JPH05194744A - 耐久性に優れた液晶共重合体とその組成物及び液晶共重合体の製造方法 - Google Patents

耐久性に優れた液晶共重合体とその組成物及び液晶共重合体の製造方法

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JPH05194744A
JPH05194744A JP4029010A JP2901092A JPH05194744A JP H05194744 A JPH05194744 A JP H05194744A JP 4029010 A JP4029010 A JP 4029010A JP 2901092 A JP2901092 A JP 2901092A JP H05194744 A JPH05194744 A JP H05194744A
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隆佐 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 室温域を含む幅広い温度範囲で強誘電性を示
す上に、高速で外部電界の変化に対して応答するととも
に、液晶パネルとして使用した場合にコントラストに優
れたものが得られる液晶材料を提供する。 【構成】 下記一般式[I]又は[II]で表わされる
液晶共重合体。 [式中、l及びmは2〜5、pは0〜3、nは0〜10
0、R1、R2及びR3はメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、フェニル基又は置換フェニ
ル基を表わし、Yは

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐久性に優れた液晶共重
合体とその組成物及び該液晶共重合体の製造方法に関す
る。更に詳しくいえば、本発明は液晶表示パネル等に用
いられる耐久性に優れ、広い温度範囲でカイラルスメク
チックC相(SmC*相)を示し、外部電界の変化に対
し高速応答性を示す液晶共重合体と、この液晶共重合体
の表示パネルとしての応答速度、コントラストを改良し
た液晶共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子液晶は液晶表示パネルの大型化、
曲面化のために有用な液晶材料であるが、外部電界の変
化に対して高速応答性を示し、使用可能な温度範囲にお
いて十分満足する特性を有する高分子液晶は現在のとこ
ろ得られていない。例えば、特開昭63−990204
号公報において、ポリアクリレート系強誘電性高分子液
晶の合成が報告されており、優れた性能を示すことが明
らかとなっているが、この側鎖型高分子液晶において
も、なお、応答速度、使用可能な温度範囲に問題が残っ
ている。
【0003】また、特開昭63−254529号公報に
おいては、エポキシ基を有するモノマーを重合させて得
られるポリエーテル系強誘電性高分子液晶が開示されて
いる。この側鎖型高分子液晶には、室温付近を含む広い
温度範囲で外部電界刺激に対して応答するという利点は
あるものの、その応答速度が遅く、実用に供するには未
だ不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、室温域を含
む幅広い温度範囲で強誘電性を示す上に、高速で外部電
界の変化に対して応答するとともに、液晶パネルとして
使用した場合にコントラストに優れたものが得られる新
規な液晶共重合体及びその組成物を提供することを目的
とする。
【0005】本発明者らは先に、側鎖に芳香環を有する
鎖状炭化水素骨格とシロキサン骨格とを繰り返し単位と
して有する新規共重合体が室温域を含む幅広い温度範囲
でSmC*相を発現するとともに、電界変化に対する高
速応答性を有することを見出した。この共重合体は側鎖
に芳香環を有し、末端に二つの炭素−炭素二重結合を有
するジエン化合物と末端に二つの活性水素を有するシロ
キサン化合物をほぼ等モルの割合で溶媒中、ヒドロシリ
ル化反応を行うことにより共重合体として得られる。し
かしながら、ジエン化合物とシロキサン化合物とを等モ
ルの割合で重合させて共重合体を合成する場合は問題が
