JPH05205786A - 酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池 - Google Patents
酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池Info
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- JPH05205786A JPH05205786A JP1456792A JP1456792A JPH05205786A JP H05205786 A JPH05205786 A JP H05205786A JP 1456792 A JP1456792 A JP 1456792A JP 1456792 A JP1456792 A JP 1456792A JP H05205786 A JPH05205786 A JP H05205786A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 酸素を活物質に用いるガス拡散電極を備えた
電池の、貯蔵性や長期使用における性能を向上する酸素
透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池を提供する
ことを目的とする。 【構成】 多孔性膜に溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒
鉛の混合物を塗布し、水蒸気の透過を抑え酸素を選択的
に取り込む酸素透過性複合膜11を得た。これにより、
低負荷から高負荷までに至る放電条件で満足な放電性能
が得られ、また貯蔵性や長期使用における性能に優れた
電池を得ることができる。
電池の、貯蔵性や長期使用における性能を向上する酸素
透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池を提供する
ことを目的とする。 【構成】 多孔性膜に溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒
鉛の混合物を塗布し、水蒸気の透過を抑え酸素を選択的
に取り込む酸素透過性複合膜11を得た。これにより、
低負荷から高負荷までに至る放電条件で満足な放電性能
が得られ、また貯蔵性や長期使用における性能に優れた
電池を得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素透過性複合膜およ
びその複合膜を用いた電池に関し、特に酸素を活物質に
用いるガス拡散電極を備えた電池の酸素透過性複合膜お
よびその複合膜を用いた電池に関する。
びその複合膜を用いた電池に関し、特に酸素を活物質に
用いるガス拡散電極を備えた電池の酸素透過性複合膜お
よびその複合膜を用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】ガス拡散電極を備え、酸素を活物質とす
る電池としては、空気電池、燃料電池などがある。電解
質には、アルカリ性、中性、酸性の電解質かまたは固体
電解質が使用される。
る電池としては、空気電池、燃料電池などがある。電解
質には、アルカリ性、中性、酸性の電解質かまたは固体
電解質が使用される。
【0003】特に、溶液を電解質として使用する電池に
おいては、ガス拡散電極(酸素極)より、内部の電解液
の蒸気圧に応じて水蒸気の出入りがあり、電池内電解液
の濃度変化、体積変化が起こり、これが電池諸特性に影
響を与えていた。ボタン形電池を例にとり、図2を用い
てその状況を説明する。図中、1は酸素極(空気極)、
2はガスの拡散性はあるが、液体は阻止するポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)製撥水膜である。3は外
部からの空気取り入れ孔、4は酸素極の支持と空気の拡
散を行う多孔膜、5,6はセパレータ、7は水酸化カリ
ウム水溶液と汞化亜鉛粉末との混合体からなる負極であ
る。一般にアルカリ電解液には水酸化カリウム水溶液を
使用し、その濃度は30〜35%である。このため、相
対湿度が47〜59%より高いと、外部の湿気を取り込
