JPH05186852A - 制振性鋼並びに制振性溶接鋼管とその製造法 - Google Patents

制振性鋼並びに制振性溶接鋼管とその製造法

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JPH05186852A
JPH05186852A JP2202192A JP2202192A JPH05186852A JP H05186852 A JPH05186852 A JP H05186852A JP 2202192 A JP2202192 A JP 2202192A JP 2202192 A JP2202192 A JP 2202192A JP H05186852 A JPH05186852 A JP H05186852A
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vibration damping
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JP2202192A
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Kunio Kondo
邦夫 近藤
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた制振性,溶接性,熱間加工性を示す強
度の高い鋼を実現し、制振性,溶接性に優れる高強度溶
接鋼管を安定かつ安価に提供する。 【構成】 鋼の化学組成を、Mn:0.1〜 1.5%,sol.Al:
0.001〜 0.1%,P:0.03〜 0.5%を含有するか、或い
は更に Ti:0.5%以下,Nb:0.5%以下,Zr:0.5%以下,
Ta:0.5%以下,Cr:8.0%以下,Ni:1.0%以下,Mo:2.0%
以下の1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避不純
物から成り、かつ不純物中のC,Si,S,N及びOの含
有量がそれぞれC:0.01%以下,Si: 0.5%以下,S:
0.05%以下,N:0.01%以下,O: 0.005%以下である
構成とする。また、この鋼を素材として製造された溶接
鋼管に、特定温度の熱処理、或いは特定加工率の冷間加
工及び特定温度の熱処理を施して優れた制振性,靱性,
強度等を備えた溶接鋼管を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】近年、産業機械や工作機械等が発する振
動、また鉄道橋梁,自動車用道路橋等において交通機関
等が発する騒音や振動による公害問題が多発し社会問題
となっているが、これらに対しては、一般に“音を吸収
又は遮蔽する材料”を使用したり“振動に対して共振し
にくい構造”を工夫して騒音,振動を減少させる手立て
が採用されている。
【0002】また、最近では、従来の水準レベル以上の
快適な生活への指向が強くなって、例えば自動車ではよ
り静粛な室内が望まれたり、家庭における種々の電気製
品には運転音等の限りない低減が要求されるようになっ
ている。
【0003】本発明は、このような建築構造物,自動
車,電気製品等の部材に適用した際に騒音や振動を減衰
させる能力、即ち“制振性”と溶接性に優れた鋼、並び
に前記鋼を素材とした制振性に優れる溶接鋼管とその製
造方法に関するものである。
【0004】
【従来技術とその課題】制振性の優れた鉄鋼材料として
は、従来から「2枚の鋼板の間に高分子粘弾性物質を挟
み込んだ複合制振鋼板」が知られているが、高分子粘弾
性物質は耐熱温度が低いので高温で使用することができ
ず、更に溶接も困難である。
【0005】一方、単体の鉄系材料で制振性を有するも
のとして「黒鉛鋳鉄」の存在が知られているが、黒鉛鋳
鉄は炭素含有量が高いために加工性や靱性が十分でない
ばかりか、溶接性に難があり、従って需要の多い溶接鋼
管の素材としては使用できない材料であった。
【0006】また、これとは別に、単体の圧延鋼材で制
振性を有するものとして「高Cr乃至は高Alを含有した鋼
材」が知られている(例えば特開昭52−144317号公報,
特開昭57−181360号公報,特公昭57-22981号公報参
照)。しかし、これらの鋼材は溶接性については殆ど考
慮がなされておらず、また合金元素量が多くて高価であ
るという問題があった。
【0007】このようなことから、本発明が目的とした
のは、優れた制振性を備えることは勿論、圧延等の加工
が可能で量産性に優れ、かつ電気抵抗溶接等の溶接性も
良好な鋼材を実現すると共に、制振性に優れた溶接鋼管
を安定かつ安価に提供できる手段をも確立することであ
った。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上記目的を達成すべく鋭意研究を行い次のような知見を
得た。即ち、強度が低く熱間加工性や溶接部の靱性もそ
れほど芳しくない「純鉄」は構造用材料として不向きで
あるが、一方で、強磁性体であって制振性に優れること
が知られている。そこで、本発明者等は、純鉄の良好な
