JPH05170667A - バイスペシフィック抗体 - Google Patents

バイスペシフィック抗体

Info

Publication number
JPH05170667A
JPH05170667A JP3344502A JP34450291A JPH05170667A JP H05170667 A JPH05170667 A JP H05170667A JP 3344502 A JP3344502 A JP 3344502A JP 34450291 A JP34450291 A JP 34450291A JP H05170667 A JPH05170667 A JP H05170667A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
antibody
monoclonal antibody
erbb
gene product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3344502A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Nishimura
孝司 西村
Takashi Masuko
高 益子
Yoshiyuki Hashimoto
嘉幸 橋本
Sonoko Kakio
園子 垣生
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KH Neochem Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd filed Critical Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
Priority to JP3344502A priority Critical patent/JPH05170667A/ja
Publication of JPH05170667A publication Critical patent/JPH05170667A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 癌の治療に有効なバイスペシフィック抗体を
提供する。 【構成】 抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と
抗CD3モノクローナル抗体からなるバイスペシフィック
抗体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌治療に有用なバイス
ペシフィック抗体を提供する。
【0002】
【従来の技術】受動腫瘍免疫療法の大きな問題点の一つ
に、エフェクター細胞を腫瘍部位に標的させることの困
難さがある。キラー細胞と標的細胞の両方に反応するバ
イスペシフィック抗体により抗腫瘍エフェクター細胞を
特異的に標的細胞に運ぶ試みがなされている〔ネイチャ
ー(Nature),316, 354-356 (1985)、 同,314, 628-631
(1985)〕。バイスペシフィック抗体とは、2つの異なっ
た抗原特異性を認識する、化学的方法または細胞融合に
よって作製された合成抗体である。
【0003】バイスペシフィック抗体を作製する方法と
しては、2つのイミュノグロブリン分子をN-サクシンイ
ミジル-3-(2-ピリジルジチオール)-プロピオネート〔N-
succinimidyl-3-(2-pyridyldithiol)-propionate〕やS-
アセチルメルカプトサクシニックアシッド アンハイド
ライド〔S-acetylmercaptosuccinic acid anhydride〕
などの架橋剤を用いて結合し作製する方法〔ジャーナル
・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(J.Exp.Me
d.), 163, 166-178 (1986)〕、イミュノグロブリン分子
のFabフラグメントどうしを結合して効率良く作製する
方法〔ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー
(Eur.J.Immunol.), 19, 1437-1441(1989)〕などが報告
されている。
【0004】臨床例と実験事実によって、抗CD3モノク
ローナル抗体と抗腫瘍モノクローナル抗体からなるバイ
スペシフィック抗体を用いた受動腫瘍免疫療法が腫瘍療
法において有効な手段であることが証明されている〔ラ
ンセット(Lancet),335, 368-372(1990)、 イムノロジー
・トウデー(Immunol.Today),12 ,51-54 (1991)〕。も
し、腫瘍細胞に広く分布している好適な標的分子を見い
だし、それに対するバイスペシフィック抗体を作ること
ができるなら、受動腫瘍免疫療法との組み合わせで癌治
療に適応可能な治療法となるだろう。
【0005】ヒトc-erbB-2プロトオンコジーン産物の細
胞外ドメインを認識するモノクローナル抗体をつくるこ
とに成功したことが報告されている〔モレキュラー・ア
ンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Bio.), 9, 11
65-1172 (1989)、バイオケミカル・ソサイアティ・トラ
ンスアクション(Bio.Soc.Trans.), 16, 675-677 (198
8)〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、癌の
治療に有用なバイスペシフィック抗体を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、抗c-er
bB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と抗CD3モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体を提供するこ
