JPH05163628A - ジャカード機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡素で装置全体を小型化が可能なジャ
カード機を提供する。 【構成】 上下に往復動するナイフ２と、弾性を備えた
部材で形成されて上下方向で移動自由に支持されかつ水
平方向の所定の範囲で変位可能に支持された縦針３と、
縦針３に設けられてナイフ２と選択的に係合する係合部
３１と、ナイフ２の下降時に当接して縦針３を水平方向
に変位させる縦針３に突設した突起部３２と、係合部４
１を備えて縦針３に近接した位置で水平方向に移動自由
に支持された横針４と、ソレノイド５のアマーチャ５０
に設けた横針４の係合部４１と選択的に係合するフック
５１と、縦針３の水平方向変位時に係止して横針４を移
動させる係止部４２と、縦針３の下端と織機の上下ロッ
ド７２の上端とを連結する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は柄や模様などのパターン
を織り込む機能を備えた織機、とくにジャカード機の改
良に関する。

【０００２】

【従来の技術】紋紙を必要としないジャカード機では、
横針を織柄情報に基づいてソレノイドなどで選択的に駆
動する技術として、特公昭５７−１７０９６号公報や特
公昭５２−５６２７号公報などが周知であり、図８〜１
０で示すように、ジャカード機１の横針４を図示しない
制御装置の織柄情報に基づいて横針制御装置１０に備え
られたソレノイド等で選択的に保持させ、ナイフ２によ
って駆動される縦針３を選択保持し、ジャカード機１の
縦針３と織機７を連結する通糸６によって上下ロッド７
２を選択的に駆動し、綜絖針７３をプッシャー７４で押
して所定の縦糸９に開口を形成し、この開口にひ口７７
を通過させて図示しない横糸を通して所定の織柄を構成
するものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、横針４
をソレノイドによって吸引保持するには多大な電流を必
要とし、大型のソレノイドを使用するために装置の小型
化を妨げるという問題点が発生した。

【０００４】さらに、ジャカード機１と織機７は、縦針
３と１対１対応する上下ロッド７２が通糸６によって連
結されており、目板穴７９で屈曲する通糸６を円滑に上
下に摺動するための間隔が必要となって、図９で示す全
高Ｈを低くしにくいという問題点も発生した。

【０００５】そこで本発明は、上記問題点を解決し、構
造が簡素で装置全体を小型化可能なジャカード機を提供
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、上下に往
復動するナイフと、弾性を備えた部材で形成されて上下
方向で移動自由に支持されかつ水平方向の所定の範囲で
変位可能に支持された縦針と、縦針に設けられて前記ナ
イフと選択的に係合する係合部と、ナイフの下降時に当
接して縦針を水平方向に変位させる縦針に突設した突起
部と、係合部を備えて前記縦針に近接した位置で水平方
向に移動自由に支持された横針と、ソレノイドのアマー
チャに設けた前記横針の係合部と選択的に係合するフッ
クと、前記縦針の水平方向変位時に係止して横針を移動
させる係止部とを備える。

【０００７】第２の発明は、縦針の下端と織機の上下ロ
ッドの上端とを連結する。

【０００８】

【作用】第１の発明は、ナイフの下降に伴って縦針の突
起部が押されて水平方向に変位し、この変位に伴って係
止部を介して横針も変位して横針の係合部とアマーチャ
のフックが接触し、ソレノイドの作動によって選択的に
横針及び縦針を係止する。

【０００９】第２の発明は、縦針の上下方向への往復動
によって上下ロッドを直接駆動する。

【００１０】

【実施例】以下、図面に従って本発明の実施例を説明す
る。

【００１１】図１は本発明によるジャカード機１と織機
７を結合し、その要部を図示したもので、７１は織機７
の目板を示し、この目板７１より上部がジャカード機１
で、その下部が織機７である。

【００１２】２はジャカード機１に収装されて図示しな
い駆動源によって上下に往復動するナイフ、３はＵ字状
の弾性を備えた部材により形成された縦針、３１は縦針
３の一端に設けられてナイフ２と係合するフック、３２
は縦針３のフック３１の下方に突設した傾斜を備えた突
起部で、ナイフ２の下降により縦針３のＵ字を閉じる方
向に押圧され、３４及び３５は縦針ガイドで、縦針ガイ
ド３４は縦針３の突起部３２の下方と当接し、縦針ガイ
ド３５は縦針３の自由端側と当接する位置にジャカード
機１へ固設され、縦針３を上下方向で摺動自在に支持す
るとともに、縦針３を挟み込んでＵ字を開く方向、すな
わち、水平方向への移動を規制する。

