JPH051456U - 片手で刃の開閉操作ができる折りたたみナイフ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 片手で、手袋などをはめていても刃の開閉操
作ができ、しかも、安全な折りたたみナイフを提供す
る。 【構成】 刃１の元部に前後に並べて二つの支点を設
け、その前部の支点と左側板２とを結合し、また、その
後部の支点と右側板３とを結合して、それぞれ回転でき
るようにして、さらに、左側板２の後部に別の支点を設
け、同じく右側板３の後部にも支持部を設けて、左側板
２との結合は、回転およびしゅう動できるようにしたも
のに、左側板２の前部の支点に、刃１を固定する固定レ
バー５を設けたことを特徴とする、片手で刃の開閉操作
ができる折りたたみナイフ。開閉操作をするときは、右
手親指で固定レバー５を時計回りに回して、刃１が固定
してあるのを外す。開くときは、右手親指で左側板２を
右回りに押し、閉じるときは、左回りに引く。右手親指
で固定レバー５を反時計回りに回すと、刃１を固定でき
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、片手で刃の開閉操作ができる折りたたみナイフに関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

折りたたみナイフは、折りたたむことによって刃を握り柄の中にしまい込む。 したがって、刃が隠れるので安全であり、また、長さが短くなるので、持ち運ん だり、しまっておいたりするときには、かさばらないから便利である。しかし、 折りたたみナイフを使うために刃を開いているときには、刃が不意に折りたたま れないように、また、刃を閉じているときには、不用意に刃が起きて握り柄から はみ出ないように、刃を固定する機構がなければならない。 従来、この種の折りたたみナイフは、上に挙げたことを解決するために、何ら かの方法で刃を固定していた。しかしながら、機構的にみれば概ね２種類に分け られる。すなわち、開いた刃が不意に折りたたまれないようにする方法として、 一つは、ピンやつめのロック機構で止める図３に示すロックブレード式、もう一 つは、ロック機構がなく、スプリング機構の弾性力で刃を押さえつける図４に示 すスリップジョイント式である。なお、閉じた刃が不用意に開かないようにする 方法は、どちらもスプリング機構の弾性力で刃を押さえつけるものである。 従来の折りたたみナイフの刃の開閉方法は次のようである。ロックブレード式 の折りたたみナイフで、使用者の利き手が右手である場合について説明する。 開くときは、開き終わったときに刃が外向きになるように、折りたたみナイフ の握り柄後部を左手で持ち、右手親指のつめ先を刃面のつめ溝に入れ、刃を引き 出して開く。そのあと、ナイフを右手に持ち替える。 閉じるときは、刃が外向き、または、刃先が下向きになるようにして、握り柄 を右手で、刃を左手指先で持つ。そして、握り柄後部のロック解除スイッチを右 手親指で押して、刃が固定してあるのを外してから刃を閉じる。 スリップジョイント式の場合も、ロックブレード式の場合と同じであるが、閉 じるときにロック解除スイッチを押す必要はない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

以上に紹介した従来の折りたたみナイフは、刃の開閉操作をするためには、両 手を使わなければならない。そして、手袋をはめている場合には、開くときにつ めを掛けたり、閉じるときにロック解除スイッチを押したりすることがやりにく い。また、刃はスプリング機構の弾性力で押さえつけてあるので、刃を開いたり 閉じたりするにはかなりの力がいる。そのため、手がすべってけがをすることも ある。 この考案が解決しようとする課題は、片手で、手袋をはめている場合でも、し かも、安全に刃の開閉操作ができるようにするには、どのような手段を講じれば よいかということである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

この考案に係わる折りたたみナイフは、以上のような課題を解決するもので、 次のような構造とする。図１および図２に基づいて説明する。 刃（１）、左側板（２）および右側板（３）の関連は、３個の回り対偶と１個 のすべり対偶との組み合わせからできた平面機構で、機構学上のスライダクラン ク機構である。すなわち、クランク部が刃（１）、ロッド部が左側板（２）、シ リンダケース部が右側板（３）にそれぞれ相当する。そして、ロッド部に相当す る左側板（２）を右手親指で動かすと、クランク部に相当して、そのリンクを延 ばして刃を付けたことになるような刃（１）が回転する。この場合、刃（１）は ほぼ半回転だけ回るようにして、刃（１）を閉じたときおよび開いたときは、そ れ以上は動かないようにストッパで止める。シリンダケース部に相当する右側板 （３）は、右手の親指を除いた他の指、および手のひらで持つこととする。