とができる。c-erbB-2遺伝子とその産物は、種々のヒト
腺癌において増幅発現していることが証明されているの
で、抗CD3モノクローナル抗体と抗c-erbB-2モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体ができれば受
動腫瘍免疫療法との組み合わせで、臨床上治療効果の高
いものになることが予想される。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。c-erbB-2
遺伝子産物に対するモノクローナル抗体の作製は、以下
のとおり行う。c-erbB-2遺伝子産物を高発現しているヒ
ト乳癌細胞株などを免疫した動物の脾細胞とマウスの骨
髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを作製し、c-er
bB-2遺伝子産物を発現している細胞と反応し、c-erbB-2
遺伝子産物を発現していない細胞と反応しないモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。該ハ
イブリドーマを培地で培養するか、マウスに投与して該
マウスを腹水癌化させ、該培養液、または腹水よりプロ
テインAカラムなどで精製したものを抗c-erbB-2遺伝子
産物モノクローナル抗体の精製抗体として準備する。CD
3に対するモノクローナル抗体は、ヒト末梢血リンパ球
を免疫することにより作製可能であるが、すでに確立さ
れているOKT-3などのハイブリドーマを用いて産生する
こともできる。
【0009】このようにして得られる2種のモノクロー
ナル抗体をペプシンやパパインで処理し、F(ab')2フラ
グメントを得る。さらに、これらをそれぞれジチオスレ
イトール(DTT)などを用いて還元することにより、遊離
のSH-基を有するFab'-SHに変換する。次にどちらか一方
のFab'-SH を5,5'-ジチオビス-2-ニトロベンゾイックア
シッド(DTNB)などで処理することによりFab'フラグメン
トのニトロベンゼン誘導体であるFab'-S-NBに変換す
る。得られるFab'-SHとFab'-S-NBとを混合し、Fast Pro
tein Liquid Chromatography(FPLC)などで精製すること
により、バイスペシフィック抗体を作製する。
【0010】以下に、本発明のバイスペシフィック抗体
の製造法を詳細に説明する。 (1)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 c-erbB-2遺伝子産物に対するモノクローナル抗体の作
製:3〜20週令のマウスまたはラットに抗原(c-erbB
-2遺伝子産物を高発現している細胞)を免疫して、その
動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取す
る。免疫は、動物の皮下、静脈内あるいは腹腔内に適当
なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバン
ト(Complete Freund's Adjuvant)、または水酸化アル
ミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を
投与することにより行う。
【0011】抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週
間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静
脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素
免疫測定法〔酵素免疫測定法(ELISA法):医学書
院刊 1976年〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対
し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラッ
トを脾細胞の供給源として提供する。
【0012】CD3に対するモノクローナル抗体の作製:
3〜20週令のマウスまたはラットに抗原(ヒト末梢血
リンパ球)を免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢
血中の抗体産生細胞を採取する。免疫は、動物の皮下、
静脈内あるいは腹腔内に適当なアジュバント〔例えば、
フロインドの完全アジュバント、または水酸化アルミニ
ウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与
することにより行う。抗原の投与は、1回目の投与の後
1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目
に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応するこ
とを酵素免疫測定法などで調べる。免疫に用いた抗原に
対し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラ
ットを脾細胞の供給源として提供する。
【0013】脾細胞と骨髄腫細胞の融合に供するにあた
って、抗原物質の最終投与後3〜7日目に、免疫したマ
ウスまたはラットより脾臓を摘出し、脾細胞を採取す
る。脾臓をMEM培地中で細断し、ピンセットでほぐ
し、遠心分離(1,200rpm、5分)した後、上清を捨て、
トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分
間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して融
合用脾細胞として提供する。
【0014】(2)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使
用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB
