JPH05117787A - 繊維強化金属複合材料 - Google Patents

繊維強化金属複合材料

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JPH05117787A
JPH05117787A JP3302397A JP30239791A JPH05117787A JP H05117787 A JPH05117787 A JP H05117787A JP 3302397 A JP3302397 A JP 3302397A JP 30239791 A JP30239791 A JP 30239791A JP H05117787 A JPH05117787 A JP H05117787A
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fiber
carbon
fibers
amorphous
continuous
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JP3302397A
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English (en)
Inventor
Takeshi Masumoto
健 増本
Akihisa Inoue
明久 井上
Yoshiharu Waku
芳春 和久
Toru Takahashi
亨 高橋
Taketami Yamamura
武民 山村
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非晶質または非晶質と微細結晶質との複合体
からなる合金をマトリックス金属とした、従来にない優
れた比強度、比剛性および耐熱性等を有する繊維強化金
属複合材料を提供する。 【構成】 繊維状物質を強化材とし、金属をマトリック
スとする繊維強化金属複合材料において、マトリックス
金属がAlabc [PはY、Ln等、QはFe、Ni
等]の組成を有する、非晶質または非晶質と微細結晶質
との複合体からなる高力耐熱性合金であり、繊維状物質
が各種無機繊維、連続有機繊維、連続無機繊維、非晶質
繊維、繊維状単結晶等から選ばれたものである繊維強化
金属複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比強度、比剛性が高
く、高硬度および高耐摩耗性を有し、かつ耐熱性に優れ
た繊維強化金属複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】比強度、比剛性に優れた強化系材料が構
造材料として各産業分野から、その開発を強く要請され
ている。従来から比強度、比剛性が高い材料として各種
軽合金の開発が行われたが、強度自体必ずしも十分なも
のでなはかった。最近、提案されたアモルフアス軽合金
は、従来の軽合金にはない高い強度をもち、構造材料と
して実用化するため数々の開発が進められている。しか
しながら、アモルフアス金属を単体で用いた場合には、
その構造が非晶質であるがゆえに本質的に弾性率が低い
ことと、大きな擬弾性を有することが避けられず、また
合金組成も制限されることから、用途範囲も限られてく
るものであった。
【0003】一方、金属材料の力学的特性の向上を目的
として、繊維強化金属の開発が進められてきた。しか
し、従来の繊維強化金属ではその製造工程において、強
化繊維が融点近傍の高温のマトリックス金属に曝される
ため、繊維表面の侵触、劣化が避けられず、得られた複
合材料では複合則で与えられる強度に比べ、強度低下を
免れなかった。
【0004】このマトリックス金属による強化繊維の侵
触、劣化のため、強化繊維とマトリックスとの組み合わ
せは限られたものとなり、溶融金属に対し優れた耐食性
を有するSi−Ti−C−O繊維と軽金属との組み合わ
せ、あるいは強化繊維に直径140μmにもおよぶ極太
のSiC/C、SiC/W繊維を用いた場合などがわず
かに実用化されたにすぎなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記軽量高
強度材料開発の要請に応え、非晶質または非晶質と微細
結晶質との複合体からなる合金をマトリックス金属とし
