JPH05170199A - 無重力模擬実験装置 - Google Patents

無重力模擬実験装置

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JPH05170199A
JPH05170199A JP3356991A JP35699191A JPH05170199A JP H05170199 A JPH05170199 A JP H05170199A JP 3356991 A JP3356991 A JP 3356991A JP 35699191 A JP35699191 A JP 35699191A JP H05170199 A JPH05170199 A JP H05170199A
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JP
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suspension
cable
tension
wire
suspending
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JP3356991A
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English (en)
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Kaku Ejiri
革 江尻
Hironori Fujii
裕矩 藤井
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 宇宙ロボットや大型衛星等の多関節構造体が
無重力空間で示す挙動を地上でハ−ドウェア的に模擬す
る実験装置に関し、無重力を模擬する対象となる対象物
にその駆動用等のケーブルを接続しても、そのケーブル
の重量の影響を受けることなく、高精度な3次元の無重
力状態を模擬できるようにする。 【構成】 対象物93にはその対象物を作動するための
ケーブル96が接続されており、このケーブル96をケ
ーブル吊用吊線97で吊るケーブル吊機構98を設け、
このケーブル吊機構98は対象物93の挙動に対してケ
ーブル吊用吊線97によるケーブルの中間支持点960
と対象物93との鉛直方向位置関係が常に一定に保たれ
るように中間支持点960をケーブル吊用吊線97で上
下させるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は宇宙ロボットや大型衛星
等の多関節構造体が無重力空間で示す挙動を地上でハ−
ドウェア的に模擬する無重力模擬実験装置に関するもの
である。
【0002】無重力空間においては、例えばロボットが
ア−ムを伸ばして物体を捕捉しようとする場合、ア−ム
の伸長により系全体の重心が移動してロボット本体の姿
勢が変化するので、物体をうまく捕捉できなくなる。ま
た捕捉時の衝撃の反作用も無視できず、この反作用によ
ってもロボットの位置姿勢が変化してしまう。
【0003】このような無重力空間における予測しにく
い挙動に対しては、地上の実験室においてハ−ドウェア
的に模擬実験を直接行い得る環境を提供し、これにより
センサ系、アクチュエ−タ系、制御系等の性能を無重力
空間に近い環境で予め充分に評価できることが必要とさ
れ、それにより、より信頼性の高いハ−ドウェアの構成
が可能となる。
【0004】
【従来の技術】多関節構造体が無重力空間において示す
挙動を地上でハードウェア的に直接模擬する方式として
は、対象物を複数本のワイヤで吊り下げ、このワイヤに
より対象物をその対象物に働く重力と常に等しい張力で
引っ張り続けることによって対象物に働く重力をキャン
セルして、3次元的な無重力状態を模擬する無重力模擬
実験システムが提案されている。
【0005】図5はかかる無重力模擬実験システムの全
体構成を示す外観斜視図である。このシステムは、全体
としてはシミュレーションデータ作成部と無重力模擬装