/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(P3-U1)〔ヨーロピ
アン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(Eur.J.Immuno
l.), 6 , 511-519 (1976)〕、SP2/O-Ag14(SP-2)〔ネイ
チャー(Nature),276, 269-270 (1978)〕、P3-X63-Ag865
3(653)〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immuno
l.),123, 1548-1550 (1979)〕、P3-X63-Ag8(X63)〔ネイ
チャー(Nature),256, 495-497 (1975)〕などが用いられ
る。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI-1
640培地にグルタミン(1.5mM)、2−メルカプトエタノ
ール(5×10-5M)、ジェンタマイシン(10μg/ml)
および牛胎児血清(FCS)(CSL社製、10%)を加
えた培地(以下正常培地という)に、さらに8−アザグ
アニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細
胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合時に2×
107個以上の細胞数を確保する。
【0015】(3)細胞融合 (1)で免疫した各々の抗体産生細胞と(2)で得られ
た骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナト
リウム 1.83g、リン酸一カリウム 0.21g、食塩 7.65
g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数
が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよ
う混合し、遠心分離(1,200rpm、5分)した後、上清を
捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しなが
ら、37℃で、ポリエチレングリコール−1,000(PE
G−1,000)2g、MEM培地2mlおよびジメチルス
ルホキシド0.7mlの混液0.2〜1ml/108抗体
産生細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2ml
を数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mlに
なるようにする。遠心分離(900rpm、5分)後、上清を
捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによ
る吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地〔正常
培地にヒポキサンチン(10-4M)、チミジン(1.5×10
-5M)およびアミノプテリン(4×10-7M)を加えた培
地〕100ml中に懸濁する。
【0016】この懸濁液を96穴培養用プレートに10
0μl/穴ずつ分注し、5%CO2 インキュベーター
中、37℃で7〜14日間培養する。培養後、培養上清
の一部をとり酵素免疫測定法などにより、c-erbB-2遺伝
子産物を発現している細胞と反応し、c-erbB-2遺伝子産
物を発現していない細胞と反応しないハイブリドーマを
選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2
回繰り返し〔1回目はHT培地(HAT培地からアミノ
プテリンを除いた培地)、2回目は正常培地を使用す
る〕、安定して強い抗体価の認められたものを抗c-erbB
-2遺伝子産物モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株
として選択する。また、同様の方法を用いて、抗CD3モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製する。
【0017】(4)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理〔2、6、10、14−テトラメチルペン
タデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投与し、2週
間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマ
ウスに、(3)で得られた抗c-erbB-2遺伝子産物モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞、および抗CD3モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×106
5×107細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日で
ハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を
採取し、遠心分離(3,000rpm、5分)して固形分を除去
後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析し、DEAE−セ
ファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはセル
ロファインGSL2000(生化学工業社製)のカラム
に通塔し、IgG画分を集め、精製モノクローナル抗体と
する。
【0018】抗体のサブクラスの決定は、マウスモノク
ローナル抗体タイピングキット(ザイメット社製)ある
いはラットモノクローナル抗体タイピングキット(ノル
