡アンテナ。
  2. 【請求項2】 円形導波管と、 前記円形導波管に設けられる同軸導波管と、 前記同軸導波管に設けられ、トリプレートラインもしく
    はサスペンデットラインにより構成される平面型給電回
    路と、 前記同軸導波管内に電気的に露出するように、前記平面
    型給電回路に形成される励振部と、 を具備することを特徴とするホーンアンテナ。
  3. 【請求項3】 前記励振部を前記平面型給電回路の中に
    2カ所設け、前記二つの励振部が互いに直交する偏波成
    分を前記同軸導波管内に励振し、その励振位相の差が9
    0度になるように給電されることを特徴とする請求項2
    のホーンアンテナ。
  4. 【請求項4】 前記同軸導波管の外導体内径と内導体外
    径を、TEMモード以外ではTE11モードの電波のみ
    が伝搬するような値に設定したことを特徴とする請求項
    2のホーンアンテナ。
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