置1と多関節構造体2とからなる。多関節構造体2は無
重力状態を模擬すべき対象となる宇宙ロボット等の物体
であり、制御部と機構部とからなり、機構部は左右2本
の各々6自由度の多関節アーム21、その先端に取り付
けられたハンド22、多関節アーム22を固定するベー
ス23からなる。
【0006】シミュレーションデータ作成部は、無重力
模擬装置1および多関節構造体2のハードウェア機構を
動かすための基本データを作成する部分である。無重力
模擬装置1は制御部と機構部に分かれ、制御部はシミュ
レーションデータ作成部が作成したデータを追従目標値
とするサーボ機構を構成している。機構部は多関節構造
体2のベース23を6自由度で支持し駆動するベース支
持駆動部11と、ベース23以外の部分をワイヤ3によ
り一定の張力で吊り下げる吊機構12とからなる。
【0007】ベース支持駆動部11はベースを6自由度
のロボット機構で支持し、これこをシミュレーションソ
フト部の計算結果に従って動かす。吊機構は多関節アー
ム21を吊っているワイヤ3にかかる張力を多関節アー
ム21の重力と釣り合わせてその重力をキャンセルする
ようワイヤ3を一定張力制御により巻上げ/巻下げす
る。
【0008】吊機構部は、ワイヤ3の吊下げ位置を水平
面内で動かす水平多関節形の2自由度ロボット機構(吊
アーム)13と、この吊りアーム13に取り付けられて
ワイヤ3を巻取り/巻戻しするワイヤ巻取り機構14
と、ワイヤにかかる張力を測定する張力検出機構15な
どから構成される。
【0009】図6にはワイヤ巻取り機構14および張力
検出機構15の詳細な構成が示される。このワイヤ巻取
り機構14は多関節アーム21の上下動作に応じてワイ
ヤ3を巻胴に一層で多数回巻くよう構成されている。図
中、140は減速機付DCモータ、1410はモータ取
付板、141はモータ140の回転をボールスプライン
142に伝達する軸継手、1411はボールスプライン
142の支持用軸受、142はモータ140の回転で巻
胴145を回転させると共に巻胴の回転軸方向に動作自
由度を与えるボールスプライン、143はボールスプラ
インナット、144はボールスプライン軸、145はワ
イヤ3を巻取り/巻戻しする巻胴、146は軸受取付
板、147は巻胴146の軸方向の動きを規制する突起
付ガイドローラ、148はガイドローラ支持軸、149
はガイドローラ用軸受である。
【0010】巻胴145にはワイヤ3の直径の1.5 倍
の螺旋状の溝が設けられる。巻胴145の内側にはボー
ルスプライン142を取り付け、巻胴145をモータ1
40で回転駆動しつつ巻胴145の軸方向に動作自由度
を与える。巻胴145の溝に係合する突起部を持つガイ
ドローラ147を巻取り機構部14のフレームに固定す
る。これにより、巻胴145は回転しながらその溝に係
合するガイドローラ147に案内されて巻取り/巻戻し
に応じて軸方向を右/左に動くことになり、したがって
ワイヤ3の巻取り位置は固定されたままで巻胴145の
溝に一層で螺旋状にワイヤを巻き取れる。
【0011】張力検出機構15としては種々の方式があ
るが、ここでは張力を安定に測れる利点のある歪ゲージ
方式を用いる。構成としては、ワイヤ巻取り機構部14
の下部に、ワイヤ巻取り位置の鉛直下方に2個のローラ
150、151を設け、それらの間に、それらのローラ
150、151の支持軸の鉛直線から外れた位置に支持
軸を持つ段違いの第3のローラ152を設ける。この段
違いローラ152を板バネ153で支持し、4枚の歪ゲ
ージを板バネ153に張り付けて差動出力をとる。
【0012】このように構成すると、ワイヤ3を段違い
ローラ152に巻きつけて吊り下げれば、この段違いロ
ーラ152により張力の水平方向分力を作り出すことが
でき、この水平方向分力Pは、張力をT、ワイヤ3が鉛
直線となす角をθとすると、 T=P/2sin θ により求まる。段違いローラ152を支持する平行板バ
ネ153の歪み量は弾性変形範囲内では水平方向分力P
に比例するため、歪み量を平行板バネ153に表裏2枚
ずつ4枚貼り付けた歪みゲージで検出することによっ
