JPH05193578A - ヘリコプタ用吊下げ機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】吊下げのための作業を安全に行なうことができ
ると共に、吊下げ時における安定性を確保することがで
きるようにする。 【構成】吊下装置１０は吊下ワイヤ１４によって吊下げ
られる。吊下装置１０のヘリコプタの胴体下面と面する
側に吊下装置支持脚１８ａ〜１８ｃが設けられている。
吊下装置支持脚１８ａ〜１８ｃは、飛行時に吊下ワイヤ
１４が巻上げられ吊下装置１０が胴体下面に接触した際
に、胴体下面に設けられた吊下げ装置支持ハードポイン
ト３０ａ〜３０ｂと係合する。吊下装置１０は、コンテ
ナ化されたカーゴのカーゴ吊下ポイント３６をカーゴ吊
下ポイント挿入口２６に挿入し、カーゴホールドフック
２８をカーゴホールドフック通貫アンテナ３８に挿入す
ることによりカーゴを保持する。吊下装置１０によるカ
ーゴの保持または解放の動作は、機上からの操作によっ
て行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヘリコプタ用の吊下げ
機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ヘリコプタによるカーゴスリング
の方法は、図９に示すように、ヘリコプタ胴体下面中央
に設けられたカーゴフックへ、カーゴから伸びる例えば
４本のスリングケーブルを引っ掛けた１点吊下げ方式が
主流になっている。この方式の場合、スリングケーブル
をカーゴフックへ引っ掛ける作業は、地上作業員によ
り、ヘリコプタの機体の下へ入り込んで行なわれてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このようなカーゴフッ
クへスリングケーブルを引っ掛けて、カーゴを吊下げる
方式では次のような問題があった。

【０００４】まず第１には、カーゴフックにスリングケ
ーブルを引っ掛ける場合、ヘリコプタが地上に置かれた
カーゴの直上で低高度ホバリングを実施し、地上作業員
がその下に潜り込んで手掛けする危険な作業であること
である。

【０００５】第２には、１点吊下げであることから、機
速、機体運動、及びカーゴの形状等の様々な要因によ
り、カーゴの回転、振れといった、飛行に影響を及ぼす
現象が生じてしまい、これらを防止するためにパイロッ
トは、減速、あるいは振れを止める操作を行なわなけれ
ばならず、その結果時間的浪費が多くなってしまうこと
である。

【０００６】本発明は前記のような点に鑑みてなされた
もので、吊下げのための作業を安全に行なうことができ
ると共に、吊下げ時における安定性を確保することが可
能なヘリコプタ用吊下げ機構を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、ヘリコプタで
巻き出しまたは巻き取りされる吊下ワイヤによって吊下
げられるものであって、前記ヘリコプタから送出された
指示に応じて任意に吊下げ対象物を保持または解放する
保持手段、及び前記ヘリコプタの胴体下面と面して接触
位置を固定する複数の位置固定手段とを有する吊下装置
を具備し、前記吊下げ対象物の保持または解放時には、
前記吊下ワイヤを巻き出して前記保持手段を作動させ、
飛行時には、前記吊下ワイヤを巻き取り前記位置固定手
段をヘリコプタの胴体下面と接触させて前記吊下げ対象
物を固定させることを特徴とする。

【０００８】

【作用】このような構成によれば、吊下げ対象物（カー
ゴ）を、機上操作員による指示によって保持または解放
させることができるため、地上作業員による作業が不要
となる。また、飛行時には、複数の点でヘリコプタとの
接触位置が固定されるので、吊下装置が固定され、すな
わち吊下げ対象物が固定されて安定が維持される。

【０００９】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図１は同実施例に係わるヘリコプタ用吊下げ機
構の使用形態を説明するための図であり、図１（ａ）は
カーゴ吊下げ・吊り上げ時の状態を示し、図１（ｂ）は
飛行時の状態を示している。図１に示すように、本発明
のヘリコプタ用吊下げ機構では、吊下装置１０によって
カーゴ１２が保持される。吊下装置１０は、吊下ワイヤ
１４、及びリモートコントロールケーブル１６により、
ヘリコプタに吊下げられる。吊下ワイヤ１４とリモート
コントロールケーブル１６は、連動して巻き出し、巻き
取りが行なわれる。主に、吊下ワイヤ１４によって吊下
装置１０が吊下げられる。リモートコントロールケーブ
ル１６は、大荷重を負った場合に、吊下装置１０とのコ
ネクト機構により分離、切断される。吊下装置１０は、
ヘリコプタ機上からリモートコントロールケーブル１６
を介して、リモートコントロールされる。

