JPH05148768A - 疎水性合成繊維表面への親水性付与方法 - Google Patents

疎水性合成繊維表面への親水性付与方法

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JPH05148768A
JPH05148768A JP34030991A JP34030991A JPH05148768A JP H05148768 A JPH05148768 A JP H05148768A JP 34030991 A JP34030991 A JP 34030991A JP 34030991 A JP34030991 A JP 34030991A JP H05148768 A JPH05148768 A JP H05148768A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、疎水性合成繊維に対して高度の初期
水分散性及びその優れた耐久性を付与できる、疎水性合
成繊維表面への親水性付与方法を提供するものである。 【構成】本発明は、Aとして特定のポリエーテルエステ
ル類及び/又はポリエーテルエステルアミド類と、Bと
して特定の含窒素化合物とを、A/B=95/5〜50
/50(重量比)の割合で、且つこれらの合計付着量が
疎水性合成繊維に対し0.1〜3重量%となるように用
いて、疎水性合成繊維を処理することを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は疎水性合成繊維表面への
親水性付与方法に関する。ポリエステル系繊維をはじめ
とする疎水性合成繊維は、優れた物理特性、化学特性に
加えて優れた経済性を有し、そのため従来より、衣料
用、寝装用、産業用等に広く使用されている。そして近
年では、その有利性を活かした用途開発が積極的に行な
われており、その一つとして、衛生材や抄紙等をはじめ
とする、繊維表面が優れた親水性を有することが要求さ
れる応用用途が増えてきている。なかでも、抄紙用途に
代表される湿式不織布の製造においては、製品の高品質
化や抄紙工程の高速化等との関係で、繊維を水中に投入
した場合に速やかに単繊維に分散し、且つそれが安定維
持されるような優れた親水性が要求されるようになって
きている。本発明は、かかる要求に応える、疎水性合成
繊維表面への親水性付与方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、疎水性合成繊維表面への親水性付
与方法として、各種の親水性化合物を用いて疎水性合成
繊維表面を処理する次のような方法が提案されている。
例えばポリエステル繊維について、1)各種の親水性基
を導入した親水性ポリエステルを用いる例(特公昭45
−10794、特開昭60−134071、USP44
10687)、2)親水性ポリエステルと他の水溶性高
分子とを併用する例(特開昭57−112411、特開
昭60−146081)、3)親水性ポリエステルと反
応性化合物とを併用する例(特開昭61−12978、
特開昭62−162077)、4)親水性ポリエステル
とアニオン型界面活性剤とを併用する例(特公昭47−
2512、特開昭51−26400)等がある。また特
に湿式不織布用のポリエステル繊維について、1)ポリ
アルキレングリコールエーテル基を有するポリエーテル
エステルを用いる例(特開昭58−208500)、
2)スルホン酸基を有する親水性ポリエステルを用いる
例(特開平1−298297)、3)ポリエーテルポリ
オールを用いる例(特開昭56−169814)等があ
る。更に例えばアクリル繊維について、ポリアルキルア
ミノアクリレートを用いる例(特開昭60−8105
2)がある。
【0003】ところが、これらの従来法には、もともと
親水性の付与が不充分であるか、又は当初は相応の親水
性を付与できても、その耐久性が劣るという欠点があ
る。従来法では、これらを例えば湿式不織布の製造に適
用すると、表面処理した疎水性合成繊維を水中に投入し
た場合に速やかに単繊維に分散しないか、又はかかる分
散状態が安定維持されないのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来法では、もともと親水性の付与が不充
分であるか、又は当初は相応の親水性を付与できても、
その耐久性に劣る点である。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかして本発明者らは、
