JPH0513963Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はエンジンに供給される燃料と空気の少
なくともいずれかを制御することによつて空燃比
制御を行なう装置に関するものであり、自動車、
作業車両、産業機械などの動力源に使用されるエ
ンジンに利用される。

従来技術とその問題点 エンジンの運転状態を検出してフイードバツク
方式により空燃比を制御する技術は広く知られて
おり、吸入空気量に応じて燃料の基本供給量を設
定し、これに運転性能、燃料経済性、排気対策な
どを考慮してエンジンの運転状態に対応した補正
を燃料、空気の少なくともいずれかに加え所定の
空燃比とするものである。

ここで、高出力域を除く運転域において、エン
ジンの或る吸入負圧以上または回転速度以下では
理論空燃比に制御し主として排気規制に対応させ
るが、それ以外では稀薄空燃比に制御し主として
燃料経済性を計るように制御マツプを作ることが
行なわれている。

ところで、燃料や空気の流量はエンジンの運転
状態が入力されその情報に基いて最適の條件を計
算する電子式の制御ユニツトから出力されるパル
ス波形の駆動信号によつて開閉される制御弁で制
御するのが普通である。この場合、前記制御マツ
プに基く空燃比制御を行なうためには、エンジン
の吸入負圧を制御ユニツトに入力する必要があ
り、そのために吸入負圧を感知して電気信号をオ
ン・オフする負圧スイツチを設けている。

しかしながら、負圧スイツチは一般に吸気マニ
ホルドに発生する負圧を作用させているので、吸
気系に設けられている絞り弁の位置と直接関係の
ない負圧値によつて電気信号を発しており、エン
ジンの運転状態に必ずしも適切に対応していない
ばかりか、絞り弁がかなり大きく開いて吸入負圧
がかなり低くなる迄は理論空燃比に制御されるの
で燃料経済性の点で不利である。

考案の目的 本考案は負圧スイツチによる電気信号のオン・
オフの切換えを絞り弁の比較的小さい開度位置で
行なわせることにより燃料経済性を向上し、且つ
加速時の運転性を損うことのない空燃比制御装置
を提供することを目的としている。

考案の構成 本考案は、燃料、空気の少なくともいずれかを
制御する制御弁と、エンジンの高出力域を除いて
或る回転速度以下で理論空燃比としそれ以外で稀
薄空燃比とするように前記制御弁に駆動信号を送
る電子式の制御ユニツトとを具えているエンジン
の空燃比制御装置において、前記制御ユニツトに
空燃比制御用の電気信号を入力する負圧スイツチ
が閉弁位置の絞り弁の僅か下流で吸気系へ負圧通
路により接続され、且つこの負圧通路に遅延弁が
設けられていることを特徴とする構成とした。

実施例 本考案の実施例を図面に基いて説明する。

第１図は液化ガスを燃料とするエンジンに本考
案を実施した場合を示しており、耐圧容器１に充
填されたLPGのような液体燃料はベーパライザ
２によつて大気圧程度に減圧ガス化され、基本流
量を設定するジエツト３を有する燃料通路４を通
つて吸気系５の混合器６のベンチユリ７に開口し
たノズル８から吸気路９へ吸出され、空気と混合
して吸気マニホルド１１よりエンジン１２に供給
される。排気は排気系１３の酸素センサ１４によ
つて酸素濃度が測定され、次で三元触媒コンバー
タ１５を経て大気中に放出される。

燃料通路４にはジエツト３をバイパスさせて補
正燃料通路１６が分岐形成されており、電子式の
制御ユニツト１８から送られるパルス波形の駆動
信号によつて開閉する電磁駆動の制御弁１７がこ
の補正燃料通路１６に設けられている。

制御ユニツト１８には酸素センサ１４の出力電
圧および負圧スイツチ１９の電気信号のほかに、
エンジン回転速度、エンジン温度、吸入空気温
度、トランスミツシヨン位置、イグニツシヨンス
イツチ、ブレーキなどエンジンの運転状態を検知
するセンサの出力電圧が入力され、これらの情報
に基いて制御弁１７を所定のデユーテイ比で開閉
する駆動信号を発し、或いは開弁状態または閉弁
状態に保持させる。