【００１０】図２には、吊下装置１０の詳細な構成を示
している。図２に示すように、吊下装置１０の上面には
３つの吊下装置支持脚１８ａ，１８ｂ，１８ｃが設けら
れている。吊下装置支持脚１８ａ，１８ｂは、吊下装置
１０がヘリコプタに吊下げられた際に前部となる辺の両
端（２角）にそれぞれ設けられ、吊下装置支持脚１８ｃ
は、後部となる辺の中央近傍に設けられている。吊下装
置支持脚１８ａ〜１８ｃのそれぞれの先端部には、例え
ば半円球形の凸形状をした吊下装置支持脚ハードポイン
ト１９ａ，１９ｂ，１９ｃが設けられている。吊下装置
支持脚ハードポイント１９ａ，１９ｂ，１９ｃは、飛行
時に、ヘリコプタの胴体部に設けられた吊下装置支持ハ
ードポイント３０ａ，３０ｂ，３０ｃ（後述する）と係
合するようになっている。また、吊下装置支持脚１８ｃ
は、リモートコントロールケーブル１６を接続するため
のリモートコントロールケーブルコネクタを兼ねてい
る。

【００１１】吊下装置１０の上面の中央部（重心位置）
には、吊下ワイヤ１４の先端に取り付けられた吊下装置
吊下用フックを引っ掛けるための吊下ワイヤ連結棒２０
が設けられている。吊下ワイヤ連結棒２０は、コントロ
ールユニット（図示せず）により制御される吊下ワイヤ
連結棒アクチュエータ２２により、吊下装置吊下用フッ
クを連結または切り離しするように動作する。なお、コ
ントロールユニットは、吊下装置１０内に設けられてお
り、外部より制御可能となっている。

【００１２】吊下げ装置１０の各辺（４辺）の両端部及
び中央部のそれぞれには、斜め下外方向に吊下装置位置
決め用ガイドアンテナ２４が設けられている。吊下装置
位置決め用ガイドアンテナ２４は、吊下装置１０をカー
ゴ１２の上の所定位置への位置決めする際に補助するも
のである。

【００１３】吊下装置１０の下面の４角には、カーゴ吊
下ポイント挿入口２６が設けられている。カーゴ吊下ポ
イント挿入口２６には、カーゴホールドフック２８が２
方向から、コントロールユニットにより制御されるカー
ゴホールドフックアクチュエータ２９により入出され
る。カーゴ吊下ポイント挿入口２６にカーゴ１２の上面
部に設けられたカーゴ吊下ポイント３６（後述する）が
挿入され、カーゴホールドフック２８がカーゴ吊下ポイ
ント３６の側面部に設けられたホールドフック通貫穴３
８に挿入されることにより、カーゴ１２が吊下装置１０
によって保持される。

【００１４】図３には、ヘリコプタ胴体の下面部を示し
ている。図３に示すように、吊下装置１０に設けられた
吊下装置支持脚１８ａ〜１８ｃのそれぞれに対応する所
定の位置に、吊下装置支持ハードポイント３０ａ，３０
ｂ，３０ｃが設けられている。吊下装置支持ハードポイ
ント３０ａ，３０ｂは、図４（ａ）に示す断面図のよう
に、吊下装置支持脚ハードポイント１９ａ，１９ｂが係
合する凹形状となっている。さらに、吊下装置支持ハー
ドポイント３０ｃには、図４（ｃ）に示すように、リモ
ートコントロールケーブル穴３２が設けられている。

【００１５】また、ヘリコプタ胴体の下面部には、ほぼ
中央にヘリコプタ本体内に設置された吊下ワイヤ巻上機
３３（後述する図７，図８参照）から伸びる吊下ワイヤ
を通過させるための吊下ワイヤ通過穴３４が設けられて
いる。