た、従来にない優れた比強度、比剛性および耐熱性等を
有する繊維強化金属複合材料の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維状物質を
強化材とし、金属をマトリックスとする繊維強化金属複
合材料において、マトリックス金属が式(1) ALabc (1) [式中、PはYおよびLn[ランタノイド]、Mm[ミ
ッシュメタル]からなる群から選ばれた少なくとも一種
の金属元素を示し、QはFe、Ni、Co、Cuおよび
Znからなる群からなる選ばれた少なくとも一種の金属
元素を示し、a、bおよびcは原子パーセントで10≦
a≦90、 5≦b≦80、5≦c≦55を示す]の組成
を有する、非晶質または非晶質と微細結晶質との複合体
からなる高力耐熱性合金であり、繊維状物質が、 (1) 92%以上の炭素からなる無機繊維であって、
(a) 炭素が炭素六角網面の積み重なった微結晶の連
続したリボン状の乱層構造炭素と非組織炭素とからな
り、X線回折における炭素ほhkl面の反射が観測され
ないことを特徴とする繊維、又は(b) 炭素の少なく
とも一部が黒鉛構造であり、X線回折における炭素のh
kl面の反射が観測されること、及び/又は炭素(00
2)面間隔が3.4Å以下及び/又は、最大磁気抵抗が
正の値であることを特徴とする繊維、 (2) アミド結合を介して結びついた芳香族基からな
り、該アミド結合の85%以上が2個の芳香環と直接結
合しており、該アミド基の50%以下がイミド基で置換
されている合成線状高分子からなる連続有機繊維、 (3)(a) アルミナ含有量が72重量%以上であ
り、好ましくは75重量%以上、98重量%以下であ
り、シリカ含有量が28重量%以下であり、好ましくは
2重量%以上、25重量%以下の組成で、Al−Siス
ピネル構造を持ち、好ましくは平均粒子径500Å以下
を有する微結晶からなる集合体であり、X線的構造にお
いてはα−Al23の反射を実質的に示さない連続無機
繊維、又は、(b) γ−Al23、SiO2、B23
から実質的になり、非晶質もしくは微細結晶質からなる
集合体である連続無機繊維、又は(c) 実質的にα−
Al23からなる微細結晶集合体である連続無機繊維、
又は(d) 実質的に表面がシリカで被覆されたα−A
23からなる微細結晶集合体である連続無機繊維、 (4)(a) 炭素繊維モノフィラメントを芯線とし、
その表面を炭化ケイ素で被覆した連続無機繊維、又は、
(b) タングステン細線を芯線とし、その表面を炭化
ケイ素で被覆した連続無機繊維、 (5) 炭素繊維モノフィラメント又はタングステン細
線を芯線とし、その表面をボロンで被覆した連続無機繊
維、又はさらにその表面をB4C層で被覆した連続無機
繊維、 (6)(a) Si、C及びOから実質的になる非晶質
物質、又は、(b) β−SiC及びグラファイト微結
晶からなる集合体、又は、(c) (a)の非晶質物質
と(b)の結晶質微粒子集合体の混合系からなるSi、
C及びOを組成に持つ連続無機繊維、 (7) シリカ、アルミナを必須成分とし、周期律表第
I族、第II族及び第III族元素からなる群から選ばれた
少なくとも一種の元素の酸化物を含有する非晶質繊維で
あって、(a) 主としてシリカ、アルミナ、カルシ
ア、ボリアから構成される繊維、(b) 主としてシリ
カ、アルミナ、マグネシアから構成される繊維、又は、
(c) 主として、シリカ、アルミナ、カルシア、マグ
ネシア、ボリア、酸化ナトリウムから構成される繊維、
又は、(d) 主として、シリカ、アルミナ、カルシ
ア、マグネシア、酸化ナトリウムから構成される繊維、 (8) 実質的に、シリカとアルミナとから構成される
非晶質繊維、 (9) ケイ素及び窒素を必須成分とし、窒素とケイ素
の比率が(窒素/ケイ素)が、原子比で0.6〜1.5、
好ましくは1.1〜1.4であり、実質的に非晶質又は微
結晶を含有する非晶質からなる窒化ケイ素繊維、 (10)(a) 6チタン酸カリウムからなる繊維状単
結晶、又は、(b) 4チタン酸カリウムの繊維状単結
晶、又は、(c) (b)項でカリウムイオンの一部が
水素イオンで置換された構造を持つチタン酸カリウム水
和物の繊維状単結晶、又は、(d) (b)項でカリウ
ムイオンの全てが水素イオンで置換された構造を持つチ