ないが、ジエン化合物/シロキサン化合物のモル比が1
を超えるようにして分子量があまり高くない液晶共重合
体を合成する場合には、主鎖末端に二重結合が残り、液
晶共重合体の耐久性が悪くなるという問題を生ずる。本
発明はこの液晶共重合体の耐久性の問題点をも解決した
新規な液晶共重合体及びその組成物を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者ら前記課題を解
決するために鋭意研究を行った結果、液晶共重合体に残
存している二重結合を修飾することにより、前記課題が
解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は下記一般式[I]又は
[II]で表わされる液晶共重合体を提供するものであ
る。
【0008】
【化7】 [式中、l及びmは2〜5の整数、pは0〜3の整数、
nは0〜100の整数、R1、R2及びR3はメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニ
ル基又は置換フェニル基であり、各々同一であっても異
なっていてもよく、Yは
【0009】
【化8】 (式中aは1〜20の整数、bは1〜10の整数、Zは
【0010】
【化9】 を表わし、*は不斉炭素を表わす。)を表わす。]
【0011】本発明の液晶共重合体の合成は、例えば下
記の一般式で表わされるジエン化合物[III]
【化10】
【0012】(式中、l、m、a、b、Z及び*は前記
と同じ。)と下記式で表わされるシロキサン化合物[I
V]
【化11】
【0013】(式中pは前記と同じ。)とを好ましくは
溶媒中、触媒の存在下、ジエン化合物[III]とシロ
キサン化合物[IV]を[III]/[IV](モル
比)>1、好ましくはモル比が1.2〜1.8の割合で
反応させ、次いで得られた共重合体[VI]中に残存し
ている末端二重結合に水添反応又は下記一般式[V]で
表わされるヒドロシラン化合物の付加反応を行い、末端
二重結合を修飾することにより得られる。 HSiR123 [V] (式中R1、R2及びR3は前記と同じ。)
【0014】ジエン化合物[III]とシロキサン化合
物[IV]の反応に用いられる溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等が好適に用いられる。触媒としては、H2PtC
6、PtCl4、Pt、白金アセチルアセトナート、P
tCl2、PtBr2、PtI2、Pt(C24)(PP
33、[Pt(C22)Cl22等の白金及び白金化
合物、RhCl(PPh33等が好ましく用いられる。
【0015】反応温度は通常、40℃以上、好ましくは
60〜150℃である。40℃未満だと反応が遅く、反
応温度が高すぎると副反応が起こる可能性がある。反応
時間は通常30分〜20時間であり、反応温度に応じて
適宜定められる。
【0016】本発明の液晶共重合体の製造原料として用
いられるジエン化合物[III]は例えば、Zが
【0017】
【化12】
【0018】の場合、下記一般式
【0019】
【化13】
【0020】(式中、l及びmは前記と同じ。)で表わ
されるアルコール[VII]と一般式 X(CH2aX [VIII] (式中、aは1〜20の整数、Xは−Br、−I又は−
OSO264CH3である。)で表わされる二官能性化
合物[VIII]とを溶媒中、アルカリ試薬の存在下、
エーテル化反応を行い、得られた反応混合物を精製して
得られた生成物と、4−ヒドロキシ安息香酸メチルとを
溶媒中、アルカリ試薬の存在下、エーテル化反応を行
い、次いで得られた反応混合物を精製して得られた生成
物をアルカリ性水溶液又はアルカリ性水−アルコール混
合溶液中で加水分解し、得られた反応液を水中に投入
し、鉱酸を加えてpHを酸性にし、次いでエーテル抽出
又は瀘過によって得られた化合物に酸ハロゲン化剤を反
応させ、得られた酸塩化物と下記式で表わされるヒドロ
キシ化合物[IX]とを溶媒中、エステル化反応を行う
ことにより製造することができる。
【0021】
【化14】 (式中bは前記と同じ。)
【0022】反応は例えば次のように進行する。
【化15】
【0023】前記アルコール[VII]と二官能性化合
物[VIII]とを溶媒中、アルカリ試薬の存在下エー