ディックイムノロジー社製)を用いて行う。蛋白量の定
量は、ローリー法および280nmでの吸光度より算出して
行う。
【0019】(5)バイスペシフィック抗体の作製 パパインやペプシンを用いて作製した抗CD3モノクロー
ナル抗体のF(ab')2フラグメント〔ジャーナル・オブ・
イムノロジー(J.Immunol.),131, 2895 (1983)〕をDTTな
どの還元剤を用いて還元する。還元反応をDTNBで停止さ
せ、生成されるFab'-S-NBをゲルクロマトグラフィーで
単離する。また、パパインやペプシンを用いて作製した
抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体のF(ab')2
ラグメントもやはりDTTなどの還元剤を用いて還元し、
得られるFab'-SHをゲルクロマトグラフィーで精製す
る。
【0020】Fab'-S-NBとFab'-SHを1:1で混合し、数
時間インキュベーションし、生成される再構成F(ab')2
をゲルクロマトグラフィーで単離し、バイスペシフィッ
ク抗体として以下の実験に供する。
【0021】 (6)バイスペシフィック抗体の反応性の確認 (5)で作製されたバイスペシフィック抗体とヒトリン
パ球およびc-erbB-2遺伝子産物陽性細胞との反応性を蛍
光抗体法(抗体実験マニュアル、E.Harlow、D.Lane編、
Cold Spring Harbor Laboratory刊、1988年)などによ
り調べる。
【0022】 (7)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−1− ヒト末梢血リンパ球からセルソーターを用いてCD4陽性T
細胞を分離し、抗CD3抗体とインターロイキン-2(IL-2)
の存在下で培養することによりリンパ球を活性化(以下
活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞という)する。活性化
CD4+ヘルパー/キラー細胞と51Crで標識したc-erbB-2遺
伝子産物陽性細胞をバイスペシフィック抗体の存在下お
よび非存在下で培養し、死滅細胞から遊離する51Crのガ
ンマー線を測定することにより抗腫瘍効果を調べる。
【0023】 (8)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−2− 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とc-erbB-2遺伝子産物
陽性癌細胞をバイスペシフィック抗体とともにマウスに
移植し、癌細胞により形成される腫瘍の大きさを測定す
ることにより抗腫瘍効果を調べる。以下に本発明の実施
例を示す。
【0024】
【実施例】
実施例1 (1)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 6週令BALB/cマウスに、c-erbB-2遺伝子産物を高発現し
ているヒト乳癌細胞SK-BR-3(ATCC番号HTB30)約1×10
7細胞/回を静脈内投与および腹腔内投与により1週間
に1回、計6回投与した。眼底静脈叢より採血し、その
血清抗体価を蛍光抗体法(抗体実験マニュアル、E.Harl
ow、D.Lane編、Cold Spring HarborLaboratory刊、1988
年)で調べ、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫
3日後に脾臓を摘出した。脾臓をMEM培地(日水製薬
社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1,
200rpm、5分)した後、上清を捨て、トリス−塩化アン
モニウム液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去
し、MEM培地で3回洗浄し細胞融合に用いた。
【0025】(2)マウス骨髄腫細胞の調製 8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3-X63-Ag865
3を正常培地で培養し、細胞融合時に2×107以上の細
胞を確保し、細胞融合に親株として供した。
【0026】(3)ハイブリドーマの作製 上記(1)で得られたマウス脾細胞と上記(2)で得ら
れた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分
離(1,200rpm、5分)した後、上清を捨て、沈澱した細
胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリ
エチレングリコール−1,000(PEG−1,000)2g、M
EM培地2mlおよびジメチルスルホキシド0.7ml
の混液0.2〜1ml/108マウス脾細胞を加え、1〜
2分間毎にMEM培地1〜2mlを数回加えた後、ME
M培地を加えて全量が50mlになるようにした。遠心
分離(900rpm、5分)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞
をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆ
るやかに細胞をHAT培地100ml中に懸濁した。
【0027】この懸濁液を96穴培養用プレートに10
0μl/穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター
中、37℃で10〜14日間培養した。培養上清がSK-B
R-3細胞と反応し、c-erbB-2遺伝子産物を発現していな
いNIH-3T3(ATCC番号CRL1658)細胞とは反応しないウェ
ルを選び、さらにHT培地と正常培地に換え、2回クロ
ーニングを繰り返して、抗c-erbB-2遺伝子産物モノクロ
ーナル抗体を生産するハイブリドーマを選択した。
【0028】このハイブリドーマSER-4の産生するモノ
クローナル抗体SER-4は、c-erbB-2遺伝子産物を発現し