タニア水和物の繊維状単結晶、又は(e) (d)項の
チタニア水和物から脱水したチタニアの繊維状単結晶、 (11) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
〜1000μmの針状結晶のβ−炭化ケイ素からなる繊
維状単結晶、 (12) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
〜1000μmの針状結晶のα−炭化ケイ素からなる繊
維状単結晶、 (13) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
〜1000μmの針状結晶のα−窒化ケイ素からなる繊
維状単結晶、 (14) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
〜1000μmの針状結晶のβ−窒化ケイ素からなる繊
維状単結晶、 (15) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
〜1000μmの針状結晶のグラファイトからなる繊維
状単結晶からなる群から選ばれた少なくとも一種である
ことを特徴とする繊維強化金属複合材料を提供する。
【0007】本発明で使用する合金は、式(1)の組成
を有する非晶質または非晶質と微細結晶質との複合体か
らなる高力耐熱性合金である。式(1)中、Al、P、
Qの比率は原子パーセントで10≦a≦90、 5≦b≦
80、5≦c≦55である。原子パーセンントを上記範
囲に限定したのは、上記範囲から外れると、非晶質化し
にくくなり、工業的な急冷手段では、非晶質を有する合
金が得られにくいこと、また強度と耐熱性が満足できる
ものではなくなることによる。ここでランタノイドLn
とは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、G
d、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの総称
であり、ミッシュメタルMmとは、希土類元素の製錬過
程で得られ、Ce40〜50重量%、La20〜40重
量%を含むセリウム族希土類元素の混合物である。
【0008】本発明の材料は、非晶質金属または非晶質
と微結晶質からなるマトリックス中に繊維状物質が配
列、又は、分散したまったく新しい構造形態をとってお
り、繊維状物質の存在によって実質的に室温でのクリー
プを示さない材料である。
【0009】また、本発明に用いる非晶質合金には、融
点よりかなり低温において安定な過冷却液体状態を保つ
温度領域が存在する。当温度領域における該金属の反応
活性は、融点近傍に比べ低く、従って溶融金属の腐食を
受け易い強化繊維を用いた場合にも繊維/マトリックス
界面に実質的に反応劣化層を形成することなく複合材料
を得ることができる。もちろん、繊維とマトリックス金
属の組み合わせによっては、融点以上の温度での複合化
も可能である。
【0010】すなわち、マトリックス組成と複合化方
法、条件を選択することによって、繊維のマトリックス
金属による劣化を回避することができるため、強化繊維
の特性を保持したきわめて高性能の複合材料を得ること
が可能である。
【0011】本発明で用いる合金の製造法を以下に説明
する。該合金は、式(1)の組成を有する合金の溶湯を
液体急冷法などの通常の急冷手段により急冷凝固させる
ことにより得られる。液体急冷法とは、溶融した合金を
急速に冷却させる方法であり、例えば単ロール法、双ロ
ール法などは、104−106K/秒程度の冷却速度が得
られるので好ましく用いられる。この単ロール法、双ロ
ール法等により薄帯材料を製造するには、溶湯をノズル
孔を通して約300〜10000rpmの範囲の一定速
度で回転させた直径約30〜3000mmの例えば銅あ
るいは鋼製のロールに噴出する。上記操作により幅約1
〜300mm、厚さ約5〜500μmの薄帯材料が容易
に得られる。
【0012】液体急冷法のみならず、高圧ガス噴霧法等
の各種アトマイズ法、スプレイ法等により急冷粉末を得
てもよく、急冷法に特に限定されるものではない。得ら
れた合金が非晶質であるか否かは、通常のX線回折法に
より非晶質特有のハローパターンの有無により容易に知
