JPH05149930A - 超音波映像装置 - Google Patents

超音波映像装置

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JPH05149930A
JPH05149930A JP3312657A JP31265791A JPH05149930A JP H05149930 A JPH05149930 A JP H05149930A JP 3312657 A JP3312657 A JP 3312657A JP 31265791 A JP31265791 A JP 31265791A JP H05149930 A JPH05149930 A JP H05149930A
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JP
Japan
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ultrasonic
wave
magnetic
phase conjugate
sample
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Withdrawn
Application number
JP3312657A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ono
正弘 大野
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、位相共役波を用いた超音波映
像装置において、位相共役波発生手段の位相共役波発生
効率を向上させることにある。 【構成】超音波による走査により、被検体の情報を得る
超音波映像装置において、被検体に対して超音波を投射
する超音波送信手段104 と、前記超音波を被検体を経て
受波する磁性体108 ,および該磁性体へ所定の外部磁場
を印加する磁場印加手段105,110,111,112,109 からなる
位相共役波発生手段と、前記位相共役波発生手段により
発生された前記超音波の位相共役波を、再び被検体を経
て受信する受信手段104 とを設けて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超音波により試料の映像
を得る超音波映像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波を用いた映像装置は非破壊で物体
内部を観察できるものであり、超音波顕微鏡、超音波診
断装置等がすでに実用化されていて広く利用されてい
る。
【0003】超音波映像装置の原理は、物質の組成の違
いに応じて超音波の減衰量や反射量が異なるのを利用
し、物質に照射した超音波ビームの当該物質からの反射
波または透過波を捕らえて、その振幅または位相を輝度
信号とすることで超音波ビームの伝搬経路上の物質の組
成状態を映像として表示するものである。
【0004】そして、超音波映像装置は物体内部の亀
裂、不純物、接着不良等の欠陥検出や生体試料の弾性的
性質をもとにした同定等に利用される。しかし、これら
従来の超音波映像装置には、内部像と表面像の重畳とい
う欠点がある。これは超音波が試料の表面を通過する際
に受ける屈折のにより生じる。
【0005】すなわち、通常、超音波で試料を観察する
場合、超音波探触子(超音波プローブ)と試料との間に
カップラ液体(たとえば水等の音響伝達媒体)を介在さ
せるが、カップラ液体と試料物体との超音波の伝播速度
が異なっているため、伝播する超音波は両者の境界面で
屈折し、その結果、超音波の波面が歪を受けてしまう。
【0006】従って、試料表面に凹凸がある場合、この
波面歪は超音波照射位置により異なり、これが受信信号
(超音波反射波あるいは透過波の受信信号)に影響を与
え、超音波で観察すべき試料物体の本来の内部像に、波
面歪による表面像が重畳してしまうのである。
【0007】この欠点を解決すべく、位相共役波を用い
た超音波映像装置が考案されている。位相共役波とは、
ある入射波に対し、それと同一の波面、振幅分布とを持
ち、逆向きに進行する波、すなわち入射波の時間反転波
である。
【0008】この映像装置においては、例えば、試料を
透過した超音波から試料の情報を得る透過型の場合、試
