JPH05212111A - 血液ポンプ - Google Patents

血液ポンプ

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JPH05212111A
JPH05212111A JP4047961A JP4796192A JPH05212111A JP H05212111 A JPH05212111 A JP H05212111A JP 4047961 A JP4047961 A JP 4047961A JP 4796192 A JP4796192 A JP 4796192A JP H05212111 A JPH05212111 A JP H05212111A
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pump
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利彦 木島
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の血液ポンプ1は、内部にほぼ円形の
室23が形成され、この室23に連通する血液導入口2
1および血液導出口22を有するハウジング2と、中心
部付近から放射状に配置された複数の血液通路34を有
し、室23内にこれと同心的に収納された回転体3と、
この回転体を室23内において回転可能に支持する軸受
部4とを備えている。前記血液導入口21は、ハウジン
グ2の中心に接続され、回転体3の中心には、前記血液
導入口21に対向する位置に開口35が形成されてお
り、該開口35内には突起部36が形成されている。こ
の突起部36によって、血液が滑らかに各血液通路34
へ分配される。さらに、血液導入口21とハウジング内
面との接続部分と開口35周面には、前記突起部36の
側面361に沿って形成されたガイド面8、9が形成さ
れている。 【効果】 プライミイング量を増加させることなく、搬
送する血液中の細胞の破壊や機能低下を抑制し、低回転
で優れたポンプ特性を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液を搬送する血液ポ
ンプに関し、特に、血液体外循環回路に用いるのに好適
な遠心型の血液ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】血液や血漿等の生物学的流体を搬送する
ポンプ装置としては、米国特許第4589822号明細
書、特公昭57−23114号公報に記載されたもの等
が知られている。これらはいずれも、遠心力によって血
液を送り出すターボ型のポンプであり、前者は一般的な
オープン型の多翼ベーンの回転によって遠心力を発生
し、後者は複数の円錐状のローテータ間の摩擦力を利用
して遠心力を発生するものである。
【0003】ところで、血液ポンプによる血液の搬送に
おいては、血液中の血球や血小板のごとき有用な細胞
(有形成分)の破壊や機能の低下を極力少なくするこ
と、異物反応や温度上昇等により血液が凝固しないよう
にすること、ポンプ内に充填される血液量(プライミイ
ング量)をできるだけ少なくすること、およびポンプ効
率を高めることが重要な課題とされている。
【0004】これらの課題うち、血液中の細胞の破壊や
機能の低下については、送血時においてポンプ内に血液
の流れの乱れが生じることが大きな原因であることが知
られている。この点に関し、特公昭57−23114号
公報に示されている血液ポンプでは、複数の円錐面状の
ローテータ間の摩擦力によって流体に遠心力を付与する
ポンプであり、ローテータ間の血液通路に流れの乱れが
生じ難く、よって、細胞の破壊が少ないポンプとして知
られている(ハイドロダイナミカル アンドヘモダイナ
ミカル エバレーション オブ ロータリー ブラッド
ポンプズ:インター ワークショップ オン ロータ
リー ブラッド ポンプズ ウィーン1988 76−
81ページ(Hydrodynamical and Hemodynamical Evalua
tionof Rotary Blood Pumps:Inter.Workshop on Rotar
y Blood Pumps Vienna 1988pp76-81) )。
【0005】しかしながら、この血液ポンプは、一般的
なベーンを用いたポンプに比べるとポンプ効率が悪く、