りうる。なお、この非晶質組織を加熱すると特定の温度
以上で結晶に分解する。この温度を結晶化温度と呼ぶ。
【0013】本発明の強化材としての繊維状物質とマト
リックス金属の複合化方法は、特に限定されるものでは
なく、公知の方法を利用できる。例えば、予め所定形状
の繊維成形体を製造し、この成形体に溶融状態のマトリ
ックス合金を含浸させる高圧鋳造法や遠心鋳造法が挙げ
られる。この方法では無機繊維又はその織物を所定の大
きさ、形状の予備成形体とする。ついで所定温度、例え
ば融点上50℃に加熱した溶湯を鋳造型内に注入したの
ち、マトリックス合金の結晶化温度を超えない程度に予
熱した予備成形体をキャビテイ内に配置する。この溶湯
に所定圧、例えば1000kg/cm2を加え、繊維と
マトリックス金属を複合化させるとともに、急速に冷却
してマトリックス金属を固化させ、複合材料を得る。
【0014】一方、該複合材料独特の複合化方法として
は、本発明の合金が、結晶化温度近傍における過冷却液
体域で超塑性現象を示すことを利用して、複合化させる
方法も可能である。例えば繊維状物質を成形したシート
と非晶質合金を交互積層して、これをマトリックス金属
の過冷却液体温度域でプレスして繊維強化金属複合材料
板を得る方法である。この方法は、繊維状物質が実質的
に侵食を受けない低温低圧下で繊維体積率を安定に制御
しながら複合化できるという利点がある。なお本発明の
合金の結晶化温度は、その組成により異なるが、およそ
260〜330℃の範囲である。
【0015】繊維状物質のマトリックス金属中への混合
割合は、体積百分率で10〜70%が好ましい。10%
以下では、強化材による強化効果が少なく、70%を超
えると強化繊維同士の接触により繊維強度が低下する。
【0016】繊維状物質をマトリックス金属中へ混合す
るとき、マトリックス中に繊維を均一に分散させ、繊維
同士の接触を防止することは、複合材料中の組成の均一
化を達成せしめ、繊維体積率の広い範囲での制御を容易
ならしめ、また繊維軸に直角方向の強度を改善するうえ
でも好ましい。この目的のため前記繊維状物質のうち連
続繊維については、表面に短繊維、ウイスカー又は粉末
を付着させた繊維を用いてもよい。
【0017】付着させる物質としては、炭化ケイ素、窒
化ケイ素、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ジル
コニア、ベリリア、炭化ホウ素、炭化チタンのようなセ
ラミックス、金属、金属間化合物が挙げられる。付着物
質の連続繊維に対する割合は、連続繊維に対して約0.
5〜50容量%が好ましい。
【0018】本発明において、必要に応じて使用される
サイジング剤としては、繊維のサイジング剤として公知
のものを使用でき、特に限定されない。例えば、ポリエ
チレンオキサイド、ポリスチレン、ポリメチレン、ポリ
ビニルアルコール、エポキシ樹脂等が用いられる。サイ
ジング剤の使用割合は、繊維又は繊維と付着物質との合
計量に対して約0.5〜50容量%が好ましい。
【0019】連続繊維への付着物質の付着方法は、特に
限定されるものではなく、例えば電着法、流動床を用い
る方法、吹き付け法、懸濁浸漬法等が用いられるが、簡
便さ、適用範囲の広さ等の観点から懸濁浸漬法が好適に
採用される。
【0020】浸漬懸濁法の一例としては、ボビン等に巻
き付けた連続繊維又は適当数の連続繊維を束ねた連続繊
維束を巻き戻して、又は連続繊維の織物を前記懸濁液中
に浸漬する方法により、連続繊維又は織物の繊維の各々
の表面に短繊維、ウイスカー又は粉末を付着させる例が
挙げられる。
【0021】繊維数の多い繊維束又は織物を浸漬する場
合には、短繊維、ウイスカー、又は粉末を各繊維に均一
に付着させるために、超音波振動を用いることができ
る。
【0022】懸濁溶媒は、特に限定されるものではない
が、有機溶媒、例えばエタノール、メタノール、アセト
ンが好ましく採用される。
【0023】付着物質の懸濁液にサイジング剤を溶解又
は分散させておき両者を同時に連続繊維に付着させても
よい。懸濁液中の付着物質の濃度は特に制限されない
が、過度に小さいと連続繊維に均一に付着せず、過度に
多いと付着量が多くなり過ぎるため、0.5〜30g/
リットル程度が好ましい。
【0024】繊維強化複合材料では、複合される繊維の
