JPH0516625Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は弦楽器とくにベースギターのテールピ
ース装置に係わるものであり、このテールピース
における各弦の係留端を直接的に固止することに
よつて、弦の係留端とブリツジとの間の傾斜角度
を広範囲に可変可能にするとともに、前記傾斜角
度の変更を介して、音域の拡充が期待できるよう
にした弦楽器用テールピース装置に関するもので
ある。

「従来の技術」 従来この種弦楽器用テールピースとしては種々
のものが提案されているが、その中で改良された
考案としては次のような技術文献が散見される。

実公昭57−3026号の弦楽器用テールピースがあ
り、その要旨は、弦楽器のボデイーに埋設された
案内部材と、この案内部材に弦係留杆作動機構を
介して昇降可能な弦係留杆を挿設し、この弦係留
杆の昇降を介して弦のボデイー側係留端をボデイ
ー表面に対して個々に昇降させる構成となつてい
る。

また実開昭61−53795号の弦楽器の調弦装置、
特開昭62−78595号の弦楽器の調弦装置があり、
これらの考案等は、コジ角を変更することなく、
調弦を図ることを意図している。

「考案が解決しようとする問題点」 以上の技術文献による考案の中で、実公昭57−
3026号は、各弦の弦係留杆の昇降を介して弦がブ
リツジに与える圧力を最適な値に調整することを
目的とするもので、これによりデツトポイントを
改良することにある。確かに弦係留杆の昇降によ
り弦の張りを調整できるものの、この弦係留杆の
上下方向昇降は極めて僅かの範囲内でしかできな
いものである。即ちブリツジと弦係留杆の弦係留
部とで構成される弦の傾斜角度（以下単に弦の傾
斜角度とする）は最大でも30°前後（ブリツジと
弦係留杆の弦係留部とに弦を水平に張装した状態
を0°として以下同じ）までであり、極めて限定さ
れた範囲内における調整にしかずぎなかつた。し
たがつて、前述の問題点は解消されたものの、音
域の拡充即ち高音域をより高く、低音域をより低
くして演奏を楽しもうとしても自ずから限界があ
り、その改良が強く望まれているところである。

またこの考案は、弦係留杆の上下移行により弦
の傾斜角度を調整するものであることから、弦に
対する規制には必然的に無理があり、例えば弦と
弦係留杆の頭部との関係は、頭部にかなりの圧力
がかかり故障の原因となること、及びボデイーの
体裁上においても少なからず問題がある。

一方、前記実開昭61−53795号、特開昭62−
78595号の考案では、ッコジ角（各弦の係留端と
前記ブリツジとの間の傾斜角度）を変更すること
なく、弦の張力を調整するいわゆる調弦構成であ
り、本考案とは本質的な相違があります。

「問題点を解決するための手段〕 そこで、本考案はブリツジと弦係留部材とで構
成される弦の傾斜角度を略20°〜90°前後まで広範
囲に調整できるようにし、かつ前記傾斜角度の変
更を利用して、弦の振幅を、多段階でかつ微調整
可能とすることによつて、音域の拡充を図ること
にある。

その要旨は、 各弦のボデイー係留端部に相当する箇所に上面
開放の凹室が形成されている弦楽器のボデイー
と、 このボデイーの凹室の上方にはこれを閉塞する
ように設けられた前記各弦が挿入される長溝を備
えてなるテールピース本体と、 このテールピース本体の上面部に設けられた前
記各弦を支承するブリツジと、 このブリツジを前記各弦の長手方向にそれぞれ
移行可能とする前記テールピース本体に設けられ
たバネを捲装した螺杆等でなる第２移行部材と、 前記テールピース本体の長溝にその突起部が挿
入されるとともに前記凹室にその基盤部が挿入さ
れ、かつこの突起部が長溝に沿つて前記各弦の長
手方向にそれぞれ移行可能に挿入される構成とな
つている各弦の係留端が直接固止され、前記各弦
の係留端と前記ブリツジとの間の傾斜角度を変更
する弦係留部材と、 この弦係留部材を水平移行させるテールピース
本体に設けた螺杆等の第１移行部材と、 で構成されていることを特徴とする弦楽器用テー
ルピース装置である。

