JPH0518010B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は微細分された固体燃料の部分酸化のた
めの方法と、そのような方法の実施のためのバー
ナーとに関する。

固体燃料の部分酸化は、一酸化炭素と水素とか
ら主として構成される生成ガスを生成するため
に、固体燃料を準化多量論量の純粋な酸素または
空気のような酸素含有ガスと共に部分燃焼させる
方法として、定義され得る。燃焼媒体の組成によ
り、生成ガスは、有益となり得るかあるいは汚染
物と考えられ得るその他の物質を、更に包含す
る。

本発明は主として微粉炭に関して述べられるこ
ととなるが、本発明に関するバーナーおよび方法
は、その他のタイプの固体燃料であつて、亜炭、
木材、ビチユーメン、すすおよび石油コークスの
ような気化されることが出来るものに対しても、
さらに好適である。

良く知られた部分酸化方法によれば、微細分さ
れた状態の固体燃料はキヤリヤガスと共に反応器
へ向かつてバーナーを介して通過し、一方、燃焼
媒体もまたバーナー内の固体燃料流に加えられ、
あるいは前記反応炉器域内に別個に加えられる。
反応体が互いに有効に混同されるのに多大な注意
が払われるべきである。もし反応体が互いに密接
な接触にもたらさなければ、酸素および固体燃料
の流れは反応器内で少なくとも部分的に独立した
流れ径路をたどるであろう。反応器区域は主とし
て高温の一酸化炭素と水素で充満しているので、
酸素は固体燃料の代りにこれらのガスと早急に反
応してしまう。このように反応して形成された高
温の燃焼は２酸化炭素と蒸気を生産し、これらも
また比較的冷い固体燃料流とは僅かしか接触しな
い独立した流れ径路をたどる。酸素のこの様な作
用は反応器内に局部的な高温地点を結果としても
たらし、それにより反応器の耐火性ライニングの
損傷および適用された（複数の）バーナーの熱溶
解の増加を生ずる可能性がある。

固体燃料と酸素との十分な混合は、バーナーそ
れ自体の中で酸素を固体燃料流へ加えることによ
つて達成出来る。しかしながら、この方法の欠点
は、特に高圧の部分酸化において、バーナーの設
計および作動が高度に限界的なものであるという
点より構成される。この理由は、混合の瞬間と燃
料／酸素の混合物が反応器区域内に入る瞬間との
間の経過時間は、混合物の燃料誘導時間
（combustion induction time）よりも常に短く
あるべきことによる。その上、バーナー内の混合
物の速度は、フラツシユバツクを避けるため火災
の伝播速度よりも速くあるべきである。しかしな
がら、ガス化圧力の上昇においては、燃焼誘導時
間は短縮され、そして火災伝播速度は増加する。
更に、もしバーナーが低燃料負荷において作動さ
れる場合、または、換言すれば、もしバーナー内
の燃料／酸素混合物の速度が低い場合、燃焼誘導
時間またはフラツシユバツク状態がバーナーそれ
自体内に容易に達し、その結果バーナーの過熱お
よびバーナーへのひどい損傷の可能性を生ずるか
も知れない。

上述したバーナーそれ自体内での早期燃焼の問
題は、もし燃料と酸素がバーナー外側で反応器空
間それ自体の中において混合されるならば発生し
ない。この場合は、しかしながら、上で論じたよ
うな燃料の効果的な部分酸化に必要とされる十分
な混合を保証するため、特別な措置を講じるべき
である。燃料と酸素の密接な混合を促進するため
に、酸素を高速度ジエツトとして燃料流内に導入
することがすでに提案されてきている。本出願人
の同時出願中の英国特許出願第8229811号はその
ような固体燃料の部分酸化のためのシステムに関
し、該システムでは固体燃料のコアが反応器内の
空間に導入され、そして高速度ジエツトの形態を
した酸素は、総ての燃料粒が部分酸化の目的のた
めに酸素と接触出来るように、固体燃料流を分散
するため固体燃料のコアに向かつて直進する。す
でに提案された固体燃料と酸素との接触のための
この方法は、もし固体燃料のコアが寧ろ小さく保
たれることが出来る場合、換言すれば、もし寧ろ
低い能力の部分酸化方法が目的とされる場合にお
いては好ましいものであろう。しかし高処理量の
固体燃料が処理される場合は、問題が生じ得る。
後者の高処理量の場合は、固体燃料は比較的厚い
コアとして、反応器空間に供給されるべきであ
る。コアの厚さの増加は、しかしながら、固体燃
料流の分散の実現性に悪影響を与える。それか
ら、固体燃料流に充分貫入するために、酸素を非
常に高い速度で固体燃料内へ供給するべきであ
る。そのような高速度ジエツトは、バーナー前面
の過熱の危険性を伴う、既に形成された反応ガス
のバーナー前面に沿つた吸い込みを容易に生じさ
せる。上述した先の特許出願においては、それ
故、諸反応気体の吸い込みを抑制するために、高
速度酸素ジエツトを比較的低い速度の蒸気のシー
ルドによつて囲むことを提案している。