て、ワイヤ3にかかる張力Tを検出することができる。
【0013】このような実験システムにおいて、多関節
アーム21の重量によりワイヤ3にかかる張力を張力検
出機構15で検出し、この検出した張力値をワイヤ巻取
り機構14にフィードバックし、ワイヤ3にかかる張力
が多関節アーム21の重力と常に一致するように回転駆
動用モータ140を駆動しワイヤ3を巻上げ/巻下げし
て、ワイヤ3にかかる張力が常に一定となるように制御
すれば、多関節アーム21を模擬的に無重力状態とする
ことができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】図7に示されるよう
に、無重力状態を模擬すべき対象となる多関節構造体等
の対象物6には、実際にはモータ用の電力線や信号線等
のケーブル4が接続されている。このケーブル4は装置
外の固定支持点と対象物6との間に懸垂した状態にあ
り、このケーブル4の重量の一部が対象物6に負荷とし
てかかることになるが、完全な無重力状態を模擬するた
めにはこのケーブルの重量も無視できない。また図7中
の点線で示すように、対象物の鉛直方向位置が変化する
とこれに応じて固定支持点と対象物間のケーブルの懸垂
曲線が変わることになるが、この懸垂曲線が変わると対
象物6に負荷としてかかってくるケーブルの重量が変動
することになる。その結果、見掛け上、対象物6の重量
がその鉛直方向位置によって変動することになり、前述
したように単にワイヤにかかる張力を対象物6の固定的
な重量に一致させるだけの制御では、3次元的な無重力
状態を高精度に模擬できない。
【0015】本発明は上述のような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、無重力を模
擬する対象となる対象物にその駆動用等のケーブルが接
続されていても、そのケーブルの重量の影響を受けるこ
となく、高精度な3次元の無重力状態を模擬できるよう
にすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】図1は本発明に係る原理
説明図である。本発明に係る無重力模擬実験装置は、一
つの形態として、吊機構91から垂下される吊線92に
より対象物93を吊り、この吊機構91は対象物93の
挙動に対して吊線92が常に鉛直方向に維持されるよう
水平方向吊位置を制御すると共に、吊線92にかかる張
力を張力検出機構94で検出してその張力で対象物93
にかかる重力を相殺するよう吊線巻取り機構95で吊線
93を巻取り/巻戻しして鉛直方向吊位置を制御するこ
とで、対象物93が無重力空間において示す挙動を模擬
する無重力模擬実験装置において、対象物93にはその
対象物を作動するためのケーブル96が接続されてお
り、このケーブル96をケーブル吊用吊線97で吊るケ
ーブル吊機構98を設け、このケーブル吊機構98は対
象物93の挙動に対してケーブル吊用吊線97によるケ
ーブルの中間支持点960と対象物93との鉛直方向位
置関係が常に一定に保たれるように中間支持点960を
ケーブル吊用吊線97で上下させるように構成される。
【0017】また本発明の係る無重力模擬実験装置は、
他の形態として、吊機構から垂下される吊線により対象
物を吊り、この吊機構は対象物の挙動に対して吊線が常
に鉛直方向に維持されるよう水平方向吊位置を制御する
と共に、吊線にかかる張力を張力検出機構で検出してそ
の張力で対象物にかかる重力を相殺するよう吊線巻取り
機構で該吊線を巻取り/巻戻しして鉛直方向吊位置を制
御することで、対象物が無重力空間において示す挙動を
模擬する無重力模擬実験装置において、対象物にはその
対象物を動かすためのケーブルが接続されており、吊機
構は、対象物それ自体の重力と対象物にかかるケーブル
の重力とを吊線の張力で相殺するよう吊線の張力を一定
に制御するように構成される。
【0018】後者の形態の無重力模擬実験装置におい
て、吊機構は張力検出機構からの検出出力に基づきその
検出出力の変動分を減少させるよう吊線巻取り機構のモ
