JPH05144719A - 荷電粒子ビーム露光装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光装置

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JPH05144719A
JPH05144719A JP4002101A JP210192A JPH05144719A JP H05144719 A JPH05144719 A JP H05144719A JP 4002101 A JP4002101 A JP 4002101A JP 210192 A JP210192 A JP 210192A JP H05144719 A JPH05144719 A JP H05144719A
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章夫 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子ビームやイオンビーム等を使用してブロ
ック露光を行う荷電粒子ビーム露光装置に関し、露光待
機期間中におけるブロックマスクの局所的な温度上昇お
よび汚れをなくし、露光の精度を向上させることを目的
とする。 【構成】 マスク57に設けられた複数種の開口パター
ンから一種乃至複数種の開口パターンを逐一選択し、選
択された開口パターンにより断面形状が整形された荷電
粒子ビームを被処理基板100表面における所定位置に
投射する荷電粒子光学鏡筒を有する荷電粒子ビーム露光
装置であって、荷電粒子ビーム発生源3とマスク57と
の間にビーム制御手段10;55a,55bを設け、露
光待機期間中において、荷電粒子ビームを制御してマス
ク57上に荷電粒子ビームを均一に照射するように構成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は荷電粒子ビーム露光装置
に関し、特に、電子ビームやイオンビーム等を使用して
ブロック露光を行う荷電粒子ビーム露光装置に関する。
ブロック露光を行う荷電粒子ビーム露光装置は、マスク
(ブロックマスク)に設けられた複数種の開口パターン
(ブロックパターン)から一種乃至複数種の開口パター
ンを逐一選択して被処理基板表面に投射する、いわゆる
ブロック露光法が適用される荷電粒子ビーム露光装置で
あり、近年、研究および開発が行われている。このよう
な荷電粒子ビーム露光装置において、露光待機期間中の
荷電粒子ビームによるマスクの偏在的な加熱および汚れ
等を解決することが要望されている。
【0002】
【従来の技術】現在、高密度集積回路の製造に必要な微
細パターンの形成方法として電子ビーム露光法の開発が
進められており、一部実用化されている。さらに、電子
ビームに比べて、レジスト膜中における散乱や基板によ
る反射が少ないことから、より微細なパターン形成を可
能にする方法として、イオンビーム露光法が検討されて
いる。
【0003】従来から主流となっている電子ビーム露光
法は、例えば、断面形状が矩形の電子ビームを、半導体
ウエハ(被処理基板)上に走査して所望のパターンを描
画するものである。すなわち、矩形の電子ビームの1シ
ョットごとに露光されるパターンを繋いで、所望の形状
のパターンを描画する。そのため、描画しようとするパ
ターンが微細になるほど1ショットの面積を小さくする
必要があり、単位面積当たりのショット数が増加し、露
光工程のスループットが低下することになる。
【0004】そこで、従来、このような問題を解決する
方法として、ブロック露光法が提案されている。(例え
ばH.C. Pfeiffer et al., IEEETrans. on Electron Dev
ices, Vol.ED-26 (1979) 663参照) すなわち、超微細パターンを必要とする半導体集積回路
は、例えば、64Mビット或いは256MビットDRA
Mのように、露光領域のほとんどにおいて、一種または
複数種の基本パターンの繰り返し配列されたパターンか
ら成るような場合が多い。これらの基本パターンは、形
状は複雑であるが、可変矩形ビームの断面積に入る程度
に微細であり、従って、このような基本パターンを1シ
ョットで描画することができれば、露光工程のスループ
ットを向上することが可能となる。そこで、上記のよう
な繰り返し配列される基本パターンを、マスク上に開口
パターンとして必要な種類だけ形成しておき、その一つ
ないし複数を選択しながら、電子ビームの1ショットで