同サイズのベーン型ポンプに比べ、同等の揚程を発生す
るためには、かなり高い回転数を必要とする。このた
め、回転軸のシール部分に局所的な発熱が生じ、その周
囲の血液が変性、凝固してしまうという欠点がある。
【0006】また、この血液ポンプは、同サイズのベー
ン型ポンプと同等の吐出量を得るためには、複数枚のロ
ーテータを必要とするため、これらを収納するケーシン
グ内の空間の容量が増し、この空間に充填される血液量
(プライミイング量)が増加するという欠点がある。
【0007】一方、米国特許第4589822号明細書
に示されている血液ポンプは、軸シール部の局所発熱を
低減するために、中心部に大きな開口部を有するオープ
ン型の多翼ベーンを用いてシール部周囲の血液の流速を
上げ、さらにヒートシンク構造を付加することを提案し
ている。
【0008】しかしながら、このようなオープン型の多
翼ベーンによる血液ポンプでは、ベーン間を血液が流れ
る際にうず流や逆流が生じ、流れの乱れが発生し易いた
め、赤血球の破壊(溶血)や血小板の機能低下が生じ易
く、長時間の使用には適さないという問題があった。
【0009】なお、一般に、血液ポンプを大型にすれ
ば、より低い回転数で高い揚程が得られ、この回転数の
低下によって細胞の破壊や血液の凝固が抑制されるが、
同時に、ポンプ内に充填される血液量(プライミイング
量)が増大するため、前記課題を両立することはできな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
イミイング量を増加させることなく、血液中の細胞の破
壊や機能低下を抑制し、低回転で優れたポンプ特性を発
揮する血液ポンプを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)の本発明により達成される。また、下記(2)〜
(5)であるのが好ましい。
【0012】(1) 内部にほぼ円形の室が形成され、
この室に連通する血液導出口と、前記室に連通し、その
中心部に形成された血液導入口とを有するハウジング
と、中心部に前記血液導入口に対向して形成された開口
と、この開口から放射状に配置された複数の血液通路を
有し、前記室内にこれと同心的に収納された回転体と、
前記回転体を前記室内において回転可能に支持する軸受
部とを備える血液ポンプであって、前記回転体の中心に
前記血液導入口へ向けて突出する突起部が設けられ、前
記開口の内周面、および前記血液導入口とハウジング内
面との接続部分に、前記突起部の外周面に対面するガイ
ド面が設けられ、前記突起部の外周面と前記ガイド面と
の間に、前記血液導入口からの血流を各血液通路へ分配
する拡開流路が形成されていることを特徴とする血液ポ
ンプ。
【0013】(2) 前記血液通路は、この血液通路内
の血液の流れ方向に沿って断面積が実質的に一定かまた
は連続的に減少するように形成されている上記(1)に
記載の血液ポンプ。
【0014】(3) 前記血液通路は管状である上記
(1)または(2)に記載の血液ポンプ。
【0015】(4) 前記血液通路は直線形状をなして
いる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の血液ポ
ンプ。
【0016】(5) 前記血液通路は、その中心線が前
記回転体の中心軸と75〜90°の角度をなすように形
成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載
の血液ポンプ。
【0017】(6) 前記開口に形成されたガイド面
は、前記血液導入口に形成されたガイド面の延長面内
か、またはその外側に位置する上記(1)ないし(5)
いずれかに記載の血液ポンプ。
【0018】
【発明の構成】以下、本発明の血液ポンプを添付図面に
示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】図1は、本発明の血液ポンプの構成例を示
す断面側面図、図2は、図1中のA−A線における断面
図である。これらの図に示すように、本発明の血液ポン
プ1は、内部にほぼ円形の室23を有するとともに、こ
の室23に連通する血液導入口21および血液導出口2
2を有するハウジング2と、中心部付近から放射状に配
置された複数の血液通路34を有し、室23内にこれと
同心的に収納された回転体3と、この回転体を室23内