配向の影響によって、その物性が非等方性を示すという
特徴があり、実使用において、この点を考慮した設計が
なされる必要がある。また逆に設計上の要請から、複合
材料の持つ非等方性を制御する場合や、例えば耐摩耗性
の向上のように非等方性を必要としない用途もある。こ
のような要請に応える一方法として、連続繊維を短繊維
状に切断したものを単独、又は他の繊維と組み合わせて
用いる方法もある。
【0025】該短繊維の作成方法としては、前述のサイ
ジング剤によってサイジングされた連続繊維を機械的に
切断、あるいは破砕する方法がある。短繊維の長さは、
用途によって適宜選択されるべきであり、例えば通常の
短繊維強化材料用であれば、直径数μmの繊維に対し、
0.1〜100mm、特に好ましくは0.2〜5mmが選
択される。適当な長さに切断された繊維は、複合材中で
の良好な分散を図る目的で、デサイジングや表面処理が
施される場合もある。
【0026】[実施例]以下実施例に基づき本発明をよ
り詳細に説明する。
【0027】[参考例]PAN系高弾性型炭素繊維(東
レ(株)製、M60)上への炭化ケイ素ウイスカー、炭化
ケイ素微粒子の付着方法図1の装置を用いて繊維の表面
に炭化ケイ素ウイスカー(平均径0.2μm、平均長さ
3μm)と炭化ケイ素微粒子(平均粒径0.28μm)
を付着させた。
【0028】炭化ケイ素ウイスカー(平均径0.2μ
m、平均長さ3μm)100gと炭化ケイ素微粒子(平
均粒径0.28μm)250gを、エチルアルコール5
00ミリリットルを入れた処理槽(1)に投入後、撹拌
懸濁して処理液(2)を調製した。該繊維の連続繊維束
(3)をボビン(4)から巻き戻し、電気炉(5)で脱
サイジング処理した後、浸漬時間が約15秒となるよう
にガイドロール(6)、(7)、(8)及び(9)によ
り調節して、撹拌中の処理液(2)に浸漬しながら通糸
し、ついで圧力ロール(10)及び(11)によて押圧
した後、乾燥炉(12)で乾燥し、再びロール(13)
に巻き取った。得られた繊維は灰緑色を呈し、電子顕微
鏡観察の結果、繊維の表面に主に微粒子が、さらにその
外側にウイスカーが付着しているのが認められた。また
付着量は、微粒子とウイスカーの合計量で7重量%であ
った。
【0029】[実施例1]PAN系高強度型炭素繊維
(東レ(株)製、T800)を直径1mのステンレス製ド
ラムに巻き取った後、ドラム上の繊維にポリエチレンオ
キサイドバインダーを含浸・乾燥させて、繊維が一方向
に引き揃えられた厚さ約150μmの一方向繊維成形体
を作成した。
【0030】マトリックス金属は、2段階急冷法による
アモルファスフレークにして用いた。この製造法を図2
に基づいて説明する。合金原料(Al、Cu、Ni、L
a)を高純度アルゴン雰囲気中でアーク溶解し、所定成
分をもつ母合金インゴットを得た。該インゴットをアル
ゴン雰囲気のアトマイザ(14)中の高周波溶解炉(1
5)により再溶融し、溶湯(16)が十分に均一化した
ところで、溶解坩堝内のストッパ棒(17)を抜き取
り、溶湯(16)を噴霧ノズル(18)から圧力75k
g/cm2のアルゴンガスとともに噴霧した。噴霧され
た溶湯(19)を噴霧ノズル(18)直下に設置された
冷却用回転体(20)に衝突させて急冷し、アモルファ
スフレーク(平均寸法100μm×50μm×3μm)
を得た。
【0031】アモルファスフレークは簡易分級して、2
00μm以上の粗大粒を取り除いた後、石油系軽質油と
混練し、スラリー状にして使用した。簡易分級後のアモ
ルファスフレークには、X線回折法により非晶質構造に
特有のハローパターンの存在が確認された。
【0032】繊維とマトリックス金属の複合化方法を次
に説明する。まず前記一方向繊維成形体シート上にアモ
ルファスフレークスラリーをロールコーターを用いて均
一に塗布した後、各シートを積層して予備複合体を得
た。予備複合体はアルゴン気流中で乾燥した後、シリコ
ンラバーカプセルに封入して、これを上記合金系が過冷
却液体状態にあり、超塑性加工が可能な温度域に保持し
ながら、オートクレーブ内で加圧し、所定形状の繊維強
化金属複合材料板(270×180×3mm)を得た。
なお、加圧時の圧力及び時間は、それぞれ50kgf/
cm2、50分であった。
【0033】表1に示すように、本発明のFRMは繊維