ているヒト胃癌細胞KATOIII(ATCC番号HTB103)、ヒト大
腸癌細胞LS174T(ATCC番号CL188)、およびマウス細胞N
IH-3T3にc-erbB-2遺伝子を導入し、c-erbB-2遺伝子産物
を高発現するようになった細胞A4-15と強く反応し、c-e
rbB-2遺伝子産物を発現していないマウス細胞NIH-3T3、
マウス細胞NIH-3T3にEJras遺伝子を導入した細胞RASc
D、およびヒトB細胞リンホーマー細胞Daudi(ATCC番号C
CL213)とは全く反応しなかった。抗CD3モノクローナル
抗体については、該抗体を産生するハイブリドーマOKT-
3(ATCC番号CRL8001)をATCCより購入した。
【0029】(4)モノクローナル抗体の製造 プリスタン処理した8週令ヌード雌マウスに上記(3)
で得られたハイブリドーマ株5〜10×106細胞/匹
をそれぞれ別のマウスに腹腔内注射した。10〜21日
後にハイブリドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマ
ウスから、腹水を採取(1〜8ml/匹)し、遠心分離(3,
000rpm、5分)して固形分を除去した。
【0030】モノクローナル抗体がIgGのときは、得ら
れた腹水を結合バッファー(1.5Mグリシン−3M NaCl,
pH9)で透析後プロテインA−セファロースカラム(フ
ァルマシア社製)に通塔し、カラムを洗浄後溶出バッフ
ァー(0.1Mクエン酸 pH4.0)でIgG画分を溶出した。
溶出後塩化ナトリウム0.5Mを添加したPBSですみ
やかに透析し、精製モノクローナル抗体とした。
【0031】抗体のサブクラスをマウスモノクローナル
抗体タイピングキットで決定したところ、c-erbB-2遺伝
子産物に対するモノクローナル抗体SER-4はIgG1、CD3
に対するモノクロナール抗体OKT-3は、IgG2aであっ
た。
【0032】(5)バイスペシフィック抗体の作製 モノクローナル抗体OKT-3をペプシン〔シグマ(Sigma)社
製〕で0.1Mクエン酸バッファー(pH4.1)中、37℃で2
時間処理し、F(ab')2フラグメントを調製した。この酵
素反応は、1M NaHCO3を加えてpHを8に上げることによ
り停止させた。また、モノクローナル抗体SER-4は、シ
ステイン存在下、活性化パパイン〔ワーシントン(Worth
ington)社製〕で3mM EDTAを含む0.1M酢酸バッファー
(pH5.5)中、37℃で3時間処理してF(ab')2フラグメ
ントを調製した。この酵素反応は最終濃度10mMになるよ
うにヨードアセトアミドを加えて停止させた。このよう
にして得られた2種のF(ab')2フラグメントをそれぞれ
ゲルクロマトグラフィーで精製した。
【0033】モノクローナル抗体OKT-3のF(ab')2フラグ
メントを0.5mM DTTで30分、pH7.5で処理し還元した。還
元反応は、DTNB(最終濃度5mM)で停止させ、生成したF
ab'-S-NBをゲルクロマトグラフィーで単離した。モノク
ローナル抗体SER-4のF(ab')2フラグメントもやはり0.5m
M DTTを用いて還元し、Fab'-SHをゲルクロマトグラフィ
ーで精製した。Fab'-S-NBとFab'-SHを1:1で混合し、
4時間室温でインキュベーションし、生成される再構成
F(ab')2をゲルクロマトグラフィーで単離し、バイスペ
シフィック抗体として以下の実験に供した。第1図にバ
イスペシフィック抗体の作製法の概略を示す。
【0034】 (6)バイスペシフィック抗体の反応性の確認 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞およびNIH-3T3細胞にc
-erbB-2遺伝子を導入し、c-erbB-2遺伝子産物を高発現
するようになった細胞A4-15に対する上記(5)で作製
されたバイスペシフィック抗体の反応性を蛍光抗体法に
より調べた。反応性はフローサイトメトリー(FACScan)
で解析した。結果を第2図に示す。
【0035】活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞に対して
は、モノクローナル抗体OKT-3とバイスペシフィック抗
体が反応し、モノクローナル抗体SER-4は反応しなかっ
た。一方、細胞A4-15に対しては、バイスペシフィック
抗体とモノクローナル抗体SER-4は反応したが、モノク
ローナル抗体OKT-3は反応しなかった。このように、作
製されたバイスペシフィック抗体はCD3陽性リンパ球とc
-erbB-2遺伝子産物産生細胞の両方に反応する活性があ
ることが確かめられた。
【0036】 (7)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−1− 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞と51Crで標識したc-er
bB-2遺伝子産物陽性細胞を20:1の比率でバイスペシ
フィック抗体(1μg/ml)の存在下および非存在下で
4時間培養し、死滅細胞から遊離する51Crのガンマー線
を測定することにより抗腫瘍効果を調べた。その結果、
第3図に示すようにc-erbB-2遺伝子産物を高発現してい
るSV11、A4-15、KATOIII、LS174Tの各細胞は高率に死滅
した。一方、c-erbB-2遺伝子産物を発現していないNIH-
3T3、RAScD、Daudiの各細胞はほとんど死滅しなかっ
た。
【0037】 (8)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−2− 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞2×107個と各種癌
細胞2×106個をバイスペシフィック抗体(10μg)と
ともに混合し、BALB/cヌードマウスに皮下移植した。そ
の結果、第4図に示すように、c-erbB-2遺伝子産物を高
発現している細胞A4-15(図4-A)とLS174T(図4-C)で