において回転可能に支持する軸受部4とを備えている。
以下、各構成要件について説明する。
【0020】ハウジング2は、図1に示すように、全体
がほぼ円筒形を呈し、その内部には、扁平でほぼ円形の
室23が形成されている。また、ハウジング2の頂部中
央には、室23に連通する血液導入口21が室23の軸
線方向に突出するよう設けられ、ハウジング2の側部に
は、室23に連通する血液導出口22が室23の接線方
向に突出するよう設けられている。血液は、血液導入口
21から室23内に導入され、血液導出口22から吐出
される。
【0021】このようなハウジング2の室23内には、
扁平な円盤状の回転体3が室23と同心的に、かつ回転
可能に収納されている。この回転体3は、板状のカバー
31と、多極着磁された円盤状の従動マグネット32が
埋設されたシュラウド33とから構成されており、カバ
ー31とシュラウド33との間には、図2に示すよう
に、回転体3の中心部付近から放射状に配置された複数
(図示の例では6本)の管状の血液通路34が形成され
ている。カバー31とシュラウド33とを別部材により
構成する場合には、シュラウド33に血液通路34とな
る溝を形成し、この溝の上部開放面をカバー31によっ
て遮蔽することにより、閉じた管状の血液通路34が形
成される。
【0022】ハウジング2、カバー31およびシュラウ
ド33のそれぞれの構成材料としては、例えば、硬質ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリメチル
メタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレ
フタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリサル
フォン、ポリアリレート等の各種硬質樹脂が挙げられ
る。これらのうちでも、特に、毒性がなく、血液との適
合性に優れ、また、透明性があり、成形加工性に優れる
という点で、ポリカーボネート、アクリル樹脂が好まし
い。
【0023】なお、カバー31の厚さは、特に限定され
ないが、0.5〜3mm程度、好ましくは1〜2mm程度あ
るとよい。
【0024】カバー31には、血液導入口21からハウ
ジング2内に導入された血液を、血液通路34へ案内す
る円形の開口35が設けられている。すなわち、血液導
入口21からハウジング2内に導入された血液は、開口
35を通って各血液通路34に分配、導入され、回転体
3の回転により遠心力が付与されて各血液通路34内を
回転体3の外周へ向かって流れ、さらに血液通路外へ流
出した血液は、ハウジング2の内周面と回転体3の外周
面との間の空間7を通り、血液導出口22から吐出され
るものである。
【0025】各血液通路34は、回転体3の中心部付近
から外周に向かって直線的な形状をなしている。そし
て、血液通路34の横断面は四角形状をなし、その断面
積(横断面積)は血液通路内の血液の流れ方向に沿って
実質的に一定となっている。これにより、血液流路34
内を流れる血液の流速はほぼ一定となり、その結果、う
ず流が生じ難くなり、流れの乱れの発生が抑制されるの
で、血液中の細胞の破壊、損傷および機能低下(以下、
溶血で代表する)が抑制される。特に、血液通路34が
直線的な形状であることから、ポンプ特性を低下させる
ことなく、よりプライミング量を減少させることができ
る。
【0026】ここで、血液通路34の横断面積が実質的
に一定とは、血液通路34の横断面積が完全に一定であ
る場合のみならず、例えば、血液通路34の内面にわず
かなテーパが形成され、その結果血液通路34の横断面
積が若干増加するが、血液流路34内を流れる血液の流
速はほとんど変化しない程度である状態をも含む概念で
ある。
【0027】カバー31とシュラウド33とを一体成形
して回転体3を製造する場合に、血液通路34を成形す
る上での抜きテーパとして、血液通路34の内面に1°
程度の勾配が形成されることがあるが、その性能は、血
液通路34の横断面積を血液通路の入口から出口に至る
まで一定とした場合と同等である。そして、このように
回転体3を一体成形物とすれば、血液通路34の内面に
継ぎ目がなく、血栓が発生しにくいという利点がある。
【0028】なお、血液通路34の横断面形状は、四角
形に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、
