JPH05170667A - バイスペシフィック抗体 - Google Patents
バイスペシフィック抗体Info
- Publication number
- JPH05170667A JPH05170667A JP3344502A JP34450291A JPH05170667A JP H05170667 A JPH05170667 A JP H05170667A JP 3344502 A JP3344502 A JP 3344502A JP 34450291 A JP34450291 A JP 34450291A JP H05170667 A JPH05170667 A JP H05170667A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cells
- antibody
- monoclonal antibody
- erbb
- gene product
- Prior art date
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 癌の治療に有効なバイスペシフィック抗体を
提供する。 【構成】 抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と
抗CD3モノクローナル抗体からなるバイスペシフィック
抗体。
提供する。 【構成】 抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と
抗CD3モノクローナル抗体からなるバイスペシフィック
抗体。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌治療に有用なバイス
ペシフィック抗体を提供する。
ペシフィック抗体を提供する。
【0002】
【従来の技術】受動腫瘍免疫療法の大きな問題点の一つ
に、エフェクター細胞を腫瘍部位に標的させることの困
難さがある。キラー細胞と標的細胞の両方に反応するバ
イスペシフィック抗体により抗腫瘍エフェクター細胞を
特異的に標的細胞に運ぶ試みがなされている〔ネイチャ
ー(Nature),316, 354-356 (1985)、 同,314, 628-631
(1985)〕。バイスペシフィック抗体とは、2つの異なっ
た抗原特異性を認識する、化学的方法または細胞融合に
よって作製された合成抗体である。
に、エフェクター細胞を腫瘍部位に標的させることの困
難さがある。キラー細胞と標的細胞の両方に反応するバ
イスペシフィック抗体により抗腫瘍エフェクター細胞を
特異的に標的細胞に運ぶ試みがなされている〔ネイチャ
ー(Nature),316, 354-356 (1985)、 同,314, 628-631
(1985)〕。バイスペシフィック抗体とは、2つの異なっ
た抗原特異性を認識する、化学的方法または細胞融合に
よって作製された合成抗体である。
【0003】バイスペシフィック抗体を作製する方法と
しては、2つのイミュノグロブリン分子をN-サクシンイ
ミジル-3-(2-ピリジルジチオール)-プロピオネート〔N-
succinimidyl-3-(2-pyridyldithiol)-propionate〕やS-
アセチルメルカプトサクシニックアシッド アンハイド
ライド〔S-acetylmercaptosuccinic acid anhydride〕
などの架橋剤を用いて結合し作製する方法〔ジャーナル
・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(J.Exp.Me
d.), 163, 166-178 (1986)〕、イミュノグロブリン分子
のFabフラグメントどうしを結合して効率良く作製する
方法〔ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー
(Eur.J.Immunol.), 19, 1437-1441(1989)〕などが報告
されている。
しては、2つのイミュノグロブリン分子をN-サクシンイ
ミジル-3-(2-ピリジルジチオール)-プロピオネート〔N-
succinimidyl-3-(2-pyridyldithiol)-propionate〕やS-
アセチルメルカプトサクシニックアシッド アンハイド
ライド〔S-acetylmercaptosuccinic acid anhydride〕
などの架橋剤を用いて結合し作製する方法〔ジャーナル
・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(J.Exp.Me
d.), 163, 166-178 (1986)〕、イミュノグロブリン分子
のFabフラグメントどうしを結合して効率良く作製する
方法〔ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・イムノロジー
(Eur.J.Immunol.), 19, 1437-1441(1989)〕などが報告
されている。
【0004】臨床例と実験事実によって、抗CD3モノク
ローナル抗体と抗腫瘍モノクローナル抗体からなるバイ
スペシフィック抗体を用いた受動腫瘍免疫療法が腫瘍療
法において有効な手段であることが証明されている〔ラ
ンセット(Lancet),335, 368-372(1990)、 イムノロジー
・トウデー(Immunol.Today),12 ,51-54 (1991)〕。も
し、腫瘍細胞に広く分布している好適な標的分子を見い
だし、それに対するバイスペシフィック抗体を作ること
ができるなら、受動腫瘍免疫療法との組み合わせで癌治
療に適応可能な治療法となるだろう。
ローナル抗体と抗腫瘍モノクローナル抗体からなるバイ
スペシフィック抗体を用いた受動腫瘍免疫療法が腫瘍療
法において有効な手段であることが証明されている〔ラ
ンセット(Lancet),335, 368-372(1990)、 イムノロジー
・トウデー(Immunol.Today),12 ,51-54 (1991)〕。も
し、腫瘍細胞に広く分布している好適な標的分子を見い
だし、それに対するバイスペシフィック抗体を作ること
ができるなら、受動腫瘍免疫療法との組み合わせで癌治
療に適応可能な治療法となるだろう。
【0005】ヒトc-erbB-2プロトオンコジーン産物の細
胞外ドメインを認識するモノクローナル抗体をつくるこ
とに成功したことが報告されている〔モレキュラー・ア
ンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Bio.), 9, 11
65-1172 (1989)、バイオケミカル・ソサイアティ・トラ
ンスアクション(Bio.Soc.Trans.), 16, 675-677 (198
8)〕。
胞外ドメインを認識するモノクローナル抗体をつくるこ
とに成功したことが報告されている〔モレキュラー・ア
ンド・セルラー・バイオロジー(Mol.Cell.Bio.), 9, 11
65-1172 (1989)、バイオケミカル・ソサイアティ・トラ
ンスアクション(Bio.Soc.Trans.), 16, 675-677 (198
8)〕。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、癌の
治療に有用なバイスペシフィック抗体を提供することに
ある。
治療に有用なバイスペシフィック抗体を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、抗c-er
bB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と抗CD3モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体を提供するこ
