JPH05124956A - 皮膚衛生用シート及びその使用方法 - Google Patents

皮膚衛生用シート及びその使用方法

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JPH05124956A
JPH05124956A JP3286720A JP28672091A JPH05124956A JP H05124956 A JPH05124956 A JP H05124956A JP 3286720 A JP3286720 A JP 3286720A JP 28672091 A JP28672091 A JP 28672091A JP H05124956 A JPH05124956 A JP H05124956A
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義仁 赤井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 キチン又はキトサンを酸性溶液で溶解しパル
プを加え凍結乾燥した後、アセチル化することにより調
製し水に不溶性の多孔質体シートとする。 【効果】 皮膚との接触によりニキビ原因菌等、皮膚上
の常在菌を殺滅又は生育抑制し、ニキビの発症を抑制す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、キチン又はキトサンと
繊維質からなる、水に不溶性の多孔質体を皮膚に接触さ
せることにより、ニキビの原因となる微生物及び皮膚上
の不衛生細菌の生育を抑制し皮膚を清潔な状態に保つ皮
膚衛生用シート及びこれを用いてニキビの発症を予防す
る該シートの使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニキビは、思春期頃から発生する毛孔脂
腺系の炎症性疾患で年齢、ストレス、化粧品、食事等内
的及び外的要因が複雑に関与していると考えられてい
る。発症の直接の原因としては、ホルモン刺激による皮
脂分泌の亢進、毛孔のつまり、あるいは皮膚常在菌の異
常繁殖等が考えられ、特に炎症を引き起こす最大の要因
にプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacter
ium acnes)の役割が重視されている。このような観点
から、ニキビの治療法としてはこれまでイオウ系の薬剤
を患部に塗る方法やシール状に塗布した薬剤を患部に貼
りつける方法等がとられてきた。一方、ニキビの発症を
予防する上で効果的な方法はこれまでに知られておら
ず、こまめに洗顔し皮膚を清潔に保つのが最もよいとさ
れてきた。
【0003】一方、キチン及びキトサンを酸性溶液に溶
解することにより、抗菌力が発現することは既に知られ
ている。キトサン及びその分解物は植物病原性のカビに
対して生育阻止効果をもち(Allan, C, R., L.A. Hadwi
ger: The fungicidal effectof chitosan on fungi of
varying cell wall composition, Exp. Micology, 3, 2
85-287 (1979))、またグラム陽性及びグラム陰性の細
菌に対しても効果がある等広く抗菌性をもつことが知ら
れている(内田 秦:キチン、キトサンの抗菌性、フー
ドケミカル、2,22−29(1988))。
【0004】しかし、一般的性質としての抗菌活性と、
具体的な治療、予防等を目的とした特定微生物に対する
抗菌性とは全く異なる次元で検討される必要があり、微
生物の種類、性質の多様性及び該微生物と炎症との関連
性を鑑みれば、キチン、キトサンの具体的抗菌活性を予
測することは困難である。キトサンを化粧用材料として
用いる試みとして、キトサンをスポンジ状としアシル化
しパック等として用いる(特開昭62−238209
号)等が知られているが、このものは、保水性等、主に