料物体は超音波送信器兼受信器と位相共役波発生手段の
間に配置される。超音波は超音波送信器から照射され、
試料を透過する。この時点で、超音波の波面は歪を受け
ている。この透過波を、位相共役波発生手段に入射さ
せ、位相共役波を発生させる。位相共役波は入射波の時
間反転波であるから、入射波の経路を正確に逆戻りし、
試料を再透過する際、行きの経路で受けた波面歪は相殺
される。
【0009】従って、超音波受信器によって受信される
超音波の波面は、試料表面の形状によらず一定となり、
この映像装置による画像には、試料の表面像は重畳され
ず、試料の内部情報のみが超音波の減衰量として映像化
されるのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この位相共役
波を用いた超音波映像装置では、超音波の受信信号が極
めて小さいと云う問題がある。すなわち、従来のこの種
の装置における位相共役波発生手段は、圧電体における
非線形電気音響相互作用を利用して位相共役波を発生さ
せるが、この相互作用における入射超音波から位相共役
波への変換効率がきわめて小さいのである。
【0011】これがために、充分なS/N比(信号/雑
音比)の画像が得られず、これを改善するには、超音波
の送信回路または位相共役波発生手段駆動回路(後述す
るポンプ回路)を非常なハイパワーで動作させなければ
ならず、これがこの装置の実用化の妨げとなっていた。
【0012】本発明は位相共役波を用いた超音波映像装
置において、位相共役波発生手段の位相共役波発生効率
を向上させ、低い動作パワーで良好なS/N比の画像を
得ることができるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明は、超音波による走査により、被検体の情
報を得る超音波映像装置において、被検体に対して超音
波を投射する超音波送信手段と、前記超音波を被検体を
経て受波する磁性体,および該磁性体へ所定の外部磁場
を印加する磁場印加手段からなる位相共役波発生手段
と、前記位相共役波発生手段により発生された前記超音
波の位相共役波を再び被検体を経て受信する受信手段と
より構成する。
【0014】
【作用】本発明は、位相共役波発生手段として磁性体,
および磁場印加手段を使用し、磁性体中の音速を送信さ
れる超音波の周波数の倍の周波数で変調することによっ
て超音波の位相共役波を発生させることにより、大きな
エネルギーの位相共役波出力を、少ない駆動エネルギー
で発生させ、受信超音波から映像を得るものである。こ
こで、上記構成において磁性体中の音速変調によって超
音波の位相共役波を効率良く発生できる理由を説明して
おく。
【0015】磁性体、たとえばフェライト、マグネタイ
ト等の物質は、多数の磁区(その中では磁化方向が一定
であるような小区域)から成る。この磁区配置は、磁性
体全体のエネルギーが最小となるような構造をとる。そ
こで、磁性体に外部から磁場を印加すると、エネルギー
状態が変化し、磁区構造もそれにつれて変化する。
【0016】この磁区構造の変化は、磁性体に歪をもた
らし、同時にその弾性定数を変化させる。この弾性定数
の変化は、磁性体の音速の変化をもたらす。今、周波数
2fの外部磁場によって磁性体の音速が v+Δv sin(2π・2ft) …(1) と変化したとする。ここでvは外部磁場がないときの音
速、Δvは音速変化分の振幅である。この磁性体中を伝
搬する周波数fの平面波の音波は、
【0017】
【数1】 と表記される。ここでu(x,t)は音波の位置的、時
間的変化を表わす関数、u0 は音波の振幅である。上式
は公式
【0018】
【数2】 により、
【0019】
【数3】 と変形される。ここでJn (x)はn次のベッセル関数
である。上式において、n=0,1の項を陽に書き出す
と、
【0020】
【数4】 を得る。この式における第1項は入射音波の透過分を表
わし、第2項は入射音波に対し逆方向に進行する波(後
方進行波)を表わす。以上は入射音波が平面波の場合で
あった。ところで、いかなる波面を持つ音波も、進行方
向の異なる平面波の重ね合わせで表わすことができるこ
とは良く知られている。
【0021】しかるに、以上の議論で得られた結果とし
ての(5)式は、いかなる方向に進行する音波に対して
