JPH0513998Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は絞り加工した薄鋼板で構成するポン
プ、特に水を吸い込み高圧水として吐出するター
ビン、ポンプに関する。

〔従来の技術〕

鋼板製ポンプの従来例を第２図にもとづいて説
明する。この図は多段ポンプを示し、駆動用モー
タ１の端面から突出するモータ軸２の端部に遠心
形の羽根車３が複数固着され、羽根車３をそれぞ
れ個別に包囲するコ字形断面の複数の内ケーシン
グ７は全体が外ケーシング３６で包囲されてい
る。内ケーシング７の端面中心部には流体の吸込
み口４が、外ケーシング３６にはポンプ吸込口１
４がそれぞれ設けられ、最終段の内ケーシング７
ト外ケーシング３６の外周部には吐出口１７と１
５とが設けられている。羽根車３の回転に伴つて
吸込み口１４，４から吸入した流体は第１段の羽
根車３の外周部から吐出口６、すなわち第２段の
内ケーシングの吸込み口４を通つて第２段の羽根
車３に吸引され、同様に第３段、第４段と通る間
に羽根車３の作用で加圧されて最終的に高圧流体
となる。この流体は最終段の羽根車３の外周部か
ら吐出口１７，１５を通つて外部に送り出され
る。第２段から最終段までの内ケーシング７の端
面にはそれぞれ前段の羽根車３の外周部から排出
した流体をその段の吐出口すなわち次の段の吸込
み口に向けて送り込む返し羽根５が放射状に設け
られている。前記内ケーシング７は隣接する外周
端部を相互にはめ込んで結合され、最終段の内ケ
ーシングは開口側端部をケーシングカバー１０に
設けた嵌合部にはめ込むようになつている。第１
段の内ケーシング７の外周には環状の内フランジ
８が溶接等で一体的に固着され、この内フランジ
８をボルト９で前記ケーシングカバー１０に締付
けることにより複数の内ケーシング７とケーシン
グカバー１０が一体的に固定される。ケーシング
カバー１０のボルト締付け部はその外側面に袋ナ
ツトを溶接等で固着して形成される。ケーシング
カバー１０の軸貫通部には軸封装置１１が設けら
れ、外周部は外ケーシング３６の開口側端面に設
けた環状のフランジとの間に環状の弾性パツキン
１２を介挿してモータ１の端面にボルトで共締め
取付けされ、この状態で第１段の内ケーシング７
の端面が外ケーシング３６の端面と接着材を介し
て密接するようになつている。

第２図のように内ケーシング７の端面と外ケー
シング３６の端面との間に接着材を用いるものは
分割組立等が困難となるので、第３図のように外
ケーシング４６と内ケーシング４７との間に環状
のパツキンを介在させる技術も採用される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、かかる従来のポンプは、パツキンとし
て単純形状の環状平パツキンを使用して、内ケー
シングと外ケーシングとの潰し圧力のみでシール
作用を持たせているので、潰しの圧力が不足する
と、高圧水が吸込側へ流れ込もうとする力にシー
ル作用が十分に対処することができない場合があ
り、平パツキンが吸込口内部へはみ出したり、高
圧水が洩れ易いという問題点を有していた。この
漏洩により騒音が発生したり、締切圧が不足して
ポンプ効率が低下するという問題点を有してい
た。

この考案は前記問題点を解決すると共に吸込流
が円滑に流入する吸込流路を形成して騒音の低
下、ポンプ効率の向上をはかることを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は前記の問題点を解決する手段とし
て、絞り加工した薄鋼板で製作するポンプを遠心
形の羽根車を囲繞して設けた内ケーシングに前記
羽根車の吸込口に対応する吸入口を設け、前記内
ケーシングを覆つて設けた外ケーシングに前記内
ケーシングの吸込口と対向する開口部を設けるポ
ンプにおいて、前記内ケーシングと前記外ケーシ
ングの開口部との間に環状のパツキンを介在さ
せ、前記外ケーシングの開口部を前記内ケーシン
グ側に向つてベルマウス状に筒状に曲げて突出部
を形成し、この筒状の突出部の外周に前記パツキ
ンの内周を当接させるように構成する。

〔作用〕

第１段の内ケーシング７と外ケーシング１３と
の軸方向の間に配置されるパツキン１６の内周は
外ケーシング１３の開口部に設けられる筒状の突
出部１９の外周により低圧力水側からバツクアツ
プされるので内側へ高圧水で逃げることがない。

