JPH05217143A - 磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体Info
- Publication number
- JPH05217143A JPH05217143A JP4595492A JP4595492A JPH05217143A JP H05217143 A JPH05217143 A JP H05217143A JP 4595492 A JP4595492 A JP 4595492A JP 4595492 A JP4595492 A JP 4595492A JP H05217143 A JPH05217143 A JP H05217143A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- film
- resonance absorption
- absorption lines
- magnetic film
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 記録特性の向上を図り、高記録密度を達成す
る。 【構成】 高分子フィルム等よりなる非磁性基体6上
に、直接或いは軟磁性下地層を介して上記基体に対して
垂直な磁気異方性を有する磁性膜8を形成する際に、強
磁性共鳴の共鳴吸収線R1〜R6が2本以上有する磁性
膜8を、スパッタ条件等を適宜変えて形成し、磁気記録
媒体4を得る。これにより記録特性の向上を図る。
る。 【構成】 高分子フィルム等よりなる非磁性基体6上
に、直接或いは軟磁性下地層を介して上記基体に対して
垂直な磁気異方性を有する磁性膜8を形成する際に、強
磁性共鳴の共鳴吸収線R1〜R6が2本以上有する磁性
膜8を、スパッタ条件等を適宜変えて形成し、磁気記録
媒体4を得る。これにより記録特性の向上を図る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビデオテープ、フロッ
ピーディスク及びコンピュータ用磁気テープ等の高分子
フィルムを基体とする磁気記録媒体に係り、特に記録特
性を改善することができる磁気記録媒体に関する。
ピーディスク及びコンピュータ用磁気テープ等の高分子
フィルムを基体とする磁気記録媒体に係り、特に記録特
性を改善することができる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、磁気記録媒体の記録特性
の向上は著しいものがあり、塗布形媒体に代わって、金
属薄膜媒体が実用化され、更には垂直磁気記録方式が有
望視されて活発な研究開発が進められている。その理由
は、面内記録方式に比べて垂直磁気記録方式では記録密
度が高くなるほど自己減磁作用が小さくなり、いわゆる
回転磁化モードの形成が抑えられ、より短波長記録にお
いても大きな再生出力を得ることができる点にある。こ
の種の垂直磁気記録方式にあっては、媒体面に垂直に磁
化しやすい材料が必要となり、CoCr膜、CoOx
膜、六方晶フェライト膜等、一軸異方性が大きく且つそ
の磁化容易軸が膜面に垂直に配向し易い材料が使用され
る。また、磁気記録特性の改善を図るために、垂直磁化
膜と非磁性基体との間にパーマロイやCo系アモルファ
ス軟磁性膜を下地膜として形成した多層膜構造の記録媒
体も提案されている。
の向上は著しいものがあり、塗布形媒体に代わって、金
属薄膜媒体が実用化され、更には垂直磁気記録方式が有
望視されて活発な研究開発が進められている。その理由
は、面内記録方式に比べて垂直磁気記録方式では記録密
度が高くなるほど自己減磁作用が小さくなり、いわゆる
回転磁化モードの形成が抑えられ、より短波長記録にお
いても大きな再生出力を得ることができる点にある。こ
の種の垂直磁気記録方式にあっては、媒体面に垂直に磁
化しやすい材料が必要となり、CoCr膜、CoOx
膜、六方晶フェライト膜等、一軸異方性が大きく且つそ
の磁化容易軸が膜面に垂直に配向し易い材料が使用され
る。また、磁気記録特性の改善を図るために、垂直磁化
膜と非磁性基体との間にパーマロイやCo系アモルファ
ス軟磁性膜を下地膜として形成した多層膜構造の記録媒
体も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、膜特性の評
価手段として静磁気測定を行って、その結果に基づいて
特性の良否を判断することが行われているが、この静磁
気測定の結果と記録特性との関係が十分に対応していな
いという問題点があった。従って、この測定結果に依存
