JPH05141325A - 燃料噴射ノズル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ノズル本体に対するポペット弁ステムの相対
的回転運動を阻止すると共に、エンジン内部へのポペッ
ト弁の過剰進入を防止した燃料噴射ノズルを提供する。 【構成】 ノズル本体が、ポペット弁のステム４６を通
し且つ燃料スプレーオリフィス５２に連通する燃料供給
通路４８を有する。ノズル本体１６及びポペット弁ステ
ムには相互に共働するボア及びスロット６２、６４が設
けられ円筒状ボアが形成される。円筒状ボア内には、位
置決めボール６８が収納され、該ボールがノズル本体に
関するポペット弁の回転を阻止するとともにノズル本体
からポペット弁が外方へ運動するのを制限する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関即ちエンジンの
ための燃料噴射ノズルに関し、特に、所定の燃料スプレ
ーパターンを必要とする位置でエンジンに設置するのに
特に適した外方に開くポペット弁型式の燃料噴射ノズル
に関する。

【０００２】

【従来の技術】ジーゼルエンジンに使用し、外方に開く
ポペット弁型式の燃料噴射ノズルは既知である。この型
式の燃料噴射ノズルにおいては、ポペット弁の形をした
閉止部材が設けてあり、このポペット弁は、高圧燃料ポ
ンプからの燃料圧力パルスにより、関連する弁座に関し
て開位置へ移動できるようになっている。ポペット弁
は、高圧燃料パルスが消失したときに、ポペット弁の弁
ステムに作用する帰還バネにより、弁座にシール係合す
る閉位置へも移動できるようになっている。

【０００３】この種の多数の特徴を有する燃料噴射ノズ
ルは、例えば、米国特許第４，６９３，４２４号、同第
４，９０５，９０８号及び同第４，９０９，４４４号各
明細書に開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述の既知の燃料噴射
ノズルは、燃料スプレーパターンが燃料噴射ノズルのま
わりで対称的となるようなシリンダヘッドへの設置に限
定されていた。このような設置においては、ノズルは実
質上垂直方向に指向する。ポペット弁は、実質上対称的
な燃料スプレーパターンのためエンジンの性能に殆ど悪
影響を及ぼすことなく、ノズル本体内で自由に回転す
る。しかし、このような燃料噴射ノズルは傾斜状態での
設置や、所定の燃料スプレーパターンを必要とするよう
な設置には全く適さない。その理由は、ポペット弁の回
転がスプレーパターンに悪影響を及ぼし、ひいてはエン
ジン性能に悪影響を及ぼしてしまうからである。

【０００５】本発明の主目的は、燃料噴射ノズルの設置
方向に関係なく所定の燃料スプレーパターンを達成する
ように作動できる、エンジンに使用するための改善した
燃料噴射ノズルを提供することである。ポペット弁の弁
ステムとノズル本体との間に位置した位置決めボールを
有する位置決め手段が、弁ステムとノズル本体との間の
相対回転を禁止する。

【０００６】

【課題を解決するための手段並びに作用効果】本発明に
係る燃料噴射ノズルの特徴とするところは、ノズル本体
の一端からこのノズル本体内を軸方向に延び、燃料通路
から片寄って位置し、燃料通路の周辺部と交わる周辺部
を有する位置決めボアと；弁ステムの一側で軸方向に延
びた状態で形成され、所定の長さと位置決めボアの半径
に実質上等しい半径とを有し、位置決めボアに整合した
ときにこの位置決めボアと共働して円筒状ボアを画定す
る弁位置決めスロットと；ノズル本体に関する弁ステム
の回転を禁止すると共に、ノズル本体と弁ステムとの間
の往復軸方向運動を容易にするように、円筒状ボア内に
位置する位置決めボールと；を有することである。

【０００７】本発明はまた、位置決めボールを円筒上ボ
アの上方肩部に当接させることにより、エンジンの燃焼
室内へのポペット弁のステムの進入運動を抑制する、外
方に開くポペット弁型式の改善した燃料噴射ノズルを提
供できる。