み電解液濃度の低下と体積膨脹とが起こり、放電性能の
低下、電解液の漏液を生じていた。一方、相対湿度が前
記以下の場合には電解液の蒸発が起こり、内部抵抗の増
大や放電性能の低下をもたらしていた。したがって、環
境雰囲気によって著しい影響を受けやすいため長期保存
後の特性に問題があり、空気電池や燃料電池はある特定
の分野用に設計されるにとどまり、汎用化を図る上で大
きな課題を有していた。なお、図中8は負極容器、9は
絶縁ガスケット、10は正極容器である。
おいては、ガス拡散電極(酸素極)より、内部の電解液
の蒸気圧に応じて水蒸気の出入りがあり、電池内電解液
の濃度変化、体積変化が起こり、これが電池諸特性に影
響を与えていた。ボタン形電池を例にとり、図2を用い
てその状況を説明する。図中、1は酸素極(空気極)、
2はガスの拡散性はあるが、液体は阻止するポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)製撥水膜である。3は外
部からの空気取り入れ孔、4は酸素極の支持と空気の拡
散を行う多孔膜、5,6はセパレータ、7は水酸化カリ
ウム水溶液と汞化亜鉛粉末との混合体からなる負極であ
る。一般にアルカリ電解液には水酸化カリウム水溶液を
使用し、その濃度は30〜35%である。このため、相
対湿度が47〜59%より高いと、外部の湿気を取り込
み電解液濃度の低下と体積膨脹とが起こり、放電性能の
低下、電解液の漏液を生じていた。一方、相対湿度が前
記以下の場合には電解液の蒸発が起こり、内部抵抗の増
大や放電性能の低下をもたらしていた。したがって、環
境雰囲気によって著しい影響を受けやすいため長期保存
後の特性に問題があり、空気電池や燃料電池はある特定
の分野用に設計されるにとどまり、汎用化を図る上で大
きな課題を有していた。なお、図中8は負極容器、9は
絶縁ガスケット、10は正極容器である。
【0004】これらの課題を改善するため、従来より種
々の対策が検討されてきた。例えば、空気孔周辺の一部
に電解液と反応する物質を挿入し、電池外部への電解液
漏出を防止する。あるいは紙または高分子材料よりなる
不織布などの電解液吸収材を設けて、電池外部への電解
液漏出を防止する。さらには空気取り入れ孔を極端に小
さくして酸素の供給量を制限してまでも、水蒸気や炭酸
ガスの電池内部への侵入を防止するなどの提案がなされ
ている。しかし、いずれの方法も漏液防止や放電性能、
特に長期間での性能に大きな課題を残していた。これら
の主要原因は空気中の水蒸気の電池内への侵入による電
解液の希釈と体積膨脹、および炭酸ガスの侵入による炭
酸塩の生成に基づく放電反応の阻害と空気流通経路の閉
塞によるもので、外気が低湿の場合には逆に電解液中の
水分の蒸発が性能低下の原因となっていた。この原因を
取り除くため、近年では、水蒸気や炭酸ガスの透過を抑
制し、選択的に酸素を優先して透過する膜を介して空気
を酸素極に供給する方法、例えばポリシロキサン系の無
孔性の均質な薄膜や金属酸化物、あるいは金属原子を含
有する有機化合物の薄膜と適宜な多孔質膜とを一体化さ
せた膜とを用いる方法が提案されていた。
々の対策が検討されてきた。例えば、空気孔周辺の一部
に電解液と反応する物質を挿入し、電池外部への電解液
漏出を防止する。あるいは紙または高分子材料よりなる
不織布などの電解液吸収材を設けて、電池外部への電解
液漏出を防止する。さらには空気取り入れ孔を極端に小
さくして酸素の供給量を制限してまでも、水蒸気や炭酸
ガスの電池内部への侵入を防止するなどの提案がなされ
ている。しかし、いずれの方法も漏液防止や放電性能、
特に長期間での性能に大きな課題を残していた。これら
の主要原因は空気中の水蒸気の電池内への侵入による電
解液の希釈と体積膨脹、および炭酸ガスの侵入による炭
酸塩の生成に基づく放電反応の阻害と空気流通経路の閉
塞によるもので、外気が低湿の場合には逆に電解液中の
水分の蒸発が性能低下の原因となっていた。この原因を
取り除くため、近年では、水蒸気や炭酸ガスの透過を抑
制し、選択的に酸素を優先して透過する膜を介して空気
を酸素極に供給する方法、例えばポリシロキサン系の無
孔性の均質な薄膜や金属酸化物、あるいは金属原子を含
有する有機化合物の薄膜と適宜な多孔質膜とを一体化さ