して磁性膜を形成しても、良好な記録特性が得られない
場合もあった。本発明は、以上のような問題点に着目
し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本
発明の目的は、2以上の強磁性共鳴の共鳴吸収線を有す
る磁性膜を形成して記録特性の向上を図った磁気記録媒
体を提供することにある。
価手段として静磁気測定を行って、その結果に基づいて
特性の良否を判断することが行われているが、この静磁
気測定の結果と記録特性との関係が十分に対応していな
いという問題点があった。従って、この測定結果に依存
して磁性膜を形成しても、良好な記録特性が得られない
場合もあった。本発明は、以上のような問題点に着目
し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本
発明の目的は、2以上の強磁性共鳴の共鳴吸収線を有す
る磁性膜を形成して記録特性の向上を図った磁気記録媒
体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】一般に、垂直磁化膜を形
成してなる磁気記録媒体においては、例えばCoCr垂
直磁化膜を、ポリイミドフィルム上に形成する場合、C
oとCrの組成比を一定にしても、膜形成条件によっ
て、記録特性は大きく異なる。この原因は、垂直磁化膜
の膜構造の違いによる。この膜構造の違いの中で、特に
最近その静磁気測定によって、面内方向のヒステリシス
ループに図2に示すようにいわゆるヘビ形ループが観測
され、このループと記録特性との関係が注目されてい
る。図2において曲線Aは、媒体の膜面に対して垂直方
向のヒステリシスループを示し、曲線Bは膜内方向のヒ
ステリシスループを示す。面内方向のヒステリシスルー
プ、すなわち曲線Bでは、磁界Hがゼロ近傍で磁化の跳
び2が見られる。本発明者は、このヘビ形ループの原因
は、非磁性基体と垂直磁化膜の間に軟磁性的な遷移領域
が存在するためであると考え、この遷移領域の存在が垂
直磁化膜と非磁性基体の間に従来の軟磁性膜を形成した
ものと等価な役割を演じて、記録特性の向上に寄与して
いるものと当初考えた。
成してなる磁気記録媒体においては、例えばCoCr垂
直磁化膜を、ポリイミドフィルム上に形成する場合、C
oとCrの組成比を一定にしても、膜形成条件によっ
て、記録特性は大きく異なる。この原因は、垂直磁化膜
の膜構造の違いによる。この膜構造の違いの中で、特に
最近その静磁気測定によって、面内方向のヒステリシス
ループに図2に示すようにいわゆるヘビ形ループが観測
され、このループと記録特性との関係が注目されてい
る。図2において曲線Aは、媒体の膜面に対して垂直方
向のヒステリシスループを示し、曲線Bは膜内方向のヒ
ステリシスループを示す。面内方向のヒステリシスルー
プ、すなわち曲線Bでは、磁界Hがゼロ近傍で磁化の跳
び2が見られる。本発明者は、このヘビ形ループの原因
は、非磁性基体と垂直磁化膜の間に軟磁性的な遷移領域
が存在するためであると考え、この遷移領域の存在が垂
直磁化膜と非磁性基体の間に従来の軟磁性膜を形成した
ものと等価な役割を演じて、記録特性の向上に寄与して
いるものと当初考えた。
【0005】しかしながら、更に検討を重ねた結果、こ
の遷移領域の厚みは非常に薄く、上記パーマロイ等の軟
磁性下地層と同等の役割を演じているとは考え難い上に
静磁気測定ではヘビ形ループが観測されないものに対し
ても、記録特性が改善されることがしばしば見い出され
た。そこで、本発明者は、静磁気測定に代わって高記録
密度特性の存否を判断する新しい手法として種々検討し
たところ、高記録密度特性を有する媒体が、強磁性共鳴
の共鳴吸収線を2本以上有するという知見を得ることに
より、本発明を完成させるに至った。
の遷移領域の厚みは非常に薄く、上記パーマロイ等の軟
磁性下地層と同等の役割を演じているとは考え難い上に
静磁気測定ではヘビ形ループが観測されないものに対し
ても、記録特性が改善されることがしばしば見い出され
た。そこで、本発明者は、静磁気測定に代わって高記録
密度特性の存否を判断する新しい手法として種々検討し
たところ、高記録密度特性を有する媒体が、強磁性共鳴
の共鳴吸収線を2本以上有するという知見を得ることに
より、本発明を完成させるに至った。
【0006】すなわち、本発明は、前記問題点を解決す
るために、非磁性基体上に、直接或いは軟磁性下地層を
介して膜面に対して垂直な磁気異方性を有する磁性膜を
形成してなる磁気記録媒体において、前記磁性膜は、強
磁性共鳴の共鳴吸収線を2本以上有するように構成した