半円形、半楕円形あるいは四角形以外の多角形であって
もよい。
【0029】回転体3に形成される血液通路34の本数
は、特に限定されないが、通常は、2〜12本程度、特
に4〜8本程度とするのが好ましい。また、1つの血液
通路34の横断面積は、特に限定されないが、通常は、
10〜100mm2 程度、特に20〜50mm2 程度とする
のが好ましい。以上のような本数および横断面積とする
ことにより、プライミング量の低減とポンプ効率の向上
とを両立することができる。
【0030】本発明において、血液通路34は、その横
断面積が血液通路内の血液の流れ方向に沿って連続的に
減少するように形成されていてもよい。これにより、血
液通路内の血液は、回転体3の中心から遠ざかるに従っ
て加速流となり、前記と同様、流れの乱れの発生が抑制
され、血液中の細胞の破壊や機能低下が抑制される。
【0031】この場合、血液通路34の横断面積の減少
率(通路入口端の横断面積に対する通路出口端の横断面
積の割合)は特に限定されないが、通常は、30〜10
0%程度、特に、50〜80%程度とするのが好まし
い。
【0032】なお、このような血液通路34の横断面積
の減少は、横断面が四角形状の血液通路34の場合、そ
の高さおよび/または幅を漸減させることにより可能と
なり、横断面が円形、楕円形、半円形または半楕円形の
血液通路34の場合、その径を漸減させることにより可
能となる。
【0033】本発明において、各血液通路34は、図示
のごとく直線的な形状をなしているものに限らず、適当
な曲率をもって湾曲しているものでもよい。この場合、
回転体3の回転方向に突出するように湾曲しているのが
好ましい。
【0034】また、血液通路34は、その中心線(血液
の流れ方向の中心線)と回転体3の中心軸(突起部36
より図中下方)とのなす角度が約75〜90°、特に7
7〜83°となるように形成されているのが好ましい
(図示の例では、約80°)。このような構成とするこ
とにより、室23内への血液充填時に、血液通路34内
の血液中に存在する気泡をカバー31の内面に沿って開
口35付近まで浮上させ、血液導入口21から除去する
ことが容易に可能となる。なお、上記血液通路34の回
転体3の中心軸に対する角度は、全ての血液通路34に
おいて等しいのが好ましい。
【0035】シュラウド33の回転中心であって、開口
35を臨む位置には、血液導入口21へ向かって突出す
る円錐状の突起部36が形成されている。血液導入口2
1から導入され、開口35を通過した血液は、この突起
部36により放射状に分流される。このような突起部3
6を設けることにより、開口35を通過した血液を各血
液通路34へ均一にかつ効率よく分配することができ、
ポンプ効率が向上する。
【0036】図3に示されているように、突起部36の
外周面と回転体3の中心軸とのなす角度θ1 は、10〜
80°程度、特に30〜60°程度であるのが好まし
い。角度θ1 が80°以上であると、血液導入口21で
の流れ方向の変化が大きくなりすぎる。また、角度θ1
が10°以下であると、血液通路34入口での流れ方向
の変化が大きくなりすぎる。
【0037】また、突起部36の底部の直径D1(最大直
径)は、開口35の直径D2 の25〜100%程度、特
に50〜80%程度であるのが好ましく、突起部36の
高さHは、1〜20mm程度、特に2〜10mm程度とする
のが好ましい。
【0038】突起部36の頂部の位置は、開口35より
図1中下方、開口35内、あるいは開口35より図1中
上方(特に、図4に示されているように、血液導入口2
1内)のいずれでもよい。
【0039】なお、突起部36の形状は、図示のごとき
円錐状に限らず、例えば、砲弾型、半球状等、平断面積
が底面に向かって漸増する他の回転体形状であっても
く、回転体3と同心的に設けられていることが好まし
い。
【0040】このような回転体3は、軸受部4によりハ
ウジング2内において回転可能に支持されている。この
軸受部4は、ハウジング2の底部に固定されたシャフト
41と、シュラウド33内に設置されたベアリング42
とで構成されている。
【0041】ベアリング42は、シュラウド33の中心
に埋設され、その内腔にはシャフト41が嵌入されてい
る。このベアリング42としては、例えば、ボールベア
リング、ローラーベアリングが好適に用いられる。ま