上記課題を解決するべく研究した結果、特定のポリエー
テルエステル類及び/又はポリエーテルエステルアミド
類と、特定の含窒素化合物とを、それぞれ所定割合で、
且つこれらの合計付着量が所定量となるように用いて、
疎水性合成繊維を処理する方法が正しく好適であること
を見出した。
【0006】すなわち本発明は、下記Aのポリエーテル
エステル類及び/又はポリエーテルエステルアミド類
と、下記Bの含窒素化合物とを、A/B=95/5〜5
0/50(重量比)の割合で、且つこれらの合計付着量
が疎水性合成繊維に対し0.1〜3重量%となるように
用いて、疎水性合成繊維を処理することを特徴とする疎
水性合成繊維表面への親水性付与方法に係る。
【0007】A:下記A−1のポリエーテルエステル類
及び下記A−2のポリエーテルエステルアミド類から選
ばれる1種又は2種以上 A−1;芳香族若しくは飽和脂肪族のジカルボン酸を8
5モル%以上含むジカルボン酸又はそのエステル形成性
誘導体と、グリコールと、ポリエーテルジオールとから
得られるポリエーテルエステル類 A−2;芳香族若しくは飽和脂肪族のジカルボン酸を9
0モル%以上含むジカルボン酸又はそのエステル形成性
誘導体と、ジアミン、ラクタム及びアミノカルボン酸か
ら選ばれるアミド形成性化合物と、ポリエーテルジオー
ルとから得られるポリエーテルエステルアミド類
【0008】B:分子内に1個以上のアンモニウム基と
2個以上の炭素数12以上の炭化水素基とを有する含窒
素化合物から選ばれる1種又は2種以上
【0009】A−1のポリエーテルエステル類を構成す
ることとなる芳香族若しくは飽和脂肪族のジカルボン酸
としては、1)テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸、2)アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0010】A−1のポリエーテルエステル類を構成す
ることとなるグリコールとしては、1)エチレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサン
ジオール等の脂肪族グリコール、2)シクロヘキサンジ
メタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘ
キシル)プロパン等の脂環族グリコール、3)2,2’
−{ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)}プロパ
ン、2,2’−{ビス(4−ヒドロキシプロポキシフェ
ニル)}メタン等の芳香族基を含むグリコール、4)ジ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール等の脂肪
族エーテルグリコールが挙げられる。
【0011】A−1のポリエーテルエステル類を構成す
ることとなるポリエーテルジオールとしては、1)ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール等の脂肪族ポリアルキレング
リコール、2)前記した脂肪族グリコール、脂環族グリ
コール、又は芳香族グリコールに炭素数2又は3のアル
キレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルジオ
ール、3)脂肪族第一級アミンに炭素数2又は3のアル
キレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルジオ
ールが挙げられる。かかるポリエーテルジオールは、分
子量400〜6000のものが好ましく、1000〜4
000のものが更に好ましい。
【0012】A−1のポリエーテルエステル類は、前記
した芳香族若しくは飽和脂肪族ジカルボン酸を85モル
%以上含むジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体
と、前記したグリコールと、前記したポリエーテルジオ
ールとの縮重合によって得られるものである。この場
合、ジカルボン酸としては、15モル%以下で、好まし
くは3〜13モル%でイオン性基を有するジカルボン酸
を用いることができる。かかるイオン性基を有するジカ
ルボン酸としては、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム、スルホテレフタル酸ナトリウム、4−ナトリウムス
ルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のスルホン酸
基を有するものが挙げられるが、なかでも5−スルホイ
ソフタル酸ナトリウムが有利である。
【0013】A−1のポリエーテルエステル類におい
て、前記したグリコールと前記したポリエーテルジオー
ルとの構成割合は特に限定するものではないが、グリコ
ール/ポリエーテルジオール=90/10〜50/50
(モル比)とするのが好ましく、85/15〜60/4
0(モル比)とするのが更に好ましい。またA−1のポ
リエーテルエステル類において、ポリエーテルジオール
によるブロック部分の構成割合を全体の50〜95重量
%とするのが好ましく、60〜90重量%とするのが更
に好ましい。そしてA−1のポリエーテルエステル類は
通常、平均分子量1000〜100000のものを用い
るが、2000〜15000のものを用いるのが好まし
い。
【0014】A−2のポリエーテルエステルアミド類を
構成することとなる芳香族若しくは飽和脂肪族のジカル
ボン酸としては、A−1について前記したものを挙げる
ことができる。この場合、芳香族ジカルボン酸/脂肪族
ジカルボン酸=100/0〜15/85(モル比)とす
るのが好ましく、100/0〜30/70(モル比)と
するのが更に好ましい。
【0015】A−2のポリエーテルエステルアミド類を
構成することとなるアミド形成性化合物は、ジアミン、
ラクタム及びアミノカルボン酸から選ばれるものであ
る。かかるアミド形成性化合物としては、1)ヘキサメ
チレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジア
ミン、2)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジア
ミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルスルフィド等の芳香族ジアミン、3)ε−カプロラク
タム、ω−ラウロラクタム等のラクタム、4)11−ア
ミノウンデカンカルボン酸、6−アミノヘキサンカルボ
ン酸等のアミノアルカンカルボン酸が挙げられるが、な
かでもヘキサメチレンジアミン、ε−カプロラクタムが
有利である。
【0016】A−2のポリエーテルエステルアミド類を
構成することとなるポリエーテルジオールとしては、A
−1について前記したものを挙げることができる。この
場合、ポリエーテルジオールとしては、分子量400〜
6000のものが好ましく、1000〜4000のもの
が更に好ましい。
【0017】A−2のポリエーテルエステルアミド類
は、前記した芳香族若しくは脂肪族ジカルボン酸を90
モル%以上含むジカルボン酸又はそのエステル形成性誘
導体と、アミド形成性化合物と、ポリエーテルジオール
との反応によって得られるものである。この場合、ジカ
ルボン酸としては、10モル%以下の範囲でイオン性基
を有するジカルボン酸を用いることができる。かかるイ
オン性基を有するジカルボン酸としては、A−1につい
て前記したものが挙げられる。
【0018】A−2のポリエーテルエステルアミド類に
おいて、前記したアミド形成性化合物と前記したポリエ
ーテルジオールとの構成割合は、特に制限するものでは
ないが、アミド形成性化合物/ポリエーテルジオール=
20/80〜80/20(モル比)とするのが好まし
く、35/65〜65/35(モル比)とするのが更に
好ましい。またA−2のポリエーテルエステルアミド類
において、ポリエーテルジオールによるブロック部分の
構成割合を全体の50〜95重量%とするのが好まし
く、60〜90重量%とするのが更に好ましい。そして
A−2のポリエーテルエステルアミド類は通常、平均分
子量1000〜100000のものを用いるが、200
0〜20000のものを用いるのが好ましく、5000
〜15000のものを用いるのが更に好ましい。
【0019】Bの含窒素化合物は、分子内に1個以上の
アンモニウム基と、2個以上の炭素数12以上の炭化水
素基とを有するものである。かかる含窒素化合物として
は、下記の式1で示される化合物、下記の式2で示され
る化合物の酸中和物、下記の式2で示される化合物の少
なくとも2モル以上を2価の反応性化合物を用いて縮合
生成させた化合物又はその塩が挙げられる。
【0020】
【式1】
【0021】式1において、 R1,R2:炭素数12〜22の脂肪族炭化水素基、炭素
