JPH05120735A

JPH05120735A - 光デイスク基板

Info

Publication number: JPH05120735A
Application number: JP3309778A
Authority: JP
Inventors: Tokuo Igari; 徳夫猪狩; Hideki Kobayashi; 秀樹小林
Original assignee: Kuraray Co Ltd
Current assignee: Kuraray Co Ltd
Priority date: 1991-10-28
Filing date: 1991-10-28
Publication date: 1993-05-18

Abstract

(57)【要約】【構成】信号記録領域外の内周部に静止摩擦係数が
０．０１〜０．３の範囲にあるポリエチレンフィルムな
どからなる低摩擦薄膜４ａ，４ｂを備えることを特徴と
する光ディスク基板。光ディスク基板に対する上記の低
摩擦薄膜の引き剥し粘着力は０．５kg／２５mm以上であ
ることが好ましい。【効果】ジュークボックスで使用しても、オートチェ
ンジャーが停止したり、記録エラー・再生エラーが発生
することのない光ディスクを与える、耐摩耗性および耐
発塵性に優れた光ディスク基板が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は耐摩耗性に優れた光ディ
スク基板に関する。

【０００２】

【従来の技術】レーザービームを照射することによって
情報が記録・再生される光ディスクは大きな記憶容量を
有する点、手軽に持ち運びが出来る点などの特徴を備え
ていることから、その用途が広がりつつある。光ディス
クの主な用途として、コンピューターの外部メモリー、
画像イメージファイルなどがある。これらの用途では、
大きな記憶容量が必要とされ、光ディスクを数十枚収納
することが出来るジュークボックスが使用される。ジュ
ークボックスは、通常、複数台の光ディスクドライブを
内蔵しており、収納ボックス内にある光ディスクをオー
トチェンジャーによって自動的に取り出し、光ディスク
ドライブにセットする機構を備えている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ジュークボックス内で
のオートチェンジャーによる光ディスクの交換頻度は毎
分数枚になることがある。一般に光ディスクはプラスチ
ックからなるケースに入れて使用されるが、そのケース
の内面と光ディスク基板の表面とが接触することによっ
てケースまたは光ディスクから発塵する。発生した塵埃
が光ディスク表面に堆積したり、ケース内部に堆積した
場合には、オートチェンジャーが停止したり、記録エラ
ー・再生エラーが発生する等の問題が生じることがあ
る。

【０００４】光ディスク基板に用いられる素材として
は、ガラス及びプラスチックが挙げられる、一般にはポ
リカーボネート樹脂、アクリル樹脂等のプラスチックが
用いられる。これらの樹脂材料からなる光ディスク基板
から発塵する量は、ガラスからなる光ディスク基板から
発塵する量よりも多く、特に光ディスク基板の信号記録
領域外の内周部（例えば、現在市販されている５．２５
インチ径光ディスクにおいては、中心部の半径約２５mm
以下の部分）からの発塵が極めて多い。

【０００５】光ディスク基板からの発塵を抑えるため
に、光ディスク基板の表面にハードコートを施す技術が
知られているが、光ディスク基板の信号記録領域外の内
周部には、光ディスク基板の射出成形時に形成されるゲ
ート溝があり、該内周部に均一な膜厚を有するハードコ
ートを施すことができない。このため、該内周部からの
発塵を十分に抑えることはできない。また、光ディスク
ケース又は光ディスク基板の信号領域外の内周部及び外
周部にフッ素含有ウレタン系塗膜などからなる耐摩耗処
理部を設ける技術が知られている（特開平１ー２６４６
８０号公報参照）。しかし、均一な膜厚を有するフッ素
含有ウレタン系塗膜を形成することは困難であり、膜厚
ムラが生じ易いため、光ディスク基板からの発塵を抑え
ることは十分ではなく、また光ディスクケース又は光デ
ィスク基板の信号領域外の内周部及び外周部にそれぞれ
別個にフッ素含有ウレタン系塗膜を形成させるため、光
ディスクの製造工程が繁雑になるという問題が生じる。

【０００６】本発明の目的は、ジュークボックスで使用
しても、オートチェンジャーが停止したり、記録エラー
・再生エラーが発生することのない光ディスクを与え
る、耐摩耗性および耐発塵性に優れた光ディスク基板を
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、信号記録領域外の内周部に静止摩擦係数が０．
０１〜０．３の範囲にある低摩擦薄膜を備えることを特
徴とする光ディスク基板を提供することにより達成され
る。

【０００８】上記の光ディスク基板に対する低摩擦薄膜
の引き剥し粘着力が０.５kg/２５mm以上であることが、
低摩擦薄膜と光ディスク基板との密着性に優れ、高い耐
摩耗性を有する点で好ましい。

【０００９】本発明でいう静止摩擦係数とは、下記の式
で定義されるものである（野口・大塚編、「機械工業ハ
ンドブック」１４０頁参照）。Ｆｒ／Ｎ＝μ＝ｔａｎλ ここで、Ｆｒは摩擦力を表し、Ｎは物体にかかる垂直力
を表し、μは静止摩擦係数を表し、λは静止摩擦角を表
す。また、本発明でいう引き剥し粘着力はＪＩＳ−Ｃ−
２１０７に規定される方法により測定した値である。

