JPH05215115A - ピアスナット - Google Patents

ピアスナット

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JPH05215115A
JPH05215115A JP4599792A JP4599792A JPH05215115A JP H05215115 A JPH05215115 A JP H05215115A JP 4599792 A JP4599792 A JP 4599792A JP 4599792 A JP4599792 A JP 4599792A JP H05215115 A JPH05215115 A JP H05215115A
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JP
Japan
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metal plate
pierce nut
annular groove
nut
pierce
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JP4599792A
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Takao Takahashi
孝男 高橋
Hiroshi Takehara
寛 竹原
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TOKYO MULTI FASTENER KK
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Priority to CA002088437A priority patent/CA2088437C/en
Priority to US08/011,439 priority patent/US5340251A/en
Priority to MX9300523A priority patent/MX9300523A/es
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Priority to US08/285,201 priority patent/US5549430A/en
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板厚の大小に拘わらず、金属板に固着された
ときに必要な回転抗力を有すると共に引き抜き抗力を増
大する、方向性の無い形状のピアスナットを提供する。 【構成】 環状の剪断エッヂ14と、この剪断エッヂ1
4に隣接する環状溝16とを備え、環状溝16は相対す
る側壁18、20と底壁22とで画定され、側壁18、
20の少なくとも一方は環状溝16の断面形状が先細と
なるべく傾斜しており、剪断エッヂ14により金属板を
穿孔し、孔の周辺部の金属板の材料が塑性加工されなが
ら環状溝16内に導入されることにより、金属板に固着
されるようになった円形のピアスナット10において、
底壁22の表面の中央領域に、円周方向に延びる少なく
とも1つの隆起部24a〜24dを設け、ピアスナット
10を金属板に固着する際に、孔の周辺部の金属板の材
料を隆起部24a〜24dの両側に流れさせるようにし
た。 【効果】 金属板材料は環状溝内周全面で接触するの
で、回転抗力と引き抜き抗力とが大きくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は、金属板に打ち込まれて
固着されるピアスナットに関し、例えば、金属板が薄い
ときに固着力を向上するのに好適なピアスナットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ピアスナットは、その端面の剪断エッヂ
によって金属板等を穿孔すると共に、この孔に端面がか
しめられて、金属板等に固着されるようになっており、
金属板等にネジやボルトで部品を結合させるために使用
されている。
【0003】このピアスナットは種々の部品を金属板に
取り付けることの多い自動車の組み立てに多く利用され
ており、例えばランプ類やシート部品の取付けの際に利
用されている。このような部品を取り付ける際には、回
転工具等により所定のトルクでネジやボルトをピアスナ
ットのネジ孔に噛み合わせて締め付けるので、金属板に
固着されたピアスナットにはその金属板等に対する回転
抗力(ピアスナットにボルトを噛み合わせ締め付けて、
このボルトを締付方向に回転させた場合、金属板に対す
るピアスナットの回転運動を妨げる力)が要求される。
一方、部品が取り付けられた後は、自動車に加えられる
振動、引張りなどの外力がピアスナットに対し、そのピ
アスナットが固着されている金属板からそのピアスナッ
トを引き抜く方向に働くので、ピアスナットにはこの外
力より大きい引き抜き抗力(ピアスナットにボルトを噛
み合わせて、金属板に対して垂直方向の力をこのボルト