制振性を低下させることなく強度,熱間加工性,溶接部
靱性の向上が果たせる手立てを求め、成分系を工夫する
など種々の観点から検討を重ねたところ、以下に示す事
項を確認することができたのである。
【0009】a) 純鉄に見られる良好な制振性を損なわ
ないため、或いはその更なる向上のためには、不純物と
してのC,Si,S及びNの含有量を極力低減することが
重要である, b) 更に、材料中の不可避不純物たるOも制振性や溶接
部靱性に悪影響を及ぼす元素であって、制振性,溶接部
靱性の更なる改善には“O含有量の低減”も著効を奏
し、そのためには材料中へ特定量のAlを添加するのが効
果的である,
【0010】c) 一方、純鉄の制振性を低下させずに熱
間加工性,溶接部靱性を改善する上で適量のMn添加が効
果的である, d) また、上記材料にPを添加すると溶接部の靱性がや
や低下するものの、その制振性に悪影響を及ぼすことな
く高い強度を確保することが可能となる,
【0011】d) ところで、Ti,Nb,Zr及びTaは鉄中に
固溶しているC,N,O量の低減に有効な元素であり、
これらの適量添加は制振性を更に改善する上で好ましい
手段となり得る, e) そして、Cr,Mo及びNiには上記材料の制振性をそれ
ほど低下させることなく強度を上昇させる作用があり、
これらの適量添加は材料強度を向上させようとの観点か
ら非常に有効な手段となり得る,
【0012】f) このため、上記材料を素材とすれば制
振性に優れた溶接鋼管を安定かつ安価に量産することが
できるばかりか、該溶接鋼管に特定の冷間加工や熱処理
を施すことで非常に良好な強度,靱性,制振性のバラン
スを確保することができ、高い振動減衰特性が要求され
る構造用材料等に適用して優れた性能を発揮する溶接鋼
管を得ることもできる。
【0013】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「鋼或いは溶接鋼管の化学組成を、 Mn: 0.1〜 1.5%(以降、 成分割合を表す%は重量%と
する),sol.Al: 0.001〜 0.1%, P:0.03〜 0.5
% を含有するか、 或いは更に Ti: 0.5%以下, Nb: 0.5%以下, Zr:
0.5%以下,Ta: 0.5%以下, Cr: 8.0%以下,
Ni: 1.0%以下,Mo: 2.0%以下 の1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避不純物か
ら成り、 かつ不純物中のC,Si,S,N及びOの含有量
がそれぞれ C:0.01%以下, Si: 0.5%以下, S:0.
05%以下,N:0.01%以下, O: 0.005%以下 である構成とすることにより、 優れた制振性,溶接性,
強度を兼備せしめた点」に大きな特徴を有し、更には、
「上記化学組成の鋼を素材として製造された溶接鋼管
に、 (a) 最終熱処理として500〜950℃の温度で焼鈍を
施す,(b) 断面減少率:1〜70%の冷間加工を施した
後、 これを500〜950℃の温度で焼鈍する,(c) 7
00〜1250℃の焼きならし処理を施し、 次いで断面
減少率:1〜70%の冷間加工を施した後、 500〜9
50℃の温度で焼鈍する,(d) 断面減少率:1〜70%
の冷間加工と700〜1250での焼きならし処理をこ
の順序で施し、 その後更に断面減少率:1〜70%の冷
間加工を施した後、 これを500〜950℃の温度で焼
鈍する,なる処理の何れかを施すことによって優れた制
振性,溶接性,強度等を備えた溶接鋼管を安定製造し得
るようにした点」をも特徴とするものである。
【0014】ここで、本発明に係わる鋼管の製造方法を
実施する際、前記“本発明に係わる鋼”を素材とした溶
接鋼管が準備されるが、この段階での溶接鋼管は従来公
知の何れの方法によって製造されたものでも差支えはな
い。つまり、“本発明に係わる鋼”は熱間加工性や溶接
性等に優れているため、圧延や一般的な溶接工程を経る
従来法によっても高能率かつ安定に溶接鋼管とすること
が可能だからである。
【0015】
【作用】さて、一般に常温域で強磁性体である純鉄や鋼
には、磁化すると磁化の方向に歪むという所謂“磁歪現
象”が認められる。また、逆に、このような材料では外
部から応力が加わるとその応力を緩和するように自発磁
化が回転し、磁壁の移動が生じる。従って、上述のよう
な材料に打撃や振動を与えると、その振動は音となって
物質中を伝播するが、その振動によって自発磁化の方向
が回転し磁壁の移動が誘起される。そして、その時に弾
性エネルギ−の消費がなされ、振動が早期に減衰する。
【0016】本発明では、上記メカニズムに従い振動波
或いは音波のエネルギ−が磁気的エネルギ−に変換され
やすく、かつ溶接性や強度が良好となるように鋼の成分
系を工夫すると同時に、その圧延材を溶接して得られた
鋼管に特定の熱処理,加工を施すことによって更なる高
強度と良好な制振性を兼ね備えた溶接鋼管を実現した訳
であるが、以下、本発明において鋼の化学組成並びに溶
接鋼管の製造条件を前記の如くに限定した理由をその作