ータをトルク制御するよう構成してもよいし、あるいは
張力検出機構からの検出出力に基づきその検出出力の変
動分を減少させるよう吊線巻取り機構のモータを速度制
御するよう構成してもよい。後者の形態の無重力模擬実
験装置では、対象物にかかるケーブルの重量WT は対象
物の初期位置からの変位量をx、ケーブルの線密度を
ρ、ケーブルの全長をLとした時、 WT =ρ(L+x)/2 で演算できる。
【0019】
【作用】前者の形態の無重力模擬実験装置においては、
対象物93の動きに応じて吊機構91により吊線92を
巻上げ/巻下げすることで吊線92にかかる張力を一定
に維持しつつ、その張力で対象物93にかかる重力をキ
ャンセルにする。この際、この対象物93の動きに応じ
てケーブル吊機構98によってその対象物93に接続さ
れたケーブル96の中間支持点960を同速度、同方向
で動かす。これにより対象物93と中間支持点960と
の間に懸垂されたケーブル96の懸垂曲線は一定に保た
れ、対象物93側に分担されるケーブルの重量は一定と
なり、これにより対象物93の動きによっても対象物9
3にかかるケーブル96の重量は変動せず、よって無重
力模擬を高精度に行うことができる。
【0020】後者の形態の無重力模擬実験装置において
は、吊線にかかる張力を吊機構によって、対象物それ自
体の重量とその対象物にかかるケーブルの重量の和を相
殺する値に調整する。この際、対象物にかかるケーブル
の重量は対象物の鉛直方向位置に応じて変化するので、
それに応じて吊線の張力値を変える。この対象物にかか
るケーブルの重量WT の求め方としては例えば、対象物
の初期位置からの変位量をx、ケーブルの線密度をρ、
ケーブルの全長をLとした時、 WT =ρ(L+x)/2 とすることで求めることができる。また吊線巻取り機構
のモータの制御方法としては、トルク制御方式であって
も速度制御方式であってもよい。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図2には本発明の一実施例としての無重力模擬実
験装置の吊機構部分の構成が示される。無重力を模擬す
べき対象物6(例えば多関節構造体2の多関節アーム)
をワイヤ3で吊る機構は、対象物6を吊るワイヤ3を鉛
直に保つよう対象物6の移動に応じて水平方向に移動制
御される吊アーム13、吊アーム13に取り付けられて
対象物6を吊るワイヤ3を巻上げ/巻下げするワイヤ巻
取り機構14、ワイヤ3にかかる張力を検出する張力検
出機構15等を含み構成される。
【0022】対象物6には、それを駆動するための電力
線や信号線からなるケーブル4が接続されており、この
ケーブル4はその途中の一点(支持点)がケーブル吊機
構から垂下されたケーブル吊用ワイヤ5で吊られてい
る。ケーブル吊機構はケーブル吊用ワイヤ5を巻取り/
巻戻しするケーブル吊用ワイヤ巻取り機構16を吊アー
ム13に固定することで構成されており、支持点と対象
物6間のケーブル4の懸垂曲線が対象物6の移動によっ
ても変化しないようケーブル吊用ワイヤ5の巻上げ/巻
下げを行うよう動作する。
【0023】図3にはこの吊機構およびケーブル吊機構
の制御系のシステム構成が示される。これは張力検出機
構15の出力を用いてワイヤ巻取り機構14の巻取りモ
ータ140をトルク制御して無重力環境を模擬すると共
に、ケーブル吊用ワイヤ巻取り機構によりケーブルの重
量変動の影響を消去しようというものである。図中、1
4は対象物6用のワイヤ巻取り機構、15はワイヤ3に
かかる張力を検出する張力検出機構、16はケーブル吊
用ワイヤ巻取り機構、17は張力指令値の出力などを行
う制御ソフト、18は張力検出機構15からのワイヤの
張力値と制御ソフト17からの張力指令値に基づきワイ
ヤ巻取り機構14の巻取りモータ140にトルク指令を
出力する制御回路である。
【0024】ここで、制御回路18には、制御ソフト1
7から張力指令値が、また張力検出機構15からはワイ
ヤ3にかかっている張力値がそれぞれ入力される。制御
回路18は張力検出機構15で検出された張力値と制御