テル化反応を行い(1)を得る。
【0024】前記アルコール[VII]の例としては具
体的に1,4−ペンタジエン−3−オール、1,5−ヘ
キサジエン−3−オール、1,6−ヘプタジエン−3−
オール、1,7−オクタジエン−3−オール、1,6−
ヘプタジエン−4−オール、1,8−ノナジエン−5−
オール、1,10−ウンデカジエン−6−オール等が挙
げられる。
【0025】前記二官能性化合物[VIII]として
は、具体的にはジブロモメタン、ジヨードメタン、ジト
シルメタン、ジブロモエタン、ジヨードエタン、ジトシ
ルエタン、ジブロモプロパン、ジヨードプロパン、ジト
シルプロパン、ジブロモブタン、ジヨードブタン、ジト
シルブタン、ジブロモペンタン、ジヨードペンタン、ジ
トシルペンタン、ジブロモヘキサン、ジヨードヘキサ
ン、ジトシルヘキサン、ジブロモヘプタン、ジヨードヘ
プタン、ジトシルヘプタン、ジブロモオクタン、ジヨー
ドオクタン、ジトシルオクタン、ジブロモノナン、ジヨ
ードノナン、ジトシルノナン、ジブロモデカン、ジヨー
ドデカン、ジトシルデカン、ジブロモウンデカン、ジヨ
ードウンデカン、ジトシルウンデカン、ジブロモドデカ
ン、ジヨードドデカン、ジトシルドデカン等が挙げられ
る。
【0026】エーテル化反応の溶媒としては、例えば
テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等
の非プロトン性極性溶媒が好適に用いられ、エーテル化
反応触媒としては、例えば水素化ナトリウム等の金属水
素化物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水
酸化物又は−OHをイオン化できる塩基性化合物などが
好適に用いられる。
【0027】エーテル化反応は、アルカリ試薬と溶媒
の混合液にアルコール[VII]を導入し、室温でアル
コキシド化し、(ただし、反応性の低い化合物及び試薬
の場合は加熱する。)次に二官能性化合物[VIII]
を導入し、50〜100℃で加熱攪拌することにより行
われる。
【0028】次に化合物(1)と4−ヒドロキシ安息香
酸メチルとを溶媒中、アルカリ試薬の存在下エーテル化
反応を行い化合物(2)を得る。エーテル化反応の
溶媒としては、例えばアセトン、2−ブタノン等のケト
ン系溶媒及びテトラヒドロフラン、エーテル等のエーテ
ル系不活性溶媒が好適に用いられ、エーテル化反応試薬
としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭
酸塩又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水
酸化物などが好適に用いられる。エーテル化反応は4
−ヒドロキシ安息香酸メチル、エーテル化反応で得ら
れた化合物(1)、アルカリ試薬、溶媒を順位不同で導
入し、50〜100℃で加熱攪拌することにより行われ
る。
【0029】次いで、アルカリ性水溶液又はアルカリ性
水−アルコール混合溶液中で必要に応じて加熱し、加水
分解を行い化合物(3)を得、その後酸ハロゲン化剤
を用いハロゲン化反応を行い、酸ハロゲン化物体にし
た後、ヒドロキシ化合物[IX]と、ピリジン等の存在
下トルエン溶媒等でエステル化反応を行い、目的とす
るジエン化合物[III]を得る。
【0030】加水分解において、アルカリとしては例
えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化
物が好適に用いられ、アルコールとしてはメタノール、
エタノール等の水溶性低級アルコール等が好適に用いら
れる。加水分解反応はエステル体、アルカリ触媒、水の
みで加熱してもよいが、更にアルコールを加えると、原
料であるエステル化合物の溶解性が向上し、反応が容易
に進行する。
【0031】のハロゲン化反応には塩化チオニル、オ
キシ塩化リン、五塩化リン等の公知の酸ハロゲン化剤が
用いられる。反応系にピリジン、トリエチルアミン等を
添加してもよい。のエステル化反応の溶媒としては、
例えばテトラヒドロフラン等のエーテル系不活性溶媒及
びトルエン、ヘキサン等の炭化水素系の不活性溶媒が好
適に用いられる。
【0032】エステル化反応はフェノール及びピリジ