せた膜とを用いる方法が提案されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在ま
でのところ、十分に有効な酸素ガス選択透過性が得られ
ないことや水蒸気、炭酸ガスの透過阻止能が十分でない
ことから、満足な放電性能が得られず、長期の使用や貯
蔵に耐えられないという技術課題をもっていた。
でのところ、十分に有効な酸素ガス選択透過性が得られ
ないことや水蒸気、炭酸ガスの透過阻止能が十分でない
ことから、満足な放電性能が得られず、長期の使用や貯
蔵に耐えられないという技術課題をもっていた。
【0006】そこで本発明は上記の電池の貯蔵性、長期
使用における性能を改善するとともに低負荷から高負荷
に至る放電条件で満足な放電性能を得るために、大気中
の酸素ガスを選択的に電池内に取り入れ、大気中の水蒸
気および炭酸ガスの電池内への侵入を長期にわたり防止
する有効な酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた
電池を提供することを目的とする。
使用における性能を改善するとともに低負荷から高負荷
に至る放電条件で満足な放電性能を得るために、大気中
の酸素ガスを選択的に電池内に取り入れ、大気中の水蒸
気および炭酸ガスの電池内への侵入を長期にわたり防止
する有効な酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた
電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の酸素透過性複合膜は、溶媒可溶性ふっ素樹
脂と、ふっ化黒鉛との混合物を塗布した多孔性高分子膜
を主体として構成するものである。また本発明の上記複
合膜を用いた電池は、酸素を活物質とするガス拡散電極
と、外気に通じる空気取り入れ孔を有する電池容器を備
え、前記ガス拡散電極の空気取り入れ側と前記電池容器
の内側との間に、溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛と
の混合物を塗布した多孔性高分子膜を主体として構成す
る酸素透過性複合膜を介在させたものである。
め、本発明の酸素透過性複合膜は、溶媒可溶性ふっ素樹
脂と、ふっ化黒鉛との混合物を塗布した多孔性高分子膜
を主体として構成するものである。また本発明の上記複
合膜を用いた電池は、酸素を活物質とするガス拡散電極
と、外気に通じる空気取り入れ孔を有する電池容器を備
え、前記ガス拡散電極の空気取り入れ側と前記電池容器
の内側との間に、溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛と
の混合物を塗布した多孔性高分子膜を主体として構成す
る酸素透過性複合膜を介在させたものである。
【0008】
【作用】一般にふっ素系高分子物質は撥水性に富み、か
つ耐薬品性に優れており、溶媒可溶性ふっ素樹脂だけを
多孔性高分子膜に塗布した場合にも優れた酸素選択性透
過膜が得られるが、この場合には多孔性高分子膜とふっ
素樹脂との親和性が小さいため、ふっ素樹脂が不均一に
凝集し、特に塗布量が少ない場合には多孔膜表面全体を
ふっ素樹脂で覆うことが難しいという問題点があった。
このため多孔性高分子膜表面全体がふっ素樹脂で覆われ
た膜を安定して作るにはある程度塗布量を多くする必要
があるが、そうすると酸素透過速度をより向上させるこ
とが困難である。本発明は溶媒可溶性ふっ素樹脂中にふ
っ化黒鉛の粉体を混合することで塗布量が多い場合にも
酸素透過速度が向上することを見出したもので、この構
成により上述の複合膜は気体透過率測定装置およびカッ
プ法によるガス透過速度の測定結果、並びに電池試験の
結果からも明らかなように、電池用としての良好な酸素
透過速度と、水蒸気や炭酸ガスを大気から遮断する効果
をともに満足すべき状態に保ち、実用的な電池に要求さ
れる高負荷放電性能と、高湿度や低湿度の雰囲気下で長
時間放電した場合の性能もともに満足することとなる。
つ耐薬品性に優れており、溶媒可溶性ふっ素樹脂だけを
多孔性高分子膜に塗布した場合にも優れた酸素選択性透
過膜が得られるが、この場合には多孔性高分子膜とふっ