ソフトの張力指令値との差を内部の比較部で求め、その
差に基づいて巻取りモータ140に対するトルク指令値
を計算して出力する。ワイヤ巻取り機構14はこのトル
ク指令値によって巻取りモータ140をトルク制御し、
ワイヤ3の巻取り/巻戻しをする。またケーブル吊機構
16には巻取り機構14からその巻胴145の回転量情
報(すなわち多関節アーム21の鉛直方向位置情報)が
入力される。
【0025】ワイヤ巻取り機構14側の動作を述べる
と、対象物6に働く重力を相殺して無重力を模擬するた
めには、ワイヤ3により対象物6を常に重力と等しい張
力で鉛直上向きに引っ張り上げればよい。そこで制御ソ
フト17は対象物に働く重力をキャンセルして無重力環
境を実現するために、ワイヤ3に掛けるべき張力を指示
する張力指令値を制御回路18に出力する。この張力指
令値は対象物6にかかる重力(すなわち対象物6それ自
体の重量と、ケーブル吊機構で吊られた支持点と対象物
6の間に懸垂したケーブル4の対象物6側に分担される
一定の重量との和により生じる重力)を相殺する張力値
である。
【0026】制御回路18は張力検出機構15からの実
際にワイヤ3にかかっている張力値と制御ソフト17か
らの張力指令値とを比較して、その差を無くすような巻
取りモータ140のトルク値を演算し、これをトルク指
令値としてワイヤ巻取り機構14に出力する。巻取りモ
ータ140はこのトルク指令値の大きさのトルクを発生
し、対象物6はその重力とワイヤの張力が釣り合った状
態すなわち無重力状態に維持される。
【0027】ワイヤ3にかかる張力は対象物6の動きや
対象物6に作用する外力によって変動する。この変動値
は張力検出機構15により計測され、制御回路18はこ
の変動を素早く減少させるよう巻取りモータ140のト
ルク値を計算し、これをトルク指令値としてワイヤ巻取
り機構14に与える。
【0028】トルク指令値を受け取ったワイヤ巻取り機
構14の巻取りモータ140はその大きさのトルクで駆
動され、それによりワイヤの張力変動を打ち消すように
巻胴145によりワイヤ3を巻取り/巻戻しする。すな
わち変動が正方向に増えた場合にはワイヤ3を巻き戻し
てワイヤの張力を減少させ、一方、負方向に減少した場
合にはワイヤ3を巻き上げてワイヤの張力を増加させ、
それによりワイヤ3の張力が常に一定になるように維持
する。
【0029】次に実施例装置におけるケーブルの重量変
動の影響を消去するための動作について説明する。有限
長さを持つケーブル4の両端を支持する場合、片方の支
点が支持するケーブルの重量は、ケーブルの懸垂曲線の
形が不変であれば変化しない。したがって対象物6の見
掛けの重量(対象物自体の重量とケーブルの分担重量の
和)を変化させないためには、ケーブル吊用ワイヤ巻取
り機構16によって、ケーブルの中間支持点位置と対象
物6の鉛直方向の位置関係を不変にすればよい。
【0030】対象物6が鉛直方向に動いたり、外力を受
けた場合、無重力模擬装置は前述したように、ワイヤ3
の張力変動を消去するように巻取りモータ140によっ
てワイヤ3を鉛直方向に巻上げ/巻下げするよう動作す
る。この時の対象物6の鉛直方向位置情報は、巻取りモ
ータ140の回転回数を通じて得られ、この情報はケー
ブル吊用ワイヤ巻取り機構14に入力される。ケーブル
吊用ワイヤ巻取り機構14では、この情報によってケー
ブル吊用ワイヤ巻取りモータがケーブルの中間支持点を
対象物6と同速度、同方向に動かす。これにより対象物
とケーブル中間支持点の位置関係は一定に保たれ、した
がってその間に懸垂されたケーブルの懸垂曲線は変化せ
ず、よって対象物6にかかる重力もケーブルの影響で変
動することはない。
【0031】図4には本発明の他の実施例としての無重
力模擬実験装置におけるワイヤ吊機構の制御系のシステ
ム構成が示される。この実施例では前述の実施例におけ
るケーブル吊機構は備えていない。かわりにこの実施例
ではワイヤ巻取り機構14からの回転量情報(すなわち
対象物の鉛直方向位置情報)が制御ソフト170に入力