「作用」 次に本考案の作用を説明すると、弦が弛緩され
ている状態において（各弦の調弦前の状態であ
る。以下同じ）、ブリツジと倒Ｔ字型の弦係留部
材が設けられている第１移行部材を螺入又は螺戻
して、当該弦係留部材を前進、又は後退させるこ
とにより達成される。

例えば、弦を所定の張力で張装し、かつ前記傾
斜角度を所定の角度にて張装する場合は、先ず、
第１移行部材を螺戻するとこれと螺合する弦係留
部材は、テールピース本体の長溝に沿つて後退
し、ブリツジと弦係留部材との距離が大となると
ともに、これにより前期傾斜角度が緩やかにな
り、この傾斜角度が変更され、当該傾斜角度が前
記所定角度になつたときに、当該係留部材を固定
する。

これによつて、ブリツジ及び弦係留部材が固定
されるので、弦の弦係留端を、前記弦係留部材に
係止した後、当該弦のブリツジを経由してチユー
ニングの軸に係止する。

その後、チユンーニングの螺入、螺戻を介し
て、当該弦を所定の張力に調整し、調整が終了し
た時点で、当該弦は、弦としての音階を発し得る
正しく調弦された状態になる。

以上のような弦の張装及び傾斜角度による張装
を、その他の各弦についてそれぞれなすことによ
つて、前記の弦と同様に、その他の各弦は、弦と
しての音階を発し得る正しく調弦された状態とな
る。

ところで、本考案は、各弦が所定の張力で調
整、いわゆる調弦されていることと、各弦の傾斜
角度を各人の好みにより自由に変更できる。

したがつて、前記傾斜角度が小さい場合は、弦
の振幅の幅が大きくなり、仮に同じ音色であつて
も（各弦は調弦されており、弦をひくことによ
り、同じ音色が発せられる。以下同じ）低い響き
をもつて発せられる。

また逆に、前記傾斜角度が大きい（急の）場合
は、弦の振幅の幅が小さくなり、仮に同じ音色で
あつても高い響きをもつて発せられる。

したがつて、調弦され、かつ傾斜角度が一定の
場合による一定の振幅の幅による音色とは、明ら
かに異なり、音域の広い音色が楽しめるものであ
る。

本考案は、以上で説明した如く、調弦はチユー
ニング操作でなされ、弦係留部材の操作は、傾斜
角度の変更のみであり、また各弦係留部材の移動
は、各弦が弛緩状態のときになされる。

「実施例」 以下本考案の一実施例を図面に基づいて具体的
に説明する。

１は弦楽器とくにベースギターで、２はそのボ
デイーである。そうしてこのボデイー２には各弦
４のボデイー係留端部４ａに相当する箇所に上面
開放の凹室５が形成されている。

６は前記凹室５を閉塞するようにボデイー２の
上面にネジ７等を介して取り付けられたテールピ
ース本体で、このテールピース本体６には各弦４
に相当する数本の長溝８が開設され、しかもこの
長溝８は前記凹室５に連通している。

９は側面視して倒Ｔ字型をなし、水平移行する
弦係留部材で、この弦係留部材９は図示の如く、
その突起部９ａが長溝８に挿設されているととも
に、その基盤部材９ｂが長溝８の近傍裏面に摺接
移行するように構成され、具体的にはこの弦係留
部材９はテールピース本体６の長溝８に差し渡し
た螺杆等の第１移行部材１０に螺合され前述の如
く架承される。

そうして、この弦係留部材９の螺入、螺戻しに
より、螺杆の左右方向の回転を介して前述の如く
長溝８に沿つて前進（第２図で向かつて左方向）、
後退（第２図で向かつて右方向）する構成で、こ
の場合弦係留部材９の突起部９ａ内に沿つて摺接
移行し、又その基盤部９ｂが長溝８の近傍裏面を
摺接移行するものである。尚、この第１移行部材
１０は係止具１１によりその脱抜が防止されてい
る。