も、その後方進行波が発生することを示している。従っ
て、これらの後方進行波の重ね合わせは、入射波と同一
の波面を持ち、逆向きに進む波、すなわち、入射音波の
位相共役波となる。
【0022】以上の事柄をまとめると、「磁性体中に音
波を伝搬させ、同時にその磁性体に音波の周波数の倍の
周波数の磁場を印加する」ことにより、音波の位相共役
波を発生させることができると云う事実がわかる。そこ
で、この発明ではこのような原理を利用した位相共役波
発生手段を用いて高いエネルギーレベルの位相共役波を
効率良く発生させるものである。図1は上記の原理に基
づく位相共役波発生部および音波の送受信部の構成を示
すブロック図である。
【0023】図において、1はfなる周波数の電気信号
を発振する発振器、2はこの発振器1の出力する電気信
号を分波する分波器、3は超音波送信用ゲートで、分波
器2により分波されて送られてきた電気信号を超音波送
信時にのみ、通すためのゲートであり、後述するパルス
コントロール回路12により制御される。
【0024】4は分波器2により分波されて送られてき
た電気信号を逓倍する逓倍器、5はサーキュレータであ
り、ゲート3を介して送られてくる発振器1からの出力
を超音波送受信器6に送り、超音波送受信器6からの受
信信号を受信器13に送る機能を有するものである。
【0025】超音波送受信器6は、サーキュレータ5か
らの電気信号により超音波を発生し、また、受信した超
音波を電気信号に変換してサーキュレータ5に送るもの
である。7はカップラ液体、8は磁性体、9はゲート、
10は増幅器、11はコイル、12はパルスコントロー
ル回路、13は受信器である。
【0026】磁性体8はコイル11が巻回され、超音波
送受信器6と磁性体8の対向部空間はカップラ液体7に
より満たされている。このカップラ液体7により満たさ
れた超音波送受信器6と磁性体8の対向部空間が試料の
配置領域となる。
【0027】ゲート9は逓倍器4からの出力信号をパル
スコントロール回路12の制御に基づいてゲートするも
のであり、増幅器10はこのゲート9を介して得られた
信号を増幅して出力する回路であり、コイル11にはこ
の増幅器10の出力が印加される。
【0028】パルスコントロール回路12は超音波の送
信タイミングと、ポンプ電流のコイルへの印加タイミン
グを制御するものであり、超音波が磁性体中を通過する
ときにコイルに電流が流れるようにゲート3および9を
制御する。
【0029】このような構成の装置の作用を説明する。
発振器1は周波数fの電気信号を発振する。この信号は
分波器2によって2つに分けられ、一方は超音波送信用
ゲート3に、他方は周波数逓倍器4に送られる。
【0030】超音波送信用ゲート3によりゲートされて
トーン・バースト波に整形された信号は、サーキュレー
タ5を介して超音波送受信器6に印加される。これによ
り送信された超音波はカップラ液体7を介して磁性体8
に入射する。
【0031】一方、逓倍器4により2逓倍されて2fな
る周波数とされた信号(以下、ポンプ電流)はゲート9
によりトーン・バースト波に整形され、増幅器10によ
って増幅された後に磁性体の外側に巻回されたコイル1
1に印加される。
【0032】超音波の送信タイミングと、ポンプ電流の
コイルへの印加タイミングは、超音波が磁性体8中を通
過するときにコイル11に電流が流れるようにパルスコ
ントロール回路12によって調節される。
【0033】コイル11への電流印加により磁場が発生
し、これにより磁性体8中では伝播する超音波の音速が
周波数2fで変調され、超音波送受信器6から磁性体8
に入射された超音波の位相共役波が発生する。そして、
この位相共役波は往路を戻る。
【0034】通常、超音波送受信器6より送信される超
音波ビームは超音波送受信器6と磁性体8との間に配さ
れた試料を通る。そして、その際に、試料の表面の凹凸
により波面歪みが生ずる。しかし、位相共役波は往路を
戻ることで、往路での試料より受けた波面歪みは打ち消
されることになる。そして、この歪みの打ち消された位
相共役波は超音波送受信器6によって受信され、サーキ
ュレータ5を介して受信回路13へ送られる。
【0035】このような位相共役波発生手段における位
相共役波の発生効率は、音速の変調分Δvの音速vに対
する比Δv/vにより支配される。具体的には、入射超
