JPH0514560U - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は、複吸気エンジンに燃料を噴射する多
方向噴霧燃料噴射弁の燃料の気化特性を向上させ、ＨＣ
低減・低始動性・過渡応答性向上等のエンジン性能向上
を図る。 【構成】燃料噴射弁１に具備されるノズル９に具備され
るノズルアダプタ１３をバイメタル１５等の温度により
変形する材料とスプリング１６によってはさみ、スプリ
ング１６はノズル９に嵌合されたリング１９により固定
される。 【効果】複吸気エンジン用燃料噴射弁において、燃料噴
射弁１に具備されるノズル９に具備されるノズルアダプ
タ１３の取付け位置をノズル９の雰囲気温度により可動
させ所望の噴霧形状およびエンジン状態に適した噴霧特
性にすることで、ＨＣ低減・低始動性向上・過渡応答性
等のエンジン性能が向上するという効果が有る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、各気筒に複数個の吸気弁を有する多弁型エンジンに、微細な液滴燃 料を供給できる燃料弁に関する。

【０００２】

【従来の技術】

１気筒に吸気弁を２個有し、吸気通路が吸気弁近傍において断壁によりお互い に隔てられている分岐吸気通路部分を有するエンジンに用いる電磁制御式燃料噴 射弁が実開昭61−152765号に掲げらている。かかる噴射弁は、燃料のメータリン グを行う単一の噴口下流に該噴口から噴射される燃料を分けるための燃料分割部 と該燃料分割部によって分けられた燃料を流す弁軸心に対して傾けられた２つの 燃料通路を噴射弁に固定したものであって、燃料分割部の各燃料通路の合流部を 、燃料通路壁が交わる点より上流部にて構成し、該交点の形状を必ず尖ったエッ ジにして燃料噴射角，左右燃料通路への燃料分配を所定値にするというものであ る。また、特開平1−224459号および特開平1−224460号では、噴射弁に可動体を 備え該可動体を上下運動または回転運動させることによって噴射弁に設けられた 第二の噴口を開閉することにより燃料流量および噴射方向を変えるものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

近年、大気汚染，地球温暖化の問題から、自動車の排気ガス規制の強化、乗り 心地の改善から、加速時の応答性の向上が要求されている。上記従来技術の実開 昭61−152765号では、燃料通路の合流部から分割燃料通路への燃料の分配量を均 一化，所定量になるように精度を向上できるが、反面、噴霧の特性である粒径と 噴霧角度は単一の噴口からの噴霧の流速と、これを２方向に分配するための燃料 通路により決定されてしまい、エンジンの状態に対応した適切な噴霧の特性はえ られない。

【０００４】 また、特開平1−224459号，特開平1−224460号では、噴口の数を変える部品を 備え、エンジンの状態に対応して燃料流量および噴射方向を変えてはいるものの 、噴霧の特性である粒径を変えることができない。

【０００５】 本考案の目的は、噴射弁より噴出した噴霧がエンジンの状態に対応した適切な 特性になり、かつ、複数の吸気弁に対する高い分配率で燃料を噴射する燃料噴射 弁を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案では、噴射弁に設けられた噴霧の分割部材 を噴口周辺の雰囲気温度によって該分割手段を可動させる構成としたものである 。

【０００７】

【作用】

噴射弁先端に具備した噴口は、可動弁の円すい弁座上流に具備された燃料旋回 部材で旋回力を与えられた燃料が円すい弁座を通り、流入してきた燃料を該噴口 下流に具備した燃料分割部材に衝突し、その分割数に対応した、噴霧形状で流出 する機能を有する。本考案は燃料分割部材を噴射弁の軸方向に可動可能としたこ とで、該燃料分割部材で分割された燃料の噴射方向と、燃料の液滴の粒径を変化 させ、従来の多方向噴霧噴射弁と比較し噴霧がエンジンの状態に対応した適切な 特性となることが可能であり、吸気管壁への壁面付着によるＨＣの増大、低温始 動性の悪化、過渡時の応答遅れ等のエンジン性能の悪化を防止できる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図１〜図５を用いて説明する。

