JPH0518576Y2

JPH0518576Y2 -

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Publication number: JPH0518576Y2
Application number: JP1987149742U
Authority: JP
Priority date: 1987-09-30
Filing date: 1987-09-30
Publication date: 1993-05-18
Anticipated expiration: 2002-09-30
Also published as: JPS6454645U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、ボイラ火炉などの工業炉を炉本体と
し、この炉本体の前炉として微粉炭、微粉オイル
コークスなどの固体燃料（以下、単に石炭とい
う）を燃焼用旋回空気により燃焼する横置き式の
サイクロン石炭燃焼炉において、溶融スラグを円
滑に排出することができる機構に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

従来から、ボイラ火炉などの工業炉において
は、炉本体に前炉としてサイクロン石炭燃焼炉を
設けて石炭を部分燃焼させるようにしたものが知
られている。このような前炉を備えた工業炉は、
燃焼効果が優れたものであることから、広く用い
られている。

上記の従来型のサイクロン石炭燃焼炉の構造を
示すものとして、たとえば先に提案した実開昭60
−76717号公報に示されるように、微粉炭と空気
とをサイクロン石炭燃焼炉内に供給するととも
に、これらを高速旋回流として効果的に混合して
燃焼させることにより、微粉炭を部分燃焼させる
構造のものが開示されている。すなわち、第３図
に示すように、ボイラ火炉などの火炉１の側壁に
サイクロン石炭燃焼炉２を横方向に取り付け、こ
のサイクロン石炭燃焼炉に石炭投入口３、燃焼用
旋回空気供給口４および燃焼ガスを火炉へ導くガ
ス導通口５を設け、サイクロン石炭燃焼炉２の内
部に、この炉２内で発生する燃焼ガスを通過させ
溶融スラグをせき止めるためのスラグバツフル６
を設けるとともに、スラグバツフルの燃焼ガス上
流側に下向きのスラグ流下口７を設けたサイクロ
ン石炭燃焼炉が記載されている。８はスラグタン
ク、１０は燃焼室、１１はバイパスライン、１２
は火炎である。

また、実公昭59−18317号公報には、溶融スラ
グ落下口に近接して水冷管を埋設した堤を取り付
け、この堤に切欠き（せき）を設けた溶融炉が記
載されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、実開昭60−76717号公報に示されるよ
うな従来のサイクロン石炭燃焼炉においては、溶
融スラグの流出量、流出速度の変動に対応するこ
とができず、スラグが固化成長して閉塞トラブル
が発生し、長時間にわたり連続にかつ安定して抜
き出すことができなかつた。

また、スラグは可能な限り１カ所から集中して
流出させることが、固化閉塞防止の観点から望ま
れるので、第４図に示すように、流下口に堤１８
を設け、そこに設置した１カ所のせきから溶融ス
ラグを流出させる構造とする。

しかし、燃焼器内には強旋回流が存在し、スラ
グ流下口のせきの高さに一様な液面ができるので
はなく、ある高さで波だつているため、単に堤を
設けただけでは、これを乗り越えて周囲から流入
するスラグを防ぐことはできない。このため、い
くらかのスラグが周囲から流入することを前提に
しなければならない。このオーバーフロースラグ
は流下口閉塞の大きな原因となるため、閉塞防止
の観点からはこれができるだけ少ないことが望ま
しい。

その際、第４図ａに示す従来技術のように円筒
炉の下部中心軸状に流下口７を設置した場合は、
流下口のほぼ全周からオーバーフロースラグが流
出するので、流下口閉塞を生じる恐れがあつた。

また、第５図ａに示す従来構造の場合、流下口
堤を越えて流出したオーバーフロースラグは流下
口７全周から徐々に成長し、流下口寸法の半分成
長したところで、全面閉塞にいたるので、流出ス
ラグの固化による流下口閉塞の危険性があつた。

さらに、上記従来技術には、第４図ｂ、第５図
ｂに示すようなスラグ流下口１６中心を燃焼ガス
の旋回方向に偏心した位置に設けることは何ら記
載も示唆もされていない。

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、横置
型のサイクロン石炭燃焼炉において、燃焼過程で
溶融し炉内壁面で捕捉されたスラグを、燃焼ガス
の旋回方向に偏心した位置に設けられた箇所から
集中して流出させることにより、長時間にわたり
連続にかつ安定してスラグを抜き出すことができ
る機構を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案のサイクロン石炭燃焼炉における溶融ス
ラグ排出機構は、第１図及び第２図を参照して説
明すれば、火炉１の側壁にサイクロン本体１５を
横方向に取り付け、このサイクロン本体１５に石
炭投入口３、燃焼用旋回空気供給口４、燃焼ガス
を火炉１へ導くガス導通口５およびスラグ流下口
７を設けた横置き式のサイクロン石炭燃焼炉２に
おいて、スラグ流下口１６中心をサイクロン本体
１５の曲面に沿つて、サイクロン本体１５中心の
鉛直方向から燃焼ガスの旋回方向に偏心した位置
に設け、このスラグ流下口１６の周囲に水冷管１
７を埋設した堤１８を取り付け、この堤１８の一
端でサイクロン本体１５中心の鉛直方向の位置付
近にせき２０を設けたことを特徴としている。な
お石炭と燃焼用旋回空気とを、１つの供給口から
供給することも可能である。