半導体ウエハ上に逐一転写する方法がブロック露光法で
ある。
【0005】図8は従来の荷電粒子ビーム露光装置の一
例を示す図であり、上述したブロック露光法を実施する
ための装置の一例を示すものである。図8に示されるよ
うに、電子銃3から放射された電子ビームは第1のレン
ズ(コリメートレンズ)4で平行ビームにされて矩形ア
パーチャ6に投射され、これにより所定の形状および寸
法の矩形ビームに整形される。
【0006】さらに、整形された電子ビームは、電子光
学鏡筒内における電子ビームの結像関係を成立させるた
めのレンズ11を通過した後、パターン選択用のデフレ
クタ(第1の偏向手段)55aおよび55bにより偏向
され、マスク(ブロックマスク)57に形成されている
所望の基本パターン(ブロックパターン)上に照射され
る。図8において、第2のコリメートレンズ56aは、
マスク57に入射する電子ビームを平行ビームにするた
めに設けられたものである。
【0007】図9は荷電粒子ビーム露光装置に使用され
るマスクの一例を示す図であり、同図(a) は平面図を示
し、同図(b) は同図(a) 中のX−X線に沿って切断した
端面図を示している。図9(a) に示されるように、マス
ク57には、例えば、4種類の基本パターンA1,A
2,A3,A4が形成されている。ここで、図9(a) 中
において、点線で囲った領域は、電子ビームの1ショッ
トで照射される領域を示す。このようなマスク57は、
図9(b) に示されるように、例えば、シリコンや金属等
から成る基板1の中央部をエッチングにより10μm程
度に薄くしておき、この部分に前記基本パターンA1,
A2,A3,A4を開口パターンとして形成する。この
ためのリソグラフ技術としては、通常の電子ビーム露光
法および反応性イオンエッチング等の技術を用いること
ができる。ここで、上記のような基本パターンから成る
組が、同一マスク57上に複数組形成される場合もあ
る。また、これらの組の選択は、マスク57を載置する
X−Yステージの移動によって行なわれる。
【0008】再び、図8を参照して、マスク57上の基
本パターンのうちの選択された一つの基本パターンを通
過することにより、その断面が、前記選択された基本パ
ターンの形状に整形された電子ビームの像は、レンズ
(収束レンズ)56bの収束作用およびデフレクタ55
cおよび55d(第2の偏向手段)の偏向作用により、
光軸上に戻される。さらに、縮小レンズ14により、そ
の断面が所定倍率に縮小されたのち、レンズ24aと2
4bとから成る投影レンズにより、半導体ウエハ等の被
処理基板100表面に結像される。
【0009】ここで、被処理基板100表面に結像され
る電子ビーム像は、偏向器21および23の作用によ
り、被処理基板100表面上の異なる所定位置に繰り返
して投影される。以上において、デフレクタ55aおよ
び55bにより、マスク57上の異なる基本パターンを
逐一選択し、これを被処理基板100面上の異なる所定
位置に順次投影することも可能である。
【0010】なお、図8において、参照符号33はブラ
ンキング電極であり、後述するように、収束レンズ56
bを通過した電子ビーム像が、前記各偏向機構の動作の
過渡期間中、或いは、ある定められた露光待ち期間中
に、被処理基板100面に投影されないように偏向する
ために設けられている。また、参照符号34は、絞りア
パーチャであって、被処理基板100面における電子ビ
ーム像の解像度と電流密度とが最適化されるように縮小
レンズ14を出た電子ビームの光束を調節するために設
けられている。さらに、前記電子光学鏡筒には、一般に
知られているゲートバルブを介したロードロック機構
(いずれも図示省略)が接続されており、このロードロ
ック機構を通じてマスク57の交換が可能とされてい
る。
【0011】ここで、デフレクタ55a,55b,55
c,55d、偏向器21,23およびブランキング電極
33には、それぞれに対応するDAコンバータ(DA
C)または増幅器(AMP)から成るインターフェース
回路が接続されており、電子光学制御部200からの指
示に従って所定の偏向電圧または偏向電流が印加される
ようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したブロック露光
法において、露光装置に対する露光データの入力を待っ
ている期間や、この入力データを転送している期間、或
いは、被処理基板を交換する期間等においては、これら