【００１０】なお、本発明において信号記録領域外の内
周部とは光ディスク基板の中心部にあって、情報信号の
記録に使用されてない領域をいう（例えば、現在市販さ
れている５．２５インチの径光ディスクにおいては、中
心部の半径約２５mm以下の部分）。

【００１１】

【作用】光ディスクが収納される光ディスクケース内部
の平面図を図２に示す。図２において、２は光ディスク
ケースを示し、６は内周リムを示し、７ａ〜７ｄは外周
リムを示す。光ディスクを図２に示す光ディスクケース
に収納し、ジュークボックスで使用する場合、光ディス
クが回転を開始する際、又は光ディスクが回転を停止す
る際に光ディスク基板の表面と光ディスクケース内のリ
ム（６，７ａ〜７ｄ）とが接触することによって、光デ
ィスク基板又は光ディスクケースから発塵する（光ディ
スクが回転しているときは、通常、光ディスク基板の表
面と光ディスクケース内のリムとは接触しない）。

【００１２】本発明の光ディスク基板によれば、信号記
録領域外の内周部に特定範囲の静止摩擦係数を有する低
摩擦薄膜を備えているので、光ディスクの回転開始時又
は回転停止時に、リムと光ディスク表面とが接触するこ
とによる発塵を抑えることができる。

【００１３】

【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。

【００１４】実施例１射出成形法により成形したポリカーボネート樹脂からな
る光ディスク基板上に希土類遷移合金からなる記録膜を
設け、該記録膜が内側になるように２枚の光ディスク基
板を貼り合わせた後、変性アクリレートを主成分とする
ハードコートを光ディスク基板の表面に厚さが５μｍに
なるように塗布した。さらに、ディスク基板の中心に対
して同心円状に外径２４mm、内径１５mm、厚さ１６０μ
ｍのポリエチレンフィルムを２枚の光ディスク基板表面
の信号記録領域外の内周部に貼り付けることによって低
摩擦薄膜を形成した。このようにして作製した光ディス
クを光ディスクケースに収納した様子を示す断面図を図
１に示す。図１において、１は光ディスクを示し、２は
光ディスクケースを示し、３は金属ハブを示す。光ディ
スク１の２枚の光ディスク基板表面の信号記録領域外の
内周部には上記のポリエチレンフィルムからなる低摩擦
薄膜４ａおよび４ｂ（斜線部）が形成されている。な
お、光ディスクの中心部には、通常、約４mm径の穿孔５
が設けられている。光ディスクケース２の内周部には凸
状の内周リム６ａ、６ｂがあり、光ディスクケース２の
外周部には凸状の外周リム７ａ〜７ｄがある。図２に上
記の低摩擦薄膜と内周リムとの位置関係を示す。低摩擦
薄膜４（斜線部）は内周リム６と接触する面に形成され
ている。

【００１５】上記の低摩擦薄膜を構成するポリエチレン
フィルムは、静止摩擦係数が０．１８であり、引き剥し
粘着力は１．２kg／２５mmである。上記の光ディスクに
ついて、日本鋼管(株)製ジュークボックスを用いてロー
ド／アンロードを１万回繰り返す耐久性試験を行いバイ
トエラー率の変化を測定した結果を表１に示す。

【００１６】実施例２〜３，比較例１〜２種々の静止摩擦係数と引き剥し粘着力とを有するポリエ
チレンフィルムを用い、実施例１におけると同様にして
作製した光ディスクについて、実施例１と同様の耐久性
試験を行い、バイトエラー率の変化を測定した結果を表
１に示す。

【表１】

【００１７】本発明の光ディスク基板によれば発塵が極
めて少なく、ロード／アンロードを１万回繰り返した後
においても、バイトエラー率がほとんど変化しないこと
が表１から明らかである。

【００１８】本発明における低摩擦薄膜としては、ポリ
エステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリビニル、ポ
リ塩化ビニル、ポリウレタンなどからなるフィルム又は
塗膜が用いられる。

【００１９】低摩擦薄膜としては、静止摩擦係数が０．
０５〜０．２の範囲にあるものが好ましい。また、低摩
擦薄膜は２００μｍ以下、特に１８０μｍ以下の厚さを
有することが、光ディスクケースの内周リムと光ディス
ク基板との間に大きなクリアランスを取ることができる
点で好ましい。なお、光ディスク基板表面にハードコー
トを施さない場合には、光ディスク基板の信号記録領域
外の外周部にも本発明における低摩擦薄膜を形成するこ
とが、光ディスク基板と外周リムとが接触することによ
る発塵が抑えられる点で好ましい。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、ジュークボックスで使
用しても、オートチェンジャーが停止したり、記録エラ
ー・再生エラーが発生することのない光ディスクを与え
る、耐摩耗性及び耐発塵性に優れた光ディスク基板が提
供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ディスク基板を備える光ディスクを
光ディスクケースに収納した様子を示す断面図である。

【図２】光ディスクケースの内部を示す平面図である。

【符号の説明】

１光ディスク２光ディスクケース４，４ａ，４ｂ低摩擦薄膜６，６ａ，６ｂ内周リム７ａ〜７ｄ外周リム

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】信号記録領域外の内周部に静止摩擦係数
が０．０１〜０．３の範囲にある底摩擦薄膜を備えるこ
とを特徴とする光ディスク基板。
【請求項２】光ディスク基板に対する底摩擦薄膜の引
き剥し粘着力が０．５kg／２５mm以上であることを特徴
とする請求項１記載の光ディスク基板。