されるようになっており、対象物6の鉛直方向位置に対
応して制御ソフト170で生成する張力指令値を変えら
れるようになっている。他の要素すなわち巻取り機構1
4、張力検出機構15、制御回路18の構成は前述した
ものと同じである。
【0032】先に述べた通り、有限長さを持つケーブル
の両端を支持する場合、片方の支点が支持するケーブル
の重量は、ケーブルの懸垂曲線の形によって変化する。
前述の実施例はこの懸垂曲線の変化をケーブルの中間吊
位置を対象物6の動きに応じて動かすことで防いだが、
本実施例では、懸垂曲線の変化により対象物6にかかる
ケーブルの重量の変動に応じて、制御ソフト170で生
成する張力指令値を変化させて、ケーブルの重量変動の
影響を除去している。
【0033】すなわち、対象物6の鉛直方向位置の変化
に対して、対象物6に負荷として加わるケーブルの重量
T は次式により求まる。 WT =ρ(L+x)/2 ・・・(1) 但し、x〔m〕は対象物の初期位置からの変位量で上向
きの時に正の値となるもの、ρ(kg/m〕はケーブルの
線密度、L〔m〕はケーブルの全長である。なおケーブ
ルの全重W〔kg〕はケーブルの全重でρ×Lで求まる。
【0034】よって巻取り機構14から巻取りモータ1
40の回転量(鉛直位置情報)を制御ソフト170に入
力し、この制御ソフト170で、対象物6の初期位置か
らの変位を求め、その位置で対象物6にかかるケーブル
の重量WT を上式を用いて算出し、このケーブル重量W
T と対象物6それ自体の重量をキャンセルする張力値を
張力指令値として制御回路17に出力する。
【0035】図5には本発明のまた他の実施例としての
無重力模擬実験装置の吊機構の制御系のシステム構成が
示される。前述の各実施例は巻取りモータをトルク制御
により制御したが、この実施例は速度制御により巻取り
モータを制御してワイヤに掛かる張力を一定にして無重
力環境を模擬するものである。
【0036】図5において、制御部は制御ソフト171
のみからなり、この制御ソフト171は張力検出機構1
5から張力値を、また巻取り機構14から巻取りモータ
140の回転量(鉛直位置情報)を得て、これらに基づ
き巻取りモータ140の取るべき速度を演算して、それ
を速度指令として巻取りモータ140に出力するように
構成されている。
【0037】この速度制御方式の特徴は、対象物6に加
わる外力Fから直接に対象物6の無重力環境下での動き
を計算し、巻取りモータに速度指令を行うところにあ
る。すなわち、張力検出機構17で検出された張力値の
変動分から対象物6に働く外力Fを検出し、対象物に加
わる質量Mを用いて制御ソフト170において次式を用
いて、対象物6が無重力環境を模擬するために持つべき
速度Vを逐次計算する。
【0038】 ∫Fdt=M(VーV0 ) ・・・(2) 式中、∫は0からΔtまでの積分を表し、△tはサンプ
リングタイム、V0 は初速度である。対象物6に加わる
質量Mは対象物6自体の重さと、前述したケーブルの重
量WT との和であり、この重量WT は対象物6の鉛直方
向位置を巻取り機構14からの回転量情報により求めて
前述の式(1)により演算することができる。この式に
より計算された速度Vを巻取りモータ140への速度指
令として出力する。
【0039】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、無重力を模擬する対象となる対象物にその駆動用等
のケーブルが接続されていても、そのケーブルの重量の
影響を受けることなく、高精度な3次元の無重力状態を
模擬できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原理説明図である。
【図2】本発明の一実施例としての無重力模擬実験装置
の吊機構周辺の外観構成を示す図である。
【図3】実施例装置の吊機構の制御系のシステム構成を
示す図である。
【図4】本発明の他の実施例としての無重力模擬実験装
置の吊機構の制御系のシステム構成を示す図である。
【図5】本発明のまた他の実施例としての無重力模擬実