とができる。c-erbB-2遺伝子とその産物は、種々のヒト
腺癌において増幅発現していることが証明されているの
で、抗CD3モノクローナル抗体と抗c-erbB-2モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体ができれば受
動腫瘍免疫療法との組み合わせで、臨床上治療効果の高
いものになることが予想される。
bB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と抗CD3モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体を提供するこ
とができる。c-erbB-2遺伝子とその産物は、種々のヒト
腺癌において増幅発現していることが証明されているの
で、抗CD3モノクローナル抗体と抗c-erbB-2モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体ができれば受
動腫瘍免疫療法との組み合わせで、臨床上治療効果の高
いものになることが予想される。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。c-erbB-2
遺伝子産物に対するモノクローナル抗体の作製は、以下
のとおり行う。c-erbB-2遺伝子産物を高発現しているヒ
ト乳癌細胞株などを免疫した動物の脾細胞とマウスの骨
髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを作製し、c-er
bB-2遺伝子産物を発現している細胞と反応し、c-erbB-2
遺伝子産物を発現していない細胞と反応しないモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。該ハ
イブリドーマを培地で培養するか、マウスに投与して該
マウスを腹水癌化させ、該培養液、または腹水よりプロ
テインAカラムなどで精製したものを抗c-erbB-2遺伝子
産物モノクローナル抗体の精製抗体として準備する。CD
3に対するモノクローナル抗体は、ヒト末梢血リンパ球
を免疫することにより作製可能であるが、すでに確立さ
れているOKT-3などのハイブリドーマを用いて産生する
こともできる。
遺伝子産物に対するモノクローナル抗体の作製は、以下
のとおり行う。c-erbB-2遺伝子産物を高発現しているヒ
ト乳癌細胞株などを免疫した動物の脾細胞とマウスの骨
髄腫細胞とを融合させてハイブリドーマを作製し、c-er
bB-2遺伝子産物を発現している細胞と反応し、c-erbB-2
遺伝子産物を発現していない細胞と反応しないモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマを選択する。該ハ
イブリドーマを培地で培養するか、マウスに投与して該
マウスを腹水癌化させ、該培養液、または腹水よりプロ
テインAカラムなどで精製したものを抗c-erbB-2遺伝子
産物モノクローナル抗体の精製抗体として準備する。CD
3に対するモノクローナル抗体は、ヒト末梢血リンパ球
を免疫することにより作製可能であるが、すでに確立さ
れているOKT-3などのハイブリドーマを用いて産生する
こともできる。
【0009】このようにして得られる2種のモノクロー
ナル抗体をペプシンやパパインで処理し、F(ab')2フラ
グメントを得る。さらに、これらをそれぞれジチオスレ
イトール(DTT)などを用いて還元することにより、遊離
のSH-基を有するFab'-SHに変換する。次にどちらか一方
のFab'-SH を5,5'-ジチオビス-2-ニトロベンゾイックア
シッド(DTNB)などで処理することによりFab'フラグメン
トのニトロベンゼン誘導体であるFab'-S-NBに変換す
る。得られるFab'-SHとFab'-S-NBとを混合し、Fast Pro
tein Liquid Chromatography(FPLC)などで精製すること
により、バイスペシフィック抗体を作製する。
ナル抗体をペプシンやパパインで処理し、F(ab')2フラ
グメントを得る。さらに、これらをそれぞれジチオスレ
イトール(DTT)などを用いて還元することにより、遊離
のSH-基を有するFab'-SHに変換する。次にどちらか一方
のFab'-SH を5,5'-ジチオビス-2-ニトロベンゾイックア
シッド(DTNB)などで処理することによりFab'フラグメン
トのニトロベンゼン誘導体であるFab'-S-NBに変換す
る。得られるFab'-SHとFab'-S-NBとを混合し、Fast Pro
tein Liquid Chromatography(FPLC)などで精製すること
により、バイスペシフィック抗体を作製する。
【0010】以下に、本発明のバイスペシフィック抗体
の製造法を詳細に説明する。 (1)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 c-erbB-2遺伝子産物に対するモノクローナル抗体の作
製:3〜20週令のマウスまたはラットに抗原(c-erbB
-2遺伝子産物を高発現している細胞)を免疫して、その
動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取す
る。免疫は、動物の皮下、静脈内あるいは腹腔内に適当
なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバン
ト(Complete Freund's Adjuvant)、または水酸化アル
ミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を
投与することにより行う。
の製造法を詳細に説明する。 (1)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 c-erbB-2遺伝子産物に対するモノクローナル抗体の作
製:3〜20週令のマウスまたはラットに抗原(c-erbB
-2遺伝子産物を高発現している細胞)を免疫して、その
動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取す
る。免疫は、動物の皮下、静脈内あるいは腹腔内に適当
なアジュバント〔例えば、フロインドの完全アジュバン
ト(Complete Freund's Adjuvant)、または水酸化アル
ミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を
投与することにより行う。
【0011】抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週
間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静
脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素
免疫測定法〔酵素免疫測定法(ELISA法):医学書
院刊 1976年〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対
し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラッ
トを脾細胞の供給源として提供する。
間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静
脈叢より採血し、その血清が抗原と反応することを酵素