物理的機能を付与することで皮膚の保護等を図るもの
で、具体的な治療、予防を目的としたものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術の実情に鑑み、キトサンを利用し繊維質との構造体
をつくり、皮膚衛生上極めて優れた機能を発揮し、特に
ニキビ予防に効果のある素材及び該素材を用いる方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、次に示す
手段により達成される。すなわち、本発明は、キチン又
はキトサンと繊維質を一体化して多孔質化してなる組織
を有する複合多孔質体からなり、皮膚上の常在菌に対し
て抗菌性を有する皮膚衛生用シートであり、特に、ニキ
ビ原因菌に対し抗菌性を有する皮膚衛生用シートであ
る。また、本発明は該皮膚衛生用シートを、そのまま又
は水もしくは酸性溶液に浸し皮膚に接触させることによ
りニキビ原因菌を殺菌又は生育抑制し、ニキビの発症予
防することを特徴とする前記シートの使用方法である。
これまで、皮膚常在菌、特にニキビ原因菌とされるプロ
ピオニバクテリウム・アクネスに対するキチン、キトサ
ンの効果を報告した例は何ら知られていなかった。
【0007】本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、キチ
ン及びキトサンの酸性溶液が同菌の殺滅に優れた効果を
もつことを見出した。さらに、キチン及びキトサンに繊
維質を加え多孔質化、特に凍結乾燥して作成した水不溶
性の多孔質体シート(以下、「多孔質体」と略する)と
し、これを皮膚に接触することにより皮膚上の他の雑菌
をも速やかに殺滅することができ、皮膚を清潔な状態に
し、ひいてはニキビ予防につながることを見出し、本発
明を完成するに到った。すなわち、本発明は、キチンま
たはキトサンを含む多孔質体により、ニキビの炎症に大
きな役割を果たしていると考えられるプロピオニバクテ
リウム・アクネス(Propionibacteriumacnes)の増殖を
抑制し、さらにまた、皮膚上の有害菌であるスタフィロ
コッカス・エピダミディス(Staphylococcos epidermid
is) 、エシェリシィア・コリ(Escherichia coli) 、ス
タフィロコッカス・アウレウス (Staphylococcus aureu
s)、シュードモナス・エアルギノーザ(Pseudomanas aer
uginosa)の死滅または増殖抑制を通してニキビの発症を
予防することができる。この多孔質体の特徴は、そのま
まもしくは水又はレモン水等の酸性溶液に浸したものを
皮膚に直接塗りつける、又は貼ることにより、多孔質体
中のキチン又はキトサンが徐々に溶け出し、皮膚に常在
するニキビ菌等、ニキビの発症に関与すると考えられる
細菌の育成を抑制するものである。また、この多孔質体
のニキビ予防効果は、多孔質体が無くならない限り何回
洗浄使用しても効果が持続する。さらに廃棄する場合、
土壌中の微生物により自然に分解するので環境を汚染す
ることがない。
【0008】以下、本発明を詳述する。本発明におい
て、キチンとはその性状、製法、原料等を問わず、構造
上、アミノ基のアセチル化されたD−グルコサミンがβ
−1,4結合した直鎖分子からなる多糖類をいい、脱ア
セチル化物、エーテル化物、エステル化物、ヒドロキシ
エチル化物等の誘導体を含むものである。また、キチン
の脱アセチル化物は特にキトサンと称するが、製法等は
問わずに用いることができる。キチンは極めて安定な多
糖類で濃無機酸や無水ギ酸以外には一般に無機、有機溶
媒に不溶〜難溶であり、取扱い上の制約を受けることが
ある。
【0009】一方、キトサンは酸の存在下で塩をつくっ
て溶けるため取扱い上便利である。キチンやキトサンの
重合度や脱アセチル化度は、それらの溶解性、加工性、
安定性等に影響を及ぼし、重合度の低いものほど、溶解
性は良好で加工性はよいが、構造体とした場合の保形