た、その他、すべり軸受等であってもよい。
【0042】シュラウド33の底部であって、シャフト
41の外周には、リング状のシール部材5が固定されて
いる。回転体3の回転に伴い、このシール部材5の図1
中下端のリップ部51がシャフト41の外周面と密着し
つつ摺動し、室23内とシュラウド33の内部とが遮断
される。
【0043】シール部材5の構成材料としては、例え
ば、ポリブタジェン、ポリイソプレン、ポリイソブチレ
ンのような軟質樹脂や、シリコーンゴム、天然ゴム、フ
ッ素ゴム、ポリウレタンのようなエラストマーが好適に
用いられる。これらのうちでも、特に、シャフト41と
の摺動による摩擦熱の発生がより少なく、局所的な血液
の変性、凝固を有効に防止できるという点で、シリコー
ンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、ポリウレタンエラスト
マーが好ましい。
【0044】このようなシール機構は、図示のごときリ
ップシールに限定されず、例えば、弾性体とカウンター
フェイスを用いたフェースシール、摺動部材とカウンタ
ーフェースを用いたメカニカルシール等を適用してもよ
い。
【0045】なお、軸受部4の構造は、図示のものに限
定されず、例えば、シャフト41をシュラウド33に固
定し、ベアリング42をハウジング2の底部に設置し、
所定のシール機構によってベアリング42を室23内か
ら遮断した構造であってもよい。
【0046】さて、本発明では、前記開口35の内周面
に、突起部36の傾斜している外周面361に沿って形
成されたガイド面8が形成され、さらに、ハウジング2
の図1中上部内面と、前記血液導入口21内面との接続
部分に、突起部36の傾斜している外周面361に沿っ
て形成されたガイド面9が形成されている。図示されて
いる場合では、ガイド面8、9は、前記突起部36の外
周面361にほぼ平行に傾斜した斜面として形成されて
いる。なお、前記ガイド面8、9は、血液導入口21と
ハウジング2の内面との接続部分や、開口35の下縁に
形成される角部を面取りした面取り面として認識するこ
ともできる。
【0047】このようなガイド面8、9と、突起部36
の外周面361との間に、底部へ向かって拡開する円錐
環状の拡開流路10が形成される。血液導入口21から
導入された血液は、拡開流路10を通って、各血液通路
34に分配されるが、この拡開流路10において、血液
の流れが円滑かつ均一に調整されるので、血液が流れ込
む際の血液流の流れの乱れが少なくなり、これによる溶
血が抑制される。
【0048】なお、前記ガイド面8、9は、外周面36
1に平行な場合のみでなく、全体の傾斜方向が、外周面
361と同じであればよい。例えばガイド面8、9の中
心線方向の接線の傾きが、血流方向に向けて水平に近付
くような曲面であってもよい(例えば、側断面視での形
状が円弧状であってもよい)。
【0049】また、ガイド面8は、図示されているよう
に、ガイド面9の延長面内か、または該延長面よりも回
転体外周側に位置していることが望ましい。このような
位置とすることによって、血液の流れの乱れが少なくな
り、かつ流入する血液が空間6内に流れ込む量を抑制す
ることができる。
【0050】なお、前記ガイド面9と回転体3の中心軸
とのなす角度θ2 は、10〜80°程度、好ましくは3
0〜60°程度であるとよく、前記ガイド面8と回転体
3の中心軸とのなす角度θ3 は、10〜80°程度、好
ましくは30〜60°程度であるとよい。前記θ2 、お
よびθ3 の大きさは、突起部36の外周面と回転体3の
中心軸とのなす角度θ1 の大きさと同一でも、異なって
いてもよいが、θ2 およびθ3 は、それぞれθ1 以上で
あることが好ましい。さらに、θ2 とθ3 の大きさは、
同一でも異なっていてもよいが、θ3 ≧θ2 であること
が好ましい。
【0051】血液導入口21や開口35の付近では、圧
力が低くなるため、気泡が発生しやすい。特に血液ポン
プ1の上流側から流入した気泡が、この開口35付近に
滞留すると、この気泡が核となって、圧力降下による気
泡の発生が促進される。この結果、キャビテーションの
発生を招き、ポンプ揚程の急激な低下や、キャビテーシ
ョンによって、通常以上の溶血を生じさせることとな
る。
【0052】しかし、以上のように突起部36と、ガイ
ド面8、9とによって、拡開流路10を設けることによ
って、血流の流れ方向を滑らかに変化させ、流入する気