数12〜22のアルカノイル基を有するアルカノイルア
ミノエチル基、炭素数12〜22のアルカノイル基を有
するアルカノイルアミノプロピル基、又は炭素数2又は
3のアルコキシ基及びアルキル基を有するヒドロキシ
(ポリ)アルコキシアルキル基 R3,R4:水素、炭素数1〜4のアルキル基又はアラル
キル基 X:アニオン性基
【0022】
【式2】
【0023】式2において、 R5〜R8:少なくとも2個は炭素数12〜22のアルカ
ノイル基又はアルケノイル基であり、残りは水素又は炭
素数1〜4のアルキル基であって、且つアミノ基の少な
くとも1個は遊離の1級又は2級アミノ基 a:3〜5の整数 b:2〜4の整数
【0024】式1で示される化合物としては、1)ジラ
ウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリル
ジメチルアンモニウムメチルスルホネート等のジ長鎖ア
ルキル(又はアルケニル)アンモニウム化合物、2)ジ
ラウリルメチルアミン・酢酸塩、ジステアリルアミン・
p−トルエンスルホン酸塩等の、ジ長鎖アルキル(又は
アルケニル)アミンの無機酸又は有機酸の塩、3)ジエ
チレントリアミンジステアリルアミド・酢酸塩、ジプロ
ピレントリアミンジステアリルアミド・酢酸塩等のジ
(N−ジアシルアミノアルキル)アミンの塩、更にはジ
エチレントリアミンジステアリルアミドのエチレンオキ
シド付加物の酢酸塩等が挙げられる。
【0025】式2で示される化合物の酸中和物として
は、トリエチレンテトラミンジステアリルアミド・オク
チルホスフェート塩、テトラエチレンペンタミンジステ
アリルアミド・酢酸塩等の、部分アシル化ポリアルキレ
ンポリアミンと酸との中和物が挙げられる。
【0026】式2で示される化合物の少なくとも2モル
以上を縮合生成させる2価の反応性化合物としては、1
級又は2級の遊離のアミノ基と反応して、式2で示され
る化合物の少なくとも2モル以上を縮合生成させるもの
であればよい。かかる2価の反応性化合物としては、
1)エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル等のジエポキシ化合物、
2)トリレンジイソシアネート、メチレンビスフェニル
イソシアネート等のジイソシアネート化合物、3)エチ
レンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキ
レンカーボネート化合物、4)エピクロルヒドリン、尿
素等が挙げられる。
【0027】式2で示される化合物の少なくとも2モル
以上を前記したような2価の反応性化合物を用いて縮合
生成させたものをそのまま用いることもできるが、これ
らを更に無機酸若しくは有機酸を用いて中和したもの、
又は適宜の四級化試薬を用いて三級アミノ基を第四級ア
ンモニウム塩としたものも使用できる。これらのなかで
も、Bの含窒素化合物として、部分アシル化ポリアルキ
レンポリアミンと酸との中和物を用いるのが有利であ
る。
【0028】本発明では、疎水性合成繊維をAのポリエ
ーテルエステル類及び/又はポリエーテルエステルアミ
ド類と、Bの含窒素化合物とを用いて処理する。この場
合、AとBとの使用割合はA/B=95/5〜50/5
0(重量比)とし、好ましくは90/10〜55/45
(重量比)とする。所望の親水性及びその耐久性を得る
ためである。
【0029】また本発明では、AとBとを、これらの合
計付着量が疎水性合成繊維に対し0.1〜3重量%、好
ましくは0.2〜1.5重量%となるように用いる。合
計付着量が0.1%未満の場合、安定した効果を得るの
が困難であり、逆に3重量%を超えても、相応の効果が
得られない。
【0030】本発明の実施に際して、Aのポリエーテル
エステル類及び/又はポリエーテルエステルアミド類
は、水分散液又は水溶液として用いるのが好ましい。水
分散液を調製する場合、補助的に分散剤を用いることが
できる。かかる分散剤としては、1)ポリオキシエチレ
ン(以下、POEと略記する)アルキルエーテル、PO
Eアルキルフェニルエーテル、POEアルキルエステル
等の非イオン界面活性剤、2)アルキルサルフェート、
POEアルキルサルフェート、アルキルスルホネート、
アルキルベンゼンスルホネート、アルキルホスフェー
ト、POEアルキルホスフェート塩等のアニオン界面活
性剤等が挙げられる。これらの分散剤の使用割合は、A
に対し15重量%以下とするのが好ましい。Aの水分散