性、強度等が低下する傾向がある。また脱アセチル化度
は低いものほど反応性が乏しく溶解性が劣る傾向があ
る。抗菌性はアミノ基にあると考えられるため、一分子
中のアミノ基の比率が比較的高いキトサン、さらに脱ア
セチル化度が高いキトサンは、抗菌性の見地から好まし
い。また、キトサンは後述する繊維質との定着性も良好
で、一般には、キトサンを用いるとよい。ただし、キト
サンを用いた場合は構造体の耐水性、保水性が低下する
ことがあるため、繊維質との配合比を適正化したり、水
分量の調整をする等を実施するとよい。キトサンの重合
度は概ね100以上、脱アセチル化度は50〜100%
程度が好ましい。また、キトサンとキチンの混合物を用
いてもよく、溶解性等の調整をすることができる(「キ
チン又はキトサン」とはそれぞれ単独又は混合を意味す
る)。
【0010】次に、本発明において繊維質は多孔質体の
構造体を担う機能を有するとともに、多孔質体を皮膚に
接触させた場合、水分の存在下で、適度にキチン又はキ
トサンを皮膚上へ一定期間、溶出させる作用を付与す
る。繊維質がない構造体では例え、多孔質体としてもキ
チン、キトサンの溶出が速く、構造性が徐々に消失し、
かつ、長期間一定の作用効果を維持することは困難とな
り、治療、予防を目的とした用途には不適当である。キ
チン、キトサンと繊維質とは一体化、多孔質化すること
により、はじめてキチン、キトサンの本来の抗菌性を最
大限に発揮させることができるのである。このような繊
維質は繊維を主成分として繊維として不溶性植物繊維又
は水溶性植物繊維を含有するものがよい。ここで不溶性
植物繊維はセルロースを主成分に含むものが多いが、表
面に親水性の活性基をもち、キチンやキトサンとの定着
性を有する特徴を有するものがよい。また、形状は繊維
状がよい。構造性を構築し易いためである。
【0011】代表的には、木材、穀物を由来とする植物
繊維である。木材繊維としてはモミ、トドマツ等の針葉
樹由来の繊維または広葉樹由来の繊維等であり、例えば
パルプ繊維あるいは木材パルプとして入手できるもので
ある。また穀物繊維としては小麦等のフスマや大豆等の
外皮由来の繊維等であり、例えば、大豆圧搾残渣(おか
ら)等を利用できる。これらは1種以上用いることがで
き,又、結晶セルロースも用い得る。
【0012】一方、水溶性植物繊維を用いた場合は、多
孔質体の構造性が低減し、長期に亘る使用では多孔質体
自体が一部溶解することがあるが、多孔質体の不溶性化
を進めればその使用形態により充分用い得る。
【0013】ここに水溶性植物繊維とは、多糖類を主体
とした水溶性の難消化性成分をいい、その由来問わず、
植物由来多糖類、海藻由来多糖類、微生物由来多糖類、
及び化学修飾多糖類等があげられる。植物由来多糖類と
しては、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、
ペクチン、マンナン、ヘミセルロース、β−グルカン等
の穀物ガム質が例示され、海藻由来多糖類としては、ア
ルギン酸、カラギーナン、ファーセレラン等があり、微
生物由来多糖類として、キサンタンガム、プルラン等が
あげられるし、化学修飾多糖類としては、ポリデキスト
ロース、カルボキシルメチルセルロース等がある。な
お、上述の不溶性及び水溶性植物繊維は1種又は2種以
上の混合物として用いることができる。
【0014】本発明では、キチン又はキトサンと繊維質
は一体化されている。一体化とは、均質に混合しポリイ
オンコンプレックスを形成することをいうが、ポリイオ
ンコンプレックスの形成程度、態様は特に限定されず、
目的とする多孔質体により適宜調整すればよい。すなわ
ち、最終的な多孔質体が、キチン、キトサンが繊維質に
結合もしくは付着した構造を有するように調製する。
【0015】次に、本発明の多孔質体の特徴は、上述の
構造に加え多孔質であることである。多孔質体であるた
め、軽量で柔軟性があり、かつ、充分な強度を有し、表
面積を大幅に拡大できることで優れた反応性を得ること