ン、トリエチルアミン等の3級アミンなどのハロゲン化
水素受容剤を含む溶液に、酸塩化物又は溶媒に溶かした
酸塩化物を導入し、攪拌することにより行われる。ま
た、反応性が低いときは、30〜80℃に加熱してもよ
い。
【0033】Zが
【化16】
【0034】の場合も上記反応に準じて合成される。
【0035】前記ヒドロキシ化合物[IX]における光
学活性基は光学活性アルコールR4OHを用いて次の反
応を利用して導入される。 −COOH+R4OH→−COOR4
【0036】ここで用いる光学活性アルコールR4OH
としては、(+)−2−ブタノール、(−)−2−ブタ
ノール、(+)−2−ペンタノール、(−)−2−ペン
タノール、(+)−2−ヘキサノール、(−)−2−ヘ
キサノール、(+)−2−ヘプタノール、(−)−2−
ヘプタノール、(+)−2−オクタノール、(−)−2
−オクタノール(+)−2−ノナノール、(−)−2−
ノナノール、(+)−2−デカノール、(−)−2−デ
カノール、(+)−2−ウンデカノール及び(−)−2
−ウンデカノールが挙げられる。
【0037】このようにして得られるジエン化合物[I
II]の代表例としては、1−メチルブチル 4′−
[4′′−{10−(1,5−ヘキサジエン−3−イル
オキシ)デシルオキシ}ベンゾイルオキシ]ビフェニル
−4−カルボキシレート、1−メチルヘプチル 4−
[4′′−{8−(1,6−ヘプタジエン−4−イルオ
キシ)オクチルオキシ}ビフェニル−4′−カルボニル
オキシ]ベンゾエート等が挙げられる。次に、本発明の
液晶共重合体の製造原料である2個のSi−H結合を持
ったシロキサン化合物[IV]としては、pの値が0、
1、2のものはpの値に分布はほとんどなく単一のもの
が用いられるが、pの値が大きな化合物は重合度(pの
値)に分布があるため、pの値は平均値で表わされる。
したがって得られた高分子化合物のpの値も平均値であ
る。具体的には1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロ
キサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチ
ルテトラシロキサン等の各種α,ω−ハイドロジェンオ
リゴジメチルシロキサン等が用いられる。
【0038】次に上記のようにして得られた共重合体
[VI]のヒドロシラン化合物の付加反応による末端二
重結合の修飾は、共重合体[VI]1モルに対して通常
2〜10モルのヒドロシラン化合物[V]を溶媒中、触
媒の存在下で付加反応させることにより行われる。ヒド
ロシラン化合物[V]としては、HSiR123(式
中、R1、R2及びR3はメチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、フェニル基又は置換フェニル基を示
し、各々同一であっても異なっていてもよい。)で表わ
される化合物が用いられる。
【0039】溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が用いられ、
触媒としてはH2PtCl6、PtCl4、Pt、白金ア
セチルアセトナート、PtCl2、PtBr2、Pt
2、Pt(C24)(PPh33、[Pt(C22
Cl22等の白金及び白金化合物、RhCl(PP
33等が好ましく用いられる。
【0040】反応温度は好ましくは、40〜150℃、
反応時間は好ましくは1〜30時間とする。温度が低い
と反応が進行しにくく、温度が高いと副反応が進行す
る。共重合体[VI]1モルに対するヒドロシラン化合
物[V]の仕込み量が2モル未満であると目的物の収率
が低下し、10モルを超えるとカラム精製が煩雑とな
る。共重合体[VI]1モルに対するヒドロシラン化合
物[V]の更に好ましい仕込み量は2.5〜4モルであ
る。
【0041】水添反応による共重合体[VI]の末端二
重結合の修飾は、共重合体[VI]を溶媒中、触媒の存
在下で水添反応を行うことにより行われる。溶媒として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等が用いられ、触媒としてはPd、P
t、Rh、Rt等が用いられる。このらの金属は粉末状