は、活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とバイスペシフィ
ック抗体を組み合わせたときにのみ腫瘍形成を抑制し、
無処理、活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞単独処理、バ
イスペシフィック抗体単独処理では、腫瘍形成の抑制は
認められなかった。また、c-erbB-2遺伝子産物を発現し
ていない細胞RAScD(図4-B)では、無処理、活性化CD4+
ヘルパー/キラー細胞とバイスペシフィック抗体の組み
合わせ処理とも腫瘍形成の抑制は認められなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば癌の治療に有効な抗c-er
bB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と抗CD3モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1図は、バイスペシフィック抗体の作製法
の概略を示す。
【図2】 第2図は、バイスペシフィック抗体と活性化
CD4+ヘルパー/キラー細胞(図A)および細胞A4-15
(図B)との反応を蛍光抗体法で調べ、フローサイトメ
トリー(FACScan)で解析した結果を示す。a;抗体を反
応させないときの蛍光パターン。b;モノクローナル抗
体OKT-3を反応させたときのパターン。c;モノクロー
ナル抗体SER-4を反応させたときのパターン。d;バイ
スペシフィック抗体を反応させたときのパターン。
【図3】 第3図は、バイスペシフィック抗体の抗腫瘍
効果−1−を示す。第3図の白ヌキグラフは、バイスペ
シフィック抗体非存在下、斜線グラフは、バイスペシフ
ィック抗体存在下における細胞障害活性を示す。
【図4】 第4図は、バイスペシフィック抗体の抗腫瘍
効果−2−を示す。第4-A図はA4-15細胞、第4-B図はR
AScD細胞、第4-C図はLS174T細胞における抗腫瘍効果を
示す。●は活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とバイスペ
シフィック抗体の組み合わせ処理、△は活性化CD4+ヘル
パー/キラー細胞単独処理、◆はバイスペシフィック抗
体単独処理、○は無処理を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/06 C12P 21/06 8214−4B 21/08 8214−4B (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体
    と抗CD3モノクローナル抗体からなるバイスペシフィッ
    ク抗体
  2. 【請求項2】抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体
    がSER-4である請求項1記載のバイスペシフィック抗体
  3. 【請求項3】抗CD3モノクローナル抗体がOKT-3である請
    求項1記載のバイスペシフィック抗体
JP3344502A 1991-12-26 1991-12-26 バイスペシフィック抗体 Withdrawn JPH05170667A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3344502A JPH05170667A (ja) 1991-12-26 1991-12-26 バイスペシフィック抗体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3344502A JPH05170667A (ja) 1991-12-26 1991-12-26 バイスペシフィック抗体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05170667A true JPH05170667A (ja) 1993-07-09

Family

ID=18369769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3344502A Withdrawn JPH05170667A (ja) 1991-12-26 1991-12-26 バイスペシフィック抗体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05170667A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05213775A (ja) * 1992-02-05 1993-08-24 Otsuka Pharmaceut Co Ltd Bfa抗体
US6627196B1 (en) 1999-08-27 2003-09-30 Genentech, Inc. Dosages for treatment with anti-ErbB2 antibodies
US7041292B1 (en) 1999-06-25 2006-05-09 Genentech, Inc. Treating prostate cancer with anti-ErbB2 antibodies
US7371376B1 (en) 1996-10-18 2008-05-13 Genentech, Inc. Anti-ErbB2 antibodies
WO2018123979A1 (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 協和発酵キリン株式会社 ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合する抗体

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05213775A (ja) * 1992-02-05 1993-08-24 Otsuka Pharmaceut Co Ltd Bfa抗体