に加えるとき、ピアスナットが金属板から引き抜かれる
のを妨げる力)が要求される。
【0004】回転工具等のトルク値は予め定まっている
ので、前述の回転抗力はこのトルク値に耐えられる程度
であればよいが、自動車に加えられる外力は一般に予測
できない場合が多いので、前述の引き抜き抗力としては
大きい値が必要とされている。
【0005】さらにまた、ピアスナットが金属板に打ち
込まれる際には、ピアスナットはピアスナット搬送装置
のピアスナット出口を通って連続的に金属板に搬送され
るのであるが、金属板表面でのピアスナットの取付けの
向きを自由にできるピアスナットの形状、即ちピアスナ
ット出口の向きを自在に変更できるようなピアスナット
の形状が望まれる。特に、一枚の金属板の複数箇所にピ
アスナットを打ち込む場合などは、ピアスナット出口の
向きを打込作業に合わせて自在に変更することができる
ようなピアスナットの形状が望まれる。
【0006】ところで、ピアスナットには従来から多く
の種類があり、最近の新しいものとして例えば、特開昭
58−109710号公報には、同公報の第1図に示す
ように外周がほぼ正方形であり、その正方形の中央部に
は金属板等を剪断するためのパイロット部(同図の符号
3)が設けられているピアスナットが提案されている。
このピアスナットのパイロット部の外周側面(同符号
4)には内側に向かって広がるテーパが形成され、この
テーパ部分に導入された金属板材料によってピアスナッ
トの引き抜き抗力を向上させるようになっている。さら
に、パネル係合溝(同符号6)には所定間隔離れた4つ
の側壁(同符号10)が形成されており、この4つの側
壁の間に金属板材料を導入してピアスナットの回転抗力
を向上させるようになっている。
【0007】また、更に最新のものとして、特公平2−
25049号公報には、同公報の第1図に示すように外
周が円形であり、その中央部には金属板等を剪断するた
めの内筒部(同図の符号2)が設けられ、この内筒部に
隣接する環状溝(同符号6)を備えたピアスナットが提
案されている。この環状溝を画定する外側壁となる外筒
部(同符号4)には、環状溝の断面形状が先細となるよ
うに傾斜が設けられており、この傾斜部に導入された金
属板材料によってピアスナットの引き抜き抗力を向上さ
せるようになっている。さらに、外筒部(同符号4)の
端面には放射状の凹凸が形成され、この凹凸に金属板材
料が食い込むことによりピアスナットの回転抗力を向上
させるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の特開昭58−1
09710号公報に提案されているピアスナットでは、
パネル係合溝(同公報の第1図符号6)に形成された所
定間隔離れた4つの側壁(同符号10)の間に金属板材
料が導入されてピアスナットの回転抗力を向上するよう
になっているので、十分な回転抗力が得られる。ところ
が、引き抜き抗力は、パイロット部の外周側面(同符号
4)に形成されたテーパの一部分(同公報の第6図、第
7図参照)に導入された金属板材料にだけ依存するよう
になっているので、外周側面と金属板との接触面積は狭
くなり、大きい引き抜き抗力を得られないという問題が
あり、特に、金属板の板厚が薄いときは、テーパ部分に
導入される金属板材料は少ないので、外周側面と金属板
との接触面積は非常に狭くなり、引き抜き抗力は小さな
値となるという不都合がある(このピアスナットのカタ
ログ(昭和62年7月20日)によると、引き抜き抗力
は板厚0.6mmのとき83kg、板厚0.8mmのと
き106kg、板厚1.2mmのとき199kgとなっ
ている。)。
【0009】また、このピアスナットの外周はほぼ正方
形となっているので、金属板表面でのピアスナットの取
付けの向きが定まっている場合は、ピアスナット搬送装
置のピアスナット出口の向きを自在に変更することが出
来ない。
【0010】また、前述の特公平2−25049号公報
に提案されているピアスナットはその外周が円形である
ので、ピアスナット搬送装置のピアスナット出口の向き
を自在に変更することができ、さらに、外筒部(同公報
の第1図符号4)に設けられた傾斜部に金属板材料が導
入されるようになっているので、金属板の板厚が厚いと
きは導入される金属板材料が多く、接触面積も広くな
り、引き抜き抗力が向上される(同公報によると厚み
1.6mmの鋼板のとき引き抜き抗力(クリンチ力)2
50kg)。しかし、板厚が薄くなると、傾斜部に導入
される金属板材料が少なくなるので、接触面積は狭くな
り、前述のピアスナットほどではないが引き抜き抗力は
低下する(ピアスナットのカタログによると、板厚0.
6mmのとき168kg、板厚0.8mmのとき208
kgとなっている。)。一方、外筒部(同符号4)の端
面に形成された放射状の凹凸に金属板材料が食い込むこ
とにより回転抗力を向上させるようになっているので、
板厚が厚いときは食い込みの量が大きいが、板厚が薄く
なるときは食い込み量が減少し、接触面積が狭くなり回
転抗力は低下する(このピアスナットのカタログによる
と、板厚1.6mmのとき255kg−cm、板厚0.