が可能となる。すなわち、キチン、キトサンの抗菌性は
多孔質体の構造性と関連し、構造性を適正化して、はじ
めて効果的な作用効果を得ることができる。多孔質とし
ての嵩比重は0.01〜0.1g/cc程度が通常であ
るが、目的とする多孔質体の用途等により適宜設定すれ
ばよい。孔径は特に限定されるものでなく、目的とする
力学的特性との関係で設計すればよい。通常10〜50
0μm程度でよい。嵩比重が小さく、孔径が大きければ
複合多孔質体は吸水性、弾力性に富むが、強度、耐水性
が低下し、一方、嵩比重が大きく、孔径が小さければ、
硬くなり吸水性が低減し、強度及び耐水性が増大する。
抗菌性は嵩比重が小さくても、大きくても低下する傾向
があり、前記範囲内で適宜調整する。
【0016】ところで、特にキトサンは希酸可溶性であ
るため、構造上、水の影響を受ける。水可溶性の構造体
を目的とすれば、特別な処理は不要であるが、耐水性構
造体とする場合は、不溶化処理が必要である。すなわ
ち、得られた多孔質体は優れた保水性を有するが、これ
を水に浸漬すると、構造を形成しているキトサン及び繊
維が膨潤し水に溶解してくるので、多孔質体は保形性を
失う。したがって、比較的長時間使用するものでは、ど
ろどろになってくる場合がある。ところでこの複合多孔
質体をアセチル化処理により不溶化すると、繊維と一体
化しているキトサンがアセチル化することで、該繊維の
有する機能を殆ど損なうことなく組織を維持し安定化さ
せることができる。その理由はまず、アセチル化前に既
に、多孔質体が組織上分子レベルで一体化しており、キ
トサン分子が、繊維の分子とポリイオンコンプレックス
等によりからみ合い、繊維の分子を物理的又は化学的、
電気的に拘束していると考えられ、例えば、繊維分子の
親水性基であるカルボキシル基はキトサンのアミノ基と
の間で結合を行い、親水性を低下させるとともに架橋構
造を形成する。この状態で、さらにキトサンがアセチル
化することで、構造は大幅に、分子レベルで安定化し繊
維の吸水性等の機能を維持したまま構造上の強度及び耐
水性を実現できると考えられる。
【0017】通常、脱アセチル化度60%以上のキトサ
ンを原料として用いても酢酸溶液等を用いる関係で最終
製品のアセチル化度は40〜50%程度となっている。
この程度のアセチル化度では、耐水性は期待できないの
で、アセチル化処理を施し、アセチル化度を60〜70
%又はそれ以上とすれば耐水化できる。
【0018】キチン又はキトサンと繊維質との重量比は
好ましくは1:0.5〜1:5であり、この範囲内であ
る場合は、キチン又はキトサンの結合もしくは付着性が
有効に発揮され、構造性を保ち、かつ抗菌作用を発揮す
ることができる。繊維質の比率が多すぎると構造性が高
くなるが抗菌作用が充分でなくなる。また、繊維質の比
率が少なすぎる場合は、構造性が低くなり硬くなるため
抗菌作用は充分発揮されなくなる。
【0019】次に、本発明の多孔質体の調製法の一例に
ついて述べる。まず、水、キトサン、繊維質及び酢酸よ
りなる混合溶液を調製する。酢酸以外でも乳酸、クエン
酸、塩酸等も用い得る。キトサンと繊維質はpH4.8
以下、好ましくはpH4以下の酸性下で溶解するので、
50倍〜100倍量の水に溶解・混合することが可能で
ある。混合液は中和後、使用形態に応じて任意の形・厚
さの型に入れて多孔質化させ、次いでアセチル化する
と、キトサンに繊維質が固定化されたキトサン複合多孔
質体ができる。なお、繊維質の量は用いる繊維質の種類
により異なる。また、上記pH範囲では、キトサンを溶
解するには充分であるが、キチンの溶解には不足であ
る。キチン使用の場合は予め無水ギ酸等を溶解しておく
か微粒状にしておくとよい。
【0020】多孔質化させる方法としては、炭酸水素ナ
トリウムや炭酸水素アンモニウム等熱分解型の発泡剤や
さらに酸性剤を加えたベーキングパウダー等の反応型の
発泡剤を混合する方法、あるいはミキサー等で機械的に
