JPH0515600Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、水中ポンプの下部吸込側に一体に取
付けられる水中ポンプ用ストレーナに関し、特
に、羽根車の下方に攪拌羽根を取付けた土木用水
中ポンプ等に用いて好適のものである。

〔従来の技術〕

従来のストレーナを直結した水中ポンプは、第
２図に示すように、ポンプケーシング１内に羽根
車２を収容し、ポンプケーシング吸込口３ａを有
する吸込側側板３を取付けて内部にポンプ室３ｂ
を形成し、上記吸込側側板３に接してその下方に
ストレーナ４が取付けられている。図中、３ｃは
吐出口、５はポンプ外胴である。

上記ストレーナ４は、底部が平らに形成されて
いるものが多く、そのため、ポンプ運転時、吸込
液中に土砂等が混入されている場合は、羽根車２
の回転に伴う吸込作用により、上記ストレーナ４
を通つてポンプ室３ｂに吸込まれた土砂を含んだ
液体は、吐出口３ｃより吐出されるが、ポンプ停
止時、上記土砂等がストレーナ４の底に堆積し易
いという欠点があつた。

また、第３図に示すように、土木用水中ポンプ
などで、攪拌羽根６を羽根車２の吸込側に延長さ
れた軸６ａの先端に取付けたものでは、攪拌羽根
６による攪拌効果を生かすために、該攪拌羽根６
はストレーナ７部より下方に突き出しており、ま
た、該攪拌羽根６が直接、地面Ｇ等に埋づもれな
いように、地面Ｇに設置されるポンプ台８の上部
にスペーサ９を設けて空間を形成させる必要があ
つた。

そして従来は、上記スペーサ９を複数個の同心
状の円筒状スペーサで形成し、該スペーサ９をス
トレーナ７部とポンプ台８とで挟み込み、溶接に
より又は特殊なステーボルト等を使用して、これ
らのストレーナ７部とポンプ台８とをボルト止め
にしていた。

またポンプ運転時、羽根車２と攪拌羽根６とが
一体になつて回転し、攪拌羽根６により、設置さ
れた地面Ｇ上の土砂等を攪拌して矢印ａ方向に外
方に振り飛ばし、矢印ｂのように反転する流れと
なつて、矢印ｃの流れと共にストレーナ７の穴を
経てポンプ室３ｂ内に吸込まれ、羽根車２により
昇圧されて吐出口３ｃより外部へ吐出されてい
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記したように、羽根車の吸込側に攪拌羽根６
を有する土木用などの水中ポンプでは、攪拌羽根
６が直接地面Ｇ等に埋づもれないように、ストレ
ーナ７の下方にポンプ台８とスペーサ９を設けて
空間を形成させる必要があり、そのため、複数個
の円筒状スペーサ９等をストレーナ部７とポンプ
台８とに溶接やボルト止めするなど、部品点数、
或いは製作工数、組み立て等手間のかかる構造と
なつており、ストレーナ部分の製品価格に占める
割合が比較的大きいという問題点があつた。

また、ポンプ停止時、ストレーナ底部に土砂等
が堆積しないようにするために底部中央から半径
方向へ向かつて傾斜させるように形成する上での
技術的な問題から、ストレーナ底部と外周部を
別々に製作して溶接するというやや手間のかかる
構造となつているという問題点もあつた。

本考案は、ストレーナ底部への土砂の堆積を回
避すると共に、攪拌羽根を有する水中ポンプにお
いて該攪拌羽根部分の空間形成を、簡単な構造
で、プレス加工により容易に圧縮成形できるよう
にした水中ポンプ用ストレーナを提供することを
目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、本考案は、ポン
プケーシングの吸込側にストレーナを直結するよ
うにした水中ポンプ用ストレーナにおいて、該ス
トレーナを、ストレーナ底部を中央から半径方向
に傾斜させたメインストレーナ部と、該メインス
トレーナ部の底部に接続されポンプ脚を兼ねたス
トレーナ脚部とによつて構成し、上記ストレーナ
脚部の長さをメインストレーナ部の穴径より大き
くとり、該ストレーナ脚部にもストレーナ穴を設
けると共に、該ストレーナ脚部に、メインストレ
ーナ部の底部の傾斜部に連続して同じ傾斜角の内
径側傾斜部を設け、これらの両傾斜部の内方に、
羽根車２の下方に取付けられた攪拌羽根６を位置
させたことを特徴としている。

また、ストレーナ脚部のストレーナ穴ピツチ
を、メインストレーナ部のストレーナ穴ピツチと
同一にし、ストレーナ脚の存在しない空間を遊び
送り可能として両部のストレーナ穴を連続的に加
工できるようにしたことを特徴としている。