本発明の目的は、特に大量の固体燃料の部分酸
化のための方法であつて、比較的穏やかな速度を
有する酸素ジエツトにより固体燃料流が適当に分
散出来ることを特徴とする方法を提供することで
ある。

微細分された固体燃料を反応器空間内に環状流
として供給し、前記反応器空間内に酸素または酸
素含有ガスを導入し、該微細分された固体燃料の
部分酸化のため該酸素または酸素含有ガスを該微
細分された固体燃料と反応させ、酸素または酸素
含有ガスの少くとも一部を、前記の微細分された
固体燃料の環状流と交差するように構成された複
数の適度の速度のジエツトとして反応器空間内に
導入し、該ジエツトの流速は60〜100ｍ／secであ
り、前記の適度の速度のジエツトを、前記の微細
分された燃料の環状流に対し実質的に一様に分布
させることからなる、微細分された固体燃料の部
分酸化方法において、前記の適度の速度のジエツ
トを、対をなしたグループに分け、各対のジエツ
トは、前記の微細分された固体燃料の環状流の内
側の外側とで向かい合つて配置され、そして前記
の各対のジエツトは、前記の固体燃料の環状流の
中で相互に交差するように位置していることを特
徴とする、微細分された固体燃料の部分酸化方法
に関するものである。

上記方法において固体燃料は環状にて反応器空
間に供給されるので、固体燃料流の厚さは高燃料
処理量においてさえも寧ろ減少した状態に保つこ
とが出卒る。固体燃料は、酸素ジエツトによつて
容易に貫入されることが出来、燃料流を適当に分
散する。

酸素ジエツトは、固体燃料流を一様に分散する
ことを保証するために、好ましくは固体燃料流に
ついて一様に分布される。適用さるべき酸素ジエ
ツトの数はとりわけ固体燃料の環状体の直径、環
の巾、固体燃料それ自身の挙動に依存する。もし
固体燃料流が比較的密集した状態である場合、該
固体燃料流の適当な分散の達成のため、比較的大
量の酸素ジエツトが要求される。しかしながら、
複数の酸素ジエツト間の干渉のために酸素ジエツ
ト相互の運動量が減少することを防止するため
に、酸素ジエツトは相互に十分間隔を隔てて配置
することに注意すべきである。

本発明の好適な一実施例においては、酸素ジエ
ツトが微細分された固体燃料の環と、その外側か
ら交わるように配置される。未反応の固体が逃出
することを実質的に排除するため、酸素ジエツト
を環状燃料流の周囲に閉鎖シールドを実質的に形
成し、しかしながら、互いに干渉することがない
ような態様で配置することは好都合となり得る。
シールドをおこなう手段を固体燃料流の分散のた
めの酸素ジエツトとは別個に適用することによ
り、上述の目的を達成することが更に可能であ
る。固体燃料流と分散のための酸素ジエツトとの
配列の周囲に前記シールドを形成するために、酸
素または酸素含有ガスの低速度流を適用すること
が好ましい。

本発明に関する好ましい実施例においては、燃
焼媒体は環状固体燃料流を外側から交差する高速
度ジエツトを介して供給されるのみならず、該環
状固体燃料流の内側の実質的に中央に配置された
供給源を介して更に供給される。酸素または酸素
含有ガスより形成されたこの附加的燃焼媒体は、
燃焼の問題とは別個の複数の目的に役立つ。この
中央のガス流は、固体燃料と酸素の可燃性混合物
の発火後に形成された火災がバーナー前面から離
れた状態を保ち、それにより該バーナーの過熱の
危険性を減少する。中央のガス流は、酸素ジエツ
トにさらすことにより燃料流がつぶれることを防
止する、環状固体燃料流の支持として更に役立
つ。

本発明の更に好適な実施例においては、複数の
酸素ジエツトが対をなしてグループとされ、各グ
ループの対のジエツトは環状固体燃料の内側と外
側に向き合つて配置され、これらのジエツトは実
質的に固体燃料の環の内部で相互に交差するよう
になつている。酸素ジエツトの配列は、固体燃料
の環が寧ろ大きな幅を有することが必要とされる
べき、高い能力の操作に対して特に好適である。
酸素ジエツトはグループをなして位置させること
により、固体粒を燃料の環の中にとどめておくこ
と、および環状固体燃料の内側から作用する酸素
ジエツトによつて固体粒が所望の流れ径路より押
し出されないことを保証する。本発明に関して前
述した方法は、固体燃料の環をさらに支持するた
めに該環内に、好ましくはその中央に、低速度ガ
スを供給することにより更に有利となり得る。酸
素ジエツトが総て環の外側に位置している方法に
関して、すでに示したように、該低速度ガスは好
ましくは酸素または酸素含有ガスから構成され、
環状燃料の支持体として役立つのみならず、燃料
の適当なガス化のために必要とされる酸素の量を
満たす附加的燃料媒体としても役立つ。