【００１３】４は縦針３に近接した位置で横針ガイド４
０により水平方向で移動自由に支持された横針、４１は
横針４の一端に突設されたフック、４２は突起部３２の
下方で縦針３を挟持する係止部としての駆動ピンで、縦
針３の水平方向の移動に伴って横針４を水平方向に駆動
する。なお、横針ガイド４０は横針４の上方への動きも
規制し、所定の間隔でジャカード機１に固設される。

【００１４】５はジャカード機１に固設されて図示しな
い制御装置によって選択的に駆動されるソレノイド、５
０は一端を回動自由に支持されたソレノイド５のアマー
チャ、５１はアマーチャ５０の自由端に設けられて横針
４のフック４１と係合するフック、５２はソレノイド５
の励磁時にアマーチャ５０を吸引するヨークで、アマー
チャ５０はソレノイド５の非励磁時にフック５１がフッ
ク４１と係合し得る状態に位置するようにスプリング５
３で付勢され、また、ソレノイド５の励磁時にはヨーク
５２に吸引されるとフック５１がフック４１と係合しな
い位置へと変位するように取り付けられている。

【００１５】７２は織機７の目板７１に沿って１列に配
設された上下ロッドで、上端は目板穴７９を貫通して縦
針３と係合し、他の一端は下方でスプリング７６で連結
され、この上下ロッド７２を上下方向で往復自在に支持
している。なお、スプリング７６は他の一端を織機７の
底部に固定している。

【００１６】７５は上下ロッド７２に設けられた貫通孔
で、この貫通孔７５でプッシャー７４によって水平方向
へ押される綜絖針７３を挿通支持し、この綜絖針７３の
自由端では縦糸９を摺動自由に保持するとともに水平方
向への変位を許容している。

【００１７】なお、１列に配設された上下ロッド７２の
それぞれに対応して縦針３、横針４及びソレノイド５が
１対となってジャカード機１に配設されている。

【００１８】以上のように構成され、次に作用について
説明する。

【００１９】次に、図示しない制御装置が、織り柄情報
に基づいて縦糸９に開口を形成する指令を出した場合を
図２〜４に示す。

【００２０】縦糸選択動作が開始されると、図２で示す
ように、まずナイフ２が下降しながら縦針３の突起部３
２に当接するため、縦針３は縦針ガイド３４から離れて
徐々に内側へ移動し、これに伴って駆動ピン４２もソレ
ノイド５方向に移動するので、したがって横針４もソレ
ノイド５方向に移動してフック４１がフック５１を通過
してそれぞれの傾斜した部分が当接する。このナイフ２
の下降時にはソレノイド５への励磁電流は遮断されてい
る。

【００２１】次に、ナイフ２が下死点を通過した後に上
昇に入ると、図３で示すように突起部３２からナイフ２
が離れるため、縦針３は縦針ガイド３４方向に弾性力で
移動しようとするが、このとき、図示しない制御装置の
開口形成の指示に基づいて、ソレノイド５は励磁され
ず、したがってフック４１と５１が係合し、駆動ピン４
２によって縦針３が内側に移動した状態を保持する。

【００２２】さらにナイフ２は上昇し、図４で示す上死
点付近においても、ナイフ２は縦針３が内側に移動して
いるため、フック３１と係合せずに単独でさらに上昇
し、したがって縦針３は係合している織機７の上下ロッ
ド７２を引き上げずに保持する。

【００２３】すなわち、図１で示す上下ロッド７２が引
き上げられないため、綜絖針７３がプッシャー７４に押
されて右側へ移動し、これに伴って縦糸９も右側に移動
して開口を形成する。

【００２４】次に、図示しない制御装置が、織り柄情報
に基づいて縦糸９に開口を形成しない指令を出した場合
を図５〜７に示す。

【００２５】前記開口形成時と同様に縦糸選択動作が開
始されると、図５で示すように、まずナイフ２が下降し
ながら縦針３の突起部３２に当接するため、縦針３は縦
針ガイド３４から離れて徐々に内側へ移動し、これに伴
って駆動ピン４２もソレノイド５方向に移動するので、
したがって横針４もソレノイド５方向に移動してフック
４１がフック５１を通過してそれぞれの傾斜した部分が
当接する。なお、このナイフ２の下降時にはソレノイド
５への励磁電流は遮断されている。

【００２６】次に、ナイフ２が下死点を通過した後に上
昇に入ると、図６で示すように図示しない制御装置の開
口を形成しない指令に応じてソレノイド５への通電が開
始されてヨーク５２がアマーチャ５０を吸引し、一方、
ナイフ２の上昇に伴って突起部３２からナイフ２が離れ
るために縦針３は縦針ガイド３４方向に移動し、再び縦
針ガイド３４に当接する。