空気を混入させる方法等、一般に用いられている方法も
用い得るが、微細な孔を形成させるには、溶液の凍結乾
燥が最も好ましく、この場合は微細な多孔性構造と抗菌
作用の双方を維持したまま多孔質化と乾燥を同時にでき
る利点もある。凍結温度は−20〜−40℃程度がよ
く、低温ほど微細な孔ができる。
【0021】アセチル化は、例えば、無水酢酸等の有機
無水物の溶液に浸漬又は、該溶液をガス状にした雰囲気
中にさらすことで実施できる。アセチル化度が高くなれ
ば溶解性が低くなり安定性が増す。通常は、ガス中では
1時間で約68%がアセチル化できる。なお、その後一
晩処理を続けても70%ぐらいで横バイとなる。構造体
の乾燥は通常100〜150℃、3〜12時間程度で実
施できる。含水率は2〜4%程度でよい。
【0022】以上説明した多孔質体は、使用上シート状
が最も好ましい。皮膚上に接触させる使用態様であるた
め比較的薄い方が便利だからである。また、薄くても多
孔質体であるため充分に保水性を有し、かつ、反応面と
なり得る表面積が広く高い抗菌作用を発する。通常は2
〜10mm厚程度でよい。大きさは使用目的により適宜
選択されるものである。ニキビ等のスポット的治療には
比較的小さなマットとしてもよいし、また、顔面を広い
範囲で清浄にする等の衛生上の用途では比較的大きめに
裁断して用いればよい。
【0023】本発明の皮膚衛生用シートを用いて、ニキ
ビの予防をする方法としては、皮膚衛生用シートを、そ
のまま又は水もしくは酸性溶液に浸し皮膚に接触させる
ことによりニキビ原因菌を殺菌又は生育抑制し、ニキビ
の発症を予防する方法が挙げられる。そのまま皮膚に接
触させても皮膚の呼吸等により該シートは湿気をおび、
構造体の内部へ水分が捕捉され、作用を徐々に発揮する
ようになる。また、ニキビが既に発生した場合は、その
部分には液状物が溜っており、これを吸収することによ
り患部へ直接接触する働きもある。また、上記の方法に
おいて、酸性溶液を含浸させる態様においては、キトサ
ン、キチンの溶解が積極的に促進される。これにより、
患部へ作用するキトサン、キチンの量が増大し効果を高
めることが可能となる。但し、耐性が下がるため長期間
の使用には適さなくなる。また、酸性溶液自体にも小さ
いがある程度の抗菌作用を期待できるので、相乗効果が
発揮される。酸性溶液としてはpH3〜5程度の、例え
ば、レモン溶液等を用い得る。
【0024】キチン、キトサンとも生体適合性が高く、
長期間皮膚と接触しても全く問題がなく、皮膚衛生用と
して好適である。
【0025】具体的に、ニキビの予防、治療をするに
は、例えば、本発明のシートを適当なガーゼ、スポン
ジ、綿布等の支持体に担持し、水又は酸性溶液を含浸さ
せ、これを患部に貼りつける。1日に数回、貼り直せ
ば、有効である。又は、夜、寝る前に同様のシートを貼
り、朝までつけておいたり、毎洗顔後、5〜10分間、
シートをつけといてもよい。この場合は特に支持体は必
要ない。本発明のシートは吸水性が高いので含浸した液
体が容易にしみ出さない。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明する。
【0027】実施例1 (多孔質体の調製)水100ccに紙パルプ(トドマツ
製)1g及びキトサン(重合度約2000、脱アセチル
化度80)1gを混合し、攪拌しながら酢酸1gを添加
した(pH3.5)。キトサンとパルプが完全に分散す
るまで、充分に攪拌した後、パットにシート状に敷いて
凍結乾燥(−20℃)した後、10%リン酸水素ナトリ
ウム水溶液で中和し、無水酢酸2.5mlを添加してキ
トサンをアセチル化した。次いで、水洗を行い、通風乾
燥(105℃、2時間)してシート状(L300mm×
W300mm×T5mm)の多孔質体を得た。このもの
はアセチル化度30%、嵩比重0.05g/cc、平均
孔径100μm、含水量3%であった。次に示す抗菌活
性試験には上記多孔質体を約5mm立方に裁断したもの