泡の滞留を防止しできるなど、エアハンドリング特性が
向上する結果、核となる気泡が滞留せず、さらに、流入
する血液の流れの乱れが著減されるので、開口35に血
液が流入する際のキャビテーションの発生が抑制され、
揚程の急降下や、溶血の増加を少なくすることができ
る。
【0053】このような血液ポンプ1を駆動するに際し
ては、ハウジング2の底部に外部駆動手段(図示せず)
を装着する。この外部駆動手段は、例えば、モータと、
その回転子の軸と同軸に固定されている多極着磁された
駆動マグネットとを有し、駆動マグネットが血液ポンプ
1に内蔵された従動マグネット32に対面して、これら
が相互に吸引するように装着される。モータの回転によ
り駆動マグネットが回転すると、その回転力は非接触で
従動マグネット32に伝達され、回転体3が図2中反時
計回りに回転する。これにより、血液導入口21からハ
ウジング2内に導入された血液は、開口35を通って各
血液通路34に分配、導入され、さらに遠心力が付与さ
れて各血液通路34内を回転体3の外周へ向かって流
れ、血液通路外へ流出した後、空間7を通り、血液導出
口22から吐出される。
【0054】なお、外部駆動手段は、偏平型のステータ
コイルのみで構成され、従動マグネット32をこのステ
ータコイルにて直接駆動する偏平型ブラシレスモータ構
造とすることも可能である。
【0055】また、回転体3へのトルク伝達を駆動マグ
ネットと従動マグネット32との吸引により行わず、回
転体3の回転軸と外部駆動手段側の駆動軸とを着脱自在
なカップリング機構によって連結した構成としてもよ
い。
【0056】また、このような外部駆動手段を用いず、
血液ポンプ1に駆動手段(モータ)を内蔵した構成とし
てもよい。この場合、駆動手段の回転軸と回転体3の回
転軸とを直結した構造とすることができる。
【0057】本発明の血液ポンプの用途は特に限定され
ないが、上述したような作用、効果を有することから、
例えば、心臓手術や呼吸不全の際の呼吸補助(ECM
O)、緊急用補助循環システム(EBS)、左心バイパ
ス(LHB)、補助人工心臓(VAD)のような血液体
外循環回路に用いられるのが好ましい。
【0058】以上、本発明の血液ポンプを図示の構成例
について説明したが、本発明は、これに限定されるもの
ではない。なお、本発明の血液ポンプは、例えば、血漿
のような血液以外の体液(生物学的流体)の送液や、そ
の他、熱によって変性し易い物質を含む液体の送液に応
用することもでき、同様の効果が得られる。
【0059】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
る。 (実施例1)図1に示す構造の血液ポンプを製造した。
各部の条件は、次の通りである。
【0060】<ハウジング> ・材質 :アクリル樹脂 ・室の半径 :42mm ・プライミング量 :47ml ・血液導入口内径 : 8mm ・血液導出口内径 : 8mm ・ガイド面と回転体の中心軸とのなす角度θ2 :45°
【0061】<回転体> ・材質 :ポリカーボネート樹脂 ・半径 :39mm ・カバーの開口径D2 :19mm ・カバーの厚さ :2mm ・ガイド面と回転体の中心軸とのなす角度θ3 :45° ・血液通路本数 : 6本(等角度をなすよう配
置) ・血液通路の横断面積:32mm2 (通路全長にわたって
一定) ・血液通路の中心線と回転体の中心軸とのなす角度:8
0° ・突起部の外周面と回転体の中心軸とのなす角度θ1
45° ・突起部の底部直径D1:15mm ・従動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・従動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
8mm
【0062】<外部駆動装置> ・モータ :ブラシレスDCモータ(90
w) ・駆動マグネット :リング状6極着磁フェライトマ
グネット ・駆動マグネット寸法:外径70mm、内径32mm、厚さ
10mm ・駆動マグネットと従動マグネットの設置間隔:8.5
mm
【0063】(比較例)特公昭57−23114号公報
に基づいて作成されている血液ポンプ(Biomedi
cus社、モデルBP−80)を用いた。
【0064】[ポンプ回転数の測定]実施例1および比
較例の各血液ポンプについて、ヘマトクリット値38%