【００２７】これに伴って、横針４も左方へ移動するが
アマーチャ５０が吸引されているためにフック４１はフ
ック５１と係合せずに左へ移動していく。

【００２８】さらにナイフ２は上昇し、図７で示す上死
点付近において、ナイフ２は縦針３のフック３１に係合
し、したがって縦針３はナイフ２によって上方へ引き上
げられ、縦針３に係合している織機７の上下ロッド７２
を引き上げる。

【００２９】引き上げられた上下ロッド７２は、綜絖針
７３のプッシャー７４側の一端を図１で示す２点鎖線の
位置に引き上げ、この後、プッシャー７４が上下ロッド
７２側に移動して来ても綜絖針７３は押し出されず、し
たがって縦糸９は開口しない。

【００３０】したがって、横針４の移動に縦針３の突起
部３２を介してナイフ２の駆動力を利用し、横針４のみ
を移動する動力を必要としないため、ジャカード機１の
構造を簡素にすることが可能となる。

【００３１】また、縦針３の選択をフック４１及び５１
の係合によって行うようにしたため、ソレノイド５はア
マーチャ５０を吸引する動力があれば良く、したがって
小型のソレノイド５を使用することが可能となり、図１
０に示す織機７の目板穴７９に対応して一対となった縦
針３、横針４及びソレノイド５を１列に配設することが
可能となる。

【００３２】さらに、縦針３と上下ロッド７２を直接的
に連結させて通糸６を不要にしたため、図９で示す織機
７とジャカード機１を結合した全高Ｈを低くすることが
可能となり、ジャカード機１と織機７を結合した状態で
の建造物への搬入を容易にし、また、設置場所の天井高
さの制約を受けにくくすることが可能となる。

【００３３】なお、本実施例において、縦針３をＵ字状
により形成したが、弾性によってソレノイド５の方向へ
変位可能な形状であれば良く、例えば、Ｖ字状やＬ字状
等であっても上記実施例と同様の作用、効果を得ること
ができる。

【００３４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、横針を摺
動する動力を必要とせず、また、ソレノイドは横針と係
合するアマーチャを吸引するので横針移動方向の反力が
吸引方向に作用しないため横針の選択保持を小型のソレ
ノイドで行うことができ、ピッチの狭い織機の目板穴に
対応してソレノイドを１列に配設することが可能とな
り、簡素な構造でありながら装置全体を小型化すること
が可能となる。

【００３５】また、縦針で直接上下ロッドを駆動するよ
うにしたため、通糸が不要となってジャカード機と織機
を直接結合することが可能となり、装置全体の高さを低
く押えることができ、装置の搬入及び設置が容易になる
と共に設置場所の制約を減少することが可能となり、さ
らに通糸を使用しないために保守作業を容易にし、信頼
性を向上することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す概略図である。

【図２】ソレノイドが非励磁でナイフの下降状態を示す
図である。

【図３】ソレノイドが非励磁でナイフの上昇状態を示す
図である。

【図４】ナイフの上死点付近での状態を示す図である。

【図５】ソレノイドが非励磁でナイフの下降状態を示す
図である。

【図６】ソレノイドが励磁されたナイフの上昇状態を示
す図である。

【図７】ナイフの上死点付近での状態を示す図である。

【図８】従来例を示す概略図である。

【図９】従来例を示す正面図である。

【図１０】従来例を示す部分斜視図である。

【符号の説明】

２ ナイフ ３ 縦針 ４ 横針 ５ ソレノイド ３１ フック ３２ 突起部 ４２ 駆動ピン ７２ 上下ロッド

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下に往復動するナイフと、弾性を備え
   た部材で形成されて上下方向で移動自由に支持されかつ
   水平方向の所定の範囲で変位可能に支持された縦針と、
   縦針に設けられて前記ナイフと選択的に係合する係合部
   と、ナイフの下降時に当接して縦針を水平方向に変位さ
   せる縦針に突設した突起部と、係合部を備えて前記縦針
   に近接した位置で水平方向に移動自由に支持された横針
   と、ソレノイドのアマーチャに設けた前記横針の係合部
   と選択的に係合するフックと、前記縦針の水平方向変位
   時に係止して横針を移動させる係止部とを備えたことを
   特徴とするジャカード機。
2. 【請求項２】 縦針の下端と織機の上下ロッドの上端と
   を連結したことを特徴とする請求項１記載のジャカード
   機。