をオートクレーブで滅菌処理したものを用いた。
【0028】(抗菌活性試験) (試験1)37℃にて20時間GAM培地で培養したプ
ロピオニバクテリウム・アクネスSBT−3380(ニ
キビ菌)の培養液と、約5mm立方に裁断した多孔質体
の滅菌処理小片100mgを20mlのGAM培地に約
1×106 CFU/mlとなるように接種し、37℃で
往復振盪培養(150rpm)した。一定時間毎に培養
液を採取し、その生菌数を測定した。表1に示したよう
に、多孔質体にプロピオニバクテリウム・アクネスに対
する殺菌作用が認められた。
【0029】
【表1】 (試験2)37℃にて20時間普通寒天培地で培養した
スタフィロコッカス・エピダミディスSBT−3078
の培養液と、約5mm立方に裁断した多孔質体の滅菌処
理小片100mgを20mlの普通寒天培地に約1×1
6 CFU/mlとなるように接種し、37℃で往復振
盪培養(150rpm)した。一定時間毎に培養液を採
取し、その生菌数を測定した。表2に示したように、多
孔質体にスタフィロコッカス・エピダミディスに対する
殺菌作用が認められた。
【0030】
【表2】 (試験3)37℃にて20時間標準液体培地で培養した
エシェリシア・コリSBT−3242の培養液と、約5
mm立方に裁断した多孔質体の滅菌処理小片100mg
を20mlの普通寒天培地に約1×106 CFU/ml
となるように接種し、37℃で往復振盪培養(150r
pm)した。一定時間毎に培養液を採取し、その生菌数
を測定した。表3に示したように、多孔質体にエシェリ
シア・コリに対する殺菌作用が認められた。
【0031】
【表3】 (試験4)37℃にて20時間標準液体培地で培養した
スタフィロコッカス・アウレウスSBT−3266の培
養液と、約5mm立方に裁断した多孔質体の滅菌処理小
片100mgを20mlのSPC培地に約1×106
FU/mlとなるように接種し、37℃で往復振盪培養
(150rpm)した。一定時間毎に培養液を採取し、
その生菌数を測定した。表4に示したように、多孔質体
にスタフィロッコカス・アウレウスに対する殺菌作用が
認められた。
【0032】
【表4】 (試験5)37℃にて20時間SPC培地で培養したシ
ュードモナス・エアルギノーザの培養液と、約5mm立
方に裁断した多孔質体の滅菌処理小片100mgを20
mlのSPC培地に約1×106 CFU/mlとなるよ
うに接種し、37℃で往復振盪培養(150rpm)し
た。一定時間毎に培養液を採取し、その生菌数を測定し
た。表5に示したように、多孔質体にシュードモナス・
エアルギノーザに対する殺菌作用が認められた。
【0033】
【表5】 (試験6)標準寒天平板培地にエシェリシア・コリSB
T−3242培養液1mlを塗沫し、寒天に充分染み込
ませた後、予め滅菌してある多孔質体を平板培地上に載
せた。10分及び30分後に多孔質体を取り除き、取り
除いた部分の寒天を内径6mmのステンレスパイプを用
いてくり抜いた。取り出した寒天を5mlの生理食塩水
に入れた後よく攪拌し、生菌数を測定した。その結果、
表6に示したように多孔質体を直接接触させることによ
ってエシェリシア・コリの生菌数を減少させることがで
きた。なお、対照としてガーゼを多孔質体と同じ大きさ
に切り抜いたものを用いた。
【0034】
【表6】 (多孔質体貼付試験)前記で得られた多孔質体を25m
m×20mm(乾燥時の厚さ約2mm)に裁断し、レモ
ン液(pH2.4)に浸し、充分に膨潤した後、約2k
gの加重で圧搾して、遊離する液体を除去した。ニキビ
の炎症をもつ人に1日3回、この多孔質体貼付剤あるい
は従来のガーゼに同様にレモン液を浸漬・圧搾した貼付
剤をつけテープでとめてもらった。ガーゼ貼付剤(比較
品)をつけたボランティア5名は、レモン液が一部流出
して衣服にシミが付いたこと、炎症の治癒は早まらない
ことを挙げた。一方、多孔質体貼付剤をつけたボランテ
ィア5名は、レモン液の流出がないこと、ニキビから出