素樹脂との親和性が小さいため、ふっ素樹脂が不均一に
凝集し、特に塗布量が少ない場合には多孔膜表面全体を
ふっ素樹脂で覆うことが難しいという問題点があった。
このため多孔性高分子膜表面全体がふっ素樹脂で覆われ
た膜を安定して作るにはある程度塗布量を多くする必要
があるが、そうすると酸素透過速度をより向上させるこ
とが困難である。本発明は溶媒可溶性ふっ素樹脂中にふ
っ化黒鉛の粉体を混合することで塗布量が多い場合にも
酸素透過速度が向上することを見出したもので、この構
成により上述の複合膜は気体透過率測定装置およびカッ
プ法によるガス透過速度の測定結果、並びに電池試験の
結果からも明らかなように、電池用としての良好な酸素
透過速度と、水蒸気や炭酸ガスを大気から遮断する効果
をともに満足すべき状態に保ち、実用的な電池に要求さ
れる高負荷放電性能と、高湿度や低湿度の雰囲気下で長
時間放電した場合の性能もともに満足することとなる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例の酸素透過性複合膜お
よびその複合膜を用いた電池を図面を参照して説明す
る。
よびその複合膜を用いた電池を図面を参照して説明す
る。
【0010】溶媒可溶性ふっ素樹脂(商品名:サイトッ
プ、旭硝子(株)製)2.5wt%溶液1ミリリットル
にふっ化黒鉛30mgを加え十分に攪拌、分散させる。
場合によっては超音波を当てることにより、均一な分散
混合物を得る。支持膜であるふっ素樹脂系多孔性高分子
膜上に金枠を設け、これに上記の分散混合物を塗布した
後、溶媒を室温で自然蒸発させることにより、実施例1
の酸素透過性複合膜(以下複合膜という)を得る。
プ、旭硝子(株)製)2.5wt%溶液1ミリリットル
にふっ化黒鉛30mgを加え十分に攪拌、分散させる。
場合によっては超音波を当てることにより、均一な分散
混合物を得る。支持膜であるふっ素樹脂系多孔性高分子
膜上に金枠を設け、これに上記の分散混合物を塗布した
後、溶媒を室温で自然蒸発させることにより、実施例1
の酸素透過性複合膜(以下複合膜という)を得る。
【0011】実施例1でふっ化黒鉛を70mgとしたも
のを実施例2とする。実施例1でふっ化黒鉛を100m
gとしたものを実施例3とする。
のを実施例2とする。実施例1でふっ化黒鉛を100m
gとしたものを実施例3とする。
【0012】実施例1で支持膜をポリエーテルスルフォ
ンにしたものを実施例4とする。実施例1で支持膜をポ
リオレフィン系多孔膜にしたものを実施例5とする。
ンにしたものを実施例4とする。実施例1で支持膜をポ
リオレフィン系多孔膜にしたものを実施例5とする。
【0013】ふっ素樹脂多孔膜のみを用いたものを比較
例1とする。実施例1でふっ化黒鉛を混合していないも
のを比較例2とする。
例1とする。実施例1でふっ化黒鉛を混合していないも
のを比較例2とする。
【0014】以上の実施例1〜5までの複合膜と比較例
1,2の膜の酸素透過速度を差圧式ガス透過率測定装置
(柳本製作所(株)製、GTR−10XD)を用いて測
定し、水蒸気の透過速度をJIS−Z0208に準じた
カップ法により測定した。
1,2の膜の酸素透過速度を差圧式ガス透過率測定装置
(柳本製作所(株)製、GTR−10XD)を用いて測
定し、水蒸気の透過速度をJIS−Z0208に準じた
カップ法により測定した。
【0015】以上の結果を(表1)に示した。
【0016】
【表1】
【0017】なお、(表1)中の分離比は(酸素の透過
速度)/(水蒸気の透過速度)であり、水蒸気に対する
酸素の選択透過性を示すものである。
速度)/(水蒸気の透過速度)であり、水蒸気に対する
酸素の選択透過性を示すものである。
【0018】比較例2は支持膜である多孔質高分子膜表
面を安定に覆うために十分な量の溶媒可溶性ふっ素樹脂
を塗布したものであるが、この場合ふっ素樹脂の塗布量
が多いため酸素透過速度が低く、空気亜鉛電池に適用し
た場合、高負荷放電が困難である。比較例2と比較し
て、実施例1〜5の溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛
の混合物から成る複合膜は溶媒可溶性ふっ素樹脂だけか