【００１６】図５には、吊下装置１０によってカーゴ１
２を保持するための機構の詳細を示している。カーゴ１
２の上面部には、吊下装置１０のカーゴ吊下ポイント挿
入口２６の形状に応じた、例えば立方体形状のカーゴ吊
下ポイント３６が設けられている。また、カーゴ吊下ポ
イント３６の側面部には、カーゴホールドフック通貫穴
３８が設けられている。

【００１７】カーゴ１２を吊下装置１０に取り付ける際
には、吊下装置１０のカーゴホールドフック２８はカー
ゴホールドフックアクチュエータ２９によって引き込ま
れた状態となっている。この状態でカーゴ吊下ポイント
３６をカーゴ吊下ポイント挿入口２６に挿入させ、カー
ゴホールドフック２８を突出させることにより、図６に
示すように、カーゴホールドフック２８がカーゴホール
ドフック通貫穴３８に挿入される。

【００１８】次に、本発明によるヘリコプタ用吊下げ機
構の運用方法について図７及び図８を参照しながら説明
する。まず、カーゴ１２の吊下げを行なう際には、ヘリ
コプタは、地上に置かれたコンテナ化されたカーゴ１２
の直上で、吊下装置１０がカーゴ１２をホールドできる
ように低高度ホバリングを行なう。この状態を、図７
（ａ）に示している。なお、吊下装置１０は、吊下ワイ
ヤ１４の先端に取り付けられた吊下装置吊下用フックが
吊下ワイヤ連結棒２０に引っ掛けられて、ヘリコプタに
吊下げられている。

【００１９】吊下装置１０は、吊下装置位置決め用ガイ
ドアンテナ２４を利用しながら、カーゴ１２上に誘導さ
れる。この際、吊下装置１０を機体から離し、降下させ
た状態での安定性の確保には、図１に示すように、吊下
装置１０のリモートコントロール用ケーブル１６を用い
る。

【００２０】吊下装置１０がカーゴ１２の直上で位置決
めされると、ヘリコプタに設置された吊下ワイヤ巻上機
３３によって吊下ワイヤ１４を巻き出すことにより、吊
下装置１０をカーゴ１２上に載置させる。

【００２１】吊下装置１０がカーゴ１２の上に乗ると、
カーゴ１２のカーゴ吊下ポイント３６は、吊下装置１０
のカーゴ吊下ポイント挿入口２６に挿入されている。こ
こで、機上操作員は、リモートコントロールで、コント
ロールユニットを介してカーゴホールドフックアクチュ
エータ２９を作動させ、吊下装置１０によってカーゴ１
２を保持させる。

【００２２】カーゴ１２の保持が確認されると、ヘリコ
プタは、吊下ワイヤ１４を吊下ワイヤ巻上機３３によっ
て巻取ながら、ホバリング高度を徐々に下げるか、ある
いはホバリング高度を維持したまま吊下ワイヤ１４を吊
下ワイヤ巻上機３３によって巻き取ることにより、カー
ゴ１２を吊り上げる。

【００２３】ヘリコプタは、吊下ワイヤ１４を巻き取り
ながら、機体側に設けられた吊下装置支持ハードポイン
ト３０ａ〜３０ｃと、吊下装置１０側に設けられた吊下
装置支持脚ハードポイント１９ａ〜１９ｃとが、それぞ
れが合うように操作を行なう。

【００２４】図７（ｂ）に示すように、吊下装置支持脚
ハードポイント１９ａ〜１９ｃが、吊下装置支持ハード
ポイント３０ａ〜３０ｃの所定の位置に収まると、吊下
ワイヤ巻上機３３によって吊下ワイヤ１４に所定のテン
ションをかけて係合状態を維持する。一連のカーゴ１２
を保持、及び吊下作業が終了すると、ヘリコプタは、ホ
バリングからスリング飛行に以降する。

【００２５】この飛行状態における係合部分の詳細を図
８に示している。吊下装置支持ハードポイント３０ａ〜
３０ｃに吊下装置支持脚ハードポイント１９ａ〜１９ｃ
がそれぞれ係合することにより、３点において位置が保
持されるため、カーゴ１２の回転、振れが防止される。