【０００８】

【実施例】図１には、本発明に従って構成した燃料噴射
ノズル１０の好ましい実施例を示す。燃料噴射ノズル１
０は、例えば、エンジンの燃焼室内へ所定の所望のスプ
レーパターンで燃料を放出するようにスプレーチップ端
部を適当に位置決めした状態で、エンジンのシリンダヘ
ッド（図示せず）に設けた適当なノズル収容ソケット内
に装着するようになった型式のものである。

【０００９】図示の構成の燃料噴射ノズル１０は、普通
の方法で適当に一緒に固定した（管状の）入口取り付け
部１２と（管状の）ナット１４とノズル本体１６とを有
する多部品ノズルハウジングを具備する。入口取り付け
部１２はその外ネジ部１８とナット１４の上端での内ネ
ジ部２０とのネジ係合によりナット１４に固定してあ
る。ノズル本体１６の上端面１６ａは入口取り付け部１
２の下端面１２ａに当接し、本体の下向き保持肩部１６
ｂはナット１４の内側肩部１４ａに当接する。端面１２
ａ及び端面１６ａに設けたボア内に挿入したドエルピン
２２は、組立てた燃料噴射ノズル１０内でのノズル本体
１６の回転を阻止する。

【００１０】入口取り付け部１２は軸方向に延びる段付
き貫通ボアを具備し、このボアは、入口取り付け部１２
の上端即ち自由端から延びその下端（図１）で（円筒状
の）燃料室２６に開口した入口通路２４を形成する。更
に、入口取り付け部１２は燃料供給源（図示せず）を固
定するためのネジ部２８の如き外側コネクタ手段又はそ
の他の適当なコネクタ手段を具備し、例えば、高圧燃料
ポンプ（図示せず）により普通の方法で燃料噴射ノズル
１０へ燃料を間欠供給できるようにする。対向する平坦
部２９ａを有する拡大外径部分２９は、クランプやヨー
ク等（図示せず）により周知の方法で燃料噴射ノズル１
０をシリンダヘッドに取り付ける際に役立つ。クランプ
を利用した場合は、シリンダヘッドに関する燃料噴射ノ
ズルの動きを最小に抑えることができる。

【００１１】外側段付き円筒体の形をしたノズル本体１
６は軸方向に延びる段付き貫通ボアを具備し、その上端
即ち入口端で燃料室２６の上方部分を画定すると共に、
中間の燃料通路３０をも画定し、この通路の下端（自由
端）には、所定の傾斜角を有する（さい頭円錐状の）弁
座３４が形成されている。燃料室２６及び中間燃料通路
３０は平坦な肩部３６で相互連結されている。ノズル本
体１６の外周下端部は段付き形状を呈し、燃焼室内の高
温からノズル本体の端部を保護するシールド３８を受入
れることができる。シールド３８はノズル本体のチップ
を絶縁し、オーバーヒートによる損傷の可能性を最少化
する。更に、ノズル本体１６のスプレーチップ４０に面
取りを施し、周知の通り燃料噴射ノズルの噴射性能を改
善する。ノズル本体１６のスプレーチップ４０からの燃
料放出はポペット弁４２の形をした噴射弁により制御さ
れ、このポペット弁はヘッド４４と、このヘッドから延
びる（細長い）弁ステム４６とを有する。弁ステム４６
の下方部分は所定の外径を有し、中間燃料通路３０内で
シール状態で案内され往復運動する。弁ステム４６の中
間部分は図２、３に示すような軸方向に延びる平坦部４
７を有し、これらの平坦部は中間燃料通路３０との接触
度合いを最小化し、燃料室２６からヘッド４４への燃料
の流れを提供する。

【００１２】ポペット弁４２のヘッド４４はノズル本体
１６の弁座３４の外径に対応する所定の最大外径を有す
るのが好ましく、図４に二点鎖線で示すように弁座３４
に係合できる（環状のさい頭円錐形）弁座表面５０（図
４）を具備する。弁ステム４６の内部でその中間位置か
らヘッド４４の内部間で延びた燃料通路４８は複数個の
（半径方向外方に延びた）燃料放出オリフィス５２に開
口している。燃料噴射ノズル１０のまわりで対称的な燃
料スプレーパターンを生じさせるように燃料放出オリフ
ィスを方位決めする場合は同じであるが、特定の応用の
場合、即ち、シリンダヘッドに対して非垂直状態でかつ
片寄った状態で燃料噴射ノズルを装着する場合は、所定
の非対称的な燃料スプレーパターンとするのが望まし
い。