る液を多孔質体が吸収し、炎症の治癒が早かったこをと
挙げた。
【0035】実施例2 実施例1で得た多孔質体(Ch−P−A)と、同じ方法
で得たアセチル化処理をしていない多孔質体(Ch−P
−O)を用いて、プロピオニバクテリウム・アクネス
(P.acnes)SBT−3380に対する抗菌活性
を下記に基づき試験した。 試験法:37℃で一晩培養した種培養物を滅菌した多孔
質体(約5mm立方)100mgとともに20mlの培
地(GAM培地)に約1×106 CFU/mlとなるよ
うに接種し、培養する。一定時間毎に培養液を採取し、
その生菌数を測定する。その結果、図1に示すようにC
h−PにP.acnesに対する殺菌作用が認められ
た。特に、アセチル化処理をしていないCh−P−Oに
ついては5日たっても菌の検出が認められなかった。ア
セチル化処理をしたCh−P−Aについては、一時生菌
数の大きな減少が認められるが、その後生菌数は増加し
た。このようにアセチル化処理のしていないCh−Pの
方が長期的には抗菌活性が強かったが、実際のニキビ予
防においては1日に数回取り替えるため、実質的には大
きな相違はないものと判断された。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多孔質体
はその構造性とキチン、キトサンの抗菌性によりニキビ
原因菌に対し優れた抗菌作用を発揮し、皮膚を清潔な状
態に保ち、特にニキビの予防、治療に極めて有効であ
る。また、形態を所望により設計できるという形態上の
自由度が大きく、皮膚衛生用シートとして優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で得られた多孔質体のP.ac
nesに対する抗菌性を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチン又はキトサンと繊維質を一体化し
    て多孔質化してなる組織を有する複合多孔質体からな
    り、皮膚上の常在菌に対して抗菌性を有する皮膚衛生用
    シート。
  2. 【請求項2】 キトサンを用いた複合多孔質体をアセチ
    ル化処理した請求項1に記載の皮膚衛生用シート。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の皮膚衛生用シートを、
    そのまま又は水もしくは酸性溶液に浸し皮膚に接触させ
    ることによりニキビ原因菌を殺菌又は生育抑制し、ニキ
    ビの発症を予防することを特徴とする前記シートの使用
    方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11506467A (ja) * 1995-06-07 1999-06-08 クアドラント ホールディングス ケンブリッジ リミテッド 乾燥発泡ガラスマトリックス内に物質を安定に配合する方法及びそれによって得られた組成物
WO2005079314A3 (en) * 2004-02-13 2006-01-19 Pro Pharmaceuticals Inc Compositions and methods used to treat acne and candida
JP2007524666A (ja) * 2004-01-08 2007-08-30 ニュートゥリーインダストリー カンパニー リミテッド リグナン系化合物を利用したニキビ治療方法及び組成物(methodandcompositionfortreatingacneusinglignancompounds)
US7893252B2 (en) 2003-09-08 2011-02-22 Pro-Pharmaceuticals, Inc. Selectively depolymerized galactomannan polysaccharide

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