負圧スイツチ１９は負圧に応動するダイヤフラ
ムと電気信号をオン・オフする接点またはリード
スイツチとを有するものであつて、吸気路９に設
けられている絞り弁１０の閉弁位置よりも僅か下
流側に開口２０ａさせた負圧通路２０が接続され
ているとともに、逆止弁を吸気系５へ向つて開く
ように配置した遅延弁２１がこの負圧通路２０に
設けられている。

前記開口２０ａは絞り弁１０がアイドル位置か
ら少し開くまではその下流側にあつて高い負圧が
作用しており、それより大きく開かれて上流側に
位置するようになると急激に低い負圧が作用する
個所に設けられており、一般に逆Ｖ−Ｃポートと
呼ばれるものであつて、その絞り弁開度に対する
負圧変化は第２図Ａ曲線のような特性を示す。
尚、絞り弁開度に対する吸気マニホルド１１の負
圧変化は第２図Ｂ曲線のような特性を示す。ま
た、負圧スイツチ１９に導入された負圧は吸気系
５が大気圧となつたとき、遅延弁２１を有してい
ないときは第３図Ｂ曲線のように急激に低下する
が、遅延弁２１を有しているときは第３図Ａ曲線
のように緩徐に低下する。

ここで、第４図のように高出力の領域Ｃを除く
運転域において、エンジン１２の或る回転速度以
下を理論空燃比で運転する領域Ａとするとともに
それ以外を稀薄空燃比で運転する領域Ｂとするよ
うに制御マツプを作つた場合、絞り弁１０の開度
が小さく従つて回転速度が低い領域Ａでは負圧ス
イツチ１９に高い負圧が導入されて電気信号を発
しており、これにより理論空燃比制御を行なうよ
うに制御弁１７を所要のデユーテイ比で開閉させ
る。絞り弁１０の開度が緩徐に増すと負圧スイツ
チ１９に導入される負圧が比較的緩やかに低下す
るので負圧スイツチ１９は絞り弁１０の所定位置
に対応してオフの状態となり、これにより稀薄空
燃比制御を行なうように制御弁１７を小さいデユ
ーテイ比で開閉させるか或いは閉弁状態に保持さ
せる。絞り弁１０の開度が急激に増したときは開
口２０ａに作用する負圧が急速に低下するが、負
圧スイツチ１９に作用している負圧は遅延弁２１
を通つて徐々に放出されるので理論空燃比から稀
薄空燃比へ移行させるための電気信号のオンから
オフへの切換えが遅延し、加速時の運転性を損わ
ないのである。

負圧スイツチ１９に吸気マニホルド１１の負圧
を導入させた場合、領域Ａは第４図破線で示す範
囲まで拡がることは第２図の特性からも理解でき
る。

尚、本考案はLPGのような気体燃料に限らず、
液体燃料を気化器方式や噴射方式によつて供給す
るものにも適用され、例えば気化器方式では燃料
とプリード空気の少なくともいずれかが制御弁で
制御される。

考案の効果 本考案によると、理論空燃比と稀薄空燃比との
境界を設定する信号を発する負圧スイツチに逆Ｖ
−Ｃポートに作用する負圧を導入する構成とした
ので、従来と同一構造の負圧スイツチを用いて絞
り弁開度即ちエンジンの運転状態に適切に対応し
て空燃比を変更し燃料経済性を向上できるのであ
る。また、負圧スイツチに負圧を作用させる負圧
通路に遅延弁を設けたので加速時に直ちに稀薄空
燃比とならず運転性を損わないものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の配置図、第２図は絞
り弁開度と吸気系の負圧との関係を示すグラフ、
第３図は負圧スイツチの負圧の放出時間を示すグ
ラフ、第４図は制御マツプ図である。 ５……吸気系、１０……絞り弁、１２……エン
ジン、１７……制御弁、１８……制御ユニツト、
１９……負圧スイツチ、２０……負圧通路、２０
ａ……開口、２１……遅延弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料、空気の少なくともいずれかを制御する制
   御弁と、エンジンの高出力域を除いて或る回転速
   度以下で理論空燃比としそれ以外で稀薄空燃比と
   するように前記制御弁に駆動信号を送る電子式の
   制御ユニツトとを具えているエンジンの空燃比制
   御装置において、前記制御ユニツトに空燃比制御
   用の電気信号を入力する負圧スイツチが閉弁位置
   の絞り弁の僅か下流で吸気系へ負圧通路により接
   続され、且つこの負圧通路に遅延弁が設けられて
   いることを特徴とする空燃比制御装置。