１２は弦係留部材９の長手方向であつて後方よ
り略中央部に到るとともに、その突起部９ａ上面
より基盤部９ｂに到るように形成されている弦挿
入用の弦挿入溝であり、この弦挿入溝１２には弦
玉係止用の弦玉係止穴１３が連設されている。

１４はブリツジで、このブリツジ１４はテール
ピース本体６の突起部６ａに螺入した螺杆等より
なる第２移行部材１５によりテールピース本体６
の上面に保持され、しかも弦４の押圧を介してテ
ールピース本体６の上面に圧接されている。この
ブリツジ１４は第２移行部材１５の螺入螺戻で僅
かの距離前進、後退移行する構成となつている。

１６は第２移行部材１５に捲装したバネで、ブ
リツジ１４を第２移行部材１５の自由端側へ押圧
し、その移行を規制している。

次に本考案の作用を説明すると、弦４が弛緩さ
れている状態において、ブリツジ１４と弦係留部
材９とで構成される傾斜角度（以下、単に傾斜角
度とする）を変更しようとする場合は、先ずＴ字
型の弦係留部材９が設けられている第１移行部材
１０を螺入又は螺戻して、当該弦係留部材を前
進、又は後退させることにより達成される。

例えば、弦４を所定の張力で張装し、かつ前記
傾斜角度を所定の角度にて張装する場合は、先
ず、第１移行部材１０を螺戻すると、当該第１移
行部材１０と螺合する弦係留部材９は、テールピ
ース本体６の長溝８に沿つて後退し、ブリツジ１
４と弦係留部材９との距離が大となるとともに、
これにより前期傾斜角度が緩やかになり、この傾
斜角度が変更され、当該傾斜角度が前記所定角度
となつたときに、当該係留部材９を固定する。

これによつて、ブリツジ１４及び弦係留部材９
が固定されるので、弦４の弦係留端を、前記弦係
留部材９に係止した後、当該弦をブリツジ１４を
経由してチユーニングの軸に係止する。

その後、チユーニングの螺入、螺戻を介して、
当該弦４を所定の張力に調整し、調整が終了した
時点で、当該弦４は、弦４としての音階を発し得
る正しく調弦された状態になる。

以上のような弦４の張装及び傾斜角度による張
装を、その他の各弦４についてそれぞれなすこと
によつて、前記の弦４と同様に、その他の各弦４
は、弦４としての音階を発し得る正しく調弦され
た状態となる。

ところで、本考案は、各弦４が所定の張力で調
整、いわゆる調弦されていることと、各弦の傾斜
角度を各人の好みにより自由に変更できる。

したがつて、前記傾斜角度が小さい場合は、弦
の振幅の幅が大きくなり、仮に同じ音色であつて
も（各弦は調弦されており、弦をひくことによ
り、同じ音色が発せられる。以下同じ）低い響き
をもつて発せられる。

また逆に、第１移行部材１０を螺入すると、当
該第１移行部材１０と螺合する弦係留部材９は、
テールピース本体６の長溝８に沿つて前進し、ブ
リツジ１４と弦係留部材９との距離が小さくなる
とともに、これにより前記傾斜角度が大きくな
り、この傾斜角度が変更され、当該傾斜角度が所
定角度となつたときに、当該弦係留部材９を固定
する。

これによつて、ブリツジ１４及び弦係留部材９
が固定されるので、弦４の弦係留端を、前記弦係
留部材９に係止した後、当該弦をブリツジ１４を
経由してチユーニングの軸に係止する。

その後、チユーニングの螺入、螺戻を介して、
当該弦４を所定の張力に調整し、調整が終了した
時点で、当該弦４は弦４としての音階を発し得る
正しく調弦された状態になる。