8mmのとき145kg−cm、板厚0.6mmのとき
137kg−cmとなっている。)。
【0011】ところで、ピアスナットが多く利用されて
いる自動車では、軽量化のために使用される金属板の厚
みを薄くする傾向に有り、このため薄い板厚であっても
必要な回転抗力を有すると共に、より大きな引き抜き抗
力を有することとなる形状のピアスナットが要求されて
いる。例えば板厚0.6mmで200kgを越える引き
抜き抗力と、回転工具の締め付けトルクに耐えられる程
度の回転抗力とを要求されたときは、従来のピアスナッ
トではその要求に応えられない。
【0012】本発明は、板厚の大小に拘わらず、金属板
に固着されたときに必要な回転抗力を有すると共に、引
き抜き抗力を増大することとなる形状のピアスナットを
提供することを目的とする。
【0013】
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のピアスナットは、環状の剪断エッヂと、前記
剪断エッヂに隣接する環状溝とを備え、前記環状溝は相
対する側壁と底壁とで画定され、前記側壁の少なくとも
一方は前記環状溝の断面形状が先細となるべく傾斜して
おり、前記剪断エッヂにより金属板を穿孔し、前記孔の
周辺部の金属板の材料が塑性変形しながら前記環状溝内
に導入されることにより、前記金属板に固着されるよう
になった円形のピアスナットにおいて、前記底壁の表面
の中央領域に、円周方向に延びる少なくとも1つの隆起
部を設け、前記ピアスナットを前記金属板に固着する際
に、前記孔の周辺部の金属板の材料を前記隆起部の両側
に流れさせるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】ここで、前記相対する側壁の両方に、前記
環状溝の断面形状が先細となる傾斜を設け、引き抜き抗
力を増強するようにした方が好ましい。
【0015】また、前記隆起部の円周方向垂直断面は、
円弧状または多角形状のいずれかであればよい。
【0016】また、前記隆起部に複数の不連続部を形成
し、前記ピアスナットを前記金属板に固着する際に、前
記複数の不連続部に前記金属板の材料が流れ込むことに
より、金属板に対するピアスナットの回転抗力を増強す
るようにした方が好ましい。
【0017】さらにまた、前記2つの側壁のうちの外側
の側壁の内周面に、円周方向にほぼ直交する段部を形成
し、前記ピアスナットを前記金属板に固着する際に、前
記段部に前記金属板の材料が流れ込むことにより、金属
板に対するピアスナットの回転抗力を更に増強するよう
にした方が好ましい。
【0018】
【作用】本発明のピアスナットにおいては、底壁の表面
の中央領域に、円周方向に延びる少なくとも1つの隆起
部を設け、このピアスナットを金属板に固着する際に、
金属板の穿孔された周辺部の金属板の材料をこの隆起部
の両側に流れさせるようにしたので、環状溝を画定する
側壁と底壁の表面の全面に接触するように材料が導入さ
れてこの材料とピアスナットとの接触面積が増大し、引
き抜き抗力が増大すると共に、必要な回転抗力も得られ
ることとなる。しかもこのピアスナットは円形なので、
ピアスナットが金属板に固着される向きには方向性がな
く、ピアスナット搬送装置のピアスナット出口の向きを
自由に選択できることとなる。
【0019】また、相対する側壁の両方に、環状溝の断
面形状が先細となる傾斜を設けた場合は、この環状溝に
金属板の材料が楔状に導入されるので、引き抜き抗力が
増強されることとなる。
【0020】さらにまた、隆起部に複数の不連続部を形
成した場合は、ピアスナットを金属板に固着する際に、
この複数の不連続部にピアスナットの回転を妨げるよう
に金属板の材料が流れ込んでピアスナットと金属板の材
料との接触面積が増大するので、金属板に対するピアス
ナットの回転抗力が増強されることとなる。
【0021】さらにまた、2つの側壁のうちの外側の側
壁の内周面に、円周方向にほぼ直交する段部を形成し、
ピアスナットを金属板に固着する際に、この段部に金属
板の材料が流れ込むようにした場合は、ピアスナットと
金属板の材料との接触面積が更に増大してこの段部に導
入された材料によってもピアスナットの回転が妨げられ
るので、金属板に対するピアスナットの回転抗力が更に
増強されることとなる。
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を参照しな
がら説明する。
【0022】図1は本発明の一実施例に係るピアスナッ
トの概略を示す斜視図、図2は図1に示すピアスナット
の平面図、図3は図1に示すピアスナットの一部断面斜
視図である。
【0023】本実施例のピアスナット10は、図1から
分かるように外形が円形のいわゆる円形ピアスナットで