の血液1800mlを用い、吐出圧力400mmHg、流量3
L/min の条件となるように運転したところ、その動作点
での回転数は、実施例1の血液ポンプが2150rpm、
比較例の血液ポンプが2900rpm であった。これによ
り、本発明の実施例1の血液ポンプは、比較例の血液ポ
ンプに比べて、より低回転で同等の吐出圧力を得ること
ができることが確認された。
【0065】[溶血率の測定]実施例1および比較例の
各血液ポンプについて、ヘマトクリット値38%の血液
1800mlを用い、吐出圧力400mmHg、流量3L/min
の条件で運転し、溶血率(血液中のフリーヘモグロビン
濃度)の経時的変化を調べた。その結果、本発明の実施
例1の各血液ポンプは、比較例の血液ポンプに比べ、溶
血率(溶血量)が低く、特に、長時間(180分以上)
ポンプを運転したときでも、溶血率(溶血量)の上昇が
少ないことがわかった。
【0066】[ポンプ特性の測定]実施例1および比較
例の各血液ポンプを用い、粘度4cPのグリセリン溶液を
送液し、ポンプの吐出圧力(揚程(mmHg))を測定し
た。なお、この測定は、回転数2000rpm において、
ポンプ流量(L/min )を変えることにより行った。その
結果を下記表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】上記表1に示すように、本発明の実施例1
の血液ポンプは、比較例の血液ポンプに比べ、優れたポ
ンプ特性を発揮することがわかる。
【0069】[エアハンドリング特性の評価]実施例1
および比較例の各血液ポンプを、生理食塩水を用いて、
流量4L/min、血液導入口の圧力が−200mmHgとなる
ように運転し、ポンプ上流から0.1ccの空気を注入し
た。その結果、比較例は、キャビテーションが発生し、
20分後にポンプ内の空気を採取すると、0.2〜0.
6cc程度に増加していた。
【0070】実施例1では、注入された気泡は、一部が
開口に2分程度滞留するのみで、ほぼすべて排出され、
キャビテーションの発生も見られず、優れたエアハンド
リング特性が発揮された。
【0071】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の血液ポンプ
によれば、プライミイング量を増加させることなく、搬
送する血液中の細胞の破壊や機能低下を抑制し、より低
回転で、キャビテーションの発生が少なく、優れたポン
プ特性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血液ポンプの構成例を示す断面側面図
である。
【図2】図1中のA−A線における断面図である。
【図3】図1中の突起部および開口部分の拡大断面図で
ある。
【符号の説明】
1 血液ポンプ 2 ハウジング 21 血液導入口 22 血液導出口 220 開口 23 室 24 ハウジング内周面 25 縁部 3 回転体 31 カバー 32 従動マグネット 33 シュラウド 34 血液通路 35 開口 36 突起部 361 外周面 362 頂部 4 軸受部 41 シャフト 42 ベアリング 5 シール部材 51 リップ部 6 空間 7 空間 8 ガイド面 9 ガイド面 10 拡開流路

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にほぼ円形の室が形成され、この室
    に連通する血液導出口と、前記室に連通し、その中心部
    に形成された血液導入口とを有するハウジングと、 中心部に前記血液導入口に対向して形成された開口と、
    この開口から放射状に配置された複数の血液通路を有
    し、前記室内にこれと同心的に収納された回転体と、 前記回転体を前記室内において回転可能に支持する軸受
    部とを備える血液ポンプであって、 前記回転体の中心に前記血液導入口へ向けて突出する突
    起部が設けられ、 前記開口の内周面、および前記血液導入口とハウジング
    内面との接続部分に、前記突起部の外周面に対面するガ
    イド面が設けられ、 前記突起部の外周面と前記ガイド面との間に、前記血液
    導入口からの血流を各血液通路へ分配する拡開流路が形
    成されていることを特徴とする血液ポンプ。
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