らなる複合膜よりもわずかに水蒸気透過速度が上がって
いるが、酸素透過速度はそれ以上に向上している。つま
り、分離比において、ふっ化黒鉛を混合した複合膜は、
ふっ化黒鉛を混合していない膜よりも優れている。ま
た、実施例1〜3からわかるように、ふっ化黒鉛の添加
量を変化させることにより水蒸気透過速度を大きく変化
させず酸素透過速度を変化させることが可能である。
面を安定に覆うために十分な量の溶媒可溶性ふっ素樹脂
を塗布したものであるが、この場合ふっ素樹脂の塗布量
が多いため酸素透過速度が低く、空気亜鉛電池に適用し
た場合、高負荷放電が困難である。比較例2と比較し
て、実施例1〜5の溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛
の混合物から成る複合膜は溶媒可溶性ふっ素樹脂だけか
らなる複合膜よりもわずかに水蒸気透過速度が上がって
いるが、酸素透過速度はそれ以上に向上している。つま
り、分離比において、ふっ化黒鉛を混合した複合膜は、
ふっ化黒鉛を混合していない膜よりも優れている。ま
た、実施例1〜3からわかるように、ふっ化黒鉛の添加
量を変化させることにより水蒸気透過速度を大きく変化
させず酸素透過速度を変化させることが可能である。
【0019】また、本実施例の効果を確認するために、
実施例1および実施例4,5のふっ化黒鉛を混合した複
合膜を使用した電池と、複合膜を使用していない電池
(比較例1,2)を試作し、評価、検討した。実施例に
おいては試験の便宜上、図1に示すボタン形電池を構成
した。図1において、複合膜11を用いている以外の構
成は、図2のボタン形電池の構成と同一のためその説明
を省略する。まず、複合膜を使用していない比較例1の
場合は図2と全く同一に構成した。比較例2の場合は、
溶媒可溶性ふっ素樹脂のみを塗布した多孔性高分子膜を
複合膜11の代りに用いている。複合膜11を使用した
実施例は、図1に示すようにPTFEの撥水膜2と酸素
の拡散を行う多孔膜4との間にそれぞれの実施例の複合
膜11が介在した構成としたものである。試作した電池
の寸法は直径11.6mm、総高5.4mmであり、比較的
高負荷(75Ω)で20℃、常湿(60%RH)での連
続放電により電池内への空気中の酸素の取り込み速度の
充足性を評価し、比較的低負荷(3kΩ)で20℃、高
湿度(90%RH)、および低湿度(20%RH)での
長期間連続放電により、長期の放電期間中における雰囲
気からの水蒸気の電池内への取り込みや電池内の水分の
蒸発、および炭酸ガスの取り込みなど電池性能への影響
度を評価した。(表2)に試作電池の内訳を示す。
実施例1および実施例4,5のふっ化黒鉛を混合した複
合膜を使用した電池と、複合膜を使用していない電池
(比較例1,2)を試作し、評価、検討した。実施例に
おいては試験の便宜上、図1に示すボタン形電池を構成
した。図1において、複合膜11を用いている以外の構
成は、図2のボタン形電池の構成と同一のためその説明
を省略する。まず、複合膜を使用していない比較例1の
場合は図2と全く同一に構成した。比較例2の場合は、
溶媒可溶性ふっ素樹脂のみを塗布した多孔性高分子膜を
複合膜11の代りに用いている。複合膜11を使用した
実施例は、図1に示すようにPTFEの撥水膜2と酸素
の拡散を行う多孔膜4との間にそれぞれの実施例の複合
膜11が介在した構成としたものである。試作した電池
の寸法は直径11.6mm、総高5.4mmであり、比較的
高負荷(75Ω)で20℃、常湿(60%RH)での連
続放電により電池内への空気中の酸素の取り込み速度の
充足性を評価し、比較的低負荷(3kΩ)で20℃、高
湿度(90%RH)、および低湿度(20%RH)での
長期間連続放電により、長期の放電期間中における雰囲
気からの水蒸気の電池内への取り込みや電池内の水分の
蒸発、および炭酸ガスの取り込みなど電池性能への影響
度を評価した。(表2)に試作電池の内訳を示す。
【0020】
【表2】
【0021】(表2)において放電終止電圧はいずれも
0.9Vであり、重量変化は放電試験前後の増減を示し
ており、主として放電中の水分の取り込み、あるいは蒸
発の多少を示唆する数値である。これらの電池の特性を
複合膜を使用していない比較例1と対比すると最も端的