あり、そのねじ孔12を含む中央部には環状の剪断エッ
ヂ14が形成され、この剪断エッヂ14と後述するダイ
ボタンとが協働して金属板を穿孔するようになってい
る。この剪断エッヂ14に隣接する環状溝16は、相対
する側壁18、20と、底壁22とで画定されており、
2つの側壁18、20は環状溝16の断面形状が先に向
かって細くなる(図1、図3では下に向かって細くなる
ように示されている。)ように傾斜している。
【0024】環状溝16の底壁22の中央領域には、円
周方向に延びる4つの隆起部24a、24b、24c、
24dが設けられており、この隆起部24a〜24dの
円周方向垂直断面の形状は、図3に示すように半円とな
っているが、図4に示すように三角形(同図(a))、
五角形(同図(b))、台形(同図(c))等の多角形
その他の形状であっても良い。この隆起部の高さは、本
実施例では約0.5mmとなっているが、穿孔する金属
板の厚さによって適宜変更されるものである。後述する
ように、ピアスナット10を金属板に固着する際には、
金属板の材料がこの隆起部24a〜24dの両側に流れ
て金属板材料と環状溝16の面との接触面積が広くな
り、更に環状溝16内に楔状に金属板材料が導入される
と共に、これらの不連続部26a、26b、26c、2
6dにも金属板材料が流れ込むので、引き抜き抗力が増
大すると共に回転抗力が増大することとなる。
【0025】また、側壁20の内周面28には、円周方
向にほぼ直交する4つの段部30a、30b、30c、
30dが隆起部24a〜24dと対向する位置に形成さ
れており、後述するように、ピアスナット10を金属板
に固着する際には、金属板材料がこの段部30a〜30
dにも流れ込むので、ピアスナット10の金属板に対す
る回転抗力が更に増強されることとなる。
【0026】この側壁20の内周面28の変形例を図5
に示す。図5は、側壁20の内周面28が八角形に形成
されているピアスナット40を示す斜視図である。この
ピアスナット40の他の部分の形状は、図1から図4に
示すピアスナット10の形状と同じである。側壁20の
内周面28の形状は、図5に示すように八角形としても
よく、この場合も前述のように、金属板材料がこの八角
形の複数の角部42に流れ込むので、ピアスナット40
の金属板に対する回転抗力が更に増強されることとな
る。なお、側壁20の内周面28の形状は八角形に限定
されず、例えば十六角形のような多角形であってもよ
い。
【0027】上述のような円形のピアスナットは、丸棒
素材からフォーマー加工できるので、コスト低減が可能
となる。
【0028】次に、図6から図10を参照して、前述の
ピアスナット10が金属板上に搬送されて金属板に打ち
込まれて固着される工程を説明する。図6に示すよう
に、ピアスナット10は、ピアスナット連続供給装置
(図示せず)の搬送パイプ44からピアスナット受入領
域46に一つずつ供給され、プランジャー48により金
属板50に打ち込まれる。この打ち込みの際にはピアス
ナット10と協働して金属板50を穿孔するダイボタン
52が使用され、このダイボタン52として、従来のも
のを改良した、本出願と同日付けの出願(発明の名称:
ダイボタン)に詳細に記載されたダイボタンが使用され
ている。なお、ピアスナット10の打込漏れを防止する
ために、近接センサ54がピアスナット受入領域46の
近傍に配置されている。
【0029】図6に示すようにして打ち込まれたピアス
ナット10が金属板50に固着されている状態は、例え
ば図7の斜視図に示すような状態になる。図7におい
て、ピアスナット10は本実施例にかかる円形のピアス
ナットであり、ピアスナット56は従来例に示す角形の
ピアスナットである。図7から分かるように、円形のピ
アスナット10が使用されたときは、金属板50表面で
のピアスナットの取付けの向きを考慮する必要はない
が、角形のピアスナット56が使用されたときは、取付
けの向きを考慮しなければならない。したがって、円形
ピアスナットを金属板に固着する際には、ダイボタンの
配置方向を考慮する必要が無く、ピアスナット出口とダ
イボタンとの芯合わせ作業が簡素化されるので、ピアス
ナット供給装置が簡単な構造となり、この結果ピアスナ
ットを打ち込むシステム全体のコストダウンとなり、ま
た製品の信頼性も増す。また、一般にプレスと型とによ
る打ち込みが多いが、ロボット等を使用して打ち込む場
合には方向性がないと便利である。
【0030】図8から図10は、ピアスナット10がプ
ランジャー48によって金属板50に押し付けられて、
ダイボタン52と協働して金属板50を穿孔して、固着
されるまでの連続した状態を示す断面図である。図8
は、ピアスナット10が金属板50に押し付けられてい