が終了した後ただちに露光が開始できるように、あらか
じめ設定可能な条件に露光装置を調整しておくようにな
っている。
【0013】例えば、マスク57上の選択すべき一つの
基本パターンが決まっている場合には、矩形アパーチャ
6で電子ビームを整形し、これをマスク57に照射した
状態にして待機しておく場合がある。ただし、マスク5
7を通過した電子ビームは、投影レンズ24に入射しな
いように、ブランキング電極33により偏向され、ビー
ムが絞りアパーチャ34を通過しない状態にされる。以
上のような理由により生ずる露光待機期間は、例えば、
数10秒、或いは、数10分程度と長く、この露光待機
期間の間中、継続して電子ビームがマスク57の一部を
照射することになる。
【0014】図10は従来の荷電粒子ビーム露光装置に
おける課題を説明するための図であり、同図(a) はマス
ク57の『撓み』および『溶け』を示し、同図(b) はマ
スク57の『汚れ』を示している。図10(a)に示され
るように、例えば、数10秒以上に渡る露光待機期間、
電子ビームがマスク57の一部(例えば、パターン形成
部:薄膜部分)を継続して照射すると、マスク57の一
部(特に、薄く形成されているパターン形成部)は、長
時間の電子ビーム照射に起因する温度上昇により、撓ん
だり(同図中、参照符号11で示す)、或いは、溶けた
り(同図中、参照符号12で示す)して、パターン形状
が変形することにもなる。その結果、描画(露光)の精
度が低下することになっていた。
【0015】さらに、図10(b) に示されるように、露
光待機期間における電子ビームの継続的な照射は、マス
ク57上に汚れを生じさせることにもなる。すなわち、
ブロックパターンA5が形成された領域(13)に電子
ビームを照射する場合、および、ブロックパターンが形
成されていない領域(14)に電子ビームを照射する場
合の両方において、例えば、残留ガス中の有機ガスの重
合物等の堆積により汚れ(汚染)13,14が生じるこ
とになる。ここで、マスク57上に生じる汚れ13,1
4を構成する汚染物質は、一般的に、絶縁性のものであ
り、電子ビーム照射により帯電するため、開口パターン
を通過する電子ビームを偏向して像を歪ませる等の好ま
しくない影響が生じることになる。
【0016】これらを避けるために、電子ビームが基本
パターンに照射されないように、マスク57を大幅に移
動させたり、或いは、マスク57より上流側で電子ビー
ムを偏向させたりすることが考えられるが、これらの方
法には次のような問題がある。すなわち、前者では、露
光再開時に改めてマスク57の位置とビーム位置の調整
が必要となり、そのために要する時間の損失が大きいと
いう問題がある。一方、後者では、マスク57の熱的状
態が、露光待機時と露光時の定常状態とで大幅に異なる
ために、露光の定常状態に達するまでの過渡期にパター
ン歪が生じるか、または、安定するまでに要する時間の
損失が無視できない等の問題がある。
【0017】本発明は、上述した従来の荷電粒子ビーム
露光装置が有する課題に鑑み、露光待機期間中における
ブロックマスクの局所的な温度上昇および汚れをなく
し、露光の精度を向上させることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、マスク
57に設けられた複数種の開口パターンから一種乃至複
数種の開口パターンを逐一選択し、該選択された開口パ
ターンにより断面形状が整形された荷電粒子ビームを被
処理基板100表面における所定位置に投射する荷電粒
子光学鏡筒を有する荷電粒子ビーム露光装置であって、
前記荷電粒子ビームを発生する荷電粒子ビーム発生源3
と、該荷電粒子ビーム発生源3と前記マスク57との間
に設けられ、前記荷電粒子ビーム発生源3から発生され
た荷電粒子ビームを制御して該マスク57上に照射する
第1のビーム制御手段4,6,11,55a,55b,
56aと、前記マスク57と前記被処理基板100との
間に設けられ、前記マスク57により断面形状が整形さ
れた荷電粒子ビームを制御して該被処理基板100上に
照射する第2のビーム制御手段56b,55c,33,
55d,14,34,24a,24b,21,34と、
前記荷電粒子ビーム発生源3と前記マスク57との間に
設けられ、露光待機期間中において、前記荷電粒子ビー
ムを制御して該マスク57上に該荷電粒子ビームを均一
に照射する第3のビーム制御手段10;55a,55b
とを具備することを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置