用と共により詳細に説明する。
【0017】A) 鋼の化学組成Mn Mnには鉄の有する良好な制振性にそれほどの悪影響を及
ぼすことなく熱間加工性や溶接部の靱性を改善する作用
があるが、その含有量が 0.1%未満では前記作用による
所望の効果が得られず、一方、 1.5%を超えて含有させ
るとやはり制振性への悪影響が無視できなくなることか
ら、Mn含有量は 0.1〜 1.5%と定めた。勿論、制振性の
面からすればMn含有量は少ない方が望ましく、従って出
来ればMn含有量を 0.5%以下に制限するのが好ましいと
言える。
【0018】sol.Al 良好な制振性と溶接部靱性を確保するためにはOの低減
を要し、このためには脱酸元素としてsol.Al量で 0.001
%以上のAlを含有させることが必要である。しかし、so
l.Al量で 0.1%を超えてAlを含有させると介在物が多く
なり、却って靱性の低下を招くようになる。従って、so
l.Al含有量で 0.001〜 0.1%のAlを含有することと定め
た。
【0019】 Pは、鋼の靱性に対してはやや悪影響を及ぼすものの制
振性を殆ど低下させることなく鋼の強度を向上させる作
用を有しており、そのため高強度の制振鋼を得る上で重
要な成分である。しかし、P含有量が0.03%未満では上
記作用による所望の効果が得られず、一方、 0.5%を超
えて含有させると靱性の低下が著しくなることから、P
含有量は0.03〜 0.5%と定めた。
【0020】 固溶Cは磁壁の移動を抑制し、制振性を著しく低下させ
る。従って、所望特性を確保するためには0.01%以下の
極低炭素量に抑える必要がある。
【0021】Si Siは制振性,溶接性に悪影響を及ぼす元素であり、所望
の良好な制振性と溶接性を確保するためにはSi含有量を
0.5%以下に抑える必要がある。
【0022】 Sは熱間加工性,靱性及び溶接性を低下させる元素であ
り、所望の良好な熱間加工性,靱性及び溶接性を確保す
るためにはS含有量を0.05%以下に低減する必要があ
る。
【0023】 Cと同様に磁壁の移動を抑制し、振動減衰能を著しく低
下させる元素である。従って、所望の良好な制振性を得
るためにはN含有量を0.01%以下に抑える必要がある。
【0024】 Oも制振性や溶接部の靱性を目立って低下させる元素で
ある。従って、所望の良好な制振性と溶接部靱性を確保
するためには、O含有量を 0.005%以下に低減する必要
がある。
【0025】Ti,Nb,Zr,及びTa これらの元素は、何れも鋼中のC,N,Oを炭化物,窒
化物,酸化物として固定し、固溶C,N,O量を低減し
て制振性を向上させる作用を有しているので、必要に応
じて1種又は2種以上の添加がなされる。しかし、何れ
も 0.5%を超えて含有させると上記作用による効果が飽
和するばかりか、溶接部の靱性低下を招くようになる。
従って、Ti,Nb,Zr或いはTaの含有量の上限を何れも
0.5%と定めた。
【0026】Cr,Ni,及びMo これらの元素は、何れも固溶強化によって鋼の強度を向
上させる作用を有しているので、必要に応じて1種又は
2種以上の添加がなされる。しかしながら、過剰に添加
すると溶接部の靱性や制振性の低下を招くようになる。
従って、Cr含有量についてはその上限を 8.0%、Ni含有
量についてはその上限を 1.0%、そしてMo含有量につい
てはその上限を 2.0%とそれぞれ定めた。
【0027】B) 溶接鋼管の製造条件 (a) 溶接鋼管製造時における溶接 前述したように、本発明に係わる鋼は溶接性が優れてい
るので特に溶接法を指定する必要はなく、状況に応じた
適宜の溶接法,溶接条件を選定することができる。つま
り、能率の良い電気抵抗溶接等の溶接によって溶接鋼管
の安定した製造が可能である。
【0028】(b) 溶接後の冷間加工 板条等の素材を溶接して溶接管とした後の冷間加工は、
溶接管を所定の径サイズや肉厚に調整する目的と、強度
を上昇させる目的で必要により施される。従って、冷間
抽伸或いはピルガ−圧延機等での冷間圧延など、加工方
法が指定されるものではない。勿論、強度が上がり過ぎ
ると制振性が低下するので、この場合には冷間加工に引
続いて焼鈍を施さなければならない。そして、冷間加工
と焼鈍の適正な組み合わせにより一層高強度でかつ制振
性の良好な鋼管が得られる。
【0029】ただ、冷間加工を施す場合、その加工度が
断面減少率にて1%未満では強度上昇効果が小さく、一
方、断面減少率で70%を超える加工ではパス数が増え
てコストが増加するので実際的でない。従って、冷間加
工を施す場合の加工度は断面減少率で1〜70%の範囲
と限定した。
【0030】(c) 焼鈍 板条等から溶接管を製造した際の歪回復や、得られた溶
接管の冷間加工で強度が増加した鋼管の軟化のために焼
鈍が施されるが、これによって強度と制振性のバランス
の極めて良好な溶接鋼管が得られる。この際、焼鈍温度
が500℃未満であると十分な制振性が確保されず、一
方、950℃を超える温度で焼鈍すると強度が低下し過
ぎる上、制振性も却って低下するようになることから焼