免疫測定法〔酵素免疫測定法(ELISA法):医学書
院刊 1976年〕などで調べる。免疫に用いた抗原に対
し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラッ
トを脾細胞の供給源として提供する。
【0012】CD3に対するモノクローナル抗体の作製:
3〜20週令のマウスまたはラットに抗原(ヒト末梢血
リンパ球)を免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢
血中の抗体産生細胞を採取する。免疫は、動物の皮下、
静脈内あるいは腹腔内に適当なアジュバント〔例えば、
フロインドの完全アジュバント、または水酸化アルミニ
ウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与
することにより行う。抗原の投与は、1回目の投与の後
1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目
に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応するこ
とを酵素免疫測定法などで調べる。免疫に用いた抗原に
対し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラ
ットを脾細胞の供給源として提供する。
3〜20週令のマウスまたはラットに抗原(ヒト末梢血
リンパ球)を免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢
血中の抗体産生細胞を採取する。免疫は、動物の皮下、
静脈内あるいは腹腔内に適当なアジュバント〔例えば、
フロインドの完全アジュバント、または水酸化アルミニ
ウムゲルと百日咳菌ワクチンなど〕とともに抗原を投与
することにより行う。抗原の投与は、1回目の投与の後
1〜2週間おきに5〜10回行う。各投与後3〜7日目
に眼底静脈叢より採血し、その血清が抗原と反応するこ
とを酵素免疫測定法などで調べる。免疫に用いた抗原に
対し、その血清が十分な抗体価を示したマウスまたはラ
ットを脾細胞の供給源として提供する。
【0013】脾細胞と骨髄腫細胞の融合に供するにあた
って、抗原物質の最終投与後3〜7日目に、免疫したマ
ウスまたはラットより脾臓を摘出し、脾細胞を採取す
る。脾臓をMEM培地中で細断し、ピンセットでほぐ
し、遠心分離(1,200rpm、5分)した後、上清を捨て、
トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分
間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して融
合用脾細胞として提供する。
って、抗原物質の最終投与後3〜7日目に、免疫したマ
ウスまたはラットより脾臓を摘出し、脾細胞を採取す
る。脾臓をMEM培地中で細断し、ピンセットでほぐ
し、遠心分離(1,200rpm、5分)した後、上清を捨て、
トリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分
間処理し赤血球を除去し、MEM培地で3回洗浄して融
合用脾細胞として提供する。
【0014】(2)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を使
用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB
/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(P3-U1)〔ヨーロピ
アン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(Eur.J.Immuno
l.), 6 , 511-519 (1976)〕、SP2/O-Ag14(SP-2)〔ネイ
チャー(Nature),276, 269-270 (1978)〕、P3-X63-Ag865
3(653)〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immuno
l.),123, 1548-1550 (1979)〕、P3-X63-Ag8(X63)〔ネイ
チャー(Nature),256, 495-497 (1975)〕などが用いられ
る。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI-1
640培地にグルタミン(1.5mM)、2−メルカプトエタノ
ール(5×10-5M)、ジェンタマイシン(10μg/ml)
および牛胎児血清(FCS)(CSL社製、10%)を加
えた培地(以下正常培地という)に、さらに8−アザグ
アニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細
胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合時に2×
107個以上の細胞数を確保する。
用する。たとえば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB
/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(P3-U1)〔ヨーロピ
アン・ジャーナル・オブ・イムノロジー(Eur.J.Immuno
l.), 6 , 511-519 (1976)〕、SP2/O-Ag14(SP-2)〔ネイ
チャー(Nature),276, 269-270 (1978)〕、P3-X63-Ag865
3(653)〔ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immuno
l.),123, 1548-1550 (1979)〕、P3-X63-Ag8(X63)〔ネイ
チャー(Nature),256, 495-497 (1975)〕などが用いられ
る。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI-1
640培地にグルタミン(1.5mM)、2−メルカプトエタノ
ール(5×10-5M)、ジェンタマイシン(10μg/ml)
および牛胎児血清(FCS)(CSL社製、10%)を加
えた培地(以下正常培地という)に、さらに8−アザグ
アニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細
胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合時に2×
107個以上の細胞数を確保する。
【0015】(3)細胞融合 (1)で免疫した各々の抗体産生細胞と(2)で得られ
た骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナト
リウム 1.83g、リン酸一カリウム 0.21g、食塩 7.65
g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数
が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよ
う混合し、遠心分離(1,200rpm、5分)した後、上清を
捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しなが
ら、37℃で、ポリエチレングリコール−1,000(PE
G−1,000)2g、MEM培地2mlおよびジメチルス
ルホキシド0.7mlの混液0.2〜1ml/108抗体