に平行な方向の引張強度およそ235〜250kg/m
2、垂直方向に65〜110kg/mm2、繊維方向引
張弾性率17〜18t/mm2を示し、従来の時効硬化
型アルミニウム合金(Al−Si−Fe系、45kg/
mm2、7t/mm2)や、マグネシウム基アモルファス
合金(Mg−Ni−Y系、60〜80kg/mm2、4
〜6t/mm2)、あるいはアルミニウム基FRM(チ
ラノ繊維強化アルミニウム、繊維方向100kg/mm
2、垂直方向35kg/mm2、繊維方向弾性率10t/
mm2)と比較して、強度、弾性率、異方性において優
れた性質を示した。
【0034】さらに表1中、マトリックスCの複合材料
について耐摩耗性を測定したところ、従来のアルミニウ
ム基合金と比べておよそ100倍であった。
【0035】 表1 無機繊維 マトリックス 引張強度 繊維方向 Vf 繊維方向 垂直方向 弾性率 (%) 高強度 A 245 110 17 50 無機繊維 B 235 70 17 50 東レ C 235 65 17 50 T800 D 250 100 18 50 E 245 90 17 50 F 245 90 17 50 注:A;Al35La55Cu10 B;Al25La55Cu20 C;Al25La50Cu25 D;Al45La45Ni10 E;Al35La45Ni20 F;Al30La50Ni20 引張強度の単位;kg/mm2 弾性率の単位;t/mm2
【0036】[実施例2]成分組成Al45La45Ni10
のアモルファスフレークを用い、強化材としてPAN系
高強度炭素繊維(東レ(株)製、M60)、SiC/C繊
維(AVCO(株)製、SGS−2)、SiC繊維(日本
カーボン(株)製、ニカロン)を用いた他は実施例1と同
様に複合化して繊維強化金属複合材料を得た。
【0037】表2に示すように、本発明のFRMは繊維
と平行な方向に135〜180kg/mm2、繊維と垂
直方向に100kg/mm2の引張強度、繊維方向引張
弾性率13〜33t/mm2を示し、従来の時効硬化型
アルミニウム合金(Al−Si−Fe系、45kg/m
2、7t/mm2)や、マグネシウム基アモルファス合
金(Mg−Ni−Y系、60〜80kg/mm2、4〜
6t/mm2)、あるいはアルミニウム基FRM(チラ
ノ繊維強化アルミニウム、繊維方向100kg/m
2、垂直方向35kg/mm2、繊維方向弾性率10t
/mm2)と比較して、強度、弾性率、異方性において
優れた性質を示した。
【0038】 表2 強化繊維 引張強度 繊維方向 Vf 繊維方向 垂直方向 弾性率 (%) PAN系高強度炭素繊維 165 100 33 50 SiC/C繊維 180 100 23 50 SiC細径繊維 135 100 13 50 注:引張強度の単位;kg/mm2、弾性率の単位;t/mm2
【0039】[実施例3]強化材として参考例で示した
方法によりその周囲にSiC粒子を付着させたPAN系
高弾性炭素繊維(東レ(株)製、T800)を用い、マト
リックス金属として成分組成Al45La45Ni10アモル
ファスフレークを用いて、実施例1と同様に複合化し、
繊維強化金属複合材料を得た。
【0040】この複合材料は、繊維体積含有率Vfがお
よそ50%で、繊維強化方向の引張強度が190kg/
mm2、垂直方向が100kg/mm2の強度を示し、か
つ強化繊維の周囲に付着させた粉末の効果により、従来
になく高強度で、かつ異方性の少ない長繊維強化金属複
合材料が得られた。
【0041】[実施例4]SiC繊維(日本カーボン
(株)製、ニカロン)の繊維束100gをサイジングされ
た状態のまま、機械的に1mmの長さのチョップ状に切
断した。これをエチルアルコール400ミリリットル、
水100ミリリットル、ポリエチレンオキサイド10g
の混合溶液と撹拌混合し、該繊維チョップの懸濁液を調
製した。次いで、該懸濁液を80℃に加熱された板上に
ロールコーターを用いて塗布した。溶媒の蒸散後、加熱
板上には該チョップが塗布方向に優先的に配向したシー
トが生成した。このシートを用い、実施例1と同様の方
法でAl45La45Ni10アモルファス合金と複合化し、
繊維強化金属複合材料板を得た。この複合材料は、繊維
体積含有率Vfが10%で繊維の優先配向方向の引張強
度は110kg/mm2、垂直方向では90kg/mm2