鈍温度は500〜950℃と定めたが、焼鈍温度の上限
は900℃に止めるのが望ましいと言える。
【0031】(d) 焼きならし 均質化の目的で焼きならし処理を行うことは好ましいこ
とであり、これにより溶接鋼管の制振性を一段と向上さ
せることが可能である。この場合、焼きならし温度が7
00℃未満であるとその効果が十分でなく、一方、12
50℃を超える温度に加熱するとスケ−ルロスが大きく
なることから、焼きならし温度は700〜1250℃と
定めた。
【0032】続いて、本発明の効果を実施例により更に
具体的に説明する。
【実施例】まず、表1及び表2に示す各化学組成の鋼を
溶製した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】次に、表1及び表2に記載の「ア鋼」〜
「ル鋼」を仕上がり温度:1100℃で10mm厚に熱間
圧延して空冷した板材から10mm厚×50mm幅×300
mm長の試験片を切出し、その制振性を調査した。
【0036】なお、制振性の評価は、長さ300mmの振
子の先端に直径11mmの鋼球を取付けて90度の位置か
ら試験片に衝突させ、その衝突音を試験片から100mm
離れた所に設置した測定マイクで集音し、“最大音圧”
と“最大音圧から20dB減衰するまでの時間”を測定し
て行った。これらの結果を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】表3に示される結果からも、本発明鋼では
衝突音の最大音圧が小さく、極めて短時間で減衰してい
るので制振性が良好であるのに対して、比較鋼では、最
大音圧が大きい上に減衰時間も長くて制振性に劣ってい
ることが確認できる。
【0039】次に、表1及び表2に示す化学組成を有す
る板材から溶接鋼管を製造し、その制振性を調査した。
試験材は厚さ7mmの板材を電気抵抗溶接(ERW)で接
合した溶接鋼管とし、これに加工度を変化させた冷間抽
伸と、温度を変化させた熱処理を実施した。そして、上
記処理後の各溶接鋼管につき先に述べた条件で音響測定
を行うと共に、強度と溶接部の靱性をも測定した。これ
らの結果を表4乃至表6に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】表4乃至表6に示される結果からは、本発
明鋼に本発明プロセスを適用して製造した溶接鋼管は、
高強度でかつ溶接部の靱性が良好であり、しかも優れた
制振性を示すことが明らかである。
【0044】これに対して、比較例から分かるように、
本発明鋼を素材として使用した場合であっても、本発明
で規定するプロセス条件を逸脱した製造方法で製造され
た溶接鋼管では良好な制振性が得られず、また従来鋼を
素材として使用すると、得られる溶接鋼管は良好な制振
性を示しても強度が低く、その上に溶接性も芳しくなく
て溶接部の靱性が大きく低下している。
【0045】また、図1はPの添加が溶接鋼管の強度及
び制振性に及ぼす影響を示したグラフであり、前記表4
の試験番号1,3,10〜12の結果を整理したものであ
る。即ち、表4の試験番号1,3,10〜12で得られた溶
接鋼管は、使用した素材鋼ア,ウ,キ〜ケはP含有量が
異なるだけでその他の成分がほぼ同一で、冷間加工度,
熱処理条件が全く同じであるため、その特性調査結果に
は素材鋼のP含有量のみが影響していると考えて良い。
【0046】そこで、この図1によってP添加の影響を
検討すると、P含有量が増加するにつれて強度は上昇す
るが、最大音圧及び減衰時間は殆ど変化しないことが明
らかである。これは、一般の材料に見られる「強度が上
昇すると制振性が低下する」という現象とは異なる事実
である。従って、本発明に係わる鋼材は、Pを含有させ
ることにより高強度にして良好な制振性を確保した極め
て特異なものであることが分かる。
【0047】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、制振性,溶接性,熱間加工性に優れると共に強度も
高い鋼を提供することができ、また非常に優れた制振性
や溶接性を有していて産業用機械,輸送機器,家庭用電
化機器等の部材に適用することで騒音や振動等を顕著に
抑制できるところの、価格の安い高強度溶接鋼管を安定
して量産することが可能となるなど、産業上極めて有用
な効果がもたられさる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pの添加が溶接鋼管の強度及び制振性に及ぼす
影響を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/44 38/50

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量割合にて Mn: 0.1〜 1.5%, sol.Al: 0.001〜 0.1%, P:
    0.03〜 0.5% を含むと共に残部がFe及び不可避不純物から成り、かつ
    不純物中のC,Si,S,N及びOの含有量がそれぞれ C:0.01%以下, Si: 0.5%以下, S:0.