液又は水溶液を調製する場合、適宜に有機溶媒を併用す
ることもできる。同様に、Bの含窒素化合物について
も、水分散液又は水溶液として用いることができる。水
分散液又は水溶液を調製する場合、固形分濃度として、
通常1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%とし、
これを更に水で希釈して使用することができる。
【0031】本発明において、Aのポリエーテルエステ
ル類及び/又はポリエーテルエステルアミド類と、Bの
含窒素化合物とは、これらを別々に用いて疎水性合成繊
維を処理してもよいし、これらを同時に用いて疎水性合
成繊維を処理してもよい。これらを別々に用いる場合、
Aを用いて処理した後にBを用いて処理することもでき
るが、先ずBを用いて処理した後、例えば乾燥工程を経
て、次にAを用いて処理するのが好ましい。
【0032】本発明は、疎水性合成繊維の製造工程や加
工工程で適用することができる。疎水性合成繊維の紡糸
工程や延伸工程を経た原糸に適用することができ、また
原糸の後加工、例えば紡績工程等で適用することもでき
る。適用方法としては、浸漬法、スプレー法、ローラー
給油法等が挙げられる。
【0033】本発明が適用できる疎水性合成繊維として
は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロ
ニトリル繊維、ポリプロピレン繊維等の他に、これらの
2種以上を用いて種々の形の繊維とした複合繊維が挙げ
られる。なかでもポリエステル繊維は、本発明を適用し
た場合の効果の発現が顕著である。かかるポリエステル
繊維には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の他に、
ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソフタレ
ート、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレ
フタレートのようなポリエステル繊維や、種々の目的
で、種々の単量体を共重合した改質ポリエステル繊維、
例えば塩基性又は酸性可染性ポリエステル繊維、帯電防
止性ポリエステル繊維、難燃性ポリエステル繊維等があ
る。
【0034】
【実施例】
試験区分1(Aの合成) ・ポリエーテルエステル(A−1a)の合成 テレフタル酸ジメチル91部(重量部、以下同じ)、イ
ソフタル酸ジメチル10部、エチレングリコール68
部、平均分子量3100のポリエチレングリコール40
3部、及び触媒として酢酸マンガン四水塩0.15部、
三酸化アンチモン0.05部を仕込み、窒素ガス気流下
に150〜230℃でエステル交換を行い、所定量のメ
タノールを留去後、亜リン酸0.035部を加え、27
0℃で2時間を要して昇温させながら徐々に減圧にし、
最終的には1mmHgの減圧下で270℃において40分
間、重縮合を行った。得られたポリエーテルエステル
(A−1a)のGPCによるポリスチレン換算の平均分
子量は9500であった。以下同様にして、ポリエーテ
ルエステル(A−1b,A−1c,A−1d)を合成し
た。それらの内容を表1に示した。
【0035】・ポリエーテルエステルアミド(A−2
a)の合成 テレフタル酸ジメチル58部、イソフタル酸ジメチル1
0部、平均分子量1500のポリエチレングリコール5
25部、ε−カプロラクタム34部、及び触媒として酢
酸マンガン四水塩0.10部、三酸化アンチモン0.0
3部を仕込み、窒素ガス気流下に160〜230℃で加
熱し、所定量のメタノールを留去後、亜リン酸0.02
4部を加え、270℃において60分間、重縮合を行っ
た。得られたポリエーテルエステルアミド(A−2a)
のGPCによるポリスチレン換算の平均分子量は750
0であった。以下同様にして、ポリエーテルエステルア
ミド(A−2b,A−2c)を合成した。それらの結果
を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】表1において、 1)〜4)の欄の表中数値:モル% 1):ジカルボン酸、但し、1)−1;テレフタル酸、
1)−2;イソフタル酸、1)−3;アジピン酸、1)
−4;5−スルホイソフタル酸ナトリウム 2):グリコール、但し、2)−1;エチレングリコー
ル、2)−2;1,4−ブタンジオール 3):ポリエーテルジオール、但し、3)−1;平均分
子量1500のポリエチレングリコール、3)−2;平