酸素ジエツトの集合は、確実な作動と大量のガ
ス化生産をもたらす固体燃料と酸素との実質的に
均一な混合を得るため、好ましくは微細分された
固体燃料の環に関して実質的に一様に分布してい
る。後者の方法における好適な実施例において
は、環状燃料流およびグループ状に配置された酸
素ジエツトは低速度のガス、好ましくは酸素また
は酸素含有ガス、のシールドによつて取り囲まれ
ている。該シールドをするガスの速度は、好適に
は５ｍ／secから20ｍ／secの範囲内に選択され
る。

すでに上述したように本発明の重要な特徴は、
受容し得る酸素ジエツトの速度において、ガス化
の質を減損することなく、固体燃料の高処理量を
達成することを可能とすることからなる。酸素ジ
エツトの速度は通常60ｍ／secから100ｍ／secの
範囲で選択され得る。これらの速度はバーナー壁
の損傷を伴なうことなく、利用し得るバーナー内
にて容易に達成出来る。

本発明はまた、微細分された固体燃料のための
環状出口通路と、酸素または酸素含有ガスのため
の複数の出口路とを有し、該酸素または酸素含有
ガスのための出口路が、該環状出口通路に対して
一様に分布している微細分された固体燃料の部分
酸化のためのバーナーにおいて、該複数の出口路
は複数の対をなすグループとして構成され、各グ
ループの該出口路は前記の環状出口通路の内側と
外側とで向かい合つて配置され、そして実質的に
前記環状出口通路の延長部で下流方向に向いて互
いに交差するように配置された軸線を有すること
を特徴とする、微細分された固体燃料の部分酸化
のためのバーナーにも関する。

環状出口通路から噴出する環状固体燃料流の内
側に酸素または酸素含有ガスを供給するため、該
バーナーは環状出口通路内に実質的に同軸に配置
されている中央酸素出口通路を任意的に設け得
る。

本発明に関するバーナーは、該環状出口通路を
実質的に同軸に取り囲み、バーナーの作動中に固
体燃料および酸素ジエツトの周囲に低速度の酸素
または酸素含有ガスのシールドを供給するための
環状出口通路を、更に好適に設け得る。

本発明は、添付図面を参照して、更に以下にお
いて詳述される。

図面において示された同一の要素は、同じ参照
番号で示されていることに注意すべきである。更
に、本発明は、これらの図面に基づく記載によつ
て限定されるものではないということに注意すべ
きである。

第１図および第２図を参照すれば、全体が参照
番号１で示された、微粉炭のような微細分された
固体燃料の部分酸化のための従来のバーナーの前
方部分が示されており、該バーナーは、同筒形中
空壁部材２と前部表面３を形成する拡大端部とよ
り構成され、該前部表面３はバーナーの縦方向軸
線４に対して実質的に垂直に延びている。中空壁
部材２の内側には、実質的に同心の仕切り壁５が
設けられており、該仕切り壁はバーナー前部表面
３の近傍に配置された拡大端部６を有する。該仕
切り壁５は、中空壁部材２の内部を、冷却流体が
それを通つて循環するための通路７および８に分
割する。中空壁部材２は、環状酸素供給通路９を
囲み、該環状酸素供給通路は、その下流端におい
て、複数の内側へ傾斜した酸素出口路１０をバー
ナー前部表面３中の出口部分１１を有して設けて
いる。第２図中にて明確に示されているように、
酸素出口部分は縦方向のバーナー軸線４上を中心
とする円周上を均一に分布されている。

環状酸素供給通路９は、固体燃料の供給のため
に用いられるより小さな環状出口通路１２を囲
む。最後に、酸素の供給のための実質的に円筒形
の通路１３がバーナーの中心に配置されている。
酸素通路９および１３は、共通の供給源を介して
酸素を供給され得る。バーナー作動の制御のため
に、酸素通路９および１３は別々の供給源に接続
されることが好都合である。