【００２６】スリング飛行中に緊急事態が発生した場
合、吊下装置１０に備えられた緊急カーゴ投棄システム
が作動し、カーゴ１２を投棄する。なお、吊下げられて
いたカーゴ１２を地上に放す場合は、前述した手順を逆
に行なうことで達成される。

【００２７】本発明によるヘリコプタ用吊下げ機構で
は、機上からリモートコントロールされる吊下装置１０
を用いて、ユニット化されたカーゴ１２を保持あるい
は、解放することができる。すなわち、機体直下での人
力による作業が排除されるため、安全性が非常に向上す
る。

【００２８】また、スリング中には、吊下装置支持ハー
ドポイント３０ａ〜３０ｃと吊下装置支持脚ハードポイ
ント１９ａ〜１９ｃとをそれぞれ係合させ、吊下ワイヤ
巻上機３３により吊下ワイヤ１４のテンションを調整し
て、ハードポイントどうしが離れないようにすること
で、カーゴの回転、振れが防止される。

【００２９】なお、前記実施例において、吊下装置支持
ハードポイント３０ａ〜３０ｃと吊下装置支持脚ハード
ポイント１９ａ〜１９ｃにより、３点で位置を固定して
いるが、ハードポイントの数はこれに限定されるもので
はない。

【００３０】また、吊下装置１０によってカーゴ１２を
保持する機構として、カーゴ吊下ポイント３６をカーゴ
吊下ポイント挿入口２６に挿入し、カーゴホールドフッ
ク２８をカーゴホールトフック通貫アンテナ３８に挿入
することによって行っているが、他の方式を用いても良
い。

【００３１】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、機上から
の指示によりカーゴを保持または解放させることができ
るため、地上作業員による作業を不要とし、作業安全性
が向上する。また、飛行時にはカーゴを保持した吊下装
置を機体と一体化させることにより、カーゴの安定性
（回転、振れを防止）が確保されるため、飛行に対する
影響を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係わるヘリコプタ用吊下げ
機構の使用形態を説明するための図。

【図２】吊下装置１０の詳細な構成を示す図。

【図３】ヘリコプタ胴体の下面部を示す図。

【図４】吊下装置支持ハードポイント３０ａ〜３０ｃの
構成を説明するための断面図。

【図５】吊下装置１０によってカーゴ１２を保持するた
めの機構の詳細を示す図。

【図６】カーゴホールドフック２８がカーゴホールドフ
ック通貫穴３８に挿入された状態を示す図。

【図７】ヘリコプタ用吊下げ機構の運用方法を説明する
ための図。

【図８】飛行状態における係合部分の詳細を示す図。

【図９】従来のカーゴスリングの方法を説明するための
図。

【符号の説明】

１０…吊下装置、１２…カーゴ、１４…吊下ワイヤ、１
６…リモートコントロールケーブル、１８ａ，１８ｂ，
１８ｃ…吊下装置支持脚、１９ａ，１９ｂ，１９ｃ…吊
下装置支持脚ハードポイント、２０…吊下ワイヤ連結
棒、２２…吊下ワイヤ連結棒アクチュエータ、２４…吊
下装置位置決め用ガイドアンテナ、２６…カーゴ吊下ポ
イント挿入口、２８…カーゴホールドフック、２…カー
ゴホールドフックアクチュエータ、３０ａ，３０ｂ，３
０ｃ…吊下装置支持ハードポイント、３２…リモートコ
ントロールケーブル穴、３３…吊下ワイヤ巻上機、３４
…吊下ワイヤ通過穴、３６…カーゴ吊下ポイント、３８
…カーゴホールドフック通貫穴。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘリコプタで巻き出しまたは巻き取りさ
   れる吊下ワイヤによって吊下げられるものであって、前
   記ヘリコプタから送出された指示に応じて任意に吊下げ
   対象物を保持または解放する保持手段、及び前記ヘリコ
   プタの胴体下面と面して接触位置を固定する複数の位置
   固定手段とを有する吊下装置を具備し、 前記吊下げ対象物の保持または解放時には、前記吊下ワ
   イヤを巻き出して前記保持手段を作動させ、 飛行時には、前記吊下ワイヤを巻き取り前記位置固定手
   段をヘリコプタの胴体下面と接触させて前記吊下げ対象
   物を固定させることを特徴とするヘリコプタ用吊下げ機
   構。