に本実施例の効果が説明できる。まず20℃、常温での
高負荷試験では放電期間が短く、水分の取り込みや蒸発
の影響や炭酸ガスの影響が少ないので、電池の性能は酸
素の供給速度が十分であれば水分や炭酸ガスの透過阻止
はあまり考慮する必要がない。したがって、このような
条件では比較例1でも優れた特性が得られる。一方、高
負荷放電に対する酸素透過速度が十分ではない比較例2
では、放電時間が非常に短くなっている。これに対し、
前述の実施例1および実施例4,5は比較例1と同等の
放電特性が得られており、複合膜を酸素が透過する速度
が、放電反応で酸素が消費される速度に十分追従してい
ることを示している。
0.9Vであり、重量変化は放電試験前後の増減を示し
ており、主として放電中の水分の取り込み、あるいは蒸
発の多少を示唆する数値である。これらの電池の特性を
複合膜を使用していない比較例1と対比すると最も端的
に本実施例の効果が説明できる。まず20℃、常温での
高負荷試験では放電期間が短く、水分の取り込みや蒸発
の影響や炭酸ガスの影響が少ないので、電池の性能は酸
素の供給速度が十分であれば水分や炭酸ガスの透過阻止
はあまり考慮する必要がない。したがって、このような
条件では比較例1でも優れた特性が得られる。一方、高
負荷放電に対する酸素透過速度が十分ではない比較例2
では、放電時間が非常に短くなっている。これに対し、
前述の実施例1および実施例4,5は比較例1と同等の
放電特性が得られており、複合膜を酸素が透過する速度
が、放電反応で酸素が消費される速度に十分追従してい
ることを示している。
【0022】一方、低負荷放電の場合は放電期間が長
く、しかも外気が高湿度あるいは低湿度の場合には酸素
の供給速度よりも水分や炭酸ガス、特に水分の透過防止
が優れた電池特性を得るために重要となり、水分や炭酸
ガスの透過阻止機能をもたない比較例1は水分の枯渇、
あるいは水分の過剰取り入れによる漏液による空気孔の
閉塞などにより、放電途中で高圧が低下し、高負荷試験
で得られた放電容量の一部分に相当する容量が得られる
に過ぎない。また、放電途中での漏液は実用面で致命的
な問題であることはいうまでもない。一方、比較例2
は、高負荷放電は不十分であるが、低負荷放電に対して
は良好であり、放電容量も比較例1の高負荷試験の容量
とほぼ等しいことから、水分の透過阻止効果は十分であ
り、酸素透過性も低負荷放電に対しては十分であること
がわかる。これに対し、実施例1および実施例4,5は
きわめて優れた性能を示し、これらは高負荷試験の放電
容量とほぼ等しい容量が得られている。これらの傾向は
試験雰囲気が高湿度、低湿度、いずれの場合とも同様で
ある。このことは、実施例の場合、複合膜の水分の透過
阻止効果が十分に発揮されていることを示している。
く、しかも外気が高湿度あるいは低湿度の場合には酸素
の供給速度よりも水分や炭酸ガス、特に水分の透過防止
が優れた電池特性を得るために重要となり、水分や炭酸
ガスの透過阻止機能をもたない比較例1は水分の枯渇、
あるいは水分の過剰取り入れによる漏液による空気孔の
閉塞などにより、放電途中で高圧が低下し、高負荷試験
で得られた放電容量の一部分に相当する容量が得られる
に過ぎない。また、放電途中での漏液は実用面で致命的
な問題であることはいうまでもない。一方、比較例2
は、高負荷放電は不十分であるが、低負荷放電に対して
は良好であり、放電容量も比較例1の高負荷試験の容量
とほぼ等しいことから、水分の透過阻止効果は十分であ
り、酸素透過性も低負荷放電に対しては十分であること
がわかる。これに対し、実施例1および実施例4,5は
きわめて優れた性能を示し、これらは高負荷試験の放電
容量とほぼ等しい容量が得られている。これらの傾向は
試験雰囲気が高湿度、低湿度、いずれの場合とも同様で
ある。このことは、実施例の場合、複合膜の水分の透過
阻止効果が十分に発揮されていることを示している。
【0023】以上を総合して、多孔性高分子膜に溶媒可
溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛の混合物を塗布した酸素透
過性複合膜を用いた試作電池は、高負荷特性、低負荷特