【００１３】ポペット弁４２は、燃料室２６内に位置し
た弁ステム４６の部分を取り巻く弁帰還バネ５４によ
り、弁座３４に関して閉じ位置の方へ常時偏倚せしめら
れている。弁帰還バネ５４の一端は所定の厚さの保持シ
ム即ちワッシャ５６に当接する。弁帰還バネ５４の他端
即ち上端は弁ステム４６の上端部に適当に固定したバネ
保持主ストッパ５８の下表面に当接する。バネ保持スト
ッパ５８は円筒形状に形成され、管状入口取り付け部内
に形成した燃料室の部分内で往復運動できるようにこの
燃料室部分の内径よりも適当に小さい外径を有するが、
ノズル本体１６内に形成した燃料室２６の部分より大き
な外径を有する。以上の構成では、バネ保持主ストッパ
５８の下表面５８ａがノズル本体１６の上端面１６ａに
当接するように位置しているので、ポペット弁４２の開
運動が制限され、これによりポペット弁が所望の所定距
離を越えて燃焼室内へ進入するのを阻止する。

【００１４】先に述べたが、所定の燃料放出パターンを
達成するためには、ポペット弁４２のヘッド４４を静止
状態に維持する必要がある。すなわち、所望のパターン
を達成するためには、シリンダヘッド内でのポペット弁
４２の回転を阻止しなければならない。図１、２、３に
示すように、ノズル本体１６は燃料室２６の下端での平
坦肩部３６から所定距離だけ下方へ延びた軸方向に延び
る位置決めボア６２を具備する。位置決めボア６２はノ
ズル本体１６の軸線から片寄って位置し、中間燃料通路
３０と部分的に交わるような直径を有する。弁位置決め
スロット６４が、弁ステムの上端とヘッド４４との間
で、弁ステム４６の一側に形成されている。弁位置決め
スロット６４は先端（ノーズ）ミリング加工又は他の適
当な機械加工で弁ステム４６内に形成される。図３に示
すように、弁位置決めスロット６４の半径は位置決めボ
ア６２の半径と実質上同じになるように選定され、これ
らのスロットとボアとが整合したときに、位置決めボア
６２及び弁位置決めスロット６４が位置決めボール６８
を収容する円筒状ボア６６を画定する。位置決めボール
６８はノズル本体１６内での弁ステム４６の組立て期間
中に円筒状ボア６６内に挿入され、保持シム５６により
円筒状ボア６６内に保持される。位置決めボア６２の開
口部のまわりで延びる面取り部７０は、位置決めボール
６８を平坦肩部３６の縁部から円筒状ボア６６内へ案内
することにより位置決めボールを円筒状ボア内に挿入す
る際の補助をなす。図１に明示するように、弁位置決め
スロット６４は、円筒状ボア６６内への位置決めボール
６８の挿入を容易化すると共に、作動期間中の弁ステム
４６の自由な往復運動を許容するのに十分な軸方向長さ
を有する。位置決めボール６８はノズル本体１６に関す
る弁ステム４６の回転を阻止し、ノズル本体はドエルピ
ン２２により入口取り付け部１２に関して位置決め固定
され、これにより、エンジンの燃焼室に関するヘッド４
４の位置決め固定を保証し、所望の燃料スプレーパター
ンを保証する。

【００１５】燃料噴射ノズル１０の外方に開く構成を得
るには、ポペット弁４２をノズル本体１６内に拘束し、
正常作動に必要な量以上にポペット弁が燃焼室へ進入す
るのを阻止する必要がある。上述のように、バネ保持主
ストッパ５８はノズル本体１６の上端面１６ａに作用し
て、ポペット弁４２の下向き運動即ち外方運動を制限す
る。上述のポペット弁位置決め組立体は、バネ保持主ス
トッパ５８が破損してノズル本体１６からのポペット弁
４２の落下が可能となった場合に、副弁ストッパとして
作用する。この場合、ポペット弁４２の下向き運動即ち
外方運動は弁位置決めスロット６４の上方肩部７２に接
触する位置決めボール６８により制限され、これによ
り、ポペット弁４２がエンジンのシリンダ内のピストン
と接触するのを防止する。