しかも突出部１９は吸込流の流性の方向、即ち
外ケーシング１３の内側で吸込流の下流側にある
内ケーシング７、および羽根車３の吸込口２０に
向つてベルマウス状に筒状に突出形成し、これに
よつて吸込流の流れを円滑にする。

〔実施例〕

第１図はこの考案の実施例を示す断面図であ
る。図において、モータ１のモータ軸２を延長
し、ケーシングカバー１０を軸封１１により貫通
させてその先端に羽根車３を固定する。該羽根車
３の外周を吸込口４、返し羽根５吐出口６を持つ
円形の内ケーシング７で囲繞する。内ケーシング
７はその端面に係止される内フランジ８締付ボル
ト９によつてケーシングカバー１０へ取付けられ
ている。さらに内ケーシング７はポンプの吸込口
１４及び吐出口１５を有する外ケーシング１３が
囲繞している。外ケーシング１３と内ケーシング
７の間に環状のパツキン１６をパツキン本体が潰
されるように介在させてある。外ケーシング１３
の吸込開口部１８は内ケーシングの吸込開口部４
と同一の大きさで、且内ケーシングへ向つて約1/
４円弧のルマウス状部を有する筒状の突出部１９
が形成してある環状のパツキン１６はその内径部
が外ケーシングの該突出部１９へはまりあうよう
にしてある。

この構成においてポンプを運転すると矢印の様
に中央部から開口部１８、開口部４を経て羽根車
の吸込口２０に水を吸込む。吸込まれた水は羽根
車３及び内ケーシング７で昇圧され、返し羽根５
吐出口６を介して次段の羽根車へ流入する。以下
同様に順次加圧された液体は、最終段の内ケーシ
ングの吐出口１７から吐出され、外ケーシング１
３と内ケーシング７の間を通つて吐出口１７から
吐出される。この時内ケーシング７と外ケーシン
グ１３との間は高圧となり、開口部１８および内
ケーシングの吸入口４は負圧になつているのでそ
の圧力差により、パツキン１６の部分から水が高
圧側から低圧側へ洩れようとする。しかし、パツ
キン１６はそれ自体が潰されていることによつて
生ずる面圧によるシール作用と、外ケーシングの
突起部１９との相乗効果にて洩れを確実に防止で
きる。

また、高圧水によつてパツキン１６が低圧側へ
ずれたり、はみ出したりすることも外ケーシング
の突起部１９のバツクアツプ作用によつて確実に
阻止される。そればかりか高圧水によつてパツキ
ン内径部は外ケーシングの突起部に押圧され一層
のシール効果を発揮する。

〔考案の効果〕

この考案によれば、高圧水が吸込側へ洩れよう
とするのを確実に防止でき、その結果漏洩による
騒音を防止でき、締切圧が不足して効率が低下す
ることがないという効果がある。また外ケーシン
グの吸込開口部は突起部を形成したので、強度が
上り、耐圧性能が向上し、更に内圧が高くなつて
も外ケーシングの歪が少なく、パツキンの機能が
確実となるという効果がある。特に羽根車吸込口
へ向けてベルマウス状に円筒状に外ケーシング突
起部を形成したので吸込流路が円滑になり、吸込
流の流れがなめらかで騒音の低下、ポンプ効率の
向上がはかれあわせて組立時、パツキンがずれる
恐れがなく組立が容易となるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す断面図、第２
図及び第３図はそれぞれ異なる従来例を示す断面
図である。 １……モータ、２……モータ軸、３……羽根
車、４……吸込口、５……返し羽根、６……吐出
口、７……内ケーシング、１０……ケーシングカ
バー、１１……軸封、１３……外ケーシング、１
６……パツキン、１９……突出部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 遠心形の羽根車を囲繞して設けた内ケーシング
   に前記羽根車の吸込口に対応する吸入口を設け、
   前記内ケーシングを覆つて設けた外ケーシングに
   前記内ケーシングの吸込口と対向する開口部を設
   けるポンプにおいて、前記内ケーシングと前記外
   ケーシングの開口部との間に環状のパツキンを介
   在させ、前記外ケーシングの開口部を前記内ケー
   シング側に向つてベルマウス状に筒状に曲げて突
   出部を形成し、この筒状の突出部の外周に前記パ
   ツキンの内周を当接させることを特徴とする鋼板
   製ポンプ。