が提供される。
【0019】
【作用】本発明の荷電粒子ビーム露光装置によれば、荷
電粒子ビーム発生源3とマスク57との間に設けられた
第1のビーム制御手段4,6,11,55a,55b,
56aにより、荷電粒子ビーム発生源3から発生された
荷電粒子ビームを制御してマスク57上に照射し、ま
た、マスク57と被処理基板100との間に設けられた
第2のビーム制御手段56b,55c,33,55d,
14,34,24a,24b,21,34により、マス
ク57により断面形状が整形された荷電粒子ビームを制
御して被処理基板100上に照射するようになってい
る。そらに、荷電粒子ビーム発生源3とマスク57との
間に設けられた第3のビーム制御手段10;55a,5
5bにより、露光待機期間中において、荷電粒子ビーム
を制御し該マスク57上に該荷電粒子ビームを均一に照
射するようになっている。
【0020】これにより、ブロック露光法において、露
光装置に対する露光データの入力待ち期間、入力データ
転送期間、或いは、被処理基板の交換期間等の露光待機
期間において、マスクに照射する電子ビームをマスク5
7全体に対して均一に照射することができる。すなわ
ち、第3のビーム制御手段として、補助レンズ10およ
び制御電源300を設け、該制御電源300により補助
レンズ10を、露光時には作動させず、且つ、露光待機
期間中には荷電粒子ビームを拡げるマスク57全体の領
域を照射するように作動させる。或いは、第3のビーム
制御手段として、偏向手段55a,55bを設け、該偏
向手段55a,55bにより露光待機期間中において、
荷電粒子ビームがマスク57全体の領域を走査するよう
に構成する。
【0021】このように、本発明の荷電粒子ビーム露光
装置によれば、露光待機期間中におけるマスクの局所的
な温度上昇を防止し、マスクの汚染や開口パターンの熱
的歪に起因する露光パターン精度の低下を防止すること
がきる。さらに、マスクの熱的安定化のための時間損失
を生じることなく、高精度パターンを高スループットで
露光可能となる。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明に係る荷電粒
子ビーム露光装置の実施例を説明する。図1および図2
は本発明に係る荷電粒子ビーム露光装置の一実施例を示
し、図1は補助レンズが非作動の場合、図2は補助レン
ズが作動している場合を示す。すなわち、図1は補助レ
ンズ10が励磁されていない(作動していない)状態を
示し、図2は補助レンズ10が励磁されている(作動し
ている)状態を示している。
【0023】図1および図2に示す実施例は、図8に示
す従来の荷電粒子ビーム露光装置において、矩形アパー
チャ6とレンズ11との間に、補助レンズ10が設けら
れている。すなわち、図1および図2に示されるよう
に、まず、電子銃3から放射された電子ビームは第1の
レンズ(コリメートレンズ)4で平行ビームにされて矩
形アパーチャ6に投射され、これにより所定の形状およ
び寸法の矩形ビームに整形される。
【0024】さらに、整形された電子ビームは、補助レ
ンズ10を通った後、電子光学鏡筒内における電子ビー
ムの結像関係を成立させるためのレンズ11を通過す
る。そして、レンズ11を通過した電子ビームは、パタ
ーン選択用のデフレクタ(第1の偏向手段)55aおよ
び55bにより偏向され、マスク(ブロックマスク)5
7に形成されている所望の基本パターン(ブロックパタ
ーン)上に照射される。ここで、第2のコリメートレン
ズ56aは、マスク57に入射する電子ビームを平行ビ
ームにするために設けられたものである。また、補助レ
ンズ10の動作に関しては、後に詳述する。
【0025】マスク57は、図9(a) および(b) を参照
して、従来の荷電粒子ビーム露光装置において説明した
のと同様の構成であり、例えば、4種類の基本パターン
A1,A2,A3,A4が形成されている。ここで、図
9(a) 中において、点線で囲った領域は、電子ビームの
1ショットで照射される領域を示し、そして、マスク5
7は、図9(b) に示されるように、例えば、シリコンや
金属等から成る基板1の中央部をエッチングにより10
μm程度に薄くしておき、この部分に前記基本パターン
A1,A2,A3,A4を開口パターンとして形成す
る。さらに、上記のような基本パターンから成る組を同
一マスク57上に複数組形成することもでき、これらの
組の選択は、マスク57を載置するX−Yステージの移