の強度を示した。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、マトリックス金属とし
て非晶質又は非晶質と微細結晶質との複合体からなる高
力耐熱性合金を用い、これと繊維状物質を複合化するこ
とにより、従来の繊維強化金属複合材料に比し、格段に
優れた機械的特性を有する繊維強化金属複合材料が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続無機繊維にウイスカー等を付着させる装置
の説明図である。
【図2】アモルファスフレークの製造装置の説明図であ
る。
【符号の説明】
1:処理槽 2:処理液 5:電気炉 14:アトマイザー 15:高周波溶解炉 16:溶湯 20:冷却用回転体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内無番地川内住宅11 −806 (72)発明者 和久 芳春 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社無機材料研究所内 (72)発明者 高橋 亨 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社無機材料研究所内 (72)発明者 山村 武民 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社無機材料研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状物質を強化材とし、金属をマトリ
    ックスとする繊維強化金属複合材料において、マトリッ
    クス金属が式(1) ALabc (1) [式中、PはYおよびLn[ランタノイド]、Mm[ミ
    ッシュメタル]からなる群から選ばれた少なくとも一種
    の金属元素を示し、QはFe、Ni、Co、Cuおよび
    Znからなる群からなる選ばれた少なくとも一種の金属
    元素を示し、a、bおよびcは原子パーセントで10≦
    a≦90、 5≦b≦80、5≦c≦55を示す]の組成
    を有する、非晶質または非晶質と微細結晶質との複合体
    からなる高力耐熱性合金であり、繊維状物質が、 (1) 92%以上の炭素からなる無機繊維であって、 (a) 炭素が炭素六角網面の積み重なった微結晶の連
    続したリボン状の乱層構造炭素と非組織炭素とからな
    り、X線回折における炭素ほhkl面の反射が観測され
    ないことを特徴とする繊維、又は (b) 炭素の少なくとも一部が黒鉛構造であり、X線
    回折における炭素のhkl面の反射が観測されること、
    及び/又は炭素(002)面間隔が3.4Å以下及び/
    又は、最大磁気抵抗が正の値であることを特徴とする繊
    維、 (2) アミド結合を介して結びついた芳香族基からな
    り、該アミド結合の85%以上が2個の芳香環と直接結
    合しており、該アミド基の50%以下がイミド基で置換
    されている合成線状高分子からなる連続有機繊維、 (3)(a) アルミナ含有量が72重量%以上であ
    り、好ましくは75重量%以上、98重量%以下であ
    り、シリカ含有量が28重量%以下であり、好ましくは
    2重量%以上、25重量%以下の組成で、Al−Siス
    ピネル構造を持つ微結晶からなる集合体であり、X線的
    構造においてはα−Al23の反射を実質的に示さない
    連続無機繊維、又は、 (b) γ−Al23、SiO2、B23から実質的に
    なり、非晶質もしくは微細結晶質からなる集合体である
    連続無機繊維、又は (c) 実質的にα−Al23からなる微細結晶集合体
    である連続無機繊維、又は (d) 実質的に表面がシリカで被覆されたα−Al2
    3からなる微細結晶集合体である連続無機繊維、 (4)(a) 炭素繊維モノフィラメントを芯線とし、
    その表面を炭化ケイ素で被覆した連続無機繊維、又は、
    (b) タングステン細線を芯線とし、その表面を炭化
    ケイ素で被覆した連続無機繊維、 (5) 炭素繊維モノフィラメント又はタングステン細
    線を芯線とし、その表面をボロンで被覆した連続無機繊