験装置の吊機構の制御系のシステム構成を示す図であ
る。
【図6】従来の無重力模擬実験装置の全体的な外観構成
を示す図である。
【図7】巻取り機構および張力検出機構の詳細を示す図
である。
【図8】従来装置の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
1 無重力模擬装置 2 多関節構造体 3 ワイヤ 4 ケーブル 5 ケーブル吊用ワイヤ 6 対象物 11 ベース支持駆動部 12 吊機構 13 吊アーム 14 ワイヤ巻取り機構 15 張力検出機構 16 ケーブル吊用ワイヤ巻取り機構 17、170、171 制御ソフト 18 制御回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吊機構(91)から垂下される吊線(9
    2)により対象物(93)を吊り、この吊機構は対象物
    の挙動に対して吊線が常に鉛直方向に維持されるよう水
    平方向吊位置を制御すると共に、吊線にかかる張力を張
    力検出機構(94)で検出してその張力で対象物にかか
    る重力を相殺するよう吊線巻取り機構(95)で該吊線
    を巻取り/巻戻しして鉛直方向吊位置を制御すること
    で、対象物が無重力空間において示す挙動を模擬する無
    重力模擬実験装置において、 該対象物にはその対象物を作動するためのケーブル(9
    6)が接続されており、 該ケーブルをケーブル吊用吊線(97)で吊るケーブル
    吊機構(98)を設け、 このケーブル吊機構は対象物の挙動に対してケーブル吊
    用吊線によるケーブルの中間支持点と対象物との鉛直方
    向位置関係が常に一定に保たれるように該中間支持点を
    ケーブル吊用吊線で上下させるように構成された無重力
    模擬実験装置。
  2. 【請求項2】 吊機構から垂下される吊線により対象物
    を吊り、この吊機構は対象物の挙動に対して吊線が常に
    鉛直方向に維持されるよう水平方向吊位置を制御すると
    共に、吊線にかかる張力を張力検出機構で検出してその
    張力で対象物にかかる重力を相殺するよう吊線巻取り機
    構で該吊線を巻取り/巻戻しして鉛直方向吊位置を制御
    することで、対象物が無重力空間において示す挙動を模
    擬する無重力模擬実験装置において、 該対象物にはその対象物を動かすためのケーブルが接続
    されており、 該吊機構は、対象物それ自体の重力と該対象物にかかる
    ケーブルの重力とを吊線の張力で相殺するよう該吊線の
    張力を一定に制御するように構成された無重力模擬実験
    装置。
  3. 【請求項3】 該吊機構は該張力検出機構からの検出出
    力に基づきその検出出力の変動分を減少させるよう該吊
    線巻取り機構のモータをトルク制御するよう構成された
    ものである請求項2記載の無重力模擬実験装置。
  4. 【請求項4】 吊機構は張力検出機構からの検出出力に
    基づきその検出出力の変動分を減少させるよう該吊線巻
    取り機構のモータを速度制御するよう構成されたもので
    ある請求項2記載の無重力模擬実験装置。
  5. 【請求項5】 該対象物にかかるケーブルの重量WT
    対象物の初期位置からの変位量をx、ケーブルの線密度
    をρ、ケーブルの全長をLとした時、次式 WT =ρ(L+x)/2 で演算されるように構成されたものである請求項2記載
    の無重力模擬実験装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103359300A (zh) * 2013-08-06 2013-10-23 北京卫星环境工程研究所 卫星在轨自由边界条件模拟装置
CN108545216A (zh) * 2018-04-17 2018-09-18 哈尔滨工业大学 基于气体悬浮的小行星探测器着陆模拟装置

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