動によって行なうことになる。
【0026】図1に示されるように、通常の露光時に
は、マスク57上の基本パターンのうちの選択された一
つの基本パターンを通過することにより、その断面が、
前記選択された基本パターンの形状に整形された電子ビ
ームの像は、レンズ(収束レンズ)56bの収束作用お
よびデフレクタ55cおよび55d(第2の偏向手段)
の偏向作用により、光軸上に戻される。さらに、縮小レ
ンズ14により、その断面が所定倍率に縮小されたの
ち、レンズ24aと24bとから成る投影レンズによ
り、半導体ウエハ等の被処理基板100表面に結像され
る。
【0027】ここで、被処理基板100表面に結像され
る電子ビーム像は、偏向器21および23の作用によ
り、被処理基板100表面上の異なる所定位置に繰り返
して投影される。以上において、デフレクタ55aおよ
び55bにより、マスク57上の異なる基本パターンを
逐一選択し、これを被処理基板100面上の異なる所定
位置に順次投影することも可能である。
【0028】なお、図1および図2において、参照符号
33はブランキング電極であり、収束レンズ56bを通
過した電子ビーム像が、前記各偏向機構の動作の過渡期
間中、或いは、ある定められた露光待ち期間中に、被処
理基板100面に投影されないように偏向するために設
けられている。また、参照符号34は、絞りアパーチャ
であって、被処理基板100面における電子ビーム像の
解像度と電流密度とが最適化されるように縮小レンズ1
4を出た電子ビームの光束を調節するために設けられて
いる。さらに、前記電子光学鏡筒には、一般に知られて
いるゲートバルブを介したロードロック機構(いずれも
図示省略)が接続されており、このロードロック機構を
通じてマスク57の交換が可能とされている。
【0029】ここで、デフレクタ55a,55b,55
c,55d、偏向器21,23およびブランキング電極
33には、それぞれに対応するDAコンバータ(DA
C)または増幅器(AMP)から成るインターフェース
回路が接続されており、電子光学制御部(200)から
の指示に従って所定の偏向電圧または偏向電流が印加さ
れるようになっている。
【0030】このように、図1に示す補助レンズが非作
動の場合は、図8を参照して説明した、従来の荷電粒子
ビーム露光装置と同様である。これに対して、図2に示
す補助レンズが作動の場合、すなわち、前記のような露
光装置に対する露光データの入力待ち期間、入力データ
転送期間、被処理基板の交換期間等の待機期間において
は、補助レンズ10に対して制御電源300から励磁電
流が供給され、補助レンズ10が作動状態となる。この
補助レンズ10の作用により、レンズ11に入射する電
子ビームは平行ビームではない。従って、電子ビームは
前記電子光学鏡筒1内における所定位置に結像せず、マ
スク57上の広い範囲、例えば、複数のブロックパター
ンが形成されている領域全体に照射されることになる。
その結果、マスク57は、露光時よりも低密度の電子ビ
ームにより、かつ、選択されたブロックパターンを含む
広い領域が均一に照射されるため局所的な温度上昇が小
さくなり、従来のような汚染や開口パターンの熱的歪が
生じないことになる。
【0031】ここで、補助レンズ10が作動している期
間においても、その他のレンズ4,11,56a,56
b,14,24a,24bおよびデフレクタ55a,5
5b,55c,55d等は、露光時の条件に設定されて
いる。従って、前記待ち期間が終了し、補助レンズ10
が非作動になれば、ただちにブランキング電極33によ
る偏向の解除とともに露光開始可能となる。ただし、後
述するように、補助レンズ10を非作動にするための消
磁には有限の時間が必要である。
【0032】図3は、上記補助レンズ10を非作動にす
る消磁方法の一例である。すなわち、補助レンズ10の
ような電磁レンズは、露光時の励磁電流(I0 )を切っ
ても残留磁化が生じている。このために、本発明の露光
装置には、補助レンズ10に対し、前記非作動に切り換
わると同時に、時間とともに振幅が減衰する交流電流を
供給する制御電源300が設けられている。これによ
り、露光時における補助レンズ10の残留磁化をなくし
て、従来の露光装置と全く同様のブロック露光が実施で
きる。この方法による消磁に要する時間は、通常、数ms
ec程度である。なお、上記残留磁化は必ずしも0にする
必要はなく、例えばレンズ11による補正が可能な範囲
の結像点のずれを生じる残留磁化程度は許容できる。ま