以上のような弦４の張装及び傾斜角度による張
装を、その他の各弦４について、それぞれなすこ
とによつて、前記の弦４と同様に、その他の各弦
４は、弦４としての音階を発し得る正しく調弦さ
れた状態となる。前記傾斜角度が大きい（急の）
場合は、弦４の振幅の幅が小さくなり、仮に同じ
音色であつても高い響きをもつて発せられる。

したがつて、調弦され、かつ傾斜角度が一定の
場合による一定の振幅の幅による音色とは、明ら
かに異なり、音域の広い音色が楽しめるものであ
り、殊に極めて精緻に音を把握し得るこの種ベー
スギターのテールピースとしては、最適である。

本考案は、以上で説明した如く、調弦はチユー
ニング操作でなされ、弦係留部材の操作は、傾斜
角度の変更のみであり、また各弦係留部材９の移
動は、各弦９が弛緩状態のときになされる。

「考案の効果」 本考案は以上の如く、また弦のブリツジと、係
留端との傾斜角度（本考案の傾斜角度を云う。）
を、弦の長手方向に向かつて水平移行する弦係留
部材との距離の大小を介して可変する構成である
ので、弦の傾斜角度を略20°〜90°に亘り、変更で
きる。したがつて、調弦された弦に、任意のコジ
角の傾斜角度を付与できるので、同じ音をひいて
も振幅の異なる音色を楽しむことができ、もつて
音域の拡充が大いに期待できる。殊に極めて精緻
に音を把握し得るこの種ベースギターのテールピ
ースとしては、最適である。

また本考案は弦の係留端部の傾斜角度が、弦の
長手方向に摺動移行する弦係留部材によりなされ
る構成であるので、弦の振幅の微調整を、前記傾
斜角度の変更でなし得る効果と、前記傾斜角度の
変更に対して、僅かな力により変更できること
と、弦に対する規制に無理がないこと等の効果が
ある。更に本考案は、各弦の調弦前に、傾斜角度
を変更する構成であるの、各種寸法又は構造でな
る原則として、全ての弦楽器に、極めて容易かつ
簡便に装置し得る等の実用上の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は本考案のテールピース装置を装着したベー
スギターの平面図、第２図は要部の拡大断面図、
第３図はテールピース本体の長溝、ブリツジ及び
弦係留部材等との関係を示す要部の拡大平面図、
第４図は弦係留部材の拡大斜視図である。 １……ベースギター、２……ボデイー、４……
弦、５……凹室、６……テールピース、７……ネ
ジ、８……長溝、９……弦係留部材、１０……第
１移行部材、１１……係止具、１２……弦挿入
溝、１３……弦玉係止穴、１４……ブリツジ、１
５……第２移行部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 各弦のボデイー係留端部に相当する箇所に上
   面開放の凹室が形成されている弦楽器のボデイ
   ーと、 このボデイーの凹室の上方にはこれを閉塞す
   るように設けられた前記各弦が挿入される長溝
   を備えてなるテールピース本体と、 このテールピース本体の上面部に設けられた
   前記各弦を支承するブリツジと、 このブリツジを前記各弦の長手方向にそれぞ
   れ移行可能とする前記テールピース本体に設け
   られたバネを捲装した螺杆等でなる第２移行部
   材と、 前記テールピース本体の長溝にその突起部が
   挿入されるとともに前記凹室にその基盤部が挿
   入され、かつこの突起部が長溝に沿つて前記各
   弦の長手方向にそれぞれ移行可能に挿入される
   構成となつている各弦の係留端が直接固止さ
   れ、前記各弦の係留端と前記ブリツジとの間の
   傾斜角度を前記各弦の調弦前に変更する弦係留
   部材と、 この弦係留部材を水平移行させるテールピー
   ス本体に設けた螺杆等の第１移行部材と、 で構成されていることを特徴とする弦楽器用テ
   ールピース装置。 弦係留部材に弦の係留端部の挿入を許す弦挿
   入溝が開設されている実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の弦楽器用テールピース装置。 弦係留部材が側面視して倒Ｔ字型となつてお
   り、その基盤部がテールピース本体の裏面側を
   摺接移行する構成となつている実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の弦楽器用テールピース装
   置。