る状態を示す断面図である。同図に示すように、ダイボ
タン52の内周の剪断エッヂ58の上部は剪断方向に対
して傾斜しているので、ピアスナット10の環状溝16
内に金属板50の材料をなるべく多く線長が増加するよ
うにして取り込むように金属板50を穿孔できる。図9
は、ピアスナット10がプランジャー48によって金属
板50に打ち込まれ、この金属板50を穿孔したときの
状態を示す断面図である。同図に示すように、ピアスナ
ット10の環状エッヂ14は、ダイボタン52の剪断エ
ッヂ58と協働して金属板50を穿孔し、この孔の周辺
部の材料62はピアスナット10の環状溝16内に導入
されることとなる。図10は、環状溝16内に導入され
た金属板50の材料62がピアスナット10の隆起部2
4a〜24dとダイボタン52の剪断エッヂ58の端面
64と間で押されて、隆起部24a、24cの両側に流
された状態を示す断面図である。
【0031】次に、図10の二点鎖線で示す部分66の
拡大断面図を示す図11を参照して材料62の流れを説
明する。図11に示すように、環状溝16内に導入され
た材料62は、ダイボタン52の剪断エッヂ58の端面
64によって隆起部24cに押し付けられて、隆起部2
4cに沿って矢印68a、68bの方向に流れる。この
結果、環状溝16の底壁22にまで材料62が楔状に導
入されると共に環状溝16の内周全面は材料62と接触
するので、金属板50に固着されたピアスナット10の
引き抜き抗力は増大し、回転抗力も増大する。金属板5
0の板厚が薄いときであっても、ダイボタンの形状と高
さとを調整することにより、隆起部の両側に材料を流す
ことができ材料62が楔状に導入されると共に環状溝1
6の内周全面は材料62と接触するので、引き抜き抗力
と回転抗力とを増大することができる。なお、図11で
は隆起部24cを例にとって説明したが、他の隆起部で
も同様である。このように環状溝16の内周全面が材料
62と接触して固着されるので、外部からの水の侵入を
防ぐ機能も向上する。
【0032】材料の流れを比較するために、図12を参
照して、隆起部がないピアスナット69を用いたときの
例を説明する。環状溝70に隆起部がない場合、ダイボ
タン71の剪断エッヂの端面72で押された材料62
は、矢印76の方向に押されるだけであるので、環状溝
70の底壁77には材料62の一部が接触するだけであ
り環状溝70と材料62との接触面積は狭く、したがっ
て大きな引き抜き抗力や回転抗力は望めない。
【0033】次に、図13を参照して、図1から図3に
示す隆起部24a〜24dの不連続部26a〜26dに
材料が流れ込んだ状態を説明する。図13は円周方向に
沿って、不連続部26aを含む隆起部24a、24bを
切断した状態を示す一部断面図である。隆起部24a、
24bに沿って流れる材料62は、この不連続部30a
にも流れ込んで矢印78で示す回転方向に対してストッ
パの作用を行うので、金属板50に対するピアスナット
10の回転抗力は一層増強されることとなる。なお、図
13では不連続部26aを例にとって示したが他の不連
続部においても同様である。
【0034】次に、図14を参照して、図1から図3に
示す側壁20に形成された段部30a〜30dに材料6
2が流れ込んだ状態を説明する。図14はピアスナット
10の軸方向垂直に隆起部24aを含む面で切断した状
態を示す一部断面図である。隆起部24aに沿って流れ
る材料62は、この段部30aにも流れ込んで矢印80
で示す回転方向(矢印78の方向と同じ方向)に対して
ストッパの作用を行うので、金属板50に対するピアス
ナット10の回転抗力は助長され、更に一層増強される
こととなる。なお、図14では段部30aを例にとって
示したが他の段部においても同様である。
【0035】発明者が行った実験では、本実施例のピア
スナット10を上述したような工程で金属板に固着した
ときの引き抜き抗力は、ネジ径が6mmナットの場合、
板厚0.6mmのとき315kg(従来例の円形ピアス
ナットでは168kg)、板厚0.8mmのとき300
kg(従来例の円形ピアスナットでは208kg)とい
う高い値になった。また、回転抗力は、板厚0.6mm
のとき170kg−cm、板厚0.8mmのとき240
kg−cm、板厚1.0mmのとき270kg−cmと
いう値になった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のピアスナ
ットは、環状溝の底壁表面の中央領域に隆起部を設け、
ピアスナットが金属板に固着される際に、金属板の孔の
周辺部の金属板材料が隆起部の両側に流れるようにした
ので、金属板材料は環状溝内全面と接触する結果、引き
抜き抗力と回転抗力とが大きくなる。さらに、環状溝の