音波パワーに対する位相共役波パワーの比Rは次式で与
えられる。
【0036】
【数5】
【0037】ここでλは超音波の波長、Lは位相共役波
発生媒質の相互作用長である。通常の電気回路により、
周波数10MHz 帯で発生できる磁場の大きさは102 [O
e(エルステッド)]程度であるが、磁性体としてフェ
ライトを使用した場合、この磁場によって音速はΔv/
vが10-3程度変調される。このときの位相共役波の発
生効率は、数cmの相互作用長に対して約1となる。
【0038】また、ある種の希土類−金属化合物強磁性
体においては、音速変調率はさらに大きく、100[O
e]に対し、Δv/vが数%に達するものもある(たと
えばラーベス型化合物)。
【0039】従来の圧電体中の非線形電気音響相互作用
による位相共役波の発生効率は、入射された音波のパワ
ーに対して、10-5程度と極めて小さかった。これに対
して磁性体を用いた本発明システムにおける位相共役波
発生効率は、それの105 倍以上と、非常に大きい。
【0040】従って、本発明システムにおいては従来装
置に比べて非常に大きい強度の位相共役波が送受でき、
これを映像装置に応用した場合、その画像のS/N比は
飛躍的に向上する。また、従来装置に比べ、超音波の送
信回路および位相共役波発生手段駆動回路(ポンプ回
路)を低電力で動作させることが可能である。
【0041】
【実施例】以下、位相共役波発生手段として磁性体を使
用した本発明の具体的な実施例について図面を参照して
説明する。 (第1実施例)
【0042】図2は本発明の第1実施例を示したもので
ある。図において、105はfなる周波数の電気信号を
発振する発振器、106はこの発振器105の出力する
電気信号を分波する分波器、107は超音波送信用ゲー
トで、分波器106により分波されて送られてきた電気
信号を超音波送信時にのみ、通すためのゲートであり、
後述するパルスコントロール回路118により制御され
る。
【0043】110は分波器106により分波されて送
られてきた電気信号を逓倍する逓倍器、100はサーキ
ュレータであり、ゲート107を介して送られてくる発
振器105からの出力を超音波送受信器104に送り、
超音波送受信器104からの受信信号を受信器114に
送る機能を有するものである。
【0044】超音波送受信器104は、サーキュレータ
100を介して与えられる電気信号により超音波を発生
し、また、受信した超音波を電気信号に変換してサーキ
ュレータ100に送るものである。
【0045】102はカップラ液体、108は磁性体、
111はゲート、112は増幅器、109はコイル、1
18はパルスコントロール回路、114は受信器、11
6はCRT表示器、117はCPU(マイクロプロセッ
サ)、113は図中、左右方向(X方向)、および紙面
と垂直な方向(Y方向)に試料101を走査するXYス
キャナである。また、101は被検査対象物である試
料、103はカップラ液体102を満たす液槽である。
【0046】磁性体108にはコイル109が巻回され
ており、超音波送受信器104と磁性体108の対向部
空間はカップラ液体102により満たされている。この
カップラ液体102により満たされた超音波送受信器1
04と磁性体108の対向部空間が試料の配置領域とな
る。
【0047】ゲート111は逓倍回路110からの出力
信号をパルスコントロール回路118の制御に基づいて
ゲートするものであり、増幅器112はこのゲート11
1を介して得られた信号を増幅して出力する回路であ
り、コイル109にはこの増幅器112の出力が印加さ
れる。
【0048】パルスコントロール回路118は超音波の
送信タイミングと、ポンプ電流のコイルへの印加タイミ
ングを制御するものであり、超音波が磁性体108中を
通過するときにコイル109に電流が流れるようにゲー
ト107および111を制御する。
【0049】前記CPU117は本システムの制御の中
枢を司るものであり、また、受信器114はサーキュレ
ータ100を介して与えられた受信信号を反射位置等に
よる減衰量などの補正を加え、増幅して出力するもので
あり、A/D変換器115はこの受信器114からの補
正済み信号をA/D変換するものであり、CRT表示器
116はA/D変換器115によりA/D変換された信
号をさらに輝度変調回路(図示せず)を介して輝度変調