均分子量3100のポリエチレングリコール、3)−
3;平均分子量3600のシクロヘキサンジメタノール
エチレンオキサイド付加物、3)−4;平均分子量40
00のポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、
3)−5;平均分子量1100のビスフェノールAエチ
レンオキサイド付加物 4):アミド形成性化合物、但し、4)−1;ヘキサメ
チレンジアミン、4)−2;ε−カプロラクタム *1:ポリアルキレングリコール含量(重量%)
【0038】試験区分2(疎水性合成繊維の処理とその
評価) ・実施例1〜12及び比較例1〜11 表2及び表3に記載の組成を有する固形分濃度10重量
%の水分散液を調製した。これを更に水希釈して、固形
分濃度1重量%とした。ポリエステルステープル綿
(2.0デニール×50mm、脱脂品)を浴比30:1で
上記で水希釈した水分散液に浸漬し、絞り率30%とし
て、固形分の目標付着量0.3重量%とした試料綿を得
た。この試料綿を乾燥することなく、以下の評価に供し
た。結果を表4に示した。
【0039】・・初期分散性の評価 水70ml(25℃)を直径2.8cm×高さ20cmの試験
管に入れ、これに試料綿0.1gをそっと落とし、試験
管に栓をした後、穏やかに2回反転させた。10分後の
綿の分散状態を目視により、以下の基準で判定した。
【0040】・・初期分散性の判定基準 ◎;全て沈降し、凝集繊維が全く認められない ○;全て沈降したが、凝集繊維がわずかに認められる △;浮遊繊維が一部認められるか、又は凝集繊維が明確
に認められる ×;浮遊繊維又は凝集繊維が著しく多い
【0041】・・耐久性の評価 上記で初期分散性を評価した後、試験管をペイントシェ
ーカー(東洋精機製作所社製)にて1分間振とうした。
10分後の綿への気泡付着性及び綿の沈降量を目視によ
り、以下の基準で判定した。
【0042】・・気泡付着性の判定基準 ◎;気泡の付着が全く認められない ○;わずかに気泡の付着が認められる △;一部に気泡の付着が認められる ×;繊維全体に気泡の付着が認められる
【0043】・・沈降量の判定基準 ◎;全部の繊維が沈降した ○;ごくわずかに浮遊繊維がある △;一部の繊維が浮遊している ×;半分以上の繊維が浮遊している
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】表2及び表3において、 A、B及びその他の欄の表中数値:重量% A−1a〜A−2c;表1に記載のもの B−1;ジエチレントリアミンジステアリルアミドのエ
チレンオキサイド(5モル)付加物の酢酸塩、B−2;
トリエチレンテトラミンジステアリルアミド酢酸塩、B
−3;ジエチレントリアミンジステアリルアミド(2モ
ル)とエピクロルヒドリン(1モル)との反応物の酢酸
塩 D−1;POE(6モル)ノニルフェニルエーテルサルフ
ェートアンモニウム、 D−2;POE(4モル)ラウリルエーテルサルフェート
トリエタノールアミン E;ラウロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム
クロライド、F;ステアリルアミンエチレンオキサイド
(12モル)付加物、G;ジステアリルホスフェートN
a塩
【0047】
【表4】
【0048】試験区分3(A及び/又はBの水分散液の
調製) ・ポリエーテルエステル(A−1a)の水分散液の調製 ポリエーテルエステル(A−1a)90gを170〜1
80℃の溶融状態となし、予め分散剤としてポリオキシ
エチレン(6モル)ノニルフェニルエーテルサルフェー
トアンモニウム10gを30℃の水900gに溶解した
ものの中へ、ホモミキサーで撹拌しながら添加し、水分
散液を調製した。この水分散液はポリエーテルエステル
(A−1a)を9重量%、分散剤を1重量%含有するも
のである。同様にして、ポリエーテルエステル(A−1
b)を9重量%、分散剤を1重量%含有する水分散液を
調製した。
【0049】・ポリエーテルエステルアミド(A−2
a)の水分散液の調製 ポリエーテルエステルアミド(A−2a)90g、ポリ
オキシエチレン(6モル)ノニルフェニルエーテルサル
フェートアンモニウム10g及び水900gを用い、ポ
リエーテルエステル(A−1a)の水分散液の調製の場
合と同様に操作して、ポリエーテルエステルアミド(A
−2a)を9重量%、分散剤を1重量%含有する水分散
液を調製した。同様にして、ポリエーテルエステルアミ