両方の側壁に断面形状が先細となる傾斜を設けると、材
料はこの傾斜部分に楔状に流れ込むので、引き抜き抗力
は一層増強する。
【0037】また、隆起部を不連続として、この不連続
部に材料を流れ込むようにすると、流れ込んだ材料は回
転方向に対してストッパの作用をするので、回転抗力が
増強する。さらに、環状溝の外側の側壁の内周面に、円
周方向にほぼ直交する段部を形成すると、段部に流れ込
んだ材料が回転方向に対してストッパの役目をするの
で、前述の不連続部のストッパの作用が助長されて一層
回転抗力が増強する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のピアスナットを示す斜視図
である。
【図2】図1に示すピアスナットの平面図である。
【図3】図1に示すピアスナットの一部断面斜視図であ
る。
【図4】隆起部の変形例を示す円周方向垂直断面図であ
る。
【図5】環状溝の側壁の内面形状の変形例を示す斜視図
である。
【図6】ピアスナットが金属板に搬送される様子を示す
断面図である。
【図7】本実施例の円形ピアスナットと従来の角形ピア
スナットとが金属板に固着された状態を示す斜視図であ
る。
【図8】ピアスナットが金属板に押しあてられた状態を
示す断面図である。
【図9】ピアスナットとダイボタンとが協働して金属板
を穿孔した状態を示す断面図である。
【図10】金属板材料がピアスナットの環状溝に導入さ
れる状態を示す断面図である。
【図11】ピアスナットの環状溝内における金属板材料
の流れを示す拡大断面図である。
【図12】隆起部が設けられていない環状溝内における
金属板材料の流れを示す拡大断面図である。
【図13】隆起部の不連続部に金属板材料が流れ込んだ
状態を示す拡大断面図である。
【図14】環状溝の外側の側壁に形成された段部に金属
板材料が流れ込んだ状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10、40: ピアスナット 14: 剪断エッヂ 16: 環状溝 18: 内側の側壁 20: 外側の側壁 22: 底壁 24a〜24d: 隆起部 26a〜26d: 不連続部 28: 側壁20の内周面 30a〜30d: 段部 50: 金属板 52: ダイボタン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環状の剪断エッヂと、前記剪断エッヂに
    隣接する環状溝とを備え、前記環状溝は相対する側壁と
    底壁とで画定され、前記側壁の少なくとも一方は前記環
    状溝の断面形状が先細となるべく傾斜しており、前記剪
    断エッヂにより金属板を穿孔し、前記孔の周辺部の金属
    板の材料が塑性加工されながら前記環状溝内に導入され
    ることにより、前記金属板に固着されるようになった円
    形のピアスナットにおいて、 前記底壁の表面の中央領域に、円周方向に延びる少なく
    とも1つの隆起部を設け、 前記ピアスナットを前記金属板に固着する際に、前記孔
    の周辺部の金属板の材料を前記隆起部の両側に流れさせ
    るようにしたことを特徴とするピアスナット。
  2. 【請求項2】 前記相対する側壁の両方に、前記環状溝
    の断面形状が先細となる傾斜を設け、引き抜き抗力を増
    強するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のピ
    アスナット。
  3. 【請求項3】 前記隆起部の円周方向垂直断面が、円弧
    状および多角形状のいずれか一方であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載のピアスナット。
  4. 【請求項4】 前記隆起部に複数の不連続部を形成し、
    前記ピアスナットを前記金属板に固着する際に、前記複
    数の不連続部に前記金属板の材料が流れ込むことによ
    り、前記金属板に対する前記ピアスナットの回転抗力を
    増強するようにしたことを特徴とする請求項1、2又は
    3に記載のピアスナット。
  5. 【請求項5】 前記2つの側壁のうちの外側の側壁の内
    周面に、円周方向にほぼ直交する段部を形成し、前記ピ
    アスナットを前記金属板に固着する際に、前記段部に前
    記金属板の材料が流れ込むことにより、前記金属板に対
    する前記ピアスナットの回転抗力を更に増強するように
    したことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の
    ピアスナット。
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