信号化されたものを画像として表示するものである。こ
のような構成において、超音波カップラ液体102内の
試料101に、超音波送受信器104から周波数fなる
超音波のビームが照射される。
【0050】すなわち、発振器105より周波数fの電
気信号が発振され、この信号は分波器106によって2
つに分けられ、一方は超音波送信用ゲート107に、他
方は周波数逓倍器110に送られる。
【0051】超音波送信用ゲート107によりゲートさ
れてトーン・バースト波に整形された信号は、サーキュ
レータ100を介して超音波送受信器104に印加され
る。これにより超音波送受信器104からはトーン・バ
ースト波に成形された周波数fなる超音波ビームが送信
され、この送出された超音波ビームはカップラ液体10
2を介して磁性体108に入射する。
【0052】一方、逓倍器110により2逓倍されて2
fなる周波数とされた信号(ポンプ電流)はゲート11
1によりトーン・バースト波に整形され、増幅器112
によって増幅された後に磁性体108の外側に巻回され
たコイル109に印加される。
【0053】超音波の送信タイミングと、ポンプ電流の
コイル109への印加タイミングは、超音波が磁性体1
08中を通過するときにコイル109に電流が流れるよ
うにパルスコントロール回路118によって調節され
る。
【0054】このようにして、超音波送受信器104か
ら試料101に照射された周波数fなる超音波はカップ
ラ液102を介して試料101を透過し、液槽103の
底面部に固定された磁性体108の一端部側より入射す
る。超音波が磁性体108中を伝搬する間、磁性体10
8に巻回されたコイル109に周波数2fのポンプ電流
が印加され、磁性体108は励磁される。電流印加回路
は、逓倍器110、ゲート111、および増幅器112
よりなり、それらの働きは図1におけるものと同様であ
る。
【0055】このとき、磁性体108中では前述した原
理により入射超音波の位相共役波が発生する。位相共役
波は行きの経路を正確に逆戻りし、その際に行きの経路
で受けた波面歪が取り除かれてから送受信器104に入
射し、受信される。従って、送受信器104が受信した
この受信信号は、試料101の表面凹凸の影響は受け
ず、試料透過に伴う音波減衰量のみを情報として持つ。
超音波送受信器104によって受信された位相共役波は
電気信号化され、サーキュレータ100を介して受信回
路113へ送られる。
【0056】以上の過程を、XYスキャナ113によっ
て試料101を2次元的に走査しながら超音波画像の画
素数だけ繰り返し、その間に亙り、受信器114によっ
て受信された位相共役波の強度をA/D変換器115に
よってA/D変換し、輝度変調する。
【0057】そして、CPU117によりCRT表示器
116上の表示位置とXYスキャナ113による走査位
置が対応するように制御しつつ、輝度変調信号をCRT
表示器116に表示することにより、一枚の超音波画像
を得ることができる。上述した各動作の時間的なシーク
エンスは、CPU117およびパルスコントロール回路
118によって制御される。
【0058】この装置によって得られる画像において
は、位相共役波の時間反転性により、試料の表面凹凸に
よる波面歪の影響がなくなるため、表面像の重畳しない
内部像が得られる。
【0059】また、位相共役波発生手段(磁性体10
8)として磁性体を使用しているため、位相共役波の強
度は大きく、S/N比の優れた画像が得られる。さら
に、従来の非線形電気音響相互作用による位相共役波発
生手段を用いた装置に比べ、低電力で動作させることが
できる。 (第2の実施例)図3は、本発明の第2実施例を示す。
ここでは磁性体108への磁場印加手段の周辺のみを示
す。他の構成部分は図2と同様である。
【0060】本実施例では図3に示すように、液槽10
3の底面側に配置される磁性体108への磁場印加手段
を、高透磁率の磁性材料にてCの字型に成形された磁芯
31と、コイル32と、このコイル32にポンプ電流を
印加する電流印加回路とにより構成する。
【0061】また、磁性体108は磁芯31のギャップ
部分(Cの字型の対向端間領域)に挿入される。そし
て、磁芯31の中間部にはコイル32が巻回され、図2
の構成で用いていた磁性体108のコイル109は廃止
する。そして、増幅器112からのポンプ電流は磁芯3