であってもカーボンに担持されていてもよい。触媒の使
用量は、共重合体[VI]に対して通常50ppm以
上、好ましくは200〜2500ppmである。水素は
通常は常圧以上、好ましくは5〜15kg/cm2Gの
加圧下で反応系に供給される。圧力が高過ぎると副反応
が進行し、分解する可能性が生ずる。圧力が低過ぎると
反応の進行が遅くなる。反応温度は通常、室温〜150
℃、好ましくは、室温〜50℃、反応時間は通常、1〜
4時間とする。反応温度が室温未満であると反応が遅く
なり、150℃を超えると副反応が起こりやすくなる。
【0042】上記のようにして得られた末端二重結合が
修飾された共重合体は耐久性に優れ、かつ電界の変化に
対する応答性、コントラスト等の液晶材料としての特性
にも優れている。
【0043】本発明はまた上記のようにして得られる液
晶共重合体とピリミジン化合物、ピラジン化合物又はピ
リダジン化合物とからなる組成物を提供するものであ
る。この組成物は応答性、コントラストが上記液晶共重
合体に比べて更に改良される。
【0044】本発明の組成物におけるピリミジン化合
物、ピラジン化合物又はピリダジン化合物の配合量は液
晶共重合体に対して通常、5〜60重量%、好ましくは
30〜50重量%とする。配合量が少ないと応答速度改
良の効果が表われず、配合量が多いとチルト角が減少し
てコントラストが低下する。
【0045】本発明において好適に用いられるピリミジ
ン化合物として次に示されるような化合物が挙げられ
る。
【0046】ピリミジン化合物
【化17】
【0047】ピラジン化合物
【化18】
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 比較例1
【0049】
【化19】
【0050】合成例1
【化20】
【0051】3−(10−ブロモデシルオキシ)−1,
5−ヘキサジエンの合成 水素化ナトリウム(含有量60%)4.1gをテトラヒ
ドロフラン(THF)50mlに懸濁させ、系をアルゴ
ン置換した。1,5−ヘキサジエン−3−オール9.8
gを含むTHF溶液50mlを滴下した。水素ガスの発
生が収まるまで室温で攪拌した。1,10−ジブロモデ
カン75gを含むTHF溶液100mlを加え7時間還
流した。生じた不溶物を瀘過により除いた後、THFを
減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より精製し、目的とするブロム体14.3gを得た。
(収率45%)
【0052】合成例2 4′−[4′′−{10−(1,5−ヘキサジエン−3
−イルオキシ)デシルオキシ}ベンゾイルオキシ]ビフ
ェニル−4−カルボキシリックアシド (S)−(+)
−1−メチルブチルエステルの合成 合成例1で得たブロム体19.0g、メチル 4−ヒド
ロキシベンゾエート9.2g、炭酸カリウム3.4gを
2−ブタノン50ml中で12時間還流した。生じた不
溶物を瀘過により除き、溶媒を減圧留去した。シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにより精製し、メチルエス
テル体を得た。
【0053】上記のメチルエステル体及び水酸化カリウ
ム10.0g、水3.0gをメタノール20ml中で1
時間還流した。水50mlを加えさらに1時間還流し
た。水300mlで希釈し、希塩酸を滴下してpH=2
とした。生じた沈殿を瀘過により集め、水洗、乾燥し4
−{10−(1,5−ヘキサジエン−3−イルオキシ)
デシルオキシ}ベンゾイックアシッド16.6gを得
た。
【0054】上記カルボン酸のうちの8.3gにチオニ
ルクロリド4.0g及び触媒量のピリジンを加え85℃
に2時間加熱した。過剰のチオニルクロリドを減圧留去
した後、トルエン50mlを加え酸クロリド溶液とし
た。そこへ、(S)−1−メチルブチル 4−ヒドロキ
シビフェニル−4′−カルボキシレート6.3g、ピリ
ジン1.8gを含むトルエン溶液50mlを室温で滴下
し、室温で1日反応させた。生じた不溶物を瀘過により
除き、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマト
グラフィーにより精製し、目的とする光学活性モノマー
4′−[4′′−{10−(1,5−ヘキサジエン−3