〔作用〕

本考案は、上記のように羽根車の下方に取付け
られた攪拌羽根が、メインストレーナ部の底部の
円錐状傾斜部より下方に突出し且つポンプ脚を兼
ねたストレーナ脚部の内径側傾斜部内に位置する
ので、上記円錐状傾斜部によつて該攪拌羽根の周
囲に空間が形成され、それに伴つて、ポンプ運転
時、地面等より攪拌羽根によつて巻き上げられた
土砂等は、先ずストレーナ脚部のストレーナ穴よ
り周囲へ振り飛ばされた後、反転して、他の液体
と共にメインストレーナのストレーナ穴より吸込
まれ、ポンプ室内へ導かれ、昇圧されて吐出口よ
り外部へ吐出される。

また、上記メインストレーナの底部が円錐状に
傾斜して形成されているので、ポンプ停止時、土
砂等が該ストレーナの底部に堆積するのを少なく
している。

一方、ポンプ脚を兼ねたストレーナ脚部をメイ
ンストレーナの底部に接して一体に成形するため
に、プレス加工が用いられるが、該プレス加工に
より、第２図に示すような従来の底面の平らな箱
形ストレーナから、その底部中央から半径方向へ
向かつて緩やかに傾斜するテーパをつけつつ、メ
インストレーナと、数個所に突き出して形成され
るストレーナ脚部のような凸凹部を形成すること
が可能であり、更に上記のようにプレス加工して
形成されたメインストレーナとストレーナ脚部の
外周面に、ストレーナ穴を穴加工によつて連続し
て穿設する際、ポンプ脚を兼ねた上記のように数
個所に突き出して形成されるストレーナ脚の存在
しない空間は、遊び送りを可能にし、上記のよう
に連続して加工することができる。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面と共に説明する。

第１図は、本考案の一実施例を示すストレーナ
を備えた土木用などに用いられる水中ポンプの断
面図であつて、図中、第３図に記載した符号と同
一の符号は同一ないし同類部分を示すものとす
る。

図において、ポンプケーシング１の吸込側側板
３に接して取付けられるストレーナは、メインス
トレーナ１１からなるＡ部と、該Ａ部から下方に
数個所突き出して形成されるポンプ脚を兼ねたス
トレーナ脚部１２からなるＢ部とから構成され、
上記Ａ部を形成するメインストレーナ１１は、底
部を中央から半径方向に向かつて緩やかに傾斜し
た円錐状傾斜部１１ａを有し、同じくＢ部を形成
するストレーナ脚部１２の内径側も、上記円錐状
傾斜部１１ａと同じ傾斜角で傾斜した円錐状傾斜
部１２ａを有しており、また底部を平らに形成し
てポンプ台１５への接合を容易にしている。

また、上記メインストレーナ１１とストレーナ
脚部１２の外周面には、同一の穴ピツチでストレ
ーナ穴１３及び１４が形成されている。なお、図
中、２は羽根車、３ａはポンプケーシング吸込
口、３ｂはポンプ室、３ｃはポンプケーシング吐
出口、５はポンプ外胴、６は延長軸６ａの端部に
取付けられた攪拌羽根である。

上記メインストレーナ１１とストレーナ脚部１
２とをプレス加工により一体形成するに際して
は、第２図に示すような従来の底面の平らな箱形
ストレーナから、その底部中央から半径方向へ向
かつて緩やかに傾斜するテーパをつけつつ、メイ
ンストレーナ１１と、数個所に突き出して形成さ
れるストレーナ脚部１２のような凸凹部を形成す
ることが可能であり、更に、上記のようにプレス
加工して一体に成形されたメインストレーナ１１
とストレーナ脚部１２の外周面に、ストレーナ穴
１３と１４を穿設する際、ポンプ脚を兼ねた数個
所に突出するストレーナ脚１２の存在しない空間
は、遊び送りを可能にし、上記のように連続して
加工することができる。

上記のように構成されているので、当該水中ポ
ンプの運転時、羽根車２と一体に回転する攪拌羽
根６は、メインストレーナ１１の底部中央の円錐
状傾斜部１１ａ及びストレーナ脚部１２の内径側
円錐状傾斜部１２ａによつて形成される空間部に
位置して、地面Ｇ上に堆積された土砂等を攪拌し
ながら矢印ａ方向に、該ストレーナ脚１２のスト
レーナ穴１４を通つて外側へ飛散させ、一部は円
錐状傾斜部１１ａに沿つて上昇し開口１１ｂより
メインストレーナ１１内に吸引される。

上記のように外側へ飛散された土砂は、羽根車
２の回転に伴う吸引力で矢印ｃ方向内向きにメイ
ンストレーナ１１に吸引される流れと合流するよ
うに、矢印ｂ方向に反転してメインストレーナ１
１の穴１３を通つてポンプ室３ｂ内に吸引され
る。