例えば微粉炭の部分酸化のためのバーナーの作
動は以下のようである。運搬流体中の浮遊微粉炭
は、環状出口通路１２を介してバーナー出口の下
流の反応器内空間内へ通過する。同時に、主とし
て酸素を含有する送風が、環状酸素供給通路９と
出口路１０とを介して通過し、そして酸素出口１
１から噴出する複数の高速度ジエツトとして前記
反応器空間内に入り込む。該複数の高速度酸素ジ
エツトの運動量の半径方向分力は、環状石炭流に
向かい、石炭流の分散および石炭と酸素との密接
な混合を生じさせる。酸素出口路１０の与えられ
た傾角において、酸素ジエツトの速度は、該酸素
が石炭流内を貫通出来、そこから実質的に再び出
て来ることがないように選ばれるべきである。好
適な酸素ジエツトの速度は例えば60ｍ／secと90
ｍ／secの間の範囲内である。環状の石炭流はそ
の内側において、中央酸素通路を介して供給され
た酸素によつて支持される。この中央酸素流は、
石炭の部分酸化のための付加的な燃焼媒体源をさ
らに形成する。石炭の環が、高速度酸素ジエツト
が石炭流内に貫通する箇所において圧縮及び締め
固めされることを除去するため、環状石炭流は好
適にはむしろ穏やかな速度を有する。

第３図および第４図に記載の本発明の実施例に
おいては、バーナーは、環状石炭通路１２の周囲
の出口を有する酸素出口路だけではなく、前記通
路１２の内方に配置された出口２１を有する酸素
出口路２０をも設けている。該出口路２０は、環
状石炭通路１２に向かつて外側に傾斜しており、
出口路１０と向かい合つて配置され、従つてバー
ナーの作動中向かい合つた酸素出口からの酸素ジ
エツトが環状石炭流の中で互いに出合うようにな
つている。酸素出口路２０は、環状出口通路１２
によつて囲まれた環状酸素供給通路２２に接続さ
れている。

第３図および第４図に示すバーナーの作動の
間、出口１１および２１より噴出する酸素ジエツ
トは、環状通路１２からの流れに両側から侵入
し、なめらかな比較的厚い固体燃料流の分散を生
じる。内側口は外側酸素出口に対して向き合つて
配置されているので、内側の酸素ジエツトのエネ
ルギーによつて固体粒が逃げ出ることは外側の酸
素ジエツトにより防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のバーナーの前方部分の縦断面図
を示し；第２図は第１図中に描かれたバーナーの
正面図を示し；第３図は本発明に係るバーナーの
前方部分の縦断面図を示し；そして第４図は第３
図中に描かれたバーナーの正面図を示す。 １……バーナー、２……中空壁部材、３……前
部表面、４……縦方向軸線、５……仕切り壁、６
……拡大端部、７，８……通路、９……環状酸素
供給通路、１０，２０……酸素出口路、１１，２
１……出口部分、１２……環状出口通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 微細分された固体燃料を反応器空間内に環状
   流として供給し、前記反応器空間内に酸素または
   酸素含有ガスを導入し、該微細分された固体燃料
   の部分酸化のため該酸素または酸素含有ガスを該
   微細分された固体燃料と反応させ、酸素または酸
   素含有ガスの少くとも一部を、前記の微細分され
   た固体燃料の環状流と交差するように構成された
   複数の適度の速度のジエツトとして反応器空間内
   に導入し、該ジエツトの流速は60〜100ｍ／secで
   あり、前記の適度の速度のジエツトを、前記の微
   細分された燃料の環状流に対し実質的に一様に分
   布させることからなる、微細分された固体燃料の
   部分酸化方法において、前記の適度の速度のジエ
   ツトを、対をなしたグループに分け、各対のジエ
   ツトは、前記の微細分された固体燃料の環状流の
   内側の外側とで向かい合つて配置され、そして前
   記の各対のジエツトは、前記の固体燃料の環状流
   の中で相互に交差するように位置していることを
   特徴とする、微細分された固体燃料の部分酸化方
   法。 ２ 前記の環状燃料流の内側の前記ジエツトが、
   前記の微細分された固体燃料の環状流内の中央に
   配置されたコア部を経て供給される特許請求の範
   囲第１項に記載の方法。 ３ 酸素または酸素含有ガスの一部が、微細分さ
   れた固体燃料の環状流と適度の速度の酸素ジエツ
   トとからなる配列体を取り囲む低速度の環状流と
   して、反応器空間内に供給される特許請求の範囲
   第１項または第２項に記載の方法。 ４ 微細分された固体燃料のための環状出口通路
   と、酸素または酸素含有ガスのための複数の出口
   路とを有し、該酸素または酸素含有ガスのための
   出口路が、該環状出口通路に対して一様に分布し
   ている微細分された固体燃料の部分酸化のための
   バーナーにおいて、該複数の出口路は複数の対を
   なすグループとして構成され、各グループの該出
   口路は前記の環状出口通路の内側と外側とで向か
   い合つて配置され、そして実質的に前記環状出口
   通路の延長部で下流方向に向いて互いに交差する
   ように配置された軸線を有することを特徴とす
   る、微細分された固体燃料の部分酸化のためのバ
   ーナー。