ものである。具体的には、図3に示すように本発明に係
る磁気記録媒体4は、例えば高分子フィルムからなる非
磁性基体6上に例えば金属或いは合金により膜面に対し
て垂直な磁気異方性を有する磁性膜8を形成して構成さ
れている。
るために、非磁性基体上に、直接或いは軟磁性下地層を
介して膜面に対して垂直な磁気異方性を有する磁性膜を
形成してなる磁気記録媒体において、前記磁性膜は、強
磁性共鳴の共鳴吸収線を2本以上有するように構成した
ものである。具体的には、図3に示すように本発明に係
る磁気記録媒体4は、例えば高分子フィルムからなる非
磁性基体6上に例えば金属或いは合金により膜面に対し
て垂直な磁気異方性を有する磁性膜8を形成して構成さ
れている。
【0007】この磁性膜8を形成するためには、例えば
高分子フィルムよりなる非磁性基体6上に、例えばCo
Cr合金をスパッタ法或いは蒸着法等によりアルゴンガ
ス雰囲気中で積層することにより形成する。上記磁性膜
8を形成する場合には、例えばスパッタ法によるときに
は基体温度、アルゴンガス圧等を適宜変えて形成するこ
とにより、強磁性共鳴による測定において少なくとも2
本以上の共鳴吸収線を有するような磁性膜として構成す
る。また、必要に応じて非磁性基体6上に、例えばパー
マロイ等よりなる下地層を形成し、その上に上記磁性膜
8を形成した多層膜構造としてもよい。この場合にも、
2本以上の共鳴吸収線を有するような磁性膜として構成
する。上記共鳴吸収線の数は2以上であればよく、その
数に限定されない。本発明は、CoCr合金を使用して
形成した磁性膜のみならず、他の金属或いは合金からな
る垂直磁性膜に対しても適用することが可能である。
高分子フィルムよりなる非磁性基体6上に、例えばCo
Cr合金をスパッタ法或いは蒸着法等によりアルゴンガ
ス雰囲気中で積層することにより形成する。上記磁性膜
8を形成する場合には、例えばスパッタ法によるときに
は基体温度、アルゴンガス圧等を適宜変えて形成するこ
とにより、強磁性共鳴による測定において少なくとも2
本以上の共鳴吸収線を有するような磁性膜として構成す
る。また、必要に応じて非磁性基体6上に、例えばパー
マロイ等よりなる下地層を形成し、その上に上記磁性膜
8を形成した多層膜構造としてもよい。この場合にも、
2本以上の共鳴吸収線を有するような磁性膜として構成
する。上記共鳴吸収線の数は2以上であればよく、その
数に限定されない。本発明は、CoCr合金を使用して
形成した磁性膜のみならず、他の金属或いは合金からな
る垂直磁性膜に対しても適用することが可能である。
【0008】
【作用】高分子フィルムを非磁性基体6とする垂直磁化
膜8の強磁性共鳴のスペクトルを測定し、その共鳴吸収
線の数により、3種類に分類することができる。この時
のスペクトルのパターンを図1に示す。横軸は試料にか
けられた外部磁界を示す。図1(A)は共鳴吸収線R1
が1本の場合を示し、図1(B)は単層の膜構造におい
て2本の共鳴吸収線R2、R3が現われる場合を示し、
図1(C)は多層の膜構造において3本の共鳴吸収線R
4、R5、R6が現われる場合を示す。共鳴吸収線の位
置(つまり共鳴磁界の値)から、その膜の異方性磁界の
大きさを知ることができる。
膜8の強磁性共鳴のスペクトルを測定し、その共鳴吸収
線の数により、3種類に分類することができる。この時
のスペクトルのパターンを図1に示す。横軸は試料にか
けられた外部磁界を示す。図1(A)は共鳴吸収線R1
が1本の場合を示し、図1(B)は単層の膜構造におい
て2本の共鳴吸収線R2、R3が現われる場合を示し、
図1(C)は多層の膜構造において3本の共鳴吸収線R
4、R5、R6が現われる場合を示す。共鳴吸収線の位
置(つまり共鳴磁界の値)から、その膜の異方性磁界の
大きさを知ることができる。
【0009】図1(A),(B),(C)において第1
番目の共鳴吸収線R1、R2、R4は媒体のバルクの垂
直磁気異方性に対応した共鳴吸収線であり、図1(B)
の第2番目の共鳴吸収線R3及び図1(C)の第3番目
の共鳴吸収線R6は異方性が弱い軟磁性体の影響であ
る。各第1番目の共鳴吸収線はバルクの磁気異方性の大
きさの分布に対応して広がっている。CoCrの場合に
はCrの析出に対応して結晶粒内と粒界の磁気異方性の
大きさが異なり、第1番目の共鳴吸収線は、図1(C)
に示すように2つの共鳴吸収線に分離し、新たな共鳴吸
収線R5が現われる。尚、測定に使用したスペクトロメ
ータの周波数は34.5GHzである。このようにし
て、以下に示すような3種類のスペクトルパターンに分