産生細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2ml
を数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mlに
なるようにする。遠心分離(900rpm、5分)後、上清を
捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによ
る吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地〔正常
培地にヒポキサンチン(10-4M)、チミジン(1.5×10
-5M)およびアミノプテリン(4×10-7M)を加えた培
地〕100ml中に懸濁する。
た骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナト
リウム 1.83g、リン酸一カリウム 0.21g、食塩 7.65
g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数
が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよ
う混合し、遠心分離(1,200rpm、5分)した後、上清を
捨て、沈澱した細胞群をよくほぐした後、攪拌しなが
ら、37℃で、ポリエチレングリコール−1,000(PE
G−1,000)2g、MEM培地2mlおよびジメチルス
ルホキシド0.7mlの混液0.2〜1ml/108抗体
産生細胞を加え、1〜2分間毎にMEM培地1〜2ml
を数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mlに
なるようにする。遠心分離(900rpm、5分)後、上清を
捨て、ゆるやかに細胞をほぐした後、メスピペットによ
る吸込み、吹出しでゆるやかに細胞をHAT培地〔正常
培地にヒポキサンチン(10-4M)、チミジン(1.5×10
-5M)およびアミノプテリン(4×10-7M)を加えた培
地〕100ml中に懸濁する。
【0016】この懸濁液を96穴培養用プレートに10
0μl/穴ずつ分注し、5%CO2 インキュベーター
中、37℃で7〜14日間培養する。培養後、培養上清
の一部をとり酵素免疫測定法などにより、c-erbB-2遺伝
子産物を発現している細胞と反応し、c-erbB-2遺伝子産
物を発現していない細胞と反応しないハイブリドーマを
選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2
回繰り返し〔1回目はHT培地(HAT培地からアミノ
プテリンを除いた培地)、2回目は正常培地を使用す
る〕、安定して強い抗体価の認められたものを抗c-erbB
-2遺伝子産物モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株
として選択する。また、同様の方法を用いて、抗CD3モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製する。
0μl/穴ずつ分注し、5%CO2 インキュベーター
中、37℃で7〜14日間培養する。培養後、培養上清
の一部をとり酵素免疫測定法などにより、c-erbB-2遺伝
子産物を発現している細胞と反応し、c-erbB-2遺伝子産
物を発現していない細胞と反応しないハイブリドーマを
選択する。ついで、限界希釈法によりクローニングを2
回繰り返し〔1回目はHT培地(HAT培地からアミノ
プテリンを除いた培地)、2回目は正常培地を使用す
る〕、安定して強い抗体価の認められたものを抗c-erbB
-2遺伝子産物モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株
として選択する。また、同様の方法を用いて、抗CD3モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製する。
【0017】(4)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理〔2、6、10、14−テトラメチルペン
タデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投与し、2週
間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマ
ウスに、(3)で得られた抗c-erbB-2遺伝子産物モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞、および抗CD3モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×106〜
5×107細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日で
ハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を
採取し、遠心分離(3,000rpm、5分)して固形分を除去
後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析し、DEAE−セ
ファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはセル
ロファインGSL2000(生化学工業社製)のカラム
に通塔し、IgG画分を集め、精製モノクローナル抗体と
する。
タデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投与し、2週
間飼育する〕した8〜10週令のマウスまたはヌードマ
ウスに、(3)で得られた抗c-erbB-2遺伝子産物モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞、および抗CD3モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞2×106〜
5×107細胞/匹を腹腔内注射する。10〜21日で
ハイブリドーマは腹水癌化する。このマウスから腹水を
採取し、遠心分離(3,000rpm、5分)して固形分を除去
後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析し、DEAE−セ
ファロースカラム、プロテインA−カラムあるいはセル
ロファインGSL2000(生化学工業社製)のカラム
に通塔し、IgG画分を集め、精製モノクローナル抗体と
する。
【0018】抗体のサブクラスの決定は、マウスモノク
ローナル抗体タイピングキット(ザイメット社製)ある
いはラットモノクローナル抗体タイピングキット(ノル
ディックイムノロジー社製)を用いて行う。蛋白量の定
量は、ローリー法および280nmでの吸光度より算出して
行う。
ローナル抗体タイピングキット(ザイメット社製)ある
いはラットモノクローナル抗体タイピングキット(ノル
ディックイムノロジー社製)を用いて行う。蛋白量の定
量は、ローリー法および280nmでの吸光度より算出して
行う。
【0019】(5)バイスペシフィック抗体の作製 パパインやペプシンを用いて作製した抗CD3モノクロー
ナル抗体のF(ab')2フラグメント〔ジャーナル・オブ・
イムノロジー(J.Immunol.),131, 2895 (1983)〕をDTTな
どの還元剤を用いて還元する。還元反応をDTNBで停止さ
せ、生成されるFab'-S-NBをゲルクロマトグラフィーで
単離する。また、パパインやペプシンを用いて作製した
抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体のF(ab')2フ
ラグメントもやはりDTTなどの還元剤を用いて還元し、
得られるFab'-SHをゲルクロマトグラフィーで精製す
る。
ナル抗体のF(ab')2フラグメント〔ジャーナル・オブ・
イムノロジー(J.Immunol.),131, 2895 (1983)〕をDTTな
どの還元剤を用いて還元する。還元反応をDTNBで停止さ
せ、生成されるFab'-S-NBをゲルクロマトグラフィーで
単離する。また、パパインやペプシンを用いて作製した
抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体のF(ab')2フ
ラグメントもやはりDTTなどの還元剤を用いて還元し、
得られるFab'-SHをゲルクロマトグラフィーで精製す
る。
【0020】Fab'-S-NBとFab'-SHを1:1で混合し、数
時間インキュベーションし、生成される再構成F(ab')2
をゲルクロマトグラフィーで単離し、バイスペシフィッ
ク抗体として以下の実験に供する。
時間インキュベーションし、生成される再構成F(ab')2
をゲルクロマトグラフィーで単離し、バイスペシフィッ
ク抗体として以下の実験に供する。
【0021】 (6)バイスペシフィック抗体の反応性の確認 (5)で作製されたバイスペシフィック抗体とヒトリン
パ球およびc-erbB-2遺伝子産物陽性細胞との反応性を蛍
光抗体法(抗体実験マニュアル、E.Harlow、D.Lane編、
Cold Spring Harbor Laboratory刊、1988年)などによ
り調べる。
パ球およびc-erbB-2遺伝子産物陽性細胞との反応性を蛍
光抗体法(抗体実験マニュアル、E.Harlow、D.Lane編、
Cold Spring Harbor Laboratory刊、1988年)などによ
り調べる。
【0022】 (7)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−1− ヒト末梢血リンパ球からセルソーターを用いてCD4陽性T
細胞を分離し、抗CD3抗体とインターロイキン-2(IL-2)
の存在下で培養することによりリンパ球を活性化(以下
活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞という)する。活性化
CD4+ヘルパー/キラー細胞と51Crで標識したc-erbB-2遺
伝子産物陽性細胞をバイスペシフィック抗体の存在下お
よび非存在下で培養し、死滅細胞から遊離する51Crのガ
ンマー線を測定することにより抗腫瘍効果を調べる。
細胞を分離し、抗CD3抗体とインターロイキン-2(IL-2)
の存在下で培養することによりリンパ球を活性化(以下
活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞という)する。活性化
CD4+ヘルパー/キラー細胞と51Crで標識したc-erbB-2遺
伝子産物陽性細胞をバイスペシフィック抗体の存在下お
よび非存在下で培養し、死滅細胞から遊離する51Crのガ
ンマー線を測定することにより抗腫瘍効果を調べる。
【0023】 (8)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−2− 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とc-erbB-2遺伝子産物
陽性癌細胞をバイスペシフィック抗体とともにマウスに
移植し、癌細胞により形成される腫瘍の大きさを測定す
ることにより抗腫瘍効果を調べる。以下に本発明の実施
例を示す。
陽性癌細胞をバイスペシフィック抗体とともにマウスに
移植し、癌細胞により形成される腫瘍の大きさを測定す
ることにより抗腫瘍効果を調べる。以下に本発明の実施
例を示す。
【0024】
実施例1 (1)動物の免疫と抗体産生細胞の調製 6週令BALB/cマウスに、c-erbB-2遺伝子産物を高発現し
ているヒト乳癌細胞SK-BR-3(ATCC番号HTB30)約1×10
7細胞/回を静脈内投与および腹腔内投与により1週間
に1回、計6回投与した。眼底静脈叢より採血し、その
血清抗体価を蛍光抗体法(抗体実験マニュアル、E.Harl
ow、D.Lane編、Cold Spring HarborLaboratory刊、1988
年)で調べ、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫
3日後に脾臓を摘出した。脾臓をMEM培地(日水製薬
社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1,
200rpm、5分)した後、上清を捨て、トリス−塩化アン
モニウム液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去
し、MEM培地で3回洗浄し細胞融合に用いた。
ているヒト乳癌細胞SK-BR-3(ATCC番号HTB30)約1×10
7細胞/回を静脈内投与および腹腔内投与により1週間
に1回、計6回投与した。眼底静脈叢より採血し、その
血清抗体価を蛍光抗体法(抗体実験マニュアル、E.Harl
ow、D.Lane編、Cold Spring HarborLaboratory刊、1988
年)で調べ、十分な抗体価を示したマウスから最終免疫
3日後に脾臓を摘出した。脾臓をMEM培地(日水製薬
社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、遠心分離(1,
200rpm、5分)した後、上清を捨て、トリス−塩化アン
モニウム液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去
し、MEM培地で3回洗浄し細胞融合に用いた。
【0025】(2)マウス骨髄腫細胞の調製 8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株P3-X63-Ag865
3を正常培地で培養し、細胞融合時に2×107以上の細
胞を確保し、細胞融合に親株として供した。
3を正常培地で培養し、細胞融合時に2×107以上の細
胞を確保し、細胞融合に親株として供した。
【0026】(3)ハイブリドーマの作製 上記(1)で得られたマウス脾細胞と上記(2)で得ら
れた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分
離(1,200rpm、5分)した後、上清を捨て、沈澱した細
胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリ
エチレングリコール−1,000(PEG−1,000)2g、M
EM培地2mlおよびジメチルスルホキシド0.7ml
の混液0.2〜1ml/108マウス脾細胞を加え、1〜
2分間毎にMEM培地1〜2mlを数回加えた後、ME
M培地を加えて全量が50mlになるようにした。遠心
分離(900rpm、5分)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞
をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆ
るやかに細胞をHAT培地100ml中に懸濁した。
れた骨髄腫細胞とを10:1になるよう混合し、遠心分
離(1,200rpm、5分)した後、上清を捨て、沈澱した細
胞群をよくほぐした後、攪拌しながら、37℃で、ポリ
エチレングリコール−1,000(PEG−1,000)2g、M