た、上記制御電源による補助レンズ10の励磁および非
励磁の切り換え制御は、従来と同様に電子光学系制御部
200によって行なわれる。
【0033】図4は本発明の荷電粒子ビーム露光装置の
一実施例における処理の一例を示すフローチャートであ
る。図4に示されるように、まず、ステップ71におい
て、露光開始可能かどうかが判別され、ステップ71で
露光可能と判別されると、ステップ72に進んで露光信
号を発生し、さらに、ステップ73に進んで露光動作を
実行し、処理を終了する。
【0034】一方、ステップ71で露光可能ではないと
判別されると、ステップ74に進んで一定時間以上の露
光待ち状態にあるかどうかが判別される。ステップ74
において、一定時間以上の露光待ち状態にはないと判別
されると、ステップ71に戻り、また、ステップ74に
おいて、一定時間以上の露光待ち状態にあると判別され
ると、ステップ75に進んで電子ビームを拡げてマスク
57全体を照射し、その後、ステップ71に戻る。すな
わち、ステップ75においては、補助レンズ10に対し
て制御電源300から励磁電流が供給され、補助レンズ
10が作動状態とされ、これによって、マスク57に照
射される電子ビームが拡げられるようになっている。
【0035】図5は本発明の荷電粒子ビーム露光装置に
おける1ショットで露光されるパターンの一例を示す図
である。同図に示されるように、例えば、256Mビッ
トのDRAMは、1ショットで露光する範囲AAが、9
つのセルを同時に露光できるような基本パターン(ブロ
ックパターン)を使用し、繰り返し露光することによっ
て形成される。この場合、1つの256MビットDRA
Mチップは、((256 ×106) ÷ 9) 〔ショット/チッ
プ〕だけ必要とし、1枚のウエハに50のチップを形成
できるとすると、1枚のウエハに要するショット数は、
(256× 106×50)÷9≒ 1.4×109 〔ショット/ウエ
ハ〕となる。
【0036】従って、例えば、1ショットに要する時間
を 200ナノ秒とすると、1枚のウエハに要する1回の露
光処理時間は、1.4 × 109〔ショット/ウエハ〕× 200
〔ナノ秒/ショット〕= 280〔秒/ウエハ〕となる。さ
らに、ウエハの交換等に要する時間を80〔秒/ウエ
ハ〕とすると、1時間に約10枚のウエハを処理するこ
とができる。
【0037】図6は本発明に係る荷電粒子ビーム露光装
置の他の実施例を示す図である。同図に示す実施例にお
いては、補助レンズ10および制御電源300は設けら
れておらず、代わりに、露光装置に対する露光データの
入力待ち期間、入力データ転送期間、および、被処理基
板の交換期間等の待機期間においては、デフレクタ55
aおよび55bにより、電子ビームを走査してマスク5
7の全体が均一に照射されるようになっている。すなわ
ち、電子ビームは、マスク57上の広い範囲、すなわ
ち、図2を参照して説明した複数のブロックパターンが
形成されている領域全体に対して、順次走査され、その
結果、マスク57における局所的な温度上昇が小さくな
り、従来のような汚染や開口パターンの熱的歪が生じな
いことになる。
【0038】ここで、待機時間等において、電子ビーム
をマスク57の全体に走査するデフレクタは、電子銃3
とマスク57との間に専用に設けてもようが、前述した
レンズ11を通過した電子ビームを偏向するためのパタ
ーン選択用のデフレクタ(第1の偏向手段)55aおよ
び55bと兼用することができ、兼用した方が構成上か
らも好ましい。
【0039】図7は本発明の荷電粒子ビーム露光装置の
他の実施例における処理の一例を示すフローチャートで
ある。図7に示すフローチャートは、図4のフローチャ
ートにおけるステップ75をステップ76としたもの
で、他のステップは同様のものである。すなわち、図7
のフローチャートにおいて、ステップ71で露光開始可
能かどうかが判別され、ステップ71で露光可能と判別
されると、ステップ72に進んで露光信号を発生し、さ
らに、ステップ73に進んで露光動作を実行して処理を
終了する。
【0040】一方、ステップ71で露光可能ではないと
判別されると、ステップ74に進んで一定時間以上の露
光待ち状態にあるかどうかが判別される。ステップ74
において、一定時間以上の露光待ち状態にはないと判別
されると、ステップ71に戻り、また、ステップ74に
おいて、一定時間以上の露光待ち状態にあると判別され
ると、ステップ76に進む。そして、ステップ76にお
いて、電子ビームを走査してマスク57全体を照射し