−イルオキシ)デシルオキシ}ベンゾイルオキシ]ビフ
ェニル−4−カルボキシリックアシド (S)−(+)
−1−メチルブチルエステル9.7gを得た。(ブロム
体からの収率50%)
【0055】上記により得られたジエン化合物4′−
[4′′−{10−(1,5−ヘキサジエン−3−イル
オキシ)デシルオキシ}ベンゾイルオキシ]ビフェニル
−4−カルボキシリックアシド (S)−(+)−1−
メチルブチルエステル40.0g(312ミリモル)と
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン30.0g
(222ミリモル)を乾燥トルエン300mlに均一に
溶解させた。次に、40mgの塩化白金酸6水和物を加
えた後、85℃で5時間攪拌した。なお、反応容器内の
空気は予めアルゴンガスで置換し、反応中に湿気や空気
が容器内に入らないように密封した。
【0056】反応混合物を室温まで冷却した後瀘過し、
瀘液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。更
にこの濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製後、6
0℃で一晩真空乾燥し、32.1gの白色粘稠物を得
た。この物質の構造は1H−NMRによって確認した。
分子構造及びNMRスペクトルを図1に示す。またこの
物質の分子量をGPCで測定したところ、Mn=2,3
00、Mw=4,100であった。
【0057】評価方法 材料の耐久性は次のような加速劣化試験で評価した。す
なわち、1.0gの液晶共重合体を約10mlの塩化メ
チレンに均一に溶解し、この溶液を内径880mmで深
さ10mmの清浄なシャーレに注ぎ込み、均一な厚みの
膜が得られるように塩化メチレンを室温で蒸発させた。
このシャーレを55℃の熱風循環恒温槽に入れ、1,0
00時間静置した。この後サンプルを取り出し、液晶と
しての特性を試験前後で比較した。液晶としての特性は
次のように評価した。20×10mmの2枚のITO電
極付きガラス基板間に液晶共重合体を挟み、スペーサー
で膜厚を2.0μmに調整したセルを作製した。このセ
ルを加熱して一旦液体にした液晶共重合体を降温しなが
ら偏光顕微鏡で観察することにより相系列を決めた。こ
の際にスメクチックA相(SmA)又はカイラルスメク
チックC相(SmC*)で基板間を相互にずらして剪断
法により液晶を1軸水平配向させた。応答時間τ10-90
は上記液晶セルを直交偏光子間に配置し、電極間にステ
ップ電圧±10Vを印加したときに透過光強度が10%
〜90%まで変化するのに要する時間として定義した。
またチルト角2θは印加電圧10Vの符号の変化に応じ
て回転する消光位の変化から求めた。なお、相転移挙動
を示す式中、各記号は下記の意味を有する。 G:ガラス相、SmC:スメクチックC液晶相、SmC
*:カイラルスメクチックC液晶相、SmA:スメクチ
ックA液晶相、Iso:等方性液体 測定結果を表1にまとめて示したが、液晶共重合体の主
鎖末端を修飾していない比較例1のサンプルが最も大き
な電界応答速度の減少、チルト角の減少を示した。
【0058】実施例1 比較例1で得られた液晶共重合体10gとメチルジエチ
ルシラン1.53gを200mlの4口フラスコに秤量
し、90mlの乾燥トルエンで均一に溶解した。次に
4.4mgの塩化白金酸6水和物を添加し、アルゴンガ
ス流通下、85℃で5時間攪拌した。次に反応溶液を瀘
過した後、エバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグ
ラフィーによって目的物を分取した。分取した溶液から
エバポレーターで大部分の溶媒を除き、最後に60℃で
一晩真空乾燥することによって目的とする白色粘稠物
9.25gを得た。この物質の分子量を測定したところ
Mn=2,010、Mw=3,570であった。末端修
飾液晶共重合体の構造は1H−NMRで確認した。図2
に分子構造及びNMRスペクトルを示し、耐久試験の結
果を表1に示した。
【0059】実施例2 比較例1で得られた液晶共重合体20gを200mlの
乾燥トルエンに溶解し、5重量%のPdを担持したカー