このように攪拌羽根６によつて攪拌された土砂
は、ストレーナ脚部１２のストレーナ穴１４とメ
インストレーナ１１のストレーナ穴１３を２回通
過することになる。そしてポンプ室３ｂ内に吸引
された土砂を含んだ流体は、羽根車２によつて昇
圧されてポンプケーシング吐出口３ｃより外部へ
吐出される。

一方、ポンプ停止時、ポンプ作動流体中に含ま
れる土砂は、メインストレーナ１１の底部に溜ろ
うとするが、該底部は中央部が円錐状に傾斜され
ているので、それだけ該底部に堆積される土砂は
少なくて済む。

上記した実施例において、ストレーナ脚１２の
形状をメインストレーナ１１（Ａ部）から下方へ
数個所突出した形状のものについて説明したが、
その数及び形状等については上記のものに限らな
いことは勿論である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案は、水中ポンプケ
ーシングの吸込側に直結されるストレーナを、ス
トレーナ底部を中央から半径方向に傾斜させたメ
インストレーナ部と、該メインストレーナ部の底
部に接続され且つストレーナ穴を有するポンプ脚
を兼ねたストレーナ脚部とによつて構成し、該ス
トレーナ脚部の長さをメインストレーナ部の穴径
より大きくとると共に、該ストレーナ脚部に、メ
インストレーナ部の底部の傾斜部に連続して同じ
傾斜角の内径側傾斜部を設け、これらの両傾斜部
の内方に、羽根車の下方に取付けられた攪拌羽根
を位置させたことにより、次のような効果が奏さ
れる。

(i) メインストレーナ部とストレーナ脚部の同じ
傾斜角の連続した両内径側傾斜部の内方に攪拌
羽根を位置させたことにより、運転時、該攪拌
羽根によつて攪拌された土砂はストレーナ脚部
のストレーナ穴を外向きに、次いで反転してメ
インストレーナ部のストレーナ穴を内向きに２
回通過してポンプ室内に吸引されるので、上記
流れの反転時の遠心分離作用と相俟つてポンプ
室内への異物の侵入がより有効に制限されるな
ど、攪拌効果に適したストレーナを形成するこ
とができる。

(ii) 攪拌流が通過する空隙をプレス技術による一
体成形で同時に形成できるので、羽根車の下方
の攪拌羽根周辺に空間を形成するためにスペー
サをポンプ台とストレーナとの間に溶接やボル
ト等で取付けるようにした従来のもの（第３
図）に比べて、製作コストが著しく低減され
る。

(iii) ストレーナ脚部の内径側にも円錐状傾斜部を
設けたことにより、メインストレーナ部と同様
に、該ストレーナ脚部への異物の堆積を減少さ
せることができる。

(iv) ストレーナ脚部は、従来の鋳物製品と遜色な
い強度を有しており、しかも中空であるため軽
量で済み、また中空であるため、その側面への
穴加工を施すことにより、ストレーナ穴数を増
加させることが容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すストレーナを
備えた水中ポンプの断面図、第２図及び第３図は
従来例を示す水中ポンプの断面図である。 １……ポンプケーシング、２……羽根車、３…
…吸込側側板、５……ポンプ外胴、６……攪拌羽
根、１１……メインストレーナ、１２……ストレ
ーナ脚部、１１ａ，１２ａ……円錐状傾斜部、１
３，１４……ストレーナ穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ポンプケーシングの吸込側にストレーナを直
   結するようにした水中ポンプ用ストレーナにお
   いて、該ストレーナを、ストレーナ底部を中央
   から半径方向に傾斜させたメインストレーナ部
   １１と、該メインストレーナ部１１の底部に接
   続されポンプ脚を兼ねたストレーナ脚部１２と
   によつて構成し、上記ストレーナ脚部１２の長
   さをメインストレーナ部１１の穴径より大きく
   とり、該ストレーナ脚部１２にもストレーナ穴
   １４を設けると共に、該ストレーナ脚部１２
   に、メインストレーナ部１１の底部の傾斜部１
   １ａに連続して同じ傾斜角の内径側傾斜部１２
   ａを設け、これらの両傾斜部１１ａ，１２ａの
   内方に、羽根車２の下方に取付けられた攪拌羽
   根６を位置させたことを特徴とする水中ポンプ
   用ストレーナ。 ２ ストレーナ脚部１２のストレーナ穴ピツチ
   を、メインストレーナ部１１のストレーナ穴ピ
   ツチと同一にし、ストレーナ脚の存在しない空
   間を遊び送り可能として両部のストレーナ穴１
   ３，１４を連続的に加工できるようにしたこと
   を特徴とする請求項１記載の水中ポンプ用スト
   レーナ。