JPH0512326B2

JPH0512326B2 -

Info

Publication number: JPH0512326B2
Application number: JP59041658A
Authority: JP
Inventors: Hidenori Yorozu; Yasuteru Eguchi
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1984-03-05
Filing date: 1984-03-05
Publication date: 1993-02-17
Also published as: JPS60185710A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は新規な弱酸性入浴剤、更に詳細には、
炭酸水素ナトリウムと特定の酸を含有する風呂
釜、浴槽のいたみの少ない弱酸性入浴剤に関す
る。入浴剤は一般に芒硝、硼砂、イオウ、食塩、炭
酸塩等の無機塩類混合物に香料、着色料、植物エ
キス、有機酸等を配合したもので、浴湯に香り、
色調を与えたり、皮膚面に適度な刺激を与えるこ
とにより血液の循環を活発にし、疲労回復、新陳
代謝を増進させるものである。これらの入浴剤の
中で、炭酸塩と酸を組合せた発泡性入浴剤があ
り、これは浴湯中に炭酸ガスの気泡を発生させ
て、リラツクス感や爽快感を高め、入浴を楽しく
する効果を有する。上記炭酸塩と有機酸を含む浴用剤を浴湯に投入
すると、両者が反応して炭酸ガスを発生するが、
その炭酸ガスの効果はその浴湯のPHにより異な
る。すなわち、PHが酸性の場合には炭酸ガスは
CO₂分子として存在して血流促進作用を示すが、
PHがアルカリ性側では炭酸ガスはCO₃ ^2-イオンあ
るいはHCO₃ ^-イオンとして存在するため当該効
果は全く見られない。従つて、発泡性浴用剤はそ
の効果を奏するためには、これを投入した場合浴
湯のPHが弱酸性になるようにして使用する必要が
ある。しかし、従来家庭において汎用されている入浴
剤は、芒硝、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム等の無機塩を主成分とした中性乃至弱アルカリ
性のものであり、酸性乃至は弱酸性の入浴剤は風
呂釜あるいは浴槽をいためるとされていて、その
実用化は困難であつた。そこで、本発明者は、人の肌のPHは弱酸性であ
るので、弱酸性の入浴剤は肌に対して好ましい影
響を与えることに鑑み上記難点のない浴用剤を開
発すべく鋭意研究を行つた結果、酸として従来汎
用されているクエン酸、酒石酸に代えて（CH₂）_o
（COOH）₂で表わされる酸又は、これらの塩を使
用して弱酸性入浴剤とすると、従来危惧されてい
た風呂釜及び浴槽の腐食がほとんどないことを見
出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、(a)炭酸水素ナトリウム、
(b)炭酸水素ナトリウムの0.2〜1.5重量倍の（CH₂）
_o（COOH）₂ （式中、ｎは３〜６の整数を示す）で表される有機酸及びその塩よりなる群から選ば
れる１種又は２種以上の塩、並びに(c)該酸の0.3
〜５重量倍の硫酸塩及び／又は塩化物を含有し、
浴湯に溶解した直後のPHが４〜７（0.01重量％水
溶液）になるようにしたことを特徴とする弱酸性
入浴剤を提供するものである。本発明においては、炭酸水素ナトリウムを必須
成分として含有するが、本発明の効果を損なわな
い範囲で炭酸ナトリウムやセスキ炭酸ナトリウム
を含でもよい。また、有機酸としては、例えばグルタル酸、ア
ジピン酸、ピメリン酸等の酸、及びグルタル酸水
素ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ、こ
れらは浴用剤の各種の効果に応じて選択して使用
される。ｎ＝７（アゼライン酸）以上では水溶性
が乏しく本発明の効果を奏さない。酸と炭酸水素ナトリウムの配合量は、入浴剤を
浴湯に加えたとき浴湯が弱酸性を呈するような比
率、すなわち入浴剤が溶解した直後の0.01重量％
水溶液がPH４〜７になるようにすることが必要で
ある。PHが４より低いと肌への刺激が強いと共に
風呂釜等をいためる惧れがあるので好ましくな
い。このためには、有機酸として例えばアジピン
酸を使用した場合、この配合量を炭酸塩（炭酸水
素ナトリウムに換算して）に対して20〜150重量
％（以下％で示す）とすることが好ましい。また、本発明入浴剤には、上記必須成分のほか
に、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜
鉛等の硫酸塩あるいは塩化ナトリウム等の塩化物
等を配合することができる。これらの配合量は酸
に対し30〜500％、特に50〜300％が好ましい。更に、本発明入浴剤には、一般に配合されてい
る、香料、色素、あるいはビタミン類、温泉の有
効成分、蛋白分解酵素、海草エキス、アルギン酸
ナトリウム、ラノリン、シリコン、両性界面活性
剤、生薬あるいはその抽出エキス等を配合して、
効果を一層高めることができる。本発明の入浴剤は、粉末、顆粒、結晶、錠剤等
の形にすることができ、これらの製剤化のため
に、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢
剤等を添加することもできる。剤型としては、炭
酸ガス溶解の効率からみて、錠剤が好ましい。叙上のような本発明入浴剤は弱酸性でありなが
ら風呂釜、浴槽をいためることがなく、PHが人の
肌と大略同一であるので肌に好影響を与える。し
かも浴湯に投ずるとき発生する炭酸ガスは、アル
カリ性ではイオンとして存在するため血流促進効
果はないが、本発明の如く酸性領域ではCO₂分子
として存在して肌の血行を促進する優れた効果を
奏する。さらに、本発明の弱酸性入浴剤は、発泡
時間が長く、反応が穏やかであるので、むせにく
いものである。次に実施例を挙げて説明する。実施例１表−１に示す組成の入浴剤を調製し、このもの
の銅製風呂釜及びホーロー製浴槽への影響を調べ
た。結果は表−２のとおりである。 (1) 銅製風呂釜に対する影響銅粉よりのC_o ⁺⁺の溶出各入浴剤の0.2％水溶液25mlに銅粉末100mgを加
え、約80℃の温浴中で一昼夜処理し、液中に溶出
したCn⁺⁺を原子吸光度計で定量した。銅製風呂釜よりのCn⁺⁺の溶出銅製風呂釜（金剛燃器製作所製）の浴槽に各入
浴剤の0.2％水溶液180を入れ、60℃になるまで
加熱し、一昼夜放置した。２日目も同様な操作を
行い、３日目（48時間後）の風呂水について
Cu⁺⁺を定量した。 (2) ホーロー浴槽への影響テストプラスター（クローズドパツチテスト用
絆創膏）に各入浴剤の0.2％水溶液を含浸させ、
ホーローテストピース（日本琺瑯工業会より入
手）上に貼付し、室温に放置した。48時間後にテ
ストプラスターをはがし、ホーロー面に対する影
響を次の項目、評点にて評価した。光沢の変化〇：変化なし △：やや変化、×：変化あり〇：変化なし △：やや変化 ×：変化あり

