JPH05180179A - 横形スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷媒ガスと同時に圧縮機構部へ潤滑油が吸い
込まれる量を低減し、かつ油上りを低減し、軸受の信頼
性の高い横形スクロール圧縮機を得ることを目的とす
る。 【構成】 シェル１内に、固定スクロール３ならびに揺
動スクロール４からなる圧縮機構、揺動スクロール４を
偏心軸受けする主軸７、主軸７内の給油通路９に強制給
油するオイルポンプ１６等を設けた横形スクロール圧縮
機であって、揺動スクロール４を偏心軸受けした主軸７
の一端が大径部３１に、偏心穴底部３３と端面厚肉部３
４から大径部外周へ開通した均圧用通路３５を設けたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、冷凍装置や空調装置
等に使用され、フロン等のガス体（冷媒）を圧縮する横
形スクロール圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３、図４、図５において、１で示すも
のはその底部に油溜め２を有する密閉容器としてのシェ
ルで、このシェル１内には固定スクロール３ならびに揺
動スクロール４からなる圧縮機構が嵌合固定されてい
る。揺動スクロール４は、スラスト受け５にて軸方向に
支承されており、かつシェル１の内壁に固定した軸受け
支え６にて揺動可能に軸受けされている。また、７はモ
ータ８によって回転する主軸で、前記シェル１内に設け
られており、内部には軸線方向に延在する給油通路９お
よび径方向に開口する第２の通路１０が形成されてい
る。なお、揺動スクロール４とスラスト受け５との間な
らびに揺動スクロール４の揺動軸１１と主軸７との間が
軸受摺動部１２となる。１３は径方向に開口する貫通孔
１４を有する筒状のジョイントで、前記主軸７の下端部
に前記給油通路９に連通するように連結されており、下
端部には下方向に開口する切欠き１５が設けられてい
る。１６は例えばトロコイド形式のポンプからなる容積
形のオイルポンプで、前記ジョイント１３の下端部に接
続され、かつポンプハウジング１７内に回転自在に収納
されており、ポンプ駆動軸１８の上端中央部には前記切
欠き１５に嵌合する断面矩形状の突子１９が設けられて
いる。

【０００３】オイルポンプ１６は、圧縮機運転時に前記
給油通路９および前記第２の油通路１０等を介して各軸
受（圧縮機構の摺動部分）に強制給油するように構成さ
れている。このオイルポンプ１６を収納するポンプハウ
ジング１７は、前記モータ８のステータにねじ止めされ
前記主軸７の偏心位置で油吸入用の管体２０が挿通する
疎通孔２１を有する有底筒状の第１ハウジング２２と、
この第１ハウジング２２内に収納保持されかつ前記管体
２０に連結され前記オイルポンプ１６を回転自在に支承
する第２ハウジング２３と、この第２ハウジング２３の
周囲に設けられかつ前記第１ハウジング２２内に固定さ
れた有底筒状の第３ハウジング２４とによって構成され
ている。

【０００４】このうち、第２ハウジング２３には前記第
１ハウジング２２の偏平面２５に当接する半球状突子２
６が設けられ、第２ハウジング２３と第３ハウジング２
４との間にはスラスト力発生用のスプリング２７が弾装
されている。これにより、第２ハウジング２３は、前記
第１ハウジング２２に対して前記主軸７の軸線方向と径
方向に調整自在に保持されている。また、この第２ハウ
ジング２３は、前記第３ハウジング２４に挿通され前記
ジョイント１３の一部が臨む貫通孔２８を有する筐体ａ
と、この筐体ａの下方に設けられ前記管体２０に連通す
る油吸入口２９を有する筐体ｂと、この筐体ｂと前記筐
体ａとの間に設けられ油吐出口３０を有する筐体ｃとか
らなり、この筐体ｃおよび筐体ｂによって前記オイルポ
ンプ１６のポンプ室（図示せず）が形成される。

【０００５】また、第３ハウジング２４の内容積は、第
２ハウジング２３が第１ハウジング２２に対して移動調
整するのに十分に大きい内容積をもち、第１ハウジング
２２の挿通孔２１の口径は前記管体２０の管径より十分
に大きい寸法に設定されている。

【０００６】なお、図４中破線矢印はオイルの供給方向
を示し、矢印Ｆはスプリング２７の弾握力によって第２
ハウジング２３が受けるスラスト力の方向を示してい
る。

【０００７】このように構成された横形スクロール圧縮
機においては、運転時にオイルポンプ１６によって圧縮
機構の各摺動部分に強制給油することができ、給油量を
十分に確保することができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の横形ス
クロール圧縮機における給油機構では、オイルポンプ１
６によって圧縮機構部などの各摺動部に強制給油するた
め、前記軸受摺動部１２は揺動スクロール４の外周部よ
り油圧が上昇し、前記スラスト受け５と前記揺動スクロ
ール４との摺動部１２から前記揺動スクロール４の外周
方向へ潤滑油が流出し、冷媒ガスと同時に圧縮機構部に
吸い込まれ、油上りが多くなるという問題があった。