性とも優れ、外部雰囲気の変化に対しても良好であり、
優れた電池を提供できることが結論できる。なお、ふっ
化黒鉛には、化学式がCFnまたはC2Fnのいずれを用
いても同じ効果が得られる。また、実施例では複合膜を
電池容器との間に空気拡散用の多孔膜を介して設置した
が、本実施例の複合膜の機械的強度が十分な場合は、前
記空気拡散用の多孔膜を除いても電池特性の差異はない
ことを確認している。さらに、複合膜を酸素極との間に
酸素極を支持する撥水膜を介して設置したが、酸素極の
強度が十分であれば前記支持用撥水膜は不要にでき、そ
の場合にも電池特性は変わらないことを確認している。
また、塩化アンモニウム、塩化亜鉛などの中性塩水溶液
を電解液に用いた空気亜鉛電池に対しても、実施例で示
したアルカリ性の電解液に用いた電池と同様の効果があ
ることも確認しており、実施例と同様の理由で本発明の
作用を説明できる。
溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛の混合物を塗布した酸素透
過性複合膜を用いた試作電池は、高負荷特性、低負荷特
性とも優れ、外部雰囲気の変化に対しても良好であり、
優れた電池を提供できることが結論できる。なお、ふっ
化黒鉛には、化学式がCFnまたはC2Fnのいずれを用
いても同じ効果が得られる。また、実施例では複合膜を
電池容器との間に空気拡散用の多孔膜を介して設置した
が、本実施例の複合膜の機械的強度が十分な場合は、前
記空気拡散用の多孔膜を除いても電池特性の差異はない
ことを確認している。さらに、複合膜を酸素極との間に
酸素極を支持する撥水膜を介して設置したが、酸素極の
強度が十分であれば前記支持用撥水膜は不要にでき、そ
の場合にも電池特性は変わらないことを確認している。
また、塩化アンモニウム、塩化亜鉛などの中性塩水溶液
を電解液に用いた空気亜鉛電池に対しても、実施例で示
したアルカリ性の電解液に用いた電池と同様の効果があ
ることも確認しており、実施例と同様の理由で本発明の
作用を説明できる。
【0024】
【発明の効果】以上の実施例の説明により明らかなよう
に本発明の酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた
電池によれば、溶媒可溶性ふっ素樹脂にふっ化黒鉛を混
合することにより、水蒸気透過速度を変化させず、酸素
透過速度を向上させる効果が得られる。また、この複合
膜を用いることにより、電池用としての酸素透過能と同
時に、水蒸気を大気から遮断する効果もともに有する優
れた酸素透過性複合膜を実現できるものであり、さらに
また、中性もしくはアルカリ性の水溶液を電解液とする
電池の高負荷から低負荷にわたる広い範囲で優れた実用
性能と、優れた耐漏液性、長期貯蔵性を具備させること
ができるという効果が得られる。
に本発明の酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた
電池によれば、溶媒可溶性ふっ素樹脂にふっ化黒鉛を混
合することにより、水蒸気透過速度を変化させず、酸素
透過速度を向上させる効果が得られる。また、この複合
膜を用いることにより、電池用としての酸素透過能と同
時に、水蒸気を大気から遮断する効果もともに有する優
れた酸素透過性複合膜を実現できるものであり、さらに
また、中性もしくはアルカリ性の水溶液を電解液とする
電池の高負荷から低負荷にわたる広い範囲で優れた実用
性能と、優れた耐漏液性、長期貯蔵性を具備させること
ができるという効果が得られる。
【図1】本発明の実施例の酸素透過性複合膜の検討に用
いたボタン形空気亜鉛電池の半截縦断面図
いたボタン形空気亜鉛電池の半截縦断面図
【図2】従来のボタン形空気亜鉛電池の半截縦断面図
1 酸素極(ガス拡散電極) 2 撥水膜 3 空気取り入れ孔 4 多孔膜 10 電池容器 11 酸素透過性複合膜
Claims (7)
- 【請求項1】多孔性高分子膜に溶媒可溶性ふっ素樹脂
と、ふっ化黒鉛との混合物を塗布した酸素透過性複合
膜。 - 【請求項2】ふっ化黒鉛の化学式がCFnまたはC2Fn
のいずれかである請求項1記載の酸素透過性複合膜。 - 【請求項3】多孔性高分子膜がふっ素樹脂、ポリエーテ