【０００５】 刃（１）を閉じているときおよび開いているときは、固定レバー（５）を動か して刃（１）を固定できるようにするが、それは次のような構造とする。 固定レバー（５）は、左側板（２）の前部の支点を中心として回転できるよう に取り付ける。その形状は、外側は親指を掛けて動かすことができるようにふく らみを作り、内側には斜面を設けて、その斜面が左側板（２）の前部の支点近く にあけた穴に通した押し棒（４）の一端に当るようにする。そして、固定レバー （５）を反時計回りに回すと、固定レバー（５）の内側の斜面は、押し棒（４） に近付いてそれを押すように、また、時計回りに回すと、固定レバー（５）の内 側の斜面は、押し棒（４）から離れて、固定レバー（５）の内側の斜面との間に すき間ができるように形作る。押し棒（４）の他端は、刃（１）の側面に接触す るので、押し棒（４）を押したときには摩擦力が生じる。これにより、刃（１） を固定することができる。

【０００６】

【作用】

図１のものは、右手で使う右利き用のものを示しているが、次のようにして使 用する。 刃（１）を開くときは、右手親指で固定レバー（５）を時計回りに回して、刃 （１）が固定してあるのを外す。固定レバー（５）が時計回りに回ると、固定レ バー（５）の内側の斜面は押し棒（４）から離れる。これにより、押し棒（４） と刃（１）の側面とが接触している部分の摩擦力が無くなって、刃（１）は回転 できるようになる。次に、右手の親指を除いた他の指、および手のひらで右側板 （３）を持ち、右手親指で左側板（２）を右回りに押す。これにより刃（１）は 開く。そのあと、右手親指で固定レバー（５）を反時計回りに回して刃（１）を 固定する。そうすると、固定レバー（５）の内側の斜面が押し棒（４）を押し、 刃（１）の側面との間に摩擦力が生じて、刃（１）が固定できる。 刃（１）を閉じるときも、同じように右手親指で固定レバー（５）を時計回り に回して、刃（１）が固定してあるのを外す。次に、右手親指で左側板（２）を 左回りに引く。これにより刃（１）は閉じる。そのあと、右手親指で固定レバー （５）を反時計回りに回して刃（１）を固定する。

【０００７】

【実施例】

実施例について図２を参照して説明する。 刃（１）はステンレスを熱処理したものである。 左側板（２）と右側板（３）とは共にステンレス板で、プレス成型したもので ある。それらの表面の指が当るところは、滑り止めのために凹凸をつけている。 刃（１）、左側板（２）および右側板（３）は、それぞれの支点のところにス テンレス製のスペーサ（６）を挟んで、ピン（７）をかしめて結合する。 押し棒（４）は合成樹脂製である。 固定レバー（５）はステンレス板で、プレス成型したものである。

【０００８】

【考案の効果】

この考案は、以上で説明したとおりに構成されているので、以下のような効果 がある。 片手だけで刃の開閉操作ができるから、もう一方の手では他の作業をすること ができて便利である。また、刃の開閉操作は指先の腹で行うので、手袋をはめて いても支障がない。そして、刃を押さえつけているスプリング機構などがないの で、刃を開いたり閉じたりするときに無用な力がいらない。したがって、安全に 刃の開閉操作ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の使用説明図である。

【図２】この考案の拡散分解図である。

【図３】従来のロックブレード式折りたたみナイフに係
わる構造図である。ロック解除スイッチ（８）を押す
と、ロック機構のつめが外れて刃を閉じることができ
る。

【図４】従来のスリップジョイント式折りたたみナイフ
に係わる構造図である。

【符号の説明】

（１）は刃 （２）は左側板 （３）は右側板 （４）は押し棒 （５）は固定レバー （６）はスペーサ （７）はピン （８）はロック解除スイッチ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 刃（１）の元部に前後に並べて二つの支
   点を設け、その前部の支点と左側板（２）とを結合し、
   また、その後部の支点と右側板（３）とを結合してそれ
   ぞれ回転できるようにして、さらに、左側板（２）の後
   部に別の支点を設け、同じく右側板（３）の後部にも支
   持部を設けて、左側板（２）との結合は、回転およびし
   ゅう動できるようにしたことを特徴とする、片手で刃の
   開閉操作ができる折りたたみナイフ。
2. 【請求項２】 左側板（２）の前部の支点近くに穴をあ
   けて、押し棒（４）を通し、その一端は、左側板（２）
   の前部の支点を中心に、回転できるように取り付けた固
   定レバー（５）の内側の斜面に当るように、また、他端
   は、刃（１）の側面に接触するようにして、固定レバー
   （５）を動かすことによって、押し棒（４）を押すこと
   ができることを特徴とする、請求項１の片手で刃の開閉
   操作ができる折りたたみナイフ。