ボン粉末を1.1g添加した。このサスペンジョンを1
リットルのsus316製のオートクレーブに仕込ん
だ。その後、オートクレーブ内の空気を10kg/cm
2Gの水素で置換した後、室温30℃で2時間半激しく
攪拌した。脱圧後、反応容器を5Cの瀘紙で瀘過し、そ
の後エバポレーターで濃縮し、カラムクロマトグラフィ
ーによって目的物を分取した。
【0060】分取した溶液はエバポレーターで大部分の
溶媒を除き、最後に60℃で一晩真空乾燥することによ
って、白色粘稠物14.6gを得た。この物質の分子量
をGPCで測定したところMn=2,300、Mw=
4,080であった。水添した液晶共重合体の構造は1
H−NMRで確認した。図3に分子構造及びNMRスペ
クトルを示し、耐久性試験の結果を表1に示した。
【0061】
【表1】
【0062】実施例3 塩化メチレンを用いて、実施例1で得た液晶共重合体6
3重量%、ミドリ化学製の下記ピリミジン化合物P10
08 37重量%の組成物を作製し、前述の方法で液晶
組成物の特性を測定した。以下にP1008の構造と液
晶組成物の特性を示す。
【0063】
【化21】
【0064】 91.5〜79.5℃ 82℃ -20℃ Iso → SmA → SmC* → G τ10-90=2.8ms(25℃):2θ=45゜(25℃)
【0065】実施例4 塩化メチレンを用いて、実施例2で得た液晶共重合体7
0重量%、P100830重量%の組成物を作製し、液
晶組成物の特性を測定した。以下に特性を示す。
【0066】 101.9〜92.8℃ -15℃ Iso → SmC* → G τ10-90=6.7ms(25℃):2θ=51゜(25℃)
【0067】
【発明の効果】本発明により室温域を含む幅広い温度範
囲で強誘電性を示す上に、外部電界の変化に対する高速
応答性を有するとともに、液晶パネルとして使用した場
合にコントラストに優れ、かつ耐久性にも優れた液晶材
料が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較例1で得られた液晶共重合体の分子構造及
びNMRチャート。
【図2】実施例1で得られた液晶共重合体の分子構造及
びNMRチャート。
【図3】実施例2で得られた液晶共重合体の分子構造及
びNMRチャート。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[I]又は[II]で表わさ
    れる液晶共重合体。 【化1】 [式中、l及びmは2〜5の整数、pは0〜3の整数、
    nは0〜100の整数、R1、R2及びR3はメチル基、
    エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニ
    ル基又は置換フェニル基であり、各々同一であっても、
    異なっていてもよく、Yは 【化2】 (式中aは1〜20の整数、bは1〜10の整数、Zは 【化3】 を表わし、*は不斉炭素を表わす。)を表わす。]
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液晶共重合体とピリミジ
    ン化合物、ピラジン化合物又はピリダジン化合物とから
    なる組成物。
  3. 【請求項3】 下記一般式で表わされるジエン化合物
    [III] 【化4】 (式中、l及びmは2〜5の整数、aは1〜20の整
    数、bは1〜10の整数、Zは 【化5】 を表わし、*は不斉炭素を表わす。)と下記一般式で表
    わされるシロキサン化合物[IV] 【化6】 (式中pは0〜3の整数を表わす。)を[III]/
    [IV](モル比)>1の割合で反応させ、次いで得ら
    れた共重合体中に残存している末端二重結合に水添反応
    又は下記一般式[V]で表わされるヒドロシラン化合物
    の付加反応を行うことを特徴とする請求項1記載の液晶
    共重合体の製造方法。 HSiR123 [V] (式中、R1、R2及びR3はメチル基、エチル基、プロ
    ピル基、ブチル基、ペンチル基、フェニル基又は置換フ
    ェニル基を表わす。)
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