類される。 1)バルクの第1番目の共鳴吸収線のみを有する媒体。 2)第1番目と第2番目の共鳴吸収線を有する媒体。 3)第1番目の共鳴吸収線が更に2つに分離する媒体。 これらは、それぞれ膜作成方法を変えることによって対
応する共鳴吸収線を有する媒体を得ることができる。
番目の共鳴吸収線R1、R2、R4は媒体のバルクの垂
直磁気異方性に対応した共鳴吸収線であり、図1(B)
の第2番目の共鳴吸収線R3及び図1(C)の第3番目
の共鳴吸収線R6は異方性が弱い軟磁性体の影響であ
る。各第1番目の共鳴吸収線はバルクの磁気異方性の大
きさの分布に対応して広がっている。CoCrの場合に
はCrの析出に対応して結晶粒内と粒界の磁気異方性の
大きさが異なり、第1番目の共鳴吸収線は、図1(C)
に示すように2つの共鳴吸収線に分離し、新たな共鳴吸
収線R5が現われる。尚、測定に使用したスペクトロメ
ータの周波数は34.5GHzである。このようにし
て、以下に示すような3種類のスペクトルパターンに分
類される。 1)バルクの第1番目の共鳴吸収線のみを有する媒体。 2)第1番目と第2番目の共鳴吸収線を有する媒体。 3)第1番目の共鳴吸収線が更に2つに分離する媒体。 これらは、それぞれ膜作成方法を変えることによって対
応する共鳴吸収線を有する媒体を得ることができる。
【0010】例えば、スパッタにより10μmの非磁性
基体上に、2000Åの磁性膜を形成する場合には、ア
ルゴンガス圧を0.2〜10mTorrの範囲で、スパ
ッタレートを250〜1000Å/minの範囲で、基
体温度を室温から250℃の範囲でそれぞれ変えること
により上記3種類の媒体を容易に得ることができる。具
体的には、図1(A),(B),(C)に示す各スペク
トルパターンを有する磁性膜は下記の表1に示すような
条件の基に形成される。
基体上に、2000Åの磁性膜を形成する場合には、ア
ルゴンガス圧を0.2〜10mTorrの範囲で、スパ
ッタレートを250〜1000Å/minの範囲で、基
体温度を室温から250℃の範囲でそれぞれ変えること
により上記3種類の媒体を容易に得ることができる。具
体的には、図1(A),(B),(C)に示す各スペク
トルパターンを有する磁性膜は下記の表1に示すような
条件の基に形成される。
【0011】
【表1】
【0012】共鳴吸収線3本の例として図1(C)に
は、下地層としてCoCrNbを700Å形成し、この
上にCoCrを2000Åに形成して多層膜構造とした
場合のスペクトルパターンを示す。次に、共鳴吸収線の
数と記録特性の関係を調べると、再生出力が大きい媒体
は少なくとも共鳴吸収線が2本以上存在することが必要
であることが判明した。2本の内、1本はいわゆる軟磁
性体からの共鳴吸収線に対応していると考えられる。し
かしながら、静磁気特性において何等ヘビ形ループが観
測されない媒体においても軟磁性体からの共鳴吸収線の
位置に共鳴吸収線が観測される。
は、下地層としてCoCrNbを700Å形成し、この
上にCoCrを2000Åに形成して多層膜構造とした
場合のスペクトルパターンを示す。次に、共鳴吸収線の
数と記録特性の関係を調べると、再生出力が大きい媒体
は少なくとも共鳴吸収線が2本以上存在することが必要
であることが判明した。2本の内、1本はいわゆる軟磁
性体からの共鳴吸収線に対応していると考えられる。し
かしながら、静磁気特性において何等ヘビ形ループが観
測されない媒体においても軟磁性体からの共鳴吸収線の
位置に共鳴吸収線が観測される。
【0013】この点を明確にするために、遷移領域の厚
さと共鳴吸収線の強度の関係を調べた。後述するよう
に、明らかにヘビ形ループが観測される媒体では2本以
上の共鳴吸収線が見い出されたが、ヘビ形ループが観測
されない媒体でむしろ共鳴吸収線が大きいという媒体も
見い出された。検出感度という点で、VSM(Vibr
ating Sample Magnetometr
y)よりも強磁性共鳴の方が優れているということのた
めと考えられるが、この媒体の透過形電子顕微鏡の観察
では、非常に結晶粒が細かいと言う特徴が見い出され、
これが共鳴吸収線の強度に反映したものとも考えられ
る。
さと共鳴吸収線の強度の関係を調べた。後述するよう
に、明らかにヘビ形ループが観測される媒体では2本以
上の共鳴吸収線が見い出されたが、ヘビ形ループが観測
されない媒体でむしろ共鳴吸収線が大きいという媒体も
見い出された。検出感度という点で、VSM(Vibr
ating Sample Magnetometr
y)よりも強磁性共鳴の方が優れているということのた