1に巻かれたコイル32に印加する。
【0062】このような構成において、磁芯31に巻か
れたコイル32に増幅器112からのポンプ電流を印加
すると、磁芯31には磁場が発生し、磁芯31のギャッ
プ部分に挿入された磁性体108はこの磁芯31により
生じる磁場によって磁化される。
【0063】磁芯31は高透磁率磁性材料により形成さ
れたものであるから、コイル32にポンプ電流を流すこ
とにより、磁芯31のギャップ部分には周波数2fなる
非常に強い交流磁場が発生する。そして、この非常に強
い交流磁場は磁性体108に作用し、磁性体108中の
音速変調率も大きくなり、より強い位相共役波を発生さ
せることができる。 (第3の実施例)
【0064】本発明の第3実施例を図4に示す。本図に
おいても磁性体108への磁場印加手段の周辺のみを示
す。本実施例が図2の実施例と異なる部分は、所定のレ
ベル値idなる直流電流を発生する直流電流源41を設
けてポンプ電流にバイアスをかける構成としてある点で
あり、他の構成は図2の実施例と同様である。
【0065】図4に示すように本実施例では、位相共役
波発生手段の磁性体108に巻回したコイル109に対
し、増幅器112から出力される2fなる周波数のポン
プ電流iaに、直流電流源41からの直流電流idをバ
イアスとして附加して印加する。
【0066】これにより、磁性体108中の磁場は、直
流電流源41からバイアスとして付加された直流電流i
dによる静磁場Hdを中心として、周波数2fで変調さ
れる。
【0067】このような構成とする理由は、磁場による
音速変調率Δv/vが磁場の関数であり、静磁場Oを中
心として変調するよりも、あるバイアス磁場Hdを中心
として変調した方が変調率が高い場合があるからであ
る。
【0068】本実施例では、直流電流idを、音速変調
率Δv/vが最大となるようなバイアス磁場Hdを作る
値に設定することにより、より強い位相共役波を発生さ
せることができる。尚、この実施例に更に第2の実施例
の考え方を併用して実施することも可能である。
【0069】以上はいずれも、超音波送受信器より試料
に対して超音波を送り、この試料を透過した超音波を位
相共役波発生装置で変調して位相共役波にしたものを、
試料を再透過して超音波送受信器で受信する構成の例で
あったが、次に試料で反射された超音波を位相共役波に
して再び試料に返し、この試料で反射された超音波を受
信して超音波映像を得る方式について述べる。 (第4の実施例)
【0070】図5は第4の実施例の要部構成図である。
本実施例は磁性体を用いた位相共役波発生装置を反射型
映像装置に適用した例であり、本実施例では超音波送受
信部および位相共役波は発生部分のみ示してある。
【0071】図に示すようにこの実施例においては、試
料101は水槽103中に満たされた超音波伝搬媒体で
ある水(カップラ液体)102中に保持される。超音波
送受信器104から水中に放射された周波数fなる超音
波は、試料101の表面で反射し、磁性体108および
周波数2fの電流が印加されるコイル109により構成
される位相共役波発生装置に入射する。位相共役波発生
装置で発生した位相共役波は、行きの経路を逆に辿り、
試料101の表面で再び反射され、超音波送受信器10
4にて受信される。
【0072】この過程において、受信される超音波信号
は、試料101の音波反射率を反映する。例えば、図6
(a)に示されるように、試料101が、異なる音波反
射率を持つ複数の物質a,〜eで構成される場合、受信
信号は超音波ビームの当たった位置により異なる。
【0073】また、物質の反射率は物体の近表面下の状
態にも依存するため、図6(b)に示すように、近表面
下に組成の異なる物質や空隙dfなどがある場合にも、
受信信号はその影響を受ける。
【0074】しかし、本構成では位相共役波を受信して
いるため、その時間反転性により、試料の表面凹凸によ
る波面の歪みは画像に影響を与えない。従って、本実施
例においては、表面に凹凸のある試料に対しても、その
表面の物質の組成や、近表面下の状態を、表面凹凸の影
響なしに画像化することができる。
【0075】以上、種々の実施例について説明したが、
従来の圧電体中の非線形電気音響相互作用による位相共
役波の発生効率は、入射された音波のパワーに対して、