    維、又はさらにその表面をB4C層で被覆した連続無機
    繊維、 (6)(a) Si、C及びOから実質的になる非晶質
    物質、又は、 (b) β−SiC及びグラファイト微結晶からなる集
    合体、又は、 (c) (a)の非晶質物質と(b)の結晶質微粒子集
    合体の混合系からなるSi、C及びOを組成に持つ連続
    無機繊維、 (7) シリカ、アルミナを必須成分とし、周期律表第
    I族、第II族及び第III族元素からなる群から選ばれた
    少なくとも一種の元素の酸化物を含有する非晶質繊維で
    あって、 (a) 主としてシリカ、アルミナ、カルシア、ボリア
    から構成される繊維、 (b) 主としてシリカ、アルミナ、マグネシアから構
    成される繊維、又は、 (c) 主として、シリカ、アルミナ、カルシア、マグ
    ネシア、ボリア、酸化ナトリウムから構成される繊維、
    又は、 (d) 主として、シリカ、アルミナ、カルシア、マグ
    ネシア、酸化ナトリウムから構成される繊維、 (8) 実質的に、シリカとアルミナとから構成される
    非晶質繊維、 (9) ケイ素及び窒素を必須成分とし、窒素とケイ素
    の比率が(窒素/ケイ素)が、原子比で0.6〜1.5、
    好ましくは1.1〜1.4であり、実質的に非晶質又は微
    結晶を含有する非晶質からなる窒化ケイ素繊維、 (10)(a) 6チタン酸カリウムからなる繊維状単
    結晶、又は、 (b) 4チタン酸カリウムの繊維状単結晶、又は、 (c) (b)項でカリウムイオンの一部が水素イオン
    で置換された構造を持つチタン酸カリウム水和物の繊維
    状単結晶、又は、 (d) (b)項でカリウムイオンの全てが水素イオン
    で置換された構造を持つチタニア水和物の繊維状単結
    晶、又は (e) (d)項のチタニア水和物から脱水したチタニ
    アの繊維状単結晶、 (11) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
    〜1000μmの針状結晶のβ−炭化ケイ素からなる繊
    維状単結晶、 (12) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
    〜1000μmの針状結晶のα−炭化ケイ素からなる繊
    維状単結晶、 (13) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
    〜1000μmの針状結晶のα−窒化ケイ素からなる繊
    維状単結晶、 (14) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
    〜1000μmの針状結晶のβ−窒化ケイ素からなる繊
    維状単結晶、 (15) 主として直径0.01〜2.0μm、長さ10
    〜1000μmの針状結晶のグラファイトからなる繊維
    状単結晶からなる群から選ばれた少なくとも一種である
    ことを特徴とする繊維強化金属複合材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の強化繊維のうち、連続繊
    維であるものについて、該繊維の表面に短繊維、ウイス
    カーまたは粉未が付着されたものである請求項1記載の
    繊維強化金属複合材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の強化繊維のうち、連続繊
    維であるものについて、該連続繊維を短繊維状に切断し
    たものを強化材とした請求項1記載の繊維強化金属複合
    材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1182006A (ja) * 1997-09-12 1999-03-26 Denki Kagaku Kogyo Kk 断熱シール材及びその用途

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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