〔作用〕

スラグ流下口１６の中心を、サイクロン本体１
５断面の鉛直方向中心より燃焼ガスの旋回方向に
偏心させるとともに、スラグ流下口の断面形状を
サイクロン本体断面の曲率に沿つた形状としてい
るので、オーバーフロースラグの流出する範囲が
従来の構造と比較して小さくなり、スラグ流下口
まわりに集中する溶融スラグを常にスラグ流下口
の最下部に溜め、溶融スラグはせき２０から安定
して流出する。

そして、流下口１６のうち、約半分（外側）に
はオーバーフローがほとんど無く、あつても炉内
への輻射視野角が広くスラグ温度が高くなりやす
いことから固化スラグの成長がないため、結果的
には全面閉塞するためには、内側から成長した固
化スラグが流下口寸法全域まで成長することが必
要となる。しかしながら、スラグはある程度成長
すると、付着力が自重に耐えられず落下するた
め、それ以上は成長しなくなる。したがつて、従
来構造の流下口に比べて、全面閉塞にいたる危険
性が著しく減少する。

〔実施例〕

以下、第１図および第２図を参照して本考案の
好適な実施例を詳細に説明する。ただしこの実施
例に記載されている構成機器の形状、その相対配
置などは、とくに特定的な記載がない限りは、本
考案の範囲をそれらのみに限定する趣旨のもので
はなく、単なる説明例にすぎない。

１５は円筒型のサイクロン本体で、このサイク
ロン本体の曲面に沿つて、スラグ流下口１６をサ
イクロン本体中心の鉛直方向から燃焼ガスの旋回
方向に偏心した位置に設ける。Ｌは偏心間隔を表
している。スラグ流下口１６の周囲に、水冷管１
７のまわりに耐火材を張つて形を整えた堤１８を
取り付け、この堤の一端でサイクロン本体中心付
近の鉛直方向の位置にせき２０を設ける。２１は
スラグ流下口曲率である。

図面では、せき２０をＶ型に、スラグ流下口１
６を矩型に描いているが、これらの形状に限定す
ることなく、他の形状としてもよい。

またスラグ流下口１６の投影断面積（スラグ流
下口曲率２１の部分の面積）Ａは、サイクロン本
体１５の内径をＤとすると、Ａ≧１／16D²とす
るのが望ましい。Ａ＜１／16D²の場合は、開口
面積が小さすぎて、スラグ流出の変動量を吸収す
ることが困難となり、一時的に多量の溶融スラグ
が開口部に集中した場合、流れがスムーズに運ば
なくなるため、周囲壁からの冷却により、開口部
でスラグが固化し、最終的に閉塞につながるおそ
れがある。

〔考案の効果〕

本考案は上記のように構成されているので、つ
ぎのような効果を奏する。

(1) 堤の最下部に位置する部分にせき（切込み）
を設けて、溶融スラグの流出箇所を一箇所に固
定し、安定流出を図るとともに、長時間の高温
雰囲気に耐えることができ、またスラグの流出
量、流出速度に応じ、常に適切な排出条件が得
られ、長時間の運転に際してもスラグ流下口周
囲におけるスラグの固化成長が防止されるの
で、スラグ流下口の閉塞によるトラブルが回避
される。

(2) 横置き円筒型燃焼炉の円筒部にスラグ流下口
を設ける場合、スラグ流下口中心を燃焼ガスの
旋回方向に偏心した位置に設けることにより、
スラグ流下口堤を乗り越えて流出するオーバー
フロースラグが少なくなり、流下口閉塞を防止
することができる。

(3) スラグ流下口中心を燃焼ガスの旋回方向に偏
心した位置に設けることにより、流下口のう
ち、約半分（外側）にはオーバーフローがほと
んど無く、あつても炉内への輻射視野角が広く
スラグ温度が高くなりやすいことから固化スラ
グの成長がないため、流出スラグの固化による
流下口閉塞の危険性が減少する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のサイクロン石炭燃焼炉におけ
る溶融スラグ排出機構の一実施例を示す断面説明
図、第２図は第１図における要部の拡大斜視図、
第３図は従来のサイクロン石炭燃焼炉の一例を示
す断面図である。第４図ａは従来技術における溶
融スラグを流出させる構造を示す断面説明図であ
る。第４図ｂは本考案における溶融スラグを流出
させる構造を示す断面説明図である。第５図ａは
従来技術におけるスラグ流下口の構造の正面及び
平面を示す説明図である。第５図ｂは本考案にお
けるスラグ流下口の構造の正面及び平面を示す説
明図である。１……火炉、２……サイクロン石炭燃焼炉、３
……石炭投入口、４……燃焼用旋回空気供給口、
５……ガス導通口、６……スラグバツフル、７…
…スラグ流下口、８……スラグタンク、１０……
燃焼室、１１……バイパスライン、１２……火
炎、１５……サイクロン本体、１６……スラグ流
下口、１７……水冷管、１８……堤、２０……せ
き、２１……スラグ流下口曲率。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】火炉１の側壁にサイクロン本体１５を横方向に
取り付け、このサイクロン本体１５に石炭投入口
３、燃焼用旋回空気供給口４、燃焼ガスを火炉１
へ導くガス導通口５およびスラグ流下口７を設け
た横置き式のサイクロン石炭燃焼炉２において、スラグ流下口１６中心をサイクロン本体１５の
曲面に沿つて、サイクロン本体１５中心の鉛直方
向から燃焼ガスの旋回方向に偏心した位置に設
け、このスラグ流下口１６の周囲に水冷管１７を
埋設した堤１８を取り付け、この堤１８の一端で
サイクロン本体１５中心の鉛直方向の位置付近に
せき２０を設けたことを特徴とするサイクロン石
炭燃焼炉における溶融スラグ排出機構。