10-5程度と極めて小さかったのに対し、磁性体を用い
た本発明システムにおける発生効率は、それの105
以上と、非常に大きい。
【0076】従って、本発明装置においては従来装置に
比べて非常に大きい強度の位相共役波が送受でき、これ
を映像装置に応用した場合、その画像のS/N比を飛躍
的に向上させることができる。また、従来装置に比べ、
超音波の送信回路およびポンプ回路を低電力で動作させ
ることができる。そして、低い駆動エネルギーで高いエ
ネルギーの位相共役波を得られることから、S/Nの良
い映像を得ることができるようになる。
【0077】なお、本発明は上記し、且つ、図面に示す
実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲
内で適宜変形して実施し得るものである。例えば、図2
の装置において、A/D変換器115の出力をそのまま
CPU117に入力し、そこで、所定の演算を行なうこ
とにより、試料上の単一測定点における超音波の反射
率、透過率などの音響パラメータを得る測定装置として
機能させることができるのは勿論である。
【0078】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の超音波映像
装置によれば、従来の位相共役波発生手段を用いた映像
装置に比べ高いS/N比の画像が得られ、装置を低電力
で動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理的構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施例を示すブロック図。
【図3】本発明の第2の実施例を示す要部構成図。
【図4】本発明の第3の実施例を示す要部構成図。
【図5】本発明の第4の実施例を示す要部構成図。
【図6】第4の実施例の作用を説明するための図。
【符号の説明】
1,105…発振器、2,106…分波器、3,9,1
07,111…ゲート、4,110…逓倍器、5,10
0…サーキュレータ、6,104…音波送受信器、7,
102…カップラ液体、8,108…磁性体、10,1
12…増幅器、11,109…コイル、12,118…
パルスコントロール回路、13,114…受信器、10
1…試料、102…カップラ液体、103…水槽、11
3…XYスキャナ、117…CPU。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波による走査により、被検体の情報
    を得る超音波映像装置において、 被検体に対して超音波を投射する超音波送信手段と、 前記超音波を被検体を経て受波する磁性体,および該磁
    性体へ所定の外部磁場を印加する磁場印加手段からなる
    位相共役波発生手段と、 前記位相共役波発生手段により発生された前記超音波の
    位相共役波を、再び被検体を経て受信する超音波受信手
    段とを有することを特徴とする超音波映像装置。
  2. 【請求項2】 前記磁場印加手段は、前記磁性体に巻回
    される励磁コイルと、この励磁コイルに電流を供給する
    電流印加回路とより構成することを特徴とする請求項1
    記載の超音波映像装置。
  3. 【請求項3】 前記磁場印加手段は、高透磁率磁性材料
    からなる磁芯と、この磁芯に巻回される励磁コイルと、
    この励磁コイルに電流を供給する電流印加回路とを有す
    ることを特徴とする超音波映像装置。
  4. 【請求項4】 前記電流印加回路は、前記励磁コイルに
    直流バイアスが付加された所定周波数を持つ電流を供給
    することを特徴とする請求項1または2記載の超音波映
    像装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010167258A (ja) * 2008-12-25 2010-08-05 Canon Inc 生体情報取得装置

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JP2010167258A (ja) * 2008-12-25 2010-08-05 Canon Inc 生体情報取得装置

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