【０００９】この発明は、油上りを低減し、軸受の信頼
性の高い横形スクロール圧縮機を提供することを目的と
する。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明の横形スクロー
ル圧縮機は、シェル内に固定スクロールと揺動スクロー
ルとを組合わせてなり揺動スクロールの揺動運動により
気体の圧縮作用を行う圧縮機構部を設け、揺動スクロー
ルを軸方向にスラスト受けにて支承し、シェル内壁に揺
動スクロールを揺動可能に軸受けする軸受け支えを固定
し、揺動スクロールの揺動軸を軸受摺動部を介して主軸
の一端の大径部にて偏心軸受し、主軸内において一端が
前記主軸の大径部偏心穴底部に開口した給油通路を軸線
方向に延設し、給油通路の他端に給油通路内に強制給油
する容積形オイルポンプを設け、容積形オイルポンプに
シェル内底部の油溜め内にその先端部が臨む油吸入用の
管体を連結し、主軸の大径部偏心穴底部と主軸の大径部
端面厚肉部から、主軸の大径部外周へ開通した均圧用通
路を設けたものである。

【００１１】

【作用】この発明の横形スクロール圧縮機によると、主
軸の大径部偏心穴底部と大径部端面厚肉部から、主軸の
大径部外周へ開通した均圧用通路を設けたことにより、
軸受摺動部と主軸の大径部外周とが均圧となり、かつ主
軸の大径部外周は揺動スクロール外周部と通じているた
め、軸受摺動部は揺動スクロール外周部と均圧化され
る。この結果、揺動スクロールとスラスト受けとの摺動
部から、摺動スクロールの外周方向へ潤滑油が流出する
のを低減できる。

【００１２】

【実施例】

実施例１．この発明の一実施例を図１および図２に基づ
いて説明する。図１は本実施例に係る横形スクロール圧
縮機の断面図、図２はその主軸７の要部を示す拡大断面
図であり、図３および図４と同一部分は同一を付してそ
の説明を省略する。

【００１３】図において、揺動スクロール４の揺動軸１
１を偏心軸受けした主軸７の一端は大径部３１となって
おり、大径部３１内は偏心穴３２が形成されている。こ
の大径部３１の大径部偏心穴底部３３および大径部端面
厚肉部３４から、大径部３１の外周に渡って開通した均
圧用通路３５が設けられている。なお、軸受摺動部１２
は、揺動運動する揺動スクロール４の揺動軸１１と主軸
７の大径部３１の偏心穴３２の内周面との摺動部、なら
びに揺動スクロール４とスラスト受け５との摺動部にそ
れぞれ形成されている。そして、容積形オイルポンプ１
６により、潤滑油がシェル１内底部の油溜め２から主軸
７に設けられた給油通路９を経て、軸受摺動部１２へ強
制給油される。

【００１４】このように構成された横形スクロール圧縮
機によると、主軸７の大径部偏心穴底部３３と大径部端
面肉厚部３４から、大径部３１の外周へ開通した均圧用
通路３５を設けたことにより、軸受摺動部１２は均圧穴
通路３５によって主軸７の大径部３１の外周と均圧化さ
れる。また、主軸７の大径部３１の外周は揺動スクロー
ル４の外周部と通じているため、軸受摺動部１２は揺動
スクロール４の外周部と均圧化される。この結果、揺動
スクロール４とスラスト受け５との摺動部１２から揺動
スクロール４の外周方向へ潤滑油が流出するのを低減で
き、冷媒ガスと同時に圧縮機構部へ潤滑油が吸い込まれ
る量を低減できる。このため、油上りが低減し、軸受の
信頼性が向上する。

【００１５】

【発明の効果】この発明の横形スクロール圧縮機によれ
ば、主軸に均圧用通路を設けたことにより、揺動スクロ
ールとスラスト受けとの摺動部から揺動スクロール外周
方向へ潤滑油が流出するのを低減でき、冷媒ガスと同時
に圧縮機構部へ潤滑油が吸い込まれる量を低減できる。
この結果、油上りが低減され、軸受の信頼性が向上する
という効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の断面図である。

【図２】この発明の一実施例の主軸の断面図である。

【図３】従来の横形スクロール圧縮機の断面図である。

【図４】従来の横形スクロール圧縮機の給油装置の断面
図である。

【図５】軸受摺動部等の要部詳細図である。

【符号の説明】

１ シェル ２ 油溜め ３ 固定スクロール ４ 揺動スクロール ５ スラスト受け ７ 主軸 ９ 給油通路 １１ 軸受支え １２ 軸受摺動部 １６ 容積形オイルポンプ ２０ 管体 ３３ 大径部偏心穴底部 ３４ 大径部端面厚肉部 ３５ 均圧用通路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シェルと、このシェル内に設けられ固定
   スクロールと揺動スクロールとを組合わせてなり前記揺
   動スクロールの揺動運動により気体の圧縮作用を行う圧
   縮機構部と、前記揺動スクロールを軸方向に支承するス
   ラスト受けと、前記シェル内壁に固定され前記揺動スク
   ロールを揺動可能に軸受けする軸受け支えと、一端の大
   径部にて前記揺動スクロールの揺動軸を軸受摺動部を介
   して偏心軸受する主軸と、前記主軸内において軸線方向
   に延設され一端が前記主軸の大径部偏心穴底部に開口し
   た給油通路と、この給油通路の他端に設けられ前記給油
   通路内に強制給油する容積形オイルポンプと、この容積
   形オイルポンプに連結され前記シェル内底部の油溜め内
   にその先端部が臨む油吸入用の管体とを備えた横形スク
   ロール圧縮機において、前記主軸の大径部偏心穴底部と
   前記主軸の大径部端面厚肉部から、前記主軸の大径部外
   周へ開通した均圧用通路を設けたことを特徴とする横形
   スクロール圧縮機。