EM培地2mlおよびジメチルスルホキシド0.7ml
の混液0.2〜1ml/108マウス脾細胞を加え、1〜
2分間毎にMEM培地1〜2mlを数回加えた後、ME
M培地を加えて全量が50mlになるようにした。遠心
分離(900rpm、5分)後、上清を捨て、ゆるやかに細胞
をほぐした後、メスピペットによる吸込み、吸出しでゆ
るやかに細胞をHAT培地100ml中に懸濁した。
【0027】この懸濁液を96穴培養用プレートに10
0μl/穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター
中、37℃で10〜14日間培養した。培養上清がSK-B
R-3細胞と反応し、c-erbB-2遺伝子産物を発現していな
いNIH-3T3(ATCC番号CRL1658)細胞とは反応しないウェ
ルを選び、さらにHT培地と正常培地に換え、2回クロ
ーニングを繰り返して、抗c-erbB-2遺伝子産物モノクロ
ーナル抗体を生産するハイブリドーマを選択した。
0μl/穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター
中、37℃で10〜14日間培養した。培養上清がSK-B
R-3細胞と反応し、c-erbB-2遺伝子産物を発現していな
いNIH-3T3(ATCC番号CRL1658)細胞とは反応しないウェ
ルを選び、さらにHT培地と正常培地に換え、2回クロ
ーニングを繰り返して、抗c-erbB-2遺伝子産物モノクロ
ーナル抗体を生産するハイブリドーマを選択した。
【0028】このハイブリドーマSER-4の産生するモノ
クローナル抗体SER-4は、c-erbB-2遺伝子産物を発現し
ているヒト胃癌細胞KATOIII(ATCC番号HTB103)、ヒト大
腸癌細胞LS174T(ATCC番号CL188)、およびマウス細胞N
IH-3T3にc-erbB-2遺伝子を導入し、c-erbB-2遺伝子産物
を高発現するようになった細胞A4-15と強く反応し、c-e
rbB-2遺伝子産物を発現していないマウス細胞NIH-3T3、
マウス細胞NIH-3T3にEJras遺伝子を導入した細胞RASc
D、およびヒトB細胞リンホーマー細胞Daudi(ATCC番号C
CL213)とは全く反応しなかった。抗CD3モノクローナル
抗体については、該抗体を産生するハイブリドーマOKT-
3(ATCC番号CRL8001)をATCCより購入した。
クローナル抗体SER-4は、c-erbB-2遺伝子産物を発現し
ているヒト胃癌細胞KATOIII(ATCC番号HTB103)、ヒト大
腸癌細胞LS174T(ATCC番号CL188)、およびマウス細胞N
IH-3T3にc-erbB-2遺伝子を導入し、c-erbB-2遺伝子産物
を高発現するようになった細胞A4-15と強く反応し、c-e
rbB-2遺伝子産物を発現していないマウス細胞NIH-3T3、
マウス細胞NIH-3T3にEJras遺伝子を導入した細胞RASc
D、およびヒトB細胞リンホーマー細胞Daudi(ATCC番号C
CL213)とは全く反応しなかった。抗CD3モノクローナル
抗体については、該抗体を産生するハイブリドーマOKT-
3(ATCC番号CRL8001)をATCCより購入した。
【0029】(4)モノクローナル抗体の製造 プリスタン処理した8週令ヌード雌マウスに上記(3)
で得られたハイブリドーマ株5〜10×106細胞/匹
をそれぞれ別のマウスに腹腔内注射した。10〜21日
後にハイブリドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマ
ウスから、腹水を採取(1〜8ml/匹)し、遠心分離(3,
000rpm、5分)して固形分を除去した。
で得られたハイブリドーマ株5〜10×106細胞/匹
をそれぞれ別のマウスに腹腔内注射した。10〜21日
後にハイブリドーマは腹水癌化した。腹水のたまったマ
ウスから、腹水を採取(1〜8ml/匹)し、遠心分離(3,
000rpm、5分)して固形分を除去した。
【0030】モノクローナル抗体がIgGのときは、得ら
れた腹水を結合バッファー(1.5Mグリシン−3M NaCl,
pH9)で透析後プロテインA−セファロースカラム(フ
ァルマシア社製)に通塔し、カラムを洗浄後溶出バッフ
ァー(0.1Mクエン酸 pH4.0)でIgG画分を溶出した。
溶出後塩化ナトリウム0.5Mを添加したPBSですみ
やかに透析し、精製モノクローナル抗体とした。
れた腹水を結合バッファー(1.5Mグリシン−3M NaCl,
pH9)で透析後プロテインA−セファロースカラム(フ
ァルマシア社製)に通塔し、カラムを洗浄後溶出バッフ
ァー(0.1Mクエン酸 pH4.0)でIgG画分を溶出した。
溶出後塩化ナトリウム0.5Mを添加したPBSですみ
やかに透析し、精製モノクローナル抗体とした。
【0031】抗体のサブクラスをマウスモノクローナル
抗体タイピングキットで決定したところ、c-erbB-2遺伝
子産物に対するモノクローナル抗体SER-4はIgG1、CD3
に対するモノクロナール抗体OKT-3は、IgG2aであっ
た。
抗体タイピングキットで決定したところ、c-erbB-2遺伝
子産物に対するモノクローナル抗体SER-4はIgG1、CD3
に対するモノクロナール抗体OKT-3は、IgG2aであっ
た。
【0032】(5)バイスペシフィック抗体の作製 モノクローナル抗体OKT-3をペプシン〔シグマ(Sigma)社
製〕で0.1Mクエン酸バッファー(pH4.1)中、37℃で2
時間処理し、F(ab')2フラグメントを調製した。この酵
素反応は、1M NaHCO3を加えてpHを8に上げることによ
り停止させた。また、モノクローナル抗体SER-4は、シ
ステイン存在下、活性化パパイン〔ワーシントン(Worth
ington)社製〕で3mM EDTAを含む0.1M酢酸バッファー
(pH5.5)中、37℃で3時間処理してF(ab')2フラグメ
ントを調製した。この酵素反応は最終濃度10mMになるよ
うにヨードアセトアミドを加えて停止させた。このよう
にして得られた2種のF(ab')2フラグメントをそれぞれ
ゲルクロマトグラフィーで精製した。
製〕で0.1Mクエン酸バッファー(pH4.1)中、37℃で2
時間処理し、F(ab')2フラグメントを調製した。この酵
素反応は、1M NaHCO3を加えてpHを8に上げることによ
り停止させた。また、モノクローナル抗体SER-4は、シ
ステイン存在下、活性化パパイン〔ワーシントン(Worth
ington)社製〕で3mM EDTAを含む0.1M酢酸バッファー
(pH5.5)中、37℃で3時間処理してF(ab')2フラグメ
ントを調製した。この酵素反応は最終濃度10mMになるよ
うにヨードアセトアミドを加えて停止させた。このよう
にして得られた2種のF(ab')2フラグメントをそれぞれ
ゲルクロマトグラフィーで精製した。
【0033】モノクローナル抗体OKT-3のF(ab')2フラグ
メントを0.5mM DTTで30分、pH7.5で処理し還元した。還
元反応は、DTNB(最終濃度5mM)で停止させ、生成したF
ab'-S-NBをゲルクロマトグラフィーで単離した。モノク
ローナル抗体SER-4のF(ab')2フラグメントもやはり0.5m
M DTTを用いて還元し、Fab'-SHをゲルクロマトグラフィ
ーで精製した。Fab'-S-NBとFab'-SHを1:1で混合し、
4時間室温でインキュベーションし、生成される再構成
F(ab')2をゲルクロマトグラフィーで単離し、バイスペ
シフィック抗体として以下の実験に供した。第1図にバ
イスペシフィック抗体の作製法の概略を示す。
メントを0.5mM DTTで30分、pH7.5で処理し還元した。還