US7371376B1 (en) 1996-10-18 2008-05-13 Genentech, Inc. Anti-ErbB2 antibodies
US7041292B1 (en) 1999-06-25 2006-05-09 Genentech, Inc. Treating prostate cancer with anti-ErbB2 antibodies
US6627196B1 (en) 1999-08-27 2003-09-30 Genentech, Inc. Dosages for treatment with anti-ErbB2 antibodies
US7371379B2 (en) 1999-08-27 2008-05-13 Genentech, Inc. Dosages for treatment with anti-ErbB2 antibodies
US10160811B2 (en) 1999-08-27 2018-12-25 Genentech, Inc. Treatment with anti-ErbB2 antibodies
US10280228B2 (en) 1999-08-27 2019-05-07 Genentech, Inc. Treatment with anti-ErbB2 antibodies
WO2018123979A1 (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 協和発酵キリン株式会社 ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合する抗体
JPWO2018123979A1 (ja) * 2016-12-26 2020-02-06 協和キリン株式会社 ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合する抗体
US11117963B2 (en) 2016-12-26 2021-09-14 Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd. Antibody which binds to myelin oligodendrocyte glycoprotein

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI757304B (zh) Lag-3抗體、其抗原結合片段及其醫藥用途
US4661586A (en) Monoclonal anti-idiotype antibodies
EP0805871B1 (en) Anti-cd30 antibodies preventing proteolytic cleavage and release of membrane-bound cd30 antigen
US5091178A (en) Tumor therapy with biologically active anti-tumor antibodies
US5772997A (en) Monoclonal antibodies directed to the HER2 receptor
US4816249A (en) Monoclonal anti-idiotype antibodies
WO1999012973A1 (fr) Anticorps monoclonal induisant l'apoptose
US4792447A (en) Anti-immunoglobulin toxin conjugates useful in the treatment of B cell tumors
JP2001521520A (ja) 抗α▲下v▼β▲下3▼インテグリン抗体アンタゴニスト
JP2009221224A (ja) 自己免疫疾患用の試薬および治療
JPH09508390A (ja) 免疫刺激性モノクローナル抗体
US20200255536A1 (en) Target for b-cell disorders
US20030072759A1 (en) Immunotherapy of tumor with monoclonal antibody against the 17-1A antigen
US20040214761A1 (en) Method for treating multiple myeloma
JPH05170667A (ja) バイスペシフィック抗体
JPH0734742B2 (ja) ヒトnk細胞溶解可能なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞
EP0234122A2 (en) Tumor therapy with biologically active anti-tumor antibodies
EP0581108A2 (en) Bispecific antibody reactive with sialyl-Lea antigen and CD3
CN113087796B (zh) 一种抗pd-l1抗体及其应用
CN113597432A (zh) 抗EpCAM抗体及其应用
US20030180799A1 (en) Antibodies against plasma cells
JPH0431674B2 (ja)
US20020081305A1 (en) Altering the properties of cells or of particles with menbranes derived from cells by means of lipid-modified proteinaceous molecules
Gray et al. Overview of monoclonal antibody therapies
Takács et al. Therapeutic monoclonal antibodies: history, facts and trends

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990311