【表】

【表】実施例２表−３の組成の入浴剤組成物（香料なし）を常
法にて、１錠50ｇ、直径約５cm、厚さ約16.5mmの
錠剤とし、むせについて評価した。

【表】（評価方法） 40℃の水道水約５（深さ約22cm）に１錠を溶
かした。錠剤投入30秒後に、健康な被験者15名に
水面上約10cmのところに鼻を近づけてにおいをか
いでもらい、「むせ」の有無を申告させた。（評価結果） No.９では２名がむせたが、No.８では誰もむせな
かつた。実施例３表−４に示す組成の入浴剤を40℃の湯に0.01％
の割合で溶かした溶液中に、一般消費者宅の残り
湯から分離されたH₂S生産菌（硫酸還元菌）約
10³個／ml及びFeSO₄を0.02重量％、亜硫酸ソー
ダを0.04重量％になるように添加した。翌日の湯
の臭い、色の変化について観察した。

【表】

Claims

【特許請求の範囲】１ (a)炭酸水素ナトリウム、(b)炭酸水素ナトリウ
ムの0.2〜1.5重量倍の（CH₂）_o（COOH）₂ （式中、ｎは３〜６の整数を示す）で表される有機酸及びその塩よりなる群から選ば
れる１種又は２種以上の酸、並びに(c)該酸の0.3
〜５重量倍の硫酸塩及び／又は塩化物を含有し、
浴湯に溶解した直後のPHが４〜７（0.01重量％水
溶液）になるようにしたことを特徴とする弱酸性
入浴剤。