    05%以下,N:0.01%以下, O: 0.005%以下 であることを特徴とする、溶接性に優れた高制振性鋼。
  2. 【請求項2】 重量割合にて Mn: 0.1〜 1.5%, sol.Al: 0.001〜 0.1%, P:
    0.03〜 0.5% を含有し、更に Ti: 0.5%以下, Nb: 0.5%以下, Zr:
    0.5%以下,Ta: 0.5%以下 の1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避不純物か
    ら成り、かつ不純物中のC,Si,S,N及びOの含有量
    がそれぞれ C:0.01%以下, Si: 0.5%以下, S:0.
    05%以下,N:0.01%以下, O: 0.005%以下 であることを特徴とする、溶接性に優れた高制振性鋼。
  3. 【請求項3】 重量割合にて Mn: 0.1〜 1.5%, sol.Al: 0.001〜 0.1%, P:
    0.03〜 0.5% を含有し、更に Cr: 8.0%以下, Ni: 1.0%以下, Mo:
    2.0%以下 の1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避不純物か
    ら成り、かつ不純物中のC,Si,S,N及びOの含有量
    がそれぞれ C:0.01%以下, Si: 0.5%以下, S:0.
    05%以下,N:0.01%以下, O: 0.005%以下 であることを特徴とする、溶接性に優れた高制振性鋼。
  4. 【請求項4】 重量割合にて Mn: 0.1〜 1.5%, sol.Al: 0.001〜 0.1%, P:
    0.03〜 0.5% を含有し、更に Ti: 0.5%以下, Nb: 0.5%以下, Zr:
    0.5%以下,Ta: 0.5%以下 の1種以上、並びに Cr: 8.0%以下, Ni: 1.0%以下, Mo:
    2.0%以下 の1種以上をも含むと共に残部がFe及び不可避不純物か
    ら成り、かつ不純物中のC,Si,S,N及びOの含有量
    がそれぞれ C:0.01%以下, Si: 0.5%以下, S:0.
    05%以下,N:0.01%以下, O: 0.005%以下 であることを特徴とする、溶接性に優れた高制振性鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れかに記載された鋼
    にて構成されることを特徴とする、制振性に優れた溶接
    鋼管。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4の何れかに記載された鋼
    を素材として製造された溶接鋼管に、最終熱処理として
    500〜950℃の温度で焼鈍を施すことを特徴とす
    る、制振性に優れた溶接鋼管の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至4の何れかに記載された鋼
    を素材として製造された溶接鋼管に断面減少率:1〜7
    0%の冷間加工を施した後、これを500〜950℃の
    温度で焼鈍することを特徴とする、制振性に優れた高強
    度溶接鋼管の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至4の何れかに記載された鋼
    を素材として製造された溶接鋼管を700〜1250℃
    で焼きならし、次いで断面減少率:1〜70%の冷間加
    工を施した後、これを500〜950℃の温度で焼鈍す
    ることを特徴とする、制振性に優れた高強度溶接鋼管の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至4の何れかに記載された鋼
    を素材として製造された溶接鋼管に断面減少率:1〜7
    0%の冷間加工と700〜1250での焼きならし処理
    をこの順序で施し、その後更に断面減少率:1〜70%
    の冷間加工を施した後、これを500〜950℃の温度
    で焼鈍することを特徴とする、制振性に優れた高強度溶
    接鋼管の製造方法。
JP2202192A 1992-01-11 1992-01-11 制振性鋼並びに制振性溶接鋼管とその製造法 Pending JPH05186852A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001320106A (ja) * 2000-05-02 2001-11-16 Nohken:Kk 磁歪線、および磁歪線を備えた変位検出装置、ならびに磁歪線の製造方法
JP2014129567A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 National Institute For Materials Science 制振合金

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