めと考えられるが、この媒体の透過形電子顕微鏡の観察
では、非常に結晶粒が細かいと言う特徴が見い出され、
これが共鳴吸収線の強度に反映したものとも考えられ
る。
【0014】このように、図1(B)の第2番目の共鳴
吸収線R3及び図1(C)の第3番目の共鳴吸収線R6
は、ヘビ形ループの存在の有無にかかわらず、再生出力
の高い垂直磁性膜の膜構造を反映していると考えられ
る。すなわち、強磁性共鳴において共鳴吸収線が少なく
とも2本以上観測されることによって特徴付けられる垂
直記録媒体は高密度記録媒体として良好な品質を有し、
良好な再生出力を得ることができる。従って、単層また
は多層の膜構造に関係なく上記したような2本以上の共
鳴吸収線を有する磁性膜を用いることにより、良好な再
生出力を得ることが可能となる。
吸収線R3及び図1(C)の第3番目の共鳴吸収線R6
は、ヘビ形ループの存在の有無にかかわらず、再生出力
の高い垂直磁性膜の膜構造を反映していると考えられ
る。すなわち、強磁性共鳴において共鳴吸収線が少なく
とも2本以上観測されることによって特徴付けられる垂
直記録媒体は高密度記録媒体として良好な品質を有し、
良好な再生出力を得ることができる。従って、単層また
は多層の膜構造に関係なく上記したような2本以上の共
鳴吸収線を有する磁性膜を用いることにより、良好な再
生出力を得ることが可能となる。
【0015】
【実施例】以下に、本発明に係る磁気記録媒体の一実施
例を詳述する。 実施例1 CoCr(Cr:18at%)合金ターゲットを用い、
非磁性基体としてポリイミドフィルム基板を用い、この
上にスパッタ法によってCoCr垂直磁性膜を厚さ20
00Åに形成した。スパッタ条件、例えばアルゴンガス
圧、基板温度等を適宜変えて共鳴吸収線の数が複数、2
又は3本の垂直磁性膜を形成し、これらの保磁力、飽和
磁化、ヘビ形ループの有無を測定して表2に示すような
結果を得た。また、表2中のにおいては軟磁性下地層
としてCoCrNbを700Åの厚さ形成した後にCo
Cr垂直磁性膜を2000Åの厚さに形成した。
例を詳述する。 実施例1 CoCr(Cr:18at%)合金ターゲットを用い、
非磁性基体としてポリイミドフィルム基板を用い、この
上にスパッタ法によってCoCr垂直磁性膜を厚さ20
00Åに形成した。スパッタ条件、例えばアルゴンガス
圧、基板温度等を適宜変えて共鳴吸収線の数が複数、2
又は3本の垂直磁性膜を形成し、これらの保磁力、飽和
磁化、ヘビ形ループの有無を測定して表2に示すような
結果を得た。また、表2中のにおいては軟磁性下地層
としてCoCrNbを700Åの厚さ形成した後にCo
Cr垂直磁性膜を2000Åの厚さに形成した。
【0016】
【表2】
【0017】比較例1 実施例1と同様に、スパッタ条件として、基板温度、ア
ルゴンガス圧のみを変えて垂直磁化膜を厚さ2000Å
に形成した。そして、以下の表3に示すような垂直磁化
膜を得た。
ルゴンガス圧のみを変えて垂直磁化膜を厚さ2000Å
に形成した。そして、以下の表3に示すような垂直磁化
膜を得た。
【0018】
【表3】
【0019】実施例1及び比較例1の記録特性をドラム
テスタを用いて評価した。記録波長は0.5μmに固定
し、最適記録電流によって記録された矩形波の再生出力
を規格化して以下に示す。尚、磁気ヘッドはリング型の
センダストヘッドを用い、ヘッドと媒体の相対速度は2
m/s、ヘッドギャップは0.19μm、巻線数は20
ターン、トラック幅は18μmである。それぞれの垂直
磁化膜と再生出力の関係を表4に示す。
テスタを用いて評価した。記録波長は0.5μmに固定
し、最適記録電流によって記録された矩形波の再生出力
を規格化して以下に示す。尚、磁気ヘッドはリング型の
センダストヘッドを用い、ヘッドと媒体の相対速度は2
m/s、ヘッドギャップは0.19μm、巻線数は20
ターン、トラック幅は18μmである。それぞれの垂直
磁化膜と再生出力の関係を表4に示す。
【0020】
【表4】
【0021】実施例1と比較例1から分かるように、静
磁気特性である保磁力や飽和磁化が略等しい媒体(垂直
磁性膜)でも再生出力に大きな差が生じ、いずれの場合
も強磁性共鳴の共鳴吸収線が2本以上ある実施例1の媒
体が優れていることが判明した。また、前述したよう
に、ヘビ形ループの有無と共鳴吸収線の関係は対応せ
ず、ヘビ形ループの見られない媒体、例えば実施例1の
でも再生出力の点で優れており、強い共鳴吸収線が
2本観測されている。以上のように静磁気測定から得ら
れる保磁力、飽和磁化、ヘビ形ループから垂直磁化膜の
記録特性を判断することは、十分ではなく、それによっ