て、その後、ステップ71に戻る。すなわち、ステップ
76においては、デフレクタ55aおよび55bによ
り、電子ビームがマスク57の全体を走査するように制
御される。これにより、露光待機期間中におけるブロッ
クマスクの局所的な温度上昇および汚れをなくし、露光
の精度を向上させることができる。
【0041】なお、上記各実施例においては、本発明を
電子ビーム露光法に適用する場合を示したが、本発明
は、イオンビームを用いてブロック露光を行う露光装置
にも適用できることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、荷電粒子ビーム発生源とマスクとの間にビーム制御
手段を設け、露光待機期間中において、荷電粒子ビーム
を制御してマスク上に荷電粒子ビームを均一に照射する
ことによって、荷電粒子ビームによるブロックマスクの
局所的温度上昇を防止して、高精度の高密度集積回路パ
ターンを均一にかつ高スループットで形成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る荷電粒子ビーム露光装置の一実施
例を示す図であり、補助レンズが非作動の場合を示す。
【図2】本発明に係る荷電粒子ビーム露光装置の一実施
例を示す図であり、補助レンズが作動している場合を示
す。
【図3】本発明の荷電粒子ビーム露光装置における補助
レンズの消磁方法の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の荷電粒子ビーム露光装置の一実施例に
おける処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の荷電粒子ビーム露光装置における1シ
ョットで露光されるパターンの一例を示す図である。
【図6】本発明に係る荷電粒子ビーム露光装置の他の実
施例を示す図である。
【図7】本発明の荷電粒子ビーム露光装置の他の実施例
における処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】従来の荷電粒子ビーム露光装置の一例を示す図
である。
【図9】荷電粒子ビーム露光装置に使用されるマスクの
一例を示す図である。
【図10】従来の荷電粒子ビーム露光装置における課題
を説明するための図である。
【符号の説明】
6…矩形アパーチャ 10…補助レンズ 11…レンズ 33…ブランキング手段 55a,55b…第1の偏向手段 55c,55d…第2の偏向手段 57…ブロックマスク 200…電子光学制御部 300…制御電源

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク(57)に設けられた複数種の開
    口パターンから一種乃至複数種の開口パターンを逐一選
    択し、該選択された開口パターンにより断面形状が整形
    された荷電粒子ビームを被処理基板(100)表面にお
    ける所定位置に投射する荷電粒子光学鏡筒を有する荷電
    粒子ビーム露光装置であって、 前記荷電粒子ビームを発生する荷電粒子ビーム発生源
    (3)と、 該荷電粒子ビーム発生源(3)と前記マスク(57)と
    の間に設けられ、前記荷電粒子ビーム発生源(3)から
    発生された荷電粒子ビームを制御して該マスク(57)
    上に照射する第1のビーム制御手段(4,6,11,5
    5a,55b,56a)と、 前記マスク(57)と前記被処理基板(100)との間
    に設けられ、前記マスク(57)により断面形状が整形
    された荷電粒子ビームを制御して該被処理基板(10
    0)上に照射する第2のビーム制御手段(56b,55
    c,33,55d,14,34,24a,24b,2
    1,34)と、 前記荷電粒子ビーム発生源(3)と前記マスク(57)
    との間に設けられ、露光待機期間中において、前記荷電
    粒子ビームを制御して該マスク(57)上に該荷電粒子
    ビームを均一に照射する第3のビーム制御手段(10;
    55a,55b)とを具備することを特徴とする荷電粒
    子ビーム露光装置。
  2. 【請求項2】 前記第3のビーム制御手段は、前記マス
    ク(57)と前記被処理基板(100)との間に設けら
    れた補助レンズ(10)と、該補助レンズ(10)を、
    露光時には作動させず、且つ、露光待機期間中には前記
    荷電粒子ビームを拡げる前記マスク(57)全体の領域