【００１６】本発明の（ポペットで覆うオリフィス型
の）燃料噴射ノズルは、エンジンの設計において燃焼室
に大なる融通性を与えその他の機素の設計に大なる融通
性を与える所定の燃料スプレーパターンを必要とするエ
ンジンのシリンダヘッドへの設置に適する。開示した燃
料噴射ノズルは特殊な燃料スプレーパターンを有するポ
ペット弁の不当な回転を阻止するための簡単で完全に内
部に位置するポペット弁位置決め組立体を利用する。こ
のような内部構成は、外側で挿入する位置決めドエルを
使用した場合に固有の漏洩の問題を排除する。更に、ポ
ペット弁位置決め組立体は主弁運動制限ストッパが故障
した場合に、副ポペット弁ストッパとして作用し、燃焼
室内へのポペット弁の過剰な進入を防止する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した燃料噴射ノズルの部分断面
図である。

【図２】図１の燃料噴射ノズルの一部の拡大断面図で、
位置決め組立体の詳細を示す図である。

【図３】図２の３ー３線における拡大断面図で、位置決
め組立体の詳細を示す図である。

【図４】図１の燃料噴射ノズルのスプレーチップの拡大
断面図である。

【符号の説明】

１０ 燃料噴射ノズル １６ ノズル本体 ２８ 入口 ３０ 燃料通路 ４０ スプレーチップ ４２ ポペット弁 ４４ ヘッド ４６ 弁ステム ４８ 燃料通路 ５２ オリフィス ５６ ワッシャ ６２ 位置決めボア ６４ 弁位置決めスロット ６６ 円筒状ボア ６８ 位置決めボール ７２ 肩部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に延びポペット弁（４２）の弁ス
   テム（４６）を往復運動可能な状態で収容するような形
   状を呈する燃料通路（３０）を有するノズル本体（１
   ６）を備えた燃料噴射ノズル（１０）において、 ノズル本体内を軸方向に延び、前記燃料通路から片寄っ
   て位置し、同燃料通路の周辺部と交わる周辺部を有する
   位置決めボア（６２）と；前記弁ステムの一側で軸方向
   に延びた状態で形成され、所定の長さと前記位置決めボ
   アの半径に実質上等しい半径とを有し、同位置決めボア
   に整合したときにこの位置決めボアと共働して円筒状ボ
   ア（６６）を画定する弁位置決めスロット（６４）と；
   前記ノズル本体に関する前記弁ステムの回転を禁止する
   と共に、同ノズル本体と同弁ステムとの間の往復軸方向
   運動を容易にするように、前記円筒状ボア内に位置する
   位置決めボール（６８）と；を有することを特徴とする
   燃料噴射ノズル。
2. 【請求項２】 前記弁位置決めスロット（４６）の前記
   所定の長さの一方の限界が、前記位置決めボール（６
   ８）との係合によって前記ノズル本体（１６）からの前
   記ポペット弁（４２）の外方運動を制限する肩部（７
   ２）により定められていることを特徴とする請求項１の
   燃料噴射ノズル。
3. 【請求項３】 前記円筒状ボア（６６）からの前記位置
   決めボール（６８）の脱出を阻止するように同円筒状ボ
   アを閉じるための手段（５６）を備えたことを特徴とす
   る請求項１又は２の燃料噴射ノズル。
4. 【請求項４】 加圧燃料のための入口（２８）を一端に
   備え、スプレーチップ（４０）を他端に備え；前記ポペ
   ット弁（４２）が、前記スプレーチップの弁座（３４）
   に係合する閉位置と、開位置との間を運動できる弁座表
   面を具備し前記弁ステム（４６）の一端に形成された環
   状ヘッド部分（４４）を有し；前記ポペット弁が、前記
   燃料通路（３０）を介して前記入口に流体連通する一端
   と、前記環状ヘッド部分の外方開運動時に所定のスプレ
   ーパターンとして燃料を放出するように位置決めされた
   燃料放出手段（５２）にて終端する他端とを具備した内
   側通路手段（４８）を有することを特徴とする請求項１
   ないし３のいずれかに記載の燃料噴射ノズル。