ド(A−2b)を9重量%、分散剤を1重量%含有する
水分散液を調製した。
【0050】・ポリエーテルエステル(A−1a)とポ
リエーテルエステルアミド(A−2b)との混合水分散
液の調製 ポリエーテルエステル(A−1a)45g及びポリエー
テルエステルアミド(A−2b)45gの混合物を17
0〜180℃に加熱溶融した。これを予め分散剤として
ポリオキシエチレン(6モル)ラウリルエーテルサルフ
ェートトリエタノールアミン塩10gを30℃の水90
0gに溶解した水溶液中へ、ホモミキサーで撹拌しなが
ら添加し、混合水分散液を調製した。この混合水分散液
はポリエーテルエステル(A−1a)を4.5重量%、
ポリエーテルエステルアミド(A−2b)を4.5重量
%及び分散剤を1重量%含有するものである。同様にし
て、ポリエーテルエステル(A−1b)を4.5重量
%、ポリエーテルエステルアミド(A−2b)を4.5
重量%及び分散剤を1重量%含有する混合水分散液を調
製した。
【0051】試験区分4(スプレー液の調製とポリエス
テルステープル綿の処理及び評価) ・第2液(Aを含有するスプレー液)の調製 試験区分3で得た水分散液及び混合水分散液を水で希釈
して、表5及び表6に記載の固形分濃度を有する第2液
を調製した。
【0052】・第1液(Bを含有するスプレー液)の調
製 表5及び表6に記載の含窒素化合物を用いて、表5及び
表6に記載の固形分濃度を有する第1液を調製した。
【0053】・実施例13〜20及び比較例12〜17 試験区分2で用いたポリエステルステープル綿に対し、
表5及び表6に記載の第1液をウエットピックアップ3
0重量%となるようにスプレー給油した。引き続き表5
及び表6に記載の第2液をウエットピックアップ30重
量%となるようにスプレー給油し、表5及び表6に記載
の試料綿を得た。ここで得た試料綿について、試験区分
2と同様に評価した。結果を表5及び表6に示した。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】・実施例21,22及び比較例18,19 実施例1及び実施例14、比較例1及び比較例15で得
た試料綿を用いて、JIS−P8209の「手すき紙調
整方法」にしたがい、試料紙を作製した。ここで得た試
料紙につき、JIS−P8113による引張強さと目視
による地合を測定した。結果を表7に示した。
【0057】
【表7】
【0058】
【発明の効果】既に明らかなように、以上説明した本発
明には、疎水性合成繊維に対して高度の初期水分散性及
びその優れた耐久性を付与できるという効果がある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記Aのポリエーテルエステル類及び/
    又はポリエーテルエステルアミド類と、下記Bの含窒素
    化合物とを、A/B=95/5〜50/50(重量比)
    の割合で、且つこれらの合計付着量が疎水性合成繊維に
    対し0.1〜3重量%となるように用いて、疎水性合成
    繊維を処理することを特徴とする疎水性合成繊維表面へ
    の親水性付与方法。 A:下記A−1のポリエーテルエステル類及び下記A−
    2のポリエーテルエステルアミド類から選ばれる1種又
    は2種以上 A−1;芳香族若しくは飽和脂肪族のジカルボン酸を8
    5モル%以上含むジカルボン酸又はそのエステル形成性
    誘導体と、グリコールと、ポリエーテルジオールとから
    得られるポリエーテルエステル類 A−2;芳香族若しくは飽和脂肪族のジカルボン酸を9
    0モル%以上含むジカルボン酸又はそのエステル形成性
    誘導体と、ジアミン、ラクタム及びアミノカルボン酸か
    ら選ばれるアミド形成性化合物と、ポリエーテルジオー
    ルとから得られるポリエーテルエステルアミド類 B:分子内に1個以上のアンモニウム基と2個以上の炭
    素数12以上の炭化水素基とを有する含窒素化合物から
    選ばれる1種又は2種以上
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111356804A (zh) * 2018-06-15 2020-06-30 竹本油脂株式会社 聚烯烃系无纺布用处理剂、聚烯烃系合成纤维以及聚烯烃系合成纤维的处理方法

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