    を照射するように作動させる制御電源(300)とを備
    えたことを特徴とする請求項1の荷電粒子ビーム露光装
    置。
  3. 【請求項3】 前記補助レンズ(10)は電磁レンズで
    あって、前記制御電源(300)は該電磁レンズに対し
    て、露光時には電流を供給せず、且つ、前記露光待機期
    間終了から露光開始までの期間において振幅が時間と共
    に減衰する交流電流を供給することを特徴とする請求項
    2記載の荷電粒子ビーム露光装置。
  4. 【請求項4】 前記第3のビーム制御手段は、前記マス
    ク(57)と前記被処理基板(100)との間に設けら
    れた偏向手段(55a,55b)を具備し、露光待機期
    間中において、前記荷電粒子ビームが前記マスク(5
    7)全体の領域を走査するようにしたことを特徴とする
    請求項1の荷電粒子ビーム露光装置。
  5. 【請求項5】 マスク(57)に設けられた複数種の開
    口パターンから一種乃至複数種の開口パターンを逐一選
    択し、該選択された開口パターンにより断面形状が整形
    された荷電粒子ビームを被処理基板(100)表面にお
    ける所定位置に投射する荷電粒子光学鏡筒を有する荷電
    粒子ビーム露光装置であって、 荷電粒子ビーム発生源(3)から射出された荷電粒子ビ
    ームの断面形状を整形するアパーチャ(6)と、 前記整形された荷電粒子ビームを、前記選択された開口
    パターンの一つを選択的に通過するように偏向する第1
    の偏向手段(55a,55b)と、 前記荷電粒子光学鏡筒における荷電粒子ビームの結像関
    係を成立させるために前記アパーチャ(6)と前記第1
    の偏向手段(55a,55b)との間に設けられたレン
    ズ(11)と、 前記選択された開口パターンの一つを通過した荷電粒子
    ビームを前記荷電粒子光学鏡筒の光軸に戻す第2の偏向
    手段(55c,55d)と、 前記選択された開口パターンの一つを通過した荷電粒子
    ビームを、非露光時に前記被処理基板(100)表面に
    投射されないように、前記荷電粒子光学鏡筒の光軸から
    ずらすブランキング手段(33)と、 前記アパーチャ(6)と前記レンズ(11)との間に設
    けられた補助レンズ(10)と、 該補助レンズ(10)を、露光時には作動させず、且
    つ、前記ブランキング手段(33)の作動による露光待
    機期間中には前記荷電粒子ビームが前記選択された開口
    パターンを含む前記複数種の開口パターンが形成された
    領域を照射するように作動させる制御電源(300)と
    を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置。
  6. 【請求項6】 マスク(57)に設けられた複数種の開
    口パターンから一種乃至複数種の開口パターンを逐一選
    択し、該選択された開口パターンにより断面形状が整形
    された荷電粒子ビームを被処理基板(100)表面にお
    ける所定位置に投射する荷電粒子光学鏡筒を有する荷電
    粒子ビーム露光装置であって、 荷電粒子ビーム発生源(3)から射出された荷電粒子ビ
    ームの断面形状を整形するアパーチャ(6)と、 露光時には、前記整形された荷電粒子ビームを前記選択
    された開口パターンの一つを選択的に通過するように偏
    向し、且つ、露光待機期間中には、前記荷電粒子ビーム
    が前記マスク(57)全体の領域を走査するように偏向
    する第1の偏向手段(55a,55b)と、 前記荷電粒子光学鏡筒における荷電粒子ビームの結像関
    係を成立させるために前記アパーチャ(6)と前記第1
    の偏向手段(55a,55b)との間に設けられたレン
    ズ(11)と、 前記選択された開口パターンの一つを通過した荷電粒子
    ビームを前記荷電粒子光学鏡筒の光軸に戻す第2の偏向
    手段(55c,55d)と、 前記選択された開口パターンの一つを通過した荷電粒子
    ビームを、非露光時に前記被処理基板(100)表面に
    投射されないように、前記荷電粒子光学鏡筒の光軸から
    ずらすブランキング手段(33)とを備えたことを特徴
    とする荷電粒子ビーム露光装置。
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