【０００９】 まず、図１を用いて吸気２弁エンジン用燃料噴射弁１の構造・動作を説明する。 燃料噴射弁１は、図示しないコントロールユニットから電流が電磁コイル５に 印加されると、ヨーク２，コア３及びプランジャ７が磁気回路を形成し、プラン ジャ７がコア３の側に吸引され、ボールバルブ６が弁座１２から離れる。燃料フ ィルタ１７を介しヨーク２の側壁に具備された燃料入口１８から電磁コイル５の 外周を通りスワラー１０に流入した燃料は、スワラー１０により旋回力を付与さ れ、ボールバルブ６とノズル９に具備した弁座１２間に形成された環状隙間を通 り、該ノズル９に具備したオリフィス１１で計量され噴射される。オリフィス １１から噴射された燃料は噴霧の分割部材であるノズルアダプタ１３の噴射方向 規制通路１４に部分的に当り、燃料噴霧の形状が、噴射弁１の取付け位置がら見 える吸気口の形状に補正され、噴射される。また、該ノズルアダプタ１３は軸方 向の位置をバイメタル１５とスプリング１６によってはさまれスプリング１６は ノズル９に嵌合されたリング１９により固定される。

【００１０】 図２，図３，図４に、ノズル部の拡大図およびノズルアダプタ１３の位置によ る燃料の流れを示す。述の如く、燃料はノズル９内部で、旋回が付加され、該オ リフィス１１部で、計量され、該ノズルアダプタ１３に設けられた規制通路１４ で所望の噴霧角に規制され、吸気弁に噴射される。該バイメタル１５は、ノズル ９の雰囲気温度によって、２方向噴射用該ノズルアダプタ１３を噴射弁１の軸方 向に可動させる。ノズル９の雰囲気温度が高いと図３のように該バイメタル１５ はリング１９とノズルアダプタ１３に挟まれたスプリング１６のセット力に打ち 勝ち、伸びてノズルアダプタ１３を噴射弁１の軸方向に可動させ噴射角は小さく なり、粒径は大きくなって図４（ｂ）に示すような噴霧になる。ノズル９の雰囲 気温度が低いと図２のようにスプリング９によってノズルアダプタ１３はノズル ９に押しつけられる。噴射角は大きくなり、粒径は小さくなって図４（ａ）に示 すような噴霧になる。

【００１１】 また、図５には、本考案の他の実施例としてノズル９の雰囲気温度によってノ ズルアダプタ１３を噴射弁１の軸方向に可動させる手段である図１のバイメタル １５を、スプリング状に成型した形状記憶合金２０におきかえたものである。

【００１２】

【考案の効果】

本考案によれば、複吸気エンジン用燃料噴射弁において、燃料分割部材を可動 させることによって、噴霧の形状および噴霧の粒径を噴射弁の雰囲気温度により 変えることで、燃料の気化特性が向上し、ＨＣ低減・低始動性向上・過渡応答性 等のエンジン性能が向上するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】燃料噴射弁の構造を示す断面図である。

【図２】燃料噴射弁のノズル部の拡大図である。

【図３】燃料噴射弁のノズル部の拡大図である。

【図４】燃料噴射弁の噴霧状態の説明図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す図である。

【符号の説明】

１……燃料噴射弁、２……ヨーク、３……コア、９……
ノズル、１０……オリフィス、１１……ノズルアダプ
タ、１４……噴射方向規制通路。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】吸気弁近傍の隔壁により仕切られる複数の
   吸気通路に向けて、単一の噴口からの燃料流を供給する
   手段を有する複吸気エンジンに用いられ、前記単一の噴
   口より噴出する燃料に旋回流を形成する旋回型であっ
   て、かかる旋回力を利用した燃料の分割手段を該噴口に
   隣接，連通させたことを特徴とする複吸気エンジンの電
   磁式燃料噴射弁（以下、噴射弁という）において、該分
   割手段を噴射弁の取付軸方向に可動可能とすることを特
   徴とする燃料噴射弁。
2. 【請求項２】請求項１記載の燃料噴射弁において、噴口
   周辺の雰囲気温度によって該分割手段を可動させる構成
   とすることを特徴とする燃料噴射弁。