元反応は、DTNB(最終濃度5mM)で停止させ、生成したF
ab'-S-NBをゲルクロマトグラフィーで単離した。モノク
ローナル抗体SER-4のF(ab')2フラグメントもやはり0.5m
M DTTを用いて還元し、Fab'-SHをゲルクロマトグラフィ
ーで精製した。Fab'-S-NBとFab'-SHを1:1で混合し、
4時間室温でインキュベーションし、生成される再構成
F(ab')2をゲルクロマトグラフィーで単離し、バイスペ
シフィック抗体として以下の実験に供した。第1図にバ
イスペシフィック抗体の作製法の概略を示す。
【0034】 (6)バイスペシフィック抗体の反応性の確認 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞およびNIH-3T3細胞にc
-erbB-2遺伝子を導入し、c-erbB-2遺伝子産物を高発現
するようになった細胞A4-15に対する上記(5)で作製
されたバイスペシフィック抗体の反応性を蛍光抗体法に
より調べた。反応性はフローサイトメトリー(FACScan)
で解析した。結果を第2図に示す。
-erbB-2遺伝子を導入し、c-erbB-2遺伝子産物を高発現
するようになった細胞A4-15に対する上記(5)で作製
されたバイスペシフィック抗体の反応性を蛍光抗体法に
より調べた。反応性はフローサイトメトリー(FACScan)
で解析した。結果を第2図に示す。
【0035】活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞に対して
は、モノクローナル抗体OKT-3とバイスペシフィック抗
体が反応し、モノクローナル抗体SER-4は反応しなかっ
た。一方、細胞A4-15に対しては、バイスペシフィック
抗体とモノクローナル抗体SER-4は反応したが、モノク
ローナル抗体OKT-3は反応しなかった。このように、作
製されたバイスペシフィック抗体はCD3陽性リンパ球とc
-erbB-2遺伝子産物産生細胞の両方に反応する活性があ
ることが確かめられた。
は、モノクローナル抗体OKT-3とバイスペシフィック抗
体が反応し、モノクローナル抗体SER-4は反応しなかっ
た。一方、細胞A4-15に対しては、バイスペシフィック
抗体とモノクローナル抗体SER-4は反応したが、モノク
ローナル抗体OKT-3は反応しなかった。このように、作
製されたバイスペシフィック抗体はCD3陽性リンパ球とc
-erbB-2遺伝子産物産生細胞の両方に反応する活性があ
ることが確かめられた。
【0036】 (7)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−1− 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞と51Crで標識したc-er
bB-2遺伝子産物陽性細胞を20:1の比率でバイスペシ
フィック抗体(1μg/ml)の存在下および非存在下で
4時間培養し、死滅細胞から遊離する51Crのガンマー線
を測定することにより抗腫瘍効果を調べた。その結果、
第3図に示すようにc-erbB-2遺伝子産物を高発現してい
るSV11、A4-15、KATOIII、LS174Tの各細胞は高率に死滅
した。一方、c-erbB-2遺伝子産物を発現していないNIH-
3T3、RAScD、Daudiの各細胞はほとんど死滅しなかっ
た。
bB-2遺伝子産物陽性細胞を20:1の比率でバイスペシ
フィック抗体(1μg/ml)の存在下および非存在下で
4時間培養し、死滅細胞から遊離する51Crのガンマー線
を測定することにより抗腫瘍効果を調べた。その結果、
第3図に示すようにc-erbB-2遺伝子産物を高発現してい
るSV11、A4-15、KATOIII、LS174Tの各細胞は高率に死滅
した。一方、c-erbB-2遺伝子産物を発現していないNIH-
3T3、RAScD、Daudiの各細胞はほとんど死滅しなかっ
た。
【0037】 (8)バイスペシフィック抗体の抗腫瘍効果−2− 活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞2×107個と各種癌
細胞2×106個をバイスペシフィック抗体(10μg)と
ともに混合し、BALB/cヌードマウスに皮下移植した。そ
の結果、第4図に示すように、c-erbB-2遺伝子産物を高
発現している細胞A4-15(図4-A)とLS174T(図4-C)で
は、活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とバイスペシフィ
ック抗体を組み合わせたときにのみ腫瘍形成を抑制し、
無処理、活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞単独処理、バ
イスペシフィック抗体単独処理では、腫瘍形成の抑制は
認められなかった。また、c-erbB-2遺伝子産物を発現し
ていない細胞RAScD(図4-B)では、無処理、活性化CD4+
ヘルパー/キラー細胞とバイスペシフィック抗体の組み
合わせ処理とも腫瘍形成の抑制は認められなかった。
細胞2×106個をバイスペシフィック抗体(10μg)と
ともに混合し、BALB/cヌードマウスに皮下移植した。そ
の結果、第4図に示すように、c-erbB-2遺伝子産物を高
発現している細胞A4-15(図4-A)とLS174T(図4-C)で
は、活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とバイスペシフィ
ック抗体を組み合わせたときにのみ腫瘍形成を抑制し、
無処理、活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞単独処理、バ
イスペシフィック抗体単独処理では、腫瘍形成の抑制は
認められなかった。また、c-erbB-2遺伝子産物を発現し
ていない細胞RAScD(図4-B)では、無処理、活性化CD4+
ヘルパー/キラー細胞とバイスペシフィック抗体の組み
合わせ処理とも腫瘍形成の抑制は認められなかった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば癌の治療に有効な抗c-er
bB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と抗CD3モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体を提供でき
る。
bB-2遺伝子産物モノクローナル抗体と抗CD3モノクロー
ナル抗体からなるバイスペシフィック抗体を提供でき
る。
【図1】 第1図は、バイスペシフィック抗体の作製法
の概略を示す。
の概略を示す。
【図2】 第2図は、バイスペシフィック抗体と活性化
CD4+ヘルパー/キラー細胞(図A)および細胞A4-15
(図B)との反応を蛍光抗体法で調べ、フローサイトメ
トリー(FACScan)で解析した結果を示す。a;抗体を反
応させないときの蛍光パターン。b;モノクローナル抗
体OKT-3を反応させたときのパターン。c;モノクロー
ナル抗体SER-4を反応させたときのパターン。d;バイ
スペシフィック抗体を反応させたときのパターン。
CD4+ヘルパー/キラー細胞(図A)および細胞A4-15
(図B)との反応を蛍光抗体法で調べ、フローサイトメ
トリー(FACScan)で解析した結果を示す。a;抗体を反
応させないときの蛍光パターン。b;モノクローナル抗
体OKT-3を反応させたときのパターン。c;モノクロー
ナル抗体SER-4を反応させたときのパターン。d;バイ
