JPH0514035Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、摺動面に潤滑油を供給する油孔を持
つスプラインシヤフトに関する。

［従来の技術］ 従来、自動車や自動二輪車の変速機の内部に
は、メインシヤフト及びカウンタシヤフトとして
スプラインシヤフトが設けられ、そのシヤフトの
スプライン部分にギヤやカラーが嵌合されてい
る。そして、ギヤやカラーとの摺動面に潤滑油を
供給するため、スプラインシヤフトの内部に油孔
を設け、その油孔の先端をスプラインの山部頂面
あるいは谷部底面に開口させている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところで、モジユールの小さなインボリユート
スプラインを形成した軸を変速機の軸に使用する
場合、潤滑油を多く供給すべく油孔を大きくしよ
うとすると、油孔の開口部分がスプラインの山部
の角や谷部の隅にかかるため、油孔をあまり大き
くできないという問題がある。

本考案は、油孔を大きく設定することができる
スプラインシヤフトを提供することを目的とす
る。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、スプラインの山部頂面または谷部底
面に油孔が開口したスプラインシヤフトにおい
て、スプラインを構成する複数の山部及び谷部の
うち、少なくとも一つの山部または谷部の幅を他
のものより広く設定し、その幅広に設定した山部
の頂面または谷部の底面に前記油孔を開口させた
ことを特徴としている。

［実施例］ 以下、本考案を自動二輪車の変速機のメインシ
ヤフトに適用した場合の一実施例を図面に基づい
て説明する。

第１図は変速機の断面を示し、１はメインシヤ
フト、２はカウンタシヤフトである。メインシヤ
フト１には、図示しないエンジンの回転がクラツ
チ３を介して伝達される。また、カウンタシヤフ
ト２は、プロペラシヤフト４に接続され、図示し
ない駆動輪に回転を伝達するようになつている。

メインシヤフト１には所定箇所にスプライン５
が形成され、その部分にギヤ６やカラー７が嵌合
されている。また、カウンタシヤフト２にも所定
箇所にスプライン８が形成され、その部分にギヤ
９やカラー１０が嵌合されている。そして、メイ
ンシヤフト１側のギヤ６とカウンタシヤフト２側
のギヤ９が適宜選択されて噛み合わせられること
により、所望の変速比をもつてメインシヤフト１
とカウンタシヤフト２の間で回転力が伝達される
ようになつている。

また、メインシヤフト１の内部、カウンタシヤ
フト２の内部には油通路１１，１２が形成され、
これらの油通路１１，１２から、それぞれシヤフ
ト半径方向に形成された油孔１３，１４を通し
て、スプライン５及び８に潤滑油が供給されるよ
うになつている。

この場合、メインシヤフト１側を例にとると、
第２図、第３図に示すように、スプライン５を構
成する多数の山部５ａのうち、ほぼ直径方向に対
向する２つ（図中符号５Ａで示す。）が幅広に形
成されている。この幅は、２つの山部５ａの幅に
１つの谷部５ｂの幅を加えた寸法に形成されてい
る。つまり一つ谷部５ｂを埋めたようにその山部
５Ａは形成されている。そして、半径方向に形成
した油孔１３は、その幅広に形成した山部５Ａの
頂面の幅方向ほぼ中央に開口している。

このように、幅広に形成した山部５Ａの頂面に
油孔１３を開口させたことにより、径の大きめの
油孔１３を明けてもその開口部分が山部の角にか
かることは全くなく、多量の潤滑油を摺動面に供
給することができるようになつた。また幅の広い
面に孔を形成すればよいので、穿孔の自由度が広
がり、加工が容易になつた。

以上に述べた油孔１３の構成はカウンタシヤフ
ト２についても同様である。

なお、上の実施例においては、油孔をスプライ
ンの山部に開口させた場合を説明したが、谷部に
形成する場合もほぼ同様に構成することができ
る。第４図は谷部に開口させた場合の例を示して
いる。この例においては、多数の谷部５ｂのうち
の少なくとも一つ（図中５Ｂで示す）を幅広に形
成し、その幅広に形成した谷部５Ｂの底面に油孔
１３を開口させている。この場合も谷部５Ｂの幅
は、２つの谷部５ｂの幅と一つの山部５ａの幅を
合わせた寸法に形成されている。つまり山部５ｂ
を一つ省略したような形状になつている。

また、以上においては、本考案を変速機の軸に
適用した場合を示したが、本考案は勿論スプライ
ンシヤフトであれば、いずれのものにも適用でき
る。

［考案の効果］ 本考案は、スプラインを構成する複数の山部及
び谷部のうち、少なくとも一つの山部または谷部
の幅を他のものより広く設定し、その幅広に設定
した山部の頂面または谷部の底面に油孔を開口さ
せたから、径の大きめの油孔明けることができ、
多量の潤滑油を摺動面に供給することができる。
また幅の広い面に孔を形成すればよいので、穿孔
の自由度が広がり、加工の容易化が計れるという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の一実施例を説明する
ためのもので、第１図は本考案のスプラインシヤ
フトを適用した変速機の断面図、第２図は同変速
機のメインシヤフトの断面図、第３図は同シヤフ
トの斜視図、第４図は本考案の他の実施例の断面
図である。 １……メインシヤフト（スプラインシヤフト）、
２……カウンタシヤフト（スプラインシヤフト）、
５，８……スプライン、５ａ……山部、５Ａ……
幅広の山部、５ｂ……谷部、５Ｂ……幅広の谷
部、１１，１２……油通路、１３，１４……油
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプラインの山部頂面または谷部底面に油孔が
   開口したスプラインシヤフトにおいて、スプライ
   ンを構成する複数の山部及び谷部のうち、少なく
   とも一つの山部または谷部の幅を他のものより広
   く設定し、その幅広に設定した山部の頂面または
   谷部の底面に前記油孔を開口させたことを特徴と
   するスプラインシヤフト。