て高記録密度特性を有する垂直磁化膜を規定することは
好ましくない。すなわち、静磁気測定に代わって強磁性
共鳴の測定を行い、これにより2本以上の共鳴吸収線を
有する媒体は高記録密度特性を有することが判明した。
磁気特性である保磁力や飽和磁化が略等しい媒体(垂直
磁性膜)でも再生出力に大きな差が生じ、いずれの場合
も強磁性共鳴の共鳴吸収線が2本以上ある実施例1の媒
体が優れていることが判明した。また、前述したよう
に、ヘビ形ループの有無と共鳴吸収線の関係は対応せ
ず、ヘビ形ループの見られない媒体、例えば実施例1の
でも再生出力の点で優れており、強い共鳴吸収線が
2本観測されている。以上のように静磁気測定から得ら
れる保磁力、飽和磁化、ヘビ形ループから垂直磁化膜の
記録特性を判断することは、十分ではなく、それによっ
て高記録密度特性を有する垂直磁化膜を規定することは
好ましくない。すなわち、静磁気測定に代わって強磁性
共鳴の測定を行い、これにより2本以上の共鳴吸収線を
有する媒体は高記録密度特性を有することが判明した。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような優れた作用効果を発揮することができる。非磁
性基体上に、強磁性共鳴の共鳴吸収線が2本以上有する
磁性膜を形成したので、記録特性を向上させることがで
き、高記録密度を達成することができる。
のような優れた作用効果を発揮することができる。非磁
性基体上に、強磁性共鳴の共鳴吸収線が2本以上有する
磁性膜を形成したので、記録特性を向上させることがで
き、高記録密度を達成することができる。
【図1】強磁性共鳴のスペクトルを示すグラフである。
【図2】ヘビ形ループを示すグラフである。
【図3】本発明に係る磁気記録媒体を示す断面図であ
る。
る。
4…磁気記録媒体、6…非磁性基体、8…磁性膜、R1
〜R6…共鳴吸収線。
〜R6…共鳴吸収線。
Claims (1)
- 【請求項1】 非磁性基体上に、直接或いは軟磁性下地
層を介して膜面に対して垂直な磁気異方性を有する磁性
膜を形成してなる磁気記録媒体において、前記磁性膜
は、強磁性共鳴の共鳴吸収線を2本以上有することを特
徴とする磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4595492A JPH05217143A (ja) | 1992-01-31 | 1992-01-31 | 磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4595492A JPH05217143A (ja) | 1992-01-31 | 1992-01-31 | 磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05217143A true JPH05217143A (ja) | 1993-08-27 |
Family
ID=12733673
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4595492A Pending JPH05217143A (ja) | 1992-01-31 | 1992-01-31 | 磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05217143A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9406327B2 (en) | 2013-08-30 | 2016-08-02 | HGST Netherlands B.V. | Granular media with a high-Hk assist layer for microwave-assisted magnetic recording |
-
1992
- 1992-01-31 JP JP4595492A patent/JPH05217143A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9406327B2 (en) | 2013-08-30 | 2016-08-02 | HGST Netherlands B.V. | Granular media with a high-Hk assist layer for microwave-assisted magnetic recording |
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