スペシフィック抗体を反応させたときのパターン。
【図3】 第3図は、バイスペシフィック抗体の抗腫瘍
効果−1−を示す。第3図の白ヌキグラフは、バイスペ
シフィック抗体非存在下、斜線グラフは、バイスペシフ
ィック抗体存在下における細胞障害活性を示す。
効果−1−を示す。第3図の白ヌキグラフは、バイスペ
シフィック抗体非存在下、斜線グラフは、バイスペシフ
ィック抗体存在下における細胞障害活性を示す。
【図4】 第4図は、バイスペシフィック抗体の抗腫瘍
効果−2−を示す。第4-A図はA4-15細胞、第4-B図はR
AScD細胞、第4-C図はLS174T細胞における抗腫瘍効果を
示す。●は活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とバイスペ
シフィック抗体の組み合わせ処理、△は活性化CD4+ヘル
パー/キラー細胞単独処理、◆はバイスペシフィック抗
体単独処理、○は無処理を表す。
効果−2−を示す。第4-A図はA4-15細胞、第4-B図はR
AScD細胞、第4-C図はLS174T細胞における抗腫瘍効果を
示す。●は活性化CD4+ヘルパー/キラー細胞とバイスペ
シフィック抗体の組み合わせ処理、△は活性化CD4+ヘル
パー/キラー細胞単独処理、◆はバイスペシフィック抗
体単独処理、○は無処理を表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/06 C12P 21/06 8214−4B 21/08 8214−4B (C12P 21/08 C12R 1:91)
Claims (3)
- 【請求項1】抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体
と抗CD3モノクローナル抗体からなるバイスペシフィッ
ク抗体 - 【請求項2】抗c-erbB-2遺伝子産物モノクローナル抗体
がSER-4である請求項1記載のバイスペシフィック抗体 - 【請求項3】抗CD3モノクローナル抗体がOKT-3である請
求項1記載のバイスペシフィック抗体
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3344502A JPH05170667A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | バイスペシフィック抗体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3344502A JPH05170667A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | バイスペシフィック抗体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05170667A true JPH05170667A (ja) | 1993-07-09 |
Family
ID=18369769
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3344502A Withdrawn JPH05170667A (ja) | 1991-12-26 | 1991-12-26 | バイスペシフィック抗体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05170667A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05213775A (ja) * | 1992-02-05 | 1993-08-24 | Otsuka Pharmaceut Co Ltd | Bfa抗体 |
US6627196B1 (en) | 1999-08-27 | 2003-09-30 | Genentech, Inc. | Dosages for treatment with anti-ErbB2 antibodies |
US7041292B1 (en) | 1999-06-25 | 2006-05-09 | Genentech, Inc. | Treating prostate cancer with anti-ErbB2 antibodies |
US7371376B1 (en) | 1996-10-18 | 2008-05-13 | Genentech, Inc. | Anti-ErbB2 antibodies |
WO2018123979A1 (ja) * | 2016-12-26 | 2018-07-05 | 協和発酵キリン株式会社 | ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合する抗体 |
-
1991
- 1991-12-26 JP JP3344502A patent/JPH05170667A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05213775A (ja) * | 1992-02-05 | 1993-08-24 | Otsuka Pharmaceut Co Ltd | Bfa抗体 |
US7371376B1 (en) | 1996-10-18 | 2008-05-13 | Genentech, Inc. | Anti-ErbB2 antibodies |
US7041292B1 (en) | 1999-06-25 | 2006-05-09 | Genentech, Inc. | Treating prostate cancer with anti-ErbB2 antibodies |
US6627196B1 (en) | 1999-08-27 | 2003-09-30 | Genentech, Inc. | Dosages for treatment with anti-ErbB2 antibodies |
US7371379B2 (en) | 1999-08-27 | 2008-05-13 | Genentech, Inc. | Dosages for treatment with anti-ErbB2 antibodies |
US10160811B2 (en) | 1999-08-27 | 2018-12-25 | Genentech, Inc. | Treatment with anti-ErbB2 antibodies |
US10280228B2 (en) | 1999-08-27 | 2019-05-07 | Genentech, Inc. | Treatment with anti-ErbB2 antibodies |
WO2018123979A1 (ja) * | 2016-12-26 | 2018-07-05 | 協和発酵キリン株式会社 | ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合する抗体 |
JPWO2018123979A1 (ja) * | 2016-12-26 | 2020-02-06 | 協和キリン株式会社 | ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に結合する抗体 |
US11117963B2 (en) | 2016-12-26 | 2021-09-14 | Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd. | Antibody which binds to myelin oligodendrocyte glycoprotein |
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