ルスルフォン、ポリオレフィンのいずれかを主成分とす
る請求項1記載の酸素透過性複合膜。 - 【請求項4】酸素を活物質とするガス拡散電極と、外気
に通じる空気取り入れ孔を有する電池容器を備え、前記
ガス拡散電極の空気取り入れ側と前記電池容器の内面と
の間に、溶媒可溶性ふっ素樹脂とふっ化黒鉛の混合物を
塗布した多孔性高分子膜を主体として構成する酸素透過
性複合膜を介在させた電池。 - 【請求項5】多孔性高分子膜がふっ素樹脂、ポリエーテ
ルスルフォン、ポリオレフィンのいずれかを主成分とす
る請求項4記載の電池。 - 【請求項6】酸素透過性複合膜の溶媒可溶性ふっ素樹脂
とふっ化黒鉛との混合物を塗布した側が、空気取り入れ
孔を有する前記電池容器の内面に当接され、前記酸素透
過性複合膜の多孔性高分子膜側に、直接ガス拡散電極が
接する請求項4または5記載の電池。 - 【請求項7】酸素透過性複合膜の溶媒可溶性ふっ素樹脂
とふっ化黒鉛との混合物を塗布した側が直接ガス拡散電
極に接し、前記酸素透過性複合膜の多孔性高分子膜側が
空気取り入れ孔を有する電池容器の内面に当接する請求
項4または5記載の電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1456792A JPH05205786A (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | 酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1456792A JPH05205786A (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | 酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05205786A true JPH05205786A (ja) | 1993-08-13 |
Family
ID=11864736
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1456792A Pending JPH05205786A (ja) | 1992-01-30 | 1992-01-30 | 酸素透過性複合膜およびその複合膜を用いた電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05205786A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013133247A1 (ja) * | 2012-03-09 | 2013-09-12 | 日産自動車株式会社 | 空気電池カートリッジ及び空気電池システム |
JP2020061364A (ja) * | 2018-10-10 | 2020-04-16 | 合同会社Mgrエナジー | マグネシウム燃料体およびマグネシウム空気電池 |
-
1992
- 1992-01-30 JP JP1456792A patent/JPH05205786A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013133247A1 (ja) * | 2012-03-09 | 2013-09-12 | 日産自動車株式会社 | 空気電池カートリッジ及び空気電池システム |
JP2013214504A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-10-17 | Nissan Motor Co Ltd | 空気電池カートリッジ及び空気電池システム |
TWI473325B (zh) * | 2012-03-09 | 2015-02-11 | Nissan Motor | Air battery pack and air battery system |
JP2020061364A (ja) * | 2018-10-10 | 2020-04-16 | 合同会社Mgrエナジー | マグネシウム燃料体およびマグネシウム空気電池 |
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